【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、この目的は、建設プラント型重車両用のタイヤであって、
‐2つのリムフランジを有するリムに接触するようになった2つのビードと、
‐巻き上げ部を形成するよう各ビード内においてタイヤの内側から外側に向かって実質的に円形の子午線断面のビードワイヤ回りに巻かれている主要部分を備えた少なくとも1つのカーカス補強材層を含むカーカス補強材と、
‐ビードワイヤの外側に向かう半径方向延長部として設けられていて、主要部分と巻き上げ部を軸方向に隔てる充填要素とを有し、
‐巻き上げ部の第1のセグメントと主要部分との間の距離は、ビードワイヤから最小距離まで外側に向かって半径方向に連続的に減少し、
‐巻き上げ部の第1のセグメントの外側に向かう半径方向延長部としての巻き上げ部の第2のセグメントと主要部分との間の距離は、実質的に一定であり且つ巻き上げ部の第1のセグメントと主要部分との間の最小距離に等しいことを特徴とする建設プラント型重車両用タイヤによって達成される。
【0017】
本発明によれば、巻き上げ部の第1のセグメントの外側に向かう半径方向延長部としての巻き上げ部の第2のセグメントと主要部分との間の距離は、実質的に一定であり且つ巻き上げ部の第1のセグメントと主要部分との間の最小距離に等しいことが有利である。
【0018】
巻き上げ部の第1のセグメントは、ビードワイヤから半径方向外方に延びている。巻き上げ部の第1のセグメントと主要部分との間の距離は、ビードワイヤの直径から最小値まで連続的に減少している。
【0019】
巻き上げ部の第2のセグメントは、巻き上げ部の第1のセグメントの連続部として半径方向外方に延びている。巻き上げ部の第2のセグメント上の任意の箇所と主要部分との間の主要部分に垂直に測定した距離は、実質的に一定であり且つ巻き上げ部の第1のセグメントの半径方向最も外側の箇所のところで達する最小距離に等しく、即ち、この距離は、実質的に、最小距離の0.9倍〜1.1倍であるのが良い。
【0020】
巻き上げ部の第2のセグメントは、実質的に、タイヤを駆動したときにリムフランジに巻き付き、より具体的に言えば、リムフランジの実質的に円形の且つ半径方向外側のセグメントに巻き付くビードのセグメントに相当する。曲げの際にビームのように挙動するビードのこのセグメントでは、ビームの外側の軸線になぞらえることができる。主要部分は、伸長状態にあり、これに対し、ビームの内側の軸線になぞらえることができる巻き上げ部は、圧縮状態にある。巻き上げ部と主要部分との間の距離を減少させることは、ビームの外側の軸線と内側の軸線との間の距離を減少させることに等しく、これにより、内側の軸線、即ち巻き上げ部が圧縮下に置かれる程度を減少させることができる。
【0021】
また、巻き上げ部の第2のセグメントと主要部分との間の実質的に一定の距離は、ビードワイヤの実質的に円形の子午線断面の直径を4で除算した値以下であり、好ましくは、ビードワイヤの実質的に円形の子午線断面の直径を6で除算した値以下であることが有利である。
【0022】
ビードワイヤの実質的に円形の子午線断面の直径は、ビードワイヤの子午線断面に外接する円の直径であり、このビードワイヤは、通常、ポリマー材料で作られる場合が多い被覆要素によって包囲された円周方向金属製補強要素から成る。
【0023】
巻き上げ部の第2のセグメントと主要部分との間の距離は、巻き上げ部が圧縮を受ける程度を相当減少させるため、即ち、ほぼゼロの圧縮度又はそれどころか伸長を達成するために十分に短いことが必要であり、即ち、巻き上げ部の第2のセグメントと主要部分の結合度は、十分に高いことが必要である。
【0024】
さらに、巻き上げ部の第2のセグメントの半径方向最も内側の箇所とリムの公称直径のところに半径方向に位置した軸方向直線との間の半径方向距離は、リムフランジの半径方向高さ以上であることが有利である。
【0025】
また、巻き上げ部の第2のセグメントの半径方向最も内側の箇所とリムの公称直径のところに半径方向に位置した軸方向直線との間の半径方向距離は、リムフランジの半径方向高さの2倍以下であり、好ましくは1.2倍以下であることが有利である。
【0026】
具体的に言えば、重要な一特徴は、リムフランジに対する巻き上げ部の第2のセグメントの半径方向位置である。タイヤに関する通常の規格、例えばETRTO規格によれば、リムは、特に、その公称直径によって特徴付けられ、リムフランジは、その半径方向高さによって特徴付けられる。リムフランジの半径方向高さは、タイヤの回転軸線に平行であり且つリムの公称直径又はリム受座直径を通る軸方向直線とリムフランジの半径方向最も外側の箇所との間で測定される。
【0027】
リムフランジに対する巻き上げ部の第2のセグメントの半径方向位置は、巻き上げ部の第2のセグメントの半径方向最も外側の箇所とリムの公称直径のところに半径方向に位置した軸方向直線との間の半径方向距離によって決まる。リムフランジの半径方向高さに等しい最小値とリムフランジの半径方向高さの2倍、好ましくは1.2倍に等しい最大値との間の半径方向距離範囲は、巻き上げ部の第2のセグメントが、巻き上げ部が圧縮を受ける程度の減少が意図されている曲げ領域に位置決めされるのを保証する。
【0028】
巻き上げ部の第2のセグメントの半径方向最も外側の箇所とリムの公称直径のところに半径方向に位置した軸方向直線との間の半径方向距離と、巻き上げ部の第2のセグメントの半径方向最も内側の箇所とリムの公称直径のところに半径方向に位置した軸方向直線との間の半径方向距離との差は、有利には、リムフランジの半径方向高さ以下である。
【0029】
この特徴は、巻き上げ部の第2のセグメントの半径方向高さの最大値を定め、それにより、巻き上げ部の第2のセグメントを最も高い圧縮応力を受ける巻き上げ部のセグメントに限定することができる。
【0030】
さらに、巻き上げ部の第2のセグメントの半径方向最も外側の箇所は、実質的に、巻き上げ部の変曲点、即ち、巻き上げ部が伸長状態にある外側上の半径方向における巻き上げ部の曲率の方向の反転部に一致している。
【0031】
巻き上げ部の第2のセグメントの半径方向外方の延長部として設けられた巻き上げ部の第3のセグメントと主要部分との間の距離は、有利には、巻き上げ部の第3のセグメント上の箇所のところで最大距離に達する。
【0032】
巻き上げ部の第3のセグメントは、巻き上げ部の第2のセグメントから巻き上げ部の端、即ち巻き上げ部の半径方向最も外側の箇所まで半径方向外方に延びている。したがって、巻き上げ部の第3のセグメントは、リムフランジ上における撓み領域の半径方向外側に位置している。
【0033】
巻き上げ部のこの第3のセグメントでは、巻き上げ部と主要部分との間の距離が巻き上げ部の第2のセグメントと主要部分との間の最小距離に対して増大することが有利である。これは、これにより巻き上げ部の第1のセグメントから第2のセグメントに、次に第3のセグメントに移行する際に曲り部に曲がりくねった初期幾何学的形状が与えられるからである。インフレーション時、この曲がりくねった初期幾何学的形状は、巻き上げ部のより真っ直ぐに変形した幾何学的形状に向かって漸変し、これは、巻き上げ部中への張力の導入に寄与する。かくして、インフレーション時に巻き上げ部に張力がこのようにあらかじめ加えられることにより、ビードが運転条件下においてリムフランジ上で撓むときに巻き上げ部が圧縮を受けるようになるのを回避することができる。
【0034】
また、巻き上げ部の第3のセグメントの距離のこの増大により、巻き上げ部のこのセグメント中における巻き上げ部と主要部分との結合度を減少させることができる。これは、亀裂に特に敏感な領域である巻き上げ部の端の近くのこの領域における充填要素内の剪断力の減少に寄与する。
【0035】
好ましい一実施形態によれば、巻き上げ部の第3のセグメントと主要部分との間の最大距離は、巻き上げ部の第2のセグメントと主要部分との間の距離の1.2倍以上であり、好ましくは2倍以上である。
【0036】
巻き上げ部の第2のセグメントから第3のセグメントに進むときの巻き上げ部から主要部分への距離の著しい増大は、巻き上げ部に関する曲がりくねった初期幾何学的形状が、巻き上げ部が交通状況下において巻き上げ部が圧縮状態になるのを回避するのに十分な予荷重としての張力下に巻き上げ部を置くことができるほど十分明確であるようにするために、事実上必要である。
【0037】
特定の一実施形態によれば、巻き上げ部の第3のセグメントと主要部分との間の最大距離に達する巻き上げ部の第3のセグメントの箇所は、巻き上げ部の半径方向最も外側の箇所Eである。
【0038】
この特定の場合、最大結合解除は、巻き上げ部の端のところで達成される。具体的に言えば、この形態により、巻き上げ部の端から充填要素を通って広がる亀裂の恐れを減少させることができる。
【0039】
別の実施形態によれば、カーカス補強材層は、ポリマー被覆材料で被覆された補強要素で構成され、充填要素は、巻き上げ部の第2のセグメントと主要部分との間に軸方向に納められていて、ポリマー充填材料で構成された充填要素セグメントを有する場合、巻き上げ部の第2のセグメントと主要部分との間に軸方向に納められた充填要素セグメントのポリマー充填材料は、カーカス補強材層のポリマー被覆材料と同種であることが有利である。
【0040】
巻き上げ部の第2のセグメントでは、充填要素の厚さが減少し、このことは、一方において、充填要素中の剪断力の増大を意味し、他方において、充填要素を構成するポリマー充填材料の熱の放散量の減少を意味している。本発明者は、巻き上げ部と主要部分との間の強力な結合度のこの領域中に、剛性であり且つ良好な熱の放散体であるポリマー充填材料を用いることが有利であると考えた。カーカス補強材層の補強要素を被覆するポリマー被覆材料は、通常、剛性であり且つ熱の良好な放散体なので、ポリマー被覆材料を巻き上げ部の第2のセグメントにおいて充填要素のために用いることができる。さらに、カーカス補強材層及び充填要素を同種のポリマー材料で構成することにより、巻き上げ部と充填要素との間及び充填要素と主要部分との間のそれぞれのインターフェースのところでの不連続性という特異点の発生が回避され、かくして、この領域における亀裂発生の恐れが減少する。
【0041】
巻き上げ部の半径方向最も外側の箇所とリムの公称直径のところに半径方向に位置した軸方向直線との間の半径方向距離は、主要部分の軸方向最も外側の箇所とリムの公称直径のところに半径方向に位置した軸方向直線との間の半径方向距離の0.8倍以上であることが有利である。
【0042】
換言すると、巻き上げ部の端の半径方向位置は、主要部分の軸方向最も外側の箇所の半径方向位置の近くにあり、主要部分の接線が半径方向であるこの箇所は、サイドウォールのところのタイヤの幅を定める。この半径方向位置は、長い巻き上げ部の特徴である。
【0043】
長い巻き上げ部は、インフレーション時のカーカス補強材層中の引っ張り力に対する反作用に寄与する。ただし、ビードワイヤの捩り剛性が十分に低いことを条件とする。
【0044】
巻き上げ部の端がカーカス補強材の軸方向最も外側の箇所の半径方向内側に位置しているか半径方向外側に位置しているかどうかに応じて、サイドウォールが駆動条件下において撓むときに、巻き上げ部の端は、外側に向かって半径方向に引っ張られて張力下に置かれるか、或いは、半径方向内方に押されて圧縮下に置かれるかのいずれかであると言える。したがって、巻き上げ部の端の半径方向位置は、巻き上げ部が圧縮下に配置されるかどうかを定める。
【0045】
最後に、有利な一実施形態によれば、ビードワイヤのポリマー被覆要素の最小厚さは、ビードワイヤの円周方向補強要素の子午線断面の直径の0.04倍以上である。
【0046】
ビードワイヤの円周方向補強要素の子午線断面の直径は、ビードワイヤの円周方向補強要素の子午線断面に外接する円の直径である。ビードワイヤのポリマー被覆要素の最小厚さは、ビードワイヤの実質的に円形の子午線断面の直径とビードワイヤの円周方向補強要素の子午線断面の直径との間の距離の半分に等しい。
【0047】
ビードワイヤのポリマー被覆要素の厚さが最小限に抑えられているというこの特性は、捩り剛性が極めて高い先行技術のビードワイヤと比較して、ビードワイヤの捩りにより軟化又は捩り剛性の減少を強化する。先行技術のビードワイヤの円周方向補強要素は、例えば、ポリマー材料で被覆された個々の金属製ワイヤーの層を円周方向に巻いたもので構成されている。円周方向補強要素周りへのポリマー被覆要素の導入により、円周方向補強要素の半径方向内側部分とカーカス補強材層との間のインターフェース領域中におけるビードワイヤの円周方向補強要素とカーカス補強材層との結合解除が可能である。
【0048】
インフレーション時、カーカス補強材に及ぼされる張力の影響を受けて、巻き上げ部を形成するようカーカス補強材層を巻き付けたビードワイヤは、主要部分及びプーリに掛かる細線のストランドになぞらえることができる巻き上げ部の作用下で捩りモーメントを受けるプーリのように挙動する。プーリが十分に軟らかい場合、即ち、その捩り剛性が十分に低い場合、インフレーション時におけるビードワイヤの回転は、巻き上げ部への張力の印加に寄与するであろう。
【0049】
この特定の場合、ビードワイヤの軟化は、先行技術のビードワイヤと比較して、ビードワイヤのポリマー被覆要素の厚さを増大させることによって達成される。
【0050】
また、ポリマー被覆要素の厚さが所与の場合、10%の伸び率における弾性率がそれほど高くないことを特徴とする剛性の低いポリマー被覆材料を選択することが計画できる。
【0051】
最後に、円周方向補強要素が設計によって軟らかいビードワイヤ、例えば金属コードの一まとまりから成る編組型と呼ばれているビードワイヤを選択することが計画できる。
【0052】
本発明の特徴は、添付の
図1の説明の助けにより良好に理解される。