(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178784
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】同心カムシャフト位相器ねじり駆動機構
(51)【国際特許分類】
F01L 1/356 20060101AFI20170731BHJP
F01L 1/047 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
F01L1/356 Z
F01L1/047
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-502615(P2014-502615)
(86)(22)【出願日】2012年3月14日
(65)【公表番号】特表2014-509711(P2014-509711A)
(43)【公表日】2014年4月21日
(86)【国際出願番号】US2012028983
(87)【国際公開番号】WO2012134812
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2014年10月1日
(31)【優先権主張番号】61/469,802
(32)【優先日】2011年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/480,898
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ウィグスタン
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・シー・ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・シスン
【審査官】
今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−542599(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0183702(US,A1)
【文献】
国際公開第2009/067789(WO,A1)
【文献】
特開平07−286507(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0089350(US,A1)
【文献】
欧州特許第00254058(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/34−1/356
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心カムシャフト(12)の内側カムシャフト(12a)と外側カムシャフト(12b)との間に連結されたカム位相器(22)を有する、自動車の内燃機関用の可変カムタイミングアセンブリ(10)において、
前記同心カムシャフト(12)の前記内側カムシャフト(12a)と前記外側カムシャフト(12b)との間で回転トルクを伝達するために、前記同心カムシャフト(12)の前記内側カムシャフト(12a)と前記外側カムシャフト(12b)との間に連結されたねじり駆動機構(14)を有し、
前記ねじり駆動機構(14)は、前記カム位相器(22)のハウジング部分(28)に連結された複数の被動歯(14a)を有し、
前記ねじり駆動機構(14)は、前記カム位相器(22)と、前記同心カムシャフト(12)の前記内側カムシャフト(12a)および前記外側カムシャフト(12b)の少なくとも1つとの間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、垂直度および軸ずれを吸収し、
前記ねじり駆動機構(14)の前記複数の被動歯(14a)は、回転軸を有するとともに、前記カム位相器(22)の前記ハウジング部分(28)に連結された第1の被動歯部分(140a)と、前記外側カムシャフト(12b)に連結された第2の被動歯部分(140b)とに横に分割された、被動ギヤ(140)を含む、
可変カムタイミングアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記被動ギヤ(140)の第1の被動歯部分(140a)および第2の被動歯部分(140b)の両方と駆動係合した単一の共通駆動ギヤ(142)をさらに含む、請求項1に記載の可変カムタイミングアセンブリ(10)。
【請求項3】
同心カムシャフト(12)の内側カムシャフト(12a)と外側カムシャフト(12b)との間に連結されたカム位相器(22)を有する、自動車の内燃機関用の可変カムタイミングアセンブリ(10)において、
前記同心カムシャフト(12)の前記内側カムシャフト(12a)と前記外側カムシャフト(12b)との間で回転トルクを伝達するために、前記同心カムシャフト(12)の前記内側カムシャフト(12a)と前記外側カムシャフト(12b)との間に連結されたねじり駆動機構(14)を有し、
前記ねじり駆動機構(14)は、前記カム位相器(22)のハウジング部分(28)に連結された複数の被動歯(14a)を有し、
前記ねじり駆動機構(14)は、前記カム位相器(22)と、前記同心カムシャフト(12)の前記内側カムシャフト(12a)および前記外側カムシャフト(12b)の少なくとも1つとの間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、垂直度および軸ずれを吸収し、
前記ねじり駆動機構(14)の前記複数の被動歯(14a)は、回転軸を有するとともに、前記カム位相器(22)の前記ハウジング部分(28)に連結された第1の被動歯部分(240a)と、前記外側カムシャフト(12b)に連結された第2の被動歯部分(240b)とに横に分割された、被動スプロケットリングギヤ(240)を含む、
可変カムタイミングアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記被動スプロケットリングギヤ(240)の両方の被動歯部分(240a、240b)と駆動係合した共通の無限ループ可撓性駆動部材(242)をさらに含む、請求項3に記載の可変カムタイミングアセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動回転部材および被動回転部材に形成された複数の歯またはスプライン、あるいは可撓性連結体が駆動回転部材および被動回転部材につながる可撓性連結器を含むことができる、回転カムシャフト用のねじり駆動機構を介して伝達される回転トルクに関し、より具体的には、自動車の内燃機関の少なくとも1つのポペット式吸気弁または排気弁を動作させるために、カム位相器および同心回転カムシャフトを介して伝達される回転トルクに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関用の可変弁タイミング機構は、当技術分野において公知である。例えば、米国特許第4,494,495号明細書、米国特許第4,770,060号明細書、米国特許第4,771,772号明細書、米国特許第5,417,186号明細書、および米国特許第6,257,186号明細書を参照されたい。内燃機関は、それぞれ2弁または多弁構成とすることができるシングルオーバヘッドカムシャフト(SOHC)装置、デュアルオーバヘッドカムシャフト(DOHC)装置、および他の多重カムシャフト装置を含むとして公知である。カムシャフト装置は通常、内燃機関の燃焼シリンダ室に関連する吸気弁および/または排気弁の動作を制御するために使用される。一部の構成では、同心カムシャフトは、特定の燃焼シリンダ室内でクランクシャフトに連結されたピストンと、その特定の燃焼シリンダ室に関する所望の吸気弁および/または排気弁の動作特性との間の同期をとるように、タイミングベルト、チェーン、またはギヤを介してクランクシャフトで駆動される。内燃機関の様々な動作条件のもとで、燃料消費および排ガスに対する最適値を得るために、様々な動作パラメータに応じて弁タイミングを変えることができる。
【0003】
同心カムシャフトは、内側カムシャフトおよび外側カムシャフトを含む。2つのカムシャフトは、弁タイミングを変えるために、カム位相器などの機械装置を使用して、互いに対して位相をずらすことができる。カム位相器は、適切に機能するために、厳密な公差および心合わせを必要とする。同心カムシャフトの内側カムシャフトと外側カムシャフトとの間の心ずれにより、カム位相器の適切な機能が妨げられるという問題が生じることがある。同心カムシャフトの内側および外側カムシャフト、ならびにカム位相器間の心ずれに対応できるアセンブリを提供することが望ましい。公差の集積を吸収し、それにより、同心カムシャフトおよび位相器システムアセンブリに悪影響を及ぼすバインディング(binding)問題を解決することができるアセンブリを提供することが望ましい。
【0004】
可撓性ケーブル駆動システムは公知であり、米国特許第7,717,795号明細書、米国特許第7,562,763号明細書、米国特許第7,168,123号明細書、米国特許第6,978,884号明細書、米国特許第5,554,073号明細書、米国特許第5,022,876号明細書、米国特許第4,911,258号明細書、米国特許第4,779,471号明細書、米国特許第4,257,192号明細書、および米国特許第3,481,156号明細書を参照されたい。典型的な回転式可撓性シャフトでは、ワイヤマンドレルは、重ねて密に巻かれた複数のコイル状ワイヤ層を有し、各層は、交互に反対方向に、すなわち、右撚りまたは左撚りで連続的に重ねて巻かれる。このシャフトは通常、金属の、または被覆された可撓性ケーシングによって覆われ、シャフトがケーシング内で自由に回転できるように、シャフトとケーシングとの間に隙間が形成される。これらの可撓性ケーブル駆動システムは通常、スピードメータケーブル、電動シート調整装置、および船舶推進用途などの軽負荷動力伝達用に使用される。同心カムシャフトの内側および外側カムシャフト、ならびにカム位相器間の心ずれに対応できるアセンブリを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
同心カムシャフトは、2つのシャフト、すなわち、内側シャフトおよび外側シャフトを含む。2つのシャフトは、カム位相器などの機械装置を使用して、互いに対して位相をずらされる。カム位相器は、適切に機能するために、厳密な公差および心合わせを必要とする。同心カムシャフトの内側シャフトと外側シャフトとの心合わせに関する問題が生じることがある。ねじり駆動機構は、位相器と内側シャフトとの間に取り付けた場合に、この問題を修正することができる。ねじり駆動機構は、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、位相器が垂直度および軸ずれを調整するのを可能にする。
【0006】
ねじり駆動機構は、カム位相器が同心カムシャフトの両方の部品に取り付けられた場合に生じることがある、公差の集積によるバインディング問題を解決することを意図される。シャフトの心ずれと、位相器部品を同心カムの内側および外側シャフトに取り付けたときの部品の垂直度裕度とに対応するために、ねじり方向に剛性/軸方向に追従性の連結が必要とされる。提示されるアイデアには、外側シャフトと位相器アセンブリとの間に配置された連結ピン/スロット駆動機構、単一駆動ギヤ/2重被動ギヤ駆動機構(本明細書では、横分割ギヤ駆動機構と称することもある)、単一の無限ループ可撓性駆動部材/2重被動スプロケットリングギヤ駆動体(本明細書では、横分割スプロケットリングギヤ駆動機構と称することもある)、およびスプロケットリングギヤと位相器アセンブリの端部プレートとの間に配置された横面スプライン駆動体の少なくとも1つを有するねじり駆動機構が含まれる。
【0007】
ねじり駆動機構は、同心カムシャフト用の駆動部材と被動部材との間に形成された複数の歯またはスプラインを含むことができる。ねじり駆動機構は、内側シャフト−ロータ間の連結の心ずれに対応する。内側シャフト−ロータ間の連結の心ずれが修正されない場合、ロータは、カム位相器アセンブリのハウジング部分内で動かなくなり得る。
【0008】
ピン駆動連結は、カム位相器と、同心カムシャフトシステムのシャフトの1つとの間のねじり駆動部材として、単純なピンを使用することができる。ピンは、一方の側の嵌合部品に圧入することができ、もう1つの相補的部品に形成されたスロットに対して滑合されるピンの外側端部を有することができる。これは、システムが回転したときに、部品間のある程度の傾斜または軸方向の振れも可能にしながら、トルクがピンを介して伝達されるのを可能にする。
【0009】
横分割平歯車または横分割スプロケットリングギヤ構造も、カム位相器と同心カムシャフトシステムとの間でトルクを伝達することができ、一方で、その2つの間のある程度の軸方向動作を可能にする。これは、通常は互いに堅固に固定される位相器およびカムを分離し、その代わりに、位相器およびカムのそれぞれ用の独立した個々の平歯車またはピニオンギヤ、あるいは独立した個々のスプロケットリングギヤを、単一の共通駆動ギヤまたは無限ループ可撓性動力伝達部材を用いて駆動することによりなされる。
【0010】
駆動スプロケットリングギヤと位相器アセンブリの端部プレートとの間の横面スプライン連結は、2つの構成要素間の心ずれに対応し、一方で、それでもなお、構成要素間のトルク伝達を可能にする。この「追従性の」連結は、同心カムシャフトの内側および外側シャフト間の心ずれを考慮した適応性の連結を形成することを必要とされる。横面スプラインは、一般的に、長手面または軸方向面のスプラインよりも長い噛合面を可能にする。これは、その結果として、同じ量の平行度誤差を吸収するのに必要とされるバックラッシュ量を減ずる。横面スプラインは、一般的に、トルク制限装置の用途に見ることができる。これらの装置では、2つの構成要素は、一方から他方に軸方向に移動する必要がある。この装置の場合、軸方向位置は動作中全体にわたって維持され、したがって、公差に起因する平行度誤差の吸収を可能にするだけである。
【0011】
ねじり駆動機構は、同心カムに基づくカムシャフト位相器のアセンブリを可能にし、一方で、製造ばらつきに起因する構成要素の心ずれを許容する。横面スプライン連結の場合、心ずれは、位相器の端部プレートとカム駆動スプロケットリングギヤとの間で吸収されることを意図される。端部プレートをスプロケットリングギヤから分離することにより、端部プレートは、(内側シャフトにより画定される)ロータの角度勾配と合致することができる。外側および内側端部プレートは、位相器ハウジング部分を介して互いにボルトで固定されるので、端部プレートはロータと位置を合わせることができる。スプロケットリングギヤは、カムシャフトアセンブリの外側シャフトに堅固に固定される。内側シャフトの外側シャフトに対する向き、続いて、ハウジング部分および端部プレートアセンブリに加えてロータのカム駆動スプロケットリングギヤに対する向きは、カム山によって規定される。アセンブリの端部プレートは、カム駆動スプロケットリングギヤに近接して保持されるので、2つの構成要素間で面スプラインを使用してトルクを伝達し、その一方で、2つの構成要素間の平行度の若干の違いに対応することもできる。2つの構成要素間のバックラッシュは、アセンブリの騒音、振動、突き上げ(NVH)性能が不十分になるのを回避するために、最小限にする必要がある。
【0012】
ねじり駆動機構は、位相器ロータと内側シャフトとの間に取り付けられた場合に、同心カムシャフトの内側シャフトと外側シャフトとの間の心合わせ問題を修正する可撓性シャフト連結器を含むことができる。可撓性シャフト連結器は、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、位相器が垂直度および軸ずれを調整するのを可能にする。可撓性シャフト連結器は、ロータと同心カムシャフトの内側シャフトとの間のねじり駆動部材として可撓性ケーブルシャフトを使用することができる。可撓性シャフトは、内側シャフト−ロータ間の連結の心ずれに対応する。内側シャフト−ロータ間の連結の心ずれが修正されない場合、ロータは、カム位相器のハウジング内で動かなくなり得る。
【0013】
本発明の実施を企図した最良の態様である以下の説明を添付の図面と併せて読めば、本発明の他の応用例が当業者に明らかになるであろう。
【0014】
本明細書における説明は添付の図面について言及し、同じ参照数字は、複数の図面を通して同じ部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ハウジング部分、ロータ、ねじり駆動機構を含むカム位相器および同心カムシャフトアセンブリの斜視図であり、同心カムシャフトは、内側カムシャフトおよび外側カムシャフトを有する。
【
図2】
図1のカム位相器および同心カムシャフトアセンブリの平面図である。
【
図3】
図1のカム位相器および同心カムシャフトアセンブリの断面図である。
【
図4】ハウジング部分、ロータ、ねじり駆動機構を含むカム位相器および同心カムシャフトアセンブリの断面図であり、同心カムシャフトは、内側カムシャフトおよび外側カムシャフトを有し、ねじり駆動機構は、一方の部分が外側カムシャフトに連結され、他方の部分がカム位相器のハウジング部分に連結された分割スプロケットリングギヤを含む。
【
図5】ハウジング部分、ロータ、ねじり駆動機構を含むカム位相器および同心カムシャフトアセンブリの断面図であり、同心カムシャフトは、内側カムシャフトおよび外側カムシャフトを有し、ねじり駆動機構は、開孔内に捕捉された少なくとも1つの駆動ピンを含む。
【
図6】ハウジング部分、ロータ、ねじり駆動機構を含むカム位相器および同心カムシャフトアセンブリの斜視図であり、同心カムシャフトは、内側カムシャフトおよび外側カムシャフトを有する。
【
図7】
図6のカム位相器および同心カムシャフトの断面斜視図である。
【
図8】
図6のカム位相器および同心カムシャフトアセンブリの分解図である。
【
図9】ハウジング、ロータ、可撓性シャフト連結器を含むカム位相器および同心カムシャフトアセンブリの側面図であり、同心カムシャフトは、内側カムシャフトおよび外側カムシャフトを有する。
【
図10】
図9のカム位相器および同心カムシャフトアセンブリを
図12に示すように切り取った断面図である。
【
図11】
図10に示すように取り出した可撓性シャフト連結器の詳細図である。
【
図12】
図9のカム位相器および同心カムシャフトアセンブリの端面図である。
【
図13】カム位相器および同心カムシャフトアセンブリを
図9に示すように切り取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで
図1〜8を参照すると、可変カムタイミング(VCT)アセンブリ10が、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bを有する同心カムシャフト12を含んで示されている。主回転動作は、同心カムシャフト12に伝達することができ、一方、副回転動作、または位相をずらす、内側カムシャフト12aと外側カムシャフト12bとの間の相対回転動作は、カム位相器または他の機械式アクチュエータ22によってもたらすことができる。機械式アクチュエータまたはカム位相器22は、内側カムシャフト12aに作動的に連結することができる。ロータ36を内側カムシャフト12a上に押し込み、ピンで固定することができる。ロータ36は、カム位相器22のハウジング部分28内に閉じ込めることができる。カム位相器22は、適切に機能するために、厳密な公差および心合わせを必要とする。同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aと外側カムシャフト12bとの間の心ずれにより、カム位相器22の適切な機能が妨げられるという問題が生じ得る。
【0017】
ねじり駆動機構14は、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12b、ならびにカム位相器22間の心ずれを補償するように設けることができる。ねじり駆動機構は、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aと外側カムシャフト12bとの間に連結して、それらの間で回転トルクを伝達することができる。ねじり駆動機構14は、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つとの間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの垂直度および軸ずれの調整を可能にする。ねじり駆動機構14は、複数の被動歯14aを含むことができる。
【0018】
ここで
図1〜3を参照すると、ねじり駆動機構14は、回転軸を有し、独立し、分離し、軸方向に隣接する第1の被動歯部分140aと第2の被動歯部分140bとに横方向に分割された被動ギヤ140を含むことができる。第1の被動歯部分140aは、位相器22のハウジング部分28に連結することができ、第2の被動歯部分140bは、外側カムシャフト12bに連結することができる。単一の共通駆動ギヤ142は、被動ギヤ140の第1の被動歯部分140aおよび第2の被動歯部分140bの両方と駆動係合して組み込むことができる。あるいは、それぞれが同じ共通シャフトに取り付けられた2つの分離したギヤを使用して、両方の被動ギヤを駆動することができる。動作時、被動ギヤ140の第1の被動歯部分140aと第2の被動歯部分140bとの間の相対移動により、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つとの間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの垂直度および軸ずれを調整することが可能になる。位相器22および内側カムシャフト12aのアセンブリは、被動ギヤ140の第1の被動歯部分140aと第2の被動歯部分140bとの間にギャップ144があるために、外側カムシャフト12bに対して調整することができる。言い換えると、第1の被動歯部分140aと第2の被動歯部分140bとの間のギャップ144は、第2の被動歯部分140bに対して第1の被動歯部分140aが傾く、または軸方向に振れるなど軸方向に動作することで、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの垂直度および/または軸ずれが補償されるのを可能にする。
【0019】
ここで
図4を参照すると、ねじり駆動機構14は、回転軸を有し、独立し、分離し、軸方向に隣接する第1の被動歯部分240aと第2の被動歯部分240bとに横方向に分割された被動スプロケットリングギヤ240を含むことができる。第1の被動歯部分240aは、位相器22のハウジング部分28に連結することができ、第2の被動歯部分240bは、外側カムシャフト12bに連結することができる。単一の共通無限ループ可撓性駆動部材242は、被動スプロケットリングギヤ240の両方の被動歯部分240a、240bと駆動係合して組み込むことができる。動作時、被動スプロケットリングギヤ240の第1の被動歯部分240aと第2の被動歯部分240bとの間の相対移動により、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つとの間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの垂直度および軸ずれを調整することが可能になる。位相器22および内側カムシャフト12aのアセンブリは、被動スプロケットリングギヤ240の第1の被動歯部分240aと第2の被動歯部分240bとの間にギャップ244があるために、外側カムシャフト12bに対して調整することができる。言い換えると、第1の被動歯部分240aと第2の被動歯部分240bとの間のギャップ244は、第2の被動歯部分240bに対して第1の被動歯部分240aが傾く、または軸方向に振れるなど軸方向に動作することで、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの垂直度および/または軸ずれが補償されるのを可能にする。分割平歯車または分割スプロケットリングギヤ構造はまた、カム位相器と同心カムシャフトシステムとの間でトルクを伝達することができ、一方で、その2つの間のある程度の軸方向動作を可能にする。これは、通常は互いに堅固に固定される位相器およびカムを分離し、その代わりに、独自の平歯車またはスプロケットリングギヤを用いてそれぞれを駆動することでなされる。
【0020】
ここで
図6〜8を参照すると、ねじり駆動機構14は、位相器22のハウジング部分28とスプロケットリングギヤ340のフランジ316との間で対向して横に延びる1対の面344a、344bを含むことができる。横に延びる面344a、344bは、互いに駆動係合して組み込まれた複数の相互噛合歯または面スプライン340a、340bを含むことができる。動作時、位相器ハウジング部分28および駆動スプロケットリングギヤ340の第1の歯または面スプライン部分340aと第2の歯または面スプライン部分340bとの間の相対移動により、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つとの間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの垂直度および軸ずれを調整することが可能になる。位相器22および内側カムシャフト12aのアセンブリは、位相器22および駆動スプロケットリングギヤ340の第1の歯または面スプライン部分340aと第2の歯または面スプライン部分340bとの間に、軸方向に相互噛合する歯または面スプライン接触面344があるために、外側カムシャフト12bに対して調整することができる。言い換えると、第1の歯または面スプライン部分340aと第2の歯または面スプライン部分340bとの間の接触面344は、第2の被動歯またはスプライン部分340bに対して第1の駆動歯またはスプライン部分340aが傾く、または軸方向に振れるなど軸方向に動作することで、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの垂直度および/または軸ずれが補償されるのを可能にする。
【0021】
図6〜8に示す構成は、駆動スプロケットリングギヤと位相器アセンブリの端部プレートとの間の面スプラインを使用する。面スプラインは、2つの構成要素間の心ずれを許容し、一方で、それでもなお、2つの構成要素間のトルク伝達を可能にする。互いに連係して使用される2つの構成要素はトルクの伝達を可能にし、一方で、それでもなお、平行度の誤差を吸収する能力を付与する。この「追従性の」連結は、同心カムシャフトの内側および外側シャフト間の心ずれを考慮した適応性の連結を形成する。2つの部品は、トルク伝達を可能にするように、面スプラインによって噛合することができる。各構成要素が、2つの異なるシャフトに沿って軸方向に固定および配置されるということは、構成要素が常時噛合していることを可能にする。面スプラインは、一般的に、垂直面のスプラインよりも長い噛合面を可能にする。これは、ひいては、同じ量の平行度誤差を吸収するのに必要とされるバックラッシュ量を減ずる。この装置の場合、軸方向位置は動作中全体にわたって維持され、したがって、公差に起因する平行度誤差の吸収を可能にするだけである。
【0022】
説明した装置は、同心カムに基づくカムシャフト位相器アセンブリを可能にし、一方で、製造ばらつきに起因する構成要素の心ずれを許容する手段として意図される。この場合、心ずれは、位相器の端部プレートとカム駆動スプロケットリングギヤとの間で吸収されることを意図される。端部プレートをスプロケットリングギヤから分離することにより、端部プレートは、内側シャフトにより画定されるロータの角度勾配と合致することができる。外側および内側端部プレートは、位相器ハウジング部分を介して互いにボルトで固定されるので、端部プレートはロータに対して位置を合わせることができる。スプロケットリングギヤは、カムシャフトアセンブリの外側シャフトに堅固に固定される。内側シャフトの外側シャフトに対する向き、続いて、ハウジング部分および端部プレートアセンブリに加えてカム駆動スプロケットリングギヤに対する向きは、カム山によって規定される。アセンブリの端部プレートは、カム駆動スプロケットリングギヤに近接して保持されるので、面スプラインは、トルク伝達手段を提供するために2つの構成要素間で使用することができ、一方で、2つの構成要素間の平行度の若干の違いに対応することもできる。2つの構成要素間のバックラッシュは、アセンブリの騒音、振動、および突き上げ(NVH)性能が不十分にならないように最小限にしなければならない。
【0023】
図1〜3と
図6〜8との比較から、第1の歯または面スプライン部分140a、240a、340aおよび第2の歯または面スプライン部分140b、240b、340bは任意の所望の向きをとることができると分かる。非限定的な例として、第1の歯または面スプライン部分140a、240a、340aおよび第2の歯または面スプライン部分140b、240b、340bは、歯形の面幅方向140c、240c、340cが、同心カムシャフトの長手方向回転軸に対して角度をなして配置された面に沿って半径方向に延びるか(
図6〜8)、または同心カムシャフトの長手方向回転軸に対して直角もしくは垂直に配置された横面に沿って半径方向に延びるか(
図6〜8)、または同心カムシャフトの長手方向回転軸に対して横方向に延び、複数の交差する歯があるか(
図6〜8)、または同心カムシャフトの長手方向回転軸に対して横方向に延び、互いに交差する、少なくとも2つのグループの平行歯があるか(図示せず)、または同心カムシャフトの長手方向回転軸に対して軸方向、もしくは長手方向に円周面に沿って延びる(
図1〜4)向きに形成することができる。非限定的な例として、歯形の面幅は、
図1〜4に示すように、歯140a、140b、240a、240bの場合に軸方向に延びるか、
図6〜8に示すように、歯またはスプライン340a、340bの場合に半径方向に延びるか、または軸方向と半径方向との間で任意の角度をなす向きに延びることができる(図示せず)。
図6〜8に示すように、半径方向に延びる場合、歯形は、半径方向外側位置の広い方の歯形から半径方向内側位置の細い方の歯形までテーパを付けることができる。
【0024】
ここで
図5を参照すると、ねじり駆動機構14は、カム位相器22のハウジング壁部分22aとスプロケットリングギヤ456のフランジ442との間に配置された連結ピンおよびスロット駆動機構440を含むことができる。ピン駆動連結は、カム位相器22の内側ハウジング壁部分22aと同心カムシャフトシステムのシャフトの1つとの間のねじり駆動部材として、単純なピン440aを使用している。より具体的には、ピン駆動連結は、スプロケットリングギヤ456のフランジ442とカム位相器22の内側ハウジング壁部分22aとの間の境界面を使用する。ピン440aは、フランジ442か、または内側ハウジング壁部分22aのいずれかである一方の側の対合部に圧入することができ、それぞれ内側ハウジング壁部分22aか、またはフランジ442のいずれかである他方の対合部の開孔またはスロット440b内に滑合した状態で係合することができる。これは、システムが回転したときに、部品間のある程度の傾斜または軸方向の振れも可能にしながら、トルクがピンおよびスロット連結を介して伝達されるのを可能にする。
【0025】
自動車の内燃機関用の可変カムタイミングアセンブリ10は、内側カムシャフト12aと外側カムシャフト12bとの間の位相をずらす相対回転動作を行うために、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aと外側カムシャフト12bとの間に連結されたカム位相器22を有することができる。ねじり駆動機構14は、回転トルクを伝達するために、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つとの間に連結することができる。ねじり駆動機構14は、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つとの間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの互いに対する、および/または位相器22に対する垂直度および軸ずれの調整を可能にする。ねじり駆動機構14は、駆動部材142、242、342、442と少なくとも1つの被動部材140、240、340、440との間、または、より詳細には、非限定的な例として、駆動ギヤ142と被動歯140a、140bを有する被動ギヤ140との間(
図1〜3)、または無限ループの動力伝達駆動部材242とスプロケット歯240a、240bを有する被動スプロケットリングギヤ240との間(
図4)、またはピン440aを有する駆動スプロケットリングギヤ456とカム位相器22の開孔440bを有する被動壁部分28aとの間(
図5)、またはスプラインもしくは歯340aを有する駆動スプロケットリングギヤ342と位相器322のスプラインもしくは歯340bを有する被動壁部分28aとの間(
図6〜8)などに配置され、相補的に成形された、作動的に係合する接触面を含むことができる。
【0026】
自動車の内燃機関の少なくとも1つのポペットタイプの弁を動作させるための可変カムタイミングアセンブリ10は、内側回転カムシャフト12aおよび外側回転カムシャフト12bを含む同心カムシャフト12に回転軸が連結されたロータ36を囲むハウジング部分28を有するカム位相器22を含むことができる。ねじり駆動機構14は、回転トルクを伝達するために、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つとの間に連結することができる。ねじり駆動機構14は、カム位相器22と同心カムシャフト12との間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの互いに対する、および/またはカム位相器22に対する垂直度および軸ずれの調整を可能にする。ねじり駆動機構14は、横分割被動ギヤ140、横分割スプロケットリングギヤ240、横面スプラインギヤ340、およびピンおよびスロット連結駆動体440の1つから形成することができる。
【0027】
カム位相器22が同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aと外側カムシャフト12bとの間に連結される、自動車の内燃機関用の可変カムタイミングアセンブリ10を組み立てる方法は、回転トルクを伝達するために、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つとの間にねじり駆動機構14を連結することを含むことができる。ねじり駆動機構14は、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つとの間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの互いに対する、および/またはカム位相器22に対する垂直度および軸ずれの調整を可能にすることができる。方法はまた、横分割被動ギヤ140、横分割スプロケットリングギヤ240、横面スプラインギヤ340、およびピンおよびスロット連結駆動体440の1つを内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの駆動部材と被動部分との間に組み入れることを含むことができる。
【0028】
作業時、ねじり駆動機構14は、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つと位相器22との間に配置される。ねじり駆動機構14は、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの互いに対する、および/またはカム位相器22のロータ36もしくはハウジング部分28との連結における心ずれを吸収するが、この心ずれが修正されない場合、この心ずれにより、ロータ36が、カム位相器22のハウジング部分28内で動かなくなることがある。ねじり駆動機構14は、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つと、位相器22のロータ36またはハウジング部分28との間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、内側カムシャフト12a、外側カムシャフト12b、および位相器22のアセンブリ間の垂直度および軸方向心ずれを調整する。ねじり駆動機構14は、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの1つに対する位相器22のロータ36またはハウジング部分28の範囲をもった垂直度と軸の再調整とを可能にし、一方で、ロータ36と内側カムシャフト12aとの間、またはハウジング部分28と外側カムシャフト12bとの間で、いずれかの回転方向にトルクおよび回転動作を伝達する。同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの両方が回転駆動されるときに、位相器22の作動に応じて、内側カムシャフト12aが外側カムシャフト12bに対して自由に回転するのは変わらない。
【0029】
ここで
図9〜13を参照すると、可変カムタイミング(VCT)アセンブリ10の一部が、内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bを有する同心カムシャフト12を含んで示されている。主回転動作は、スプロケットリング52から、外側カムシャフト12bに作動的に連結された環状フランジ16までのアセンブリを介して、同心カムシャフト12に伝達することができる。副回転動作、または位相をずらす、内側カムシャフト12aと外側カムシャフト12bとの間の相対回転動作は、カム位相器または他の機械式アクチュエータ22によってもたらすことができる。カム位相器22は、適切に機能するために、厳密な公差および心合わせを必要とする。同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aと外側カムシャフト12bとの間の心ずれにより、カム位相器22の適切な機能が妨げられるという問題が生じ得る。ねじり駆動機構14は、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12b、ならびにカム位相器22間の心ずれを補償する可撓性シャフト連結器40を含むことができる。環状フランジ16は、外側カムシャフト12bに作動的に連結することができる。可撓性シャフト連結器40は、可撓性シャフト連結器40の本体40aに連結された1つの端部部分18aを有する、相補的な雄−雌型の非円形連結部18によって、内側カムシャフト12aに連結することができる。機械式アクチュエータまたはカム位相器22は、内側カムシャフト12aに作動的に連結することができる。可撓性シャフト連結器40は、可撓性シャフト連結器40の反対側から、可撓性シャフト連結器40の本体40aに連結された1つの端部部分24aを有する、相補的な雄−雌型の非円形連結部24によって、カム位相器22のロータ36に連結することができる。ロータ36は、内側カムシャフト12a上に押し込み、ピン38で固定することができる。ロータ36は、内側プレート32と、ハウジング28と、外側プレート30との間に収容することができる。
【0030】
自動車の内燃機関用の可変カムタイミングアセンブリ10は、内側カムシャフト12aと外側カムシャフト12bとの間の位相をずらす相対回転動作を行うために、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aと外側カムシャフト12bとの間に連結されたカム位相器22を有することができる。ねじり駆動機構14は、回転トルクを伝達するために、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aとの間に連結された可撓性シャフト連結器40を含むことができる。可撓性シャフト連結器40は、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの少なくとも1つとの間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、垂直度および軸ずれの調整を可能にする可撓性本体40aを有することができる。
【0031】
可撓性シャフト連結器40は、トルク伝達ケーブルアセンブリとすることができる。可撓性シャフト連結器40は、ほどけるのを防止するために互いに接合され、一方の端部で内側カムシャフト12aに連結され、他方の端部でカム位相器22に連結された、らせん状に巻いた複数のストランド40bを含むことができる。らせん状に巻いたストランドは、互いに溶接され、一方の端部で内側カムシャフト12aに連結され、反対側の端部でカム位相器22に連結された金属ストランド40bを含むことができる。非円形断面の端部部分18a、24aを有する少なくとも1つの雄−雌型連結部18、24は、内側カムシャフト12aおよびカム位相器22の1つに配置された、対応する相補的な雄−雌型取付具18b、24bへの取り付けのために、可撓性シャフト連結器40に設けることができる。可撓性シャフト連結器40は、内側カムシャフト12aおよび/またはカム位相器22に形成された、対応する相補的雄−雌型取付具18b、24bの相補的な雌または雄の嵌合端部と係合するための雄または雌の嵌合端部部分18a、24aを形成することができると認識されたい。可撓性シャフト連結器40は、巻きケーブル、巻き鋼、巻きプラスチック、およびそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つで構築することができる。少なくとも1つの雄−雌型連結部18、24は、可撓性シャフト連結器40に対して回転不可能に連結することができる。可撓性シャフト連結器40は、外側カムシャフト12b内に少なくとも部分的に収めることができる。
【0032】
自動車の内燃機関の少なくとも1つのポペットタイプの弁を動作させるための可変カムタイミングアセンブリ10は、内側回転カムシャフト12aおよび外側回転カムシャフト12bを含む同心カムシャフト12に回転軸が連結されたロータ36を少なくとも部分的に囲むハウジング28、30、32を有するカム位相器22を含むことができる。ねじり駆動機構14は、回転トルクを伝達するために、カム位相器22のロータ36と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aに連結可能な他方の端部との間に連結可能な一方の端部を有することができる細長い可撓性シャフト連結器40を含むことができる。細長い可撓性シャフト連結器40は、カム位相器22と同心カムシャフト12との間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、垂直度および軸ずれの調整を可能にする可撓性本体40aを有することができる。可撓性シャフト連結器40は、トルク伝達ケーブルアセンブリから形成することができる。細長い可撓性シャフト連結器40の少なくとも1つの端部は、ロータ36および内側カムシャフト12aの少なくとも1つと駆動連結するための非円形の周縁部を有することができる。
【0033】
カム位相器22が同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aと外側カムシャフト12bとの間に連結される、自動車の内燃機関用の可変カムタイミングアセンブリ10を組み立てる方法は、ねじり駆動機構14を連結することを含むことができ、ねじり駆動機構14は、回転トルクを伝達するために、カム位相器22と同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aとの間に可撓性シャフト連結器40を含む。可撓性シャフト連結器40は、カム位相器22と、同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの少なくとも1つとの間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、垂直度および軸ずれの調整を可能にする可撓性本体40aを有することができる。方法はまた、可撓性シャフト連結器40の少なくとも1つの端部を内側カムシャフト12aおよびカム位相器22に取り付けるために、非円形断面の端部部分18a、24aを有する、少なくとも1つの相補的な雄−雌型連結部18、24を形成することを含むことができる。雄−雌型連結部18、24は、一方の端部で内側カムシャフト12aおよび反対側の端部でカム位相器22の少なくとも1つに可撓性シャフト連結器40の1つの端部を取り付けるための、対応する相補的な雄−雌型取付具18b、24bに対して、非円形断面の相補的雄−雌型連結部18、24の少なくとも1つの端部部分18a、24aを連結することで組み立てることができる。可撓性シャフト連結器40は、可撓性シャフト連結器40を画定し、ストランド40bがほどけるのを防止するように、らせん状に巻いたストランド40bを互いに接合することで形成することができる。可撓性シャフト連結器40の少なくとも1つの端部は、内側カムシャフト12aおよびカム位相器22の少なくとも1つに連結することができる。
【0034】
作業時、可撓性シャフト連結器40は、内側カムシャフト12aと位相器22のロータ36との間に配置される。可撓性シャフト連結器40は、ロータ36との連結における内側カムシャフト12aの心ずれを吸収するが、この心ずれが修正されない場合、この心ずれにより、ロータ36が、カム位相器22のハウジング28、30、32内で動かなくなることがある。可撓性シャフト連結器40は、内側カムシャフト12aとロータ36との間の、ねじり方向に剛性の連結を維持しながら、位相器22のロータ36が垂直度および軸ずれを調整するためである。可撓性シャフト連結器40は、内側カムシャフト12aに対するロータ36の範囲をもった垂直度と軸の再調整とを可能にし、一方で、ロータ36と内側カムシャフト12aとの間で、いずれかの回転方向にトルクおよび回転動作を伝達する。同心カムシャフト12の内側カムシャフト12aおよび外側カムシャフト12bの両方が、スプロケットリング52および環状フランジ16のアセンブリにより回転駆動されるときに、位相器22の作動に応じて、内側カムシャフト12aが外側カムシャフト12bに対して自由に回転するのは変わらない。
【0035】
本発明が、現時点で最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されたが、当然ながら、本発明は、開示した実施形態に限定されるのではなく、逆に、添付の請求項の趣旨および範囲内に包含される様々な修正形態および均等の装置を含むことを意図され、請求項の範囲は、法の下で許される限り、そのような修正形態および均等構造のすべてを包含するように最も広い解釈を付与されるべきである。