(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178608
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】吊支装置の落下防止具
(51)【国際特許分類】
E04B 9/18 20060101AFI20170731BHJP
F16B 1/00 20060101ALI20170731BHJP
F16B 41/00 20060101ALI20170731BHJP
F24F 13/32 20060101ALN20170731BHJP
【FI】
E04B9/18 H
F16B1/00 A
F16B41/00 J
!F24F1/00 426
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-94039(P2013-94039)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-214531(P2014-214531A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000224994
【氏名又は名称】特許機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】森田 政信
(72)【発明者】
【氏名】加藤 要
(72)【発明者】
【氏名】矢口 大輔
【審査官】
渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−027229(JP,A)
【文献】
特開2007−186855(JP,A)
【文献】
特開2007−205045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/18
F16B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直片と、該垂直片の上端に設けられ、建築躯体の天井部から垂設された吊りボルトが挿通され、且つ、該吊りボルトの天井部への捻じ込み基部に固定されるフレーム固着部が設けられた上水平片と、該垂直片の下端に設けられ、吊りボルトの挿通用の通孔が形成された下水平片とで構成されたフレームと、
フレーム内に配設され、外径が下水平片の通孔より大きく、吊りボルトに固定される脱落防止部とで構成されており、
フレームは、フレーム固着部及び通孔を通って2分割されたフレーム半体とで構成され、
脱落防止部は、吊りボルトへの固着部分を通って2分割された防止部半体とで構成されていることを特徴とする吊支装置の落下防止具。
【請求項2】
フレームが、1つの垂直片の上下両端に上・下水平片を設けたコ字状、または2以上の垂直片の上下両端に上・下水平片を設けた箱型であることを特徴とする請求項1に記載の吊支装置の落下防止具。
【請求項3】
脱落防止部が、脱落防止用ナットと、脱落防止用ナットと下水平片との間に設けられる緩衝材或いは脱落防止用ナットと緩衝材に加えて脱落防止用ナットと緩衝材との間に設けられ、下水平片の通孔より外径が大きいワッシャとで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吊支装置の落下防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築躯体の天井部から吊りボルトにて吊支される空調設備、配管或いは軽天井等の吊支装置が地震によって大きく揺れた時、吊りボルトが天井部の植え込み基部で破断した場合でも破断した吊りボルトを吊持して吊支装置が落下しないようにする吊支装置の落下防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
天井吊下型の室内機のような空調設備や配管或いは軽天井等に用いられる吊りボルトは、従来、建築構造物の天井部に打ち込まれたアンカーにその上端の雄ネジを螺着して吊り下げられる。そして、天井近傍まで持ち上げられた空調設備等の取付金具に吊りボルトの下端の雄ネジに螺着されたナットを掛止して吊持する(非特許文献1)。
【0003】
このような状態で地震が発生すると、重い吊支装置は大きく揺れ、吊持している吊りボルトは振動の方向に大きく撓み、吊りボルトの天井部への捻じ込み基部に大きな繰り返し曲げモーメントが加わり、捻じ込み基部において疲労破断が生ずる虞がある。吊りボルトが破断すれば、重い吊支装置が天井から転落し、非常に危険である。
【0004】
そこで、このような天井設備のジョイント部分の発明として特許文献1に記載のものがある。このものは、スラブ等の吊支持用ナットと吊ボルト間に介設使用して、吊ボルトの垂直と斜め吊りを自在としたジョイント金具で、帯状金属板をプレス加工によって側面開口一体のボックス状にして天壁を湾曲してその交差方向に長孔を有する金具本体と、その底壁に固定した固定ナットと、長孔の縁部に回転支持部を対接して金具本体を支持する支持ボルトを備えており、支持ボルトを吊支持用ナットに螺装し、固定ナットに吊ボルトを螺装している。金具本体は支持ボルトに回転可能であり、また金具本体と支持ボルトは長孔の範囲で相対位置可変であって、支持ボルトの吊角度を360度自在とすることができるようになっている。
【0005】
この場合は、ジョイント部分にストレスが発生しないが、通常の状態でも吊支装置を揺れ動くことになり、空調設備やシステム天井など通常の状態では固定されているべきものには適用することができない。また、特許文献1に示すような落下防止具は、新設の場合には適用可能であるが、既設の場合には適用不可能であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】かずとこ、“住宅建築専門用語辞典”、[online]、[平成25年4月25日検索]、インターネット〈URL:http://www.what-myhome.net/18tu/turiboruto.htm〉
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−17357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような状況にかんがみてなされたもので、その目的とするところは、新設の場合は勿論、既設の場合にも適用可能であって、仮に、地震によってその植え込み基部が破断したとしても、吊支装置が落下しないようにする吊支装置の落下防止具を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような課題を解決するために請求項1に記載の吊支装置12の落下防止具Aは、
垂直片2と、該垂直片2の上端に設けられ、建築躯体の天井部10から垂設された吊りボルト7が挿通され、且つ、該吊りボルト7の天井部10への捻じ込み基部7aに固定されるフレーム固着部5が設けられた上水平片3と、該垂直片2の下端に設けられ、吊りボルト7の挿通用の通孔6が形成された下水平片4とで構成されたフレーム1と、
フレーム1内に配設され、外径が下水平片4の通孔6より大きく、吊りボルト7に固定される脱落防止部8とで構成され
ており、
フレーム1は、フレーム固着部5及び通孔6を通って2分割されたフレーム半体1a、1bとで構成され、
脱落防止部8は、吊りボルト7への固着部分を通って2分割された防止部半体8a1、8a2とで構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2は、フレーム1が、1つの垂直片2の上下両端に上・下水平片3,4を設けたコ字状、または2以上の垂直片2の上下両端に上・下水平片3,4を設けた箱型であることを特徴とする。
【0011】
請求項3は、脱落防止部8が、脱落防止用ナット8aと、脱落防止用ナット8aと下水平片4との間に設けられる緩衝材8b或いは脱落防止用ナット8aと緩衝材8bに加えて脱落防止用ナット8aと緩衝材8bとの間に設けられ、下水平片4の通孔6より外径が大きいワッシャ8cとで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、落下防止具Aは、
図3,4に示すように、建築躯体の天井部10のアンカーナット11に捻じ込まれた吊りボルト7の捻じ込み基部7aに取り付けて使用されるので、地震が発生し、吊支装置12の大きな揺れに伴って大きく撓み、疲労破壊によって吊りボルト7が螺入部分7bの捻じ込み基部7aで破断しても破断部分の直下に螺着されている脱落防止部8がフレーム1の下水平片4の通孔6に引っ掛かってそれ以上落下せず、吊支装置12の転落を防止できる。
【0014】
なお、脱落防止部8として、緩衝材8bを設けている場合には、吊りボルト7の揺れや破断時のショックを緩衝材8bにて緩和することができる。フレーム1がコ字状の場合でも、垂直片2の撓みによって上記緩和を得ることができる。従って、この場合は緩衝材8bを省略することができる。
【0015】
フレーム1や脱落防止部8を2分割しておけば、既設の吊りボルト7に簡単に装着でき、既設の吊りボルト7の破断に対して吊支装置12の落下防止も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】本発明の第1実施例の施工部分の拡大斜視図である。
【
図3】(a)は第1実施例の正面図、(b)は吊りボルトが撓んだ時の正面図、(c)は吊りボルトが断裂した時の正面図である。
【
図4】(a)は第2実施例の正面図、(b)は吊りボルトが撓んだ時の正面図、(c)は吊りボルトが断裂した時の正面図である。
【
図5】既設吊りボルトへの装着状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図面に従って説明する。
図2及び
図3(a)は本発明の第1実施例(吊りボルト7が新設の場合)で、これに用いられる落下防止具Aのフレーム1は、一枚の板金を折り曲げて箱型としたもので、左右二つの垂直片2の上下両端間に上・下水平片3,4が設けられている。この場合、上水平片3は折り曲げ片が上下に重ね合わされてスポット溶接されて、強度が2倍となっている。勿論、これに限られず、角パイプを切断したようなものを用いることも可能である。そして、上水平片3には丸孔3aが穿設され、この丸孔3a合致して下面六角ナットを溶接したフレーム固着部5が設けられている。前記六角ナットに代えて上水平片3に直接雌ネジを穿設し、これをフレーム固着部5としてもよい。この点は他の実施例においても共通する。
【0018】
そして、下水平片4には吊りボルト7の直径より大きい通孔6が穿設されている。なお、フレーム固着部5は、上水平片3の下面に一体的に取り付けた例を示したが、別体とすることも出来る。その場合は別体のフレーム固着部5を天井部10に向かって締め付けて行くことでフレーム1を天井部10に固定する。この場合、丸孔3aに雌ネジを刻設しておいてもよく、丸孔3aによる締め付けとフレーム固着部5による締め付けがなされる。
【0019】
脱落防止部8は、本実施例では脱落防止用ナット8a、緩衝材8b及びワッシャ8cとで構成されている。脱落防止用ナット8aとしてはここでは通常の六角ナットが使用されている。緩衝材8bは、通常のゴムリングや低反発ゴムリングなどが使われ、その外径は通孔6より大きい。内径は吊りボルト7には嵌り込む大きさから、吊りボルト7の直径よりかなり大きい寸法に形成されている。ワッシャ8cの外径は通孔6より大きく、内径は吊りボルト7の直径よりかなり大きい寸法に形成されている。
【0020】
吊りボルト7は全長にわたって雄ネジが刻設されていてもよいし、上下両端部分の必要個所に雄ネジが刻設されているだけのものであってもよい。
【0021】
構造躯体の天井部10の下面の所定箇所にはアンカーナット11が埋設されている。
【0022】
しかして、フレーム1内にて緩衝材8b及びワッシャ8cを吊りボルト7の一端部に通し、更に脱落防止用ナット8aを螺入した状態で、その端部を上水平片3のフレーム固着部5に螺入して上水平片3から所定量だけ突き出す。続いて、吊りボルト7の下端に周知の吊下部材13を取り付ける。そしてこの突き出し部分(この部分が螺入部分7bになる。)をアンカーナット11に螺入して吊りボルト7を天井部10に垂設する。
【0023】
そして、吊りボルト7に螺装されているフレーム1を天井部10側に向けて回転させ、天井部10の下面にアンカーナット11とでダブルナット状態で締め付け固定する。最後に、脱落防止用ナット8aを下水平片4方向に回して下水平片4上に位置するワッシャ8cに軽く接触又は近接位置まで下げる。
【0024】
最後に、吊支装置12を天井部10まで持ち上げ、吊支装置12の側面に設けた吊り金具14に吊下部材13をボルト止めし、吊支装置12を吊りボルト7に吊り下げる。
【0025】
この状態で地震が発生すると重い吊支装置12は大きく揺れ、これによって吊りボルト7は繰り返して大きく撓み、吊りボルト7の捻じ込み基部7aに大きな繰り返し曲げモーメントが発生する。吊りボルト7の螺入部分7bはフレーム固着部5の下面に一致する場所まではアンカーナット11及びフレーム固着部5に螺着されていて天井部10と一体になっているため、この繰り返し曲げモーメントによりフレーム固着部5の下面に一致する場所の雄ネジの谷に繰り返して応力集中が発生し、遂には疲労による亀裂が入り、最後には瞬間的に断裂する。
【0026】
吊りボルト7が断裂すると、螺入部分7bを残して断裂した吊りボルト7はわずかに下に落ちるが、ワッシャ8cが緩衝材8bを介して下水平片4の通孔6に係合して、それ以上の落下が防止される。これにより吊りボルト7の破損によって転落を余儀なくされていた吊支装置12の落下を確実に防止することができる。
【0027】
なお、緩衝材8bの存在により、吊支装置12が揺れている時に、緩衝材8bが撓むことにより揺れのエネルギーを吸収して減震させることになる。また、吊りボルト7の断裂時の衝撃も吸収することができる。
【0028】
また、フレーム1の垂直片2の間隔と揺れの関係であるが、揺れた時にワッシャ8c(即ち、脱落防止具8)が垂直片2に、及び吊りボルト7が通孔6に衝突しないような幅又は大きさに形成しておくことが好ましい。揺れによりワッシャ8cが垂直片2に衝突したり、吊りボルト7が通孔6に衝突するとフレーム1に衝撃的な大きな曲げモーメントが発生して梃の作用によりアンカーナット11を引き抜く方向の力が加わり、天井部10を破損することになるからである。なお、上記実施例では脱落防止部8として、脱落防止用ナット8a、緩衝材8b、ワッシャ8cを使用した例を示したが、脱落防止用ナット8aとワッシャ8cに代えて、座付きナットを使用してもよい。上記の形態は他の実施例においても適用される。
【0029】
図4は、本発明の第2実施例で、フレーム1が垂直片2を1つとし、その上下両端に上・下水平片3、4を設けたコ字状のものである。フレーム固着部5及び通孔6は実施例1と同様に形成されている。そして前述のように地震が発生し、吊りボルト7が捻じ込み基部7aで破断した場合、実施例1と同様、破断した吊りボルト7に螺着した脱落防止部8が下水平片4の通孔6に係合して実施例1と同様に吊支装置12の落下を防止することができる。なおこの場合、フレーム1の垂直片2が1つで上・下水平片3、4が片持ちとなるため、垂直片2が吊支装置12の重量に応じて撓むことになる。この撓みによって、破断時の衝撃を吸収することができるので、緩衝材8bを省略してもよい。また、第2実施例でも第1実施例と同様に地震による吊りボルト7の撓みが生じたとき、脱落防止部8や吊りボルト7が、垂直片2や通孔6に接触しない程度に通孔6や垂直片2の間隔を上記のように空けておくことが好ましい。
【0030】
図5〜7は、本発明の第3実施例で、既設の吊りボルト7に装着できる落下防止具Aである。フレーム1は、フレーム固着部5及び通孔6を通って2分割されたフレーム半体1a、1bとで構成され、脱落防止部8は、吊りボルト7への固着部分を通って2分割された防止部半体8a1、8a2とで構成されている。
【0031】
フレーム半体1a、1bは、
図6から分かるように、一方の側面に丁番部1fが形成されていて、開閉可能になっている。そして他方の側面には耳部1c、1dが延出されており、一方の耳部1cにはボルト孔1c1が穿設されており、他方の耳部1dにはこれに一致してねじ孔1d1が螺設されている。
【0032】
フレーム固着部5は、
図6の場合、2分割体で雌ネジ部半体5a、5bとなっており、フレーム半体1a、1bの下面にそれぞれ溶接で一体化されている。分割面には雌ネジ5fが刻設されており、丸孔3aに一致している。勿論、丸孔3aの丸孔3aに雌ネジを刻設し、これをフレーム固着部5としてもよい。
【0033】
本実施例では、脱落防止部8の脱落防止ナット8aは、脱落防止ナット8aは、2分割体のナット半体8a1、8a2とで構成されており、その一方の側面に丁番部8tが形成され、ナット半体8a1、8a2が軸8eにて開閉可能となっている。分割面には雌ネジ部9が刻設されており、ナット半体8a1の他方の側面にボルト孔8dが、ナット半体8a2の他方の側面に雌ネジ孔8gが形成され、締め込みボルト8hがここに装着されている。
【0034】
緩衝材8bはリング状に形成されていて、前述同様、合成ゴムや、低反発ゴム等が使用され、切れ目が設けられており、切れ目部分に係合突起8b1、8b2が形成されている。
【0035】
この場合は、既設の吊りボルト7に装着するため、フレーム半体1a、1bを開き、天井部10から吊り下がっている吊りボルト7を、その前後からフレーム半体1a、1bにて挟み込み、丸孔3a及び通孔6に吊りボルト7を挿通すると共にフレーム固着部5の雌ネジ5fを吊りボルト7に噛に込ませる。前述のように、丸孔3aに雌ネジが刻設されておれば、丸孔3aが、閉じたフレーム1が吊りボルト7に係合して落下しない。そしてこの状態で、締結ボルト1eを耳部1c、1dに螺装してフレーム1を仮留めする。
【0036】
この状態で、緩衝材8bを係合突起8b1、8b2を外して緩衝材8bを開き、吊りボルト7に外嵌しれから、再度、係合突起8b1、8b2を嵌め合わせる。
【0037】
続いて、脱落防止部8を開き、仮留めしたフレーム1内で吊りボルト7に嵌め込む。脱落防止部8は緩衝材8bの直上に配置され、締め込みボルト8hでそれぞれ仮固定され、吊りボルト7に噛合させる。
【0038】
この状態でフレーム1を螺進させて天井部10の下面に接触させ、締結ボルト1eを締め込んでフレーム1を固定一体化する。そして、脱落防止部8を緩衝材8bに軽く接触するまで螺進させる。最後に、締め込みボルト8hを締め込んで脱落防止部8を固定一体化する。このように既設の吊りボルト7に落下防止具Aを装着するが、この状態で、地震が発生すると、実施例1で述べたと同じ状態で吊支装置12の落下が防止される。なお、取り付け手順は一例であり、上記の手順に限定されることはなく、この点も他の実施例においても同様である。
【0039】
図7はフレーム固着部5が2分割の別体で、雌ネジ部半体5a、5bとで構成されており、その一方の側面に丁番部5tが形成され、雌ネジ部半体5a、5bが軸5eにて開閉可能となっている。分割面には雌ネジ5fが刻設されており、雌ネジ部半体5aの他方の側面にボルト孔5dが、雌ネジ部半体5bの他方の側面に雌ネジ孔5gが形成され、締め込みボルト5hがここに装着されている。
【0040】
本実施例では、脱落防止部8の脱落防止ナット8aは、
図6と同一形状のものが採用されており、その説明を援用する。緩衝材8bも
図6と同一形状のものが採用されており、その説明を援用する。
【0041】
しかして、フレーム半体1a、1bを開き、天井部10から吊り下がっている吊りボルト7を、その前後からフレーム半体1a、1bにて挟み込み、丸孔3a及び通孔6に吊りボルト7を挿通する。丸孔3aに雌ネジが刻設されておれば、丸孔3aが吊りボルト7に噛に込み、閉じたフレーム1が吊りボルト7に係合して落下しない。そしてこの状態で、締結ボルト1eを耳部1c、1dに螺装してフレーム1を仮留めする。この状態で、緩衝材8bを前記同様にして吊りボルト7に外嵌する。
【0042】
続いて、フレーム固着部5及び脱落防止部8を開き、仮留めしたフレーム1内で吊りボルト7に嵌め込む。フレーム固着部5は上水平片3の直下で、脱落防止部8は緩衝材8bの直上に配置され、締め込みボルト5h、8hでそれぞれ仮固定され、吊りボルト7に噛合する。
【0043】
この状態でフレーム1を天井部10の下面に接触させ、続いてフレーム固着部5を天井部10方向に螺進させてフレーム1を天井部10の下面に押圧する。そして、脱落防止部8を緩衝材8bに軽く接触するまで螺進させる。最後に、締結ボルト1e、締め込みボルト5h、8hを締め込んでフレーム1、フレーム固着部5及び脱落防止部8を固定一体化する。地震発生時は前述の作用で吊支装置12の落下が防止される。
【符号の説明】
【0044】
A…落下防止具,1…フレーム,1a、1b…フレーム半体, 1c、1d…耳部,1c1…ボルト孔,1d1…ねじ孔,1e…締結ボルト,1f…丁番部,2…垂直片,3…上水平片,3a…丸孔,4…下水平片,5…フレーム固着部,5a、5b…雌ネジ部半体,5d…ボルト孔,5e…軸,5f…雌ネジ,5g…雌ネジ孔,5h…締め込みボルト,5t…丁番部,6…通孔,7…吊りボルト,7a…捻じ込み基部,7b…螺入部分,8…脱落防止部,8a…脱落防止用ナット,8a1、8a2…防止部半体,8b…緩衝材,8b1、8b2…係合突起,8c…ワッシャ,8d…ボルト孔,8g…雌ネジ孔,8h…締め込みボルト,8t…丁番部,9…雌ネジ部,10…天井部,11…アンカーナット,12…吊支装置,13…吊下部材,14…吊り金具。