【実施例】
【0014】
(第1実施例) 本実施例の計測装置1は、自動車等に搭載される燃料タンク2の上面に設置される。
図1に示されるように計測装置1は、燃料タンク2の上面に設けられた開口部3を塞ぐ蓋部材4を備えている。燃料タンク2の上面の開口部3を蓋部材4が塞ぐことで、燃料タンク2に計測装置1が設置される。まず、計測装置1が設置される燃料タンク2の構成について説明する。
【0015】
図1に示すように燃料タンク2は、燃料を貯留する容器であり、その内部に燃料を貯留する貯留空間8を有している。燃料タンク2の貯留空間8には、リザーブカップ2aが配置されている。リザーブカップ2aは、燃料タンク2の底部に配置され、リザーブカップ2a内に燃料ポンプユニット9が収容されている。燃料ポンプユニット9には、第1燃料配管13の一端と第2燃料配管16の一端が接続されている。燃料ポンプユニット9は、リザーブカップ2a内の燃料(詳細には、燃料タンク2内からリザーブカップ2a内に流入した燃料)を吸入口(図示省略)から吸入し、その内部で昇圧し、第1燃料配管13に吐出する。第1燃料配管13の他端は、蓋部材4に備えられた吐出管15に接続されている。このため、燃料ポンプユニット9から第1燃料配管13に吐出された燃料は、吐出管15より燃料タンク2の外部へ吐出される。吐出管15から吐出された燃料は、燃料タンク2の外部に設置されたエンジン(図示省略)へ送られる。また、燃料ポンプユニット9は、昇圧された燃料の圧力を調整するプレッシャーレギュレータ(図示省略)が備えられる。プレッシャーレギュレータから排出される余剰燃料は、第2燃料配管16に流れる。第2燃料配管16の他端は計測装置1に接続されている。後述するように計測装置1は、第2燃料配管16を流れる燃料の特性を計測する。また、燃料ポンプユニット9には、第1リード線11の一端が電気的に接続されている。第1リード線11の他端は電気コネクタ14に接続されている。電気コネクタ14には、さらに、第2リード線12の一端が接続されている。第2リード線12の他端は、燃料タンク2内に配置された液位計測装置10に接続されている。液位計測装置10は、フロート式の液位計測装置であり、燃料タンク2内に貯留された燃料の液位を計測する。電気コネクタ14は、計測装置1の挿し込み口23に接続される。挿し込み口23内には、電気接続部22(後述)が突出している。電気コネクタ14が挿し込み口23に挿し込まれると、リード線11,12が電気接続部22に接続される。燃料ポンプユニット9及び液位計測装置10は、リード線11,12、電気コネクタ14、及び電気接続部22を介して外部電源に接続される。
【0016】
次に、計測装置1について
図2A、
図2Bを参照して説明する。
図2A,2Bに示すように計測装置1は、蓋部材4と、栓部材20と、燃料性状センサ28と、シール部材7を備えている。
【0017】
蓋部材4は、燃料タンク2の上面の開口部3を塞ぐ大きさの板状の部材である。蓋部材4の下面と燃料タンク2の上面の間にはシール部材6が配されている(
図1参照)。蓋部材4が燃料タンク2の開口部3に取付けられると、蓋部材4と燃料タンク2の間の隙間がシール部材6によってシールされる。蓋部材4には、貫通孔5と、吐出管15が設けられている。吐出管15には第1燃料配管13が接続される。貫通孔5は、蓋部材4の上面から下面までを貫通している。貫通孔5には栓部材20が嵌合する。
【0018】
栓部材20は、嵌合部35と、嵌合部35の上面に設けられた回路ケース25と、嵌合部35の下面に設けられた燃料計測部24を有している。嵌合部35は、蓋部材4の貫通孔5に対応する外形状を有している。蓋部材4に栓部材20を取付けると、栓部材20の嵌合部35が貫通孔5に嵌合する。嵌合部35の外周面にはシール部材7が配されている。嵌合部35が貫通孔5に嵌合すると、嵌合部35と貫通孔5の間がシール部材7によってシールされる。
【0019】
燃料計測部24は、ケーシング33と、ケーシング33の内部空間21に収容された燃料性状センサ28を備えている。ケーシング33には、燃料タンク2内に向かって開口する流入口31及び流出口32が形成されている。流入口31は、内部空間21を介して流出口32と連通している。上述したように流入口31には第2燃料配管16が接続される(
図1参照)。このため、燃料ポンプユニット9からの燃料は、第2燃料配管16を通って流入口31に流入し、流入口31から内部空間21を流れて流出口32より燃料タンク2内に戻される。したがって、内部空間21は燃料が流れる燃料流路となっている。燃料性状センサ28は、内部空間21を流れる燃料の性状(例えば、アルコール濃度等)を計測する公知のセンサである。燃料性状センサ28には、リード配線29の一端が接続されている。リード配線29は、嵌合部35を貫通し、その他端が回路ケース25内に位置している。
【0020】
既に説明したように、嵌合部35の下面には挿し込み口23がさらに形成されている。挿し込み口23は、円筒形状の部材であり、燃料タンク2の底面に向って開口している(
図1参照)。挿し込み口23内には、電気接続部22が突出している。すなわち、電気接続部22は、挿し込み口23によって周囲を囲まれている。
図2Bに示すように、電気接続部22は、複数個(本実施例では2×2の4つ)の接続端子によって構成されている。電気接続部22を構成する4つの接続端子は、リード配線29と同様、嵌合部35を貫通し、その先端が回路ケース25内に位置している。
【0021】
回路ケース25は、嵌合部35の上面に配置される底壁と、底壁の端縁から立設された側壁を備えている。回路ケース25の側壁には、入出力部34が形成されている。入出力部34には、接続端子27が突出している。接続端子27は、回路ケース25の側壁を貫通して回路ケース25内にまで伸びている。入出力部34には、外部電源に接続された電源配線(図示しない)が接続される。回路ケース25の側壁で囲まれた空間には制御回路
26が収容される。制御回路
26には、上述した電気接続部22、リード配線29、及び接続端子27が接続される。したがって、制御回路
26は、接続端子27、入出力部34及び電源配線を介して外部電源に接続される。また、制御回路
26は、リード配線29を介して燃料性状センサ28に接続され、また、電気接続部22及びリード線11,12を介して燃料ポンプユニット9及び液位計測装置10に接続される。制御回路
26は、外部電源から供給される電力によって動作し、各種検出装置10,28からの信号を受信すると共に、燃料ポンプユニット9を制御する。
【0022】
上述した計測装置1の動作を説明する。外部電源から供給される電力が制御回路
26を介して燃料ポンプユニット9に供給されると、燃料ポンプユニット9が動作を開始する。燃料ポンプユニット9が動作を開始すると、燃料タンク2内の燃料が燃料ポンプユニット9内に吸入され、燃料ポンプユニット9内で昇圧される。燃料ポンプユニット9内で昇圧された燃料は、プレッシャーレギュレータにより調圧され、調圧された燃料が第1燃料配管13から燃料タンク2外に吐出される。また、プレッシャーレギュレータから排出される余剰燃料は、第2燃料配管16を通って燃料計測部24に流れ、燃料計測部24から燃料タンク2内に戻される。燃料計測部24を流れる燃料は、燃料性状センサ28によって燃料性状が検出される。燃料性状センサ28から出力される信号は制御回路
26に入力され、制御回路
26で処理される。また、燃料タンク2内の燃料の液位は、液位計測装置10で検出される。液位計測装置10からの信号も制御回路
26に入力され、制御回路
26で処理される。
【0023】
上述した計測装置1では、栓部材20に電気接続部22と燃料計測部24が統合されている。このため、シール箇所を2箇所、すなわち、蓋部材4と栓部材20の間と、蓋部材4と燃料タンク2との間だけとすることができる。このため、少ないシール箇所で燃料タンクを密閉することができ、燃料タンク2の気密性を向上させることができる。また、栓部材20に装備される制御回路
26が、燃料ポンプユニット9の電力制御機能と、各種検出装置10,28からの信号を受信する機能を備える。これによって、制御系の構成を簡易にすることができ、部品点数の削減を図ることができる。さらに、蓋部材4に栓部材20を嵌合することで両者が組み付けられるため、計測装置1を簡易な作業で製造することができる。
【0024】
なお、燃料計測部24には、プレッシャーレギュレータから吐出される余剰燃料が送られるが、余剰燃料の流量はエンジンに供給される燃料の流量に比べ少ない。このため、余剰燃料の流量の変動も小さくなり、燃料性状センサ28は精度良く燃料性状を計測することができる。
【0025】
(第2実施例) 第2実施例の計測装置1aについて、
図3Aおよび
図3Bを参照して説明する。第2実施例の計測装置1aでは、第1実施例と比較して、燃料ポンプユニット9からエンジンに供給される燃料流路中に燃料性状センサが配置される点で相違する。以下、第1実施例と相違する点について説明する。
【0026】
図3A,3Bに示されるように、第2実施例の栓部材20aには吐出管15aが設けられる。吐出管15aは、燃料タンク2の内側から外側へ栓部材20aを貫通している。吐出管15aの流入口31aは、燃料タンク2の内側に向かって開口している。流入口31aには、第1燃料管13が接続されている。吐出管15aの流出口32aは、燃料タンク2の外側に向かって開口している。流出口32aは、図示しない燃料配管を介してエンジンに接続されている。吐出管15a内には、燃料性状センサ28aが配置される。燃料性状センサ28aは、吐出管15a内を流れる燃料の燃料性状を検出する。
【0027】
このような構成によっても、シール箇所を少なくすることができ、燃料タンク2の気密性を向上することができる。また、組付けられる部品数が減少することから組付け性を向上することができる。
【0028】
なお、
図4に示すように、燃料計測部24bの形状は円形以外の形状(すなわち、角が面取りされた矩形状)としてもよい。また、挿し込み部23bの形状及び電気接続部22bの本数も、第1実施例と相違してもよい。
【0029】
(第3実施例) 第3実施例の計測装置1cについて、
図5Aおよび
図5Bを参照して説明する。
図5A、5Bに示すように計測装置1cでは、第2実施例と比較して、電気コネクタが挿し込まれる挿し込み部23cと、燃料をエンジンに吐出する吐出管15cとが同心状に配置されている点で相違する。すなわち、吐出管15cは、栓部材20cを貫通し、燃料タンク2の内部から外部まで伸びている。吐出管15cの内部には、燃料性状センサ28cが配置されている。吐出管15cの周囲には、挿し込み部23cが設けられている。吐出管15cと挿し込み部23cは同心状に配置されており、吐出管15cの周囲には電気接続部22cが設けられている。
【0030】
第3実施例の計測装置1cでも、シール箇所を少なくすることができ、燃料タンク2の気密性を向上することができる。また、吐出管15cと挿し込み部23cが同心状に配置されるため、嵌合部35cの面積を小さくすることができる。その結果、嵌合部35cのシール面(すなわち、貫通孔5の内周面)の面積が小さくなり、気密性をより向上することができる。
【0031】
(第4実施例) 第4実施例の計測装置1dについて、
図6Aおよび
図6Bを参照して説明する。
図6A、6Bに示すように、第4実施例の計測装置1dでは、第3実施例の計測装置1cと異なり、挿し込み部23dの内側に第1実施例と同様の燃料計測部24dが同心状に配置される。したがって、燃料計測部24dには、プレッシャーレギュレータからの余剰燃料が供給され、この余剰燃料の燃料性状が燃料性状センサ28dにより検出される。なお、燃料計測部24dに供給された余剰燃料は、燃料計測部24d内を流れ、燃料タンク2に戻される。第4実施例の計測装置1dでも、第3実施例の計測装置1cと同様、シール面の面積が小さくなり、燃料タンク2の気密性をより向上することができる。
【0032】
(第5実施例) 第5実施例の計測装置1eについて、
図7Aおよび
図7Bを参照して説明する。
図7A、7Bに示すように、第5実施例の計測装置1eでは、挿し込み口23eの外側に燃料計測部24eが設けられる。挿し込み口23eと燃料計測部24eは同心状に配置されている。
【0033】
燃料計測部24eは、流入流路41と、内部空間21eと、流出流路42を備えている。流入流路41は、燃料タンク2内に開口しており、その流入口に第1燃料配管13が接続されている。流出流路42は、嵌合部35eを貫通しており、その流出口には燃料配管を介してエンジンに接続される。内部空間21eは、平面視したとき挿し込み口23eの周囲を囲むように備えられる。したがって、燃料ポンプユニット9からの燃料は、第1燃料配管13、流入入路41、内部空間21e、及び流出流路42を通ってエンジンに供給される。内部空間21eには、燃料性状センサ28eが収容される。燃料性状センサ28eは、内部空間21e内を流れる燃料の燃料性状を検出する。
【0034】
第5実施例の計測装置1eでも、シール箇所を少なくすることができ、燃料タンク2の気密性を向上することができる。また、制御回路26の近傍に燃料流路(すなわち、内部空間21e,流出流路42)が配置されるため、この燃料流路21e,42を流れる燃料によって制御回路26を冷却することができる。
【0035】
(第6実施例) 第6実施例の計測装置1fについて、
図8Aおよび
図8Bを参照して説明する。
図8A、
図8Bに示すように、第6実施例の計測装置1fでも、挿し込み口23fの外側に燃料計測部24fが設けられる。ただし、第6実施例の計測装置1fでは、燃料計測部24fは、燃料ポンプユニット9のプレッシャーレギュレータから余剰燃料を供給され、その余剰燃料を燃料タンク2内に戻す点で相違する。すなわち、燃料計測部24fの流入流路41f及び流出流路42fは、ともに燃料タンク2内に開口する。流入流路41fには第2燃料配管16が接続される。プレッシャーレギュレータからの余剰燃料は、第2燃料配管16から流入流路41fに流れ、内部空間21fを通って流出流路42fより燃料タンク2内に戻される。内部空間21f内には燃料性状センサ28fが配置され、内部空間21f内を流れる燃料の性状が検出される。第6実施例の計測装置1fでも、第5実施例の計測装置1eと略同様の作用効果を奏することができる。
【0036】
なお、
図3A〜
図8Bに示す実施例において、
図2Aに示す実施例と同一の構成部品には同一符号を付している。一方、
図2Aに示す実施例と構成が一部相違する部品には、
図2Aに示す実施例の対応する部品と同一の符号に加えてa、b、c、d、e、fをさらに付している。
【0037】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。