(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、本発明に係る制御回路を誘導加熱装置のインバータ装置に用いた場合を例として、図面を参照して具体的に説明する。
【0026】
図1は、第1実施形態に係る誘導加熱装置Aの全体構成を説明するための図である。
【0027】
誘導加熱装置Aは、直流電源1、インバータ装置、コイル5、および、共振コンデンサ6を備えている。誘導加熱装置Aは、電磁誘導を利用して加熱対象物Bを加熱するものである。
【0028】
直流電源1は、直流電流を出力するものであり、例えば、電力系統から入力される交流電流を整流する整流回路と、平滑する平滑コンデンサとを備えている。なお、直流電源1は、交流電流を直流電流に変換して出力するものに限られず、例えば、燃料電池、蓄電池、太陽電池などの直流電流を出力するものであってもよい。
【0029】
インバータ装置は、直流電源1から入力される直流電流を高周波電流に変換して、コイル5に出力するものである。インバータ装置は、インバータ回路2と制御回路7とを備えており、以下では「インバータ装置8」と記載する。インバータ装置8の詳細については、後述する。
【0030】
コイル5は、磁界を発生させるためのものであり、導体線を螺線状に巻いたものである。本実施形態では、誘導加熱装置Aを加熱調理用のものとして、コイル5の上部に鍋などを配置するので、コイル5を平面的に螺線状に巻いた渦巻形状としているが、これに限られない。コイル5の形状は、加熱対象物Bの形状や配置の状態に応じたものとすればよい。例えば、コイル5を円筒形状に巻いたいわゆるコイル形状として、その中央に加熱対象物Bを配置するようにしてもよい。コイル5は、インバータ装置8から入力される高周波電流が流れることで磁界を変化させる。そして、この磁界に配置された例えば鍋などの加熱対象物Bに、渦電流が発生する。加熱対象物Bには、渦電流が流れることで電気抵抗によるジュール熱が発生し、自己発熱によって加熱対象物Bは加熱される。
【0031】
共振コンデンサ6は、コイル5によるインピーダンスを打ち消すためのものであり、コイル5に直列接続されることで直列共振回路を構成している。
【0032】
コイル5と加熱対象物Bとは磁気結合しているので、コイル5、共振コンデンサ6および加熱対象物Bをまとめて、インバータ装置8に接続された負荷と考えることができる。つまり、誘導加熱装置Aは、直流電源1が出力する直流電流をインバータ装置8が交流電流に変換して、負荷に供給するものである。インバータ装置8は、負荷に供給する電力を制御することができる。本実施形態では、インバータ装置8は、フェーズシフト制御により出力電力を制御する。
【0033】
インバータ装置8は、単相フルブリッジ型のインバータ回路2と制御回路7とを備えている。インバータ回路2は、4個のスイッチング素子2a〜2d、フライホイールダイオード3a〜3d、および、スナバコンデンサ4a〜4dを備えている。本実施形態では、スイッチング素子2a〜2dとしてMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を使用している。なお、スイッチング素子2a〜2dはMOSFETに限定されず、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor : 絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ)などであってもよい。また、フライホイールダイオード3a〜3dおよびスナバコンデンサ4a〜4dの種類も限定されない。
【0034】
スイッチング素子2aと2bとは、スイッチング素子2aのソース端子とスイッチング素子2bのドレイン端子とが接続されて、直列接続されている。スイッチング素子2aのドレイン端子は直流電源1の正極側に接続され、スイッチング素子2bのソース端子は直流電源1の負極側に接続されて、ブリッジ構造を形成している。同様に、スイッチング素子2cと2dとが直列接続されてブリッジ構造を形成している。スイッチング素子2aと2bで形成されているブリッジ構造を第1アームとし、スイッチング素子2cと2dで形成されているブリッジ構造を第2アームとする。第1アームのスイッチング素子2aと2bとの接続点には出力ラインが接続され、第2アームのスイッチング素子2cと2dとの接続点にも出力ラインが接続されている。これら2つの出力ラインの間に、コイル5と共振コンデンサ6とが直列接続されている。各スイッチング素子2a〜2dのゲート端子には、制御回路7から出力される駆動信号Pa’〜Pd’(後述)が入力される。
【0035】
各スイッチング素子2a〜2dは、それぞれ駆動信号Pa’〜Pd’に基づいて、オン状態とオフ状態とを切り替えられる。各アームの両端はそれぞれ直流電源1の正極と負極とに接続されているので、正極側のスイッチング素子がオン状態で負極側のスイッチング素子がオフ状態の場合、当該アームの出力ラインの電位は直流電源1の正極側の電位となる。一方、正極側のスイッチング素子がオフ状態で負極側のスイッチング素子がオン状態の場合、当該アームの出力ラインの電位は直流電源1の負極側の電位となる。これにより、直流電源1の正極側の電位と負極側の電位とが切り替えられたパルス状の電圧信号が各出力ラインから出力され、2つの出力ライン間の電圧である線間電圧が交流電圧となる。
【0036】
フライホイールダイオード3a〜3dは、スイッチング素子2a〜2dのドレイン端子とソース端子との間に、それぞれ逆並列に接続されている。すなわち、フライホイールダイオード3a〜3dのアノード端子はそれぞれスイッチング素子2a〜2dのソース端子に接続され、フライホイールダイオード3a〜3dのカソード端子はそれぞれスイッチング素子2a〜2dのドレイン端子に接続されている。フライホイールダイオード3a〜3dは、それぞれスイッチング素子2a〜2dの切り替えによって発生する逆起電力による逆方向の高い電圧がスイッチング素子2a〜2dに印加されないようにするためのものである。
【0037】
スナバコンデンサ4a〜4dは、スイッチング素子2a〜2dのドレイン端子とソース端子との間に、それぞれ接続されている。スナバコンデンサ4a〜4dは、スイッチング素子2a〜2dの切り替えによってドレイン端子とソース端子との間に印加されるサージ電圧を吸収するものである。なお、スナバコンデンサ4a〜4dにそれぞれ抵抗を直列接続してスナバ回路としてもよい。
【0038】
なお、フライホイールダイオード3a〜3dおよびスナバコンデンサ4a〜4dは、いずれか一方のみを備えるようにしてもよいし、いずれも備えないようにしてもよい。
【0039】
制御回路7は、インバータ回路2の制御を行うものであり、直流電源1に入力される交流電力が目標電力になるように制御することで、インバータ回路2の出力電力を制御する。制御回路7は、フェーズシフト制御によってインバータ回路2の制御を行う。すなわち、一方のアームのスイッチング素子(例えば2c(2d))に出力する駆動信号の位相を他方のアームのスイッチング素子(例えば、2a(2b))に出力する駆動信号の位相より遅らせるが、この位相差を変化させることで、出力電力の制御を行う。また、制御回路7は、位相を遅らせる側のアーム(追従アーム)を切り替える機能を有する。すなわち、第2アームのスイッチング素子2c(2d)に出力する駆動信号の位相を第1アームのスイッチング素子2a(2b)に出力する駆動信号の位相より遅らせる状態(第2アームが追従アームで第1アームが先行アームである状態)と、第1アームのスイッチング素子2a(2b)に出力する駆動信号の位相を第2アームのスイッチング素子2c(2d)に出力する駆動信号の位相より遅らせる状態(第1アームが追従アームで第2アームが先行アームである状態)とを切り替える。さらに、制御回路7は、先行アームと追従アームとを切り替える前に、すべての駆動信号をローレベルにする全停止期間を設ける。制御回路7は、電力算出部71、電力設定部72、パルス信号生成部73、および、ドライバ74を備えている。
【0040】
電力算出部71は、電力系統から直流電源1に入力される交流電力の電力値を算出するものである。
図1においては図示されていないが、直流電源1には電力系統と整流回路との間に電流センサおよび電圧センサが設けられている。当該電流センサは、電力系統から直流電源1に入力される交流電流を検出して、電流信号Iを電力算出部71に出力している。また、当該電圧センサは、電力系統から直流電源1に入力される交流電圧を検出して、電圧信号Vを電力算出部71に出力している。電力算出部71は、入力される電流信号Iおよび電圧信号Vから電力値Pを算出して、パルス信号生成部73に出力する。なお、電力算出部71を直流電源1に設けて、電力値Pを直流電源1から制御回路7に入力するようにしてもよい。
【0041】
電力設定部72は、電力値Pの目標値P
*を設定するものであり、設定された目標値P
*をパルス信号生成部73に出力する。電力設定部72は、図示しない操作手段の操作に応じて、目標値P
*を設定する。操作手段は、例えば、つまみの回転により火力を変化させるものであり、一方方向(例えば反時計回り)につまみを回転させると目標値P
*が大きい値に設定され、他方方向(例えば時計回り)につまみを回転させると目標値P
*が小さい値に設定される。
【0042】
パルス信号生成部73は、パルス信号Pa〜Pdを生成するものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。パルス信号生成部73は、電力算出部71から入力される電力値Pと、電力設定部72から入力される目標値P
*とに基づいてパルス信号Pa〜Pdを生成し、ドライバ74に出力する。パルス信号生成部73は、電力制御部731、タイマ部732、切替部733、第1パルス信号生成部734、および、第2パルス信号生成部735を備えている。
【0043】
電力制御部731は、インバータ回路2に入力される電力の制御を行うためのものである。電力制御部731は、電力算出部71より出力される電力値Pと、電力設定部72より出力される目標値P
*との電力偏差ΔP(=P
*−P)を入力されて、当該電力偏差ΔPをゼロにするための電力補償値Xを切替部733に出力する。電力制御部731は、例えば、PI制御を行っている。
【0044】
タイマ部732は、すべての駆動信号をローレベルにする全停止期間を設けるためのタイマ信号を生成するものである。タイマ信号は、所定時間(例えば数時間)のローレベル期間と別の所定時間(例えば、数百ミリ秒)のハイレベル期間とを繰り返すパルス信号である。本実施形態では、当該ハイレベル期間を全停止期間としている(後述する
図5の時刻t1〜t2参照)。なお、ローレベル期間とハイレベル期間の長さは限定されない。ローレベル期間は、先行アームと追従アームとを切り替えなくても問題にならない時間が設定される。また、ハイレベル期間は、インバータ回路2のスイッチングが停止してから振動電流が減衰して、出力電流の実効値がゼロになる時間が設定される。また、タイマ信号は、先行アームと追従アームとを切り替えるタイミング信号でもある。タイマ部732は、生成したタイマ信号を切替部733に出力する。
【0045】
切替部733は、電力制御部731より入力される電力補償値Xの出力先を切り替えるものである。切替部733は、タイマ部732から入力されるタイマ信号に基づいて、第1パルス信号生成部734および第2パルス信号生成部735に出力する信号を切り替える。すなわち、切替部733は、タイマ信号がローレベルの間(タイマOFF)、第1パルス信号生成部734または第2パルス信号生成部735のいずれか一方に電力補償値Xを出力し、タイマ信号がハイレベルの間(タイマON)、第1パルス信号生成部734および第2パルス信号生成部735に全停止信号を出力する。また、切替部733は、タイマ信号がハイレベルからローレベルに切り替わるときに、電力補償値Xを出力する先を、第1パルス信号生成部734と第2パルス信号生成部735との間で切り替える。
【0046】
図2は、切替部733が行う切替処理を説明するためのフローチャートである。当該切替処理は、インバータ装置8の起動時(すなわち、使用者が操作部の操作によりスイッチをオンにしたとき)に実行が開始され、インバータ装置8の停止時(すなわち、使用者が操作部の操作によりスイッチをオフにしたとき)まで継続する。
【0047】
実行が開始されると、まず、電力補償値Xを出力する先の切り替えが行われる(S1)。次に、電力制御部731より入力される電力補償値Xが、第1パルス信号生成部734または第2パルス信号生成部735に出力され(S2)、タイマ部732より入力されるタイマ信号がローレベル(タイマOFF)であるか否かが判別される(S3)。ローレベルの場合(S3:YES)、ステップS2に戻り、ステップS2とS3とが繰り返される。すなわち、タイマ信号がローレベルを継続している間(ハイレベルになるまで)、電力補償値Xの出力が継続する。
【0048】
タイマ信号がハイレベルになった場合(S3:NO)、第1パルス信号生成部734および第2パルス信号生成部735に全停止信号が出力され(S4)、タイマ部732より入力されるタイマ信号がハイレベル(タイマON)であるか否かが判別される(S5)。ハイレベルの場合(S5:YES)、ステップS4に戻り、ステップS4とS5とが繰り返される。すなわち、タイマ信号がハイレベルを継続している間(ローレベルになるまで)、全停止信号の出力が継続する。タイマ信号がローレベルになった場合(S5:NO)、ステップS1に戻って、電力補償値Xを出力する先の切り替えが行われる(S1)。なお、切替部733が行う切替処理は、上述したものに限定されない。
【0049】
第1パルス信号生成部734は、第1アームのスイッチング素子2aおよび2bに入力される駆動信号Pa’およびPb’の元になるパルス信号PaおよびPbを生成して、ドライバ74に出力する。第1パルス信号生成部734は、切替部733から電力補償値Xおよび全停止信号が入力されていない期間、所定の周期でデューティ比が50%であるパルス信号Paを生成して出力する。また、切替部733から電力補償値Xが入力されている期間、電力補償値Xに応じてパルス信号Paの位相を遅らせて出力する。また、第1パルス信号生成部734は、これらの期間、パルス信号Paを反転させた信号をパルス信号Pbとして出力する。一方、切替部733から全停止信号が入力されている期間は、パルス信号PaおよびPbをローレベル信号として出力する。
【0050】
第2パルス信号生成部735は、第2アームのスイッチング素子2cおよび2dに入力される駆動信号Pc’およびPd’の元になるパルス信号PcおよびPdを生成して、ドライバ74に出力する。第2パルス信号生成部735は、切替部733から電力補償値Xおよび全停止信号が入力されていない期間、所定の周期でデューティ比が50%であるパルス信号Pcを生成して出力する。また、切替部733から電力補償値Xが入力されている期間、電力補償値Xに応じてパルス信号Pcの位相を遅らせて出力する。また、第2パルス信号生成部735は、これらの期間、パルス信号Pcを反転させた信号をパルス信号Pdとして出力する。一方、切替部733から全停止信号が入力されている期間は、パルス信号PcおよびPdをローレベル信号として出力する。
【0051】
インバータ装置8の起動時には、パルス信号PaおよびPc(PbおよびPd)の位相は一致している。操作部の操作により、電力設定部72が目標値P
*をゼロから大きくすることにより、第1パルス信号生成部734または第2パルス信号生成部735がパルス信号の位相を遅らせることで、インバータ回路2から電力が出力される。
【0052】
例えば、電力補償値Xが第1パルス信号生成部734に入力されている場合、第1パルス信号生成部734が出力するパルス信号Pa(Pb)は、第2パルス信号生成部735が出力するパルス信号Pc(Pd)より、位相を遅らせて出力される。これにより、第2アームが先行アームで、第1アームが追従アームになる。逆に、電力補償値Xが第2パルス信号生成部735に入力されている場合、第2パルス信号生成部735が出力するパルス信号Pc(Pd)は、第1パルス信号生成部734が出力するパルス信号Pa(Pb)より、位相を遅らせて出力される。これにより、第1アームが先行アームで、第2アームが追従アームになる。
【0053】
また、全停止信号が第1パルス信号生成部734および第2パルス信号生成部735に入力されている場合、パルス信号Pa,Pb,Pc,Pdはすべてローレベル信号になる。そして、全停止信号の入力が終了したとき(タイマ信号がハイレベルからローレベルに切り替わるとき)、電力補償値Xの出力先が切り替わり、先行アームと追従アームとが切り替わる。
【0054】
なお、パルス信号生成部73によるパルス信号の生成方法は、上述したものに限られない。電力制御部731より出力される電力補償値Xに応じて、パルス信号Pa,Pbまたはパルス信号Pc,Pdの位相を遅らせることができ、全停止期間(パルス信号Pa,Pb,Pc,Pdをいずれもローレベルとする期間)を挟んで、パルス信号Pa,Pbの位相を遅らせた状態と、パルス信号Pc,Pdの位相を遅らせた状態とを切り替えることができればよい。
【0055】
図3および
図4は、パルス信号生成部の他の実施例を説明するための図である。
【0056】
図3(a)に示すパルス信号生成部73’は、第2パルス信号生成部735が生成するパルス信号PcおよびPdの位相を固定しておき、第1パルス信号生成部734が生成するパルス信号Pa(Pb)の位相をパルス信号Pc(Pd)の位相より進めるか遅らせるかを切り替えることで、先行アームと追従アームとを切り替えるようにしたものである。
【0057】
切替部733’は、電力制御部731より入力される電力補償値Xに応じた位相差θを算出し、位相差θをそのままか負の値にして、第1パルス信号生成部734に出力する。第1パルス信号生成部734は、切替部733’から入力される位相差θが正の値の場合、パルス信号PaおよびPbの位相を位相差θだけ進めて出力し、位相差θが負の値の場合、パルス信号PaおよびPbの位相を位相差|θ|だけ遅らせて出力する。第2パルス信号生成部735が生成するパルス信号PcおよびPdの位相は固定されているので、位相差θが正の値の場合、第1アームが先行アームで第2アームが追従アームになる。また、位相差θが負の値の場合、第2アームが先行アームで第1アームが追従アームになる。
【0058】
第1パルス信号生成部734および第2パルス信号生成部735は、タイマ部732が出力するタイマ信号がハイレベルの間、出力するパルス信号をすべてローレベル信号にする。また、切替部733’は、タイマ信号がハイレベルからローレベルに切り替わるときに、位相差θをそのまま出力するか、負の値にして出力するかを切り替える。
【0059】
図3(b)は、切替部733’が行う切替処理を説明するためのフローチャートである。当該フローチャートにおいて、
図2に示すフローチャートと共通するステップは同じステップ番号としている。
【0060】
実行が開始されると、まず、位相差θの符号が切り替えられる(S1’)。次に、位相差θが、第1パルス信号生成部734に出力され(S2’)、タイマ部732より入力されるタイマ信号がローレベル(タイマOFF)であるか否かが判別される(S3)。ローレベルの場合(S3:YES)、ステップS2’に戻り、ステップS2’とS3とが繰り返される。すなわち、タイマ信号がローレベルを継続している間(ハイレベルになるまで)、位相差θの出力が継続する。
【0061】
タイマ信号がハイレベルになった場合(S3:NO)、タイマ部732より入力されるタイマ信号がハイレベル(タイマON)であるか否かが判別される(S5)。ハイレベルの場合(S5:YES)、ステップS5に戻り、ステップS5の判別が繰り返される。この間、すなわち、タイマ信号がハイレベルを継続している間(ローレベルになるまで)、第1パルス信号生成部734および第2パルス信号生成部735は、タイマ部732から入力されるタイマ信号に基づいて、出力するパルス信号をすべてローレベル信号にする。タイマ信号がローレベルになった場合(S5:NO)、ステップS1’に戻って、位相差θの符号が切り替えられる(S1’)。なお、切替部733’が行う切替処理は、上述したものに限定されない。
【0062】
図4(a)に示すパルス信号生成部73”は、先行パルス信号と追従パルス信号とを生成して、各パルス信号の出力先を切り替えるようにしたものである。
【0063】
先行パルス信号生成部734’は、先行パルス信号を生成する。一方、追従パルス信号生成部735’は、電力制御部731より入力される電力補償値Xに応じて、先行パルス信号より位相を遅らせた追従パルス信号を生成する。切替部733”は、タイマ部732から入力されるタイマ信号に基づいて、出力する信号を切り替える。すなわち、切替部733”は、タイマ信号がローレベルの間、先行パルス信号をパルス信号PaおよびPbとして出力し、追従信号をパルス信号PcおよびPdとして出力する(この場合、第1アームが先行アームで第2アームが追従アームになる)か、先行パルス信号をパルス信号PcおよびPdとして出力し、追従信号をパルス信号PaおよびPbとして出力する(この場合、第2アームが先行アームで第1アームが追従アームになる)。また、タイマ信号がハイレベルの間、パルス信号Pa,Pb,Pc,Pdをいずれもローレベル信号として出力する。切替部733”は、タイマ信号がハイレベルからローレベルに切り替わるときに、先行パルス信号と追従パルス信号の出力先を切り替える。
【0064】
図4(b)は、切替部733”が行う切替処理を説明するためのフローチャートである。当該フローチャートにおいて、
図2に示すフローチャートと共通するステップは同じステップ番号としている。
【0065】
実行が開始されると、まず、先行パルス信号と追従パルス信号の出力先の切り替えが行われる(S1”)。次に、先行パルス信号と追従パルス信号が各出力先に出力され(S2”)、タイマ部732より入力されるタイマ信号がローレベル(タイマOFF)であるか否かが判別される(S3)。ローレベルの場合(S3:YES)、ステップS2”に戻り、ステップS2”とS3とが繰り返される。すなわち、タイマ信号がローレベルを継続している間(ハイレベルになるまで)、先行パルス信号と追従パルス信号の出力が継続する。
【0066】
タイマ信号がハイレベルになった場合(S3:NO)、ローレベル信号が出力され(S4’)、タイマ部732より入力されるタイマ信号がハイレベル(タイマON)であるか否かが判別される(S5)。ハイレベルの場合(S5:YES)、ステップS4’に戻り、ステップS4’とS5とが繰り返される。すなわち、タイマ信号がハイレベルを継続している間(ローレベルになるまで)、ローレベル信号の出力が継続する。タイマ信号がローレベルになった場合(S5:NO)、ステップS1”に戻って、先行パルス信号と追従パルス信号の出力先の切り替えが行われる(S1”)。なお、切替部733”が行う切替処理は、上述したものに限定されない。
【0067】
本実施形態では、パルス信号生成部73をディジタル回路として実現した場合について説明したが、アナログ回路として実現してもよい。また、各部が行う処理をプログラムで設計し、当該プログラムを実行させることでコンピュータをパルス信号生成部73として機能させてもよい。また、当該プログラムを記録媒体に記録しておき、コンピュータに読み取らせるようにしてもよい。
【0068】
ドライバ74は、パルス信号生成部73から入力されるパルス信号Pa〜Pdを増幅して、各スイッチング素子2a〜2dを駆動できるレベルの駆動信号Pa’〜Pd’として出力する。本実施形態では、ドライバ74を、パルストランス方式のゲートドライブ回路としている。なお、ドライバ74は、パルストランス方式のゲートドライブ回路に限定されず、フォトカプラ方式などの他の方式のゲートドライブ回路としてもよい。ドライバ74は、入力されるパルス信号Pa〜Pdのデューティ比が50%であることを想定して設計される。すなわち、デューティ比が50%の場合に問題なく動作し得る最も経済的な設計がなされる。なお、スイッチング素子2aおよび2b(2cおよび2d)が瞬間的に両方ともオン状態になってしまうことを防ぐために、駆動信号Pa’〜Pd’にデッドタイムを設けるようにしてもよい。
【0069】
次に、誘導加熱装置Aの作用と効果について説明する。
【0070】
誘導加熱装置Aは、電力算出部71が算出する電力値Pが、電力設定部72によって設定される目標値P
*になるようにフィードバック制御される。直流電源1に入力される交流電力が変動して電力値Pが目標値P
*より大きくなった場合や、操作部の操作により目標値P
*が小さい値に変更された場合、電力偏差ΔPが負の値になる。この場合、電力制御部731から出力される電力補償値Xが負の値になり、切替部733から電力補償値Xを入力された第1パルス信号生成部734または第2パルス信号生成部735が出力するパルス信号の位相が進んで位相差が小さくなる。これにより、インバータ回路2の出力電力が小さくなって、直流電源1に入力される電力が小さくなり、電力値Pが目標値P
*に一致するようになる。逆に、直流電源1に入力される交流電力が変動して電力値Pが目標値P
*より小さくなった場合や、操作部の操作により目標値P
*が大きい値に変更された場合、電力偏差ΔPが正の値になる。この場合、電力制御部731から出力される電力補償値Xが正の値になり、切替部733から電力補償値Xを入力された第1パルス信号生成部734または第2パルス信号生成部735が出力するパルス信号の位相が遅れて位相差が大きくなる。これにより、インバータ回路2の出力電力が大きくなって、直流電源1に入力される電力が大きくなり、電力値Pが目標値P
*に一致するようになる。
【0071】
制御回路7は、全停止期間を設けて、その前後で先行アームと追従アームとを切り替える機能を有する。パルス信号生成部73の切替部733は、タイマ部732から入力されるタイマ信号に基づいて、第1パルス信号生成部734に電力補償値Xを出力する状態と、第2パルス信号生成部735に電力補償値Xを出力する状態と、第1パルス信号生成部734および第2パルス信号生成部735に全停止信号を出力する状態とを切り替える。第1パルス信号生成部734が電力補償値Xを入力されている間、パルス信号Pa(Pb)の位相がパルス信号Pc(Pd)の位相より遅れるので、第1アームが追従アームになり、第2アームが先行アームになる。逆に、第2パルス信号生成部735が電力補償値Xを入力されている間、パルス信号Pc(Pd)の位相がパルス信号Pa(Pb)の位相より遅れるので、第2アームが追従アームになり、第1アームが先行アームになる。また、第1パルス信号生成部734および第2パルス信号生成部735は、全停止信号を入力されている間、パルス信号Pa,Pb,Pc,Pdはすべてローレベル信号になり、インバータ回路2のスイッチング動作が停止された状態になる。
【0072】
図5は、パルス信号生成部73が生成する各パルス信号Pa,Pb,Pc,Pdの波形を示す図である。
【0073】
時刻t1までの期間、タイマ信号はローレベルになっている。この期間において、電力補償値Xが第2パルス信号生成部735に出力され、パルス信号Pc(Pd)の位相がパルス信号Pa(Pb)の位相より位相差θだけ遅れている。この期間は、第1アームが先行アームになり、第2アームが追従アームになっている。
【0074】
時刻t1から時刻t2までの期間、タイマ信号はハイレベルになっている。この期間において、パルス信号Pa,Pb,Pc,Pdはいずれもローレベルになっている。そして、時刻t2でタイマ信号がハイレベルからローレベルに切り替わっている。このタイミングで、電力補償値Xの出力先が第2パルス信号生成部735から第1パルス信号生成部734に切り替わる。
【0075】
時刻t2以降の期間、タイマ信号はローレベルになっている。この期間において、電力補償値Xが第1パルス信号生成部734に出力され、パルス信号Pa(Pb)の位相がパルス信号Pc(Pd)の位相より位相差θだけ遅れている。この期間は、第2アームが先行アームになり、第1アームが追従アームになっている。つまり、全停止期間の前後で、先行アームと追従アームとが切り替えられている。
【0076】
なお、
図5の最下段に示す波形は、第1アームの出力ラインと第2アームの出力ラインとの電位差、すなわち、負荷(コイル5、共振コンデンサ6および加熱対象物B)に印加される電圧の波形である。全停止期間である時刻t1からt2までの期間において、負荷に印加される電圧がゼロになり、インバータ回路2が負荷に電力を供給しない状態になるが、この期間は数百ミリ秒程度の短い時間なので、加熱対象物Bの温度の低下はあまり問題にならない。
【0077】
本実施形態において、先行アームと追従アームとの切り替えの間に全停止期間が設けられているので、
図5に示すように、各パルス信号Pa,Pb,Pc,Pdのデューティ比は、50%より小さくなる場合はあるが、50%より大きくなることはない。これにより、デューティ比が50%を超えることに起因するドライブ回路の故障やインバータ装置8の不安定動作を防止することができる。
【0078】
なお、本実施形態においては、デューティ比を50%にした場合について説明しているが、これに限られない。50%はあくまで例示であって、50%以外の所定値としてもよい。全停止期間において各パルス信号Pa,Pb,Pc,Pdはローレベルとなるので、デューティ比が設定されている所定値より大きくなることはない。
【0079】
本実施形態においては、直流電源1に入力される交流電力がインバータ回路2の出力電力とほぼ同じであることを利用して、直流電源1に入力される交流電力を制御することで、インバータ回路2の出力電力を制御しているが、これに限られない。例えば、インバータ回路2の出力電力を直接制御するようにしてもよい。すなわち、電力算出部71がインバータ回路2の出力電流および出力電圧から出力電力を算出し、電力設定部72が出力電力の目標値を設定するようにしてもよい。また、直流電源1からインバータ回路2に入力される直流電力を制御するようにしてもよい。また、直流電源1に入力される交流電流を制御するようにしてもよいし、当該交流電流から推定される交流電力を制御するようにしてもよい。
【0080】
上記第1実施形態においては、タイマ部732が生成するタイマ信号に基づいて全停止期間を終了するタイミングを決定する場合について説明したが、これに限られない。例えば、インバータ回路2の出力電流の実効値がゼロになった場合に全停止期間を終了するようにしてもよい。この場合を、第2実施形態として、以下に説明する。
【0081】
図6は、第2実施形態に係る誘導加熱装置A2の全体構成を説明するための図である。同図において、第1実施形態に係る誘導加熱装置A(
図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
【0082】
図6に示す誘導加熱装置A2は、電流検出部75を備え、電流検出部75が検出したインバータ回路2の出力電流の実効値に基づいて切替部733が全停止期間を終了させる点で、第1実施形態に係る誘導加熱装置Aと異なる。
【0083】
電流検出部75は、インバータ回路2の出力ラインに設けられた電流センサが検出した電流信号に基づいて、インバータ回路2の出力電流の実効値を算出するものである。また、電流検出部75は、算出した実効値がゼロになった場合に、切替部733に信号を出力する。切替部733は、電流検出部75から信号が入力された場合に、全停止信号の出力を停止する。
【0084】
図7は、誘導加熱装置A2の切替部733が行う切替処理を説明するためのフローチャートである。当該フローチャートにおいて、
図2に示すフローチャートと共通するステップは同じステップ番号としている。
【0085】
図7に示すフローチャートは、ステップS5をステップS5’に代えている点で、
図2に示すフローチャートと異なる。すなわち、ステップS4の後、電流検出部75から信号が入力されているか否か、すなわち、インバータ回路2の出力電流がゼロになったか否かが判別され(S5’)、信号が入力されるまで、全停止信号の出力が継続する。電流検出部75から信号が入力された場合(S5’:YES)、ステップS1に戻る。なお、切替部733が行う切替処理は、上述したものに限定されない。
【0086】
なお、電流検出部75から信号が入力され、かつ、タイマ信号がローレベルになった場合に全停止期間を終了させるようにしてもよい。
【0087】
第2実施形態においても、先行アームと追従アームとの切り替えの間に全停止期間が設けられているので、各パルス信号Pa,Pb,Pc,Pdのデューティ比は50%より大きくなることはない。したがって、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態においては、インバータ回路2の出力電流の実効値がゼロにまるまで全停止期間を継続するので、出力電流の減衰振動が発生している間にスイッチングを再開することによるインバータの不安定動作をより確実に抑制することができる。
【0088】
上記第1および第2実施形態においては、タイマ部732が生成するタイマ信号に基づいて全停止期間を開始する場合について説明したが、これに限られない。所定時間ごとに先行アームと追従アームとの切り替えを行ったとしても、場合によっては一方のアーム側のスイッチング素子の熱損失が大きくなる場合がある。これを抑制するために、スイッチング素子の温度を監視して、これに基づいて全停止期間を開始して、先行アームと追従アームとの切り替えを行うようにしてもよい。この場合を、第3実施形態として、以下に説明する。
【0089】
図8は、第3実施形態に係る誘導加熱装置A3を説明するための図である。同図(a)は、第1実施形態に係る誘導加熱装置Aとの相違点を説明するための図であり、第1実施形態に係る誘導加熱装置A(
図1参照)と共通する部分の記載を省略している。同図において、第1実施形態に係る誘導加熱装置Aと同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
【0090】
図8(a)に示す誘導加熱装置A3は、第1温度検出部76および第2温度検出部77を備え、タイマ部732に代えて設けられている判定部736が第1温度検出部76および第2温度検出部77の検出温度に基づいて全停止期間を開始させる点で、第1実施形態に係る誘導加熱装置Aと異なる。
【0091】
第1温度検出部76は、第1アームのスイッチング素子2aおよび2bのヒートシンクに取り付けられた温度センサが検出する温度を判定部736に出力するものであり、第2温度検出部77は、第2アームのスイッチング素子2cおよび2dのヒートシンクに取り付けられた温度センサが検出する温度を判定部736に出力するものである。なお、温度センサはヒートシンクではなくスイッチング素子自体に取り付けるようにしてもよい。判定部736は、第1温度検出部76および第2温度検出部77より入力される温度の差を算出し、温度差が所定値以上になった場合に切替信号をハイレベルに切り替える。切替信号は、温度差が所定値以上になったときにハイレベルになり、所定時間(例えば、数百ミリ秒)経過後にローレベルになる、第1実施形態のタイマ信号と同様のパルス信号である。ハイレベルになるタイミングが定期的でない点で、タイマ信号とは異なる。
【0092】
図8(b)は、誘導加熱装置A3の切替部733が行う切替処理を説明するためのフローチャートである。当該フローチャートにおいて、
図2に示すフローチャートと共通するステップは同じステップ番号としている。
【0093】
図8(b)に示すフローチャートは、ステップS3をステップS3’に代え、ステップS5をステップS5”に代えている点で、
図2に示すフローチャートと異なる。すなわち、ステップS2の後、判定部736より入力される切替信号がローレベル(切り替えなし)であるか否かが判別され(S3’)、ステップS4の後、判定部736より入力される切替信号がハイレベル(全停止中)であるか否かが判別される(S5”)なお、切替部733が行う切替処理は、上述したものに限定されない。
【0094】
第3実施形態においても、先行アームと追従アームとの切り替えの間に全停止期間が設けられているので、各パルス信号Pa,Pb,Pc,Pdのデューティ比は50%より大きくなることはない。したがって、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第3実施形態においては、スイッチング素子の温度差が大きくなった場合に先行アームと追従アームとの切り替えを行うので、一方のアーム側のスイッチング素子の熱損失が大きくなることを、より確実に抑制することができる。
【0095】
上記第1実施形態においては定期的に先行アームと追従アームとの切り替えを行い、上記第3実施形態においてはスイッチング素子の温度差に基づいて切り替えを行っているが、連続使用時間が限られている場合、例えば数時間程度しか連続使用しない場合、使用の途中で切り替えを行う必要はなく、使用開始時に切替を行えばよい。この場合を、第4実施形態として、以下に説明する。
【0096】
図9は、第4実施形態に係る誘導加熱装置A4を説明するための図である。同図(a)は、第1実施形態に係る誘導加熱装置Aとの相違点を説明するための図であり、第1実施形態に係る誘導加熱装置A(
図1参照)と共通する部分の記載を省略している。同図において、第1実施形態に係る誘導加熱装置Aと同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
【0097】
図9(a)に示す誘導加熱装置A4は、タイマ部732を備えておらず、操作部78からの入力に基づいて先行アームと追従アームとの切り替えを行う点で、第1実施形態に係る誘導加熱装置Aと異なる。
【0098】
操作部78は、インバータ装置8の起動、停止、出力の調整を行うものであり、使用者によって操作されるものである。操作部78は、使用者がスイッチをオンにした時に起動信号を切替部733に出力し、スイッチをオフにした時に切替部733に停止信号を出力する。切替部733は、起動信号を入力された時に切替処理を開始して、先行アームと追従アームとの切り替えを行う。また、切替部733は、停止信号を入力された時に全停止信号を出力する。
【0099】
図9(b)は、誘導加熱装置A4の切替部733が行う切替処理を説明するためのフローチャートである。当該フローチャートにおいて、
図2に示すフローチャートと共通するステップは同じステップ番号としている。
【0100】
図9(b)に示すフローチャートは、ステップS3をステップS3”に代え、ステップS5をなくした点で、
図2に示すフローチャートと異なる。すなわち、ステップS2の後、操作部78より停止信号が入力されたか否かが判別され(S3”)、入力されていない場合(S3”:NO)、ステップS2とS3”とが繰り返される。停止信号が入力された場合(S3”:YES)、全停止信号が出力され(S4)、切替処理が終了される。なお、切替部733が行う切替処理は、上述したものに限定されない。
【0101】
第4実施形態の場合、全停止信号が出力されてから次に起動されるまでの期間が全停止期間に該当する。第4実施形態の場合にも、全停止期間の終了時(すなわち起動時)に先行アームと追従アームとの切り替えが行われる。
【0102】
第4実施形態においても、先行アームと追従アームとの切り替えの間に全停止期間が設けられているので、各パルス信号Pa,Pb,Pc,Pdのデューティ比は50%より大きくなることはない。したがって、第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第4実施形態においては、使用の途中で切り替えを行わないので、使用の途中で全停止期間を設ける必要がない。したがって、全停止による火力の低下を考慮する必要がなく、また、制御プログラムが簡単になる。
【0103】
第1ないし第4実施形態においては、誘導加熱装置のインバータ装置8に、本発明を用いた場合について説明したが、これに限られない。本発明は、フェーズシフト制御を行うすべてのインバータ装置に用いることができる。例えば、電源装置(高周波電源装置や溶接電源装置など)や駆動装置のインバータ装置に本発明を用いるようにしてもよい。つまり、
図1における負荷(コイル5、共振コンデンサ6および加熱対象物B)に代えて、別の負荷にインバータ装置8が電力を供給する場合にも、本発明を用いることができる。
【0104】
本発明に係るインバータ回路の制御回路、この制御回路を備えたインバータ装置、このインバータ装置を備えた誘導加熱装置、および、制御方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るインバータ回路の制御回路、この制御回路を備えたインバータ装置、このインバータ装置を備えた誘導加熱装置、および、制御方法の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。