(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略筒状に巻回される駆動用コイルと、前記駆動用コイルの内周側に配置される駆動用磁石部と、前記駆動用コイルを保持するコイル保持体と、前記駆動用磁石部を保持する磁石保持体と、樹脂材料で形成された略筒状のスペーサとを備え、
前記コイル保持体は、前記磁石保持体に対して直線的に相対移動可能となっており、
前記磁石保持体に対する前記コイル保持体の相対移動方向を第1方向とすると、
前記コイル保持体は、その内周側が前記第1方向に貫通する略筒状の筒部を備え、
前記駆動用磁石部は、前記第1方向で重なるように配置され前記第1方向におけるその対向面が同じ磁極に着磁される2個の駆動用磁石片を備えるとともに、前記筒部の内周側に配置され、
前記駆動用コイルは、前記駆動用磁石部の外周側の全周を囲むように前記筒部の外周側に巻回され、
前記磁石保持体は、前記第1方向において前記駆動用コイルおよび前記駆動用磁石部よりも外側に配置され前記第1方向における前記磁石保持体の両端面を構成する2個の端面部と、前記駆動用コイルの外周側を囲むように配置され前記第1方向に直交する前記筒部の径方向における前記磁石保持体の外周面を構成する側面部とを備え、
2個の前記端面部の一方には、前記第1方向に貫通する開口部が形成され、
前記コイル保持体は、さらに、その一部が前記開口部に配置されるとともに2個の前記端面部の一方から前記第1方向の外側へ突出する突出部を備え、
前記突出部は、前記筒部の径方向において、略筒状に形成される前記筒部に架け渡されるように形成され、
前記突出部の、前記端面部からの突出側には、前記第1方向に直交する平面状の平面部が形成され、
前記スペーサは、前記筒部の径方向における前記駆動用コイルと前記側面部との間に配置されるとともに前記磁石保持体に固定され、
前記コイル保持体には、前記駆動用コイルの巻崩れを防止するための鍔部が、前記第1方向における前記駆動用コイルの外側に、かつ、前記駆動用コイルよりも前記筒部の径方向の外側に広がるように形成され、
前記筒部の径方向における前記鍔部の外周端と前記スペーサの内周面との隙間は、前記筒部の径方向における前記駆動用磁石部の外周面と前記筒部の内周面との隙間より狭くなっていることを特徴とするアクチュエータ。
前記突出部には、前記平面部から前記第1方向の外側へ突出する係合フック部、または、前記平面部から前記第1方向の外側へ突出するオネジ部、または、前記平面部から前記第1方向の内側へ窪むメネジ部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
前記突出部材には、前記第2平面部から前記第1方向の外側へ突出する係合フック部、または、前記第2平面部から前記第1方向の外側へ突出するオネジ部、または、前記第2平面部から前記第1方向の内側へ窪むメネジ部が形成されていることを特徴とする請求項3記載のアクチュエータ。
前記駆動用磁石部は、軟磁性材料で形成され2個の前記駆動用磁石片と接触するように前記第1方向における2個の前記駆動用磁石片の間に配置される磁性片と、前記第1方向において2個の前記駆動用磁石片および前記磁性片を貫通する貫通孔に挿入されて固定される軸とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のアクチュエータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯電話等の携帯機器の小型化に伴って、市場では小型のアクチュエータが要求されている。アクチュエータが小型化すると、アクチュエータが動作させる動作対象物の、アクチュエータに対する相対的な大きさが大きくなる。特許文献1に記載のアクチュエータは、アクチュエータに対する相対的な大きさが非常に小さい磁気ヘッドを動作対象物としているため、このアクチュエータでは、動作対象物である磁気ヘッドを安定した状態で保持することが可能である。しかしながら、特許文献1に記載のアクチュエータでは、アクチュエータに対する相対的な大きさが比較的大きな動作対象物を安定した状態で保持することは困難である。
【0005】
また、アクチュエータの使い勝手によっては、特許文献1に記載のアクチュエータにおいて、駆動用コイルが巻回されるコイルボビン側(すなわち、駆動用コイル側)をアクチュエータが搭載される上位装置に取り付けて、永久磁石が固定されるヨーク側(すなわち、永久磁石側)を動かしたい場合もある。特許文献1に記載のアクチュエータでは、板バネのボビン固定部の一部はヨークの外周側に突出しているが、コイルボビンはヨークの内側に収容されているため、駆動用コイル側(コイルボビン側)を安定した状態で上位装置に取り付けることは困難である。
【0006】
そこで、本発明の課題は、アクチュエータに対する相対的な大きさが比較的大きな動作対象物を安定した状態で保持することが可能となるアクチュエータを提供することにある。また、本発明の課題は、アクチュエータが搭載される上位装置に駆動用コイル側を安定した状態で取り付けることが可能となるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のアクチュエータは、略筒状に巻回される駆動用コイルと、駆動用コイルの内周側に配置される駆動用磁石部と、駆動用コイルを保持するコイル保持体と、駆動用磁石部を保持する磁石保持体と
、樹脂材料で形成された略筒状のスペーサとを備え、コイル保持体は、磁石保持体に対して直線的に相対移動可能となっており、磁石保持体に対するコイル保持体の相対移動方向を第1方向とすると、コイル保持体は、その内周側が第1方向に貫通する略筒状の筒部を備え、駆動用磁石部は、第1方向で重なるように配置され第1方向におけるその対向面が同じ磁極に着磁される2個の駆動用磁石片を備えるとともに、筒部の内周側に配置され、駆動用コイルは、駆動用磁石部の外周側の全周を囲むように筒部の外周側に巻回され、磁石保持体は、第1方向において駆動用コイルおよび駆動用磁石部よりも外側に配置され第1方向における磁石保持体の両端面を構成する2個の端面部と、駆動用コイルの外周側を囲むように配置され第1方向に直交する筒部の径方向における磁石保持体の外周面を構成する側面部とを備え、2個の端面部の一方には、第1方向に貫通する開口部が形成され、コイル保持体は、さらに、その一部が開口部に配置されるとともに2個の端面部の一方から第1方向の外側へ突出する突出部を備え、突出部は、筒部の径方向において、略筒状に形成される筒部に架け渡されるように形成され、突出部の、端面部からの突出側には、第1方向に直交する平面状の平面部が形成され
、スペーサは、筒部の径方向における駆動用コイルと側面部との間に配置されるとともに磁石保持体に固定され、コイル保持体には、駆動用コイルの巻崩れを防止するための鍔部が、第1方向における駆動用コイルの外側に、かつ、駆動用コイルよりも筒部の径方向の外側に広がるように形成され、筒部の径方向における鍔部の外周端とスペーサの内周面との隙間は、筒部の径方向における駆動用磁石部の外周面と筒部の内周面との隙間より狭くなっていることを特徴とする。
【0008】
本発明のアクチュエータでは、駆動用磁石部を保持する磁石保持体は、第1方向において駆動用コイルおよび駆動用磁石部よりも外側に配置され第1方向における磁石保持体の両端面を構成する2個の端面部を備え、駆動用コイルを保持するコイル保持体は、2個の端面部の一方に形成される開口部にその一部が配置されるとともに2個の端面部の一方から第1方向の外側へ突出する突出部を備えている。また、本発明では、突出部は、筒部の径方向において、略筒状に形成される筒部に架け渡されるように形成され、突出部の、端面部からの突出側には、第1方向に直交する平面部が形成されている。本発明では、筒部の径方向において、略筒状に形成される筒部に架け渡されるように突出部が形成されているため、コイル保持体の大きさに対する突出部の相対的な大きさを大きくすることが可能になり、その結果、突出部に形成される平面部の相対的な大きさを大きくすることが可能になる。
【0009】
したがって、本発明では、コイル保持体側に動作対象物が取り付けられる場合には、大きく形成される平面部を利用して、アクチュエータに対する相対的な大きさが比較的大きな動作対象物をコイル保持体に安定した状態で取り付けることが可能になる。すなわち、本発明のアクチュエータでは、アクチュエータに対する相対的な大きさが比較的大きな動作対象物を安定した状態で保持することが可能になる。また、本発明では、アクチュエータが搭載される上位装置にコイル保持体側(すなわち、駆動用コイル側)が取り付けられる場合には、大きく形成される平面部を利用して、上位装置に駆動用コイル側を安定した状態で取り付けることが可能になる。
【0010】
また、本発明では、筒部の径方向において、略筒状に形成される筒部に架け渡されるように突出部が形成され、この突出部に平面部が形成されているため、コイル保持体側に動作対象物が取り付けられる場合には、第1方向から見たときのコイル保持体の重心位置と動作対象物の重心位置とを近づけることが可能になる。したがって、本発明では、コイル保持体側に動作対象物が取り付けられる場合に、磁石保持体に対するコイル保持体の傾きを抑制することが可能になる。また、本発明では、筒部の径方向において、略筒状に形成される筒部に架け渡されるように突出部が形成され、この突出部に平面部が形成されているため、上位装置にコイル保持体側が取り付けられる場合には、第1方向から見たときのコイル保持体の重心位置と磁石保持体の重心位置とを近づけることが可能になる。したがって、本発明では、上位装置にコイル保持体側が取り付けられる場合に、コイル保持体に対する磁石保持体の傾きを抑制することが可能になる。
また、本発明では、アクチュエータは、樹脂材料で形成され、筒部の径方向における駆動用コイルと側面部との間に配置されるとともに磁石保持体に固定される略筒状のスペーサを備え、コイル保持体には、駆動用コイルの巻崩れを防止するための鍔部が、第1方向における駆動用コイルの外側に、かつ、駆動用コイルよりも筒部の径方向の外側に広がるように形成され、筒部の径方向における鍔部の外周端とスペーサの内周面との隙間は、筒部の径方向における駆動用磁石部の外周面と筒部の内周面との隙間より狭くなっている。そのため、たとえば、第1方向と水平方向とが一致するようにアクチュエータが使用される場合であっても、駆動用磁石部とコイル保持体との接触を防止することが可能になる。したがって、駆動用磁石部の損傷を防止することが可能になる。また、コイル保持体を樹脂材料で形成すれば、たとえば、第1方向と水平方向とが一致するようにアクチュエータが使用される場合であっても、コイル保持体の鍔部にスペーサを接触させた状態で、コイル保持体および磁石保持体の一方をコイル保持体および磁石保持体の他方に対して円滑に移動させることが可能になる。
【0011】
本発明において、突出部には、平面部から第1方向の外側へ突出する係合フック部、または、平面部から第1方向の外側へ突出するオネジ部、または、平面部から第1方向の内側へ窪むメネジ部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、コイル保持体側に動作対象物が取り付けられる場合には、係合フック部またはオネジ部またはメネジ部を利用して、コイル保持体に動作対象物をより安定した状態で取り付けることが可能になる。また、このように構成すると、上位装置にコイル保持体側が取り付けられる場合には、係合フック部またはオネジ部またはメネジ部を利用して、上位装置に駆動用コイル側をより安定した状態で取り付けることが可能になる。
【0012】
本発明において、アクチュエータは、第1方向から見たときに突出部よりも大きく形成され平面部に固定される突出部材を備え、突出部材の、端面部からの突出側には、第1方向に直交する平面状の第2平面部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、突出部材に形成される第2平面部の大きさを突出部の平面部の大きさよりも大きくすることが可能になる。したがって、コイル保持体側に動作対象物が取り付けられる場合には、より大きく形成される第2平面部を利用して、アクチュエータに対する相対的な大きさが比較的大きな動作対象物をより安定した状態でコイル保持体に取り付けることが可能になる。また、上位装置にコイル保持体側(すなわち、駆動用コイル側)が取り付けられる場合には、より大きく形成される第2平面部を利用して、上位装置に駆動用コイル側をより安定した状態で取り付けることが可能になる。
【0013】
本発明において、突出部材には、第2平面部から第1方向の外側へ突出する係合フック部、または、第2平面部から第1方向の外側へ突出するオネジ部、または、第2平面部から第1方向の内側へ窪むメネジ部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、コイル保持体側に動作対象物が取り付けられる場合には、係合フック部またはオネジ部またはメネジ部を利用して、コイル保持体に動作対象物をより安定した状態で取り付けることが可能になる。また、このように構成すると、上位装置にコイル保持体側(すなわち、駆動用コイル側)が取り付けられる場合には、係合フック部またはオネジ部またはメネジ部を利用して、上位装置に駆動用コイル側をより安定した状態で取り付けることが可能になる。
【0014】
本発明において、アクチュエータは、コイル保持体と磁石保持体とを繋ぐ板バネを備え、板バネは、コイル保持体に固定されるコイル側固定部と、磁石保持体に固定される磁石側固定部と、コイル側固定部と磁石側固定部とを繋ぐ腕部とを備え、磁石保持体は、2個の端面部の一方を構成するとともに側面部の一部を構成する第1ケースと、2個の端面部の他方を構成するとともに側面部の一部を構成する第2ケースとが第1方向で組み合わされることで構成され、磁石側固定部は、第1ケースと第2ケースとに挟まれた状態で第1ケースと第2ケースとの間に固定されていることが好ましい。このように構成すると、駆動用コイルに電流が供給されていないときに、コイル保持体および磁石保持体の一方を、コイル保持体および磁石保持体の他方に対して所定の位置で停止させておくことが可能になる。また、このように構成すると、磁石保持体の側面部を構成する第1ケースと第2ケースとの間に磁石側固定部が固定されるため、コイル側固定部と磁石側固定部との間の距離を広くして、腕部の長さを長くすることが可能になる。したがって、磁石保持体に対するコイル保持体の相対移動可能距離を長くすることが可能になる。
【0015】
本発明において、駆動用磁石部は、軟磁性材料で形成され2個の駆動用磁石片と接触するように第1方向における2個の駆動用磁石片の間に配置される磁性片と、第1方向において2個の駆動用磁石片および磁性片を貫通する貫通孔に挿入されて固定される軸とを備えることが好ましい。このように構成すると、駆動用磁石部の外周側に配置される駆動用コイルを通過する磁束の密度を、磁性片によって効果的に高めることが可能になる。また、本発明では、2個の駆動用磁石片の対向面が同じ磁極に着磁されているため、2個の駆動用磁石片の間に磁気的な反発力が生じるが、このように構成すると、互いに反発し合う2個の駆動用磁石片の間から磁性片が飛び出すのを軸によって防止することが可能になる。
【0016】
本発明において、2個の端面部の他方には、軸の一端側が挿入される軸挿入孔が形成され、軸の一端側は、軸挿入孔に固定されていることが好ましい。このように構成すると、磁石保持体に対する駆動用磁石部の、筒部の径方向におけるずれを防止することが可能になる。
【0018】
本発明において、突出部には、駆動用コイルの両端部のそれぞれが巻回される2本の端子ピンが形成されていることが好ましい。このように構成すると、駆動用コイルの両端部の処理が容易になる。また、このように構成すると、2個の端面部の一方から第1方向の外側へ突出する突出部に端子ピンが形成されているため、アクチュエータを上位装置へ取り付ける際の、上位装置への端子ピンの固定作業が容易になる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明のアクチュエータでは、コイル保持体側に動作対象物が取り付けられる場合に、アクチュエータに対する相対的な大きさが比較的大きな動作対象物を安定した状態で保持することが可能になる。また、本発明のアクチュエータでは、上位装置に駆動用コイル側が取り付けられる場合に、上位装置に駆動用コイル側を安定した状態で取り付けることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(アクチュエータの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるアクチュエータ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すアクチュエータ1を反対側から示す斜視図である。
図3は、
図1のE−E断面の断面図である。
図4は、
図1に示すアクチュエータ1の分解斜視図である。
図5は、
図4に示すコイル保持体4を反対側から示す斜視図である。
【0023】
本形態のアクチュエータ1は、所定の動作対象物(図示省略)を所定方向へ直線的に移動させるためのものである。また、アクチュエータ1は、所定の上位装置(図示省略)に搭載されて使用される。このアクチュエータ1は、全体として、扁平な略円柱状に形成されている。また、アクチュエータ1は、小型のものであり、たとえば、アクチュエータ1の外径は、10mm〜30mm程度であり、アクチュエータ1の厚さは、5mm〜10mm程度である。
【0024】
アクチュエータ1は、駆動用コイル2と、駆動用磁石部3と、駆動用コイル2を保持するコイル保持体4と、駆動用磁石部3を保持する磁石保持体5と、コイル保持体4と磁石保持体5とを繋ぐ板バネ6とを備えている。コイル保持体4は、磁石保持体5に対して直線的に相対移動可能となっている。すなわち、コイル保持体4と磁石保持体5とは、板バネ6を介して相対移動可能に繋がれている。本形態では、駆動用コイル2および駆動用磁石部3等によって、磁石保持体5に対してコイル保持体4を相対移動させる駆動機構が構成されている。
【0025】
以下の説明では、
図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を「左右方向」、Y方向を「前後方向」、Z方向を「上下方向」とする。また、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。本形態では、コイル保持体4は、磁石保持体5に対して上下方向(Z方向)へ相対移動可能となっている。すなわち、本形態では、上下方向は、磁石保持体5に対するコイル保持体4の相対移動方向である第1方向となっている。また、上下方向に直交する方向は、扁平な略円柱状に形成されるアクチュエータ1の径方向と一致している。
【0026】
コイル保持体4は、樹脂材料で形成されている。このコイル保持体4は、その内周側が上下方向に貫通する略筒状の筒部4aと、筒部4aの下端面から下方向へ突出する突出部4bとを備えている。本形態の筒部4aは、扁平な略円筒状に形成されている。略円筒状に形成される筒部4aの径方向とアクチュエータ1の径方向(すなわち、上下方向に直交する方向)とは一致している。以下の説明では、この方向を「径方向」とする。
【0027】
筒部4aの外周側には、駆動用コイル2が巻回されている。駆動用コイル2は、筒部4aの外周面に沿って巻回されており、略円筒状に巻回されている。筒部4aの上端には、径方向の外側へ広がる鍔部4cが形成され、筒部4aの下端には、径方向の外側へ広がる鍔部4dが形成されている。すなわち、上下方向における駆動用コイル2の両外側には、鍔部4c、4dが形成されている。鍔部4c、4dは、駆動用コイル2の巻崩れを防止する機能を果たしている。
【0028】
鍔部4cは、円環状に形成されている。鍔部4dは、その左端側に切欠き4eを有する略円環状に形成されている。鍔部4cの外径と鍔部4dの外径とは等しくなっている。また、鍔部4c、4dは、駆動用コイル2よりも径方向の外側へ広がるように形成されている。具体的には、鍔部4c、4dの外径は、
図3に示すように、駆動用コイル2の外径よりもわずかに大きくなっている。板バネ6を構成する後述のコイル側固定部6aが取り付けられる前の鍔部4dの下面には、コイル側固定部6aを溶着固定するための3個の突起部4fが形成されている(
図5参照)。突起部4fは、鍔部4dの下面から下側へ突出するように形成されている。3個の突起部4fは、鍔部4dの周方向において略等間隔で形成されている。
【0029】
突出部4bは、径方向において、略筒状に形成される筒部4aに架け渡されるように形成されている。具体的には、
図5に示すように、略筒状に形成される筒部4aに左右方向で架け渡されるように形成されている。この突出部4bは、鍔部4dの下面から下方向へ突出する4本の柱部4gと、4本の柱部4gの下端が繋がる連結部4hとを備えている。
【0030】
4本の柱部4gのうちの2本の柱部4gは、鍔部4dの右端側に配置されている。この2本の柱部4gは、鍔部4dの周方向において、所定の間隔をあけた状態で配置されている。鍔部4dの周方向において、この2本の柱部4gの間には、3個の突起部4fのうちの1個の突起部4fが形成されている。4本の柱部4gのうちの残りの2本の柱部4gは、鍔部4dの左端側に配置されている。この2本の柱部4gは、鍔部4dの周方向において、所定の間隔をあけた状態で配置されている。鍔部4dの周方向において、この2本の柱部4gの間には、切欠き4eが形成されている。
【0031】
このように、4本の柱部4gは、後述のように筒部4aの内周側に配置される駆動用磁石部3が、上下方向から見たときに、鍔部4dの右端側に配置される2本の柱部4gと鍔部4dの左端側に配置される2本の柱部4gとによって挟まれるように形成されている。また、4本の柱部4gは、鍔部4dの下面の、径方向における内側部分に形成されている。上下方向から見たときに、径方向における柱部4gの外側面は、鍔部4dの外周端よりも内側に配置されている。また、上下方向から見たときに、径方向における柱部4gの内側面は、筒部4aの内周面と一致している。
【0032】
連結部4hは、上下方向に直交する平板状に形成されている。また、連結部4hは、略長方形状に形成されている。連結部4hの前後の両端面は、前後方向に直交している。連結部4hの左右の両端側には、左右方向の内側へ窪む略半円弧状の切欠き4jが形成されている。切欠き4jは、前後方向の中心位置に形成されている。切欠き4jの前後の両側部分に柱部4gの下端が繋がっている。上下方向から見たときに、連結部4hの左右の両端面の、切欠き4jの前後の両側部分は、径方向における柱部4gの外側面と一致している。連結部4hの下面(すなわち、突出部4bの下面)は、上下方向に直交する平面状の平面部4kとなっている。
【0033】
突出部4bの左端側には、駆動用コイル2の両端部のそれぞれが巻回される2本の端子ピン4pが形成されている。端子ピン4pは、平面部4kから下側へ突出するように形成されている。また、2本の端子ピン4pは、左側に配置される切欠き4jの前後方向の両側に形成されている。筒部4aに巻回される駆動用コイル2の両端側は、切欠き4eを利用して、端子ピン4pまで引き回されている。端子ピン4pには、フレキシブルプリント基板10が接続されている。
【0034】
磁石保持体5は、磁石保持体5の上端面を構成する端面部5aと、磁石保持体5の下端面を構成する端面部5bと、径方向における磁石保持体5の外周面を構成する側面部5cとから構成されている。本形態では、端面部5a、5bは略円板状に形成され、側面部5cは略円筒状に形成されており、磁石保持体5は、上端面および下端面を有する略有底円筒状に形成されている。端面部5a、5bは、アクチュエータ1の上下の両端面を構成し、側面部5cは、径方向におけるアクチュエータ1の外周面を構成している。磁石保持体5は、突出部4bの下端側の一部を除くコイル保持体4の全体と駆動用コイル2および駆動用磁石部3を覆っている。すなわち、端面部5a、5bは、上下方向において駆動用コイル2および駆動用磁石部3よりも外側に配置され、側面部5cは、駆動用コイル2および駆動用磁石部3の外周側を囲むように配置されている。
【0035】
また、磁石保持体5は、端面部5aを構成するとともに側面部5cの一部を構成する第2ケースとしてのケース11と、端面部5bを構成するとともに側面部5cの一部を構成する第1ケースとしてのケース12とによって構成されている。ケース11、12は、軟磁性材料で形成されている。また、ケース11、12は、略有底円筒状に形成されており、ケース11とケース12とが上下方向で組み合わされることで、磁石保持体5が構成されている。
【0036】
ケース11は、端面部5aを構成する端面部11aと、側面部5cの上端側部分を構成する側面部11bとから構成されている。端面部11aは略円板状に形成され、側面部11bは略円筒状に形成されている。端面部11aには、駆動用磁石部3を構成する後述の軸18の上端側が挿入される軸挿入孔11cが形成されている。軸挿入孔11cは、端面部11aの中心に形成されている。また、軸挿入孔11cは、上下方向で端面部11aを貫通する丸孔状に形成されている。
【0037】
ケース11の内周側には、樹脂材料で形成されるスペーサ13が固定されている。スペーサ13は、略筒状に形成されている。具体的には、スペーサ13は、略円筒状に形成されている。スペーサ13の外径は、側面部11bの内径と略等しくなっている。スペーサ13の内径は、コイル保持体4の鍔部4c、4dの外径よりも大きくなっている。スペーサ13は、その上端面と端面部11aの下面とが当接した状態でケース11の内周側に配置されている。
【0038】
ケース12は、端面部5bを構成する端面部12aと、側面部5cの下端側部分を構成する側面部12bとから構成されている。端面部12aは略円板状に形成され、側面部12bは略円筒状に形成されている。端面部12aの外径は、端面部11aの外径と等しくなっている。側面部12bの内径および外径のそれぞれは、側面部11bの内径および外径のそれぞれと等しくなっている。端面部12aには、開口部12cが形成されている。開口部12cは、上下方向で端面部12aを貫通するように形成されている。また、開口部12cは、端面部12aの右端側から左端側まで形成されている。開口部12cの前後の縁は、前後方向と直交している。開口部12cの左右の縁は、略円弧状に形成されている。
【0039】
開口部12cには、突出部4bの一部が配置されている。具体的には、柱部4gの下端側部分および連結部4hの上端側部分が配置されており、連結部4hの下端側部分は、端面部12aの下面よりも下側へ突出している。すなわち、突出部4bは、開口部12cに挿通されており、突出部4bの下端側の一部は、端面部12aよりも下側へ突出している。上述のように、連結部4hの下面は、上下方向に直交する平面状の平面部4kとなっている。すなわち、突出部4bの突出側となる突出部4bの下側には、平面部4kが形成されている。
【0040】
また、端面部12aには、板バネ6を構成する後述のコイル側固定部6aとコイル保持体4の鍔部4dとの溶着部分と、端面部12aとの干渉を防止するための貫通孔12dが形成されている。開口部12cの右側の縁にも、コイル側固定部6aと鍔部4dとの溶着部分と、端面部12aとの干渉を防止するための切欠き12eが形成されている。
【0041】
上述のように、ケース11とケース12とが上下方向で組み合わされることで、磁石保持体5が構成されている。すなわち、ケース11の側面部11bの下端側と、ケース12の側面部12bの上端側とが互いに固定されることで、磁石保持体5が構成されている。本形態では、板バネ6を構成する後述の磁石側固定部6bを側面部11bの下端と側面部12bの上端との間に挟んだ状態で、側面部11bの下端側と側面部12bの上端側とが溶接されて固定されることで、磁石保持体5が構成されている。
【0042】
駆動用磁石部3は、扁平な円柱状に形成されており、コイル保持体4の筒部4aの内周側に配置されている。すなわち、駆動用磁石部3は、駆動用コイル2の内周側に配置されており、駆動用コイル2は、駆動用磁石部3の外周側の全周を囲むように配置されている。この駆動用磁石部3は、上下方向で重なるように配置される2個の駆動用磁石片16と、軟磁性材料で形成される磁性片17と、駆動用磁石部3の中心部分を構成する軸18とを備えている。
【0043】
駆動用磁石片16および磁性片17は、平板状に形成されている。また、駆動用磁石片16および磁性片17は、円環状に形成されている。すなわち、駆動用磁石片16および磁性片17の中心には、上下方向に貫通する貫通孔16a、17aが形成されている。貫通孔16aの内径と貫通孔17aの内径とは等しくなっている。また、駆動用磁石片16の外径と磁性片17の外径とは等しくなっている。
【0044】
磁性片17は、上下方向において、2個の駆動用磁石片16の間に配置されている。また、上側に配置される駆動用磁石片16の下面と磁性片17の上面とが接触した状態で、上側に配置される駆動用磁石片16と磁性片17とが固定され、下側に配置される駆動用磁石片16の上面と磁性片17の下面とが接触した状態で、下側に配置される駆動用磁石片16と磁性片17とが固定されている。すなわち、磁性片17は、2個の駆動用磁石片16と接触した状態で2個の駆動用磁石片16に固定されている。
【0045】
駆動用磁石片16は、その上面の磁極とその下面の磁極とが異なる磁極となるように着磁されている。また、2個の駆動用磁石片16は、その対向面が同じ磁極となるように配置されている。すなわち、駆動用磁石片16同士の対向面は、同じ磁極に着磁されている。たとえば、上側に配置される駆動用磁石片16の下面および下側に配置される駆動用磁石片16の上面は、N極に着磁されている。そのため、上下方向における駆動用磁石部3の中心部分から、磁力線の向きが放射状に広がる磁界が発生している。
【0046】
軸18は、駆動用磁石片16および磁性片17の貫通孔16a、17aに挿入されて固定されている。軸18の上端側は、上側に配置される駆動用磁石片16の上端面よりも上側に突出している。この軸18の上端側は、ケース11の端面部11aに形成される軸挿入孔11cに挿入されて固定されている。たとえば、軸18の上端側は、軸挿入孔11cに圧入されて固定されている。
【0047】
駆動用磁石部3は、上下方向において、端面部5aと端面部5bとの間に配置されている。駆動用磁石部3の上端面は、端面部5aの下面(すなわち、ケース11の端面部11aの下面)と接触しており、端面部5aの下面に固定されている。一方、駆動用磁石部3の下端面と、端面部5bの下面(すなわち、ケース12の端面部12aの上面)との間には、わずかな隙間が形成されている。
【0048】
本形態では、駆動用コイル2の下端が、下側に配置される駆動用磁石片16の上端よりも上側へ移動することがなく、かつ、駆動用コイル2の上端が、上側に配置される駆動用磁石片16の下端よりも下側へ移動することがないように、駆動用磁石部3および駆動用コイル2が形成され、配置されている。上述のように、駆動用磁石片16同士の対向面が同じ磁極に着磁されているため、駆動用磁石部3から駆動用コイル2を通過する磁界が発生している。
【0049】
板バネ6は、コイル保持体4に固定されるコイル側固定部6aと、磁石保持体5に固定される磁石側固定部6bと、コイル側固定部6aと磁石側固定部6bとを繋ぐ複数の腕部6cとを備えている。本形態の板バネ6は、3本の腕部6cを備えている。コイル側固定部6aおよび磁石側固定部6bは、略円環状に形成されている。コイル側固定部6aは、磁石側固定部6bよりも径方向の内側に配置されている。腕部6cは、略円弧状に形成されており、径方向において、コイル側固定部6aと磁石側固定部6bとの間に配置されている。
【0050】
コイル側固定部6aは、鍔部4dの下面に固定されている。本形態では、3個の突起部4fを利用した溶着によって、コイル側固定部6aが鍔部4dの下面に固定されている。磁石側固定部6bは、ケース11の側面部11bの下端とケース12の側面部12bの上端との間に挟まれた状態で、側面部11bの下端と側面部12bの上端との間に固定されている。本形態では、駆動用コイル2に電流が供給されていないときに、コイル保持体4の上端面が磁石保持体5の端面部5aに当接するように(すなわち、磁石保持体5に対してコイル保持体4が上側へ付勢されるように)、腕部6cが撓んだ状態で、コイル側固定部6aおよび磁石側固定部6bが固定されている。
【0051】
上述のように、ケース11の内周側には、スペーサ13が固定されている。スペーサ13は、
図3に示すように、径方向において、コイル保持体4の筒部4aおよび駆動用コイル2と、ケース11の側面部11bとの間に配置されている。また、上述のように、駆動用磁石部3は、コイル保持体4の筒部4aの内周側に配置されている。本形態では、径方向における鍔部4c、4dの外周端とスペーサ13の内周面との隙間G1(
図3参照)は、径方向における駆動用磁石部3の外周面と筒部4aとの隙間G2(
図3参照)よりも狭くなっている。
【0052】
アクチュエータ1では、たとえば、コイル保持体4に動作対象物が取り付けられ、磁石保持体5が上位装置に取り付けられる。この場合には、突出部4bの平面部4kに動作対象物が取り付けられる。具体的には、接着によって平面部4kに動作対象物が固定される。あるいは、コイル保持体4が上位装置に取り付けられ、磁石保持体5に動作対象物が取り付けられる。この場合には、平面部4kが上位装置に取り付けられる。具体的には、接着によって平面部4kが上位装置に固定される。
【0053】
また、アクチュエータ1では、所定方向へ流れる電流が駆動用コイル2に供給されると、コイル保持体4が磁石保持体5に対して下方向へ相対移動し、逆方向へ流れる電流が駆動用コイル2に供給されると、コイル保持体4が磁石保持体5に対して上方向へ相対移動する。また、駆動用コイル2に電流が供給されていないときには、板バネ6の付勢力によって、コイル保持体4の上端面が磁石保持体5の端面部5aに当接した状態で、磁石保持体5に対してコイル保持体4が停止している。
【0054】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、コイル保持体4に、磁石保持体5の下端面を構成する端面部5bよりも下側へ突出する突出部4bが形成されている。また、本形態では、突出部4bは、略筒状に形成される筒部4aに左右方向で架け渡されるように形成されており、突出部4bの下面は、上下方向に直交する平面状の平面部4kとなっている。本形態では、突出部4bが、略筒状に形成される筒部4aに左右方向で架け渡されるように形成されているため、コイル保持体4の大きさに対する突出部4bの相対的な大きさを大きくすることが可能になり、その結果、平面部4kの相対的な大きさを大きくすることが可能になる。
【0055】
したがって、本形態では、コイル保持体4に動作対象物が取り付けられる場合であって、アクチュエータ1に対する相対的な大きさが比較的大きな動作対象物がコイル保持体4に取り付けられる場合であっても、大きく形成される平面部4kを利用して、大きな動作対象物をコイル保持体4に安定した状態で取り付けることが可能になる。すなわち、本形態のアクチュエータ1では、アクチュエータ1に対する相対的な大きさが比較的大きな動作対象物を安定した状態で保持することが可能になる。また、本形態では、上位装置にコイル保持体4が取り付けられる場合に、大きく形成される平面部4kを利用して、上位装置にコイル保持体4を安定した状態で取り付けることが可能になる。
【0056】
また、本形態では、左右方向で筒部4aに架け渡される突出部4bに平面部4kが形成されているため、コイル保持体4に動作対象物が取り付けられる場合に、上下方向から見たときのコイル保持体4の重心位置と動作対象物の重心位置とを近づけることが可能になる。したがって、本形態では、コイル保持体4に動作対象物が取り付けられる場合に、磁石保持体5に対するコイル保持体4の傾きを抑制することが可能になる。また、本形態では、左右方向で筒部4aに架け渡される突出部4bに平面部4kが形成されているため、上位装置にコイル保持体4が取り付けられる場合に、上下方向から見たときのコイル保持体4の重心位置と磁石保持体5の重心位置とを近づけることが可能になる。したがって、本形態では、上位装置にコイル保持体4が取り付けられる場合に、コイル保持体4に対する磁石保持体5の傾きを抑制することが可能になる。
【0057】
本形態では、コイル保持体4と磁石保持体5とが板バネ6によって繋がれている。そのため、本形態では、上述のように、駆動用コイル2に電流が供給されていないときに、板バネ6の付勢力によって、コイル保持体4の上端面を磁石保持体5の端面部5aに当接させた状態で、磁石保持体5に対してコイル保持体4を停止させておくことができる。また、本形態では、アクチュエータ1の外周面を構成するケース11の側面部11bとケース12の側面部12bとの間に板バネ6の磁石側固定部6bが固定されるため、コイル側固定部6aと磁石側固定部6bとの間の距離を広くして、腕部6cの長さを長くすることが可能になる。したがって、本形態では、磁石保持体5に対するコイル保持体4の相対移動可能距離を長くすることが可能になる。
【0058】
本形態では、磁性片17が、2個の駆動用磁石片16と接触した状態で2個の駆動用磁石片16に固定されている。そのため、本形態では、駆動用コイル2を通過する磁束の密度を効果的に高めることが可能になる。また、本形態の駆動用磁石部3では、2個の駆動用磁石片16同士の対向面が同じ磁極に着磁されているため、2個の駆動用磁石片16の間に磁気的反発力が生じるが、本形態では、駆動用磁石片16および磁性片17を貫通する貫通孔16a、17aに軸18が挿通されて固定されているため、互いに反発し合う2個の駆動用磁石片16の間からの磁性片17の飛出しを軸18によって防止することが可能になる。
【0059】
本形態では、磁石保持体5の上端面を構成する端面部5aに、軸18の一端側が挿入される軸挿入孔11cが形成され、この軸挿入孔11cに軸18の上端側が固定されている。そのため、本形態では、磁石保持体5に対する駆動用磁石部3の径方向のずれを防止することが可能になる。
【0060】
本形態では、
図3に示すように、径方向におけるコイル保持体4の鍔部4c、4dの外周端とスペーサ13の内周面との隙間G1が、径方向における駆動用磁石部3の外周面とコイル保持体4の筒部4aとの隙間G2よりも狭くなっている。そのため、本形態では、たとえば、Z方向と水平方向とが一致している状態でアクチュエータ1が使用されてコイル保持体4に重力が作用しても、駆動用磁石部3とコイル保持体4との接触を防止することが可能になる。したがって、駆動用磁石部3の損傷を防止することが可能になる。また、本形態では、コイル保持体4が樹脂材料で形成されているため、たとえば、Z方向と水平方向とが一致している状態でアクチュエータ1が使用されても、鍔部4c、4dにスペーサ13を接触させた状態で、コイル保持体4を磁石保持体5に対して円滑に相対移動させることが可能になる。
【0061】
本形態では、突出部4bに、駆動用コイル2の両端部のそれぞれが巻回される2本の端子ピン4pが形成されている。そのため、本形態では、駆動用コイル2の両端部の処理が容易になる。また、本形態では、磁石保持体5の端面部5bから下側へ突出する突出部4bに端子ピン4pが形成されているため、アクチュエータ1を上位装置へ取り付ける際の、上位装置への端子ピン4pの固定作業が容易になる。
【0062】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0063】
上述した形態において、
図6に示すように、突出部4bに、平面部4kから下側へ突出する2個の係合フック部4qが形成されても良い。
図6に示す例では、2個の係合フック部4qは、前後方向に所定の間隔をあけた状態で形成され、前後方向の内側へ弾性変形可能となっている。このように構成すると、コイル保持体4に動作対象物が取り付けられる場合には、係合フック部4qを利用して、コイル保持体4に動作対象物をより安定した状態で取り付けることが可能になる。また、このように構成すると、上位装置にコイル保持体4が取り付けられる場合には、係合フック部4qを利用して、上位装置にコイル保持体4をより安定した状態で取り付けることが可能になる。なお、
図6では、上述した形態と同じ構成に対しては同じ符号を付している。
【0064】
上述した形態において、
図7に示すように、上下方向から見たときに突出部4bよりも大きく形成される突出部材24が平面部4kに固定されても良い。
図7に示す例では、突出部材24は、上下方向に直交する略円板状に形成されている。突出部材24の左端側には、フレキシブルプリント基板10の一部および端子ピン4pが配置される切欠き24aが形成されている。また、突出部材24の外径は、磁石保持体5の外径よりも大きくなっている。突出部材24の下面は、上下方向に直交する平面状の第2平面部24bとなっている。
【0065】
この場合には、第2平面部24bの大きさが平面部4kの大きさよりも大きくなる。したがって、コイル保持体4に動作対象物が取り付けられる場合には、より大きな第2平面部24bを利用して、アクチュエータ1に対する相対的な大きさが比較的大きな動作対象物をより安定した状態でコイル保持体4に取り付けることが可能になる。また、上位装置にコイル保持体4が取り付けられる場合には、より大きな第2平面部24bを利用して、上位装置にコイル保持体4をより安定した状態で取り付けることが可能になる。なお、
図7では、上述した形態と同じ構成に対しては同じ符号を付している。
【0066】
図7に示す例において、
図8に示すように、突出部材24に、第2平面部24bから下側へ突出する2個の係合フック部24cが形成されても良い。
図8に示す例では、
図6に示す例と同様に、2個の係合フック部24cが、前後方向に所定の間隔をあけた状態で形成され、前後方向の内側へ弾性変形可能となっている。また、
図7に示す例において、
図9に示すように、突出部材24に、第2平面部24bから下側へ突出するオネジ部24dが形成されても良い。すなわち、外周面にネジが形成された突起であるオネジ部24dが突出部材24に形成されても良い。このオネジ部24dは、たとえば、突出部材24の中心に形成される。また、
図7に示す例において、突出部材24に、第2平面部24bから下側へ窪むメネジ部が形成されても良い。すなわち、内周面にネジが形成された丸孔状の凹部が突出部材24に形成されても良い。このメネジ部は、たとえば、突出部材24の中心に形成される。
【0067】
このように構成すると、コイル保持体4に動作対象物が取り付けられる場合に、係合フック部24c、オネジ部24dまたはメネジ部を利用して、動作対象物をコイル保持体4にさらに安定した状態で取り付けることが可能になる。また、上位装置にコイル保持体4が取り付けられる場合に、係合フック部24c、オネジ部24dまたはメネジ部を利用して、上位装置にコイル保持体4をさらに安定した状態で取り付けることが可能になる。なお、
図8、
図9では、上述した形態と同じ構成に対しては同じ符号を付している。
【0068】
さらに、上述した形態において、オネジ部24dと同様のオネジ部が平面部4kから突出するように突出部4bに形成されても良いし、突出部材24に形成されるメネジ部と同様のメネジ部が平面部4kから窪むように突出部4bに形成されても良い。このように構成すると、コイル保持体4に動作対象物が取り付けられる場合に、オネジ部またはメネジ部を利用して、動作対象物をより安定した状態でコイル保持体4に取り付けることが可能になる。また、上位装置にコイル保持体4が取り付けられる場合に、オネジ部またはメネジ部を利用して、上位装置にコイル保持体4をより安定した状態で取り付けることが可能になる。
【0069】
上述した形態では、駆動用磁石片16および磁性片17は、円環状に形成されており、その中心に形成される貫通孔16a、17aに軸18が挿入されて固定されている。この他にもたとえば、駆動用磁石片16および磁性片17は、円板状に形成されても良い。この場合には、駆動用磁石部3は、軸18を備えていなくても良い。
【0070】
上述した形態では、アクチュエータ1は、略円柱状に形成されている。この他にもたとえば、アクチュエータ1は、四角柱状等の多角柱状に形成されても良い。この場合には、たとえば、コイル保持体4は、アクチュエータ1の形状に応じた略多角筒状に形成され、駆動用磁石部3は、アクチュエータ1の形状に応じた多角板状に形成される。また、上述した形態では、2個の駆動用磁石片16の間に磁性片17が配置されているが、2個の駆動用磁石片16の間に磁性片17が配置されずに、2個の駆動用磁石片16の間に隙間が形成されても良いし、2個の駆動用磁石片16の対向面が当接していても良い。