(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蓄熱部は、前記基材の厚さ方向視において、副走査方向における一方である第1方向に前記発熱部からはみ出た部位と、前記第1方向とは反対の第2方向に前記発熱部からはみ出た部位と、を有する、請求項1または請求項2に記載のサーマルプリントヘッド。
前記電極層は、Au、Ag、Cu、Cr、Al−Si、および、Tiの少なくともいずれかよりなる、請求項1ないし請求項31のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0049】
<A1実施形態>
図1〜
図27を用いて、本発明のA1実施形態について説明する。
【0050】
図1は、本発明のA1実施形態のサーマルプリンタの部分断面図である。
【0051】
同図に示すサーマルプリンタA800は印刷媒体801に印刷を施す。印刷媒体801としては、たとえばバーコードシートやレシートを作成するための感熱紙が挙げられる。サーマルプリンタA800は、サーマルプリントヘッドA100と、プラテンローラ802と、を備える。
【0052】
サーマルプリントヘッドA100は、基材11と、配線基板12と、放熱板13と、蓄熱部2と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、中間層58と、保護層6と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83とを備える。
【0053】
放熱板13は、基材11からの熱を放散させるためのものである。放熱板13を構成する材料としては、たとえば、Al、AlN、Ag、あるいは、Cuが挙げられる。放熱板13は、基材11および配線基板12を支持している。
【0054】
図2は、本発明のA1実施形態のサーマルプリントヘッドの平面図である。なお、
図1は、
図2のI−I線に沿う断面図に相当する。
【0055】
基材11は板状を呈している。本実施形態においては、基材11は半導体材料よりなる。基材11を構成する半導体材料としては、たとえば、Si、SiC、GaP、GaAs、InP、およびGaNが挙げられる。本実施形態においては、基材11は半導体材料よりなるが、基材11は半導体材料からなっていなくてもよい。たとえば、基材11は、セラミックなどの絶縁材料よりなっていてもよい。基材11を構成する材料の熱伝導率は、100〜300W/(m・K)であることが好ましい。たとえば、基材11がSiよりな
る場合を想定すると、Siの熱伝導率は、140〜170W/(m・K)である。蓄熱部2(後述)を構成する材料の熱伝導率は、0.5〜5W/(m・K)である。たとえば、蓄熱部2がSiO
2よりなる場合を想定すると、SiO
2の熱伝導率は、1.1W/(m・K)である。蓄熱部2を構成する材料の熱伝導率と基材11を構成する材料の熱伝導率との比は、1:10〜600であることが好ましく、1:100〜200であることが更に好ましい。基材11の厚さは、たとえば0.625〜0.720mmである。
図2に示すように、基材11は、主走査方向Yに長く延びる平板状である。基材11の幅(基材11の副走査方向Xにおける寸法)は、たとえば、3〜20mmである。基材11の主走査方向Yにおける寸法は、たとえば、10〜300mmである。
【0056】
基材11は、基材表面111と基材裏面112とを有する。基材表面111は、副走査方向Xと主走査方向Yとに広がる平面状である。基材表面111は、主走査方向Yに沿って長手状に延びる。基材表面111は、基材11の厚さ方向Zの一方(以下、方向Zaと言う。
図1では上方)を向く。すなわち、基材表面111は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。基材裏面112は、副走査方向Xと主走査方向Yとに広がる平面状である。基材裏面112は、主走査方向Yに沿って長手状に延びる。基材裏面112は、基材11の厚さ方向Zの他方(以下、方向Zbと言う。
図1では下方)を向く。すなわち、基材裏面112は、抵抗体層4の位置する側とは反対側を向く面である。
【0057】
図3は、
図2に示したサーマルプリントヘッドの部分拡大平面図(一部構成省略)である。
図4は、
図3の領域IVの部分拡大平面図である。
図5は、
図4から、電極層および絶縁層を省略して示す平面図である。
図6は、
図3、
図4のVI−VI線に沿う部分拡大断面図である。
【0058】
図4〜
図6に示すように、基材11には凹部113aが形成されている。
図4、
図5では、凹部113aの形成されている領域を、ハッチングを付すことにより示している。凹部113aは、基材表面111から凹んでいる。本実施形態においては、凹部113aは、主走査方向Yに沿って延びる形状である。凹部113aの深さD11(厚さ方向Zにおける、基材表面111から凹部113aの底面に至るまでの寸法)は、10〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることが更に好ましい。
【0059】
図6に示すように、蓄熱部2は基材11に形成されている。本実施形態においては、蓄熱部2は、凹部113aに形成されている。蓄熱部2は、発熱部41(後述)にて発生した熱を蓄えるためのものである。蓄熱部2は、基材11を構成する材料の熱伝導率よりも小さい熱伝導率の材料よりなる。蓄熱部2は、たとえば、SiO
2よりなる。
図6に示すように、蓄熱部2は蓄熱部表面21を有する。蓄熱部表面21は方向Zaを向く。すなわち、蓄熱部表面21は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。本実施形態では、蓄熱部表面21は、基材表面111とほぼ面一となっている。
【0060】
蓄熱部表面21は、第1縁211および第2縁212を有する。第1縁211は、蓄熱部表面21のうち、副走査方向Xにおける一方である第1方向Xa側の端に位置している。一方、第2縁212は、副走査方向Xにおける他方である第2方向Xb側の端に位置している。第1縁211および第2縁212は、主走査方向Yに沿って延びている。
【0061】
図1、
図3、
図6に示す電極層3は基材11に形成されている。
図3における電極層3には、理解の便宜上、ハッチを付している。電極層3は抵抗体層4に積層されている。本実施形態においては、電極層3と蓄熱部2との間に、抵抗体層4が介在している。電極層3は、抵抗体層4に導通している。電極層3は、抵抗体層4に通電するための経路を構成している。電極層3を構成する材料としては、たとえば、Au、Ag、Cu、Cr、Al−Si、および、Tiが挙げられる。本実施形態とは異なり、電極層3は、蓄熱部2と抵抗体層4との間に介在していてもよい。
【0062】
図4、
図5に示すように、電極層3は、第1導電部31と第2導電部32とを含む。第1導電部31および第2導電部32は、互いに離間している。第1導電部31と第2導電部32の離間寸法は、たとえば、105μmである。
【0063】
本実施形態においては、
図3に示すように、電極層3は、複数の個別電極33(同図には6つ示す)と、一つの共通電極35と、複数の中継電極37(同図には6つ示す)とを含む。より具体的には、次のとおりである。以下に述べる電極層3のパターン形状は一例にすぎず、他のパターン形状であってもよい。
【0064】
複数の個別電極33は、互いに導通していない。そのため、各個別電極33には、サーマルプリントヘッドA100の組み込まれたプリンタが使用される際に、個別に、互いに異なる電位が付与されうる。各個別電極33は、個別電極帯状部331と、屈曲部333と、直行部334と、斜行部335と、ボンディング部336とを有する。
図4、
図5に示すように、各個別電極帯状部331は、電極層3における第1導電部31を構成しており、副走査方向Xに沿って延びる帯状である。各個別電極帯状部331は、抵抗体層4に積層されている。屈曲部333は、個別電極帯状部331につながり、主走査方向Yおよび副走査方向Xのいずれに対しても傾斜している。直行部334は、副走査方向Xに平行にまっすぐ延びている。斜行部335は、主走査方向Yおよび副走査方向Xのいずれに対しても傾斜した方向に延びている。ボンディング部336は、ワイヤ81がボンディングされる部分である。本実施形態においては、個別電極帯状部331、屈曲部333、直行部334、および斜行部335の幅が、たとえば47.5μm程度であり、ボンディング部336の幅がたとえば80μm程度である。
【0065】
共通電極35は、サーマルプリントヘッドA100の組み込まれたプリンタが使用される際に複数の個別電極33に対して電気的に逆極性となる部位である。共通電極35は、複数の共通電極帯状部351と、複数の分岐部353と、複数の直行部354と、複数の斜行部355と、複数の延出部356と、一つの基幹部357とを有する。各共通電極帯状部351は、副走査方向Xに延びる帯状である。
図4、
図5に示すように、各共通電極35において、複数の共通電極帯状部351は、電極層3における第1導電部31を構成しており、主走査方向Yに互いに離間し、且つ、互いに導通している。各共通電極帯状部351は、抵抗体層4に積層されている。各共通電極帯状部351は、個別電極帯状部331と主走査方向Yに離間している。本実施形態においては、互いに隣接した2つずつの共通電極帯状部351が、2つの個別電極帯状部331に挟まれている。複数の共通電極帯状部351、および複数の個別電極帯状部331は、主走査方向Yに沿って配列されている。分岐部353は、2つの共通電極帯状部351と1つの直行部354をつなぐ部分であり、Y字状である。直行部354は、副走査方向Xに平行にまっすぐ延びている。斜行部355は、主走査方向Yおよび副走査方向Xのいずれに対しても傾斜した方向に延びている。延出部356は、斜行部355につながり、副走査方向Xに沿って延びている。基幹部357は、主走査方向Yに延びる帯状であり、複数の延出部356がつながっている。本実施形態においては、共通電極帯状部351、直行部354、斜行部355、および延出部356の幅が、たとえば47.5μm程度である。
【0066】
複数の中継電極37はそれぞれ、複数の個別電極33のうちの一つと共通電極35との間に電気的に介在する。複数の中継電極37はそれぞれ、複数の発熱部41(後述)のうち主走査方向Yにおいて互いに隣接するいずれか2つの発熱部41を、連結している。各中継電極37は、2つの中継電極帯状部371と連結部373とを有する。
図4、
図5に示すように、各中継電極帯状部371は、電極層3における第2導電部32を構成しており、副走査方向Xに延びる帯状である。すなわち、電極層3における第2導電部32と第1導電部31とは、互いに離間しており、本実施形態においては、副走査方向Xに互いに離間している。複数の中継電極帯状部371は、主走査方向Yに互いに離間している。各中継電極帯状部371は、抵抗体層4に積層されている。複数の中継電極帯状部371は、抵抗体層4上において、複数の帯状部331,351とは副走査方向Xにおいて反対側に配置されている。各中継電極37における2つの中継電極帯状部371の一方は、複数の共通電極帯状部351のいずれか一つと、副走査方向Xに互いに離間している。各中継電極37における2つの中継電極帯状部371の他方は、複数の個別電極帯状部331のいずれか一つと、副走査方向Xに互いに離間している。複数の連結部373はそれぞれ、主走査方向Yに沿って延びている。各連結部373は、各中継電極37における2つの中継電極帯状部371につながる。これにより、各中継電極37における2つの中継電極帯状部371どうしが互いに導通している。
【0067】
なお、電極層3は、必ずしも中継電極37を含む必要はなく、たとえば、複数の個別電極と、これらの個別電極に隣接する共通電極と、を含むものであってもよい。
【0068】
図1、
図3〜
図6に示す抵抗体層4は基材11に形成されている。
図4、
図5に示すように、本実施形態においては、抵抗体層4は、複数の矩形状の部分を有する。抵抗体層4は、電極層3からの電流が流れた部分が発熱する。このように発熱することによって印刷ドットが形成される。抵抗体層4は、電極層3を構成する材料よりも抵抗率が高い材料よりなる。抵抗体層4を構成する材料としては、たとえば、ポリシリコン、TaSiO
2、および、TiONが挙げられる。本実施形態においては、抵抗体層4には、抵抗値の調整のため、イオン(たとえば、ホウ素)がドーピングされている。抵抗体層4の厚さは、たとえば、0.2μm〜1μmである。
【0069】
図4〜
図6に示すように、抵抗体層4は、第1端面416と、第2端面417とを有する。
【0070】
第1端面416は、第2導電部32(中継電極帯状部371)の位置する側とは反対側(すなわち、
図6の右方向)を向いている。第2端面417は、第1導電部31(個別電極帯状部331もしくは共通電極帯状部351)の位置する側とは反対側(すなわち、
図6の左方向)を向いている。
【0071】
抵抗体層4は、サーマルプリントヘッドA100の使用時に発熱する複数の発熱部41を含む。各発熱部41は、電極層3のうち互いに離間した2つの部位に跨る。本実施形態では、各発熱部41は、基材11の厚さ方向Z視において、第1導電部31および第2導電部32に跨っている。複数の発熱部41は、一方向(主走査方向Y)に沿って配列されている。
【0072】
図5、
図6に示すように、各発熱部41は、基材11の厚さ方向Z視において、凹部113aに重なる位置に位置している。本実施形態では、基材11の厚さ方向Z視において、副走査方向Xにおける一方である第1方向Xaに発熱部41からはみ出た部位を、蓄熱部2が有している。すなわち、
図6にて、発熱部41の左端よりも、蓄熱部2の左端の方が左側にある。そのため、基材11の厚さ方向Z視において、発熱部41よりも、第1方向Xa側に、基材表面111における第1縁211が位置している。同様に、基材11の厚さ方向Z視において、副走査方向Xにおける他方である第2方向Xbに発熱部41からはみ出た部位を、蓄熱部2が有している。すなわち、
図6にて、発熱部41の右端よりも、蓄熱部2の右端の方が右側にある。そのため、基材11の厚さ方向Z視において、発熱部41よりも、第2方向Xb側に、基材表面111における第2縁212が位置している。
【0073】
図6に示すように、各発熱部41は、第1当接部411および第2当接部412を含んでいる。第1当接部411は、電極層3における第1導電部31に当接している。第2当接部412は、電極層3における第2導電部32に当接している。
【0074】
図6に示すように、中間層58は、発熱部41および蓄熱部2の間に介在している。より具体的には、中間層58は、発熱部41および蓄熱部2に直接接している。本実施形態では、中間層58は、絶縁性材料よりなる。中間層58を構成する絶縁性材料としては、たとえば、SiO
2、および、ポリイミドが挙げられる。本実施形態とは異なり、中間層58が、導電性材料よりなっていてもよい。中間層58の厚さ(基材11の厚さ方向Zにおける寸法)は、たとえば、10〜100μmである。
【0075】
中間層58は、中間層表面581を有する。中間層表面581は、発熱部41の位置する側を向いている。中間層表面581は、平坦面582と、第1曲面583と、第2曲面584と、を有する。
【0076】
平坦面582は、基材11の厚さ方向Z視において発熱部41に重なっている。平坦面582の副走査方向Xにおける寸法は、発熱部41の副走査方向Xにおける寸法よりも大きいことが好ましい。第1曲面583は、平坦面582から連続している。第1曲面583は、平坦面582から遠ざかるにつれて、基材11に近づいている。本実施形態では、第1曲面583は、基材表面111に接している。基材11の厚さ方向Z視において、第1曲面583に重なる部位を、電極層3が有している。第2曲面584は、平坦面582から連続している。第2曲面584と第1曲面583との間に、平坦面582が位置している。第2曲面584は、平坦面582から遠ざかるにつれて、基材11に近づいている。本実施形態では、第2曲面584は、基材表面111に接している。基材11の厚さ方向Z視において、第2曲面584に重なる部位を、電極層3が有している。
【0077】
本実施形態とは異なり、サーマルプリントヘッドA100が中間層58を備えていなくてもよい。
【0078】
図6に示すように、絶縁層5は、電極層3と基材11との間に介在している。本実施形態では、絶縁層5は、基材表面111のうち、中間層58が形成された領域以外の領域を、覆っている。絶縁層5は、基材表面111に直接接している。絶縁層5は、抵抗体層4における第1端面416を覆う部分、および、抵抗体層4における第2端面417を覆う部分を有している。
【0079】
絶縁層5は、発熱部41および電極層3の間に介在している部分を有する。絶縁層5を構成する材料としては、たとえば、SiO
2、および、SiAlO
2が挙げられる。絶縁層5は、第1介在部51と、第2介在部52と、中間部53とを含む。
図6に示すように、第1介在部51は、第1導電部31および発熱部41の間に介在している部位である。第2介在部52は、第2導電部32および発熱部41の間に介在している。中間部53は、基材11の厚さ方向Z視において、第1介在部51と第2介在部52とに挟まれている。中間部53は、第1介在部51および第2介在部52につながっている。
【0080】
図4、
図6に示すように、本実施形態において、第1介在部51には、少なくとも1以上の第1開口511が形成されている。
図4にて第1開口511は円形状である例を示しているが、第1開口511の形状は円形状に限られない。たとえば、第1開口511は矩形状であってもよい。
図4にて第1介在部51に第1開口511が複数形成されている例を示しているが、第1介在部51に形成されている第1開口511の個数は、1つであってもよい。第1開口511と重なる位置に、上述の発熱部41における第1当接部411が位置している。
図6に示すように、本実施形態においては更に、第1開口511内に、第1導電部31の一部が形成されている。
【0081】
本実施形態において、第2介在部52には、少なくとも1つの第2開口521が形成されている。
図4、
図6にて第2開口521は円形状である例を示しているが、第2開口521の形状は円形状に限られない。たとえば、第2開口521は矩形状であってもよい。
図4にて第2介在部52に第2開口521が複数形成されている例を示しているが、第2介在部52に形成されている第2開口521の個数は、1つであってもよい。第2開口521と重なる位置に、上述の発熱部41における第2当接部412が位置している。
図6に示すように、本実施形態においては更に、第2開口521内に、第2導電部32の一部が形成されている。
【0082】
本実施形態とは異なり、絶縁層5が、発熱部41および電極層3の間に介在している部分を有していなくてもよい。
【0083】
図1、
図6に示す保護層6は、電極層3と抵抗体層4と絶縁層5とを覆っており、電極層3と抵抗体層4と絶縁層5とを保護するためのものである。保護層6は、絶縁材料よりなる。保護層6を構成する絶縁材料としては、たとえば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、SiNおよびSiO
2が挙げられる。本実施形態においては、保護層6は、電極層3および絶縁層5に直接接している。保護層6の厚さは、たとえば、1〜20μmである。
【0084】
保護層6には、複数の貫通窓61(
図1には1つ示す)が形成されている。各貫通窓61からは、ボンディング部336が露出している。
【0085】
図1に示す配線基板12は、たとえば、プリント配線基板である。配線基板12は、基材層と図示しない配線層とが積層された構造を有する。基材層は、たとえばガラスエポキシ樹脂よりなる。配線層は、たとえばCuよりなる。
【0086】
図1、
図2に示す駆動IC7は、各個別電極33にそれぞれ電位を付与し、各発熱部41に流す電流を制御するものである。各個別電極33にそれぞれ電位が付与されることにより、共通電極35と各個別電極33との間に電圧が印加され、各発熱部41に選択的に電流が流れる。駆動IC7は、配線基板12に搭載されている。
図3に示すように、駆動IC7は、複数のパッド71を含む。複数のパッド71は、たとえば、2列に形成されている。
【0087】
図1、
図3に示す複数のワイヤ81は、たとえば、Auなどの導体よりなる。複数のワイヤ81のうちワイヤ811はそれぞれ、駆動IC7にボンディングされ、且つ、電極層3にボンディングされている。より具体的には、各ワイヤ811は、駆動IC7におけるパッド71にボンディングされ、且つ、ボンディング部336にボンディングされている。これにより、駆動IC7と各個別電極33とが導通している。
図3に示すように、複数のワイヤ81のうちワイヤ812は、それぞれ、駆動IC7におけるパッド71にボンディングされ、且つ、配線基板12における配線層にボンディングされている。これにより、当該配線層を介して、駆動IC7とコネクタ83とが導通している。同図に示すように、複数のワイヤ81のうちワイヤ813は、共通電極35における基幹部357にボンディングされ、且つ、配線基板12における配線層にボンディングされている。これにより、共通電極35と上記配線層とが導通している。
【0088】
図1に示す封止樹脂82は、たとえば、黒色の樹脂よりなる。封止樹脂82は、駆動IC7、複数のワイヤ81、および、保護層6を覆っており、駆動IC7および複数のワイヤ81を保護している。封止樹脂82は保護層6に直接接する。コネクタ83は、配線基板12に固定されている。コネクタ83は、サーマルプリントヘッドA100の外部からサーマルプリントヘッドA100へ電力を供給するためのものである。
【0089】
次に、サーマルプリントヘッドA100の使用方法の一例について簡単に説明する。
【0090】
サーマルプリントヘッドA100は、サーマルプリンタA800に組み込まれた状態で使用される。
図1に示したように、サーマルプリンタA800内において、サーマルプリントヘッドA100は、プラテンローラ802に正対している。サーマルプリンタA800の使用時には、プラテンローラ802が回転することにより、印刷媒体801が、副走査方向Xに沿ってプラテンローラ802と各発熱部41との間に一定速度で送給される。印刷媒体801は、プラテンローラ802によって保護層6のうち各発熱部41を覆う部分に押しあてられる。一方、
図3に示した各個別電極33には、駆動IC7によって選択的に電位が付与される。これにより、共通電極35と複数の個別電極33の各々との間に電圧が印加される。そして、複数の発熱部41には選択的に電流が流れ、熱が発生する。そして、各発熱部41にて発生した熱は、保護層6を介して印刷媒体801に伝わる。そして、印刷媒体801上の主走査方向Yに線状に延びる第1ライン領域に、複数のドットが印刷される。また、各発熱部41にて発生した熱は、蓄熱部2にも伝わり、蓄熱部2にて蓄えられる。
【0091】
更に、プラテンローラ802が回転することにより、印刷媒体801が、副走査方向Xに沿って一定速度で引き続き送給される。そして、上述の第1ライン領域への印刷と同様に、印刷媒体801上の主走査方向Yに線状に延びる、第1ライン領域に隣接する第2ライン領域への印刷が行われる。第2ライン領域への印刷の際、印刷媒体801には、各発熱部41にて発生した熱に加え、第1ライン領域への印刷時に蓄熱部2にて蓄えられた熱が伝わる。このようにして、第2ライン領域への印刷が行われる。以上のように、印刷媒体801上の主走査方向Yに線状に延びるライン領域ごとに、複数のドットを印刷することにより、印刷媒体801への印刷が行われる。
【0092】
次に、サーマルプリントヘッドA100の製造方法の一例について簡単に説明する。本実施形態においてサーマルプリントヘッドA100を製造するには、主として半導体プロセスを用いる。
【0093】
まず、
図7に示すように、半導体基板19を用意する。本実施形態において半導体基板19はSiよりなる。次に、
図8、
図9に示すように、半導体基板19に、凹部113aを形成することにより、基材11を得る。半導体基板19に凹部113aを形成するには、たとえば、半導体基板19をエッチングすることにより行う。次に、
図10に示すように、凹部113aに蓄熱部2を形成する。蓄熱部2の形成は、たとえば、スパッタリング、CVD、あるいは、印刷により行う。
【0094】
次に、
図11に示すように、基材11の基材表面111および蓄熱部2の蓄熱部表面21に、中間層58を形成する。中間層58の形成は、たとえば、CVDもしくはスパッタにより行う。本実施形態とは異なり、中間層58および蓄熱部2の形成を一度に行なってもよい。
【0095】
次に、
図12に示すように、抵抗体層4’を形成する。抵抗体層4’の形成は、たとえば、CVDもしくはスパッタにより行う。抵抗体層4’は、基材11の表面の全面に形成する。次に、
図13、
図14に示すように、抵抗体層4’をエッチングすることにより、抵抗体層4’’を形成する。抵抗体層4’のエッチングは、フォトリソグラフィーにより行う。
図14に示すように、本実施形態では、抵抗体層4’’は、一方向に沿って帯状に延びる形状である。次に、抵抗体層4が所望の抵抗値になるように、抵抗体層4’’にイオンを打ち込む(図示略)。
【0096】
次に、
図15に示すように、絶縁層5’を形成する。絶縁層5’の形成は、たとえば、CVDもしくはスパッタにより行う。次に、
図16に示すように、絶縁層5’をエッチングすることにより、上述の絶縁層5を形成する。絶縁層5’をエッチングする当該工程を経ることにより、上述の第1開口511および第2開口521が形成される。
【0097】
次に、
図17、
図18に示すように、電極層3’を形成する。電極層3’の形成は、たとえば、スパッタもしくはCVDにより行う。次に、
図19、
図20に示すように、電極層3’をエッチングすることにより、上述の形状の電極層3を形成する。電極層3’のエッチングは、フォトリソグラフィーにより行う。
【0098】
次に、
図21に示すように、抵抗体層4’’をエッチングすることにより、複数の矩形状の部分を有する上述の抵抗体層4を形成する。これは、サーマルプリントヘッドA100の使用時において、抵抗体層4内を
図21の横方向に電流が流れることを防止するためである。なお、本実施形態とは異なり、帯状の抵抗体層4’’を形成することなく、抵抗体層4’を一度エッチングすることにより、複数の矩形状の部分を有する上述の抵抗体層4を形成してもよい。
【0099】
次に、
図22に示すように、保護層6’を形成する。保護層6’の形成は、たとえば、CVDにより行う。次に、
図23に示すように、保護層6’をエッチングすることにより、複数の(
図23には一つのみを示す)貫通窓61を形成する。保護層6’のエッチングは、フォトリソグラフィーにより行う。
【0100】
次に、図示は省略するが、基材11の裏面を研磨することにより、基材11の厚みを低減させる。次に、抵抗体層4の抵抗値の測定、および、基材11のダイシングを行ったのち、ダイシング後の製品と、配線基板12とを放熱板13に配置する。次に、
図1に示した、駆動IC7を配線基板12に搭載し、ワイヤ81を所望の箇所にボンディングし、封止樹脂82を形成する。これらの工程を経るなどして、
図1に示したサーマルプリントヘッドA100が製造される。
【0101】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0102】
本実施形態においては、基材11には、凹部113aが形成されている。凹部113aには、蓄熱部2が形成されている。発熱部41は、厚さ方向Z視において、凹部113aに重なる位置に位置しており、基材11を構成する材料の熱伝導率は、100〜300W/(m・K)である。このような構成によれば、基材11の厚さ方向Z視において、発熱部41に重なる蓄熱部2の体積を大きくすることができる。そのため、蓄熱部2が、発熱部41にて発生した熱をより多く蓄えることができる。その結果、基材11を構成する材料の熱伝導率が大きくても発熱部41にて発生した熱が基材11に逃げてしまうことを防止でき、発熱部41にて発生した熱をより多く印刷媒体801へと伝えることが可能となる。これにより、印刷媒体801への印刷品位を向上させることができる。また、発熱部41にて発生した熱を、より多く印刷媒体801へと伝えることが可能となると、サーマルプリントヘッドA100の消費電力を削減できる、
【0103】
本実施形態においては、蓄熱部2は、基材11の厚さ方向Z視において、副走査方向Xにおける一方である第1方向Xaに発熱部41からはみ出た部位と、第1方向Xaとは反対の第2方向Xbに発熱部41からはみ出た部位と、を有する。このような構成によると、蓄熱部2が、発熱部41にて発生した熱を更に多く蓄えることができる。これにより、発熱部41にて発生した熱が基材11に逃げてしまうことをより好適に防止でき、発熱部41にて発生した熱をさらに多く印刷媒体801へと伝えることが可能となる。その結果、印刷媒体801への印刷品位を向上させることができる。特に、印刷媒体801への印字をより濃くできる。
【0104】
本実施形態においては、サーマルプリントヘッドA100は、発熱部41および蓄熱部2の間に介在する中間層58を備える。このような構成は、保護層6のうち発熱部41を覆っている部分を、隆起した形状に形成するのに適する。これにより、印刷媒体801に保護層6を当接させやすくなる。その結果、発熱部41にて発生した熱を、より効率良く印刷媒体801へと伝えることが可能となる。
【0105】
本実施形態においては、中間層表面581は、平坦面582から連続する第1曲面583を有する。第1曲面583は、平坦面582から遠ざかるにつれて基材11に近づく。電極層3は、基材11の厚さ方向Z視において、第1曲面583に重なる部位を有する。このような構成によると、中間層58に急峻な段差が形成されることを防止することができる。これにより、中間層58上に形成される電極層3の断線を防止できる。
【0106】
本実施形態においては、中間層表面581は、平坦面582から連続する第2曲面584を有する。平坦面582は、第1曲面583および第2曲面584の間に位置している。第2曲面584は、平坦面582から遠ざかるにつれて基材11に近づく。電極層3は、基材11の厚さ方向Z視において、第2曲面584に重なる部位を有する。このような構成によると、中間層58に急峻な段差が形成されることを防止することができる。これにより、中間層58上に形成される電極層3の断線を防止できる。
【0107】
本実施形態においては、サーマルプリントヘッドA100は絶縁層5を備える。絶縁層5は、電極層3および発熱部41の間に介在している部分を有する。このような構成によると、電極層3と発熱部41とが接触する領域を小さくすることができる。そうすると、発熱部41に電流が流れて発熱した際に、電極層3と発熱部41とが共晶してしまう領域を小さくすることができる。電極層3と発熱部41とが共晶する領域を小さくできると、サーマルプリントヘッドA100の使用時に、サーマルプリントヘッドA100の抵抗値が変化してしまう不具合を抑制できる。
【0108】
本実施形態においては、絶縁層5は、第1介在部51と第2介在部52とを有する。第1介在部51は、第1導電部31および発熱部41の間に介在している。このような構成によると、第1導電部31と発熱部41とが共晶することを、抑制できる。本実施形態においては、第2介在部52は、第2導電部32および発熱部41の間に介在している。このような構成によると、第2導電部32と発熱部41とが共晶することを、抑制できる。第1導電部31と発熱部41とが共晶すること、または、第2導電部32と発熱部41とが共晶することを防止できると、電極層3と発熱部41とが共晶する領域を小さくできる。これにより、サーマルプリントヘッドA100の使用時に、サーマルプリントヘッドA100の抵抗値が変化してしまう不具合を抑制できる。
【0109】
仮に、電極層3が抵抗体層4と蓄熱部2との間に介在している場合には、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱は、電極層3に逃げてしまうおそれがある。電極層3に逃げてしまった熱は、印刷媒体801への伝熱には寄与しない。一方、本実施形態においては、抵抗体層4は、電極層3および蓄熱部2の間に介在している。このような構成によると、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱が電極層3に伝わっても、電極層3に伝わった熱は、印刷媒体801への伝熱に寄与しうる。そのため、発熱部41にて発生した熱をより効率的に、印刷媒体801に伝えることができる。すなわち、サーマルプリントヘッドA100における印刷媒体801に接触する部位(保護層6)を、より速く、高温にすることが可能となる。これにより、印刷媒体801への高速印刷が可能となる。
【0110】
本実施形態では、基材11は、Siよりなる。Siは、熱伝導率が大きいため、発熱部41にて発生した熱を、より速く基材11の外部(本実施形態では放熱板13)へと伝えることができる。そのため、高温になった発熱部41の温度を、より速く、低下させることができる。このことは、印刷媒体801への印刷の高速化に適する。
【0111】
本実施形態では、保護層6における貫通窓61は、保護層6’をエッチングすることにより形成される。そうすると、保護層6における所望の部位に貫通窓61を形成することができるから、電極層3のうち保護層6に覆われていない部分を、封止樹脂82とは別の樹脂層(ソルダーレジスト層)で覆う必要がない。別の樹脂層(ソルダーレジスト層)を形成する必要がないことは、サーマルプリントヘッドA100の製造効率の向上を図るのに適する。
【0112】
以下の説明(
図50までを参照して説明する実施形態およびその変形例)では、上記と同一もしくは類似の構成については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0113】
<A1実施形態の第1変形例>
図24、
図25を用いて、本発明のA1実施形態の第1変形例について説明する。
【0114】
図24は、本発明のA1実施形態の第1変形例のサーマルプリントヘッドの部分拡大平面図(一部構成省略)である。
図25は、
図24のXXV−XXV線に沿う部分拡大断面図である。
【0115】
同図に示すサーマルプリントヘッドA101は、基材11と、配線基板12(本変形例では図示略)と、放熱板13(本変形例では図示略)と、蓄熱部2と、第1バリア部291と、第2バリア部292と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、中間層58と、保護層6と、駆動IC7(本変形例では図示略)と、複数のワイヤ81(本変形例では図示略)と、封止樹脂82(本変形例では図示略)と、コネクタ83(本変形例では図示略)とを備える。
【0116】
サーマルプリントヘッドA101は、第1バリア部291および第2バリア部292を更に備える点において、サーマルプリントヘッドA100と主に異なる。
図24では、第1バリア部291および第2バリア部292の形成されている領域を、砂模様を付すことにより示している。基材11と、第1バリア部291と、第2バリア部292とを除き、サーマルプリントヘッドA101における、配線基板12と、放熱板13と、蓄熱部2と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、中間層58と、保護層6と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83と、の各構成は、サーマルプリントヘッドA100と同様であるから、説明を省略する。
【0117】
サーマルプリントヘッドA101において、基材11には、凹部113aと、第1溝113bと、第2溝113cと、が形成されている。凹部113aはサーマルプリントヘッドA100におけるものと同様であるから、説明を省略する。
【0118】
第1溝113bは、凹部113aに対し副走査方向Xに離間した位置に形成されている。本変形例においては、第1溝113bは、凹部113aに対し第1方向Xaに離間した位置に形成されている。第1溝113bは、基材表面111から凹んでいる。本実施形態においては、第1溝113bは、主走査方向Yに沿って延びる形状である。第1溝113bの深さD12(厚さ方向Zにおける、基材表面111から第1溝113bの底面に至るまでの寸法)は、たとえば、15〜150μmである。第1溝113bの深さD12は、凹部113aの深さD11よりも深いことが好ましい。本変形例とは異なり、第1溝113bの深さD12は、凹部113aの深さD11と同一であってもよいし、凹部113aの深さD11より浅くてもよい。
【0119】
第2溝113cは、凹部113aに対し副走査方向Xに離間した位置に形成されている。本変形例においては、第2溝113cは、凹部113aに対し第2方向Xbに離間した位置に形成されている。基材11の厚さ方向Z視において、第2溝113cおよび第1溝113bの間に、凹部113aが位置している。第2溝113cは、基材表面111から凹んでいる。本実施形態においては、第2溝113cは、主走査方向Yに沿って延びる形状である。第2溝113cの深さD13(厚さ方向Zにおける、基材表面111から第2溝113cの底面に至るまでの寸法)は、たとえば、15〜150μmである。第2溝113cの深さD13は、凹部113aの深さD11よりも深いことが好ましい。本変形例とは異なり、第2溝113cの深さD13は、凹部113aの深さD11と同一であってもよいし、凹部113aの深さD11より浅くてもよい。
【0120】
第1バリア部291は、第1溝113bに形成されている。第1バリア部291は、基材11を構成する材料の熱伝導率よりも小さい熱伝導率の材料よりなる。第1バリア部291は、たとえば、SiO
2よりなる。第1バリア部291を構成する材料と、蓄熱部2を構成する材料とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。本変形例においては、第1バリア部291は、中間層58に覆われている。
【0121】
第2バリア部292は、第2溝113cに形成されている。第2バリア部292は、基材11を構成する材料の熱伝導率よりも小さい熱伝導率の材料よりなる。第2バリア部292は、たとえば、SiO
2よりなる。第2バリア部292を構成する材料と、蓄熱部2を構成する材料とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。本変形例においては、第2バリア部292は、中間層58に覆われている。
【0122】
次に、本変形例の作用効果について説明する。
【0123】
本変形例によると、上述の作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0124】
本変形例においては、サーマルプリントヘッドA101は、基材11を構成する材料の熱伝導率よりも小さい熱伝導率の材料よりなる第1バリア部291を備える。基材11には、凹部113aに対し副走査方向Xに離間する第1溝113bが形成されている。第1バリア部291は、第1溝113bに形成されている。このような構成によると、蓄熱部2から基材11に伝わった熱は、第1バリア部291にて蓄えられる。そのため、蓄熱部2から副走査方向Xにより離間した領域へと熱が伝わってしまうことを防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できる。その結果、印刷媒体801への印刷のにじみの発生を抑制できる。
【0125】
本変形例においては、第1溝113bの深さD12は、凹部113aの深さD11よりも深い。このような構成によると、第1バリア部291はより多くの熱を蓄えることができる。そのため、蓄熱部2から副走査方向Xにより離間した領域へと熱が伝わってしまうことを更に防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを更に防止できる。その結果、印刷媒体801への印刷のにじみの発生を更に抑制できる。
【0126】
本変形例においては、第1バリア部291を構成する材料は、蓄熱部2を構成する材料と同一の材料よりなる。このような構成によると、蓄熱部2の形成と、第1バリア部291の形成と、を同一の工程で行うことができる。これは、サーマルプリントヘッドA101の製造の効率化に適する。
【0127】
本変形例においては、サーマルプリントヘッドA101は、基材11を構成する材料の熱伝導率よりも小さい熱伝導率の材料よりなる第2バリア部292を備える。基材11には、凹部113aに対し副走査方向Xに離間する第2溝113cが形成されている。凹部113aは、基材11の厚さ方向Z視において、第1溝113bおよび第2溝113cの間に位置している。第2バリア部292は、第2溝113cに形成されている。このような構成によると、上述したのと同様の理由により、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できる。その結果、印刷媒体801への印刷のにじみの発生を抑制できる。
【0128】
本変形例においては、第2溝113cの深さD13は、凹部113aの深さD11よりも深い。このような構成によると、上述したのと同様の理由により、印刷媒体801への印刷のにじみの発生を更に抑制できる。
【0129】
本変形例においては、第2バリア部292を構成する材料は、蓄熱部2を構成する材料と同一の材料よりなる。このような構成は、上述したのと同様の理由により、サーマルプリントヘッドA101の製造の効率化に適する。
【0130】
<A1実施形態の第2変形例>
図26を用いて、本発明のA1実施形態の第2変形例について説明する。
【0131】
図26は、本発明のA1実施形態の第2変形例のサーマルプリントヘッドの部分拡大断面図である。
【0132】
同図に示すサーマルプリントヘッドA102は、蓄熱部2の副走査方向Xにおける寸法が発熱部41より小さい点を除き、サーマルプリントヘッドA101と同様であるので、説明を省略する。
【0133】
<A1実施形態の第3変形例>
図27を用いて、本発明のA1実施形態の第3変形例について説明する。
【0134】
図27は、本発明のA1実施形態の第3変形例のサーマルプリントヘッドの断面図である。
【0135】
同図に示すサーマルプリントヘッドA103は、駆動IC7が基材11に作りこまれている点において、上述のサーマルプリントヘッドA100とは異なるが、その他の点については同様であるので、説明を省略する。なお、サーマルプリントヘッドA103においては、基材11は、半導体材料よりなる。また、駆動IC7と電極層3とは、絶縁層5を貫通するビアを介して導通している。このような構成によると、サーマルプリントヘッドA103の部品点数を削減することができる。更に、サーマルプリントヘッドA103は、サーマルプリントヘッドA100に関して述べたのと同様の作用効果を奏する。
【0136】
<A2実施形態>
図28〜
図36を用いて、本発明のA2実施形態について説明する。
【0137】
図28は、本発明のA2実施形態のサーマルプリンタの部分断面図である。
【0138】
同図に示すサーマルプリンタB800は印刷媒体801に印刷を施す。印刷媒体801としては、たとえばバーコードシートやレシートを作成するための感熱紙が挙げられる。サーマルプリンタB800は、サーマルプリントヘッドB100と、プラテンローラ802と、を備える。
【0139】
図29は、本発明のA2実施形態のサーマルプリントヘッドの平面図である。
図30は、
図29に示したサーマルプリントヘッドの部分拡大平面図(一部構成省略)である。
図31は、
図30の領域XXXIの部分拡大平面図である。
図32は、
図30、
図31のXXXII−XXXII線に沿う部分拡大断面図である。
図33は、
図31のXXXIII−XXXIII線に沿う部分拡大断面図である。
図28は、
図29のXXVIII−XXVIII線に沿う断面に相当する。
【0140】
これらの図に示すサーマルプリントヘッドB100は、基材11と、配線基板12と、放熱板13と、蓄熱部2と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、中間層58と、保護層6と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83とを備える。
【0141】
基材11、蓄熱部2、絶縁層5、および保護層6を除き、本実施形態における、配線基板12と、放熱板13と、電極層3と、抵抗体層4と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83との各構成は、サーマルプリントヘッドA100における構成と同様であるから、説明を省略する。また、サーマルプリントヘッドB100は、サーマルプリントヘッドA100とは異なり、中間層58を備えていない。サーマルプリントヘッドB100は、第1溝部791と、第2溝部792と、第3溝部793とが形成されている点において、サーマルプリントヘッドA100と主に異なる。絶縁層5は、サーマルプリントヘッドA100の絶縁層5と断面形状が異なっている。
【0142】
基材11は板状を呈している。本実施形態においては、基材11は半導体材料よりなる。基材11を構成する半導体材料としては、たとえば、Si、SiC、GaP、GaAs、InP、およびGaNが挙げられる。本実施形態においては、基材11は半導体材料よりなるが、基材11は半導体材料からなっていなくてもよい。たとえば、基材11は、セラミックなどの絶縁材料よりなっていてもよい。基材11を構成する材料の熱伝導率は、100〜300W/(m・K)であることが好ましい。たとえば、基材11がSiよりな
る場合を想定すると、Siの熱伝導率は、140〜170W/(m・K)である。蓄熱部2(後述)を構成する材料の熱伝導率は、0.5〜5W/(m・K)である。たとえば、蓄熱部2がSiO
2よりなる場合を想定すると、SiO
2の熱伝導率は、1.1W/(m・K)である。蓄熱部2を構成する材料の熱伝導率と基材11を構成する材料の熱伝導率との比は、1:10〜600であることが好ましく、1:100〜200であることが更に好ましい。基材11の厚さは、たとえば0.625〜0.720mmである。基材11は、主走査方向Yに長く延びる平板状である。基材11の幅(基材11の副走査方向Xにおける寸法)は、たとえば、3〜20mmである。基材11の主走査方向Yにおける寸法は、たとえば、10〜300mmである。
【0143】
図32に示すように、基材11は、基材表面111と基材裏面112とを有する。基材表面111は、副走査方向Xと主走査方向Yとに広がる平面状である。基材表面111は、主走査方向Yに沿って長手状に延びる。基材表面111は、基材11の厚さ方向Zの一方(方向Za)を向く。すなわち、基材表面111は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。基材裏面112は、副走査方向Xと主走査方向Yとに広がる平面状である。基材裏面112は、主走査方向Yに沿って長手状に延びる。基材裏面112は、基材11の厚さ方向Zの他方(方向Zb)を向く。すなわち、基材裏面112は、抵抗体層4の位置する側とは反対側を向く面である。
【0144】
図28、
図32に示すように、蓄熱部2は基材11に形成されている。蓄熱部2は、基材11の基材表面111のほぼ全体を覆っている。蓄熱部2は、発熱部41にて発生した熱を蓄えるためのものである。蓄熱部2の厚さは、たとえば、3μm以上である。
図32に示すように、蓄熱部2は蓄熱部表面21を有する。蓄熱部表面21は方向Zaを向く。すなわち、蓄熱部表面21は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。本実施形態では、蓄熱部表面21は全体にわたって平坦である。蓄熱部表面21が平坦であると、半導体プロセスによって抵抗体層4や絶縁層5を形成しやすい。
【0145】
図28、
図32、
図33に示す保護層6は、電極層3と抵抗体層4と絶縁層5とを覆っており、電極層3と抵抗体層4と絶縁層5とを保護するためのものである。保護層6は、絶縁材料よりなる。保護層6を構成する絶縁材料としては、たとえば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、SiNおよびSiO
2が挙げられる。本実施形態においては、保護層6は、電極層3および絶縁層5に直接接している。
【0146】
なお、
図33に示すように、各発熱部41は、第1抵抗側面418および第2抵抗側面419を有する。第1抵抗側面418および第2抵抗側面419は、主走査方向Yのいずれかを向き、且つ、互いに反対側を向く。保護層6は、第1抵抗側面418および第2抵抗側面419を覆っている。
【0147】
保護層6には、複数の貫通窓61(
図28には1つ示す)が形成されている。各貫通窓61からは、ボンディング部336が露出している。
【0148】
図31〜
図33に示すように、サーマルプリントヘッドB100においては、第1溝部791と、第2溝部792と、第3溝部793とが形成されている。
図31では、第1溝部791、第2溝部792および第3溝部793が形成された領域を、ハッチングを付すことにより示している。
【0149】
図31、
図33に示す第1溝部791は、複数の発熱部41のうち主走査方向Yにおいて隣接するいずれか2つの発熱部41の間に位置している。本実施形態においては、第1溝部791は、副走査方向Xに沿って延びる形状である。第1溝部791の副走査方向Xにおける寸法は、発熱部41の副走査方向Xにおける寸法よりも大きい。そして、第1溝部791は、副走査方向Xにおいて、複数の発熱部41のいずれかの全体にわたって、重なっている。
【0150】
図33に示すように、第1溝部791は、蓄熱部2に形成されている。蓄熱部2は、第1溝部791を構成する第1蓄熱部溝側面25aを有する。本実施形態においては、第1溝部791は、保護層6から形成され、基材11に達している。保護層6は、第1溝部791を構成する第1保護層溝側面65aを有する。基材11は、第1基材溝側面115aおよび第1基材溝底面115bを有する。第1基材溝側面115aおよび第1基材溝底面115bは、第1溝部791を構成している。
【0151】
本実施形態においては、基材11に蓄熱部2および保護層6が形成された後に、第1溝部791が形成される。第1溝部791には何も充填されていない。そのため、第1基材溝側面115aと、第1基材溝底面115bと、第1蓄熱部溝側面25aと、第1保護層溝側面65aと、は空隙に露出している。なお、第1溝部791の形成は、たとえば、エッチングにより行われる。
【0152】
図31、
図32に示す第2溝部792は、基材11の厚さ方向Z視において、中継電極37よりも第1方向Xa側に位置している。そして、副走査方向Xにおいて、第2溝部792と複数の発熱部41との間に、中継電極37が位置している。第2溝部792は、主走査方向Yに沿って延びる形状である。本実施形態において、第2溝部792は、基材11の主走査方向Yの一端から他端にわたって、形成されている。本実施形態においては更に、第2溝部792は、第1溝部791とつながっている。本実施形態とは異なり、第2溝部792は、第1溝部791とつながっていなくてもよい。
【0153】
図32に示すように、第2溝部792は、蓄熱部2に形成されている。蓄熱部2は、第2溝部792を構成する第2蓄熱部溝側面26aを有する。本実施形態においては、第2溝部792は、保護層6から形成され、基材11に達している。保護層6は、第2溝部792を構成する第2保護層溝側面66aを有する。基材11は、第2基材溝側面116aおよび第2基材溝底面116bを有する。第2基材溝側面116aおよび第2基材溝底面116bは、第2溝部792を構成している。
【0154】
本実施形態においては、基材11に蓄熱部2および保護層6が形成された後に、第2溝部792が形成される。第2溝部792には何も充填されていない。そのため、第2基材溝側面116aと、第2基材溝底面116bと、第2蓄熱部溝側面26aと、第2保護層溝側面66aと、は空隙に露出している。なお、第2溝部792の形成は、たとえば、エッチングにより行われる。
【0155】
図31、
図33に示す第3溝部793は、複数の発熱部41のうち中継電極37によって連結される2つの発熱部41の間に位置している。本実施形態においては、第3溝部793は、副走査方向Xに沿って延びる形状である。第3溝部793の副走査方向Xにおける寸法は、発熱部41の副走査方向Xにおける寸法よりも大きい。そして、第3溝部793は、副走査方向Xにおいて、複数の発熱部41のいずれかの全体にわたって、重なっている。
【0156】
図33に示すように、第3溝部793は、蓄熱部2に形成されている。蓄熱部2は、第3溝部793を構成する第3蓄熱部溝側面27aを有する。本実施形態においては、第3溝部793は、保護層6から形成され、基材11に達している。保護層6は、第3溝部793を構成する第3保護層溝側面67aを有する。基材11は、第3基材溝側面117aおよび第3基材溝底面117bを有する。第3基材溝側面117aおよび第3基材溝底面117bは、第3溝部793を構成している。
【0157】
本実施形態においては、基材11に蓄熱部2および保護層6が形成された後に、第3溝部793が形成される。第3溝部793には何も充填されていない。そのため、第3基材溝側面117aと、第3基材溝底面117bと、第3蓄熱部溝側面27aと、第3保護層溝側面67aと、は空隙に露出している。なお、第3溝部793の形成は、たとえば、エッチングにより行われる。第3溝部793と、第2溝部792と、第1溝部791との形成は、同時に行うとよい。
【0158】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0159】
本実施形態においては、蓄熱部2に第1溝部791が形成されている。第1溝部791は、複数の発熱部41のうち主走査方向Yにおいて隣接するいずれか2つの発熱部41の間に位置している。このような構成によると、ある発熱部41にて発生した熱が、蓄熱部2を経由して、蓄熱部2における、当該発熱部41に隣接する発熱部41の形成された領域に伝わることを防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できる。その結果、印刷媒体801への印刷のにじみの発生を抑制できる。また、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できることにより、発熱部41の発熱効率を向上させることができる。これにより、印刷媒体801への印刷ドットを濃くすることができ、印刷品位の向上を図ることができる。
【0160】
本実施形態においては、第1溝部791は、副走査方向Xにおいて、複数の発熱部41のいずれかの全体にわたって、重なっている。このような構成によると、ある発熱部41にて発生した熱が、蓄熱部2を経由して、蓄熱部2における、当該発熱部41に隣接する発熱部41の形成された領域に伝わることを更に防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを更に防止できる。その結果、印刷媒体801への印刷のにじみの発生を更に抑制できる。
【0161】
本実施形態においては、第1溝部791は、基材11に達している。このような構成によると、ある発熱部41にて発生した熱が、蓄熱部2を経由して、蓄熱部2における、当該発熱部41に隣接する発熱部41の形成された領域に伝わることを更に防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを更に防止できる。その結果、印刷媒体801への印刷のにじみの発生を更に抑制できる。
【0162】
本実施形態においては、第1蓄熱部溝側面25aは空隙に露出している。このような構成によると、発熱部41から蓄熱部2に伝わった熱は、第1蓄熱部溝側面25aを通って、空隙に放たれる。そのため、蓄熱部2に蓄えられた熱をより効率的にサーマルプリントヘッドB100の外部に放出することができる。よって、高温になった発熱部41の温度を、より速く、低下させることができる。このことは、印刷媒体801への印刷の高速化に適する。
【0163】
本実施形態においては、複数の発熱部41は各々、主走査方向Yのいずれかを向く第1抵抗側面418および第2抵抗側面419を有する。第1抵抗側面418は、第2抵抗側面419とは反対側を向く。第1抵抗側面418および第2抵抗側面419はいずれも、保護層6に覆われている。このような構成によると、発熱部41が空気に露出することを防止できる。その結果、発熱部41の酸化を抑制でき、発熱部41の抵抗値が変化してしまう不具合を回避できる。
【0164】
本実施形態においては、電極層3は、複数の発熱部41のうち主走査方向Yにおいて隣接するいずれか2つの発熱部41を連結する中継電極37を含む。蓄熱部2には第2溝部792が形成されている。中継電極37は、副走査方向Xにおいて、第2溝部792および複数の発熱部41の間に位置している。このような構成によると、第2溝部792よりも第1方向Xa側に熱が伝わってしまうことを防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できる。その結果、印刷媒体801への印刷のにじみの発生を抑制できる。また、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できることにより、発熱部41の発熱効率を向上させることができる。これにより、印刷媒体801への印刷ドットを濃くすることができ、印刷品位の向上を図ることができる。
【0165】
本実施形態においては、第2溝部792は、基材11に達している。このような構成によると、第2溝部792よりも第1方向Xa側に熱が伝わってしまうことを更に防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを更に防止できる。その結果、印刷媒体801への印刷のにじみの発生を更に抑制できる。
【0166】
本実施形態においては、第2蓄熱部溝側面26aは空隙に露出している。このような構成によると、発熱部41から蓄熱部2に伝わった熱は、第2蓄熱部溝側面26aを通って、空隙に放たれる。そのため、蓄熱部2に蓄えられた熱をより効率的にサーマルプリントヘッドB100の外部に放出することができる。よって、高温になった発熱部41の温度を、より速く、低下させることができる。このことは、印刷媒体801への印刷の高速化に適する。
【0167】
本実施形態においては、少なくとも蓄熱部2には第3溝部793が形成されている。第3溝部793は、複数の発熱部41のうち中継電極37によって連結される2つの発熱部41の間に位置している。サーマルプリントヘッドB100に第3溝部793が形成されることによって、サーマルプリントヘッドB100に第1溝部791が形成されることによって享受できる上述の利点と同様の利点を、享受できる。
【0168】
本実施形態においては、サーマルプリントヘッドB100は絶縁層5を備える。絶縁層5は、電極層3および発熱部41の間に介在している部分を有する。このような構成によると、電極層3と発熱部41とが接触する領域を小さくすることができる。そうすると、発熱部41に電流が流れて発熱した際に、電極層3と発熱部41とが共晶してしまう領域を小さくすることができる。電極層3と発熱部41とが共晶する領域を小さくできると、サーマルプリントヘッドB100の使用時に、サーマルプリントヘッドB100の抵抗値が変化してしまう不具合を抑制できる。
【0169】
本実施形態においては、絶縁層5は、第1介在部51と第2介在部52とを有する。第1介在部51は、第1導電部31および発熱部41の間に介在している。このような構成によると、第1導電部31と発熱部41とが共晶することを、抑制できる。本実施形態においては、第2介在部52は、第2導電部32および発熱部41の間に介在している。このような構成によると、第2導電部32と発熱部41とが共晶することを、抑制できる。第1導電部31と発熱部41とが共晶すること、または、第2導電部32と発熱部41とが共晶することを防止できると、電極層3と発熱部41とが共晶する領域を小さくできる。これにより、サーマルプリントヘッドB100の使用時に、サーマルプリントヘッドB100の抵抗値が変化してしまう不具合を抑制できる。
【0170】
仮に、電極層3が抵抗体層4と蓄熱部2との間に介在している場合には、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱は、電極層3に逃げてしまうおそれがある。電極層3に逃げてしまった熱は、印刷媒体801への伝熱には寄与しない。一方、本実施形態においては、抵抗体層4は、電極層3および蓄熱部2の間に介在している。このような構成によると、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱が電極層3に伝わっても、電極層3に伝わった熱は、印刷媒体801への伝熱に寄与しうる。そのため、発熱部41にて発生した熱をより効率的に、印刷媒体801に伝えることができる。すなわち、サーマルプリントヘッドB100における印刷媒体801に接触する部位(保護層6)を、より速く、高温にすることが可能となる。これにより、印刷媒体801への高速印刷が可能となる。
【0171】
本実施形態では、基材11は、Siよりなる。Siは、熱伝導率が大きいため、発熱部41にて発生した熱を、より速く基材11の外部(本実施形態では放熱板13)へと伝えることができる。そのため、高温になった発熱部41の温度を、より速く、低下させることができる。このことは、印刷媒体801への印刷の高速化に適する。
【0172】
本実施形態では、保護層6における貫通窓61は、保護層6’をエッチングすることにより形成される。そうすると、保護層6における所望の部位に貫通窓61を形成することができるから、電極層3のうち保護層6に覆われていない部分を、封止樹脂82とは別の樹脂層(ソルダーレジスト層)で覆う必要がない。別の樹脂層(ソルダーレジスト層)を形成する必要がないことは、サーマルプリントヘッドB100の製造効率の向上を図るのに適する。
【0173】
<A2実施形態の第1変形例>
図34、
図35を用いて、本発明のA2実施形態の第1変形例について説明する。
【0174】
図34は、本発明のA2実施形態の第1変形例のサーマルプリントヘッドの部分拡大断面図である。
図35は、本発明のA2実施形態の第1変形例のサーマルプリントヘッドの部分拡大断面図である。
【0175】
これらの図に示すサーマルプリントヘッドB101は、基材11と、配線基板12(本変形例では図示略)と、放熱板13(本変形例では図示略)と、蓄熱部2と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、保護層6と、駆動IC7(本変形例では図示略)と、複数のワイヤ81(本変形例では図示略)と、封止樹脂82(本変形例では図示略)と、コネクタ83(本変形例では図示略)とを備える。
【0176】
保護層6を除き、本実施形態における、基材11と、配線基板12と、放熱板13と、蓄熱部2と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83との各構成は、サーマルプリントヘッドB100における構成と同様であるから、説明を省略する。
【0177】
本実施形態においては、第1溝部791、第2溝部792、および第3溝部793が形成された後に、保護層6が形成される。そのため、第1溝部791、第2溝部792および第3溝部793には、保護層6の一部が充填されている。
【0178】
具体的には、第1基材溝側面115aと、第1基材溝底面115bと、第1蓄熱部溝側面25aとは、保護層6に直接接している。また、第2基材溝側面116aと、第2基材溝底面116bと、第2蓄熱部溝側面26aとは、保護層6に直接接している。第3基材溝側面117aと、第3基材溝底面117bと、第3蓄熱部溝側面27aとは、保護層6に直接接している。
【0179】
なお、本変形例とは異なり、第1溝部791に保護層6が充填されていない構成(サーマルプリントヘッドB100参照)と、第2溝部792に保護層6の一部が充填されている構成(サーマルプリントヘッドB101参照)と、を組み合わせてもよい。また、第1溝部791に保護層6の一部が充填されている構成(サーマルプリントヘッドB101参照)と、第2溝部792に保護層6が充填されていない構成(サーマルプリントヘッドB100参照)と、を組み合わせてもよい。
【0180】
<A2実施形態の第2変形例>
図36を用いて、本発明のA2実施形態の第2変形例について説明する。
【0181】
図36は、本発明のA2実施形態の第2変形例のサーマルプリントヘッドの断面図である。
【0182】
同図に示すサーマルプリントヘッドB102は、駆動IC7が基材11に作りこまれている点において、上述のサーマルプリントヘッドB100とは異なるが、その他の点については同様であるので、説明を省略する。なお、サーマルプリントヘッドB102においては、基材11は、半導体材料よりなる。また、駆動IC7と電極層3とは、蓄熱部2を貫通するビアを介して導通している。このような構成によると、サーマルプリントヘッドB102の部品点数を削減することができる。更に、サーマルプリントヘッドB102は、サーマルプリントヘッドB100に関して述べたのと同様の作用効果を奏する。
【0183】
サーマルプリントヘッドB102は、サーマルプリントヘッドB100の変形例として示したが、サーマルプリントヘッドB101の変形例として、駆動IC7が基材11に作りこまれている構成を採用してもよい。
【0184】
サーマルプリントヘッドB100、サーマルプリントヘッドB101、サーマルプリントヘッドB102では、第1溝部791、第2溝部792、および第3溝部793が基材11に達している例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1溝部791、第2溝部792、および第3溝部793のいずれかが、基材11に達していなくてもよい。
【0185】
また、サーマルプリントヘッドに、第2溝部792や第3溝部793が形成されていなくてもよい。
【0186】
<A3実施形態>
図37〜
図40を用いて、本発明のA3実施形態について説明する。
【0187】
図37は、本発明のA3実施形態のサーマルプリンタの部分断面図である。
【0188】
同図に示すサーマルプリンタC800は印刷媒体801に印刷を施す。印刷媒体801としては、たとえばバーコードシートやレシートを作成するための感熱紙が挙げられる。サーマルプリンタC800は、サーマルプリントヘッドC100と、プラテンローラ802と、を備える。
【0189】
同図に示すサーマルプリントヘッドC100は、基材11と、配線基板12と、放熱板13と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、絶縁層59と、保護層6と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83とを備える。
【0190】
基材11および絶縁層59を除き、本実施形態における、配線基板12と、放熱板13と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、保護層6と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83と、の各構成は、サーマルプリントヘッドA100における構成と同様であるから、説明を省略する。また、サーマルプリントヘッドC100は、サーマルプリントヘッドA100とは異なり、蓄熱部2、および中間層58を備えていない。サーマルプリントヘッドC100は、サーマルプリントヘッドA100とは異なり、放熱板13が、基材表面111の位置する側に配置されている。
【0191】
図38は、本発明のA3実施形態のサーマルプリントヘッドの部分拡大断面図(放熱板13を省略)である。
【0192】
基材11は板状を呈している。本実施形態においては、基材11は半導体材料よりなる。基材11を構成する半導体材料としては、たとえば、Si、SiC、GaP、GaAs、InP、およびGaNが挙げられる。本実施形態においては、基材11は半導体材料よりなるが、基材11は半導体材料からなっていなくてもよい。たとえば、基材11は、セラミックなどの絶縁材料よりなっていてもよい。基材11を構成する材料の熱伝導率は、100〜300W/(m・K)であることが好ましい。たとえば、基材11がSiよりなる場合を想定すると、Siの熱伝導率は、140〜170W/(m・K)である。基材11の厚さは、10〜50μmであり、非常に薄い。基材11は、主走査方向Yに長く延びる平板状である。基材11の幅(基材11の副走査方向Xにおける寸法)は、たとえば、3〜20mmである。基材11の主走査方向Yにおける寸法は、たとえば、10〜300mmである。
【0193】
図38に示すように、本実施形態では、基材11に凹部113aが形成されていない。
【0194】
基材11は、基材表面111と基材裏面112とを有する。基材表面111は、副走査方向Xと主走査方向Yとに広がる平面状である。基材表面111は、主走査方向Yに沿って長手状に延びる。基材表面111は、基材11の厚さ方向Zの一方(方向Za)を向く。すなわち、基材表面111は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。基材裏面112は、副走査方向Xと主走査方向Yとに広がる平面状である。基材裏面112は、主走査方向Yに沿って長手状に延びる。基材裏面112は、基材11の厚さ方向Zの他方(方向Zb)を向く。すなわち、基材裏面112は、抵抗体層4の位置する側とは反対側を向く面である。本実施形態においては、基材裏面112の向く側に、プラテンローラ802が配置されている。そして、基材裏面112は、プラテンローラ802に正対している。基材裏面112とプラテンローラ802との間を、印刷媒体801が搬送される。基材11を10〜50μm程度まで削った結果、基材裏面112には、線状痕112a(
図39参照)が形成されている。同図に示すように、線状痕112aは、複数の平行な線よりなる。
【0195】
図37、
図38に示すように、絶縁層59は基材表面111に形成されている。絶縁層59は、基材11の基材表面111のほぼ全体を覆っている。
【0196】
本実施形態では、保護層6は放熱板13に正対している。更に、保護層6は、放熱板13に直接接している。保護層6の厚さは、たとえば、1〜5μmである。本実施形態では、駆動IC7、封止樹脂82、およびコネクタ83は、配線基板12に対し、プラテンローラ802の位置する側とは反対側に位置している。保護層6の熱伝導率は、たとえば、0.1〜0.5W/(m・K)である。
【0197】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0198】
本実施形態においては、放熱板13は、基材表面111の向く側に位置している。このような構成においては、各発熱部41にて発生した熱は、基材11を介して印刷媒体801に伝わる。そして、印刷媒体801への印刷が行われる。また、各発熱部41にて発生した熱は、保護層6にも伝わり、保護層6にて蓄えられる。このように保護層6が蓄熱部としての役割を果たす。そのため、サーマルプリントヘッドC100は、厚さが厚い蓄熱部を備える必要がない。厚さが厚い蓄熱部を形成するには、非常に高度な技術を要する。したがって、厚さが厚い蓄熱部を備える必要がないサーマルプリントヘッドC100は、製造の容易化を図るのに適する。
【0199】
電極層3や抵抗体層4の形成に用いる半導体プロセスは、数百℃の高温環境にて行われる。本実施形態においては、基材11に電極層3や抵抗体層4を形成した後に、保護層6を形成する。そのため、保護層6を形成した後に、半導体プロセスを行う必要がない。よって、保護層6を数百℃の高温環境に晒す必要がない。したがって、保護層6を構成する材料として、耐熱温度が低いものを用いることが可能となる。なお、本実施形態では、保護層6として、ポリイミドを用いることができる。ポリイミドの耐熱温度は、400℃程度であるが、ポリイミドの熱伝導率は非常に小さく蓄熱能力が高い。
【0200】
本実施形態においては、基材11を構成する材料の熱伝導率は、100〜300W/(m・K)であり、非常に大きい。このような構成は、発熱部41にて発生した熱を、効率良く印刷媒体801へと伝えるのに適する。
【0201】
本実施形態においては、基材11の厚さは、10〜50μmであり、非常に薄い。そのため、発熱部41にて発生した熱を、印刷媒体801へと効率的に伝えることができる。これにより、印刷媒体801の印刷品位の向上を図ることが可能となる。
【0202】
本実施形態においては、封止樹脂82は、基材表面111の向く側に形成されている。このような構成によると、封止樹脂82と印刷媒体801とが干渉することを回避できる。したがって、基材11の副走査方向Xにおける寸法を小さくできる。これにより、サーマルプリントヘッドC100の小型化を図ることができる。また、基材11の副走査方向Xにおける寸法を小さくできると、サーマルプリントヘッドC100の製造に要するコストの削減も可能となる。
【0203】
本実施形態では、保護層6における貫通窓61は、保護層6’をエッチングすることにより形成される。そうすると、保護層6における所望の部位に貫通窓61を形成することができるから、電極層3のうち保護層6に覆われていない部分を、封止樹脂82とは別の樹脂層(ソルダーレジスト層)で覆う必要がない。別の樹脂層(ソルダーレジスト層)を形成する必要がないことは、サーマルプリントヘッドC100の製造効率の向上を図るのに適する。
【0204】
<A3実施形態の第1変形例>
図40を用いて、本発明のA3実施形態の第1変形例について説明する。
【0205】
図40は、本発明のA3実施形態の第1変形例のサーマルプリンタの断面図である。
【0206】
同図に示すサーマルプリントヘッドC101は、駆動IC7が基材11に作りこまれている点において、上述のサーマルプリントヘッドC100とは異なるが、その他の点については同様であるので、説明を省略する。なお、サーマルプリントヘッドC101においては、基材11は、半導体材料よりなる。また、駆動IC7と電極層3とは、絶縁層59を貫通するビアを介して導通している。このような構成によると、サーマルプリントヘッドC101の部品点数を削減することができる。更に、サーマルプリントヘッドC101は、サーマルプリントヘッドC100に関して述べたのと同様の作用効果を奏する。
【0207】
<他の実施形態>
図41〜
図46を用いて、本発明の他の実施形態について説明する。
【0208】
本実施形態のサーマルプリントヘッドD100は、蓄熱部2の形成方法が、上述のサーマルプリントヘッドと異なる。
【0209】
本実施形態においては、蓄熱部2は、複数の第1部分281と、第2部分282と、を有する。
【0210】
各第1部分281は、基材11に食い込む形状を呈している。そのため、本実施形態においても、基材11に凹部113aが形成されており、凹部113aに第1部分281が配置されているといえる。本実施形態では、蓄熱部は、基材11を構成する材料を酸化した材料よりなる。たとえば基材11がSiよりなる場合、第1部分281は、SiO
2よりなる。
図42に示すように、各第1部分281は、厚さ方向Z視において、発熱部41に重なっており、且つ、ほぼ同一の大きさである。また、各第1部分281は、互いに離間している。
図42には、第1部分281の占める領域を、ハッチングを用いて示している。詳細は後述するが、第1部分281は、基材11にトレンチ113fを形成することにより、形成される。
【0211】
第2部分282は、第1部分281と、発熱部41との間に位置している。本実施形態では、第2部分282は、厚さ方向Zに垂直な平面に沿った形状である。第2部分282は、たとえば、SiO
2よりなる。
【0212】
次に、サーマルプリントヘッドD100の製造方法について説明する。
【0213】
まず、
図43に示すように、半導体基板19を用意する。本実施形態において半導体基板19はSiよりなる。次に、
図44に示すように、半導体基板19に、トレンチ113fを形成する。半導体基板19にトレンチ113fを形成するには、たとえば、半導体基板19をエッチングすることにより行う。本実施形態では、レジストパターン(図示略)をマスクとする異方性のディープRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)によって、具体的にはボッシュプロセスにより、半導体基板19を掘り下げる。トレンチ113fは、具体的には、平面視において、ドット状の水玉模様パターン(たとえば、行列状、千鳥状等)に配列されるように形成する。
【0214】
また、ボッシュプロセスでは、SF
6(六フッ化硫黄)を使用して半導体基板19をエッチングする工程と、C
4F
8(パーフルオロシクロブタン)を使用してエッチング面に保護膜を形成する工程とが交互に繰り返される。これにより、高いアスペクト比で半導体基板19をエッチングすることができるが、エッチング面(トレンチ113fの内周面)にスキャロップと呼ばれる波状の凹凸が形成される。トレンチ113fの形成後、レジストパターン(図示略)を剥離する。本実施形態では、トレンチ113fの内周面113gは、
図44の上側に向かうほど、開口面積が大きくなる形状である。
【0215】
次に、
図45に示すように、基材11に、蓄熱部2の第1部分281と、蓄熱部2の第2部分282の一部と、を形成する。蓄熱部2の第1部分281と、蓄熱部2の第2部分282の一部と、の形成は、熱酸化によって行う。具体的には、たとえば真空中で、基板11を熱酸化(たとえば、1100℃〜1150℃で24時間)する。基板11を熱酸化すると、基板11(本実施形態ではシリコンよりなる)の一部が、各トレンチ113fの内周面から同心円状に酸化シリコン膜に変質する。これとともに、当該酸化シリコン膜が熱膨張して各トレンチ113fを埋める。
【0216】
次に、
図46に示すように、蓄熱部2の第2部分282の残りを形成する。第2部分282の残りの形成は、たとえば、熱酸化、スパッタリング、CVD、あるいは、印刷により行う。本実施形態では、第2部分282は、LTO(low temperature oxide)膜である。第2部分282を形成した後、第2部分282の上面を平坦化する。
【0217】
その後は、
図12以降の図を参照して説明した工程と同様の工程を経ることにより、サーマルプリントヘッドが製造される。
【0218】
このようなサーマルプリントヘッドD100によっても、蓄熱部2にて多くの熱を蓄えることができ、サーマルプリントヘッドA100に関して述べたのと同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0219】
<変形例>
図47に示すサーマルプリントヘッドD101は、蓄熱部2における第1部分281に、複数の空隙26が形成されている点において、サーマルプリントヘッドD100とは異なる。空隙26は、断熱部として機能する。その他の点は、サーマルプリントヘッドD100と同様であるから、説明を省略する。
【0220】
次に、サーマルプリントヘッドD101の製造方法について説明する。
【0221】
本変形例においても、
図48に示すように、半導体基板19に、トレンチ113fを形成する。本変形例では、本実施形態では、トレンチ113fの内周面113gは、
図48の上側に向かうほど、開口面積が小さくなる形状である。すなわち、トレンチ113fの内周面113gは逆テーパ状となっている。
【0222】
次に、
図49に示すように、基材11に、蓄熱部2の第1部分281と、蓄熱部2の第2部分282の一部と、を形成する。蓄熱部2の第1部分281と、蓄熱部2の第2部分282の一部と、の形成は、熱酸化によって行う。具体的には、たとえば真空中で、基板11を熱酸化(たとえば、1100℃〜1150℃で24時間)する。基板11を熱酸化すると、基板11(本実施形態ではシリコンよりなる)の一部が、各トレンチ113fの内周面から同心円状に酸化シリコン膜に変質する。これとともに、当該酸化シリコン膜が熱膨張して各トレンチ113fをほぼ埋める。本変形例では、各トレンチ113fの全てが埋まりきらず、空隙26として残存する。
【0223】
次に、
図50に示すように、蓄熱部2の第2部分282の残りを形成する。第2部分282の残りの形成は、たとえば、熱酸化、スパッタリング、CVD、あるいは、印刷により行う。本実施形態では、第2部分282は、LTO(low temperature oxide)膜である。第2部分282を形成した後、第2部分282の上面を平坦化する。
【0224】
その後は、
図12以降の図を参照して説明した工程と同様の工程を経ることにより、サーマルプリントヘッドが製造される。
【0225】
このようなサーマルプリントヘッドD101によっても、サーマルプリントヘッドD100によって奏する作用効果と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0226】
図1〜
図50、および、これらの図を参照した説明にて開示された発明のバリエーションを、以下に付記として示す。
[付記α1]
基材と、
前記基材に形成された蓄熱部と、
前記基材に形成された抵抗体層と、
前記基材に形成され且つ前記抵抗体層に導通する電極層と、
前記抵抗体層を覆う保護層と、を備え、
前記抵抗体層は、前記基材の厚さ方向視において、前記電極層のうち互いに離間した2つの部位に跨る複数の発熱部を含み、
少なくとも前記蓄熱部には第1溝部が形成されており、
前記第1溝部は、前記複数の発熱部のうち主走査方向において隣接するいずれか2つの発熱部の間に位置している、サーマルプリントヘッド。
[付記α2]
前記第1溝部は、副走査方向において、前記複数の発熱部のいずれかの全体にわたって、重なっている、付記α1に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α3]
前記蓄熱部は、前記第1溝部を構成する第1蓄熱部溝側面を有する、付記α1または付記α2に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α4]
前記第1溝部は、前記基材に達している、付記α3に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α5]
前記第1蓄熱部溝側面は、空隙に露出している、付記α3または付記α4に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α6]
前記第1溝部は、前記保護層から形成されている、付記α1ないし付記α5のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α7]
前記保護層の一部は、前記第1溝部に充填されている、付記α1ないし付記α5のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α8]
前記複数の発熱部は各々、主走査方向のいずれかを向く第1抵抗側面および第2抵抗側面を有し、
前記第1抵抗側面は、前記第2抵抗側面とは反対側を向き、
前記第1抵抗側面および前記第2抵抗側面はいずれも、前記保護層に覆われている、付記α1ないし付記α7のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α9]
前記電極層は、前記複数の発熱部のうち主走査方向において隣接するいずれか2つの発熱部を連結する中継電極を含み、
少なくとも前記蓄熱部には第2溝部が形成されており、
前記中継電極は、副走査方向において、前記第2溝部および前記複数の発熱部の間に位置している、付記α1ないし付記α8のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α10]
前記第2溝部は、主走査方向に沿って延びる形状である、付記α9に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α11]
前記蓄熱部は、前記第2溝部を構成する第2蓄熱部溝側面を有する、付記α10に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α12]
前記第2溝部は、前記基材に達している、付記α11に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α13]
前記第2蓄熱部溝側面は、空隙に露出している、付記α11または付記α12に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α14]
前記第2溝部は、前記保護層から形成されている、付記α9ないし付記α13のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α15]
前記保護層の一部は、前記第2溝部に充填されている、付記α9ないし付記α13のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α16]
前記第2溝部は、前記第1溝部につながっている、付記α9ないし付記α15のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α17]
少なくとも前記蓄熱部には第3溝部が形成されており、
前記第3溝部は、前記複数の発熱部のうち前記中継電極によって連結される前記2つの発熱部の間に位置している、付記α9ないし付記α16のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α18]
前記蓄熱部は、前記基材とは反対側を向く蓄熱部表面を有し、
前記第1溝部は、前記蓄熱部表面から凹み、前記第2溝部は、前記蓄熱部表面から凹む、付記α17に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α19]
前記抵抗体層は、前記電極層および前記蓄熱部の間に介在している、付記α1ないし付記α18のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α20]
前記抵抗体層と前記電極層との間に介在する絶縁層を更に備え、
前記蓄熱部は、前記絶縁層に直接接している部分を有する、付記α1ないし付記α19のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α21]
前記基材は、半導体材料よりなる、付記α1ないし付記α20のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α22]
前記保護層は、前記絶縁層に直接接している、付記α20に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α23]
配線基板と、
複数のワイヤと、
前記配線基板、前記複数のワイヤ、および、前記保護層を覆う樹脂層と、を更に備える、付記α1ないし付記α22のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α24]
前記保護層には、貫通窓が形成されており、
前記電極層は、前記貫通窓から露出するボンディング部を含み、
前記ボンディング部には、前記複数のワイヤのいずれかがボンディングされている、付記α23に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α25]
前記樹脂層は、前記保護層に直接接している、付記α23または付記α24に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α26]
前記電極層に電流を流す駆動ICを更に備え、
前記駆動ICは、前記基材内に作りこまれている、付記α1ないし付記α25のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α27]
前記電極層に電流を流す駆動ICを更に備え、前記駆動ICは、前記配線基板に搭載されている、付記α23ないし付記α25のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α28]
前記絶縁層は、SiO
2またはSiAlO
2よりなる、付記α20に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α29]
前記抵抗体層は、ポリシリコン、TaSiO
2、および、TiONの少なくともいずれかよりなる、付記α1ないし付記α28のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α30]
前記電極層は、Au、Ag、Cu、Cr、Al−Si、および、Tiの少なくともいずれかよりなる、付記α1ないし付記α29のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α31]
前記基材を支持する放熱板を更に備える、付記α1ないし付記α30のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記α32]
付記α1ないし付記α31のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドと、
前記サーマルプリントヘッドに正対するプラテンローラと、を備える、サーマルプリンタ。
[付記β1]
互いに反対側を向く基材表面および基材裏面を有する基材と、
前記基材表面に形成された抵抗体層と、
前記基材表面に形成され且つ前記抵抗体層に導通する電極層と、
樹脂よりなり且つ前記抵抗体層を覆う保護層と、
放熱板と、を備え、
前記抵抗体層は、前記基材の厚さ方向視において、前記電極層のうち互いに離間した2つの部位に跨る複数の発熱部を含み、
前記複数の発熱部は、主走査方向に沿って配列され、
前記放熱板は、前記基材表面の向く側に位置している、サーマルプリントヘッド。
[付記β2]
前記保護層を構成する樹脂は、ポリイミド、ポリアミド、およびポリエチレンのいずれかである、付記β1に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β3]
前記基材を構成する材料の熱伝導率は、100〜300W/(m・K)である、付記β
1または付記β2に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β4]
前記基材を構成する材料は、半導体材料である、付記β1ないし付記β3のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β5]
前記基材の厚さは、10〜50μmである、付記β1ないし付記β4のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β6]
前記基材裏面は、複数の平行な線よりなる線状痕が形成されている、付記β1ないし付記β5のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β7]
前記保護層の厚さは、1〜5μmである、付記β1ないし付記β6のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β8]
前記基材表面に形成された絶縁層を更に備える、付記β1ないし付記β7のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β9]
前記絶縁層は、前記抵抗体層と前記電極層とに直接接している、付記β8に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β10]
前記保護層は、前記電極層に直接接している、付記β1ないし付記β9のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β11]
配線基板と、
複数のワイヤと、
前記配線基板、前記複数のワイヤ、および、前記保護層を覆う樹脂層と、を更に備え、
前記樹脂層は、前記基材表面の向く側に形成されている、付記β1ないし10に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β12]
前記保護層には、貫通窓が形成されており、
前記電極層は、前記貫通窓から露出するボンディング部を含み、
前記ボンディング部には、前記複数のワイヤのいずれかがボンディングされている、付記β11に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β13]
前記樹脂層は、前記保護層に直接接している、付記β11または付記β12に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β14]
前記電極層に電流を流す駆動ICを更に備え、
前記駆動ICは、前記基材内に作りこまれている、付記β1ないし付記β13のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β15]
前記電極層に電流を流す駆動ICを更に備え、前記駆動ICは、前記配線基板に搭載されている、付記β11ないし付記β13のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β16]
前記絶縁層は、SiO
2またはSiAlO
2よりなる、付記β8または付記β9のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β17]
前記抵抗体層は、ポリシリコン、TaSiO
2、および、TiONの少なくともいずれかよりなる、付記β1ないし付記β16のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β18]
前記電極層は、Au、Ag、Cu、Cr、Al−Si、および、Tiの少なくともいずれかよりなる、付記β1ないし付記β17のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記β19]
付記β1ないし付記β18のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドと、
プラテンローラと、を備え、
前記プラテンローラは、前記基材裏面の向く側に位置している、サーマルプリンタ。
【0227】
<B1実施形態>
図51は、本発明のB1実施形態のサーマルプリンタの部分断面図である。
【0228】
同図に示すサーマルプリンタ800は、印刷媒体801に印刷を施す。印刷媒体801としては、たとえばバーコードシートやレシートを作成するための感熱紙が挙げられる。サーマルプリンタ800は、サーマルプリントヘッド501と、プラテンローラ802と、を備える。
【0229】
図52は、本発明のB1実施形態のサーマルプリントヘッドの平面図である。
図51は、
図52のLI−LI線に沿う断面図に相当する。
【0230】
これらの図に示すサーマルプリントヘッド501は、基材11と、配線基板12と、放熱板13と、蓄熱部2と、複数の断熱部26(
図56〜
図58参照)と、中間層27(
図58参照)と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、保護層6(
図52では省略)と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83とを備える。基材11と蓄熱部2とは、基板を構成している。
【0231】
図51に示す放熱板13は、基材11からの熱を放散させるためのものである。放熱板13を構成する材料としては、たとえば、Al、AlN、Ag、あるいは、Cuが挙げられる。放熱板13は、基材11および配線基板12を支持している。
【0232】
基材11は板状を呈している。本実施形態においては、基材11は半導体材料よりなる。基材11を構成する半導体材料としては、たとえば、Si、SiC、GaP、GaAs、InP、およびGaNが挙げられる。本実施形態においては、基材11は半導体材料よりなるが、基材11は半導体材料からなっていなくてもよい。たとえば、基材11は、セラミックなどの絶縁材料よりなっていてもよい。本実施形態において、基材11を構成する材料の熱伝導率は、100〜300W/(m・K)である。本実施形態においては、蓄熱部2(後述)の熱伝導率と基材11の熱伝導率との比は、1:10〜600であって、より望ましくは1:100〜200である。基材11の厚さは、たとえば0.625〜0.720mmである。
図52に示すように、基材11は、主走査方向Yに長く延びる平板状である。基材11の幅(基材11の副走査方向Xにおける寸法)は、たとえば、3〜20mmである。基材11の主走査方向Yにおける寸法は、たとえば、10〜300mmである。
【0233】
図53は、
図52に示したサーマルプリントヘッドの部分拡大平面図(一部構成省略)である。
図54は、
図53の領域LIVの部分拡大平面図である。
図55は、
図54から、電極層および絶縁層を省略して示す平面図である。
図56は、
図53、
図54のLVI−LVI線に沿う部分拡大断面図である。
図57は、
図54のLVII−LVII線に沿う部分拡大断面図である。
【0234】
図56、
図57に示すように、基材11は、基材表面111を有する。基材表面111は、副走査方向Xと主走査方向Yとに広がる平面状である。基材表面111は、主走査方向Yに沿って長手状に延びる。基材表面111は、基材11の厚さ方向Zの一方(以下、方向Zaと言う。
図56、
図57では上方)を向く。すなわち、基材表面111は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。
【0235】
図56、
図57に示すように、蓄熱部2は基材11に形成されている。蓄熱部2は、基材11の基材表面111の全体を覆っている。蓄熱部2は、基材表面111の全体を覆っている必要はなく、基材表面111の一部分のみを覆っていてもよい。蓄熱部2は、発熱部41(後述)にて発生した熱を蓄えるためのものである。蓄熱部2の厚さは、たとえば、3〜10μmである。蓄熱部2は蓄熱部表面21を有する。蓄熱部表面21は方向Zaを向く。すなわち、蓄熱部表面21は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。本実施形態では、蓄熱部表面21は全体にわたって平坦である。
【0236】
図56,
図57に示すように、基板(基材11および蓄熱部2によって構成されている)には、複数の凹部24が形成されている。凹部24についての説明は後述する。
【0237】
図51、
図53〜
図56に示す電極層3は基材11に形成されている。
図53における電極層3には、理解の便宜上、ハッチを付している。電極層3は抵抗体層4に積層されている。本実施形態においては、電極層3と蓄熱部2との間に、抵抗体層4が介在している。電極層3は、抵抗体層4に導通している。電極層3は、抵抗体層4に通電するための経路を構成している。電極層3を構成する材料としては、たとえば、Au、Ag、Cu、Cr、Al−Si、および、Tiが挙げられる。本実施形態とは異なり、電極層3は、蓄熱部2と抵抗体層4との間に介在していてもよい。
【0238】
図54〜
図56に示すように、電極層3は、第1導電部31と第2導電部32とを含む。第1導電部31および第2導電部32は、互いに離間している。第1導電部31と第2導電部32の離間寸法は、たとえば、105μmである。
【0239】
本実施形態においては、
図53に示すように、電極層3は、複数の個別電極33(同図には6つ示す)と、一つの共通電極35と、複数の中継電極37(同図には6つ示す)とを含む。より具体的には、次のとおりである。
【0240】
複数の個別電極33は、互いに導通していない。そのため、各個別電極33には、サーマルプリントヘッド501の組み込まれたプリンタが使用される際に、個別に、互いに異なる電位が付与されうる。各個別電極33は、個別電極帯状部331と、屈曲部333と、直行部334と、斜行部335と、ボンディング部336とを有する。
図54、
図56に示すように、各個別電極帯状部331は、電極層3における第1導電部31を構成しており、副走査方向Xに沿って延びる帯状である。各個別電極帯状部331は、抵抗体層4に積層されている。屈曲部333は、個別電極帯状部331につながり、主走査方向Yおよび副走査方向Xのいずれに対しても傾斜している。直行部334は、副走査方向Xに平行にまっすぐ延びている。斜行部335は、主走査方向Yおよび副走査方向Xのいずれに対しても傾斜した方向に延びている。ボンディング部336は、ワイヤ81がボンディングされる部分である。本実施形態においては、個別電極帯状部331、屈曲部333、直行部334、および斜行部335の幅が、たとえば47.5μm程度であり、ボンディング部336の幅がたとえば80μm程度である。
【0241】
共通電極35は、サーマルプリントヘッド501の組み込まれたプリンタが使用される際に複数の個別電極33に対して電気的に逆極性となる部位である。共通電極35は、複数の共通電極帯状部351と、複数の分岐部353と、複数の直行部354と、複数の斜行部355と、複数の延出部356と、一つの基幹部357とを有する。各共通電極帯状部351は、副走査方向Xに延びる帯状である。
図54、
図56に示すように、各共通電極35において、複数の共通電極帯状部351は、電極層3における第1導電部31を構成しており、主走査方向Yに互いに離間し、且つ、互いに導通している。各共通電極帯状部351は、抵抗体層4に積層されている。各共通電極帯状部351は、個別電極帯状部331と主走査方向Yに離間している。本実施形態においては、互いに隣接した2つずつの共通電極帯状部351が、2つの個別電極帯状部331に挟まれている。複数の共通電極帯状部351、および複数の個別電極帯状部331は、主走査方向Yに沿って配列されている。分岐部353は、2つの共通電極帯状部351と1つの直行部354をつなぐ部分であり、Y字状である。直行部354は、副走査方向Xに平行にまっすぐ延びている。斜行部355は、主走査方向Yおよび副走査方向Xのいずれに対しても傾斜した方向に延びている。延出部356は、斜行部355につながり、副走査方向Xに沿って延びている。基幹部357は、主走査方向Yに延びる帯状であり、複数の延出部356がつながっている。本実施形態においては、共通電極帯状部351、直行部354、斜行部355、および延出部356の幅が、たとえば47.5μm程度である。
【0242】
複数の中継電極37はそれぞれ、複数の個別電極33のうちの一つと共通電極35との間に電気的に介在する。各中継電極37は、2つの中継電極帯状部371と連結部373とを有する。
図54、
図56に示すように、各中継電極帯状部371は、電極層3における第2導電部32を構成しており、副走査方向Xに延びる帯状である。すなわち、電極層3における第2導電部32と第1導電部31とは、互いに離間しており、本実施形態においては、副走査方向Xに互いに離間している。複数の中継電極帯状部371は、主走査方向Yに互いに離間している。各中継電極帯状部371は、抵抗体層4に積層されている。複数の中継電極帯状部371は、抵抗体層4上において、複数の帯状部331,351とは副走査方向Xにおいて反対側に配置されている。各中継電極37における2つの中継電極帯状部371の一方は、複数の共通電極帯状部351のいずれか一つと、副走査方向Xに互いに離間している。各中継電極37における2つの中継電極帯状部371の他方は、複数の個別電極帯状部331のいずれか一つと、副走査方向Xに互いに離間している。複数の連結部373はそれぞれ、主走査方向Yに沿って延びている。各連結部373は、各中継電極37における2つの中継電極帯状部371につながる。これにより、各中継電極37における2つの中継電極帯状部371どうしが互いに導通している。
【0243】
なお、電極層3は、必ずしも中継電極37を含む必要はなく、たとえば、複数の個別電極と、これらの個別電極に隣接する共通電極と、を含むものであってもよい。
【0244】
図52〜
図57に示す抵抗体層4は基材11に形成されている。本実施形態では、抵抗体層4は、蓄熱部2に直接形成されている。本実施形態においては、抵抗体層4は、複数の矩形状の部分を有する。抵抗体層4は、電極層3からの電流が流れた部分が発熱する。このように発熱することによって印字ドットが形成される。抵抗体層4は、電極層3を構成する材料よりも抵抗率が高い材料よりなる。抵抗体層4を構成する材料としては、たとえば、ポリシリコン、TaSiO
2、および、TiONが挙げられる。本実施形態においては、抵抗体層4には、抵抗値の調整のため、イオン(たとえば、ホウ素)がドーピングされている。抵抗体層4の厚さは、たとえば、0.2μm〜1μmである。
【0245】
図54〜
図56に示すように、抵抗体層4は、第1端面416と、第2端面417とを有する。
【0246】
図54〜
図56に示すように、第1端面416は、第2導電部32(中継電極帯状部371)の位置する側とは反対側(すなわち、
図56の右方向)を向いている。第2端面417は、第1導電部31(個別電極帯状部331もしくは共通電極帯状部351)の位置する側とは反対側(すなわち、
図56の左方向)を向いている。
【0247】
図56に示すように、抵抗体層4は、サーマルプリントヘッド501の使用時に発熱する複数の発熱部41を含む。
図54、
図55に示すように、複数の発熱部41はそれぞれ、基材11の厚さ方向視において、第1導電部31および第2導電部32に跨っている。各発熱部41は蓄熱部2に積層されている。複数の発熱部41は、主走査方向Yに沿って配列されている。
【0248】
図56に示すように、発熱部41は、第1当接部411および第2当接部412を含んでいる。第1当接部411は、電極層3における第1導電部31に当接している。第2当接部412は、電極層3における第2導電部32に当接している。
【0249】
図56、
図57に示すように、本実施形態では、複数の凹部24はそれぞれ、蓄熱部表面21から凹んでいる。複数の凹部24はそれぞれ、厚さ方向Zのうち、電極層3の位置する側(
図56において上側)に開放している。
【0250】
複数の凹部24は、複数の第1凹部24Aと、複数の第2凹部24Bと、複数の第3凹部24Cと、複数の中間凹部24Dと、を含む。
図55では、凹部24を仮想線で示している。
【0251】
図55に示すように、複数の第1凹部24Aはそれぞれ、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のいずれか一つに重なっている。複数の第2凹部24Bはそれぞれ、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のいずれか一つに対し、第1方向Xa(本実施形態では
図55の下側)に離間した位置に形成されている。複数の第3凹部24Cはそれぞれ、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のいずれか一つに対し、第2方向Xb(本実施形態では
図55の上側)に離間した位置に形成されている。また、複数の第3凹部24Cはそれぞれ、複数の発熱部41のいずれか一つに対し、複数の第2凹部24Bの位置する側とは反対側に位置している。複数の中間凹部24Dはそれぞれ、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のうち互いに離間する2つの発熱部41の間に位置している。
【0252】
図55に示すように、各凹部24(第1凹部24Aと、第2凹部24Bと、第3凹部24Cと、中間凹部24D)は、厚さ方向Z視において、散在している。本実施形態では、各凹部24の厚さ方向Z視の形状は円形状である。各凹部24の厚さ方向Z視の形状は円形状に限定されず、たとえば、六角形状や三角形状であってもよい。複数の発熱部41のいずれか一つの発熱部41の面積に対する、複数の凹部24のうち、厚さ方向Z視において当該発熱部41に重なる複数の凹部24の占める面積の割合は、たとえば、50〜95%である。各凹部24の深さは、たとえば、1〜5μmである。各凹部24の幅は、たとえば、1〜3μmである。
【0253】
サーマルプリントヘッド501において、第2凹部24B、第3凹部24C、中間凹部24Dが形成されている必要は必ずしもない。すなわち、複数の凹部24が、厚さ方向Z視において発熱部41と重なる位置にのみ形成されていてもよい。また、サーマルプリントヘッド501にて、第2凹部24B、第3凹部24C、および中間凹部24Dの少なくともいずれかと、第1凹部24Aと、が形成されていてもよい。
【0254】
図56、
図57に示すように、複数の断熱部26はそれぞれ、複数の凹部24のいずれかに配置されている。具体的には、複数の断熱部26はそれぞれ、複数の第1凹部24A、複数の第2凹部24B、複数の第3凹部24C、複数の中間凹部24Dのいずれかに配置されている。
【0255】
図58は、
図56の領域LVIIIの部分拡大図である。
【0256】
断熱部26は、蓄熱部2よりも熱伝導率が小さい。本実施形態では、断熱部26は空隙であり、気体が充填された状態あるいは真空状態となっている。当該気体はたとえば空気である。
【0257】
図58に示すように、本実施形態において、中間層27は、蓄熱部2および抵抗体層4の間に位置している。本実施形態においては更に、中間層27は、蓄熱部2と抵抗体層4とに直接接している。
【0258】
中間層27は、部分271および部分272を有する。
【0259】
部分271は、中間層27のうち、凹部24に配置された部分である。すなわち、中間層27は、複数の凹部24に少なくとも一部が配置されている。部分271は、内側面271aを有している。内側面271aは、断熱部26たる空隙の一部分を規定している。
【0260】
部分272は、蓄熱部表面21を覆っている。より具体的には、部分272は、厚さ方向Z視において、蓄熱部表面21における、複数の凹部24のうち互いに隣接する2つの凹部24の間に、配置されている。また、部分272は、発熱部41と蓄熱部2との間に位置している。すなわち、中間層27は、発熱部41と蓄熱部2との間に位置する部位を有する。部分272は、部分271につながっている。
【0261】
中間層27は、絶縁材料よりなる。このような絶縁材料としては、たとえばシリコン酸化膜が挙げられる。中間層27は絶縁材料よりなる必要は必ずしもなく、中間層27は導電材料よりなっていてもよい。
【0262】
図56に示すように、絶縁層5は、発熱部41および電極層3の間に介在している部分を有する。絶縁層5を構成する材料としては、たとえば、SiO
2、および、SiAlO
2が挙げられる。絶縁層5は、第1介在部51と、第2介在部52と、中間部53とを含む。
図54,
図56に示すように、第1介在部51は、第1導電部31および発熱部41の間に介在している部位である。第2介在部52は、第2導電部32および発熱部41の間に介在している。中間部53は、基材11の厚さ方向Z視において、第1介在部51と第2介在部52とに挟まれている。中間部53は、第1介在部51および第2介在部52につながっている。
【0263】
図54、
図56に示すように、本実施形態において、第1介在部51には、少なくとも1以上の第1開口511が形成されている。
図54にて第1開口511は円形状である例を示しているが、第1開口511の形状は円形状に限られない。たとえば、第1開口511は矩形状であってもよい。
図54にて第1介在部51に第1開口511が複数形成されている例を示しているが、第1介在部51に形成されている第1開口511の個数は、1つであってもよい。第1開口511と重なる位置に、上述の発熱部41における第1当接部411が位置している。
図56に示すように、本実施形態においては更に、第1開口511内に、第1導電部31の一部が形成されている。
【0264】
本実施形態において、第2介在部52には、少なくとも1以上の第2開口521が形成されている。
図54にて第2開口521は円形状である例を示しているが、第2開口521の形状は円形状に限られない。たとえば、第2開口521は矩形状であってもよい。
図54にて第2介在部52に第2開口521が複数形成されている例を示しているが、第2介在部52に形成されている第2開口521の個数は、1つであってもよい。第2開口521と重なる位置に、上述の発熱部41における第2当接部412が位置している。
図56に示すように、本実施形態においては更に、第2開口521内に、第2導電部32の一部が形成されている。
【0265】
図54,
図56に示すように、本実施形態においては、絶縁層5は、部分581,582を含む。部分581は、第1介在部51につながり且つ第1端面416を覆う部分である。部分582は、第2介在部52につながり且つ第2端面417を覆う部分である。部分581,582はそれぞれ、蓄熱部2に直接接している。すなわち、絶縁層5に直接接する部分を、蓄熱部2が有している。本実施形態とは異なり、絶縁層5が部分581,582を含んでいなくてもよい。また、本実施形態とは異なり、サーマルプリントヘッド501が、絶縁層5を備えていなくてもよい。
【0266】
図56、
図57に示す保護層6は、電極層3と抵抗体層4と絶縁層5とを覆っており、電極層3と抵抗体層4と絶縁層5とを保護するためのものである。保護層6は、絶縁材料よりなる。保護層6を構成する絶縁材料としては、たとえば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、SiNおよびSiO
2が挙げられる。本実施形態においては、保護層6は、電
極層3および絶縁層5に直接接している。
【0267】
保護層6には、複数の貫通窓61(
図51には1つ示す)が形成されている。各貫通窓61からは、ボンディング部336が露出している。
【0268】
図51に示す配線基板12は、たとえば、プリント配線基板である。配線基板12は、基材層と図示しない配線層とが積層された構造を有する。基材層は、たとえばガラスエポキシ樹脂よりなる。配線層は、たとえばCuよりなる。
【0269】
図51、
図53に示す駆動IC7は、各個別電極33にそれぞれ電位を付与し、各発熱部41に流す電流を制御するものである。各個別電極33にそれぞれ電位が付与されることにより、共通電極35と各個別電極33との間に電圧が印加され、各発熱部41に選択的に電流が流れる。駆動IC7は、配線基板12に搭載されている。
図53に示すように、駆動IC7は、複数のパッド71を含む。複数のパッド71は、たとえば、2列に形成されている。
【0270】
図51、
図53に示す複数のワイヤ81は、たとえば、Auなどの導体よりなる。複数のワイヤ81のうちワイヤ811はそれぞれ、駆動IC7にボンディングされ、且つ、電極層3にボンディングされている。より具体的には、各ワイヤ811は、駆動IC7におけるパッド71にボンディングされ、且つ、ボンディング部336にボンディングされている。これにより、駆動IC7と各個別電極33とが導通している。
図53に示すように、複数のワイヤ81のうちワイヤ812は、それぞれ、駆動IC7におけるパッド71にボンディングされ、且つ、配線基板12における配線層にボンディングされている。これにより、当該配線層を介して、駆動IC7とコネクタ83とが導通している。同図に示すように、複数のワイヤ81のうちワイヤ813は、共通電極35における基幹部357にボンディングされ、且つ、配線基板12における配線層にボンディングされている。これにより、共通電極35と上記配線層とが導通している。
【0271】
図51に示す封止樹脂82は、たとえば、黒色の樹脂よりなる。封止樹脂82は、駆動IC7、複数のワイヤ81、および、保護層6を覆っており、駆動IC7および複数のワイヤ81を保護している。封止樹脂82は保護層6に直接接する。コネクタ83は、配線基板12に固定されている。コネクタ83は、サーマルプリントヘッド501の外部からサーマルプリントヘッド501へ電力を供給し、駆動IC7を制御するためのものである。
【0272】
次に、サーマルプリントヘッド501の使用方法の一例について簡単に説明する。
【0273】
サーマルプリントヘッド501は、サーマルプリンタ800に組み込まれた状態で使用される。
図51に示したように、サーマルプリンタ800内において、サーマルプリントヘッド501は、プラテンローラ802に正対している。サーマルプリンタ800の使用時には、プラテンローラ802が回転することにより、印刷媒体801が、副走査方向Xに沿ってプラテンローラ802と各発熱部41との間に一定速度で送給される。印刷媒体801は、プラテンローラ802によって保護層6のうち各発熱部41を覆う部分に押しあてられる。一方、
図53に示した各個別電極33には、駆動IC7によって選択的に電位が付与される。これにより、共通電極35と複数の個別電極33の各々との間に電圧が印加される。そして、複数の発熱部41には選択的に電流が流れ、熱が発生する。そして、各発熱部41にて発生した熱は、保護層6を介して印刷媒体801に伝わる。そして、印刷媒体801上の主走査方向Yに線状に延びる第1ライン領域に、複数のドットが印刷される。また、各発熱部41にて発生した熱は、蓄熱部2にも伝わり、蓄熱部2にて蓄えられる。
【0274】
更に、プラテンローラ802が回転することにより、印刷媒体801が、副走査方向Xに沿って一定速度で引き続き送給される。そして、上述の第1ライン領域への印刷と同様に、印刷媒体801上の主走査方向Yに線状に延びる、第1ライン領域に隣接する第2ライン領域への印刷が行われる。第2ライン領域への印刷の際、印刷媒体801には、各発熱部41にて発生した熱に加え、第1ライン領域への印刷時に蓄熱部2にて蓄えられた熱が伝わる。このようにして、第2ライン領域への印刷が行われる。以上のように、印刷媒体801上の主走査方向Yに線状に延びるライン領域ごとに、複数のドットを印刷することにより、印刷媒体801への印刷が行われる。
【0275】
次に、サーマルプリントヘッド501の製造方法の一例について簡単に説明する。本実施形態においてサーマルプリントヘッド501を製造するには、半導体プロセスを用いる。
【0276】
まず、
図59に示すように、半導体基板19を用意する。本実施形態において半導体基板19はSiよりなる。次に、
図60に示すように、半導体基板19の表面を熱酸化し、次にCVDもしくはスパッタを行う。これにより、基材11に積層された蓄熱部2が形成される。図示することは省略するが、基材11の裏面にもSiO
2層が形成される。なお、本実施形態とは異なり、半導体基板19の表面を熱酸化する必要は必ずしもなく、CVDもしくはスパッタによって、直接、蓄熱部2を形成してもよい。
【0277】
次に、
図61、
図62に示すように、蓄熱部2に、複数の凹部24を形成する。蓄熱部2に複数の凹部24を形成するには、たとえば、エッチングすることにより行う。
【0278】
次に、
図63に示すように、蓄熱部2に中間層27を形成する。中間層27の形成は、たとえば、CVD、スパッタリング、あるいは、熱酸化によって形成される。本実施形態では、中間層27はCVDによって形成される。凹部24に中間層27を形成する際に、断熱部26における空隙が形成される。
【0279】
次に、
図64に示すように、抵抗体層4’を形成する。抵抗体層4’の形成は、たとえば、CVDもしくはスパッタにより行う。抵抗体層4’は、基材11の表面の全面に形成する。次に、
図65、
図66に示すように、抵抗体層4’をエッチングすることにより、抵抗体層4’’を形成する。抵抗体層4’の形成は、フォトリソグラフィーによるマスクパターンの形成と、たとえばドライエッチングにより行う。
図66に示すように、本実施形態では、抵抗体層4’’は、一方向に沿って帯状に延びる形状である。次に、抵抗体層4が所望の抵抗値になるように、抵抗体層4’’に、イオン・インプランテーション、気相拡散などによって不純物を導入する(図示略)。
【0280】
次に、
図67に示すように、絶縁層5’を形成する。絶縁層5’の形成は、たとえば、CVDもしくはスパッタにより行う。次に、
図68、
図69に示すように、絶縁層5’をエッチングすることにより、上述の絶縁層5を形成する。絶縁層5’をエッチングする当該工程を経ることにより、上述の第1開口511および第2開口521が形成される。
【0281】
次に、
図70、
図71に示すように、電極層3’を形成する。電極層3’の形成は、たとえば、スパッタもしくはCVDにより行う。次に、
図72、
図73に示すように、電極層3’をエッチングすることにより、上述の形状の電極層3を形成する。電極層3’の形成は、フォトリソグラフィーによるマスクパターンの形成と、たとえばウエットエッチングにより行う。
【0282】
次に、
図74に示すように、抵抗体層4’’をエッチングすることにより、複数の矩形状の部分を有する上述の抵抗体層4が形成される。これは、サーマルプリントヘッド501の使用時において、抵抗体層4内を
図74の横方向に電流が流れることを防止するためである。なお、本実施形態とは異なり、帯状の抵抗体層4’’を形成することなく、抵抗体層4’を一度エッチングすることにより、複数の矩形状の部分を有する上述の抵抗体層4を形成してもよい。
【0283】
次に、
図75に示すように、保護層6’を形成する。保護層6’の形成は、たとえば、CVDにより行う。次に、
図76に示すように、保護層6’をエッチングすることにより、複数の貫通窓61を形成する。保護層6’の形成は、フォトリソグラフィーによるマスクパターンの形成と、たとえばドライエッチングにより行う。
【0284】
次に、図示は省略するが、基材11の裏面を研磨することにより、基材11の厚みを低減させる。次に、抵抗体層4の抵抗値の測定、および、基材11のダイシングを行ったのち、ダイシング後の製品と、配線基板12とを放熱板13に配置する。次に、
図51に示した、駆動IC7を配線基板12に搭載し、ワイヤ81を所望の箇所にボンディングし、封止樹脂82を形成する。これらの工程を経るなどして、
図51に示したサーマルプリントヘッド501が製造される。
【0285】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0286】
本実施形態においては、少なくとも一つ(本実施形態では複数)の断熱部26のいずれか一つは、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のいずれか一つに重なっており、且つ、基板(基材11あるいは蓄熱部2)内に形成されている。このような構成によれば、断熱部26が、発熱部41にて発生した熱が基材11に伝わることを抑制する。その結果、基材11を構成する材料の熱伝導率が大きくても発熱部41にて発生した熱が基材11に逃げてしまうことを防止でき、発熱部41にて発生した熱を、より多く印刷媒体801へと伝えることが可能となる。これにより、印刷媒体801への印刷品位を向上させることができる。また、発熱部41にて発生した熱を、より多く印刷媒体801へと伝えることが可能となると、サーマルプリントヘッド501の消費電力を削減できる。
【0287】
本実施形態においては、複数の断熱部26は各々、厚さ方向Z視において、散在している。このような構成によれば、発熱部41にて発生した熱が基材11に伝わることを抑制しつつ、発熱部41にて発生した熱を蓄熱部2へと好適に伝えることもできる。よって、蓄熱部2が蓄熱する機能を好適に果たすことができる。
【0288】
本実施形態においては、複数の凹部24は、複数の第2凹部24Bを含む。複数の第2凹部24Bは各々、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のいずれか一つに対し、副走査方向Xに離間した位置に形成されている。複数の第2凹部24Bにはそれぞれ、複数の断熱部26のいずれか一つが配置されている。このような構成によると、第2凹部24Bよりも第1方向Xa側に熱が伝わってしまうことを防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できる。その結果、印刷媒体801への印字のにじみの発生を抑制できる。また、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できることにより、発熱部41の発熱効率を向上させることができる。これにより、印刷媒体801への印字を濃くすることができ、印刷品位の向上を図ることができる。
【0289】
本実施形態においては、複数の凹部24は、複数の第3凹部24Cを含む。複数の第3凹部24Cは各々、副走査方向Xにおいて、複数の発熱部41のいずれか一つに対し、複数の第2凹部24Bの位置する側とは反対側に位置する。複数の第3凹部24Cにはそれぞれ、複数の断熱部26のいずれか一つが配置されている。このような構成によると、第3凹部24Cよりも第2方向Xb側に熱が伝わってしまうことを防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できる。その結果、印刷媒体801への印字のにじみの発生を抑制できる。また、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できることにより、発熱部41の発熱効率を向上させることができる。これにより、印刷媒体801への印字を濃くすることができ、印刷品位の向上を図ることができる。
【0290】
本実施形態においては、複数の凹部24は、複数の中間凹部24Dを含む。複数の中間凹部24Dは各々、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のうち互いに隣接する2つの発熱部41の間に位置する。複数の中間凹部24Dにはそれぞれ、複数の断熱部26のいずれか一つが配置されている。このような構成によると、ある発熱部41にて発生した熱が、蓄熱部2を経由して、蓄熱部2における、当該発熱部41に隣接する発熱部41の形成された領域に伝わることを防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できる。その結果、印刷媒体801への印字のにじみの発生を抑制できる。また、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できることにより、発熱部41の発熱効率を向上させることができる。これにより、印刷媒体801への印字を濃くすることができ、印刷品位の向上を図ることができる。
【0291】
本実施形態においては、サーマルプリントヘッド501は絶縁層5を備える。絶縁層5は、電極層3および発熱部41の間に介在している部分を有する。このような構成によると、電極層3と発熱部41とが接触する領域を小さくすることができる。そうすると、発熱部41に電流が流れて発熱した際に、電極層3と発熱部41とが共晶してしまう領域を小さくすることができる。電極層3と発熱部41とが共晶する領域を小さくできると、サーマルプリントヘッド501の使用時に、サーマルプリントヘッド501の抵抗値が変化してしまう不具合を抑制できる。
【0292】
本実施形態においては、絶縁層5は、第1介在部51と第2介在部52とを有する。第1介在部51は、第1導電部31および発熱部41の間に介在している。このような構成によると、第1導電部31と発熱部41とが共晶することを、抑制できる。本実施形態においては、第2介在部52は、第2導電部32および発熱部41の間に介在している。このような構成によると、第2導電部32と発熱部41とが共晶することを、抑制できる。第1導電部31と発熱部41とが共晶すること、または、第2導電部32と発熱部41とが共晶することを防止できると、電極層3と発熱部41とが共晶する領域を小さくできる。これにより、サーマルプリントヘッド501の使用時に、サーマルプリントヘッド501の抵抗値が変化してしまう不具合を抑制できる。
【0293】
仮に、電極層3が抵抗体層4と蓄熱部2との間に介在している場合には、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱は、電極層3に逃げてしまうおそれがある。電極層3に逃げてしまった熱は、印刷媒体801への伝熱には寄与しない。一方、本実施形態においては、抵抗体層4は、電極層3および蓄熱部2の間に介在している。このような構成によると、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱が電極層3に伝わっても、電極層3に伝わった熱は、印刷媒体801への伝熱に寄与しうる。そのため、発熱部41にて発生した熱をより効率的に、印刷媒体801に伝えることができる。すなわち、サーマルプリントヘッド501における印刷媒体801に接触する部位(保護層6)を、より速く、高温にすることが可能となる。これにより、印刷媒体801への高速印字が可能となる。
【0294】
本実施形態では、基材11は、Siよりなる。Siは、熱伝導率が大きいため、発熱部41にて発生した熱を、より速く基材11の外部(本実施形態では放熱板13)へと伝えることができる。そのため、高温になった発熱部41の温度を、より速く、低下させることができる。このことは、印刷媒体801への印字の高速化に適する。
【0295】
本実施形態では、保護層6における貫通窓61は、保護層6’をエッチングすることにより形成される。そうすると、保護層6における所望の部位に貫通窓61を形成することができるから、電極層3のうち保護層6に覆われていない部分を、封止樹脂82とは別の樹脂層(ソルダーレジスト層)で覆う必要がない。別の樹脂層(ソルダーレジスト層)を形成する必要がないことは、サーマルプリントヘッド501の製造効率の向上を図るのに適する。
【0296】
なお、第1凹部24A、第2凹部24B、第3凹部24C、中間凹部24Dの深さが互いに異なっていてもよい。
図77、
図78には、第2凹部24Bの深さD24Bと、第3凹部24Cの深さD24Cと、中間凹部24Dの深さD24Dと、が第1凹部24Aの深さD24Aよりも深い例を示している。
【0297】
このような構成によると、上述の作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0298】
第2凹部24Bの深さD24Bが第1凹部24Aの深さD24Aよりも深いと、あるいは、第3凹部24Cの深さD24Cが第1凹部24Aの深さD24Aよりも深いと、蓄熱部2から副走査方向Xにより離間した領域へと熱が伝わってしまうことを更に防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを更に防止できる。その結果、印刷媒体801への印刷のにじみの発生を更に抑制できる。
【0299】
中間凹部24Dの深さD24Dが第1凹部24Aの深さD24Aよりも深いと、ある発熱部41にて発生した熱が、蓄熱部2を経由して、蓄熱部2における、当該発熱部41に隣接する発熱部41の形成された領域に伝わることを更に防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを更に防止できる。その結果、印刷媒体801への印刷のにじみの発生を更に抑制できる。
【0300】
以下の説明(B1実施形態の各変形例、B2実施形態、および、B2実施形態の変形例)では、上記と同一もしくは類似の構成については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0301】
<B1実施形態の第1変形例>
図79を用いて、本発明のB1実施形態の第1変形例について説明する。
【0302】
図79は、本発明のB1実施形態の第1変形例のサーマルプリントヘッドの部分拡大断面図である。
【0303】
本変形例のサーマルプリントヘッドは、中間層27を備えない点を除き、サーマルプリントヘッド501と同様である。本実施形態では、断熱部26は凹部24によって規定されている。このような構成によると、上述の作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0304】
本変形例においては、複数の凹部24は各々、断熱部26たる空隙の一部分を規定している。このような構成によると、サーマルプリントヘッド501における中間層27を形成する必要がない。よって、本変形例のサーマルプリントヘッドは、製造の効率化を図るのに適する。
【0305】
<B1実施形態の第2変形例>
図80、
図81を用いて、本発明のB1実施形態の第2変形例について説明する。
【0306】
図80は、本発明のB1実施形態の第2変形例のサーマルプリントヘッドの部分断面図である。
図81は、本発明のB1実施形態の第2変形例のサーマルプリントヘッドの部分拡大断面図である。
【0307】
これらの図に示すサーマルプリントヘッド503は、基材11と、配線基板12と、放熱板13と、蓄熱部2と、複数の断熱部26と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、保護層6と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83とを備える。基材11と蓄熱部2とは、基板を構成している。
【0308】
サーマルプリントヘッド503は、凹部24が蓄熱部表面21に形成されているのではなく、基材11に形成されている点において、サーマルプリントヘッド501と異なる。サーマルプリントヘッド503では、蓄熱部2が、断熱部26の空隙の一部分を規定している。
【0309】
図示は省略するが、サーマルプリントヘッド503を形成する際、
図59に示した半導体基板19に凹部24を形成する。次に、半導体基板19の表面を熱酸化することにより、蓄熱部2が形成される。その後は、蓄熱部2に抵抗体層4’および電極層3’等を形成する工程を行うことにより、サーマルプリントヘッド503が製造される。
【0310】
このような構成によると、サーマルプリントヘッド501に関して述べた作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0311】
本変形例においては、複数の凹部24はそれぞれ、基材11に形成されている。このような構成によると、基材11により近接している位置に、断熱部26を配置することができる。よって、発熱部41にて発生した熱を十分に蓄熱部2へと伝える一方、蓄熱部2に伝わった熱を基材11へ逃すことをより防止できる。これにより、印刷媒体801への印刷品位を向上させることができる。また、発熱部41にて発生した熱を、より多く印刷媒体801へと伝えることが可能となると、サーマルプリントヘッド503の消費電力を削減できる。
【0312】
また、サーマルプリントヘッド503では、サーマルプリントヘッド501における中間層27を形成する必要がない。よって、サーマルプリントヘッド503は、製造の効率化を図るのに適する。
【0313】
<B1実施形態の第3変形例>
図82を用いて、本発明のB1実施形態の第3変形例について説明する。
【0314】
図82は、本発明のB1実施形態の第3変形例のサーマルプリントヘッドの部分拡大断面図である。
【0315】
これらの図に示すサーマルプリントヘッド504は、基材11と、配線基板12と、放熱板13と、蓄熱部2と、複数の断熱部26と、中間層27と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、保護層6と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83とを備える。基材11と蓄熱部2とは、基板を構成している。
【0316】
同図に示すサーマルプリントヘッド504は、駆動IC7が基材11に作りこまれている点において、上述のサーマルプリントヘッド501とは異なるが、その他の点については同様であるので、説明を省略する。なお、サーマルプリントヘッド504においては、基材11は、半導体材料よりなる。また、駆動IC7と電極層3とは、蓄熱部2を貫通するビアを介して導通している。このような構成によると、サーマルプリントヘッド504の部品点数を削減することができる。更に、サーマルプリントヘッド504は、サーマルプリントヘッド501に関して述べたのと同様の作用効果を奏する。
【0317】
<B2実施形態>
図83は、本発明のB2実施形態のサーマルプリンタの部分断面図である。
【0318】
同図に示すサーマルプリンタ800は、印刷媒体801に印刷を施す。印刷媒体801としては、たとえばバーコードシートやレシートを作成するための感熱紙が挙げられる。サーマルプリンタ800は、サーマルプリントヘッド506と、プラテンローラ802と、を備える。
【0319】
サーマルプリントヘッド506は、基材11と、配線基板12と、放熱板13と、中間体200と、複数の断熱部260(
図85〜
図87も参照)と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、保護層6と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83とを備える。基材11と中間体200とは、基板を構成している。
【0320】
基材11と、配線基板12と、放熱板13と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、保護層6と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83と、の各構成の説明は、サーマルプリントヘッド501について述べた説明を適用できるから、本実施形態では省略する。
【0321】
図84は、
図83に示したサーマルプリンタ800におけるサーマルプリントヘッド506の部分拡大平面図(一部構成省略)である。
図85は、
図83の部分拡大断面図である。
【0322】
図84、
図85に示すように、サーマルプリントヘッド506には、少なくとも一つの断熱部260が形成されている。少なくとも一つの断熱部260は、基板内に(基材11内あるいは中間体200内に)、形成されている。本実施形態では、少なくとも一つの断熱部260は、中間体200に形成されている。本実施形態とは異なり、少なくとも一つの断熱部260が、基材11内に形成されていてもよい。なお、本実施形態では、断熱部260の個数は複数である。
図84に示すように、複数の断熱部260は各々、厚さ方向Z視において、散在している。
【0323】
図86は、
図85の領域LXXVIの部分拡大図である。
【0324】
断熱部260は、中間体200よりも熱伝導率が小さい。本実施形態では、断熱部260は空隙であり、気体が充填された状態あるいは真空状態となっている。当該気体はたとえば空気である。断熱部260についての更なる説明は後述する。
【0325】
図85、
図86に示すように、中間体200は基材11上に位置している。中間体200は、基材11および抵抗体層4の間に介在している。中間体200は、基材11の基材表面111の全体を覆っている。
【0326】
図86に示すように、中間体200は、第1積層膜210と、第2積層膜220と、充填防止膜230と、蓄熱層250と、を含む。
【0327】
第1積層膜210は基材11に位置している。本実施形態では、第1積層膜210は、第2積層膜220を介して基材11に積層されている。第1積層膜210は、基材11と、蓄熱層250との間に介在している。第1積層膜210は、XY平面に沿って広がっている。第1積層膜210は、たとえば絶縁性の材料よりなる。第1積層膜210は、たとえば、SiO
2、あるいは、SiNよりなる。本実施形態では、後述のように、第1積層
膜210はプラズマ酸化(プラズマCVD)によって形成される。第1積層膜210の厚さ(厚さ方向Zにおける寸法)は、たとえば、2.0〜10.0μmである。
【0328】
第1積層膜210は第1積層膜表面211を有する。第1積層膜表面211は、基材11の厚さ方向Zの一方(方向Za)を向く。すなわち、第1積層膜表面211は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。第1積層膜表面211は、XY平面に沿って広がっている。
【0329】
本実施形態においては、第1積層膜210には、少なくとも一つの凹部240が形成されている。本実施形態においては、凹部240の個数は複数である。複数の凹部240はそれぞれ、第1積層膜表面211から凹んでいる。複数の凹部240はそれぞれ、厚さ方向Zのうち、電極層3の位置する側(
図85において上側)に開放している。
【0330】
図87は、
図86のLXXVII−LXXVII線に沿う矢視図(充填防止膜230を省略)である。
【0331】
同図に示すように、各凹部240は、厚さ方向Z視において、散在している。複数の断熱部260はそれぞれ、複数の凹部240のいずれかに配置されている。各凹部240は、厚さ方向Z視において、多角形状を呈する。そして、本実施形態では、各凹部240は、厚さ方向Z視に直交する平面による断面において、多角形状を呈する。特に本実施形態では、各凹部240は、厚さ方向Z視に直交する平面による断面において、正六角形状を呈する。そのため、複数の凹部240によって、ハニカム構造が形成されている。なお、
図87に示しているように、多角形(本実施形態では正六角形)の角は、丸くなっている。各凹部240の厚さ方向Z視に直交する平面による断面形状は正六角形状に限定されず、たとえば、円形状や三角形状であってもよい。各凹部240の開口部分の最大寸法L11は、たとえば、20〜30μmである。凹部240のピッチP1は、たとえば、22〜35μmである。
【0332】
図86に示すように、各凹部240は、凹部内面241を有する。凹部内面241は湾曲した形状となっている。凹部内面241は、上述の断熱部260を規定している。
【0333】
図84に示すように、複数の凹部240は、複数の第1凹部240Aと、複数の第2凹部240Bと、複数の第3凹部240Cと、複数の中間凹部240Dと、を含む。
図84では、凹部240を点線で示している。
【0334】
図84に示すように、複数の第1凹部240Aはそれぞれ、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のいずれか一つに重なっている。複数の第2凹部240Bはそれぞれ、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のいずれか一つに対し、第1方向Xa(本実施形態では
図84の下側)に離間した位置に形成されている。複数の第3凹部240Cはそれぞれ、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のいずれか一つに対し、第2方向Xb(本実施形態では
図84の上側)に離間した位置に形成されている。また、複数の第3凹部240Cはそれぞれ、複数の発熱部41のいずれか一つに対し、複数の第2凹部240Bの位置する側とは反対側に位置している。複数の中間凹部240Dはそれぞれ、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のうち互いに離間する2つの発熱部41の間に位置している。
【0335】
複数の第1凹部240A、複数の第2凹部240B、複数の第3凹部240C、複数の中間凹部240Dのいずれかには、複数の断熱部260がそれぞれ、配置されている。
【0336】
サーマルプリントヘッド506において、第2凹部240B、第3凹部240C、中間凹部240Dが形成されている必要は必ずしもない。すなわち、複数の第1凹部240Aが、厚さ方向Z視において発熱部41と重なる位置にのみ形成されていてもよい。また、たとえば、サーマルプリントヘッド506にて、第2凹部240B、第3凹部240C、および中間凹部240Dの少なくともいずれかと、第1凹部240Aと、が形成されていてもよい。
【0337】
図86、
図87に示すように、第1積層膜210は壁213を有する。
【0338】
壁213は、複数の断熱部260を互いに仕切っている。壁213は、厚さ方向Zに起立した形状である。壁213は、充填防止膜230に接している。壁213は、凹部240における凹部内面241を構成している。壁213の最も細い部分の幅は、たとえば、2〜5μmである。壁213は、厚さ方向Zにおいて、抵抗体層4から遠ざかるほど大きくなっている。たとえば、壁213の最もZb側(
図86の最も下側)における壁213の幅W12は、壁213の最も方向Za側(
図86の最も上側)における、壁213の幅W11の1.5〜3.0倍程度である。壁213が厚さ方向Zにおいて、抵抗体層4から遠ざかるほど大きくなっているのは、凹部240がウェットエッチングによって形成される(後述)ためである。
【0339】
図86に示すように、第2積層膜220は基材11に積層されている。第2積層膜220は、基材11と、第1積層膜210との間に介在している。第2積層膜220は、XY平面に沿って広がっている。第2積層膜220は、たとえば絶縁性の材料よりなる。第2積層膜220は、基材11における基材表面111に直接接しており、また、第1積層膜210に直接接している。本実施形態では、後述のように、第2積層膜220は、熱酸化によって形成される。第2積層膜220が熱酸化によって形成される場合、第2積層膜220は、基材11を構成する材料の酸化物よりなる。基材11がSiよりなる場合には、第2積層膜220はSiO
2よりなる。第2積層膜220の厚さ(厚さ方向Zにおける寸法)は、たとえば、0.5〜1.5μmである。第2積層膜220は、第1積層膜210が基材11から剥離することを防止するために形成されている。本実施形態とは異なり、サーマルプリントヘッド506に、第2積層膜220が形成されていなくてもよい。
【0340】
図86に示すように、充填防止膜230は第1積層膜210に積層されている。充填防止膜230は、凹部240に蓄熱層250が充填されてしまうことを防止するためのものである。本実施形態では、充填防止膜230は凹部240を形成するためのマスクとしても機能する。充填防止膜230は、第1積層膜210と、蓄熱層250との間に介在している。充填防止膜230は、XY平面に沿って広がっている。充填防止膜230は、たとえば絶縁性の材料よりなる。充填防止膜230は、第1積層膜210と、蓄熱層250とに直接接している。本実施形態では、後述のように、充填防止膜230は、熱CVDによって形成される。充填防止膜230は、たとえば、SiNあるいはポリシリコンよりなる。充填防止膜230の厚さ(厚さ方向Zにおける寸法)は、たとえば、0.1〜0.3μmである。なお、B1実施形態の中間層27が凹部240に形成されている場合には、サーマルプリントヘッド506に、充填防止膜230が形成されていなくてもよい。
【0341】
充填防止膜230は、充填防止膜表面231および充填防止膜裏面232を有する。
【0342】
充填防止膜表面231は、基材11の厚さ方向Zの一方(方向Za)を向く。すなわち、充填防止膜表面231は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。充填防止膜表面231は、XY平面に沿って広がっている。充填防止膜表面231は蓄熱層250に直接接している。
【0343】
充填防止膜裏面232は、基材11の厚さ方向Zの一方(方向Zb)を向く。すなわち、充填防止膜裏面232は、抵抗体層4の位置する側とは反対側を向く面である。充填防止膜裏面232は、XY平面に沿って広がっている。充填防止膜裏面232は第1積層膜210に直接接している。また、充填防止膜裏面232は断熱部260の一部を規定している。
【0344】
充填防止膜230には、複数の貫通穴235が形成されている。
【0345】
各貫通穴235は充填防止膜230を貫通している。具体的には、各貫通穴235は、充填防止膜表面231から充填防止膜裏面232へと貫通している。各貫通穴235は厚さ方向Zに沿って延びている。複数の貫通穴235は各々、複数の凹部240のいずれか一つに通じている。
【0346】
図88は、
図86のLXXVIII−LXXVIII線に沿う矢視図(壁213、凹部240、断熱部260を透視化)である。
【0347】
各貫通穴235の厚さ方向Z視の形状によって、厚さ方向Z視に直交する平面による断面における凹部240の形状が決定される。そのため、各貫通穴235の厚さ方向Z視の形状は、厚さ方向Z視に直交する平面による断面における凹部240の形状と、相似している。本実施形態では、各凹部240は、厚さ方向Z視に直交する平面による断面において、正六角形状を呈するから、
図88に示すように、各貫通穴235の厚さ方向Z視の形状も、正六角形状である。各貫通穴235の開口部分の最大寸法L12は、凹部240における寸法L11よりも小さく、たとえば、0.1〜1.0μmである。貫通穴235のピッチP2は、凹部240のピッチP1と同一であり、たとえば、22〜35μmである。
【0348】
図86に示すように、蓄熱層250は充填防止膜230に積層されている。蓄熱層250は、発熱部41にて発生した熱を蓄えるためのものである。蓄熱層250は、第1積層膜210と、抵抗体層4との間に介在している。蓄熱層250は、XY平面に沿って広がっている。蓄熱層250は、たとえば絶縁性の材料よりなる。蓄熱層250は、充填防止膜230と、抵抗体層4とに直接接している。蓄熱層250は、SiO2、あるいは、SiNよりなる。本実施形態では、後述のように、蓄熱層250はプラズマ酸化(プラズマCVD)によって形成される。蓄熱層250の厚さ(厚さ方向Zにおける寸法)は、たとえば、1.0〜10.0μmである。蓄熱層250は貫通穴235を塞いでいる。そして本実施形態では、蓄熱層250の一部は貫通穴235に形成されている。蓄熱層250と基材11との間には、断熱部260が介在している。すなわち、蓄熱層250に対して基材11の位置する側に、断熱部260が位置している。
【0349】
蓄熱層250は蓄熱層表面251を有する。蓄熱層表面251は方向Zaを向く。すなわち、蓄熱層表面251は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。本実施形態では、蓄熱層表面251は全体にわたって平坦である。
【0350】
次に、サーマルプリントヘッド506の製造方法の一例について簡単に説明する。本実施形態においてサーマルプリントヘッド506を製造するには、半導体プロセスを用いる。
【0351】
まず、
図89に示すように、半導体基板19を用意する。本実施形態において半導体基板19はSiよりなる。次に、
図90に示すように、半導体基板19の表面を熱酸化する。これにより、基材11に積層された第2積層膜220(本実施形態ではSiO
2層)が
形成される。図示することは省略するが、基材11の裏面にもSiO
2層が形成される。
【0352】
次に、
図91に示すように、第2積層膜220上に、第1積層膜210’を形成する。第1積層膜210’を形成はプラズマ酸化(プラズマCVD)によって形成する。
【0354】
次に、
図92、
図93に示すように、第1積層膜210’上に充填防止膜230’を形成する。充填防止膜230’は熱CVDによって形成する。
【0355】
次に、
図94に示すように、充填防止膜230’に複数の貫通穴235を形成する。貫通穴235を形成するには、たとえば次の通りの手順で行う。まず、充填防止膜230’の表面にレジスト層(図示略)を形成する。次に、当該レジスト層に対して露光する等して、レジスト層のうち、貫通穴235が形成されるべき部位に重なる領域を除去する。次に、ドライエッチング(異方性エッチング)を行い、貫通穴235を形成する。貫通穴235を形成した後、レジスト層を除去する。
【0356】
次に、
図95に示すように、第1積層膜210’に、少なくとも一つ(本実施形態では複数)の凹部240を形成する。凹部240は、ウェットエッチングによって形成する。ウェットエッチングにはエッチング溶液を用いる。エッチング溶液は、貫通穴235を通って、第1積層膜210がエッチングされる。そのため、貫通穴235の
図95の下方に、凹部240が1つずつ形成される。エッチング時間を調整することにより、凹部240の大きさ(すなわち、壁213の幅)を調整できる。エッチング溶液としては、たとえば、フッ酸あるいはバッファードフッ酸を用いる。
【0358】
次に、
図96、
図97に示すように、充填防止膜230上に蓄熱層250を形成する。蓄熱層250は、たとえば、プラズマ酸化(プラズマCVD)によって行う。蓄熱層250を形成する際、蓄熱層250が貫通穴235を塞ぐ。そして、本実施形態においては、蓄熱層250の一部は貫通穴235に形成される。
【0359】
その後は、
図64〜
図76を参照して説明した方法と同様に、抵抗体層4、絶縁層5、電極層3、および保護層6を形成する等により、サーマルプリントヘッド506が製造される。
【0360】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0361】
本実施形態においては、少なくとも一つ(本実施形態では複数)の断熱部260のいずれか一つは、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のいずれか一つに重なっており、且つ、基板(基材11あるいは中間体200)内に形成されている。このような構成によれば、断熱部260が、発熱部41にて発生した熱が基材11に伝わることを抑制する。その結果、基材11を構成する材料の熱伝導率が大きくても発熱部41にて発生した熱が基材11に逃げてしまうことを防止でき、発熱部41にて発生した熱を、より多く印刷媒体801へと伝えることが可能となる。これにより、印刷媒体801への印刷品位を向上させることができる。また、発熱部41にて発生した熱を、より多く印刷媒体801へと伝えることが可能となると、サーマルプリントヘッド506の消費電力を削減できる。
【0362】
本実施形態においては、中間体200は、蓄熱層250を有する。少なくとも一つの断熱部260は各々、蓄熱層250と基材11との間に介在している。このような構成によると、断熱部260は、発熱部41にて発生した熱が蓄熱層250へと伝導することを、妨げない。よって、蓄熱層250がより多くの熱を蓄えることができる。このことは、サーマルプリントヘッド506の印刷品位の向上を図るのに適する。このように本実施形態では、蓄熱する箇所と断熱する箇所とを分離することができる。
【0363】
本実施形態においては、第1積層膜210は、複数の断熱部260を互いに仕切る壁213を有する。壁213は、厚さ方向Zに沿って起立している。このような構成によると、壁213が充填防止膜230に接合した状態で支持する。そのため、充填防止膜230が撓んだり、あるいは、サーマルプリントヘッド506の製造の際に第1積層膜210から剥離したりすることを防止できる。
【0364】
本実施形態においては、複数の凹部240はいずれも、厚さ方向Zに直交する平面による断面において、多角形状を呈する。このような構成によると、開口率(厚さ方向Z視における、単位面積当たりの凹部240の面積)をより大きくするのに適する。その結果、発熱部41にて発生した熱が基材11に逃げてしまうことをより効果的に防止でき、発熱部41にて発生した熱を、更に多く印刷媒体801へと伝えることが可能となる。これにより、印刷媒体801への印刷品位を更に向上させることができる。また、発熱部41にて発生した熱を、更に多く印刷媒体801へと伝えることが可能となると、サーマルプリントヘッド506の消費電力を更に削減できる。
【0365】
本実施形態においては、複数の凹部240はいずれも、厚さ方向Zに直交する平面による断面において、正六角形状を呈する。すなわち、サーマルプリントヘッド506にはハニカム構造が形成されている。このような構成によると、開口率をより大きくするのに更に適する。したがって、開口率を大きくすることによって享受できる上述の利点を、更に効果的に享受することができる。
【0366】
仮に、プラズマ酸化によって基材11上に第1積層膜210を直接形成した場合、第1積層膜210が基材11から剥離するおそれがある。本実施形態においては、中間体200は、第2積層膜220を有する。少なくとも一つの断熱部260は、第2積層膜220と、蓄熱層250と、の間に位置している。第2積層膜220と第1積層膜210とは、比較的強固に接合される。そのため、第1積層膜210が基材11から剥離することを防止できる。
【0367】
本実施形態においては、中間体200は、第1積層膜210と蓄熱層250との間に介在する充填防止膜230を有する。充填防止膜230には、充填防止膜230を貫通する複数の貫通穴235が形成されている。このような構成によると、蓄熱層250が凹部240に充填されることを防止できる。このことは、空隙である断熱部260を形成するのに適する。
【0368】
本実施形態においては、複数の凹部240は、複数の第2凹部240Bを含む。複数の第2凹部240Bは各々、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のいずれか一つに対し、副走査方向Xに離間した位置に形成されている。複数の第2凹部240Bにはそれぞれ、複数の断熱部260のいずれか一つが配置されている。このような構成によると、第2凹部240Bよりも第1方向Xa側に熱が伝わってしまうことを防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できる。その結果、印刷媒体801への印字のにじみの発生を抑制できる。また、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できることにより、発熱部41の発熱効率を向上させることができる。これにより、印刷媒体801への印字を濃くすることができ、印刷品位の向上を図ることができる。
【0369】
本実施形態においては、複数の凹部240は、複数の第3凹部240Cを含む。複数の第3凹部240Cは各々、副走査方向Xにおいて、複数の発熱部41のいずれか一つに対し、複数の第2凹部240Bの位置する側とは反対側に位置する。複数の第3凹部240Cにはそれぞれ、複数の断熱部260のいずれか一つが配置されている。このような構成によると、第3凹部240Cよりも第2方向Xb側に熱が伝わってしまうことを防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できる。その結果、印刷媒体801への印字のにじみの発生を抑制できる。また、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できることにより、発熱部41の発熱効率を向上させることができる。これにより、印刷媒体801への印字を濃くすることができ、印刷品位の向上を図ることができる。
【0370】
本実施形態においては、複数の凹部240は、複数の中間凹部240Dを含む。複数の中間凹部240Dは各々、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のうち互いに隣接する2つの発熱部41の間に位置する。複数の中間凹部240Dにはそれぞれ、複数の断熱部260のいずれか一つが配置されている。このような構成によると、ある発熱部41にて発生した熱が、中間体200を経由して、中間体200における、当該発熱部41に隣接する発熱部41の形成された領域に伝わることを防止できる。これにより、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できる。その結果、印刷媒体801への印字のにじみの発生を抑制できる。また、印刷媒体801における所望の領域以外の領域に熱が伝わることを防止できることにより、発熱部41の発熱効率を向上させることができる。これにより、印刷媒体801への印字を濃くすることができ、印刷品位の向上を図ることができる。
【0371】
本実施形態においては、サーマルプリントヘッド506は絶縁層5を備える。絶縁層5は、電極層3および発熱部41の間に介在している部分を有する。このような構成によると、電極層3と発熱部41とが接触する領域を小さくすることができる。そうすると、発熱部41に電流が流れて発熱した際に、電極層3と発熱部41とが共晶してしまう領域を小さくすることができる。電極層3と発熱部41とが共晶する領域を小さくできると、サーマルプリントヘッド506の使用時に、サーマルプリントヘッド506の抵抗値が変化してしまう不具合を抑制できる。
【0372】
本実施形態においては、絶縁層5は、第1介在部51と第2介在部52とを有する。第1介在部51は、第1導電部31および発熱部41の間に介在している。このような構成によると、第1導電部31と発熱部41とが共晶することを、抑制できる。本実施形態においては、第2介在部52は、第2導電部32および発熱部41の間に介在している。このような構成によると、第2導電部32と発熱部41とが共晶することを、抑制できる。第1導電部31と発熱部41とが共晶すること、または、第2導電部32と発熱部41とが共晶することを防止できると、電極層3と発熱部41とが共晶する領域を小さくできる。これにより、サーマルプリントヘッド506の使用時に、サーマルプリントヘッド506の抵抗値が変化してしまう不具合を抑制できる。
【0373】
仮に、電極層3が抵抗体層4と中間体200との間に介在している場合には、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱は、電極層3に逃げてしまうおそれがある。電極層3に逃げてしまった熱は、印刷媒体801への伝熱には寄与しない。一方、本実施形態においては、抵抗体層4は、電極層3および中間体200の間に介在している。このような構成によると、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱が電極層3に伝わっても、電極層3に伝わった熱は、印刷媒体801への伝熱に寄与しうる。そのため、発熱部41にて発生した熱をより効率的に、印刷媒体801に伝えることができる。すなわち、サーマルプリントヘッド506における印刷媒体801に接触する部位(保護層6)を、より速く、高温にすることが可能となる。これにより、印刷媒体801への高速印字が可能となる。
【0374】
本実施形態では、基材11は、Siよりなる。Siは、熱伝導率が大きいため、発熱部41にて発生した熱を、より速く基材11の外部(本実施形態では放熱板13)へと伝えることができる。そのため、高温になった発熱部41の温度を、より速く、低下させることができる。このことは、印刷媒体801への印字の高速化に適する。
【0375】
本実施形態では、保護層6における貫通窓61は、保護層6’をエッチングすることにより形成される。そうすると、保護層6における所望の部位に貫通窓61を形成することができるから、電極層3のうち保護層6に覆われていない部分を、封止樹脂82とは別の樹脂層(ソルダーレジスト層)で覆う必要がない。別の樹脂層(ソルダーレジスト層)を形成する必要がないことは、サーマルプリントヘッド506の製造効率の向上を図るのに適する。
【0376】
<B2実施形態の第1変形例>
図98は、本発明のB2実施形態の第1変形例のサーマルプリントヘッドの部分拡大断面図である。
【0377】
これらの図に示すサーマルプリントヘッド507は、基材11と、配線基板12と、放熱板13と、中間体200と、一つの断熱部260と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、保護層6と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83とを備える(一部は
図98では略。
図83〜
図86等参照)。基材11と中間体200とは、基板を構成している。
【0378】
基材11と、配線基板12と、放熱板13と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、保護層6と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83と、の各構成の説明は、サーマルプリントヘッド506について述べた説明を適用できるから、本変形例では省略する。
【0379】
サーマルプリントヘッド507には、少なくとも一つの断熱部260が形成されている。少なくとも一つの断熱部260は、基板内に(基材11内あるいは中間体200内に)、形成されている。本変形例では、少なくとも一つの断熱部260は、中間体200に形成されている。本変形例とは異なり、少なくとも一つの断熱部260が、基材11内に形成されていてもよい。なお、本変形例では、断熱部260の個数は1である。
【0380】
断熱部260は、中間体200よりも熱伝導率が小さい。本変形例では、断熱部260は空隙であり、気体が充填された状態あるいは真空状態となっている。当該気体はたとえば空気である。断熱部260についての更なる説明は後述する。
【0381】
中間体200は基材11上に配置されている。中間体200は、基材11および抵抗体層4の間に介在している。中間体200は、基材11の基材表面111の全体を覆っている。
【0382】
中間体200は、第1積層膜210と、第2積層膜220と、充填防止膜230と、蓄熱層250と、を含む。
【0383】
第1積層膜210には、凹部240が一つのみ形成されている点、および、壁213が形成されていない点、を除き、サーマルプリントヘッド506における第1積層膜210と同様であるから説明を省略する。なお、凹部240を一つのみ形成するには、凹部240を形成するためのウェットエッチングをする時間を長くするとよい。
【0384】
第2積層膜220、充填防止膜230、および蓄熱層250は、サーマルプリントヘッド506におけるものと同様であるから説明を省略する。
【0385】
次に、本変形例の作用効果について説明する。
【0386】
本変形例においては、断熱部260は、厚さ方向Z視において、複数の発熱部41のいずれか一つに重なっており、且つ、基板(基材11あるいは中間体200)内に形成されている。このような構成によれば、断熱部260が、発熱部41にて発生した熱が基材11に伝わることを抑制する。その結果、基材11を構成する材料の熱伝導率が大きくても発熱部41にて発生した熱が基材11に逃げてしまうことを防止でき、発熱部41にて発生した熱を、より多く印刷媒体801へと伝えることが可能となる。これにより、印刷媒体801への印刷品位を向上させることができる。また、発熱部41にて発生した熱を、より多く印刷媒体801へと伝えることが可能となると、サーマルプリントヘッド507の消費電力を削減できる。
【0387】
本変形例においては、中間体200は、蓄熱層250を有する。断熱部260は、蓄熱層250と基材11との間に介在している。このような構成によると、断熱部260は、発熱部41にて発生した熱が蓄熱層250へと伝導することを、妨げない。よって、蓄熱層250がより多くの熱を蓄えることができる。このことは、サーマルプリントヘッド507の印刷品位の向上を図るのに適する。
【0388】
仮に、プラズマ酸化によって基材11上に第1積層膜210を直接形成した場合、第1積層膜210が基材11から剥離するおそれがある。本変形例においては、中間体200は、第2積層膜220を有する。断熱部260は、第2積層膜220と、蓄熱層250と、の間に位置している。第2積層膜220と第1積層膜210とは、比較的強固に接合される。そのため、第1積層膜210が基材11から剥離することを防止できる。
【0389】
本変形例においては、中間体200は、第1積層膜210と蓄熱層250との間に介在する充填防止膜230を有する。充填防止膜230には、充填防止膜230を貫通する複数の貫通穴235が形成されている。このような構成によると、蓄熱層250が凹部240に充填されることを防止できる。このことは、空隙である断熱部260を形成するのに適する。
【0390】
本変形例においては、サーマルプリントヘッド507は絶縁層5を備える。絶縁層5は、電極層3および発熱部41の間に介在している部分を有する。このような構成によると、電極層3と発熱部41とが接触する領域を小さくすることができる。そうすると、発熱部41に電流が流れて発熱した際に、電極層3と発熱部41とが共晶してしまう領域を小さくすることができる。電極層3と発熱部41とが共晶する領域を小さくできると、サーマルプリントヘッド507の使用時に、サーマルプリントヘッド507の抵抗値が変化してしまう不具合を抑制できる。
【0391】
本変形例においては、絶縁層5は、第1介在部51と第2介在部52とを有する。第1介在部51は、第1導電部31および発熱部41の間に介在している。このような構成によると、第1導電部31と発熱部41とが共晶することを、抑制できる。本変形例においては、第2介在部52は、第2導電部32および発熱部41の間に介在している。このような構成によると、第2導電部32と発熱部41とが共晶することを、抑制できる。第1導電部31と発熱部41とが共晶すること、または、第2導電部32と発熱部41とが共晶することを防止できると、電極層3と発熱部41とが共晶する領域を小さくできる。これにより、サーマルプリントヘッド507の使用時に、サーマルプリントヘッド507の抵抗値が変化してしまう不具合を抑制できる。
【0392】
仮に、電極層3が抵抗体層4と中間体200との間に介在している場合には、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱は、電極層3に逃げてしまうおそれがある。電極層3に逃げてしまった熱は、印刷媒体801への伝熱には寄与しない。一方、本変形例においては、抵抗体層4は、電極層3および中間体200の間に介在している。このような構成によると、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱が電極層3に伝わっても、電極層3に伝わった熱は、印刷媒体801への伝熱に寄与しうる。そのため、発熱部41にて発生した熱をより効率的に、印刷媒体801に伝えることができる。すなわち、サーマルプリントヘッド507における印刷媒体801に接触する部位(保護層6)を、より速く、高温にすることが可能となる。これにより、印刷媒体801への高速印字が可能となる。
【0393】
本変形例では、基材11は、Siよりなる。Siは、熱伝導率が大きいため、発熱部41にて発生した熱を、より速く基材11の外部(本変形例では放熱板13)へと伝えることができる。そのため、高温になった発熱部41の温度を、より速く、低下させることができる。このことは、印刷媒体801への印字の高速化に適する。
【0394】
本変形例では、保護層6における貫通窓61は、保護層6’をエッチングすることにより形成される。そうすると、保護層6における所望の部位に貫通窓61を形成することができるから、電極層3のうち保護層6に覆われていない部分を、封止樹脂82とは別の樹脂層(ソルダーレジスト層)で覆う必要がない。別の樹脂層(ソルダーレジスト層)を形成する必要がないことは、サーマルプリントヘッド507の製造効率の向上を図るのに適する。
【0395】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0396】
図51〜
図98、および、これらの図を参照した説明にて開示された発明のバリエーションを、以下に付記として示す。
[付記1]
基板と、
前記基板に形成された抵抗体層と、
前記基板に形成され且つ前記抵抗体層に導通する電極層と、
少なくとも一つの断熱部と、を備え、
前記抵抗体層は、前記基板の厚さ方向視において、前記電極層のうち互いに離間した2つの部位に各々が跨る複数の発熱部を含み、
前記少なくとも一つの断熱部のいずれか一つは、前記基板の厚さ方向視において、前記複数の発熱部のいずれか一つに重なっており、且つ、前記基板内に形成されている、サーマルプリントヘッド。
[付記2]
前記少なくとも一つの断熱部の個数は、複数であり、
前記基板には、複数の凹部が形成され、前記複数の凹部は、前記基板の厚さ方向視において、前記複数の発熱部のいずれか一つに各々が重なる複数の第1凹部を含み、
前記複数の第1凹部にはそれぞれ、前記複数の断熱部のいずれか一つが配置されている、付記1に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記3]
前記複数の断熱部は各々、空隙である、付記2に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記4]
前記空隙は、気体が充填された状態あるいは真空状態になっている、付記3に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記5]
前記複数の断熱部は各々、前記基板の厚さ方向視において、散在している、付記2ないし付記4のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記6]
前記基板の厚さ方向視における前記複数の発熱部のいずれか一つ発熱部の面積に対する、前記複数の凹部のうち、前記基板の厚さ方向視において当該発熱部に重なる複数の凹部の占める面積の割合は、50〜95%である、付記5に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記7]
前記複数の凹部は、前記基板の厚さ方向のうち、前記電極層の位置する側に開放している、付記2ないし付記6のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記8]
前記複数の凹部は、複数の第2凹部を含み、前記複数の第2凹部は各々、前記基板の厚さ方向視において、前記複数の発熱部のいずれか一つに対し、副走査方向に離間した位置に形成され、
前記複数の第2凹部にはそれぞれ、前記複数の断熱部のいずれか一つが配置されている、付記2ないし付記7のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記9]
前記複数の第2凹部の各々の深さは、前記複数の第1凹部のいずれか一つの深さよりも深い、付記8に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記10]
前記複数の凹部は、複数の第3凹部を含み、前記複数の第3凹部は各々、副走査方向において、前記複数の発熱部のいずれか一つに対し、前記複数の第2凹部の位置する側とは反対側に位置し、
前記複数の第3凹部にはそれぞれ、前記複数の断熱部のいずれか一つが配置されている、付記8または付記9に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記11]
前記複数の第3凹部の各々の深さは、前記複数の第1凹部のいずれか一つの深さよりも深い、付記10に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記12]
前記複数の凹部は、複数の中間凹部を含み、前記複数の中間凹部は各々、前記基板の厚さ方向視において、前記複数の発熱部のうち互いに隣接する2つの発熱部の間に位置し、
前記複数の中間凹部にはそれぞれ、前記複数の断熱部のいずれか一つが配置されている、付記2ないし付記11のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記13]
前記複数の中間凹部の各々の深さは、前記複数の第1凹部のいずれか一つの深さよりも深い、付記12に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記14]
前記基板は、基材と、前記基材に形成された蓄熱部と、を含む、付記2ないし付記13のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記15]
前記蓄熱部は、前記抵抗体層の位置する側を向く蓄熱部表面を有する、付記14に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記16]
前記複数の凹部はそれぞれ、前記蓄熱部表面から凹んでいる、付記15に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記17]
前記複数の凹部に少なくとも一部が配置された中間層を更に備え、
前記中間層は、前記空隙を規定する内側面を有する、付記3または付記4に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記18]
前記基板は、基材と、前記基材に形成された蓄熱部と、を含み、
前記蓄熱部は、前記抵抗体層の位置する側を向く蓄熱部表面を有し、
前記中間層は、前記蓄熱部表面を覆い且つ前記複数の発熱部のいずれか一つと前記蓄熱部との間に位置する部位を有する、付記17に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記19]
前記中間層は、前記抵抗体層に直接接している、付記17または付記18に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記20]
前記複数の凹部は各々、前記空隙の一部分を規定している、付記3または付記4に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記21]
前記抵抗体層は、前記空隙の一部分を規定している、付記20に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記22]
前記基板は、基材と、前記基材に形成された蓄熱部と、を含み、
前記複数の凹部はそれぞれ、前記基材に形成されている、付記3または付記4に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記23]
前記蓄熱部は各々、前記空隙の一部分を規定している、付記22に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記24]
前記抵抗体層は、前記電極層および前記蓄熱部の間に介在している、付記15または付記16に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記25]
前記基板は、半導体材料よりなる、付記2ないし付記24のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記26]
前記抵抗体層と前記電極層とを覆う保護層を更に備える、付記2ないし付記25のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記27]
配線基板と、
複数のワイヤと、
前記配線基板、前記複数のワイヤ、および、前記保護層を覆う樹脂層と、を更に備える、付記26に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記28]
前記保護層には、貫通窓が形成されており、
前記電極層は、前記貫通窓から露出するボンディング部を含み、
前記ボンディング部には、前記複数のワイヤのいずれかがボンディングされている、付記27に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記29]
前記樹脂層は、前記保護層に直接接している、付記27または付記28に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記30]
前記電極層に電流を流す駆動ICを更に備え、
前記駆動ICは、前記基板内に作りこまれている、付記2ないし付記29のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記31]
前記電極層に電流を流す駆動ICを更に備え、前記駆動ICは、前記配線基板に搭載されている、付記27ないし付記29のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記32]
前記抵抗体層は、ポリシリコン、TaSiO
2、および、TiONの少なくともいずれ
かよりなる、付記2ないし付記31のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記33]
前記電極層は、Au、Ag、Cu、Cr、Al−Si、および、Tiの少なくともいずれかよりなる、付記2ないし付記32のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記34]
前記基板を支持する放熱板を更に備える、付記2ないし付記33のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記35]
付記2ないし付記34のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドと、
前記サーマルプリントヘッドに正対するプラテンローラと、を備える、サーマルプリンタ。
[付記36]
前記少なくとも一つの断熱部は各々、空隙である、付記1に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記37]
前記空隙は、気体が充填された状態あるいは真空状態になっている、付記36に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記38]
前記基板は、基材と、中間体と、を含み、前記中間体は、前記基材および前記抵抗体層の間に介在しており、
前記少なくとも一つの断熱部は、前記中間体内に形成されている、付記36または付記37に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記39]
前記中間体は、蓄熱層を有し、前記少なくとも一つの断熱部は各々、前記蓄熱層と前記基材との間に介在している、付記38に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記40]
前記中間体は、第1積層膜を有し、前記第1積層膜は、前記蓄熱層と前記基材との間に介在しており、
前記少なくとも一つの断熱部は各々、前記第1積層膜内に形成されている、付記39に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記41]
前記第1積層膜には、少なくとも一つの凹部が形成され、
前記少なくとも一つの凹部のいずれか一つには、前記少なくとも一つの断熱部が配置されている、付記40に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記42]
前記第1積層膜は、前記抵抗体層の位置する側を向く第1積層膜表面を有し、
前記少なくとも一つの凹部は各々、前記第1積層膜表面から凹んでいる、付記41に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記43]
前記少なくとも一つの断熱部の個数は複数であり、
前記第1積層膜は、前記複数の断熱部を互いに仕切る壁を有し、
前記壁は、前記基板の厚さ方向に沿って起立している、付記40ないし付記42のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記44]
前記壁の幅は、前記基板の厚さ方向において前記電極層から遠ざかるほど、大きくなる、付記43に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記45]
前記壁の最も細い部分の幅は、2〜5μmである、付記43または付記44に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記46]
前記少なくとも一つの凹部の個数は複数である、付記41に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記47]
前記複数の凹部はいずれも、前記基板の厚さ方向に直交する平面による断面において、多角形状を呈する、付記46に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記48]
前記複数の凹部はいずれも、前記基板の厚さ方向に直交する平面による断面において、正六角形状を呈する、付記47に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記49]
前記複数の凹部のいずれか一つの開口部分の最大寸法は、20〜30μmである、付記47または付記48に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記50]
前記中間体は、第2積層膜を有し、前記少なくとも一つの断熱部は、前記第2積層膜と、前記蓄熱層と、の間に位置している、付記40に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記51]
前記中間体は、前記第1積層膜と前記蓄熱層との間に介在する充填防止膜を有し、
前記充填防止膜には、前記充填防止膜を貫通する複数の貫通穴が形成されている、付記41に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記52]
前記複数の貫通穴は各々、前記複数の凹部のいずれかに通じている、付記51に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記53]
前記複数の貫通穴は各々、前記蓄熱層に塞がれている、付記52に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記54]
前記複数の貫通穴の形状は、前記基板の厚さ方向に直交する平面による断面における、前記複数の凹部の形状と、相似している、付記51ないし付記53のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記55]
前記複数の貫通穴のいずれか一つの最大寸法は、0.1〜1.0μmである、付記51ないし付記54のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記56]
前記基板は、半導体材料よりなる、付記36ないし付記55のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記57]
前記抵抗体層と前記電極層とを覆う保護層を更に備える、付記36ないし付記56のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記58]
配線基板と、
複数のワイヤと、
前記配線基板、前記複数のワイヤ、および、前記保護層を覆う樹脂層と、を更に備える、付記57に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記59]
前記保護層には、貫通窓が形成されており、
前記電極層は、前記貫通窓から露出するボンディング部を含み、
前記ボンディング部には、前記複数のワイヤのいずれかがボンディングされている、付記58に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記60]
前記樹脂層は、前記保護層に直接接している、付記58または付記59に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記61]
前記電極層に電流を流す駆動ICを更に備える、付記36ないし付記60のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記62]
前記抵抗体層は、ポリシリコン、TaSiO
2、および、TiONの少なくともいずれ
かよりなる、付記36ないし付記61のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記63]
前記電極層は、Au、Ag、Cu、Cr、Al−Si、および、Tiの少なくともいずれかよりなる、付記36ないし付記62のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記64]
前記基板を支持する放熱板を更に備える、付記36ないし付記63のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記65]
付記36ないし付記64のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドと、
前記サーマルプリントヘッドに正対するプラテンローラと、を備える、サーマルプリンタ。
【0397】
<C1実施形態>
図99〜
図119を用いて本発明のC1実施形態について説明する。
【0398】
図99は、本発明のC1実施形態のサーマルプリントヘッドの平面図である。
図100は、
図99のC−C線に沿う断面図である。
【0399】
これらの図に示すサーマルプリントヘッド101は、基材11と、配線基板12と、放熱板13と、蓄熱層2と、電極層3と、抵抗体層4と、絶縁層5と、保護層6(
図99では省略)と、駆動IC7と、複数のワイヤ81と、封止樹脂82と、コネクタ83とを備える。サーマルプリントヘッド101は、印刷媒体801に印刷を施すプリンタに組み込まれるものである。このような印刷媒体801としては、たとえばバーコードシートやレシートを作成するための感熱紙が挙げられる。
【0400】
図100に示す放熱板13は、基材11からの熱を放散させるためのものである。放熱板13は、たとえばAlなどの金属よりなる。放熱板13には基材11および配線基板12が取り付けられている。
【0401】
基材11は板状を呈している。本実施形態においては、基材11は半導体材料よりなる。基材11を構成する半導体材料としては、たとえば、Si、SiC、GaP、GaAs、InP、およびGaNが挙げられる。本実施形態においては、基材11は半導体材料よりなるが、基材11は半導体材料からなっていなくてもよい。たとえば、基材11は、セラミックなどの絶縁材料よりなっていてもよい。本実施形態において、基材11を構成する材料の熱伝導率は、100〜300(W/m・k)である。本実施形態においては、蓄熱層2(後述)の熱伝導率と基材11の熱伝導率との比は、1:100〜600である。基材11の厚さは、たとえば0.625〜0.720mmである。
図99に示すように、基材11は、主走査方向Yに長く延びる平板状である。基材11の幅(基材11の副走査方向Xにおける寸法)は、たとえば、3〜20mmである。基材11の主走査方向Yにおける寸法は、たとえば、10〜300mmである。
【0402】
図101は、
図99に示したサーマルプリントヘッド101の部分拡大平面図(一部構成省略)である。
図101では、絶縁層5、保護層6の一部、および、封止樹脂82を省略している。また、
図102は、
図99に示したサーマルプリントヘッド101の部分拡大断面図(
図101のCII−CII線に沿う断面の一部を拡大したもの)である。
【0403】
図102に示すように、基材11は基材表面111を有する。基材表面111は、方向Xと方向Yとに広がる平面状である。基材表面111は、方向Yに沿って長手状に延びる。基材表面111は、基材11の厚さ方向Zの一方(以下、方向Zaと言う。
図102では上方)を向く。すなわち、基材表面111は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。
【0404】
図100、
図102に示すように、蓄熱層2は基材11に形成されている。蓄熱層2は、基材11の基材表面111の全体を覆っている。蓄熱層2は、発熱部41(後述)にて発生した熱を蓄えるためのものである。蓄熱層2の熱伝導率は、たとえば、0.5〜5(W/m・k)程度である。蓄熱層2の厚さは、たとえば、3μm以上である。
図102に示すように、蓄熱層2は蓄熱層表面21を有する。蓄熱層表面21は方向Zaを向く。すなわち、蓄熱層表面21は、抵抗体層4の位置する側を向く面である。本実施形態では、蓄熱層表面21は全体にわたって平坦である。蓄熱層表面21が平坦であると、半導体プロセスによって抵抗体層4や絶縁層5を形成しやすい。
【0405】
図100、
図102に示すように、本実施形態では、蓄熱層2は、第1層26と第2層27とを含む。第1層26は、第2層27と基材11との間に位置している。第1層26は、基材11を構成する半導体材料を酸化した材料よりなる層である。たとえば、基材11を構成する半導体材料がSiである場合には、第1層26はSiO
2よりなる層である。第2層
27は絶縁材料よりなる層である。第2層27を構成する材料は、特に限定されないが、本実施形態においては、第1層26を構成する材料と同一の材料よりなる。本実施形態とは異なり、蓄熱層2が二層構造ではなく、一層構造であってもよい。
【0406】
図100〜
図102に示す電極層3は基材11に形成されている。
図101における電極層3には、理解の便宜上、ハッチを付している。具体的には、電極層3は蓄熱層2に積層されている。また、電極層3は抵抗体層4に積層されている。本実施形態においては、電極層3と蓄熱層2との間に、抵抗体層4が介在している。電極層3は、抵抗体層4に導通している。電極層3は、抵抗体層4に通電するための経路を構成している。電極層3を構成する材料としては、たとえば、Au、Ag、Cu、Cr、Al−Si、および、Tiが挙げられる。本実施形態とは異なり、電極層3は、蓄熱層2と抵抗体層4との間に介在していてもよい。
【0407】
本実施形態においては、
図101に示すように、電極層3は、複数の個別電極33(同図には6つ示す)と、一つの共通電極35と、複数の中継電極37(同図には6つ示す)とを含む。より具体的には、次のとおりである。
【0408】
複数の個別電極33は、互いに導通していない。そのため、各個別電極33には、サーマルプリントヘッド101の組み込まれたプリンタが使用される際に、個別に、互いに異なる電位が付与されうる。各個別電極33は、個別電極帯状部331と、屈曲部333と、直行部334と、斜行部335と、ボンディング部336とを有する。
図102に示すように、各個別電極帯状部331は、抵抗体層4に積層されている。また、
図101に示すように、各個別電極帯状部331は、方向Xに沿って延びる帯状に形成されている。屈曲部333は、個別電極帯状部331につながり、方向Yおよび方向Xのいずれに対しても傾斜している。直行部334は、方向Xに平行にまっすぐ延びている。斜行部335は、方向Yおよび方向Xのいずれに対しても傾斜した方向に延びている。ボンディング部336は、ワイヤ81がボンディングされる部分である。本実施形態においては、個別電極帯状部331、屈曲部333、直行部334、および斜行部335の幅が、たとえば47.5μm程度であり、ボンディング部336の幅がたとえば80μm程度である。
【0409】
共通電極35は、サーマルプリントヘッド101の組み込まれたプリンタが使用される際に複数の個別電極33に対して電気的に逆極性となる部位である。共通電極35は、複数の共通電極帯状部351と、複数の分岐部353と、複数の直行部354と、複数の斜行部355と、複数の延出部356と、一つの基幹部357とを有する。
図102に示すように、各共通電極帯状部351は、抵抗体層4に積層されている。また、
図101に示すように、各共通電極帯状部351は、方向Xに延びる帯状である。各共通電極帯状部351は、個別電極帯状部331と方向Yに離間している。本実施形態においては、互いに隣接した2つずつの共通電極帯状部351が、2つの個別電極帯状部331に挟まれている。複数の共通電極帯状部351、および複数の個別電極帯状部331は、方向Yに沿って配列されている。分岐部353は、2つの共通電極帯状部351と1つの直行部354をつなぐ部分であり、Y字状である。直行部354は、方向Xに平行にまっすぐ延びている。斜行部355は、方向Yおよび方向Xのいずれに対しても傾斜した方向に延びている。延出部356は、斜行部355につながり、方向Xに沿って延びている。基幹部357は、方向Yに延びる帯状であり、複数の延出部356がつながっている。本実施形態においては、共通電極帯状部351、直行部354、斜行部355、および延出部356の幅が、たとえば47.5μm程度である。
【0410】
複数の中継電極37はそれぞれ、複数の個別電極33のうちの一つと共通電極35との間に電気的に介在する。
図101に示すように、各中継電極37は、2つの中継電極帯状部371と連結部373とを有する。各中継電極帯状部371は、方向Xに延びる帯状である。複数の中継電極帯状部371は、方向Yに互いに離間している。各中継電極帯状部371は、抵抗体層4に積層されている。複数の中継電極帯状部371は、抵抗体層4上において、複数の帯状部331,351とは方向Xにおいて反対側に配置されている。各中継電極37における2つの中継電極帯状部371の一方は、複数の共通電極帯状部351のいずれか一つと、方向Xに互いに離間している。各中継電極37における2つの中継電極帯状部371の他方は、複数の個別電極帯状部331のいずれか一つと、方向Xに互いに離間している。複数の連結部373はそれぞれ、方向Yに沿って延びている。各連結部373は、各中継電極37における2つの中継電極帯状部371につながる。これにより、各中継電極37における2つの中継電極帯状部371どうしが互いに導通している。
【0411】
なお、電極層3は、必ずしも中継電極37を含む必要はなく、たとえば、複数の個別電極と、これらの個別電極に隣接する共通電極と、を含むものであってもよい。
【0412】
図100〜
図102に示す抵抗体層4は基材11に形成されている。本実施形態では、抵抗体層4は、蓄熱層2に直接形成されている。本実施形態においては、抵抗体層4は、Y方向に沿って配列される複数の矩形部401を有する。抵抗体層4は、電極層3からの電流が流れた部分が発熱する。このように発熱することによって印字ドットが形成される。抵抗体層4は、電極層3を構成する材料よりも抵抗率が高い材料よりなる。抵抗体層4を構成する材料としては、たとえば、ポリシリコン、TaSiO
2、および、TiONが挙げられる。本実施形態においては、抵抗体層4には、抵抗値の調整のため、イオン(たとえば、ホウ素)がドーピングされている。抵抗体層4の厚さは、たとえば、0.2μm〜1μmである。
【0413】
各矩形部401は、
図102に示すように、X方向において互いに反対を向く第1端面416および第2端面417を有している。第1端面416は、
図102における右方向を向いており、第2端面417は
図102における左方向を向いている。
【0414】
図102に示すように、各矩形部401は、サーマルプリントヘッド101の使用時に発熱する発熱部41を含む。発熱部41は、基材11の厚さ方向視において、電極層3のうち互いに離間した2つの部位に跨るように形成されている。なお、電極層3のうち互いに離間した2つの部位は、たとえば、個別電極帯状部331と中継電極帯状部371とがそうである。個別電極帯状部331は矩形部401の中央よりも第1端面416寄りの領域と重なるように形成され、中継電極帯状部371は矩形部401の中央よりも第2端面417寄りの領域と重なるように形成されている。個別電極帯状部331と中継電極帯状部371とは、矩形部401の中央部を間に挟んでX方向に離間している。また、共通電極帯状部351と中継電極帯状部371も電極層3のうち互いに離間した2つの部位として扱うことができる。共通電極帯状部351は矩形部401の中央よりも第1端面416寄りの領域と重なるように形成されている。共通電極帯状部351と中継電極帯状部371とは、矩形部401の中央部を間に挟んでX方向に離間している。
【0415】
図102に示すように、発熱部41は、第1当接部411および第2当接部412を含んでいる。第1当接部411は、矩形部401の中央よりも第1端面416寄りの領域に位置し、個別電極帯状部331あるいは共通電極帯状部351と当接している。第2当接部412は、矩形部401の中央よりも第2端面417寄りの領域に位置し、中継電極帯状部371に当接している。
【0416】
図102に示すように、絶縁層5は、発熱部41および電極層3の間に介在している部分を有する。絶縁層5を構成する材料としては、たとえば、SiO
2、および、SiAlO
2が挙げられる。絶縁層5は、第1介在部51と、第2介在部52と、中間部53とを含む。第1介在部51は、個別電極帯状部331あるいは共通電極帯状部351と、発熱部41との間に介在している部位である。第2介在部52は、中継電極帯状部371と発熱部41との間に介在している。中間部53は、基材11の厚さ方向Z視において、第1介在部51と第2介在部52とに挟まれている。中間部53は、第1介在部51および第2介在部52につながっている。
【0417】
さらに、本実施形態においては、絶縁層5は、部分581,582を含む。部分581は、第1介在部51につながりかつ第1端面416を覆う部分である。部分582は、第2介在部52につながりかつ第2端面417を覆う部分である。部分581,582はそれぞれ、蓄熱層2に直接接している。すなわち、絶縁層5に直接接する部分を、蓄熱層2が有している。本実施形態とは異なり、絶縁層5が部分581,582を含んでいなくてもよい。
【0418】
図100および
図102に示す保護層6は、電極層3と抵抗体層4と絶縁層5とを覆っており、電極層3と抵抗体層4と絶縁層5とを保護するためのものである。保護層6は、基材11の厚さ方向Z視において、発熱部41と重なる低熱抵抗部61と、低熱抵抗部61よりも熱抵抗率の高い高熱抵抗部62と、を有している。本実施形態では、低熱抵抗部61は、高熱抵抗部62から露出している。なお、
図101では、保護層6のうち高熱抵抗部62を省略している。
【0419】
図101に示すように、低熱抵抗部61は、Y方向に沿って並ぶ複数の部分を有している。なお、
図101では省略しているが、低熱抵抗部61の複数の部分同士の間は高熱抵抗部62によって埋められている。このため、低熱抵抗部61の複数の部分同士は高熱抵抗部62によって隔てられている。本実施形態では、低熱抵抗部61の複数の部分はそれぞれ矩形状であり、以下において各部分を矩形部61aと呼称する。本実施形態では、各矩形部61a同士は、Y方向において互いに離間している。また、複数の矩形部61aの個数は複数の発熱部41の個数と同数であり、各矩形部61aは、複数の発熱部41のいずれか1つと重なるように形成されている。
【0420】
図102に示すように、基材11の厚さ方向Z視において、低熱抵抗部61のX方向における中央部は、矩形部401の中央部および絶縁層5の中間部53と重なっている。さらに低熱抵抗部61のX方向における図中右端部は第1当接部411と重なり、X方向における図中左端部は第2当接部412と重なっている。本実施形態においては、低熱抵抗部61は、電極層3の一部および絶縁層5に直接接している。
【0421】
高熱抵抗部62は、保護層6のうち低熱抵抗部61を除く大部分を占める部分であり、絶縁材料よりなる。高熱抵抗部62の厚みはたとえば1〜5μmである。高熱抵抗部62を構成する絶縁材料としては、たとえば、ポリイミド、ポリアミド、あるいは、ポリエチレンが挙げられる。本実施形態においては、高熱抵抗部62は、電極層3に直接接している。また、保護層6の高熱抵抗部62には、複数の貫通窓621(
図100には1つ示す)が形成されている。各貫通窓621からは、ボンディング部336が露出している。
【0422】
低熱抵抗部61は、保護層6の大部分を占める高熱抵抗部62よりも熱抵抗率が低い、すなわちより熱伝導性に優れた絶縁材料よりなる。低熱抵抗部61を構成する絶縁材料としては、たとえば、ポリシリコンが挙げられる。ここで用いられるポリシリコンは、絶縁性を確保するために、ドーピングを行わないものである。なお、低熱抵抗部61を構成するのに適した絶縁材料の他の例としては、SiC、AlN、CBN等が挙げられる。
【0423】
また、低熱抵抗部61の厚みはたとえば1〜5μmが望ましい。本実施形態では、
図102に示すように、低熱抵抗部61の厚さ方向Zにおける図中上端が、高熱抵抗部62の厚さ方向Zにおける図中上端よりも上にくるように、低熱抵抗部61の厚みは調整されている。このような調整を施すことにより、低熱抵抗部61の一部が高熱抵抗部62から方向Zaに突き出す構成を容易に得ることができる。
【0424】
図100に示す配線基板12は、たとえば、プリント配線基板である。配線基板12は、基材層と図示しない配線層とが積層された構造を有する。基材層は、たとえばガラスエポキシ樹脂よりなる。配線層は、たとえばCuよりなる。
【0425】
図100、
図101に示す駆動IC7は、各個別電極33にそれぞれ電位を付与し、各発熱部41に流す電流を制御するものである。各個別電極33にそれぞれ電位が付与されることにより、共通電極35と各個別電極33との間に電圧が印加され、各発熱部41に選択的に電流が流れる。駆動IC7は、配線基板12に搭載されている。
図101に示すように、駆動IC7は、複数のパッド71を含む。複数のパッド71は、たとえば、2列に形成されている。
【0426】
図100、
図101に示す複数のワイヤ81は、たとえば、Auなどの導体よりなる。複数のワイヤ81のうちワイヤ811はそれぞれ、駆動IC7にボンディングされ、かつ、電極層3にボンディングされている。より具体的には、各ワイヤ811は、駆動IC7におけるパッド71にボンディングされ、かつ、ボンディング部336にボンディングされている。これにより、駆動IC7と各個別電極33とが導通している。
図101に示すように、複数のワイヤ81のうちワイヤ812は、それぞれ、駆動IC7におけるパッド71にボンディングされ、かつ、配線基板12における配線層にボンディングされている。これにより、当該配線層を介して、駆動IC7とコネクタ83とが導通している。同図に示すように、複数のワイヤ81のうちワイヤ813は、共通電極35における基幹部357にボンディングされ、かつ、配線基板12における配線層にボンディングされている。これにより、共通電極35と上記配線層とが導通している。
【0427】
図100に示す封止樹脂82は、たとえば、黒色の樹脂よりなる。封止樹脂82は、駆動IC7、複数のワイヤ81、および、保護層6を覆っており、駆動IC7および複数のワイヤ81を保護している。封止樹脂82は保護層6に直接接する。コネクタ83は、配線基板12に固定されている。コネクタ83は、サーマルプリントヘッド101の外部からサーマルプリントヘッド101へ電力を供給し、駆動IC7を制御するためのものである。
【0428】
次に、サーマルプリントヘッド101の使用方法の一例について簡単に説明する。
【0429】
サーマルプリントヘッド101は、プリンタに組み込まれた状態で使用される。
図100に示したように、当該プリンタ内において、サーマルプリントヘッド101の各発熱部41はプラテンローラ802に対向している。また、各発熱部41と重なる低熱抵抗部61もプラテンローラ802と対向している。当該プリンタの使用時には、プラテンローラ802が回転することにより、印刷媒体801が、方向Xに沿ってプラテンローラ802と各発熱部41との間に一定速度で送給される。印刷媒体801は、プラテンローラ802によって低熱抵抗部61に押しあてられる。一方、
図101に示した各個別電極33には、駆動IC7によって選択的に電位が付与される。これにより、共通電極35と複数の個別電極33の各々との間に電圧が印加される。そして、複数の発熱部41には選択的に電流が流れ、熱が発生する。そして、各発熱部41にて発生した熱は、低熱抵抗部61を介して印刷媒体801に伝わる。そして、印刷媒体801上の方向Yに線状に延びる第1ライン領域に、複数のドットが印刷される。また、各発熱部41にて発生した熱は、蓄熱層2にも伝わり、蓄熱層2にて蓄えられる。
【0430】
更に、プラテンローラ802が回転することにより、印刷媒体801が、方向Xに沿って一定速度で引き続き送給される。そして、上述の第1ライン領域への印刷と同様に、印刷媒体801上の方向Yに線状に延びる、第1ライン領域に隣接する第2ライン領域への印刷が行われる。第2ライン領域への印刷の際、印刷媒体801には、各発熱部41にて発生した熱に加え、第1ライン領域への印刷時に蓄熱層2にて蓄えられた熱が伝わる。このようにして、第2ライン領域への印刷が行われる。以上のように、印刷媒体801上の方向Yに線状に延びるライン領域ごとに、複数のドットを印刷することにより、印刷媒体801への印刷が行われる。
【0431】
次に、サーマルプリントヘッド101の製造方法の一例について簡単に説明する。本実施形態においてサーマルプリントヘッド101を製造するには、半導体プロセスを用いる。
【0432】
まず、
図103に示すように、半導体基板19を用意する。本実施形態において半導体基板19はSiよりなる。次に、
図104に示すように、半導体基板19の表面を熱酸化する。これにより、基材11と、基材11に積層された第1層26とが形成される。本実施形態においては、第1層26は、SiO
2よりなる。次に、
図105に示すように、CVDもしくはスパッタによって、第1層26上に第2層27を形成する。これにより、基材11に積層された蓄熱層2が形成される。図示することは省略するが、基材11の裏面にもSiO
2
層が形成される。なお、本実施形態とは異なり、半導体基板19の表面を熱酸化する必要は必ずしもなく、CVDもしくはスパッタによって、直接、蓄熱層2を形成してもよい。
【0433】
次に、
図106に示すように、抵抗体層4’を形成する。抵抗体層4’の形成は、たとえば、CVDもしくはスパッタにより行う。抵抗体層4’は、基材11の表面の全面に形成する。次に、
図107、
図108に示すように、抵抗体層4’をエッチングすることにより、抵抗体層4’’を形成する。抵抗体層4’のエッチングは、フォトリソグラフィーにより行う。
図108に示すように、本実施形態では、抵抗体層4’’は、一方向に沿って帯状に延びる形状である。次に、抵抗体層4が所望の抵抗値になるように、抵抗体層4’’にイオンを打ち込む(図示略)。
【0434】
次に、
図109に示すように、絶縁層5’を形成する。絶縁層5’の形成は、たとえば、CVDもしくはスパッタにより行う。次に、
図110に示すように、絶縁層5’をエッチングすることにより、上述の絶縁層5を形成する。
【0435】
次に、
図111に示すように、電極層3’を形成する。電極層3’の形成は、たとえば、スパッタもしくはCVDにより行う。次に、
図112、
図113に示すように、電極層3’をエッチングすることにより、上述の形状の電極層3を形成する。電極層3’のエッチングは、フォトリソグラフィーにより行う。
【0436】
次に、
図114に示すように、抵抗体層4’’をエッチングすることにより、複数の矩形状の部分(矩形部401)を有する上述の抵抗体層4が形成される。これは、サーマルプリントヘッド101の使用時において、抵抗体層4内を
図114の横方向に電流が流れることを防止するためである。なお、本実施形態とは異なり、帯状の抵抗体層4’’を形成することなく、抵抗体層4’を一度エッチングすることにより、複数の矩形状の部分を有する上述の抵抗体層4を形成してもよい。
【0437】
次に、
図115、
図116に示すように、低熱抵抗部61’を形成する。低熱抵抗部61’の形成は、たとえば、ポリシリコンを帯状の領域に塗布する、あるいは、CVDもしくはスパッタにより行う。次に、
図117に示すように、低熱抵抗部61’をエッチングすることにより、複数の矩形状の部分(矩形部61a)を有する低熱抵抗部61が形成される。これは、サーマルプリントヘッド101の使用時において、低熱抵抗部61を
図116の横方向に熱が伝わることを防止するためである。
【0438】
次に、
図118に示すように、高熱抵抗部62’を形成する。高熱抵抗部62’の形成は、たとえば、CVDにより行う。次に、
図119に示すように、高熱抵抗部62’をエッチングすることにより、複数の貫通窓621を形成する。高熱抵抗部62のエッチングは、フォトリソグラフィーにより行う。低熱抵抗部61と高熱抵抗部62とが形成されることにより保護層6が完成する。
【0439】
次に、図示は省略するが、基材11の裏面を研磨することにより、基材11の厚みを低減させる。次に、抵抗体層4の抵抗値の測定、および、基材11のダイシングを行ったのち、ダイシング後の製品と、配線基板12とを放熱板13に配置する。次に、
図100に示した、駆動IC7を配線基板12に搭載し、ワイヤ81を所望の箇所にボンディングし、封止樹脂82を形成する。これらの工程を経るなどして、
図100に示したサーマルプリントヘッド101が製造される。
【0440】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0441】
本実施形態においては、保護層6が熱抵抗率の異なる低熱抵抗部61と高熱抵抗部62とを備えており、厚さ方向Z視において発熱部41と重なる位置には低熱抵抗部61が配置されている。発熱部41で生じた熱は低熱抵抗部61を経由して印刷媒体801へ伝わる。この際、高熱抵抗部62は低熱抵抗部61よりも熱抵抗率が高いため、低熱抵抗部61を伝わる熱は高熱抵抗部62には伝わりにくくなっている。すなわち、本実施形態においては、保護層6内で熱が拡散しにくくなっており、発熱部41からの熱を効率的に印刷媒体801へ伝達することが可能である。従って、サーマルプリントヘッド101は、従来よりも小さな熱量でも印刷を行うことが可能となり、印刷時の消費電力の削減を図ることができる。
【0442】
さらに、本実施形態では、低熱抵抗部61が高熱抵抗部62から突き出すように露出している。このため、サーマルプリントヘッド101をプリンタに組み込んで使用する際には、印刷媒体801はプラテンローラ802によって低熱抵抗部61に押しあてられることになる。このような構成は、保護層6で熱が拡散するのを防ぐのに適している。
【0443】
さらに、本実施形態においては、低熱抵抗部61が複数の矩形部61aに分割されており、各矩形部61a同士は比較的熱抵抗率の高い高熱抵抗部62によって隔てられている。このため、各発熱部41で発生した熱が拡散するのを防ぎやすくなっている。このことは、印刷媒体801への印刷時ににじみが生じるのを防ぐ上で好ましいことである。
【0444】
さらに、本実施形態においては、サーマルプリントヘッド101は絶縁層5を備える。絶縁層5は、電極層3および発熱部41の間に介在している部分を有する。このような構成によると、電極層3と発熱部41とが接触する領域を小さくすることができる。そうすると、発熱部41に電流が流れて発熱した際に、電極層3と発熱部41とが共晶してしまう領域を小さくすることができる。電極層3と発熱部41とが共晶する領域を小さくできると、サーマルプリントヘッド101の使用時に、サーマルプリントヘッド101の抵抗値が変化してしまう不具合を抑制できる。
【0445】
仮に、電極層3が抵抗体層4と蓄熱層2との間に介在している場合には、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱は、電極層3に逃げてしまうおそれがある。電極層3に逃げてしまった熱は、印刷媒体801への伝熱には寄与しない。一方、本実施形態においては、抵抗体層4は、電極層3および蓄熱層2の間に介在している。このような構成によると、抵抗体層4における発熱部41にて発生した熱が電極層3に伝わっても、電極層3に伝わった熱は、印刷媒体801への伝熱に寄与しうる。そのため、発熱部41にて発生した熱をより効率的に、印刷媒体801に伝えることができる。すなわち、サーマルプリントヘッド101における印刷媒体801に接触する部位(保護層6)を、より速く、高温にすることが可能となる。これにより、印刷媒体801への高速印字が可能となる。
【0446】
本実施形態では、基材11は、Siよりなる。Siは、熱伝導率が大きいため、発熱部41にて発生した熱を、より速く基材11の外部(本実施形態では放熱板13)へと伝えることができる。そのため、高温になった発熱部41の温度を、より速く、低下させることができる。このことは、印刷媒体801への印字の高速化に適する。
【0447】
一方で、基材11側に伝わる熱量が大きくなり過ぎると、保護層6に伝わる熱量が小さくなり、印刷時に省電力化を図りにくくなる問題がある。本実施形態における低熱抵抗部61はポリシリコン製であり、Si製の基材11よりも熱伝導率を大きくすることが可能である。このため、低熱抵抗部61に伝わる熱量を相対的に大きくすることは容易であり、基材11側に伝わる熱量が大きくなり過ぎること防ぎやすくなっている。
【0448】
本実施形態では、高熱抵抗部62における貫通窓621は、高熱抵抗部62’をエッチングすることにより形成される。そうすると、高熱抵抗部62における所望の部位に貫通窓621を形成することができるから、電極層3のうち保護層6に覆われていない部分を、封止樹脂82とは別の樹脂層(ソルダーレジスト層)で覆う必要がない。別の樹脂層(ソルダーレジスト層)を形成する必要がないことは、サーマルプリントヘッド101の製造効率の向上を図るのに適する。
【0449】
<C2実施形態>
図120を用いて、本発明のC2実施形態について説明する。
【0450】
以下の説明では、上記(C1実施形態)と同一もしくは類似の構成については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0451】
図120は、本発明のC2実施形態のサーマルプリントヘッドの要部拡大断面図である。
【0452】
同図に示すサーマルプリントヘッド102は、低熱抵抗部61が絶縁部611および導体部612を有している点でサーマルプリントヘッド101と異なっている。絶縁部611は、導体部612と発熱部41との間に介在しており、電極層3および絶縁層5と直接接している。導体部612は絶縁部611と直接接している。絶縁部611は、導体部612が電極層3に接するのを防いでいる。
【0453】
絶縁部611は、サーマルプリントヘッド101における低熱抵抗部61と同様にドーピングされていないポリシリコンからなる。導体部612は金属製である。具体的には、導体部612は、Al、Au、Ag、Cu、Cr、Al−Si、あるいは、Tiの少なくともいずれかからなる。
【0454】
本実施形態では、発熱部41で発生した熱は導体部612を経由して印刷媒体801に伝わる。導体部612は金属製であり、高熱抵抗部62よりも熱抵抗率が小さいため、絶縁部611から高熱抵抗部62へ熱が拡散しにくくなっている。このため、サーマルプリントヘッド102においても、発熱部41が発した熱を無駄に拡散させることなく効率的に印刷媒体801へ伝えることができる。一方で、金属製の導体部612が電極層3と接触することは望ましくなく、絶縁部611を設けるのは理に適う構成である。
【0455】
なお、絶縁部611をポリシリコン以外の材質を用いて形成しても構わない。具体的には、絶縁部611がSiO
2またはSiAlO
2からなる構成であってもよい。また、導体部612は必ずしも金属製である必要はない。たとえば、導体部612をSiで形成することも可能である。
【0456】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0457】
たとえば、上述した実施形態では、低熱抵抗部61と発熱部41との間に絶縁層5が介在する構成となっているが、発熱部41と低熱抵抗部61とが直接に接する構成であってもよい。絶縁層5の一部を除去することで、発熱部41と低熱抵抗部61とが直接に接する構成は容易に実現可能である。なお、上述したサーマルプリントヘッド101,102は絶縁層5を備えた構成であるが、絶縁層5を備えない構成としてもよい。その場合にも発熱部41と低熱抵抗部61とが直接に接する構成となる。
【0458】
また、上述した実施形態では、低熱抵抗部61が複数の部分(矩形部61a)を有する構成であるが、低熱抵抗部61の複数の部分の形状は矩形状に限定されず、様々な形状とすることが可能である。また、低熱抵抗部61の形状は、各発熱部41と個々に重なる複数の部分を有する形状にも限定されない。たとえば、低熱抵抗部61が、複数の発熱部41が並ぶ方向に沿って延びる帯状に形成されていても構わない。
【0459】
また、上述した実施形態では、低熱抵抗部61が高熱抵抗部62から突き出す構成となっているが、このような構成に限定されることもない。たとえば、低熱抵抗部61が高熱抵抗部62に対して僅かに凹むような形状であっても構わない。そのような形状であっても、プラテンローラ802を用いて印刷媒体801を低熱抵抗部61に押し当てることは可能である。
【0460】
また、上述した実施形態では、低熱抵抗部61が高熱抵抗部62から露出する構成であるが、このような構成に限定されることもない。仮に、高熱抵抗部62によって低熱抵抗部61が完全に覆われる構成であっても、低熱定抵抗部61が設けられている分だけ発熱部41からの熱は伝わり易くなっており、一定の効果を期待することができる。
【0461】
図99〜
図120、および、これらの図を参照した説明にて開示された発明のバリエーションを、以下に付記として示す。
[付記1]
基材と、
前記基材に形成された蓄熱層と、
前記基材に形成された抵抗体層と、
前記基材に形成されかつ前記抵抗体層に導通する電極層と、
前記抵抗体層および前記電極層を覆う保護層と、を備え、
前記抵抗体層は、前記基材の厚さ方向視において、前記電極層のうち互いに離間した2つの部位に跨る複数の発熱部を含み、
前記保護層は、前記基材の厚み方向視において、前記複数の発熱部と重なる低熱抵抗部と、前記低熱抵抗部よりも熱抵抗率の高い高熱抵抗部と、を有していることを特徴とする、サーマルプリントヘッド。
[付記2]
前記複数の発熱部は、主走査方向に沿って並んでおり、
前記低熱抵抗部は、主走査方向に沿って並ぶ複数の部分を有しており、
前記低熱抵抗部の前記各部分は、前記複数の発熱部のいずれかと重なっている、付記1に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記3]
前記低熱抵抗部の前記複数の部分は、それぞれ互いに離間している、付記2に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記4]
前記低熱抵抗部は絶縁材料からなり、かつ、前記電極層と直接接している、付記1ないし付記3のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記5]
前記低熱抵抗部は、ポリシリコンからなる、付記4に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記6]
前記低熱抵抗部は、前記電極層と直接接する絶縁部と、前記絶縁部と直接接する導体部とを有している、付記4に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記7]
前記絶縁部は、前記導体部と前記発熱部との間に介在している、付記6に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記8]
前記導体部は、金属製である、付記7に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記9]
前記導体部は、Al、Au、Ag、Cu、Cr、Al−Si、あるいは、Tiの少なくともいずれかからなる、付記8に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記10]
前記絶縁部は、ポリシリコン、SiO
2あるいはSiAlO
2の少なくともいずれかよりなる、付記6ないし付記9のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記11]
前記高熱抵抗部は、ポリイミド、ポリアミド、あるいは、ポリエチレンの少なくともいずれかよりなる、付記1ないし付記10のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記12]
前記低熱抵抗部が、前記高熱抵抗部から露出している、付記1ないし付記11のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記13]
前記低熱抵抗部は、前記高熱抵抗部から突き出している、付記12に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記14]
前記基材の厚み方向における前記低熱抵抗部の厚みは1〜5μmである、付記1ないし付記13のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記15]
前記基材が半導体材料よりなる、付記1ないし付記14のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記16]
前記抵抗体層は、前記電極層および前記蓄熱層の間に介在している、付記1ないし付記14のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記17]
前記抵抗体層と前記電極層との間に介在する絶縁層を更に備え、
前記蓄熱層は、前記絶縁層に直接接している部分を有する、付記1ないし付記16のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記18]
前記保護層は、前記絶縁層に直接接している、付記17に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記19]
配線基板と、
複数のワイヤと、
前記配線基板、前記複数のワイヤ、および、前記保護層を覆う樹脂層と、を更に備える、付記1ないし付記18のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記20]
前記保護層には、貫通窓が形成されており、
前記電極層は、前記貫通窓から露出するボンディング部を含み、
前記ボンディング部には、前記複数のワイヤのいずれかがボンディングされている、付記19に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記21]
前記樹脂層は、前記保護層に直接接している、付記19または付記20に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記22]
前記電極層に電流を流す駆動ICを更に備え、前記駆動ICは、前記配線基板に搭載されている、付記19ないし付記21のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記23]
前記絶縁層は、SiO
2またはSiAlO
2よりなる、付記17または18に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記24]
前記抵抗体層は、ポリシリコン、TaSiO
2、および、TiONの少なくともいずれ
かよりなる、付記1ないし付記23のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記25]
前記電極層は、Au、Ag、Cu、Cr、Al−Si、および、Tiの少なくともいずれかよりなる、付記1ないし付記24のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記26]
前記基材を支持する放熱板を更に備える、付記1ないし付記25のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記27]
付記1ないし付記26のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドと、
前記サーマルプリントヘッドに正対するプラテンローラと、を備える、サーマルプリンタ。
[付記28]
前記低熱抵抗部が、前記プラテンローラと対向している、付記27に記載のサーマルプリンタ。
【0462】
上記したサーマルプリントヘッド等における特徴は、異なる実施形態におけるものであっても、適宜組み合わせることが可能である。