特許第6178783号(P6178783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ショーワグローブ株式会社の特許一覧

特許6178783手袋製造方法、コーティング手袋製造方法、手袋及びコーティング手袋
<>
  • 特許6178783-手袋製造方法、コーティング手袋製造方法、手袋及びコーティング手袋 図000002
  • 特許6178783-手袋製造方法、コーティング手袋製造方法、手袋及びコーティング手袋 図000003
  • 特許6178783-手袋製造方法、コーティング手袋製造方法、手袋及びコーティング手袋 図000004
  • 特許6178783-手袋製造方法、コーティング手袋製造方法、手袋及びコーティング手袋 図000005
  • 特許6178783-手袋製造方法、コーティング手袋製造方法、手袋及びコーティング手袋 図000006
  • 特許6178783-手袋製造方法、コーティング手袋製造方法、手袋及びコーティング手袋 図000007
  • 特許6178783-手袋製造方法、コーティング手袋製造方法、手袋及びコーティング手袋 図000008
  • 特許6178783-手袋製造方法、コーティング手袋製造方法、手袋及びコーティング手袋 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178783
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】手袋製造方法、コーティング手袋製造方法、手袋及びコーティング手袋
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/28 20060101AFI20170731BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   D04B1/28
   A41D19/00 M
   A41D19/00 N
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-502218(P2014-502218)
(86)(22)【出願日】2013年2月25日
(86)【国際出願番号】JP2013054811
(87)【国際公開番号】WO2013129336
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2015年10月20日
(31)【優先権主張番号】特願2012-45909(P2012-45909)
(32)【優先日】2012年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591161900
【氏名又は名称】ショーワグローブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 敏夫
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−220064(JP,A)
【文献】 特公昭61−032420(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 1/28
A41D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手指を覆う複数の袋状部を構成する前布及び後布を備え、第一袋状部に隣接する第二袋状部が第一袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有する手袋を、フックを有する多数の編針がフック側の対向状態で二列に配設された横編機を用いて編成する手袋製造方法であって、
上記多数の編針が、第一袋状部を編成する第一編針群と、第二袋状部の本体部を編成する第二編針群とに区分けされ、
第一編針群により第一袋状部を編成する第一袋状部形成工程と、第一袋状部形成工程後に第二袋状部を編成する第二袋状部形成工程とを有し、
上記第二袋状部形成工程が、第二編針群により上記本体部を編成する本体部編成工程と、上記袋基底部を編成する袋基底部編成工程とを有し、
上記袋基底部編成工程において、
第二編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの一方の列の第一編針群のうち第二編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで第一編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した第一編針群の編針に対向する他方の列の編針及び第二編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他方の面を編成し、
少なくとも上記第二袋状部形成工程の本体部編成工程の後に、第一編針群のうち第二編針群に隣接する少なくとも前後一対の編針、及び/又は第二編針群のうち第一編針群に隣接する少なくとも前後一対の編針により第一袋状部及び/又は第二袋状部の前布と後布とを連結する第一前後布連結部を編成する前後布連結工程をさらに有し、
上記前後布連結工程で前後布連結部の編成を行う編針として、上記第二袋状部形成工程の袋基底部編成工程で袋基底部の編成を行う第一編針群の編針と、この編針に隣接する編針とを用いる
ことを特徴とする。
【請求項2】
上記前後布連結工程が、上記第二袋状部形成工程の袋基底部編成工程の後に行われる請求項1に記載の手袋製造方法。
【請求項3】
上記第一編針群の反対側で第二編針群に隣接するとともに第三袋状部の本体部を編成する複数の編針である第三編針群が区分されており、
三袋状部を編成する第三袋状部形成工程を有し、
上記第三袋状部形成工程が、
第三編針群により第三袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記第三袋状部の本体部から手首方向に連設されるとともに第二袋状部及び第三袋状部を連結する環状の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
上記前後布連結工程が、上記第一前後布連結部とともに、第二袋状部及び/又は第三袋状部の前布と後布とを連結する第二前後布連結部を同一コースで編成する請求項2に記載の手袋製造方法。
【請求項4】
手指を覆う複数の袋状部を構成する前布及び後布を備え、薬指用袋状部に隣接する中指用袋状部が薬指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、中指用袋状部に隣接する人差し指用袋状部が中指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、小指用袋状部に隣接する三本胴用袋状部が小指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、四本胴用袋状部に隣接する親指用袋状部が四本胴用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有する手袋を、フックを有する多数の編針がフック側の対向状態で二列に配設された横編機を用いて編成する手袋製造方法であって、
上記多数の編針が、親指用袋状部の本体部を編成する親指用編針群と、人差し指用袋状部の本体部を編成する人差し指用編針群と、中指用袋状部の本体部を編成する中指用編針群と、薬指用袋状部を編成する薬指用編針群と、小指用袋状部を編成する小指用編針群とに区分され、
上記小指用編針群により小指用袋状部を編成する小指用袋状部形成工程と、
上記薬指用編針群により薬指用袋状部を編成する薬指用袋状部形成工程と、
薬指用袋状部形成工程の後に、中指用袋状部を編成する中指用袋状部形成工程と、
中指用袋状部形成工程の後に、人差し指用袋状部を編成する人差し指用袋状部形成工程と、
上記人差し指用袋状部形成工程後に、上記人差し指用袋状部、中指用袋状部及び薬指用袋状部から手首方向に連設される三本胴用袋状部を編成する三本胴用袋状部形成工程と、
上記小指用袋状部形成工程及び三本胴用袋状部形成工程の後に、上記三本胴用袋状部及び小指用袋状部から手首方向に連設される四本胴用袋状部を、上記人差し指用編針群と上記中指用編針群と上記薬指用編針群と上記小指用編針群とを有する四本胴用編針群により編成する四本胴用袋状部形成工程と、
上記四本胴用袋状部形成工程後に、親指用袋状部を編成する親指用袋状部形成工程と、
上記親指用袋状部形成工程の後に、上記四本胴用袋状部及び親指用袋状部から手首方向に連設される袋状の五本胴用袋状部を、上記親指用編針群と上記四本胴用編針群とにより編成する五本胴用袋状部形成工程と
を有し、
上記中指用袋状部形成工程が、
上記中指用編針群により上記中指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記中指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この中指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
中指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの一方の列の薬指用編針群のうち中指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで薬指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した薬指用編針群の編針に対
向する他方の列の編針及び中指用編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他
方の面を編成し、
上記人差し指用袋状部形成工程が、
上記人差し指用編針群により上記人差し指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記人差し指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この人差し指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
人差し指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの一方の列の中指用編針群のうち人差し指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで中指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した中指用編針群の編針に対向する他方の列の編針及び人差し指用編針群の他方の列の編針により袋基底部の他方の面を編成し、
上記三本胴用袋状部形成工程が、
上記人差し指用編針群と上記中指用編針群と上記薬指用編針群とを有する三本胴用編針群により上記三本胴用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記三本胴用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この三本胴用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
三本胴用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針、並びにこの一方
の列の小指用編針群のうち薬指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編
針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで小指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した小指用編針群の編針に対向する他方の列の編針及び三本胴用編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他方の面を編成し、
上記親指用袋状部形成工程が、
上記親指用編針群により上記親指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記親指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この親指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
親指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針、及びこの編針に隣接する一方の列の人差し指用編針群のうち親指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで人差し指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した人差し指用編針群の編針に対向する他方の列の編針、及び親指用編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他方の面を編成することを特徴とする手袋製造方法。
【請求項5】
手指を覆う複数の袋状部を構成する前布及び後布を備え、小指用袋状部に隣接する薬指用袋状部が小指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、薬指用袋状部に隣接する中指用袋状部が薬指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、中指用袋状部に隣接する人差し指用袋状部が中指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、四本胴用袋状部に隣接する親指用袋状部が四本胴用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有する手袋を、フックを有する多数の編針がフック側の対向状態で二列に配設された横編機を用いて編成する手袋製造方法であって、
上記多数の編針が、親指用袋状部の本体部を編成する親指用編針群と、人差し指用袋状部の本体部を編成する人差し指用編針群と、中指用袋状部の本体部を編成する中指用編針群と、薬指用袋状部の本体部を編成する薬指用編針群と、小指用袋状部を編成する小指用編針群とに区分され、
上記小指用編針群により小指用袋状部を編成する小指用袋状部形成工程と、
小指用袋状部形成工程の後に、薬指用袋状部を編成する薬指用袋状部形成工程と、
薬指用袋状部形成工程の後に、中指用袋状部を編成する中指用袋状部形成工程と、
中指用袋状部形成工程の後に、人差し指用袋状部を編成する人差し指用袋状部形成工程
と、
上記人差し指用袋状部形成工程後に、上記人差し指用袋状部、中指用袋状部、薬指用袋
状部及び小指用袋状部から手首方向に連設される四本胴用袋状部を、上記人差し指用編針
群と上記中指用編針群と上記薬指用編針群と上記小指用編針群とを有する四本胴用編針群
により編成する四本胴用袋状部形成工程と、
上記四本胴用袋状部形成工程後に、親指用袋状部を編成する親指用袋状部形成工程と、
上記親指用袋状部形成工程の後に、上記四本胴用袋状部及び親指用袋状部から手首方向に連設される袋状の五本胴用袋状部を、上記親指用編針群と上記四本胴用編針群とにより編成する五本胴用袋状部形成工程と
を有し、
上記薬指用袋状部形成工程が、
上記薬指用編針群により上記薬指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記薬指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この薬指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
薬指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの一方の列の小指用編針群のうち薬指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで小指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した小指用編針群の編針に対向する他方の列の編針及び薬指用編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他方の面を編成し、
上記中指用袋状部形成工程が、
上記中指用編針群により上記中指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記中指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この中指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
中指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの一方の列の薬指用編針群のうち中指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで薬指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した薬指用編針群の編針に対向する他方の列の編針及び中指用編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他方の面を編成し、
上記人差し指用袋状部形成工程が、
上記人差し指用編針群により上記人差し指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記人差し指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この人差し指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
人差し指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの一方の列の中指用編針群のうち人差し指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで中指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した中指用編針群の編針に対向する他方の列の編針及び人差し指用編針群の他方の列の編針により袋基底部の他方の面を編成し、
上記親指用袋状部形成工程が、
上記親指用編針群により上記親指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記親指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この親指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
親指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの編針に隣接する一方の列の人差し指用編針群のうち親指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで人差し指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した人差し指用編針群の編針に対向する他方の列の編針及び親指用編針群の他方の列の編針により袋基底部の他方の面を編成する
ことを特徴とする手袋製造方法。
【請求項6】
13ゲージ以上で編成されている請求項1から請求項5の何れか1項に記載の手袋製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の手袋製造方法と、
上記手袋製造方法により製造された手袋の少なくとも掌領域にコーティング層を形成するコーティング層形成工程と
を有するコーティング手袋製造方法。
【請求項8】
横編み機を用いて編成された前布及び後布により胴用の袋状部と、胴用の袋状部から突設される各指に対応する複数の指用の袋状部とが構成される手袋であって、
上記袋状部が、本体部と、本体部から手首方向に連設される環状の袋基底部とを有し、
少なくとも何れかの一つの袋状部の袋基底部が、
上記本体部の前布から手首方向に連設される前面部位、
この前面部位と同一コースで連続し、上記袋状部の一方側に隣接する他の袋状部の袋基底部の他方側の少なくとも二目の前布から手首方向に連設される袋状部連結前側部位、
この袋状部連結前側部位と同一コースで連続し、上記袋状部の一方側に隣接する他の袋状部の袋基底部の他方側の少なくとも二目の後布から手首方向に連設される袋状部連結後側部位、及び
この袋状部連結後側部位と同一コースで連続し、上記本体部の後布から手首方向に連設される後面部位
を有することを特徴とする手袋。
【請求項9】
袋状部間の指股部に、前布と後布とを連結する前後布連結部をさらに有する請求項8に記載の手袋。
【請求項10】
上記前後布連結部が、上記袋状部連結前側部位及び上記袋状部連結後側部位のウェール方向に設けられている請求項9に記載の手袋。
【請求項11】
上記前後布連結部が、上記前面部位、袋状部連結前側部位、袋状部連結後側部位及び後面部位よりも手首方向に設けられている請求項9又は請求項10に記載の手袋。
【請求項12】
少なくとも二つの袋状部の袋基底部が、それぞれ上記前面部位、袋状部連結前側部位、袋状部連結後側部位、後面部位及び前後布連結部を有し、
この少なくとも二つの袋状部の袋基底部の前後布連結部が、同一コースで設けられている請求項11に記載の手袋。
【請求項13】
13ゲージ以上で編成されている請求項8から請求項12の何れか1項に記載の手袋。
【請求項14】
請求項8から請求項13の何れか1項に記載の手袋と、
上記手袋の少なくとも掌領域に形成されたコーティング層と
を有するコーティング手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋製造方法、コーティング手袋製造方法、手袋及びコーティング手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手袋を編成するにあたって、多数の編針が略平行に前後二列で配列された横編み機が用いられている。このような横編み機を用いて、一般的には、小指用袋状部、薬指用袋状部、中指用袋状部、人差し指用袋状部、三本胴用袋状部、四本胴用袋状部、親指用袋状部及び五本胴用袋状部が順次形成されて、手袋が製造される。
【0003】
この手袋の製造に際しては、袋状部間の指股部に孔が生じないように、カミソリと呼ばれる抑止杆が利用されている。具体的には、例えば薬指の袋状部を編成した後に、この薬指の袋状部の編み目のうち中指側の編み目を抑止杆で保持する。この抑止杆に保持された編み目に挿通する状態の編針及びこの編針の隣接する中指側の編針によって、中指の袋状部を編成し、同様に人差し指の袋状部を編成する。そして、その後、三本胴を形成する際に、抑止杆の保持を解除することで、薬指用袋状部と中指用袋状部と人差し指の袋状部とが連結されることになる。
【0004】
しかし、抑止杆を用いた製造では以下の問題点がある。
(1)抑止杆の調節が困難、かつ煩雑であるばかりか、抑止杆の動作に不具合が生じた場合に不良品の手袋が製造され生産効率が低下する点。
(2)抑止杆自体の加工が困難であり、また抑止杆が消耗品であるため、製造コストが嵩む点。
(3)ゲージ数の大きい手袋を作成する場合には、使用する糸が細く、抑止杆の摩擦によって糸が切れてしまうおそれが高くなる点。
(4)抑止杆を用いて編成される構造の手袋にあっては、指股部の柔軟性に欠ける。このため手袋を手型に嵌めてコーティング層を形成してコーティング手袋を製造する場合には、手袋が手型にフィットしにくく、指股部にコーティング不良を招くおそれがある点。
【0005】
また、手袋の編成方法としては、特公昭61−32420号公報所載の方法が公知である。この公報には、三本胴用袋状部と小指用袋状部との間の指股部の編成に際して抑止杆を用いない方法が記載されている。この公報所載の方法を具体的に説明すると、小指用袋状部を編成した後に、この小指用袋状部を編成した編針とは異なる編針によって三本胴用袋状部を編成し、この三本胴用袋状部の最後二回の周回コースのうち、先の第一周回コースにおいて、三本胴用袋状部を編成する編針とともに小指用袋状部を編成した編針のうち三本胴用袋状部側で、かつ前側の編針も用いて編成し、後の第二周回コース(最終周回コース)において、三本胴用袋状部を編成する編針とともに小指用袋状部を編成した編針のうち三本胴用袋状部側で、かつ後側の編針も用いて編成している。また、この公報所載の方法は、三本胴用袋状部の編成の後に行う四本胴用袋状部の編成の最初の周回コースにおいて、上記指股部でタック編みを行う方法である。
【0006】
しかし、上記公報所載の方法では、三本胴用袋状部の最後二回の第一及び第二周回コースが、それぞれ前布又は後布の何れか一方でのみ小指用袋状部と連結されているに過ぎず、指股部に孔が生じやすい。つまり、例えば第一周回コース(先の周回コース)においては、三本胴用袋状部と小指用袋状部とは、小指用袋状部の前布の一目のみで連結されているに過ぎず、このため前布には依然として孔が生じやすい。また同様に、第二周回コース(後の周回コース)においても、三本胴用袋状部と小指用袋状部とは、小指用袋状部の前布の一目のみで連結されているに過ぎず、このため前布には孔が生じやすい。このように、最後二回の第一及び第二周回コースではそれぞれ前布及び後布に孔が生じやすいので、相乗的に指股部に孔がより生じやすくなっており、結果的に指股部の孔の発生を的確に防止できない。
【0007】
また、上記公報所載の方法は、四本胴用袋状部の編成の最初の周回コースにおいて、上記指股部でタック編みを行っているが、タック部分は二重となるため伸縮性及び柔軟性に欠ける。このため、この手袋をコーティング手袋の製造に用いた場合には、手袋が手型にフィットしにくく、指股部のコーティング不良を招くおそれがある。
【0008】
さらに、上記公報所載には、三本胴の最後の周回コースの他の実施形態も開示されている。この他の実施形態は、三本胴の最後三回の周回コースにおいて、先二回の周回コースについて既述の第一及び第二周回コース(前後それぞれ一目のみ連結)を行ったうえで、最終周回コースで、三本胴用袋状部を編成する編針とともに小指用袋状部を編成した編針のうち第一及び第二周回コースで用いた編針も用いて編成している。つまり、この最終周回コースでは、小指用袋状部の前布及び後布のそれぞれ一目が設けられる。
【0009】
しかし、このような最後三回の周回コースによる方法は、最終周回コースで前布及び後布双方において三本胴用袋状部と小指用袋状部とが連結されているため、第一及び第二周回コースに比べれば孔が生じ難いものの、この最終周回コースにおいて小指用袋状部の前後一目のみで連結されているに過ぎない。このため、糸の緩み等が生じた場合には指股部に孔が生じてしまう。特に、ゲージ数の大きい手袋では使用する糸が細いため、前後一目のみで連結しても十分に三本胴用袋状部と小指用袋状部とを連結できず、結果として指股部に孔が生じやすい。
【0010】
また、上述したような最後三回の周回コースによる方法では、複数の同一編針(三本胴用袋状部及び小指用袋状部の互いに隣接する部分の前後の編針)を制御して、異なる周回コースを行うため、この編み目部分の構造が複雑化してしまい、着用者に違和感を与え易い。さらに、指股部が開く方向に力が作用した場合に、複雑な構造のため各周回コースに均等に力が分散せずに、何れかの周回コースの糸にのみ力が集中してしまい、その部分の糸が伸びやすく、結果として指股部の孔の発生を的確に阻止できない。
【0011】
しかも、上述したように最後三回の周回コースによる方法では、三種類の周回コースを行うための制御が必要となり、制御方法が複雑化する。特に、従来公知の横編み機にあっては周回コースごとに使用する編針の選定を一般的に選針ドラムによる制御によって行っているが、上述したように最後三回の周回コースをすべての指股部で行うとすると、編針の選定パターンが多くなり過ぎ、一般的な選針ドラムでは対応することができず、選針ドラム等の改造が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特公昭61−32420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、これらの不都合に鑑みてなされたものである。そして、本発明の第一の課題は、指股部に孔が発生し難い手袋を容易に製造することができる手袋製造方法を提供することにある。また、本発明の第二の課題は、指股部にコーティング不良が生じないコーティング手袋製造方法を提供することにある。さらに、本発明の第三の課題は、容易に製造でき指股部に孔が発生し難い手袋を提供することにある。また、本発明の第四の課題は、容易に製造でき指股部のコーティングが良好なコーティング手袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記第一の課題を解決するためになされた本発明に係る手袋製造方法は、
手指を覆う複数の袋状部を構成する前布及び後布を備え、第一袋状部に隣接する第二袋状部が第一袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有する手袋を、フックを有する多数の編針がフック側の対向状態で二列に配設された横編機を用いて編成する手袋製造方法であって、
上記多数の編針が、第一袋状部を編成する第一編針群と、第二袋状部を編成する第二編針群とに区分けされ、
第一袋状部を編成する第一袋状部形成工程と、第一袋状部形成工程後に第二袋状部を編成する第二袋状部形成工程とを有し、
上記第二袋状部形成工程が、上記本体部を編成する本体部編成工程と、上記袋基底部を編成する袋基底部編成工程とを有し、
上記袋基底部編成工程において、
第二編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの一方の列の第一編針群のうち第二編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで第一編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した第一編針群の編針に対向する他方の列の編針及び第二編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他方の面を編成する
ことを特徴とする。
【0015】
当該手袋製造方法によって製造された手袋は、第二袋状部の本体部から環状の袋基底部が手首方向に連設され、この環状の袋基底部によって第一袋状部と第二袋状部とが連結されている。そして、この袋基底部は、第一袋状部の編み目のうち第二袋状部側に隣接する前後二目の編み目(前後合計四目の編み目)に編み込まれている。具体的には、この袋基底部は、第二袋状部の本体部の前布から手首方向に連設される前面部位と、この前面部位と同一コースで連続し、第一袋状部の編み目のうち第二袋状部側の少なくとも二目の前布から手首方向に連設される袋状部連結前側部位と、この袋状部連結前側部位と同一コースで連続し、第一袋状部の編み目のうち第二袋状部側の少なくとも二目の後布から手首方向に連設される袋状部連結後側部位と、この袋状部連結後側部位と同一コースで連続し、第二袋状部の本体部の後布から手首方向に連設される後面部位とを有することになる。
【0016】
当該手袋は、第二袋状部の袋基底部が、上述のように前布(前面部位及び袋状部連結前側部位)と後布(後面部位及び袋状部連結後側部位)との双方を有するので、前後双方で第一袋状部と第二袋状部とを確実に連結することができ、指股部の孔の発生を的確に防止することができる。さらに、袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位は、それぞれ第一袋状部の少なくとも二目の編み目に編み込まれるので、第一袋状部と第二袋状部とをより確実に連結することができ、指股部の孔の発生をより的確に防止することができる。
【0017】
さらに、当該手袋製造方法は、従来の抑止杆を用いた製造方法に比べて容易、かつ確実に手袋を製造することができる。しかも、当該手袋製造方法は、従来の最後三回の周回コースを異なるパターンで編成する方法に比べて、編針の制御を容易に行うことができ、一般的に用いられる横編み機を用いて容易、かつ確実に製造することができる。特に、当該製造方法によって製造された手袋は、従来の最後三回の周回コースを異なるパターンで製造された手袋に比べて、指股部の構造が単純であるため着用者に違和感を与えにくく、また指股部に作用する力が均一に分散しやすく孔が生じ難い。
【0018】
また、当該手袋製造方法にあっては、少なくとも上記第二袋状部形成工程の本体部編成工程の後に、第一編針群のうち第二編針群に隣接する少なくとも前後一対の編針、及び/又は第二編針群のうち第一編針群に隣接する少なくとも前後一対の編針により第一袋状部及び/又は第二袋状部の前布と後布とを連結する第一前後布連結部を編成する前後布連結工程をさらに有することが好ましい。かかる構成からなる製造方法によれば、上記袋基底部が、前布と後布とを連結する第一前後布連結部を有する手袋を製造することができる。このように製造された手袋は、前布及び後布が前後布連結部によって連結されるため、袋基底部に孔がより発生し難くなる。
【0019】
この前後布連結工程で前後布連結部の編成を行う編針としては、上記第二袋状部形成工程の袋基底部編成工程で袋基底部の編成を行う第一編針群の編針と、この編針に隣接する編針とを用いることが好ましい。これにより、前後布連結部が袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位のウェール方向に位置することになり、この前後布連結部によって袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位に前後方向に開く力が作用し難くなり、前後布連結部によって効果的に袋基底部の孔の発生を防止することができる。
【0020】
さらに、上記前後布連結工程を、第二袋状部形成工程の袋基底部編成工程の前に行うことも可能であるが、上記袋基底部編成工程の後に行うことが好ましい。このように前後布連結工程を袋基底部編成工程の前に行った場合には、指股部において前後布連結部が外面側に表出することになる。一方、上述のように前後布連結工程を袋基底部編成工程の後に行った場合には、袋状部同士を連結する部位よりも前後布連結部が内面側に位置することになる。このため、指股部の手首側で前布と後布とを開く方向に力が作用した際(例えば着用者が手袋を着用した際)に、この前布と後布とを開く方向に作用する力は、袋基底部よりも内面側に位置する前後布連結部に作用し易くなり、袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位を前後方向に開く力が作用し難いので、指股部の孔の発生をより的確に防止することができる。
【0021】
また、上記のように前後布連結工程を袋基底部編成工程の後に行う場合には、この前後布連結工程によって他の袋状部同士の間の指股部の第二前後布連結部を同一コースで編成することが好ましい。つまり、上記第一編針群の反対側で第二編針群に隣接するとともに第三袋状部を編成する複数の編針である第三編針群が区分されており、第三編針群により第三袋状部を編成する第三袋状部形成工程を有し、上記第三袋状部形成工程が、第三編針群により第三袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、上記第三袋状部の本体部から手首方向に連設されるとともに第二袋状部及び第三袋状部を連結する環状の袋基底部を編成する袋基底部編成工程とを有し、上記前後布連結工程が、上記第一前後布連結部と第二前後布連結部を同一コースで編成することが好ましい。なお、ここで第二前後布連結部とは、第二袋状部と第三袋状部との指股部において第二袋状部及び/又は第三袋状部の前布と後布とを連結する部分を意味する。上記構成を採用することにより、同一コースで複数の前後布連結部を形成することができ、編針の制御を容易に行うことができ、一般的に用いられる横編み機を用いて容易、かつ確実に製造することができる。また、同一コースで複数の前後布連結部を形成することができるので、製造時間の短縮化が図られる。
【0022】
また、上記第一の課題を解決するためになされた本発明に係る手袋製造方法は、
手指を覆う複数の袋状部を構成する前布及び後布を備え、薬指用袋状部に隣接する中指用袋状部が薬指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、中指用袋状部に隣接する人差し指用袋状部が中指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、小指用袋状部に隣接する三本胴用袋状部が小指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、四本胴用袋状部に隣接する親指用袋状部が四本胴用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有する手袋を、フックを有する多数の編針がフック側の対向状態で二列に配設された横編機を用いて編成する手袋製造方法であって、
上記多数の編針が、親指用袋状部を編成する親指用編針群と、人差し指用袋状部を編成する人差し指用編針群と、中指用袋状部を編成する中指用編針群と、薬指用袋状部を編成する薬指用編針群と、小指用袋状部を編成する小指用編針群とに区分され、
小指用袋状部を編成する小指用袋状部形成工程と、
薬指用袋状部を編成する薬指用袋状部形成工程と、
薬指用袋状部形成工程の後に、中指用袋状部を編成する中指用袋状部形成工程と、
中指用袋状部形成工程の後に、人差し指用袋状部を編成する人差し指用袋状部形成工程と、
上記人差し指用袋状部形成工程後に、上記人差し指用袋状部、中指用袋状部及び薬指用袋状部から手首方向に連設される三本胴用袋状部を、上記人差し指用編針群と上記中指用編針群と上記薬指用編針群とを有する三本胴用編針群により編成する三本胴用袋状部形成工程と、
上記小指用袋状部形成工程及び三本胴用袋状部形成工程の後に、上記三本胴用袋状部及び小指用袋状部から手首方向に連設される四本胴用袋状部を、上記人差し指用編針群と上記中指用編針群と上記薬指用編針群と上記小指用編針群とを有する四本胴用編針群により編成する四本胴用袋状部形成工程と、
上記四本胴用袋状部形成工程後に、親指用袋状部を編成する親指用袋状部形成工程と、
上記親指用袋状部形成工程の後に、上記四本胴用袋状部及び親指用袋状部から手首方向に連設される袋状の五本胴用袋状部を、上記親指用編針群と上記四本胴用編針群とにより編成する五本胴用袋状部形成工程と
を有し、
上記中指用袋状部形成工程が、
上記中指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記中指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この中指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
中指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの一方の列の薬指用編針群のうち中指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで薬指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した薬指用編針群の編針に対向する他方の列の編針及び中指用編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他方の面を編成し、
上記人差し指用袋状部形成工程が、
上記人差し指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記人差し指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この人差し指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
人差し指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの一方の列の中指用編針群のうち人差し指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで中指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した中指用編針群の編針に対向する他方の列の編針及び人差し指用編針群の他方の列の編針により袋基底部の他方の面を編成し、
上記三本胴用袋状部形成工程が、
上記三本胴用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記三本胴用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この三本胴用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
三本胴用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針、並びにこの一方の列の小指用編針群のうち薬指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで小指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した小指用編針群の編針に対向する他方の列の編針及び三本胴用編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他方の面を編成し、
上記親指用袋状部形成工程が、
上記親指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記親指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この親指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
親指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針、及びこの編針に隣接する一方の列の人差し指用編針群のうち親指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで人差し指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した人差し指用編針群の編針に対向する他方の列の編針、及び親指用編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他方の面を編成する
ことを特徴とする。
【0023】
当該手袋製造方法によって製造された手袋は、中指用袋状部、人差し指用袋状部、三本胴用袋状部及び親指用袋状部の各本体部からそれぞれ環状の袋基底部が手首方向に連設され、この環状の袋基底部によって隣接する袋状部と連結された手袋を製造することができる。そして、この手袋の上記袋基底部は、隣接する袋状部の編み目のうち前後二目の編み目(合計四目の編み目)に編み込まれることになる。このように袋基底部の前布と後布との双方で袋状部同士を確実に連結することができ、指股部の孔の発生を的確に防止することができる。さらに、この袋基底部の前布及び後布はそれぞれ隣接する袋状部の少なくとも二目の編み目に編み込まれるので、袋状部同士をより確実に連結することができ、指股部の孔の発生をより的確に防止することができる。しかも、当該手袋製造方法は、従来の抑止杆を用いた製造方法に比べて容易、かつ確実に手袋を製造することができる。また、当該手袋製造方法は、従来の最後三回の周回コースを異なるパターンで編成する方法に比べて、編針の制御を容易に行うことができ、一般的に用いられる横編み機を用いて容易、かつ確実に製造することができる。特に、当該製造方法によって製造された手袋は、従来の最後三回の周回コースを異なるパターンで製造された手袋に比べて、指股部の構造が単純であるため着用者に違和感を与えにくく、また指股部に作用する力が均一に分散しやすく孔が生じ難い。
【0024】
手指を覆う複数の袋状部を構成する前布及び後布を備え、小指用袋状部に隣接する薬指用袋状部が小指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、薬指用袋状部に隣接する中指用袋状部が薬指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、中指用袋状部に隣接する人差し指用袋状部が中指用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有し、四本胴用袋状部に隣接する親指用袋状部が四本胴用袋状部に連結する環状の袋基底部とその先端側に連結する筒状の本体部とを有する手袋を、フックを有する多数の編針がフック側の対向状態で二列に配設された横編機を用いて編成する手袋製造方法であって、
上記多数の編針が、親指用袋状部を編成する親指用編針群と、人差し指用袋状部を編成する人差し指用編針群と、中指用袋状部を編成する中指用編針群と、薬指用袋状部を編成する薬指用編針群と、小指用袋状部を編成する小指用編針群とに区分され、
小指用袋状部を編成する小指用袋状部形成工程と、
小指用袋状部形成工程の後に、薬指用袋状部を編成する薬指用袋状部形成工程と、
薬指用袋状部形成工程の後に、中指用袋状部を編成する中指用袋状部形成工程と、
中指用袋状部形成工程の後に、人差し指用袋状部を編成する人差し指用袋状部形成工程と、
上記人差し指用袋状部形成工程後に、上記人差し指用袋状部、中指用袋状部、薬指用袋状部及び小指用袋状部から手首方向に連設される四本胴用袋状部を、上記人差し指用編針群と上記中指用編針群と上記薬指用編針群と上記小指用編針群とを有する四本胴用編針群により編成する四本胴用袋状部形成工程と、
上記四本胴用袋状部形成工程後に、親指用袋状部を編成する親指用袋状部形成工程と、
上記親指用袋状部形成工程の後に、上記四本胴用袋状部及び親指用袋状部から手首方向に連設される袋状の五本胴用袋状部を、上記親指用編針群と上記四本胴用編針群とにより編成する五本胴用袋状部形成工程と
を有し、
上記薬指用袋状部形成工程が、
上記薬指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記薬指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この薬指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
薬指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針、及びこの一方の列の小指用編針群のうち薬指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで小指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した小指用編針群の編針に対向する他方の列の編針、及び薬指用編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他方の面を編成し、
上記中指用袋状部形成工程が、
上記中指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記中指用袋状の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この中指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
中指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針、及びこの一方の列の薬指用編針群のうち中指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで薬指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した薬指用編針群の編針に対向する他方の列の編針、及び中指用編針群の他方の列の編針により上記環状の袋基底部の他方の面を編成し、
上記人差し指用袋状部形成工程が、
上記人差し指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記人差し指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この人差し指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
人差し指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの一方の列の中指用編針群のうち人差し指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで中指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した中指用編針群の編針に対向する他方の列の編針及び人差し指用編針群の他方の列の編針により袋基底部の他方の面を編成し、
上記親指用袋状部形成工程が、
上記親指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程と、
上記親指用袋状部の袋基底部を編成する袋基底部編成工程と
を有し、
この親指用袋状部形成工程の袋基底部編成工程において、
親指用編針群のうち前布及び後布の一方を編成する一方の列の編針及びこの編針に隣接する一方の列の人差し指用編針群のうち親指用編針群に隣接する少なくとも二つのフックに対応する編針により上記環状の袋基底部の一方の面を編成し、
次いで人差し指用編針群のうち上記袋基底部の一方の面を編成した人差し指用編針群の編針に対向する他方の列の編針及び親指用編針群の他方の列の編針により袋基底部の他方の面を編成する
ことを特徴とする。
【0025】
当該手袋製造方法によって製造された手袋は、薬指用袋状部、中指用袋状部、人差し指用袋状部及び親指用袋状部の各本体部からそれぞれ環状の袋基底部が手首方向に連設され、この環状の袋基底部によって隣接する袋状部と連結された手袋を製造することができる。そして、この手袋の上記袋基底部は、隣接する袋状部の編み目のうち前後二目の編み目(合計四目の編み目)に編み込まれることになる。このように袋基底部の前布と後布との双方で袋状部同士を確実に連結することができ、指股部の孔の発生を的確に防止することができる。さらに、この袋基底部の前布及び後布はそれぞれ隣接する袋状部の少なくとも二目の編み目に編み込まれるので、袋状部同士をより確実に連結することができ、指股部の孔の発生をより的確に防止することができる。しかも、当該手袋製造方法は、従来の抑止杆を用いた製造方法に比べて容易、かつ確実に手袋を製造することができる。また、当該手袋製造方法は、従来の最後三回の周回コースを異なるパターンで編成する方法に比べて、編針の制御を容易に行うことができ、一般的に用いられる横編み機を用いて容易、かつ確実に製造することができる。特に、当該製造方法によって製造された手袋は、従来の最後三回の周回コースを異なるパターンで製造された手袋に比べて、指股部の構造が単純であるため着用者に違和感を与えにくく、また指股部に作用する力が均一に分散しやすく孔が生じ難い。
【0026】
当該手袋製造方法は、13ゲージ以上で編成されていることが好ましい。これにより、薄手でフィット感に優れた手袋を製造することができる。しかも、当該手袋製造方法であれば、指股部の構造が上記構造となるため、13ゲージ以上であっても指股部には孔が生じ難い。
【0027】
さらに、上記第二の課題を解決するためになされた本発明に係るコーティング手袋製造方法は、
上記構成からなる当該手袋製造方法と、
上記手袋製造方法により製造された手袋の少なくとも掌領域にコーティング層を形成するコーティング層形成工程と
を有する。
【0028】
上記構成からなるコーティング手袋製造方法は、指股部に孔が生じ難い手袋を用いてコーティング手袋が製造されるので、指股部におけるコーティング不良が生じ難い。
【0029】
また、上記第三の課題を解決するためになされた本発明に係る手袋は、
横編み機を用いて編成された前布及び後布により胴用の袋状部と、胴用の袋状部から突設される各指に対応する複数の指用の袋状部とが構成される手袋であって、
上記袋状部が、本体部と、本体部から手首方向に連設される環状の袋基底部とを有し、
少なくとも何れかの一つの袋状部の袋基底部が、
上記本体部の前布から手首方向に連設される前面部位、
この前面部位と同一コースで連続し、上記袋状部の一方側に隣接する他の袋状部の袋基底部の他方側の少なくとも二目の前布から手首方向に連設される袋状部連結前側部位、
この袋状部連結前側部位と同一コースで連続し、上記袋状部の一方側に隣接する他の袋状部の袋基底部の他方側の少なくとも二目の後布から手首方向に連設される袋状部連結後側部位、及び
この袋状部連結後側部位と同一コースで連続し、上記本体部の後布から手首方向に連設される後面部位
を有することを特徴とする。
【0030】
当該手袋は少なくとも何れか一つの袋状部の袋基底部は、前面部位及び袋状部連結前側部位(前布)と、後面部位及び袋状部連結後側部位(後布)とを有し、前後双方で袋状部同士を確実に連結することができ、指股部の孔の発生を的確に防止することができる。さらに、袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位は、それぞれ隣接する袋状部の少なくとも二目の編み目に編み込まれるので、袋状部同士をより確実に連結することができ、指股部の孔の発生をより的確に防止することができる。さらに、当該手袋は、従来の抑止杆を用いた製造方法に比べて容易、かつ確実に製造することができる。しかも、当該手袋は、従来の最後三回の周回コースを異なるパターンで編成する方法に比べて、製造時の編針の制御を容易に行え、一般的に用いられる横編み機を用いて容易、かつ確実に製造することができる。特に、当該手袋は、従来の最後三回の周回コースを異なるパターンで製造された手袋に比べて、指股部の構造が単純であるため着用者に違和感を与えにくく、また指股部に作用する力が均一に分散しやすく孔が生じ難い。
【0031】
また、当該手袋にあっては、上記袋基底部が、前布と後布とを連結する前後布連結部を有することが好ましい。これにより、前布及び後布が前後布連結部によって連結されるため、袋基底部に孔がより発生し難くなる。
【0032】
上記前後布連結部は、上記袋状部連結前側部位及び上記袋状部連結後側部位のウェール方向に設けられていることが好ましい。これにより、この前後布連結部によって袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位に前後方向に開く力が作用し難くなり、前後布連結部によって効果的に袋基底部の孔の発生を防止することができる。
【0033】
さらに、上記前後布連結部が、上記袋状部連結前側部位等よりも指先方向に設けられた構成を採用することも可能であるが、前後布連結部は、上記前面部位、袋状部連結前側部位、袋状部連結後側部位及び後面部位よりも手首方向に設けられていることが好ましい。つまり、前後布連結部を袋状部連結前側部位等よりも指先方向に設けた場合には、指股部において前後布連結部が外面側に表出することになる。一方、上述のように前後布連結部を袋状部連結前側部位等よりも手首方向に設けた構成の場合には、前後布連結部が袋状部連結前側部位等よりも内面側に位置する。このため、指股部の手首側で前布と後布とを開く方向に力が作用した際(例えば着用者が手袋を着用した際)に、この前布と後布とを開く方向に作用する力は、袋基底部よりも内面側に位置する前後布連結部に作用し易くなり、袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位を前後方向に開く力が作用し難いので、指股部の孔の発生をより的確に防止することができる。
【0034】
また、上記のように前後布連結部を手首方向に設ける場合には、この前後布連結部と同一コースで他の袋状部間の指股部において前布及び後布を連結する他の前後布連結部が設けられていることが好ましい。つまり、当該手袋は、少なくとも二つの袋状部の袋基底部が、それぞれ上記前面部位、袋状部連結前側部位、袋状部連結後側部位、後面部位及び前後布連結部を有し、この少なくとも二つの袋状部の袋基底部の前後布連結部が、同一コースで設けられている構成を採用することが好ましい。これにより、同一コースで複数の前後布連結部を形成することができ、製造時の編針の制御を容易に行うことができ、一般的に用いられる横編み機を用いて容易、かつ確実に製造することができる。また、同一コースで複数の前後布連結部を形成することができるので、当該手袋の製造時間の短縮化が図られる。
【0035】
さらに、当該手袋は、13ゲージ以上で編成されていることが好ましい。これにより、当該手袋を薄手でフィット感に優れたものとすることができる。しかも、当該手袋は、指股部が上記構造からなるので、13ゲージ以上であっても指股部には孔が生じ難い。
【0036】
また、上記第四の課題を解決するためになされた本発明に係るコーティング手袋は、
上記構成からなる当該手袋と、
上記手袋の少なくとも掌領域に形成されたコーティング層と
を有する。
【0037】
上記構成からなるコーティング手袋は、指股部に孔が生じ難い手袋を用いて製造されるので、指股部におけるコーティング不良が生じ難い。
【0038】
なお、「多数の編針がフック側の対向状態で二列に配設」とは「編針がフック側を対向させた状態で前後二列に配列されている」ことで、前側の編針と後側の編針とが対をなしていることを意味し、対となる編針同士の位置が左右方向(前側の多数の編針の配列方向及び後側の多数の編針の配列方向)においてズレ(例えば配列方向に隣接する編針同士の間隔の半分程度のズレ)を生じている場合も含む。また、親指、人差し指、中指、薬指及び小指とは、解剖学上での第一指(first finger)、第二指(second
finger)、第三指(third finger)、第四指(fourth finger)及び第五指(fifth finger)をそれぞれ意味する。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、当該手袋製造方法は、指股部に孔が発生し難い手袋を容易に製造することができる。また当該コーティング手袋製造方法は、指股部にコーティング不良が生じないコーティング手袋を容易に製造することができる。さらに、当該手袋は、容易に製造でき指股部に孔が発生し難い。また、当該コーティング手袋は、容易に製造でき指股部のコーティングが良好である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態に係る手袋製造方法の編針の制御方法を説明するための選針ドラムのピンの配設図であって、後側の編針の制御を行うピンの配設図。
図2】同実施形態に係る手袋製造方法の編針の制御方法を説明するための選針ドラムのピンの配設図であって、前側の編針の制御を行うピンの配設図。
図3】同実施形態に係る手袋製造方法の編針の制御方法を説明するための選針ドラムのピンの配設図であって、要部を抽出した配設図。
図4】同実施形態の手袋製造方法の指股部における編み目構造を説明するための模式的説明図であって、薬指用袋状部が編成された後の状態の模式的説明図。
図5】同実施形態の手袋製造方法の指股部における編み目構造を説明するための模式的説明図であって、中指用袋状部の本体部が編成された後の状態の模式的説明図。
図6】同実施形態の手袋製造方法の指股部における編み目構造を説明するための模式的説明図であって、中指用袋状部の袋基底部が編成された後の状態の模式的説明図。
図7】同実施形態の手袋製造方法の指股部における編み目構造を説明するための模式的説明図であって、人差し指用袋状部の袋基底部が編成された後の状態の模式的説明図。
図8】同実施形態の手袋製造方法の指股部における編み目構造を説明するための模式的説明図であって、第一前後布連結部及び第二前後布連結部が編成された後の状態の模式的説明図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説するが、まず本発明の一実施形態の手袋製造方法について説明する。
【0042】
[手袋製造方法]
本実施形態の手袋製造方法は、多数の編針が略平行に前後二列で配列され、前後の編針同士が対向するよう設けられた横編み機を用いて前布及び後布を有する手袋を形成する手袋製造方法である。
【0043】
<横編み機>
この横編み機は、従来公知の横編み機を用いることが可能であり、具体的には、前後一対の針床と、この針床に略平行に配設された多数の編針とを備え、この編針が針床の針口に出退可能に配置されている。そして、編針は、編糸を係止可能なフックを有している。本実施形態においては、編針は一つのフックを先端部に有している。なお、編針は、上記フックの開口を開閉するよう回動可能なベラを有するものを採用可能である。
【0044】
上記編針は、カム機構に係脱可能なバットを有し、このバットがカム機構に係合することで編針が針口を出退するよう設けられている。また、各編針は上記バットとカム機構とを係脱すべく針床内に揺動可能に配設されている。
【0045】
また、この横編み機は、針口に出退する編針を制御する制御手段を有している。この制御手段は、編針の揺動状態を制御し、編針から突設されるバットとカム機構との係脱を制御し、各コースの編み方に応じて編針の針口への出退を制御している。
【0046】
具体的にこの制御手段は、外周に軸方向に沿った複数の溝が形成された回転体と、この回転体に着脱可能に取付けられるピンとからなる選針ドラムから構成されている。この回転体は、溝のピッチに応じて周方向に回転するよう設けられている。また、ピンは上記編針の配設間隔に応じた軸方向の長さを有し、回転体の回転角度によって各編針に当接可能に設けられている。この選針ドラムは、編針がピンに当接した場合には上記バットをカム機構から離脱させるよう編針を揺動させ、編針がピンと当接せずに回転体と当接する場合には上記バットをカム機構に係合させるよう編針を揺動させるものである。これにより、各コースの編み方に応じて回転体にピンを取り付けることによって、所望の編成がなされることになり、回転体の回転角度を変更することによって出退する編針を図1及び図2のF1〜F53及びB1〜B53のように選定できることになる。なお、本実施形態においては、回転体の一つのピンに一つの編針が当接し、この編針は一つのフックを有するので、回転体の一つのピンと手袋の一目とが対応関係にあることになる。
【0047】
<ゲージ>
当該手袋製造方法においては、26ゲージで編成を行っている。なお、このゲージ数は、13ゲージ以上であることが好ましく、20ゲージ以上であることがより好ましく、26ゲージ以上であることが特に好ましい。ゲージ数が上記下限値未満であると、編成される手袋が、厚手になり過ぎてフィット感に劣るおそれがある。
【0048】
当該手袋製造方法において用いられる糸は、ウーリーナイロン等からなる糸が用いられる。なお、この糸は、ウーリーナイロンに限定されるものではなく、種々の糸を採用することが可能であり、例えばポリエステル等から構成することも可能である。また、この糸の太さは、11デシテックス以上385デシテックス以下のものが好適に用いられ、33デシテックス以上308デシテックス以下のものがより好適に用いられる。糸の太さが上記下限値未満であると、取扱いが困難となり製造コストが増大するおそれがあり、上記上限値を超えると糸が太くなり過ぎ所望のゲージ数での編成ができなくなるおそれがある。
【0049】
<編針群の区分>
当該手袋製造方法は、複数の編針が編針群を構成し、この編針群が複数の編針群として区分されている。つまり、複数の編針群は少なくとも、第一袋状部を編成するための複数の編針である第一編針群、第一編針群に隣接して第二袋状部を編成する複数の編針である第二編針群、及び第二編針群に隣接して(第一編針群の反対側)第三袋状部を編成する複数の編針である第三編針群として区分されている。
【0050】
より具体的に説明すると、親指用袋状部を編成するための複数の編針(図1及び図2の63〜80)である親指用編針群、親指用編針群に隣接するとともに人差し指用袋状部を編成するための複数の編針(同図の46〜62)である人差し指用編針群、人差し指用編針群に隣接するとともに中指用袋状部を編成するための複数の編針(同図の30〜45)である中指用編針群、中指用編針群に隣接するとともに薬指用袋状部を編成するための複数の編針(同図の15〜29)である薬指用編針群、及び薬指用編針群に隣接するとともに小指用袋状部を編成するための複数の編針(同図の1〜14)である小指用編針群が区分されている。
【0051】
なお、本実施形態において、第一袋状部として薬指用袋状部、第二袋状部として中指用袋状部、及び第三袋状部として人差し指用袋状部を例にとり以下説明する。
【0052】
<全体構成>
本実施形態の手袋製造方法は、小指用袋状部、薬指用袋状部、中指用袋状部、人差し指用袋状部、三本胴用袋状部、四本胴用袋状部、親指用袋状部、五本胴用袋状部が順次編成されるもので、小指用袋状部形成工程S100、薬指用袋状部形成工程S200、中指用袋状部形成工程S300、人差し指用袋状部形成工程S400、前後布連結工程S500、三本胴用袋状部形成工程S600、前後布連結工程S700、四本胴用袋状部形成工程S800、親指用袋状部形成工程S900、前後布連結工程S1000、五本胴用袋状部形成工程S1100の各工程が順次行われるものであり、以下、各工程について詳細に説明する。
【0053】
<袋状部形成工程>
当該手袋製造方法は、図3に示すように上記薬指用編針群(図3の15〜29)によって、薬指用袋状部を編成する薬指用袋状部形成工程S200(第一袋状部形成工程(図1及び図2のF10〜F17及びB10〜B17参照))と、薬指用袋状部形成工程S200後に中指用袋状部を編成する中指用袋状部形成工程S300(第二袋状部形成工程(図1及び図2のF19〜F27及びB19〜B27参照))と、中指用袋状部形成工程S300後に人差し指用袋状部を編成する人差し指用袋状部形成工程S400(第三袋状部形成工程(図1及び図2のF28〜F36及びB28〜B36参照))とを有している。
【0054】
さらに、当該手袋製造方法の小指用袋状部形成工程S100は、図1及び図2に示すように、小指用編針群(図1及び図2の1〜14)によって、小指用袋状部を編成する工程であり(図1及び図2のF1〜F8及びB1〜B8参照)、上記薬指用袋状部形成工程S200の前に行われる。三本胴用袋状部形成工程S600は、上記人差し指用袋状部形成工程S400後に、上記人差し指用袋状部、中指用袋状部及び薬指用袋状部から手首方向に連設される三本胴用袋状部を編成する工程である(図1及び図2のF38〜F39及びB38〜B39参照)。四本胴用袋状部形成工程S800は、上記小指用袋状部形成工程S100及び三本胴用袋状部形成工程S600の後に、上記人差し指用編針群と上記中指用編針群と上記薬指用編針群とを有する三本胴用編針群及び小指用編針群(図1及び図2の1〜62)によって、上記三本胴用袋状部及び小指用袋状部から手首方向に連設される四本胴用袋状部を編成する工程である(図1及び図2のF41及びB41参照)。親指用袋状部形成工程S900は、上記四本胴用袋状部形成工程S800後に、親指用袋状部を編成する工程である(図1及び図2のF43〜F51及びB43〜B51参照)。五本胴用袋状部形成工程S1100は、上記親指用袋状部形成工程S900の後に、上記親指用編針群と上記人差し指用編針群と上記中指用編針群と上記薬指用編針群と上記小指用編針群とを有する四本胴用編針群と(図1及び図2の1〜80)によって、上記四本胴用袋状部及び親指用袋状部から手首方向に連設される袋状の五本胴用袋状部を編成する工程である(図1及び図2のF53及びB53参照)。
【0055】
<本体部編成工程>
また、上記中指用袋状部形成工程S300は、図3に示すように、中指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程S310(図3のF19〜F26及びB19〜B26参照)を有している。この本体部編成工程S310においては、中指用編針群(図3の30〜45)が用いられる。なお、この中指用袋状部の本体部の編成は、従来の手袋製造方法の本体部の編成と同様に行われ、袋状部が指先から順次拡径するよう、使用する編針数を指先から順次コースごとに増加させ(図3のF19〜F25及びB19〜B25参照)、その後所定個数(16針)の編針によって複数コース編成することによって袋状部を編成している(図3のF26及びB26参照)。なお、小指用袋状部形成工程S100、薬指用袋状部形成工程S200、人差し指用袋状部形成工程S400及び親指用袋状部形成工程S900の各本体部編成工程S110,S210,S410,S910も同様に行われている(図1及び図2参照)。
【0056】
<袋基底部編成工程>
また、上記中指用袋状部形成工程S300は、上記本体部編成工程S310後、中指用袋状部の本体部から手首方向に連設されるとともに薬指用袋状部及び中指用袋状部を連結する環状の袋基底部を編成する袋基底部編成工程S320を有している(図3のF27及びB27参照)。この袋基底部編成工程S320においては、中指用編針群(図3の30〜45)及び薬指用編針群のうち中指用編針群に隣接する前後二対の編針(図3の28及び29(以下、袋状部連結用編針ということがある))が用いられる。具体的には、上記袋基底部編成工程S320において、中指用編針群の前列の編針(図3下側の30〜45)及び前列の薬指用編針群のうち中指用編針群に隣接する前列の二つの袋状部連結用編針(図3下側の28及び29)によって、袋基底部の前布を編成して、次いでこの前列の袋状部連結用編針(図3下側の28及び29)に対向する二つの薬指用編針群の袋状部連結用編針(図3上側の28及び29)及び中指用編針群の後列の編針(図3上側の30〜45)によって袋基底部の後布を編成している。なお、後布を先に編成し、前布を後に編成することも可能である。
【0057】
なお、上記中指用袋状部形成工程S300の袋基底部編成工程S320に用いられる上記袋状部連結用編針(フック数)は、2対以上10対以下(前後合計で4フック以上21フック以下)が好ましく、2対以上6対以下(前後合計で4フック以上13フック以下)であることがより好ましく、2対以上4対以下(前後合計で4フック以上9フック以下)であることが特に好ましい。袋状部連結用編針が上記範囲未満であると、中指用袋状部と薬指用袋状部との連結が弱く、指股部に孔が発生しやすくなるおそれがあり、袋状部連結用編針が上記範囲より多いと、薬指用袋状部の一部の内径が小さくなり過ぎるおそれがある。
【0058】
上記袋基底部編成工程S320は、本実施形態では1コース行われるが、複数コース行うことも可能である。なお、この袋基底部編成工程S320のコース数は、3コース以下であることが好ましく、2コース以下がより好ましい。上記コース数が上記上限より大きいと、薬指用袋状部と中指用袋状部とのコース数の相違による傾斜部分が大きくなり過ぎ、着用者に違和感を与えたり、またコーティングの際にコーティング不良を招くおそれがある。
【0059】
また、この袋基底部編成工程S320のコース数をTとし、ゲージ数をGとした場合には、このコース数Tは以下の関係式を満たすことが好ましい。
a×T/G < 1
なお、上記定数aは、6以上10以下であることが好ましく、7以上9以下であることがより好ましい。定数aが上記範囲未満であると、コース数が多くなり過ぎ、指股部において着用者に違和感を与えたり、コーティング不良を招くおそれがあり、また、定数aが上記範囲を超えると、コース数が少な過ぎ、中指用袋状部と薬指用袋状部との連結が弱く、指股部に孔が発生しやすくなるおそれがある。
【0060】
<その他の袋状部形成工程の本体部編成工程及び袋基底部編成工程>
また、上記人差し指用袋状部形成工程S400は、中指用袋状部形成工程S300と同様に、人差し指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程S410(図1及び図2のF28〜F35及びB28〜B35参照)と、人差し指用袋状部の本体部から手首方向に連設されるとともに中指用袋状部及び人差し指用袋状部を連結する環状の袋基底部を編成する袋基底部編成工程S420(図1及び図2のF36及びB36参照)とを有している。この人差し指用袋状部形成工程S400の本体部編成工程S410においては、人差し指用編針群(図1及び図2の46〜62)が用いられる。また、人差し指用袋状部形成工程S400の袋基底部編成工程S420においては、人差し指用編針群の前列の編針(図2の46〜62)及び前列の中指用編針群のうち人差し指用編針群に隣接する前列の二つの袋状部連結用編針(図2の44及び45)によって、袋基底部の前布を編成して、次いでこの前列の袋状部連結用編針に対向する二つの中指用編針群の袋状部連結用編針及(図1の44及び45)び人差し指用編針群の後列の編針(図1の46〜62)によって袋基底部の後布を編成している。
【0061】
なお、人差し指用袋状部形成工程S400において、前後布の編成順序、袋状部連結用編針の針数、及び袋基底部編成工程S420のコース数は、既述の中指用袋状部形成工程S300の場合と同様に種々変更可能である。
【0062】
なお、本実施形態において、上述の中指用袋状部形成工程S300及び人差し指用袋状部形成工程S400のほか、三本胴用袋状部形成工程S600及び親指用袋状部形成工程S900も、上述のような本体部編成工程S610,S910と袋基底部編成工程S620,S920とを有する。
【0063】
より具体的に説明すると、三本胴用袋状部形成工程S600は、上記人差し指用編針群(図1及び図2の46〜62)、中指用編針群(図1及び図2の30〜45)及び薬指用編針群(図1及び図2の15〜29)によって、三本胴用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程S610(図1及び図2のF38及びB38参照)と、上記人差し指用編針群(図1及び図2の46〜62)、中指用編針群(図1及び図2の30〜45)、薬指用編針群(図1及び図2の15〜29)、及び小指用編針群のうち薬指用編針群に隣接する前後二対の編針(図1及び図2の13及び14(袋状部連結用編針))によって、上記三本胴用袋状部の本体部から手首方向に連設されるとともに三本胴用袋状部及び小指用編針群を連結する環状の袋基底部を編成する袋基底部編成工程S620(図1及び図2のF39及びB39参照)とを有する。この袋基底部編成工程S620において、前後二列の人差し指用編針群(図1及び図2の46〜62)、中指用編針群(図1及び図2の30〜45)及び薬指用編針群(図1及び図2の15〜29)のうち一方の列の編針、並びにこの一方の列の小指用編針群のうち薬指用編針群に隣接する二つの袋状部連結用編針(図1及び図2の13及び14)によって、袋基底部の一方の面を編成して、次いでこの袋状部連結用編針に対向する二つの袋状部連結用編針(図1及び図2の13及び14)、並びに人差し指用編針群(図1及び図2の46〜62)、中指用編針群(図1及び図2の30〜45)及び薬指用編針群(図1及び図2の15〜29)によって、袋基底部の他方の面を編成する。
【0064】
また、親指用袋状部形成工程S900は、親指用編針群(図1の63〜80)によって、親指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程S910(図1及び図2のF43〜F50及びB43〜B50参照)と、上記親指用編針群、及び人差し指用編針群のうち親指用編針群に隣接する前後二対の編針(図1及び図2の61及び62(袋状部連結用編針))によって、上記親指用袋状部の本体部から手首方向に連設されるとともに四本胴用袋状部及び親指用袋状部を連結する環状の袋基底部を編成する袋基底部編成工程S920(図1及び図2のF51及びB51参照)とを有する。この袋基底部編成工程S920において、前後二列の親指用編針群のうち一方の列の編針(図1又は図2の63〜80)及びこの一方の列の人差し指用編針群のうち親指用編針群に隣接する二つの袋状部連結用編針(図1又は図2の61及び62)によって、袋基底部の一方の面を編成して、次いでこの二つの袋状部連結用編針に対向する二つの袋状部連結用編針(図1又は図2の61及び62)及び親指用編針群の他方の列の編針(図1又は図2の63〜80)によって、袋基底部の他方の面を編成する。
【0065】
なお、三本胴用袋状部形成工程S600及び親指用袋状部形成工程S900において、前後布の編成順序、袋状部連結用編針の針数、及び各袋基底部編成工程のコース数は、既述の中指用袋状部形成工程S300の場合と同様に種々変更可能である。
【0066】
<前後布連結工程>
また、当該手袋製造方法は、指股部において前布と後布とを連結する前後布連結工程S500を有している。この前後布連結工程S500は、中指用袋状部と薬指用袋状部との指股部において前布と後布とを連結する第一前後布連結部を編成する工程である(図3のF37及びB37参照)。また、この前後布連結工程S500は、上記第一前後布連結部とともに人差し指用袋状部と中指用袋状部との指股部において前布と後布とを連結する第二前後布連結部を同一コースで編成している。
【0067】
この第一連結部及び第二連結部を編成する前後布連結工程S500は、中指用袋状部形成工程S300の本体部編成工程S310及び袋基底部編成工程S320、並びに人差し指用袋状部形成工程S400の本体部編成工程S410及び袋基底部編成工程S420の何れの工程よりも後に行われる。具体的には、この前後布連結工程S500は、上記人差し指用袋状部形成工程S400の袋基底部編成工程S420に続いて行われる。
【0068】
ここで、この第一前後布連結部(及び第二前後布連結部)を連結する前後布連結工程S500は、本実施形態では半コース行われるが、前後布連結部の強度が足りない場合には1コース以上行うことも可能である。
【0069】
上記前後布連結工程S500において、第一前後布連結部の編成を行う編針として、薬指用編針群のうち中指用編針群に隣接する前後二対の編針(図3の28及び29)が用いられる。つまり、この第一前後布連結部の編成を行う編針として、中指用袋状部形成工程S300の袋基底部編成工程S320で用いられた袋状部連結用編針(図3の28及び29)が用いられる。
【0070】
また、この第一前後布連結部の編成を行う編針として、上記袋状部連結用編針(図3の28及び29)とともにこの袋状部連結用編針(図3の28及び29)に少なくとも一方側に隣接する少なくとも前後一対の編針(図3の26及び27並びに30及び31(以下、第一前後連結用編針ということがある))が用いられている。この第一前後連結用編針(図3の26及び27並びに30及び31)は、本実施形態においては、上記袋状部連結用編針の両側にそれぞれ隣接する編針が用いられる。
【0071】
ここで、上記第一前後連結用編針のうち、薬指用袋状部側に位置する第一前後連結用編針(図3の26及び27)は、1対又は複数対用いられている。ここで、この薬指用袋状部側の第一前後連結用編針の編針数(フック数)は、1対以上4対以下(前後合計で2フック以上9フック以下)が好ましく、2対以上3対以下(前後合計で4フック以上7フック以下)であることがより好ましく、2対(前後合計で4フック以上5フック以下)であることが特に好ましい。この薬指用袋状部側の第一前後連結用編針が上記下限値未満であると、前布と後布との連結が弱く、指股部に孔が発生しやすくなるおそれがあり、また薬指用袋状部側の第一前後連結用編針が上記上限値を超えると、薬指用袋状部の一部が内径が小さくなり過ぎるおそれがある。
【0072】
また、上記第一前後連結用編針のうち、中指用袋状部側に位置する第一前後連結用編針(図3の30及び31)は、1対又は複数対用いられている。ここで、この袋状部連結用編針の中指用袋状部側の第一前後連結用編針の編針数(フック数)は、1対以上4対以下(前後合計で2フック以上9フック以下)が好ましく、2対以上3対以下(前後合計で4フック以上7フック以下)であることがより好ましく、2対(前後合計で4フック以上5フック以下)であることが特に好ましい。この中指用袋状部側の第一前後連結用編針が上記下限値未満であると、前布と後布との連結が弱く、指股部に孔が発生しやすくなるおそれがあり、また中指用袋状部側の第一前後連結用編針が上記上限値を超えると、中指用袋状部の一部が内径が小さくなり過ぎるおそれがある。
【0073】
なお、第一前後連結用編針(図3の26及び27並びに30及び31)の編針数(フック数(薬指用袋状部側及び中指用袋状部側の双方の合計))は、第一前後布連結部を編成する袋状部連結用編針(図3の28及び29)の編針数(フック数)の1倍以上3倍以下であることが好ましく、1.5倍以上2.5倍以下であることがより好ましい。この第一前後連結用編針が上記下限値未満であると、前布と後布との連結が弱く、指股部に孔が発生しやすくなるおそれがあり、また第一前後連結用編針が上記上限値を超えると、指股部の柔軟性に欠け、着用者に違和感を与えたり、コーティング不良を招くおそれがある。
【0074】
上記前後布連結工程S500において、第二前後布連結部の編成を行う編針として、中指用編針群のうち人差し指用編針群に隣接する前後二対の編針(図3の44及び45)が用いられる。つまり、この第二前後布連結部の編成を行う編針として、人差し指用袋状部形成工程S400の袋基底部編成工程S420で用いられた袋状部連結用編針(図3の44及び45)が用いられる。
【0075】
また、この第二前後布連結部の編成を行う編針として、上記袋状部連結用編針(図3の44及び45)とともにこの袋状部連結用編針(図3の44及び45)に少なくとも一方側に隣接する少なくとも前後一対の編針(図3の42、43、46及び47(以下、第二前後連結用編針ということがある))が用いられている。この第二前後連結用編針(図3の42、43、46及び47)は、本実施形態においては、上記袋状部連結用編針(図3の44及び45)の両側にそれぞれ隣接する編針が用いられる。
【0076】
ここで、上記第二前後連結用編針のうち、中指用袋状部側に位置する第二前後連結用編針(図3の42及び43)は、1対又は複数対用いられている。ここで、この中指用袋状部側の第二前後連結用編針の数(フック数)は、1対以上4対以下(前後合計で2フック以上9フック以下)が好ましく、2対以上3対以下(前後合計で4フック以上7フック以下)であることがより好ましく、2対(前後合計で4フック以上5フック以下)であることが特に好ましい。この中指用袋状部側の第二前後連結用編針が上記下限値未満であると、前布と後布との連結が弱く、指股部に孔が発生しやすくなるおそれがあり、また中指用袋状部側の第二前後連結用編針が上記上限値を超えると、中指用袋状部の一部が、内径が小さくなり過ぎるおそれがある。
【0077】
また、上記第二前後連結用編針のうち、人差し指用袋状部側に位置する第二前後連結用編針(図3の46及び47)は、1対又は複数対用いられている。ここで、この人差し指用袋状部側の第二前後連結用編針の編針数(フック数)は、1対以上4対以下(前後合計で2フック以上9フック以下)が好ましく、2対以上3対以下(前後合計で4フック以上7フック以下)であることがより好ましく、2対(前後合計で4フック以上5フック以下)であることが特に好ましい。この人差し指用袋状部側の第二前後連結用編針が上記下限値未満であると、前布と後布との連結が弱く、指股部に孔が発生しやすくなるおそれがあり、また人差し指用袋状部側の第一前後連結用編針が上記上限値を超えると、人差し指用袋状部の一部が内径が小さくなり過ぎるおそれがある。
【0078】
なお、第二前後連結用編針(図3の42、43、46及び47)の編針数(フック数(中指用袋状部側及び人差し指用袋状部側の双方の合計))は、第二前後布連結部を編成する袋状部連結用編針(図3の44及び45)の編針数(フック数)の1倍以上3倍以下であることが好ましく、1.5倍以上2.5倍以下であることがより好ましい。この第二前後連結用編針が上記下限値未満であると、前布と後布との連結が弱く、指股部に孔が発生しやすくなるおそれがあり、また第二前後連結用編針が上記上限値を超えると、指股部の柔軟性に欠け、着用者に違和感を与えたり、コーティング不良を招くおそれがある。
【0079】
上記第一前後布連結部及び第二前後布連結部を編成する前後布連結工程S500においては、上述の各編針のほか、前後一方側(後側)のその他の編針(図1の15〜25、32〜41、48〜62)も用いられる(図1のB37参照)。つまり、この工程においては、後布が編成されるとともに、中指用袋状部と薬指用袋状部との間の指股部及び人差し指用袋状部と中指用袋状部との間の指股部において前布と後布とが上記第一前後布連結部及び第二前後布連結部によって連結されるよう編成することになる。
【0080】
なお、本実施形態においては、当該手袋製造方法は、小指用袋状部と薬指用袋状部(三本胴用袋状部)との間の指股部において前布と後布とを連結する第三前後布連結部を編成する前後布連結工程S700(図1及び図2のF40及びB40参照)を有し、さらに人差し指用袋状部(四本胴用袋状部)と親指用袋状部との間の指股部において前布と後布とを連結する第四前後布連結部を編成する前後布連結工程S1000(図1及び図2のF52及びB52参照)を有している。
【0081】
この第三前後布連結部を編成する前後布連結工程S700と第四前後布連結部を編成する前後布連結工程S1000とは異なるコースによって行われる。
【0082】
第三前後布連結部を編成する前後布連結工程S700は、三本胴用袋状部と小指用袋状部との間の指股部において前布と後布とを連結する工程であり、三本胴用袋状部形成工程S600の袋基底部編成工程S620よりも後に行われる。また、第四前後布連結部の前後布連結工程S1000は、親指用袋状部と四本胴用袋状部との間の指股部において前布と後布とを連結する工程であり、親指用袋状部形成工程S900の袋基底部編成工程S920よりも後に行われる。
【0083】
なお、第三前後布連結部を編成する前後布連結工程S700、及び第四前後布連結部を編成する前後布連結工程S1000は、本実施形態では半コース行われるが、前後布連結部の強度が足りない場合には1コース以上行うことも可能である。
【0084】
[手袋]
上述した手袋製造方法によれば、前布及び後布によって、胴用の袋状部と、胴用の袋状部から突設される各指に対応する複数の指用の袋状部とが構成される手袋が編成される。具体的には、当該手袋は、五本胴用袋状部から親指用袋状部及び四本胴用袋状部が突設され、四本胴用袋状部から小指用袋状部及び三本胴用袋状部が突設され、三本胴用袋状部から人差し指用袋状部、中指用袋状部及び薬指用袋状部が突設されている。
【0085】
また、当該手袋は、中指用袋状部が、本体部と、本体部から手首方向に連設される環状の袋基底部とを有する。この袋基底部は、本体部の前布から手首方向に連設される前面部位、この前面部位と同一コースで連続し、薬指用袋状部の二目の前布から手首方向に連設される袋状部連結前側部位、この袋状部連結前側部位と同一コースで連続し、薬指用袋状部の二目の後布から手首方向に連設される袋状部連結後側部位、及びこの袋状部連結後側部位と同一コースで連続し、上記本体部の後布から手首方向に連設される後面部位を有する。
【0086】
さらに、当該手袋は、人差し指用袋状部が、本体部と、本体部から手首方向に連設される環状の袋基底部とを有する。この袋基底部は、本体部の前布から手首方向に連設される前面部位、この前面部位と同一コースで連続し、中指用袋状部(の袋基底部の前面部位)の二目の前布から手首方向に連設される袋状部連結前側部位、この袋状部連結前側部位と同一コースで連続し、中指用袋状部(の袋基底部の後面部位)の二目の後布から手首方向に連設される袋状部連結後側部位、及びこの袋状部連結後側部位と同一コースで連続し、上記本体部の後布から手首方向に連設される後面部位を有する。
【0087】
また、当該手袋は、三本胴用袋状部が、本体部と、本体部から手首方向に連設される環状の袋基底部とを有する。この三本胴用袋状部の袋基底部は、本体部の前布から手首方向に連設される前面部位、この前面部位と同一コースで連続し、小指用袋状部の二目の前布から手首方向に連設される袋状部連結前側部位、この袋状部連結前側部位と同一コースで連続し、小指用袋状部の二目の後布から手首方向に連設される袋状部連結後側部位、及びこの袋状部連結後側部位と同一コースで連続し、上記本体部の後布から手首方向に連設される後面部位を有する。
【0088】
さらに、当該手袋は、親指用袋状部が、本体部と、本体部から手首方向に連設される環状の袋基底部とを有する。この親指用袋状部の袋基底部は、本体部の前布から手首方向に連設される前面部位、この前面部位と同一コースで連続し、四本胴用袋状部の二目の前布から手首方向に連設される袋状部連結前側部位、この袋状部連結前側部位と同一コースで連続し、四本胴用袋状部の二目の後布から手首方向に連設される袋状部連結後側部位、及びこの袋状部連結後側部位と同一コースで連続し、上記本体部の後布から手首方向に連設される後面部位を有する。上記袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位は、既述の各袋状部連結用編針によって編まれている。
【0089】
なお、上記各袋基底部の袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位の目数は、上記二目に限定されるものではなく、当該手袋製造方法において編針数に関して既に説明したような目数とすることが可能である。また、上記各袋基底部のコース数についても、当該手袋製造方法においてコース数に関して説明したようなコース数とすることが可能である。
【0090】
また、当該手袋は、袋状部間の指股部に、前布と後布とを連結する前後布連結部を有している。具体的には、当該手袋は、中指用袋状部と薬指用袋状部との間の指股部に設けられた第一前後布連結部、人差し指用袋状部と中指用袋状部との間の指股部に設けられた第二前後布連結部、薬指用袋状部(三本胴用袋状部)と小指用袋状部との間の指股部に設けられた第三前後布連結部、及び親指用袋状部と人差し指用袋状部(四本胴用袋状部)との間の指股部に設けられた第四前後布連結部を有している。ここで、第一前後布連結部と第二前後布連結部とは同一コースで編成されている。
【0091】
各前後布連結部は、各指股部における袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位のウェール方向で、かつ手首側に設けられている。各前後布連結部は、既述の各袋状部連結用編針と各前後連結用編針とによって編成されている。このため、前後布連結部は、袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位よりも幅広に設けられている。つまり、前後布連結部は、袋状部連結用編針によって編成される中央部と、この中央部に隣接し前後連結用編針によって編成される側部とを有している。ここで、この側部の網目数は当該手袋製造方法の前後連結用編針の数(フック数)で説明したような網目数とすることが可能である。また、この前後布連結部のコース数も当該手袋製造方法の前後布連結工程S500,S700,S1000で説明したようなコース数とすることが可能である。
【0092】
[コーティグ手袋製造方法]
次に、上記構成からなる当該手袋を用いてコーティング手袋を製造するコーティング手袋の製造方法について説明する。
【0093】
当該コーティング手袋製造方法は、当該手袋の少なくとも掌領域にコーティング層を形成するコーティング層形成工程を有する。このコーティング層形成工程は、従来公知の方法を採用でき、具体的には、当該手袋を立体型に被せて、手袋の掌領域をコート層形成材料に浸漬し、浸漬したコート層形成材料を乾燥させることによってコーティング層が形成される。
【0094】
[コーティング手袋]
上記コーティング手袋製造方法によって製造されたコーティング手袋は、上記構成からなる当該手袋と、当該手袋の少なくとも掌領域に形成されたコーティング層とを備えている。
【0095】
[利点]
本発明は、上記構成からなるので、以下のような利点を有する。
【0096】
つまり、当該手袋は、例えば中指用袋状部の本体部から環状の袋基底部が手首方向に連設され、この環状の袋基底部によって薬指用袋状部と中指用袋状部とが連結されている。そして、この袋基底部は、薬指用袋状部の編み目のうち中指用袋状部側に隣接する前後二目の編み目(合計四目の編み目)に編み込まれている。このように、前布(前面部位及び袋状部連結前側部位)と後布(後面部位及び袋状部連結後側部位)との前後双方で薬指用袋状部と中指用袋状部とが確実に連結され、指股部の孔の発生を的確に防止することができる。
【0097】
さらに、袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位は、それぞれ薬指用袋状部の二目の編み目に編み込まれるので、薬指用袋状部と中指用袋状部とをより確実に連結することができ、指股部の孔の発生をより的確に防止することができる。
【0098】
また、その他の各指股部においても同様の連結がなされているので、各指股部の孔の発生が効果的に防止できる。
【0099】
しかも、当該手袋製造方法は、従来の抑止杆を用いた製造方法に比べて容易、かつ確実に手袋を製造することができる。さらに、当該手袋製造方法は、従来の最後三回の周回コースを異なるパターンで編成する方法に比べて、編針の制御を容易に行うことができ、ドラムピンによって編針を制御する横編み機を用いて容易、かつ確実に手袋を製造することができる。特に、当該製造方法によって製造された手袋は、従来の最後三回の周回コースを異なるパターンで製造された手袋に比べて、指股部の構造が単純であるため着用者に違和感を与えにくく、また指股部に作用する力が均一に分散しやすく、指股部に孔が生じ難い。
【0100】
また、当該手袋は、中指用袋状部と薬指用袋状部との間の指股部に前布と後布とを連結する第一前後布連結部を有するので、この指股部に孔が発生し難くなる。特に、第一前後布連結部は、中指用袋状部の袋基底部を編成する袋状部連結用編針と同一の編針が用いられ編成され、第一前後布連結部が袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位のウェール方向に位置することになり、この第一前後布連結部によって袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位に前後方向に開く力が作用し難くなり、前後布連結部によって効果的に袋基底部の孔の発生を防止することができる。
【0101】
さらに、この第一前後布連結部は、中指用袋状部の袋基底部の袋状部連結前側部位等よりも手首側に位置するので、指股部を開く方向に作用する力が前後布連結部に作用し易く、袋状部連結前側部位及び袋状部連結後側部位を前後方向に開く力が作用し難いので、指股部の孔の発生をより的確に防止することができる。
【0102】
また、この第一前後布連結部は、人差し指用袋状部と中指用袋状部との間の指股部の第二前後布連結部と同一コースで編成されているため、同一コースで複数の前後布連結部を形成することができ、編針の制御を容易に行うことができ、一般的に用いられる横編み機を用いて容易、かつ確実に製造することができる。また、同一コースで複数の前後布連結部を形成することができるので、製造時間の短縮化が図られる。なお、本発明において、第一前後布連結部を上記袋状部連結前側部位等よりも指先側に設けることも可能であるが、この場合、指股部において第一前後布連結部が外面側に表出してしまい、また、他の指股部の前後布連結部と同一コースで編成することが困難となり、編針の制御が複雑となってしまう問題を有する。
【0103】
なお、当該手袋は、各指股部において上記第一前後布連結部と同様の構成を有する第二前後布連結部、第三前後布連結部及び第四前後布連結部を有するので、上記第一前後布連結部と同様の効果を奏する。
【0104】
また、当該手袋は上述のように指股部に孔が発生し難いので、当該手袋を手型に嵌めてコーティング層を形成する際に、指股部におけるコーティグ不良が発生し難い。
【0105】
[その他の実施形態]
なお、本発明は、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【0106】
つまり、上記実施形態においては、三本胴用袋状部を形成する例をとり説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、小指用袋状部、薬指用袋状部、中指用袋状部、人差し指用袋状部、四本胴用袋状部、親指用袋状部、五本胴用袋状部が順次編成されるものも採用可能である。この手袋製造方法は、上記実施形態と略同様の製造方法であるが、薬指用袋状部形成工程S200が、薬指用編針群によって、薬指用袋状部の本体部を編成する本体部編成工程S210と、薬指用編針群及び小指用編針群のうち薬指用編針群に隣接する前後の編針によって、薬指用袋状部の本体部から手首方向に連設されるとともに薬指用袋状部及び小指用袋状部を連結する環状の袋基底部を編成する袋基底部編成工程S220とを有している。なお、この袋基底部編成工程S220は、既述のその他の指股部の編成手法と同様の手法を採用可能である。また、人差し指用袋状部形成工程S400の後に、三本胴用袋状部を編成せずに、四本胴用袋状部形成工程S800がなされる。さらに、この場合、前後布連結工程S500,S700,S1000として、既述の第一前後布連結部及び第二前後布連結部と同一コースで、薬指用袋状部と小指用袋状部との間の指股部の第三前後布連結部を編成することも可能である。
【0107】
また、上記実施形態の手袋製造方法にあっては、従来公知の横編み機を用いたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、上記実施形態においては一つのフックを有する編針が各針溝に配置されたもの、すなわち一つのフックに一つの編針が対応するものを例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。具体的には、各針溝に、単または複数のフックを有する編針を、単独又は複数重ねられた状態で配置し、これにより、一つの針溝に対して一体的に動作する少なくとも二つ以上のフックを備える編針案内構造を有する横編み機(特開2012−12757号参照)を用いて当該手袋製造方法を実施することも可能であり、この場合には、一つの編針が二つ以上のフックに対応することになる。つまり、一つの針溝に対して二つのフックが一体的に動作する横編み機を用いて、本願発明の手袋製造方法を実施することも可能である。なお、この場合には、選針ドラム(回転体)の一つのピンと、手袋の二目とが対応関係にあることになる。また、二つのフックを有する編針を用いた場合には、袋基底部編成工程において、第二編針群及び第一編針群のうち第二編針群に隣接する少なくとも前後一対の編針によって袋基底部を編成することができる。これによって、袋基底部が、本体部の前布から手首方向に連設される前面部位、この前面部位と同一コースで連続し、上記袋状部の一方側に隣接する他の袋状部の袋基底部の他方側の少なくとも二目の前布から手首方向に連設される袋状部連結前側部位、この袋状部連結前側部位と同一コースで連続し、上記袋状部の一方側に隣接する他の袋状部の袋基底部の他方側の少なくとも二目の後布から手首方向に連設される袋状部連結後側部位、及びこの袋状部連結後側部位と同一コースで連続し、上記本体部の後布から手首方向に連設される後面部位を有する手袋を製造することができる。
【0108】
さらに、上記実施形態においては、指股部すべてに上記構造の袋状部同士の連結構造を形成したものについて説明したが、本願発明はこれに限定されず、少なくとも一つの指股部に上記袋状部同士の連結構造を形成するものであれば本願発明の意図する範囲内である。但し、薬指用袋状部と中指用袋状部との間の指股部、及び中指用袋状部と人差し指用袋状部との間の指股部に、上記袋状部同士の連結構造を形成することが好ましく、これによりコーティング不良が生じやすい部位を的確にコーティングすることができる。
【0109】
また、上記実施形態においては、前後布連結部を形成したものについて説明したが、本願発明はこれに限定されるものではない。また、前後布連結部を形成する場合も、上記実施形態のように指股部すべてに形成する必要はなく、一つの指股部に前後布連結部を形成することも可能である。但し、薬指用袋状部と中指用袋状部との間の指股部、及び中指用袋状部と人差し指用袋状部との間の指股部に、上記前後布連結部を形成することが好ましく、これによりコーティング不良が生じやすい部位を的確にコーティングすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上のように、本発明の手袋製造方法は、指股部に孔が発生し難い手袋を容易に製造することができるため、例えば手袋にコーティング層を形成するコーティング手袋等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0111】
S100 小指用袋状部形成工程
S110 本体部編成工程
S200 薬指用袋状部形成工程
S210 本体部編成工程
S300 中指用袋状部形成工程
S310 本体部編成工程
S320 袋基底部編成工程
S400 人差し指用袋状部形成工程
S410 本体部編成工程
S420 袋基底部編成工程
S500 前後布連結工程
S600 三本胴用袋状部形成工程
S610 本体部編成工程
S620 袋基底部編成工程
S700 前後布連結工程
S800 四本胴用袋状部形成工程
S900 親指用袋状部形成工程
S910 本体部編成工程
S920 袋基底部編成工程
S1000 前後布連結工程
S1100 五本胴用袋状部形成工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8