(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮像装置は、溝幅、管に貼付された管情報ラベル、及び接合後の管の曲げ角度のうち少なくとも一つを上方から撮像する第1撮像部と、接合部のシール部材を挿口側から撮像する第2撮像部を備えている請求項1記載の配管施工管理情報収集システム。
前記管継手接合装置は、前記昇降機構の降下距離に基づいて施工管理情報である土被りを算出する土被り演算部を備えている請求項1または2記載の配管施工管理情報収集システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図11(a)に示すように、このようなプッシュオンタイプの継手構造の鉄管を接合する際には、一方の管T1の受口104に他方の管T2の挿口を預けて、受口104近傍で受口側の管T1にスリングベルトやチェーンで構成される接合器具100を巻き付けるとともに、挿口近傍で挿口側の管T2に同じく接合器具101を巻き付け、管T1,T2の両側で接合器具間に夫々レバーホイスト102,103を装着して手動操作で巻き上げる必要があった。
【0008】
そのため、
図11(b)に破線で示すような、管T1,T2の敷設用に掘削された溝110に複数の作業者が入って、非常に手間の掛かる接合作業を行なう必要があり、そのために管径よりも十分に広幅の溝110を掘削する必要があった。
【0009】
しかも、施工位置、溝幅、土被り等の施工管理情報を現場で実測する必要があり、施工管理情報の収集も手間の掛かる煩雑な作業であった。
【0010】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、作業者が溝に入ることなく容易に管の接合作業を行なうことができ、しかも施工管理情報を作業者が実測しなくても正確に収集できる配管施工管理情報収集システム及び配管施工管理情報収集方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明による配管施工管理情報収集システムの第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、配管敷設工事の施工現場で配管の施工管理情報を収集する配管施工管理情報収集システムであって、遠隔操作により、挿口側配管を挟持して挿口を受口側配管の受口に引き込む接合処理部と、前記接合処理部を掘削溝に配置された配管の接合位置まで降下する昇降機構とを備え、施工管理情報を取得する管継手接合装置と、前記管継手接合装置に取り付けられ、施工管理情報を読み取る撮像装置と、前記管継手接合装置により接合される管の接合部の位置情報を取得する位置情報取得装置と、前記管継手接合装置により得られた施工管理情報、前記撮像装置により得られた施工管理情報、及び前記位置情報取得装置により取得された位置情報を施工情報管理装置に送信する通信装置と、を備えている点にある。
【0012】
管継手接合装置を遠隔操作して、昇降機構により接合処理部を降下させ、接合処理部により挿口側配管を挟持して挿口を受口側配管の受口に引き込むため、作業者は、地上で遠隔操作すればよいので溝に入る必要が無い。そして、その間に管継手接合装置によって施工管理情報が取得され、管継手接合装置に取り付けられた撮像装置によって施工管理情報が読み取られ、位置情報取得装置によって管の接合部の位置情報が取得され、それらが通信部によって施工情報管理装置に送信される。従って、作業者が溝に入って煩雑な接合作業や計測作業を行なう必要が無く、作業が大幅に軽減されるようになる。
【0013】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記撮像装置は、溝幅、管に貼付された管情報ラベル、及び接合後の管の曲げ角度のうち少なくとも一つを上方から撮像する第1撮像部と、接合部のシール部材を挿口側から撮像する第2撮像部を備えている点にある。
【0014】
第1撮像部によって上方から撮像された画像を処理することによって、溝幅や水平面での接合後の管の曲げ角度が容易に把握でき、管に貼付された管情報ラベルを読み取ることによって管種等の管情報が容易に得られる。例えば、管情報ラベルが二次元コード情報の一例であるQRコード(登録商標)である場合には、当該コード情報を読み取り、当該コード情報に対応する管情報を撮像装置が組み込まれた電子機器等のメモリ等に格納された対応情報から得ることができる。また、第2撮像部によって撮像された接合部の画像からシール部材が適切な状態で接合されているか否かを判別するための管理情報が得られる。
【0015】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記管継手接合装置は、前記昇降機構の降下距離に基づいて施工管理情報である土被りを算出する土被り演算部を備えている点にある。
【0016】
昇降機構によって接合処理部が掘削溝の溝底に配置された配管の接合位置まで降下する際の距離が計測され、それに基づいて土被りが適正に算出されるようになる。
【0017】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記管継手接合装置の接合処理部は、受口側の管に当接する受口側支持部と、挿口側の管に当接する挿口側当接片と、管軸心と直交する回動軸心周りに回動することにより挿口側当接片を押圧して管を挟持する回動機構と、を備えた挿口側支持部と、管の軸心と平行し、受口側支持部に固定される一端と、挿口側支持部が摺動可能に接続された他端を備える案内軸と、回動機構を回動操作して押圧された挿口側当接片により管を挟持し、受口側支持部を介して回動機構と接続され、挟持状態で挿口を受口側に引き込む牽引操作部と、を備え、前記案内軸または前記挿口側当接片に前記撮像装置が取り付けられている点にある。
【0018】
一方の管の受口に他方の管の挿口を預けた状態で溝底に配置された管に対して、受口側支持部の受口側当接片を受口近傍で上方から管周面に添うように当接させるとともに、挿口側支持部の挿口側当接片を挿口近傍で上方から管周面に添うように当接させ、その状態で牽引操作部を操作して牽引すると、回動軸心周りに回動機構が回動して挿口側当接片によって管が挟持される。その状態でさらに牽引操作部を操作して牽引すると、挿口側当接片で挟持された挿口側の管が受口側の管に引き寄せられて両管が接合されるようになる。挿口側の管が受口側の管に引き寄せられる際に、受口側の管の軸心と平行姿勢に固定された案内軸に沿って挿口側支持部が摺動しつつ受口側の管に向かうので、挿口側の管の上方への傾斜が阻止され、両管の軸心が一致するように接合されるようになる。
【0019】
このような管継手接合装置であれば、溝底に配置された管の上方から受口側当接片及び挿口側当接片を降下させて、それぞれを管周面に添うように当接させることができれば牽引操作部を操作するだけで接合作業が完結するので、作業者が溝に入って作業を行なう必要が無い。そして、案内軸または挿口側当接片に取り付けられた撮像装置によって、施工管理情報が容易に取得できるようになる。その結果掘削する溝も細幅で済み、作業が大幅に軽減されるようになる。
【0020】
本発明による配管施工管理情報収集方法の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、配管敷設工事の施工現場で配管の施工管理情報を収集する配管施工管理情報収集方法であって、接合挿口側配管を挟持して挿口を受口側配管の受口に引き込む接合処理部と、前記接合処理部を掘削溝に配置された配管の接合位置まで降下する昇降機構と、を備えた管継手接合装置を配管の接合位置の上方に配置する設置ステップと、
前記管継手接合装置がGPS受信機
を介して前記管継手接合装置の位置情報を取得する施工位置情報取得ステップと、
前記管継手接合装置が前記管継手接合装置に取り付けられた撮像装置により受口側の管に貼付された管情報ラベルを撮像し、撮像画像から管情報を自動取得する管情報取得ステップと、
前記管継手接合装置が前記接合処理部により配管の継手部を接合する接合ステップと、各ステップで得られた施工位置情報及び管情報を
前記管継手接合装置が通信装置を用いて施工情報管理装置に送信する施工情報送信ステップと、を含む点にある。
【0021】
設置ステップで管継手接合装置が配管の接合位置の上方に配置され、施工位置情報取得ステップでGPS受信機により管継手接合装置の位置情報が取得される。管情報取得ステップでは、管継手接合装置に取り付けられた撮像装置により受口側の管に添付された管情報ラベルが撮像され、撮像画像から管情報が自動取得される。接合ステップで接合処理部によって配管の継手部が接合され、施工情報送信ステップでは、各ステップで得られた施工位置情報及び管情報が通信装置を用いて施工情報管理装置に送信されるため、作業者がこのような情報を得るための計測作業を行なう必要が無くなる。
【0022】
同第二の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、
前記管継手接合装置が前記管継手接合装置に取り付けられた撮像装置により接合部のシール部材を挿口側から撮像するシール状態情報撮像ステップを含み、前記施工情報送信ステップで、さらにシール状態情報を施工情報管理装置に送信する点にある。
【0023】
シール状態情報撮像ステップで撮像装置により接合部のシール部材が挿口側から撮像され、画像情報であるシール状態情報が通信装置を用いて施工情報管理装置に送信される。従って、当該シール状態情報により施工時のシール状態が適正であったか否かの判断が施工後であっても目視で明確に確認できるようになる。
【0024】
同第三の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、
前記管継手接合装置が前記管継手接合装置に取り付けられた撮像装置により掘削溝の溝幅を上方から撮像して、撮像画像から溝幅を自動算出する溝幅情報取得ステップと、
前記管継手接合装置が前記昇降機構
により前記接合処理部を配管の接合位置まで降下させ、降下距離から土被りを自動算出する土被り情報取得ステップと、
前記管継手接合装置が前記撮像装置により接合後の管継手部を上方から撮像し、撮像画像から配管の曲げ角度を自動算出する曲げ角度情報取得ステップと、のうち少なくとも一つのステップを含み、前記施工情報送信ステップで、さらに各ステップに対応する溝幅情報、土被り情報、曲げ角度情報の何れか一つを施工情報管理装置に送信する点にある。
【0025】
溝幅情報取得ステップで管継手接合装置に取り付けられた撮像装置により掘削溝の溝幅が上方から撮像され、撮像画像から溝幅が自動算出される。土被り情報取得ステップで昇降機構によって接合処理部が配管の接合位置まで降下される際に降下距離から土被りが自動算出される。さらに、曲げ角度情報取得ステップで撮像装置により接合後の管継手部が上方から撮像され、撮像画像から配管の曲げ角度が自動算出される。これらのうちの少なくとも一つのステップが実行され、施工情報送信ステップでは、溝幅情報、土被り情報、曲げ角度情報の何れかが通信装置を用いて施工情報管理装置に送信される。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した通り、本発明によれば、作業者が溝に入ることなく容易に管の接合作業を行なうことができ、しかも施工管理情報を作業者が実測しなくても正確に収集できる配管施工管理情報収集システム及び配管施工管理情報収集方法を提供することができるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、ダクタイル鋳鉄管(以下、「鉄管」と記す。)を用いた上水道管に対する配管の接合作業を例に、本発明による配管施工管理情報収集システム及び配管施工管理情報収集方法を説明する。
【0029】
先ず、配管施工管理情報収集システムに組み込まれる管継手接合装置を説明する。尚、本発明は、上水道管に対する配管施工以外に、下水管に対する配管施工等にも広く適用可能である。また、以下に説明する管継手接合装置は、樹脂管の接合にも使用することができるが、特に鉄管の接合に好適に用いられる。
【0030】
図1(a)には、地表面Gが掘削されて形成された溝110の溝底Fに管2,3が敷設され、管継手接合装置1によって管2,3が接合される様子が示されている。管2,3はそれぞれ一端側に受口が形成され、他端側に挿口が形成されている。
【0031】
管継手接合装置1は、受口側支持部10と、挿口側支持部20と、案内軸30と、牽引操作部40と、支持機構50と、移動体60を備えている。
【0032】
受口側支持部10は、基端側が支持機構50によって昇降自在に支持された垂直姿勢の受口側支軸11と、受口側支軸11の先端側に一体に形成され、一方の管2の受口2A近傍で上方から管周面に添うように当接する受口側当接片12とを備えている。
【0033】
図1(d)に示すように、受口側当接片12は管2の周面の曲率と同等または少し小さな曲率の凹陥部が形成され、管2の上方から降下させることによって管周面に当接される。受口側支軸11及び受口側当接片12は鋼材で構成されている。図中、符号13で示す孔部は、後述する牽引ワイヤー40の挿通孔である。
【0034】
図1(a),(b),(c)に示すように、挿口側支持部20は、垂直姿勢の挿口側支軸21と、他方の管3の挿口3A近傍で上方から管周面に添うように当接する挿口側当接片22と、管3の軸心と直交する回動軸心P周りに回動することにより挿口側当接片22を押圧して管を挟持する回動機構23とを備えている。
【0035】
挿口側支軸21及び挿口側当接片22は、鋼材以外に例えばアルミ合金等の金属や樹脂等で構成することも可能であり、管との当接部位には管表面に傷がつかないようにゴムや樹脂等のクッション材が設けられていることが好ましい。また、回動機構23も鋼材以外に例えばアルミ合金等の金属で構成することも可能である。
【0036】
そして、挿口側当接片22には4台の第2撮像装置C2が間隔を隔てて取り付けられている。当該第2撮像装置C2は管2,3が接合された後に受口を撮像するために用いられる。
【0037】
案内軸30は、一方の管2の軸心と平行姿勢になるように基端側が受口側支持部10のスリーブに固定され、挿口側支持部20が摺動可能に嵌入されている。また、案内軸30には、第1撮像装置C1が取り付けられている。当該撮像装置C1については後に詳述するが、管の接合前に溝幅を撮像し、受口側の管2に貼付された管情報ラベルLを撮像し、接合の後の継手部を夫々上方から撮像するために用いられる。
【0038】
本実施形態では、管情報ラベルLに二次元コード情報であるQRコード(登録商標)が用いられている。尚、コード情報の形態は特に限定されることはなく、バーコード等の公知のコード情報を適宜用いることができる。また、管情報ラベルLを貼付する態様に替えて、管の外表面にコード情報を刻印したり、塗料を用いてコード情報を塗布したりする態様であってもよい。
【0039】
尚、挿口側の管が曲管やT字管である場合には、他端の受口の接合時に管周面の何れの部位が上面になるかが施工の都度変わる可能性がある。そこで、管情報ラベルLを取り付けた薄層の環状体を挿口側の管に嵌めておき、次に挿口側の管の受口を接合する時に管情報ラベルLが上面に位置するように環状体を回すように操作すれば、管の上方から撮像できるようになる。
【0040】
牽引操作部40は、受口側支持部10側から回動機構23を回動操作して挿口側当接片22により管3を挟持し、さらに挟持状態で挿口3Aを受口2A側に引き込む牽引ワイヤー(以下、符号「40」を付す。)で構成されている。受口側支持部10と、挿口側支持部20と、案内軸30と、牽引操作部40とで接合処理部が構成されている。
【0041】
支持機構50は移動体60に搭載され、受口側支軸11をラックとピニオン機構等を用いて昇降操作する電動式の昇降機構51と、牽引ワイヤー40を巻き上げる電動のウインチ機構52を備えている。支持機構50の近傍には、受口側支軸11を昇降操作する操作スイッチやウインチ機構52を操作する操作スイッチが設けられ、さらに昇降機構51により昇降される接合処理部の昇降距離を計測し、土被りを算出する土被り演算部53を備えている。
【0042】
移動体60は、支持機構50が搭載される車体61と、掘削された溝110を跨ぐように前後に一対の車輪62を備え、車輪62によって車体61が移動可能に支持されている。さらに、移動体60にはGPSからの電波を受信して移動体60の現在地を特定するGPS受信装置Rが搭載されている。本実施形態では移動体60は操作ハンドル63を人力で牽引等することによって移動させる例が示されているが、駆動機を備えて自走式に構成することも可能である。
【0043】
挿口側支持部20が案内軸30に沿って摺動可能なように、挿口側支軸21の頂部に軸受21aを介して案内軸30が嵌入され、挿口側支軸21の下端部には連結機構25を介して一対の挿口側当接片22(22a,22b)がボルト連結されている。
【0044】
詳述すると、
図2(a),(b)に示すように、挿口側当接片22は左右2片の幅広の屈曲板22a,22bを備え、管3の周面に添うように屈曲板22a,22bの相対距離Lが長短調整可能な長孔25bが形成された連結板25aにボルト25cで連結されている。つまり、長孔25bが形成された連結板25aとボルト25cとで連結機構25が構成されている。
【0045】
左右2片の屈曲板22a,22bの相対距離Lが変化可能なように連結機構25を介して連結すれば、挿口側当接片22が管3の上面に当接する際に容易に当接できるように左右2片の屈曲板22a,22bの相対距離Lが長い状態であっても、回動機構23の回動操作によって生じる押圧力が付与されたときには、左右2片の屈曲板22a,22bの相対距離Lが容易に短くなるので、挿口側当接片22で管3を円滑に挟持できるようになる。
【0046】
尚、上述の説明では、挿口側当接片22が連結板25aで連結された左右2片の屈曲板22a,22bで構成された例を示したが、挿口側当接片22は、管3の周面に沿って少なくとも上部と左右の対向側部の3点で当接する構成であればよく、例えば
図10(b)に示すように、下側が開口した「コ」の字状を呈するように、「く」の字状の左右2片が連結板25aで連結された構成でもよい。
【0047】
また、挿口側当接片22が樹脂等の弾性変形可能な素材で構成される場合には、連結板25aを設けることなく一部品で構成されていてもよい。さらには、上述と同様に下側が開口した「コ」の字状を呈するように、連結板25aで連結され、管3の左右の対向側部に当接する「く」の字状の左右2片と、左右2片の中央部に設けられ、管3の上部が当接する上部当接片の3部材で構成されていてもよい。
【0048】
尚、呼び径に対応して予め複数の挿口側当接片22が準備され、挿口側当接片22が挿口側支軸21に対して着脱自在に構成されている。
【0049】
同様に、呼び径に対応して予め複数の受口側当接片12が取り付けられた受口側支軸11が準備されている。尚、
図1(d)の例では受口側当接片12と受口側支軸11を一体に構成する例が示されているが、受口側支軸11に対して呼び径に対応した複数の受口側当接片12が着脱自在に構成されていてもよい。また、受口側当接片12も管2の周面に沿って少なくとも上部と左右の対向側部の3点で当接する構成であればよく、例えば下側が開口した「コ」の字状に構成されていてもよい。
【0050】
図1(a),(b),(c)に戻り、回動機構23は、管3を側方から挟むように両端部23a,23bが回動軸心P上に位置する回動部材としてのアーチ状部材23cと、アーチ状部材23cの頂部に回転自在に取り付けられた環状部材23dを備えて構成され、環状部材23dに牽引ワイヤー40の端部が固定される。
【0051】
アーチ状部材23cの両端部23a,23bと屈曲板22a,22bの両端部との間に、それぞれカム機構24が設けられている。カム機構24は、傾斜方向が逆方向の傾斜カム面24cが対向するように一対のカム部材24a,24bが共通軸心周りに相対回転可能に配置され、一方のカム部材24aが屈曲板22a,22bに取り付けられ、他方のカム部材24bがアーチ状部材23cの両端部23a,23bに取り付けられている。
【0052】
図3(a),(b)に示すように、牽引ワイヤー40の牽引力でアーチ状部材23cが回動軸心P周りに回動すると、傾斜カム面24cに沿ってカム部材24bがカム部材24aに対して回動し、カム部材24aが管3側に付勢されるようになる。尚、
図3(a),(b)に示すカム機構は一例に過ぎず、同様の機能を実現するために公知の各種のカム機構を採用することができる。
【0053】
つまり、アーチ状部材23cの両端部23a,23bが挿口側当接片22である屈曲板22a,22bの両下端部を管3に向けて押圧するように機能し、管3が挿口側当接片22で挟持される。尚、回動軸心Pと管3の軸心とは直交する位置関係に設定されていることが好ましい。
【0054】
回動部材は本実施形態のようにアーチ状の部材23cに限るものではなく、カム部材24aを回動させることができればよく、例えば下側が開口した「コ」の字状の部材でもよい。牽引ワイヤー40の牽引力でアーチ状部材23cが回動軸心P周りに回動する際に、環状部材23dが管3の上面に当接することにより、管3に対する挿口側当接片22の挟持力が制限され、管3が歪むような大きな力が発生しないように構成されている。同様の機能はカム機構に形成された傾斜カム面24cの形状を工夫することによっても実現できる。ある程度の挟持力が作用すると、その後カム部材24bがカム部材24aに対して回動しても押圧力が一定に維持されるように、傾斜カム面24cの傾斜領域を制限するのである。
【0055】
図4(a)〜(d)には、上述の管継手接合装置1によって管2,3が接合される手順が示されている。
図4(a)に示すように、先ず、移動体60を押して、一方の管2の受口に他方の管3の挿口を預けた状態で溝底に配置された管2,3の接合対象位置に移動させる。
【0056】
図4(b)に示すように、次に、昇降機構51を操作して受口側支軸11を下降させて、受口側当接片12を受口2A近傍で上方から管周面に添うように当接させる。この状態で、挿口側支持部20の挿口側当接片22も、管3の挿口3A近傍で上方から管周面に添うように当接する。
【0057】
図4(c)に示すように、ウインチ機構52を起動して牽引ワイヤー40でアーチ状部材23cを牽引操作して、回動軸心P周りにアーチ状部材23cを回動させると、上述したカム機構24が作動して挿口側当接片22によって管3が挟持される。
【0058】
図4(d)に示すように、その状態でさらに牽引ワイヤー40を牽引すると、さらにカム機構24による挟持力が強くなり、挿口側当接片22で挟持された挿口側の管3が受口側の管2に引き寄せられて両管が接合されるようになる。尚、このとき受口側当接片12にかかる反力は管2の中央部から受口2a側に到る拡径部(段差部)で受けられる。また、
図4に示す回動機構23の環状部材の形状が
図1(c)で示す環状部材23dと構造が異なるが、説明の便宜等のため簡略化したものである。
【0059】
挿口側の管3が受口側の管2に引き寄せられる際に、受口側の管2の軸心と平行姿勢に固定された案内軸30に沿って挿口側支持部20が摺動しつつ受口側の管2に向かうので、異形管や短尺管であっても挿口側の管3の上方への傾斜が阻止され、両管2,3の軸心の傾きが所定の許容角度内に収まるように接合される。
【0060】
つまり、受口側の管に受口側支持部を当接させるとともに、挿口側の管に挿口側当接片を当接させて、受口側支持部を介して回動機構と接続された牽引操作部を受口側から牽引することにより、回動軸心周りに回動機構を回動させて、挿口側当接片を押圧して管を挟持するとともに、挟持状態で挿口を受口側に引き込む本発明による管継手接合方法によって、管2,3が接合される。
【0061】
鉄管の場合、他の管材に比べて継手部分の径寸法公差が大きく、接合後のシール性を確保するために、シール材の圧縮代が多めに設定されている。そのため鉄管の継手を接合する場合にはシール材圧縮のために挿入抵抗が比較的大きくなり、接合時に管同士の姿勢が、接合に支障を来す方向に変化しやすい。
【0062】
つまり、挿入しようとする管の後端が相手側の管の軸心から外れる方向に傾斜して接合不能な状態になりやすい。特に挿入側の管が短尺であると、管の自重によるモーメントよりも、挿入のために加える外力によって管の後端が浮き上がる方向のモーメントが非常に大きくなり、これに抗して浮き上がりを防止するために溝の外から極めて大きな力を付与する必要がある。そのため人手では間に合わず、非常に大掛かりな装置が必要となる。
【0063】
しかし、上述の案内軸30を設けることにより、管の後端が浮き上がる方向のモーメントが案内軸30で受けられるので、両管2,3の軸心が大きく傾くことなく円滑に接合できるようになる。尚、案内軸30は1本で構成する以外に、強度面から複数本備えていてもよい。例えば管を挟んで2本平行に配置したり、管の直上に上下2本平行に配置してもよい。
【0064】
図5には、上述の管継手接合装置1によって接合された管2,3の継手部の断面が示されている。一方の管2の端部に形成された受口2Aの内部に他方の管3の端部に形成された挿口3Aが挿入されている。受口2Aの内周面と挿口3Aの外周面との間でシール用のゴム輪4(以下、「シール部材4」とも記す。)が圧縮されるように介装され、ロックリング5aと挿口3Aに形成された突部3aが係合して抜止めされる。図中、5bはロックリング心出し用部材である。
【0065】
上述した実施形態では、牽引操作部40が比較的軽量でシンプルな機構である牽引ワイヤーで構成された例を説明したが、牽引操作部40は牽引ワイヤーで構成される態様に限らず、アーチ状部材23cを回動操作可能な機構であれば、ラックとピニオン機構、油圧ジャッキ機構等を採用することも可能である。
【0066】
上述した実施形態では、受口側支持部10と、挿口側支持部20と、案内軸30と、牽引操作部40とが移動体60に備えた支持機構50に支持された管継手接合装置1を説明したが、本発明による管継手接合装置1は移動体60に搭載される態様に限定されるものではなく、
図10(a)に示すように、作業者が受口側支軸11を把持して所定の接合位置に移動させて手動で牽引ワイヤー40を牽引操作する様な態様であってもよい。
【0067】
つまり、受口側支持部10及び挿口側支持部20を手動で降下させて管2,3に当接させ、その後にレバーホイスト102のような手動巻き上げ装置のレバー102aを操作することによって、牽引ワイヤー40を巻き上げて管2,3を接合するように管継手接合装置1を構成してもよい。
【0068】
図11(b)に示すように、このような管継手接合装置1を用いれば、掘削溝110の溝底に配置された管2,3の上方から受口側当接片及び挿口側当接片を降下させて、それぞれを管2,3の周面に添うように当接させることができ、その後牽引操作部を操作するだけで接合作業が完結するので、作業者が溝に入って作業を行なう必要が無い。その結果掘削する溝も細幅で済むようになる。
【0069】
本発明による配管施工管理情報収集システムは、上述した配管敷設工事の施工現場で配管の施工管理情報を収集する配管施工管理情報収集システムである。
【0070】
図6に示すように、配管施工管理情報収集システムは、施工管理情報を取得する管継手接合装置1と、管継手接合装置1に取り付けられ、施工管理情報を読み取る撮像装置C1,C2と、管継手接合装置1により接合される管の接合部の位置情報を取得する位置情報取得装置であるGPS受信装置Rと、管継手接合装置1により得られた施工管理情報、撮像装置C1,C2により得られた施工管理情報、及び位置情報取得装置Rにより取得された位置情報を施工情報管理装置である施工管理情報サーバ80に送信する通信装置70とを備えている。
【0071】
撮像装置として、管2,3の敷設時に掘削された溝幅、管に貼付された管情報ラベル、及び接合後の管の曲げ角度を上方から撮像する第1撮像部C1と、管2,3の接合部のシール部材60を挿口側から撮像する第2撮像部C2を備えている。
【0072】
通信装置70として無線通信が可能な携帯端末が用いられ、例えば携帯電話やスマートフォンが好適に用いられる。管継手接合装置1の土被り演算部53、撮像装置C1,C2、位置情報取得装置Rには例えばBluetooth(登録商標)規格を採用した近距離通信部が設けられ、同じくBluetooth(登録商標)規格を採用した近距離通信部を備えた携帯端末70とデータの交信が可能に構成されている。
【0073】
図4(a)に示すように、移動体60を管2,3の接合対象位置に移動させると、昇降機構51によって接合処理部10,20,30,40を降下させる前に、第1撮像装置C1で溝上部から溝110を撮像するとともに、位置情報取得装置Rによって接合部の位置情報である緯度及び経度を受信する。
【0074】
図4(b)に示すように、受口側当接片12が管に当接するまで昇降機構51によって接合処理部10,20,30,40を降下させる際に、土被り演算部53は、例えばピニオンギヤの回転数を計測し、当該回転数を降下距離に換算するとともに、地表面を基準とした接合処理部の初期高さを加減して土被り情報を算出する。
【0075】
図4(c)に示すように、牽引ワイヤー40でアーチ状部材23cを牽引操作する前に、第1撮像装置C1で受口側管面に貼り付けられた管情報ラベルL上の二次元コード情報を撮像する。
【0076】
図4(d)に示すように、両管2,3が接合されると、第1撮像装置C1で受口2A及び挿口3A近傍の管3表面にペイントされた白線3Bが画角内に入るようにして接合部を撮像し、さらに受口側当接片12に取り付けられた第2撮像装置C2で受口2A内側のシール部材4を撮像する。
【0077】
位置情報取得装置Rの受信タイミング、昇降機構51の昇降タイミング、撮像装置C1,C2の撮像タイミングは、作業者による携帯端末70の画面操作に従って、携帯端末70にインストールされたアプリケーションプログラムが作動することによって、上述の近距離通信部を介して制御される。
【0078】
土被り演算部53によって算出された施工管理情報である土被り情報、撮像装置C1,C2による画像情報、位置情報取得装置Rで受信された位置情報は、同じく作業者による携帯端末70の画面操作に従って、近距離通信部を介して携帯端末70に取り込まれる。
【0079】
携帯端末70では、第1撮像装置C1から送信された溝部の開口部の画像に対して所定の画像処理プログラムが起動して溝幅が算出され、接合部の白線画像から水平面での接合後の管の曲げ角度が算出され、携帯端末70のメモリに格納された管情報データベースから二次元コード情報に対応する管情報が検索される。管情報には、製造年月日、製造工場、型式、管種、呼び径、管の個体番号等が含まれる。
【0080】
このような管情報を取得する媒体として、管に貼付された管情報ラベルL、管に刻印されたコード情報、管に塗装されたコード情報等を第1撮像装置C1で撮像する態様以外に、RF−ID技術を採用することも可能である。管情報が記憶されたICタグを管に装着しておき、管継手接合装置1にICタグ読取装置を装着することにより実現できる。
【0081】
図9(a),(b)には、接合部の白線画像が例示されている。
図9(a)は略直線状に接合された状態、
図9(b)は僅かに曲がって接合された状態である。携帯端末70で実行される画像処理では、受口側の管2の直線状の端部エッジと白線3Bの長手方向エッジとを線状画像として抽出し、各線状画像の基準からの傾斜角度を求めそれら間の差分を算出することによって曲げ角θが求められる。
【0082】
さらに、携帯端末70では、第2撮像装置C2から送信されたシール部材4を画面に表示し、作業者が画像を目視して異常がないと判断すると、次の管の接合作業を進める。
【0083】
携帯端末70に集められた施工管理情報である土被り情報、管情報、位置情報、画像情報は無線Wi−Fi等の無線LANを介して遠隔地の施工管理情報サーバ80に送信される。尚、これら施工情報を送信する通信媒体は無線LANに限らず、携帯電話回線や衛星通信回線等の他の無線通信媒体を適宜用いることも可能である。
【0084】
つまり、配管敷設工事の施工現場で配管の施工管理情報を収集する配管施工管理情報収集方法は、上述の管継手接合装置1、撮像装置C1,C2、GPS受信装置R、携帯端末70で実行され、管継手接合装置を配管の接合位置の上方に配置する設置ステップと、GPS受信機により管継手接合装置の位置情報を取得する施工位置情報取得ステップと、管継手接合装置に取り付けられた撮像装置により掘削溝の溝幅を上方から撮像して、撮像画像から溝幅を自動算出する溝幅情報取得ステップと、昇降機構を遠隔操作して前記接合処理部を配管の接合位置まで降下させ、降下距離から土被りを自動算出する土被り情報取得ステップと、管継手接合装置に取り付けられた撮像装置により受口側の管に貼付された管情報ラベルを撮像し、撮像画像から管情報を自動取得する管情報取得ステップと、接合処理部を遠隔操作して配管の継手部を接合する接合ステップと、撮像装置により接合後の管継手部を上方から撮像し、撮像画像から配管の曲げ角度を自動算出する曲げ角度情報取得ステップと、撮像装置により接合部のシール部材を挿口側から撮像するシール状態情報撮像ステップと、各ステップで得られた施工位置情報、溝幅情報、土被り情報、管情報、曲げ角度情報、シール状態情報を通信装置を用いて施工情報管理装置に送信する施工情報送信ステップと、を含む。
【0085】
尚、上述した配管施工管理情報収集方法を構成する各ステップのうち、溝幅情報取得ステップ、土被り情報取得ステップ、曲げ角度情報取得ステップ、及びシール状態情報撮像ステップは必須のステップではなく、これらのうち何れか一つのステップまたは複数のステップを適宜採用して配管施工管理情報収集方法に組み込むことができるステップである。
【0086】
次に、管継手の接合状態管理装置及び管理方法について説明する。
図5及び
図8(a),(b)に示すように、シール部材(ゴム輪)4は、ヒール部4aとバルブ部4bを備え、ヒール部4aの管端部側面のうち管の内面側に設けられた着色マーカ部材4cが設けられている。シール部材4は、管2,3が適正に接合された状態で、受口2A内周部に形成されたシール部材収容凹部2Bにヒール部4aが嵌め込まれ、シール部材収容凹部2Bに連接されたシール部材圧縮凸部2Cと挿口側の管3の外周面との間でバルブ部4bが圧縮される。
【0087】
接合状態管理装置は、上述の挿口側当接片22と、挿口側当接片22に取り付けられ、挿口側の管面から管の軸心方向に沿って受口2A周部を非接触で検査する検査装置としての第2撮像装置C2とを備えて構成されている。第2撮像装置C2は、管の周面に沿って略等間隔に4台配置されている(
図2(b)参照)。
【0088】
図8(b)には、シール部材4が適正な姿勢で管2,3が接合された状態が示され、
図8(c)には、シール部材4が不適正な姿勢で管2,3が接合され、バルブ部4bが管3によって奥側に引き込まれ、ヒール部4aがシール部材収容凹部2Bから離脱した状態が示されている。
【0089】
管の接合作業で、
図8(c)に示すような不適切な状態になると、シール機能が損なわれるため、再度接合作業を行なう必要がある。従来、接合作業が終了すると、作業者が溝に入って、隙間ゲージ等を用いてシール部材4の姿勢を確認していたが上述の接合状態管理装置22、C2を用いれば、そのような煩雑な作業が不要になる。
【0090】
第2撮像装置C2により撮像された画像が携帯端末70に送信され(
図6参照)、携帯端末70の画面でその画像が確認可能になるためである。そして、そのためにヒール部4aに着色されたマーカ部材4cが設けられている。ヒール部4aの受口側端面に設けられたマーカ部材4cが検査装置で検出されるか否かに基づいて接合状態が評価可能になる。
【0091】
図8(d)には、適正状態での接合を示す
図8(b)に対応する画像が示されている。当該画像中にはヒール部4aに設けられたマーカ部材4cに対応する映像が現れていないため、適正に接合されていると判断できる。
【0092】
一方、
図8(e)には、不適正状態での接合を示す
図8(c)に対応する画像が示されている。当該画像中には、ヒール部4aの右上にマーカ部材4cに対応する映像が現れているため、適正に接合されていないと判断できる。尚、図中、一点鎖線で示される領域は4台の第2撮像装置C2で撮影される範囲が示されている。それぞれ隣接する撮影範囲が一部重複するように設定されていると、全領域を確実に評価できるようになるのでより好ましい。
【0093】
上述したように、マーカ部材4cがシール部材4の色とは異なる着色部材であり、検査装置が着色部材の有無を画像で判別可能な撮像装置であれば容易に実現できる。しかし、マーカ部材4cは必ずしも着色部材で構成される態様に限るものではない。また、第2撮像装置C2も通常の可視光の撮像装置である必要もない。
【0094】
例えば、ヒール部4aがシール部材収容凹部2Bから離脱したことが確認可能な態様のマーカ部材であればよく、
図8(f)に示すように、ヒール部4aがシール部材収容凹部2Bに収容された状態ではヒール部4aに沿うように当接し、ヒール部4aがシール部材収容凹部2Bから離脱した状態ではヒール部4aから一部が浮き上がる羽根状のマーカ部材4cでもよい。また、例えば、マーカ部材4cが蛍光部材で構成され、検査装置を蛍光が検知できるセンサで構成してもよい。さらに、挿口側の管から受口側内のシール部材に所定波長の光を照射したときに、当該波長に対する反射光が検知可能な光反射部材で構成されていてもよい。
【0095】
着色マーカ部材4cは、ヒール部4aの管端部側面のうち管の内面側に設けられる態様に限定されるものではなく、ヒール部4aがシール部材収容凹部2Bから離脱した状態が検知できる部位であれば何れであってもよい。つまり、受口の内周部に形成された凹部に嵌め込まれるヒール部に、凹部からヒール部が離脱したことを検知可能なマーカ部材が設けられているシール部材であればよい。
【0096】
上述した例では、シール部材のバルブ部4bがシール部材収容凹部2Bに連接されたシール部材圧縮凸部2Cと挿口側の管3の外周面との間で圧縮されるような構成を説明したが、受口側の管の内周にシール部材圧縮凸部2Cが形成されている必要は無く、バルブ部4bが受口の内周面と挿口の外周面との間で圧縮されるような構成であればよい。
【0097】
つまり、互いに接合される一方の管の端部に形成された受口の内部に、他方の管の端部に形成された挿口が挿入され、且つ受口と挿口との間にシール部材が設けられ、シール部材は、受口の内周部に形成された凹部に嵌め込まれるヒール部と、受口の内周面と挿口の外周面との間で圧縮されるバルブ部を有し、凹部に収容されるヒール部にマーカ部材が設けられている管継手構造であればよい。
【0098】
第2撮像装置C2を用いる場合、挿口側当接片22に複数台設けるのではなく、第2撮像装置C2を受口側の管周面に沿って移動させるレールと駆動部等を備えた移動機構を介して1台の第2撮像装置C2を取り付けてもよい。移動装置により所定位置移動した後に撮像してもよいし、移動しながら動画として撮像してもよい。
【0099】
接合状態管理装置は、管継手接合装置1に備えた挿口側当接片22を用いて構成するのが好ましいが、必ずしもそのような態様でなくてもよい。例えば、作業者が手動操作して、掘削溝の上方から挿口側当接片を降下させて、挿口側の管面に上方から管面に添うように当接する挿口側当接片を準備し、その挿口側当接片に撮像装置を取り付けてもよい。
【0100】
また、挿口側当接片に、受口側からシール部材を照射する光源を設けるとともに、シール部材からの反射光を観察者に向けて反射するミラーを設けて、ミラーで反射された反射光に基づいてマーカ部材が観察されるか否かを判別可能な接合状態管理装置を構成してもよい。
【0101】
次に、上述の施工管理情報サーバ80に送信された施工管理情報に基づいて管路竣工図を作成する管路竣工図作成支援システムを、
図6に基づいて説明する。
【0102】
管路竣工図作成支援システムは、管情報を得る管情報取得装置と、位置情報を得るGPS受信装置と、継手部位の画像を得る画像取得装置と、管情報、位置情報、及び画像情報がアップロードされる施工管理情報サーバ80と、施工管理情報サーバ80からダウンロードされた管情報、位置情報、及び画像情報に基づいて、管路竣工図を生成する複数の情報処理端末90を備えて構成されている。施工管理情報サーバ80としてクラウドサーバが好適に用いられる。
【0103】
竣工図よりも管路の正確な埋設位置を表すオフセット図が情報処理端末90で生成できるように、施工管理情報サーバ80には、土被り情報や溝幅情報がさらにアップロードされるように構成されていてもよい。尚、この場合、土被り情報や溝幅情報は上述の携帯端末70からアップロードされるように構成すればよい。
【0104】
管情報取得装置は、施工現場に配置された管に貼付された管情報ラベルLの撮影情報に基づいて管情報を取得する装置であり、上述の第1撮像装置1C及び携帯端末70で構成されている。
【0105】
GPS受信装置は、上述した移動体60に搭載されたGPS受信装置Rで構成され、画像取得装置は、上述した撮像装置C1,C2で構成される。上述の携帯端末70を用いて施工現場から施工管理情報サーバ80に管情報、位置情報、及び画像情報がアップロードされるように構成されている。
【0106】
情報処理端末90には施工管理情報サーバ80に対して所定のアクセス権が設定され、アクセス許可された操作者のみが施工管理情報サーバ80に接続可能に構成されている。
【0107】
情報処理端末90は、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータやスマートフォン等の携帯端末等で構成され、竣工図作成用のマッピングソフトウェアがインストールされ、情報処理端末90のハードウェアと協働してマッピング処理部として機能するように構成されている。
【0108】
マッピング処理部は、施工管理情報サーバ80からダウンロードされた管情報に基づいて、実際の地図情報とリンクされた仮想平面でなる基準座標系の施工位置に管継手の略号を描画配置し、各施工位置の管継手の間を管種に対応した形状で連結することによって竣工図を生成する。
【0109】
図7には、マッピング処理部で生成される竣工図が例示されている。マッピング処理部は、先ずGPS受信装置で得られた各施工位置(緯度及び経度)A点、B点、C点をプロットし、それぞれに管情報、撮影画像をリンク付けする。
【0110】
次にプロットした点に、管継手の略号を描画配置し、さらに管種から継手間の形状を補完して描画する。このような竣工図はオペレータによる操作入力に基づいて順次描画するようにして生成することも可能であり、各施工位置とその施工位置にリンクされる管情報、撮影画像に基づいて自動生成することも可能である。
【0111】
図7では、GX形の管継手の略号が示され、1種管及び乙字管の形状が補完されている。尚、乙字管は異形管の一つであり、異形管にはこの他に曲管、T字管、短管、十字管等があり、それぞれに形状が設定されている。
【0112】
マッピング処理部で生成される竣工図は、情報処理端末90のハードウェア上で生成され、生成された竣工図が施工管理情報サーバ80にアップロードされる形態であってもよいし、情報処理端末90のハードウェアで描画操作される竣工図が、クラウド形式の施工管理情報サーバ80のハードウェア上で生成される形態であってもよい。後者の場合、情報処理端末90に機能完結型の大容量のマッピングソフトウェアをインストールする必要が無く、クラウド操作用のインターフェースソフトのみをインストールすればよいので、大きなメモリ容量が要求されることが無い。
【0113】
また、施工管理情報サーバ80に土被り情報や溝幅情報がさらにアップロードされるように構成されている場合には、マッピング処理部で土被り情報や溝幅情報をさらに組み込んだオフセット図を自動生成するように構成してもよい。
【0114】
つまり、配管敷設工事の施工現場で配管の施工管理情報を収集して管路竣工図を作成する管路竣工図作成方法は、施工現場に配置された管に貼付された管情報ラベルの撮影情報に基づいて管情報を取得する管情報取得装置と、施工現場の位置情報を取得するGPS受信装置と、配管の継手部の画像を取得する画像取得装置とを介して得られた管情報、位置情報、及び画像情報を送信装置により施工管理情報サーバにアップロードし、施工管理情報サーバから情報処理端末にダウンロードした管情報、位置情報、及び画像情報に基づいて、情報処理端末に備えたマッピング処理部で管理される地図上に竣工図を生成するように構成されている。
【0115】
上述した管情報取得装置、GPS受信装置、画像取得装置が上述した管継手接合装置1に組み込まれ、配管施工支援ソフトウエアが上述の携帯端末70にインストールされ、携帯端末70の画面に配管施工支援ソフトウエアに基づく操作画面が表示されるように構成すると、作業者は管継手接合装置1の移動体60を牽引して管継手接合装置1を施工位置に位置決めした後、携帯端末70の操作画面を操作するだけで、接合作業が自動的に行なえ、施工位置情報、溝幅情報、土被り情報、管情報、曲げ角度情報、シール状態情報等を自動収集でき、通信装置を用いて施工情報管理装置に自動送信することが可能になる。
【0116】
具体的には、携帯端末70の画面に施工手順に従った操作画面が表示され、各操作に対して必要な情報が携帯端末70に自動集信されるようになる。先ず、施工位置情報取得指示画面、次に溝幅測定指示画面、以下順に土被り情報取得指示画面、管情報取得指示画面、曲げ角度情報取得指示画面、シール状態情報取得指示画面、情報送信指示画面が表示され、各画面の操作アイコンが作業者によってタッチされると、近距離通信部を介して各部に対して情報取得命令が送信され、各部から対応する情報が返信されると、当該情報に基づいて必要な演算処理が行なわれて、溝幅情報、土被り情報、管情報等が自動生成され、情報送信指示画面の操作アイコンが作業者によってタッチされると、必要な情報が施工情報管理装置に自動送信される。
【0117】
尚、携帯端末70に、第2撮像装置C2から送信されたシール状態情報となる画像に基づいて、画像中にマーカ部材の映像の有無を自動識別する画像処理プログラムをインストールして、シール状態が適正であるか否かの判定結果情報を表示するように構成してもよく、正常判定が表示されない場合にその後の施工情報管理装置への自動送信指示が拒否されるように構成してもよい。
【0118】
例えば、上述した溝幅撮影、接合処理部10,20,30,40の降下処理、土被り情報の計測、情報ラベルLの撮影、牽引ワイヤー40の自動巻取り、接合後の継手部の撮影等の一連の操作を携帯端末70の画面操作で起動できるようになる。
【0119】
具体的には、携帯端末70に、管継手接合装置1の昇降機構51やウインチ機構52を遠隔操作可能な制御プログラムをインストールしておき、上述の施工情報等を収集するプログラムと連動するように構成してもよい。例えば、上述の土被り情報取得指示画面で操作アイコンを操作すると、昇降機構51が起動して接合処理部が降下され、管情報取得指示画面が操作されて管情報が取得された後に、接合処理起動指示画面が表示され、その操作アイコンが操作されるとウインチ機構52が起動される等、管継手接合装置1との連動制御が実現できる。
【0120】
上述した実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的な形状、サイズ、材料、構成等は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。