(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方のケースと他方のケースとを互いに組み付けて構成されるケース内に、モータと歯車列とが設けられており、前記歯車列を介して入力される前記モータの出力回転でバッフルプレートを回動させて、流体の流路に設けた開口を開閉するように構成されたダンパ装置であって、
前記歯車列は、前記バッフルプレートの回動範囲を規定する扇型歯車を有しており、
前記扇型歯車は、当該扇型歯車の回動軸周りの周方向における一方の当接部と他方の当接部とが、前記一方のケースに設けた壁部に当接する角度範囲内で回動可能とされており、
前記他方のケースに、前記壁部における前記当接部との当接面とは反対側の面を支持する支持壁を設けたことを特徴とするダンパ装置。
前記他方のケースは、前記周壁に内嵌するリブを備えており、前記壁部における前記当接部との当接位置は、前記リブと前記支持壁との間に挟まれていることを特徴とする請求項2から請求項4の何れか一項に記載のダンパ装置。
前記開口は、前記回動軸に対して平行なフレーム部に形成されており、前記フレーム部は、前記他方のケースと一体に形成されていると共に、前記回動軸の軸方向から見て、前記壁部における前記当接部との当接位置と重なるように設けられていることを特徴とする請求項2から請求項4の何れか一項に記載のダンパ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明を、冷蔵庫の冷気ダクトの流路を開閉するダンパ装置1に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1は、実施の形態にかかるダンパ装置1を説明する図であり、(a)は、斜視図、(b)は、(a)における面Aでダンパ装置1のフレーム2を切断した断面図である。
図2は、ダンパ装置1の分解斜視図であり、
図3は、ダンパ装置1の駆動機構9を説明する図であり、
図4は、駆動機構9の輪列展開図である。なお、
図3では、第1歯車81を構成する大径歯車810を、当該大径歯車810の直径線Lmを挟んで第2歯車82側を仮想線で示すと共に、大径歯車810の紙面奥側で、第2歯車82の大径歯車820に噛合する小径歯車815を実線で示している。
【0013】
ダンパ装置1は、冷蔵庫の冷気ダクトの流路を横切って配置されるフレーム2を有しており、このフレーム2に設けた開口22を、軸線X周りに回動するバッフルプレート7で開閉することで、フレーム2を挟んで一方側から他方側への冷気の移動量が調整されるようになっている。
【0014】
フレーム2は、冷気ダクトの流路を横切るように配置される板状の仕切壁部21を有しており、この仕切壁部21の中央に、矩形形状を成す開口22が設けられている。
開口22は、仕切壁部21を厚み方向に貫通して設けられており、仕切壁部21の一方側の面には、開口22を全周に亘って囲む突出壁23が設けられている。
この突出壁23の先端には、開口22をバッフルプレート7で閉じる際に、バッフルプレート7に設けた板状のクッション部材75が圧接して変形するようになっている。
【0015】
フレーム2は、仕切壁部21の外周縁を、突出壁23と同方向に突出する側壁24で全周に亘って囲んで形成される。側壁24は、仕切壁部21の長手方向に沿って延びる側壁部241、242と、側壁部241、242の端部同士を接続する側壁部243、244と、を有しており、仕切壁部21の長手方向(図中左右方向)における一方側に位置する側壁部244は、後記する本体ケース4のカバー6と一体に形成されている。
【0016】
側壁部242のカバー6との接続部には、カバー6と同方向に突出して補強壁部242aが設けられており、フレーム2(仕切壁部21)のカバー6に対する傾きが、この補強壁部242aにより抑えられている。
【0017】
図2に示すように、側壁部244には、駆動機構9の出力軸84を挿通させる貫通孔245が設けられている。貫通孔245は、側壁部244における側壁部242寄り(図中下方寄り)の位置に設けられており、側壁部244を厚み方向に貫通して形成されている。
この貫通孔245を挿通させた出力軸84は、側壁24の内側で、バッフルプレート7の軸部72に、二面幅嵌合により連結されるようになっている。
【0018】
バッフルプレート7は、矩形形状の基部71を有しており、この基部71におけるフレーム2の開口22側の面には、全面に亘ってクッション部材75が取り付けられている。
このクッション部材75は、独立気泡の発泡ポリエチレンで形成されており、矩形形状を有していると共に、開口22を囲む突出壁23よりも大きい面積で形成されている。
【0019】
バッフルプレート7の駆動機構9とは反対側の端部には、前記した軸部72と同軸に軸部73が設けられており、この軸部73の円筒形状の被支持部73aが、バッフルプレート7をフレーム2側に組み付けた際に、側壁部243の内周に設けた円柱形状の支持穴246で回転可能に支持されるようになっている。
実施の形態では、後記するモータMの回転駆動力が、出力軸84を介してバッフルプレート7に入力されると、バッフルプレート7が、貫通孔245と支持穴246の中心を結ぶ軸線X周りの周方向に回動するようになっている。
そのため、バッフルプレート7が、開口22を閉じる方向に回動すると、クッション部材75が、開口22を囲む突出壁23に圧接されて開口22を閉止するようになっている(
図1の(b)参照)。
【0020】
図3に示すように、本体ケース4の下ケース5は、矩形形状を有しており、底壁部50の外周を全周に亘って周壁51で囲んだ有底円筒形状を成している。
この下ケース5の周壁51の内側には、バッフルプレート7の駆動機構9を構成するモータMと歯車列8(減速歯車列)とが収容されている。
歯車列8は、モータM側から順番に、第1歯車81と、第2歯車82と、扇型歯車83と、を備えて構成される。
【0021】
図4に示すようにモータMは、支軸Saで回転可能に支持されたロータRと、ロータRを所定間隔で囲むステータSと備えて構成されるステッピングモータであり、前記した開口22を開閉するバッフルプレート7は、このステッピングモータのディテントトルクにより、所定位置に保持されるようになっている。
【0022】
モータMの支軸Saは、長手方向の一端と他端が、それぞれ下ケース5とカバー6とで回転不能に支持されており、下ケース5とカバー6の組み付け方向に沿って設けられている。
ステータSは、ロータRの回転中心軸Xm周りの周方向の回転が阻止された状態で、下ケース5のモータ取付部52(基部521)に固定されており、ロータRは、モータ取付部52(リング溝522)に設けたスプリングSpの付勢力で、その上端をカバー6に当接させた状態で、回転中心軸Xm周りの周方向に回動可能に設けられている。
【0023】
第1歯車81と第2歯車82は、それぞれ大径歯車810、820と、小径歯車815、825を備えており、大径歯車810、820と、小径歯車815、825は、それぞれ樹脂成形により一体に形成されている。
【0024】
第1歯車81は、大径歯車810を、モータMのピニオンギア90に噛合させると共に、小径歯車815を、第2歯車82の大径歯車820にさせて設けられている。第2歯車82は、その小径歯車825を、扇型歯車83に噛合させて設けられている。
【0025】
図5は、扇型歯車83を説明する図であり、(a)は、出力軸84と一体に形成された扇型歯車83の斜視図であり、(b)は、(a)における軸線X方向から見た図であって、扇型歯車83の回動可能範囲を規定する膨出部57の突出部571、572周りと共に示した図である。
【0026】
扇型歯車83は、軸線Xの軸方向から見て扇形状を成す基部830を有しており、この基部830の弧状の外周縁に、第2歯車82の小径歯車825が噛合する歯部831が設けられている。
【0027】
扇型歯車83は、出力軸84と一体に形成されており、出力軸84の軸部841に設けた大径部842から、径方向外側に突出して設けられている。
軸部841の一端には、出力軸84の回動軸(軸線X)を挟んで互いに平行な平面843a、843aを有する二面幅部843が設けられており、出力軸84は、この二面幅部843を、バッフルプレート7の軸部72に挿入して、バッフルプレート7に対して相対回転不能に連結されるようになっている。
【0028】
実施の形態では、扇型歯車83は、出力軸84の回動軸(軸線X)周りの周方向に移動するようになっており、扇型歯車83の扇形状の基部830では、回動軸(軸線X)周りの周方向における一側と他側が、後記する下ケース5の突出部571、572に当接して扇型歯車83の回動範囲を規定する当接部832、833となっている。
実施の形態では、扇型歯車83の当接部833が、下ケース5の突出部571に当接することで、前記したクッション部材75が開口22を囲む突出壁23に圧接されて開口22を閉止する際の、当該クッション部材75の変形量が一定になるようにされている。
【0029】
<下ケース5>
図6は、下ケース5の図であり、
図7および
図8は、下ケース5の斜視図である。
下ケース5では、底壁部50の周縁を囲む周壁51(511〜514)の内側に、モータMと歯車列8とが収容されている(
図3参照)。
図6から
図8に示すように、底壁部50の長手方向における一方側には、モータMの取付部(モータ取付部52)が周壁51と同方向に突出して設けられている。
モータ取付部52は、円形の基部521を有しており、この基部521の中央に、リング溝522が形成されている。リング溝522の内側は、モータMの支軸Saを支持する軸受部523となっており、この軸受部523の中央に、支軸Sa(
図4参照)の一端が圧入支持される支持孔523aが形成されている。
【0030】
そのため、下ケース5では、モータ取付部52のリング溝522の反対側の面に、リング溝530(
図4参照)が形成されており、支軸Saを軸受部523に圧入する際の応力で、下ケース5が変形しないようにしている。
また、リング溝530が設けられていない場合には、圧入による応力が下ケース5における軸受部523の近傍にも及ぶので、下ケース5が圧入による応力で変形する恐れがあるが、リング溝530を設けることで、圧入による応力が下ケース5に影響しないようにしている。
さらに、支軸Saの圧入長さを確保するために下ケース5の底壁部50の厚みを厚くすると、下ケース5の樹脂成型において底壁部50にヒケが発生して、支軸Saの位置精度が悪くなる虞があるが、リング溝530を設けることで、下ケース5の底壁部50の厚みを厚くすることなく、支軸Saの圧入長さを確保することができるので、支軸Saの位置精度を確保できる。また、圧入長さを確保することで、支軸Saの倒れを防止できる。
【0031】
基部521においてリング溝522の外側の部分には、モータMのステータSに設けた係合孔、具体的には、ステータSを構成する磁性体から成るコアに設けた係合孔(図示せず)に挿入される突起521a、521aが、支持孔523aを挟んで対象となる位置に設けられており、これら突起521a、521aと、支持孔523aとは、基部521の直径線上に位置している。そのため、モータM側の係合孔に、下ケース5の突起521、521aを挿入することで、下ケース5に対するステータSの位置決めが行われるようになっている。
一方の突起521aの径方向外側には、基部521よりも上方に突出して支持壁部524が設けられており、この支持壁部524の内周524aは、モータMの外周に沿う弧状を成している。
【0032】
支持壁部524は、支持孔523a周りの周方向に、略120°間隔で3つ設けられており、周壁部511側に位置する支持壁部524は、周壁部511と一体に形成されている。
実施の形態では、モータ取付部52にモータMを取り付けた際に、モータの弧状を成す外周が、支持壁部524で支持されるようになっている。
【0033】
他方の突起521aの径方向外側は、コネクタ取付部53となっている。下ケース5の底壁部50は、コネクタ取付部53の部分が、矩形形状に内側に切り欠かれており、この切り欠かれた部分(切欠き部510)の周縁に沿って、コネクタの取付壁531、532、533が設けられている。
切欠き部510を挟んで対向する取付壁531、532には、周壁部513寄りの位置に底壁部50側に窪んだ凹部531a、532aが設けられており、これら凹部531a、532aには、コネクタカバー95(
図3参照)を下ケース5に取り付ける際に、コネクタカバー95の係止部95a、95aが挿入されるようになっている。
【0034】
切欠き部510を挟んで対向する取付壁531、532のうちの一方の取付壁531には、位置決め孔54aを有する位置決め部54が一体に形成されており、この位置決め部54は、周壁部513とも一体に形成されている。
【0035】
さらに、下ケース5では、モータ取付部52の支持孔523aを挟んで、この位置決め部54と対象となる位置にも、位置決め孔55aを有する位置決め部55が設けられている。
この位置決め部55は、周壁部511と周壁部514との接続部の近傍に位置しており、これら周壁部511、514と一体に形成されている。
【0036】
底壁部50の側縁に沿って直線状に延びる周壁部514では、その長手方向における両端部に、係合溝56A、56Bが設けられている。係合溝56A、56Bは、周壁部514の高さ方向の全長に亘って同一幅W1で形成されており、周壁部514の外周面514aからの深さh1も、周壁部514の高さ方向(軸線X方向)の全長に亘って同一の深さとなっている。
【0037】
この周壁部514の長手方向の一端から延びる周壁部511では、前記したコネクタ取付部53の側方であって、周壁部511と周壁部513との接続部の近傍に、係合溝56Cが設けられている。さらに周壁部513では、周壁部512との接続部寄りの位置に、係合溝56Dが設けられている。
【0038】
これら係合溝56C、56Dもまた、周壁部511、513の高さ方向(軸線X方向)の全長に亘って、前記した係合溝56A、56Bと同一幅W1で形成されており、周壁部511、513の外周面511a、513aからの深さも、前記した係合溝56A、56Bと同じ深さh1となっている。
そして、各係合溝56A、56B、56C、56Dには、後記するカバー6に設けた係合片66A〜66Dの係合孔66A1〜66D1を係止させる突起56A1、56B1、56C1、56D1が、幅方向における中央部から、外方に突出して設けられている。
【0039】
周壁部513における係合溝56Dが設けられた部分には、当該周壁部513から下ケース5の内側に膨出した膨出部57が設けられている。この膨出部57の長手方向における中央部には、円筒形状の支持部504が、カバー6側の上方に開口して一体に形成されており、この支持部504の中央に開口する支持孔504aには、前記した出力軸84の軸部841が挿入されて、回動可動に支持されるようになっている。
【0040】
図9は、扇型歯車83の回動範囲と、この扇型歯車83の出力軸84に連結されたバッフルプレート7の回動範囲を説明する図であり、(a)は、フレーム2の開口22を塞ぐ位置にバッフルプレート7を配置するときの扇型歯車83の角度位置を説明する図であり、(b)は、フレーム2の開口22を開く位置にバッフルプレート7を配置するときの扇型歯車83の角度位置を説明する図である。
なお、
図9では、下ケース5内に位置する扇型歯車83を除いた他の歯車の図示を省略すると共に、バッフルプレート7を仮想線で示している。
【0041】
前記したように、出力軸84と一体に形成された扇型歯車83は、第1歯車81および第2歯車82を介して入力されるモータMの回転駆動力で、軸線X周りに回動するようになっている。この扇型歯車83は、軸線X周りの周方向における一方に設けた当接部832と、他方に設けた当接部833とが、それぞれ前記した膨出部57の突出部571、572に当接する角度範囲内で、回動可能とされており、出力軸84に連結されたバッフルプレート7の回動範囲が、この扇型歯車83の回動可能な角度範囲に応じて決まるようになっている。
【0042】
ここで、実施の形態では、出力軸84を回動可能に支持する支持部504が、周壁部513寄りの位置に設けられている。そのため、この出力軸84に連結されて軸線X周りに回動するバッフルプレート7は、軸線Xの軸方向から見て、下ケース5(本体ケース4)とほぼ重なる範囲内を移動するようになっている(
図9の(a)、(b)参照)。
そのため、回動するバッフルプレート7が、本体ケース4の側方に大きくはみ出すことがないので、バッフルプレート7により開閉される開口22を有するフレーム2もまた、本体ケース4の側方にはみ出すように設ける必要がないようになっている。これにより、本体ケース4とフレーム2とから構成されるダンパ装置1の大きさが、大きくならないようにされている。
【0043】
図6から
図8に示すように、出力軸84の支持部504から下ケース5の中央側にオフセットした位置には、第2歯車82を回転可能に支持する支持部(第2支持部503)が設けられている。
図4に示すように、第2支持部503は、底壁部50からカバー6側の上方に突出する有底円筒形状の大径部503aと、大径部503aの上端から上方に延びる柱状の小径部503bと、備えており、これらは底壁部50と共に一体に形成されている。
第2歯車82の小径歯車825には、その中央部に大径歯車820側に開口する開口825aが形成されており、この開口825aは、前記した小径部503bの外径と略整合する内径を有している。大径歯車820の底壁部50側の面には、開口825aを所定間隔で囲む周壁826が形成されており、この周壁826の内径は、第2支持部503の大径部503aと整合する径に設定されている。
【0044】
そのため、第2支持部503に、第2歯車82が組み付けられると、第2支持部503の小径部503bに設けた断面半球形状の当接部503cが、小径歯車825の底面825bに点接触するようになっており、第2歯車82は、第2支持部503の当接部503cとの当接点を支点として回動するようになっている。
この際第2歯車82は、モータMの回転中心軸Xmおよび、第1歯車81の回転中心軸(軸線x1)に対して平行な軸線X2周りに回動するようになっている。
【0045】
図6に示すように、第2支持部503から見て、モータ取付部52側には、第1歯車81の支持部(第1支持部501)が設けられている。
第1支持部501は、有底の円筒形状を成しており、底壁部50からカバー側の上方に突出して形成されている。
この第1支持部501の中央開口501aには、第1歯車81の小径歯車815と同軸に設けられた円筒形状の軸部816(
図4参照)が挿入されており、第1歯車81の小径歯車815側は、この下ケース5に設けた第1支持部501で回転可能に支持されている。
【0046】
また、支持部504、第2支持部503、第1支持部501、モータ取付部52の基部521は、底壁部50の上面に設けたリブ502により、互いに接続されており、モータMの回転が歯車列8を介して伝達される際の応力で、これらの位置関係が変化しないようにされている。
【0047】
<カバー6>
図10は、カバー6を下ケース5側から見た図であり、
図11は、カバー6の斜視図である。
カバー6は、矩形形状の基部61を有しており、この基部61の外周縁から内側にオフセットした位置には、下ケース5側に突出してリブ62が設けられている。リブ62は、前記した下ケース5の側壁部51(511、512、513、514)の内周に沿う位置に設けられており、下ケース5にカバー6を組み付けた際に、側壁部51に内嵌するようになっている
【0048】
このリブ62の外側には、前記した係合溝56A〜56Dと整合する位置に、係合片66A〜66Dが設けられており、これら係合片66A〜66Dは、カバー6を下ケース5に組み付ける際に、係合溝56A〜56Dに、カバー6と下ケース5との組み付け方向から係合するようになっている。
【0049】
係合片66A〜66Dは、基部61の側縁から下ケース5側に延出して形成されており、側面視において矩形形状を有している。
これら係合片66A〜66Dの先端66A2〜66D2は、その基端側の幅W2よりも狭い幅W3で形成されており、係合片66A〜66Dは、長手方向(延出方向)における途中位置から先は、先端66A2〜66D2に向かうにつれて幅が狭くなっている。
そして、これら係合片66A〜66Dの基端側の幅W2は、前記した係合溝56A〜56Dの幅W1よりもわずかに狭い幅となっている。
【0050】
そのため、係合片66A〜66Dの先端側の幅が、先端66A2〜66D2に向かうにつれて幅が狭くなっていること、係合片66A〜66Dの基端側の幅W2が、係合溝56A〜56Dの幅W1よりもわずかに狭い幅となっていることから、下ケース5にカバー6を組み付ける際に、カバー6の係合片66A〜66Dの下ケース5の係合溝56A〜56Dへの挿入が、スムーズに行えるようになっている。
【0051】
係合片66A〜66Dの中央部には、前記した係合溝56A〜56Dの突起56A1〜56D1が係合する係合孔66A1〜66D1が設けられている。
実施の形態において係合片66A〜66Dは、その先端66A2〜66D2側が弾性変形可能となる延出長さL1で形成されている。
そのため、係合片66A〜66Dの係合孔66A1〜66D1に突起56A1〜56D1を係合させる際には、係合片66A〜66Dの先端66A2〜66D2側が、弾性変形しながら突起56A1〜56D1に乗り上げたのち、係合孔66A1〜66D1と突起56A1〜56D1の位置が一致した時点で、係合片66A〜66Dの変形が解消されて、突起56A1〜56D1と係合孔66A1〜66D1とが係合されて、下ケース5とカバー6とが分離不能に組み付けられるようになっている。
【0052】
なお、実施の形態では、位置決め孔54a、55aに対する位置決め突起64、65の係合が開始されたのちに、係合片66A〜66Dの先端66A2〜66D2側が弾性変形を開始するように、係合片66A〜66Dの延出長さL1や、突起56A1〜56D1および係合孔66A1〜66D1の位置が設定されている。
位置決め孔54a、55aに対する位置決め突起64、65の係合が開始されるまで、下ケース5とカバー6との位置決めを保持することで、位置決め孔54a、55aに対する位置決め突起64、65の係合をスムーズに行えるようにするためである。
【0053】
さらに、基部61におけるリブ62の外側には、前記した位置決め孔54a、55aに挿入される円柱形状の位置決め突起64、65が、それぞれ同一外径D2で設けられている(
図10参照)。
位置決め突起64、65は、モータMの支軸Saの支持孔63aを挟んで対称となる位置に設けられており、位置決め突起64、65の基部61からの長さL2は、前記した係合片66A〜66Dの長さL1よりも低くなっている。
そのため、下ケース5にカバー6を組み付ける際に、係合片66A〜66Dの係合溝56A〜56Dへの挿入が、位置決め突起64、65の位置決め孔54a、55aへの挿入よりも先に行われるようになっている(
図11参照)。
【0054】
ここで、位置決め突起64、65の外径D2(
図10参照)と、位置決め孔54a、55aの内径D1(
図6参照)との差Δaは、係合片66A〜66Dの幅W2(
図10参照)と係合溝56A〜56Dの幅W1(
図6参照)との差Δbよりも小さくなっている(Δa<Δb)。
そのため、先に行われることになる係合溝56A〜56Dと係合片66A〜66Dとの係合により、下ケース5に対するカバー6の位置決めが行われるので、これらの係合に続く位置決め突起64、65と位置決め孔54a、55aとの係合が、スムーズに行えるようになっている。
また、係合溝56A〜56Dは、下ケース5の周壁51の外面に露出しており、係合溝56A〜56Dへの係合片66A〜66Dの係合を、目視しながら行うことができるので、係合溝と係合片とが設けられていないケースを組み付ける場合に比べて、ケースの組付けを容易に行えるようになっている。
【0055】
基部61におけるリブ62の内側では、モータMの支軸Saの一端を支持する有底円筒形状の支持部63が、下ケース5側に突出して設けられている。
この支持部63の径方向外側には、支持部63と同方向に突出して当接部69が設けられている。この当接部69は、モータMの支軸Saの軸方向で、モータMのカバー6側の上面に当接する位置に設けられた弧状部691と、弧状部691の一端から直線状に基部61の長手方向に延びる直線部692と、を備えている。
弧状部691と直線部692の下ケース5側の面には、下ケース5側に突出して円柱形長の突起693が設けられており、下ケース5にカバー6を組み付けた際に、スプリングSP(
図4参照)に付勢されたモータMのカバー6側の上面が、これら突起693当接して、モータMが本体ケース4内の所定位置に配置されるようになっている。
【0056】
基部61の長手方向における略中央部には、下ケース5側に突出して円柱形状の支持軸601が設けられている。この支持軸601は、前記した第1歯車81の大径歯車810の中央に設けた支持孔810aと整合する径で形成されている。
図4に示すように支持軸601は、前記した第1支持部501と同軸に設けられており、下ケース5とカバー6とを組み付けた際に、カバー6の支持軸601と下ケース5の第1支持部501で支持された第1歯車81が、モータMの回転中心軸Xmに対して平行な軸線X1周りに回動可能に設けられるようになっている。
【0057】
なお、実施の形態では、駆動機構9を下ケース5に組み付けた後に、カバー6が下ケース5に組み付けられるようになっている。この際に、カバー6に設けた支持部63および支持軸601と、モータMの支軸Saおよび第1歯車81の支持孔810aとの係合よりも先に、カバー6の位置決め突起64、65の位置決め孔54a、55aへの挿入が行われるように、位置決め突起64、65の長さL2などが設定されている(
図12も参照)。
位置決め突起64、65が位置決め孔54a、55aに挿入された状態では、下ケース5とカバー6との位置合わせが完了している。そのため、この位置合わせが完了している状態で、モータMの支軸Saおよび第1歯車81の支持孔810aを、カバー6に設けた支持部63および支持軸601に係合することで、これらの係合をスムーズに行うことができる。さらに、位置合わせが完了していないときに係合させようとすると、モータMの支軸Saと第1歯車81の支持孔810aを、対応する支持部63と支持軸601に係合する際に、無理な力が支持部63や支持軸601に作用して、モータMのステータSや第1歯車81の回転中心軸(回転中心軸Xm、軸線X1)が傾く虞があるが、上記のように構成することで、かかる事態の発生を好適に防止できるようになっている。
【0058】
図10に示すように、支持軸601から見て、基部61における支持部63と反対側には、下ケース4側から見て弧状を成す壁部603が設けられている。この壁部603は、第2歯車82の小径歯車825の外周を囲むように設けられている。
【0059】
基部61の係合片66D寄りの位置であって、前記したフレーム2の側壁部244を兼ねた位置には、基部61を厚み方向に貫通して貫通孔245が形成されている。基部61の下ケース5側の面には、この貫通孔245を所定間隔で囲む筒状壁604が設けられており、出力軸84の軸部841がこの貫通孔245で回転可能に支持されるようになっている。
【0060】
支持部63、支持軸601、壁部603、筒状壁604は、基部61の下ケース5側の面に設けた接続リブ605により、互いに接続されており、モータMの回転が歯車列8を介して伝達される際の応力で、これらの位置関係が変化しないようにされている。
【0061】
基部61における係合片66C寄りの位置には、前記したコネクタカバー95(
図3参照)を、下ケース5との間に保持するためのコネクタ保持部68が設けられている。
コネクタ保持部68は、コネクタカバー95の係合溝95b(
図3参照)に係合する係合部683と、係合部683が長手方向の中央部に設けられた押圧部680と、この押圧部680の両端から、押圧部680の直交方向に延びると共に、コネクタカバー95の係止部95a、95aを下ケース5側に押圧する押圧部681、682とを有している。
【0062】
このコネクタ保持部68は、下ケース5にカバー6を組み付けた際に、下ケース5のコネクタ取付部53との間で、コネクタカバー95を把持するようになっている。
【0063】
基部61において係合片66Dの両側には、前記した係合溝56Dに設けた凹部513bに係合する係合部67(67a、67b)が設けられている。係合部67a、67bは、基部61の側縁に沿って直線状に延びており、下ケース5側から見て矩形形状を成している。
【0064】
図13は、下ケース5にカバー6を組み付けた際の膨出部57周りの支持構造を説明する断面図である。
【0065】
図13に示すように、実施の形態では、下ケース5にカバー6を組み付けた際に、これら係合部67a、67bは、前記した膨出部57の部分の外側で、凹部513b内に配置されるようになっている。
ここで、膨出部57(突出部571、572)には、前記した扇型歯車83の当接部832、833が当接するようになっており、この膨出部57には、扇型歯車83の当接部832、833が衝突した際の衝突力が作用する。
【0066】
前記したように、下ケース5の周壁51には、カバー6のリブ62が内嵌するようになっており、膨出部57の内側にもリブ62が内嵌している。そして、膨出部57の外側には、係合片66Dと、この係合片66Dの基端側の両側に設けた係合部67a、67bが位置しており、下ケース5の膨出部57は、カバー6のリブ62と、係合片66Dおよび係合部67a、67bとの間に挟まれて、その剛性が高められている。
【0067】
そのため、バッフルプレート7によるフレーム2の開口22の開閉の繰り返しにより、下ケース5の膨出部57に対する、扇型歯車83の当接部832、833の衝突が繰り返えされても、膨出部57の部分が、衝突による応力により、外側に膨らむように変形することが、好適に防止されるようになっている。
【0068】
以上の通り、実施の形態では、
下ケース5(一方のケース)とカバー6(他方のケース)とを互いに組み付けて構成される本体ケース4内に、モータMと歯車列8とが設けられており、歯車列8を介して入力されるモータMの出力回転でバッフルプレート7を回動させて、流体の流路に設けた開口22を開閉するように構成されたダンパ装置1であって、
歯車列8は、バッフルプレート7の回動範囲を規定する扇型歯車83を有しており、
扇型歯車83は、当該扇型歯車83の回動軸(軸線X)周りの周方向における一方の当接部832と他方の当接部833とが、下ケース5に設けた壁状の膨出部57(壁部)に当接する角度範囲内で回動可能とされており、
カバー6に、膨出部57における当接部832、833との当接面とは反対側の面を支持する支持壁(係合片66D、係合部67a、67b)を設けた構成とした。
【0069】
このように構成すると、下ケース5とカバー6とを互いに組み付けて構成される本体ケース4では、下ケース5の扇型歯車83が当接する部分(膨出部57)の外側に、カバー6に設けた支持壁(係合片66D、係合部67a、67b)が位置しているので、下ケース5の扇型歯車83が当接する部分(膨出部57)の剛性強度が、支持壁により補強されている。
よって、下ケース5の膨出部57の剛性強度が高められているので、扇型歯車83(当接部832、833)の膨出部57への衝突が繰り返されても、下ケース5の膨出部57が、外側に膨らむように変形することを好適に防止できる。
【0070】
膨出部57は、下ケース5の底壁部50(底壁)の外周縁に沿って設けられてモータMと歯車列8を囲む周壁51の一部であり、扇型歯車83の回動軸(軸線X)は、膨出部57の近傍に設けられており、
扇型歯車83は、本体ケース4を貫通して、本体ケース4の外側で前記バッフルプレート7の軸部72(回動軸)に連結される出力軸84を、回動軸(軸線X)と同軸に有している構成とした。
【0071】
このように構成すると、扇型歯車83と一体形成された出力軸84が、周壁部513(膨出部57)寄りの位置に設けられているので、出力軸84に連結されて軸線X周りに回動するバッフルプレート7を、軸線Xの軸方向から見て、下ケース5(本体ケース4)とほぼ重なる範囲内を移動させることができる(
図9参照)。
そのため、回動するバッフルプレート7が、本体ケース4の側方に大きくはみ出すことがなく、バッフルプレート7により開閉される開口22を有するフレーム2が、本体ケース4の側方にはみ出すように設ける必要がないので、本体ケース4とフレーム2とから構成されるダンパ装置1の大きさを抑えることができる。
【0072】
下ケース5に設けた壁状の膨出部57には、扇型歯車83の回動軸(軸線X)周りの周方向における一方の当接部832が当接する突出部571(度当たり)と、他方の当接部833が当接する突出部572(度当たり)とが、本体ケース4内に突出して厚肉で設けられており、カバー6に設けた支持壁(係合片66D、係合部67a、67b)は、下ケース5(膨出部57)における突出部571の反対側の面から、突出部572の反対側の面までを支持する範囲に設けられた構成とした。
【0073】
このように構成すると、扇型歯車83の回動による当接部832、833と突出部571、572との衝突が繰り返されても、膨出部57における突出部571、572とは反対側が、カバー6に設けた支持壁により支持されているので、扇型歯車83の衝突に起因する膨出部57の変形を、好適に防止できる。
【0074】
ここで、膨出部57が変形すると、扇型歯車83の回動可能な範囲が広くなるので、この扇型歯車83の回動に連動して軸線X周りに回動するバッフルプレート7の回動範囲もまた、広くなってしまう。
実施の形態にかかるダンパ装置1では、流体の流路に設けた開口22を囲む環状の突出壁23の先端に、バッフルプレート7に設けたクッション部材75を圧接させて、開口22を閉止する構成となっている。
そのため、バッフルプレート7の回動範囲が広くなると、バッフルプレート7が本来予定していた押圧力よりも大きい押圧力で突出壁23に押し付けられることになり、突出壁23やバッフルプレート7が押圧力より変形して、開口22を閉止できなくなる虞がある。実施の形態では、上記のように構成して、扇型歯車83の衝突に起因する膨出部57の変形を防止することで、突出壁23やバッフルプレート7の変形に起因して、開口22を閉止できなくなる事態の発生を防止している。
【0075】
カバー6は、下ケース5とカバー6との組み付け方向に延出する複数の係合片66A〜66Dを有しており、
カバー6は、下ケース5の周壁51に係合片66A〜66Dを係合させて形成されており、係合片66A〜66Dのうちのひとつの係合片66Dが、膨出部57における当接部832、833との当接面とは反対側の面を支持する支持壁を兼ねている構成とした。
【0076】
このように構成すると、下ケース5とカバー6とを組み付ける際に使用する係合片66Dを利用して、周壁部51における下ケース5の扇型歯車83が当接する部分(膨出部57)の剛性強度を高めることができる。
かかる部分の剛性強度を高めるために専用の支持壁を別途設ける場合には、専用に設けた支持壁の分だけ、作製コストが上昇するが、既存の部品(係合片66)を利用することで、作製コストの上昇を好適に防止できる。
【0077】
カバー6は、周壁51に内嵌するリブ62を備えており、周壁51における扇型歯車83が当接する膨出部57は、カバー6のリブ62と支持壁との間に挟まれている構成とした。
【0078】
このように構成すると、下ケース5の膨出部57は、カバー6のリブ62と、係合片66Dおよび係合部67a、67bとの間に挟まれてその剛性が高められる。
そのため、バッフルプレート7によるフレーム2の開口22の開閉の繰り返しにより、下ケース5の膨出部57に対する、扇型歯車83の当接部832、833の衝突が繰り返えされても、膨出部57の部分が、衝突による応力により、外側に膨らむように変形することが好適に防止される。
【0079】
開口22は、回動軸(軸線X)に対して平行なフレーム2に形成されており、このフレーム2は、カバー6と一体に形成されていると共に、回動軸(軸線X)の軸方向から見て、周壁51における膨出部57と重なる範囲に設けられている構成とした。
【0080】
このように構成すると、カバー6における扇型歯車83が衝突する部分である膨出部57近傍の剛性強度が、カバー6と一体に形成されたフレーム2により高められるので、周壁51における膨出部57の部分が、扇型歯車83との衝突により作用する応力で、外側に膨らむように変形することが、より好適に防止される。