(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178791
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】ロボット移送装置の時間最適軌道
(51)【国際特許分類】
B25J 9/10 20060101AFI20170731BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
B25J9/10 A
H01L21/68 A
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-528572(P2014-528572)
(86)(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公表番号】特表2014-526980(P2014-526980A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】US2012052977
(87)【国際公開番号】WO2013033289
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年8月3日
(31)【優先権主張番号】61/530,651
(32)【優先日】2011年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505047094
【氏名又は名称】ブルックス オートメーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100098464
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 洌
(74)【代理人】
【識別番号】100149630
【弁理士】
【氏名又は名称】藤森 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100184826
【弁理士】
【氏名又は名称】奥出 進也
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナサミィ、ジャヤラマン
(72)【発明者】
【氏名】ホセク、マーティン
【審査官】
臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−277160(JP,A)
【文献】
特表平11−503369(JP,A)
【文献】
特開昭63−253408(JP,A)
【文献】
特開平08−339222(JP,A)
【文献】
特開平09−265311(JP,A)
【文献】
米国特許第05655060(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0037021(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0305753(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/10− 9/16
H01L 21/677
G05B 13/00
G06F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの経路セグメントを備えた搬送経路を有するロボットマニピュレータの時間最適軌道の生成方法であって、
前記少なくとも1つの経路セグメントの始点から前記少なくとも1つの経路セグメントの終点の方に向かって、前記少なくとも1つの経路セグメントに沿って、前記ロボットマニピュレータの時間最適前方軌道を生成することと、
前記少なくとも1つの経路セグメントの終点から前記少なくとも1つの経路セグメントの始点の方に向かって、前記少なくとも1つの経路セグメントに沿って、前記ロボットマニピュレータの時間最適後方軌道を生成することと、
完全な時間最適軌道を得るために時間最適前方軌道と時間最適後方軌道を結合させることとを備え、
前記少なくとも1つの経路セグメント、前記少なくとも1つの経路セグメントの終点および前記少なくとも1つの経路セグメントの始点がすべて、前記時間最適前方軌道の生成および前記時間最適後方軌道の生成に共通であり、
前記少なくとも1つの経路セグメントの前方軌道および後方軌道は、位置・速度基準座標系において前記時間最適前方軌道と前記時間最適後方軌道を、前記時間最適前方軌道と前記時間最適後方軌道との間に実質的に不連続を有さずに接続する平滑化ブリッジとともに一体化され、
前記完全な時間最適軌道が、実質的に前記搬送経路から独立している、時間最適軌道の生成方法。
【請求項2】
前記完全な時間最適軌道が、パラメーター化されていない請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記時間最適前方軌道および前記時間最適後方軌道のうち少なくとも1つは、前記ロボットマニピュレータの最大モータトルクによって画定される請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記平滑化ブリッジは、前記平滑化ブリッジのそれぞれの終点において、前記時間最適前方軌道および前記時間最適後方軌道のそれぞれに接続され、前記平滑化ブリッジのそれぞれの終点は、前記位置・速度基準座標系における前記それぞれの終点において、前記時間最適前方軌道および前記時間最適後方軌道のそれぞれに接する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記平滑化ブリッジにおける全ての点において、前記平滑化ブリッジの軌道の特徴は、前記それぞれの終点からそれぞれ前方および後方に伸長する前記前方軌道および前記後方軌道の対応する特徴と同等かまたは下回る請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記搬送経路に沿った加速は、前記時間最適前方軌道、前記時間最適後方軌道および前記平滑化ブリッジで、ならびにそれらの間で実質的に連続的である請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記平滑化ブリッジは、前記前方軌道と前記後方軌道との間に曲線をあてはめる数値解である請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記平滑化ブリッジは、二次ベジエ曲線、三次ベジエ曲線または三次スプラインを備える請求項7記載の方法。
【請求項9】
それぞれの平滑化ブリッジを含むそれぞれの完全な時間最適軌道は、前記少なくとも1つの経路セグメントのそれぞれに対して生成される請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの経路セグメントの隣接セグメントの終点を平滑化ブリッジとともに一体化することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの経路セグメントを有する搬送経路に沿って移動する基板ホルダーを含むロボットマニピュレータと、
前記ロボットマニピュレータに接続された制御装置とを備える基板処理ツールであって、
前記制御装置は、
前記少なくとも1つの経路セグメントの始点から前記少なくとも1つの経路セグメントの終点の方に向かって、前記少なくとも1つの経路セグメントに沿って、前記ロボットマニピュレータの時間最適前方軌道を生成し、
前記少なくとも1つの経路セグメントの前記終点から前記少なくとも1つの経路セグメントの前記始点の方に向かって、前記少なくとも1つの経路セグメントに沿って、前記ロボットマニピュレータの時間最適後方軌道を生成し、
完全な時間最適軌道を得るために前記時間最適前方軌道および前記時間最適後方軌道を結合させるように構成され、
前記少なくとも1つの経路セグメント、前記少なくとも1つの経路セグメントの終点および前記少なくとも1つの経路セグメントの始点が、前記時間最適前方軌道の生成および前記時間最適後方軌道の生成に共通であり、
前記少なくとも1つの経路セグメントの前記時間最適前方軌道および前記時間最適後方軌道は、位置・速度基準座標系において前記時間最適前方軌道および前記時間最適後方軌道を、前記時間最適前方軌道と前記時間最適後方軌道との間に実質的に不連続を有さずに接続する平滑化ブリッジによって互いに一体化され、
前記完全な時間最適軌道が、実質的に前記搬送経路から独立している、基板処理ツール。
【請求項12】
前記完全な時間最適軌道は、パラメーター化されていない請求項11記載の基板処理ツール。
【請求項13】
前記時間最適前方軌道および前記時間最適後方軌道のうち少なくとも1つは、前記ロボットマニピュレータの最大モータトルクによって画定される請求項11記載の基板処理ツール。
【請求項14】
前記制御装置はさらに、前記平滑化ブリッジを、前記平滑化ブリッジのそれぞれの終点において、前記時間最適前方軌道および前記時間最適後方軌道のそれぞれに接続するように構成され、前記平滑化ブリッジのそれぞれの終点は、前記位置・速度基準座標系における前記それぞれの終点において、前記時間最適前方軌道および前記時間最適後方軌道のそれぞれに接する請求項11記載の基板処理ツール。
【請求項15】
前記平滑化ブリッジにおける全ての点において、前記平滑化ブリッジの軌道の特徴は、前記それぞれの終点からそれぞれ前方および後方に伸長する前方軌道および後方軌道の対応する特徴と同等かまたは下回る請求項14記載の基板処理ツール。
【請求項16】
前記搬送経路に沿った加速は、前記時間最適前方軌道、前記時間最適後方軌道および前記平滑化ブリッジで、ならびにそれらの間で実質的に連続的である請求項11記載の基板処理ツール。
【請求項17】
前記平滑化ブリッジは、二次ベジエ曲線、三次ベジエ曲線または三次スプラインを備える請求項11記載の基板処理ツール。
【請求項18】
前記制御装置はさらに、それぞれの平滑化ブリッジを含むそれぞれの完全な時間最適軌道を、前記少なくとも1つの経路セグメントのそれぞれに対して生成するように構成される請求項11記載の基板処理ツール。
【請求項19】
前記制御装置はさらに、前記少なくとも1つの経路セグメントの隣接セグメントの終点を平滑化ブリッジとともに一体化するように構成される請求項11記載の基板処理ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、概してロボットマニピュレータに関し、より詳細にはロボットマニピュレータの滑らかな時間最適軌道を生成する方法および手段に関する。
【背景技術】
【0002】
軌道生成は通常、ロボットマニピュレータによって保持された基板を、ある場所から別の場所へ移送する時に用いられる。軽積載量を運搬するためのロボットシステムは、必要なトルク余裕を提供するために余裕のある設計をすることができるが、ピークトルク要求量の増加は、高積載量または重積載量用のダイレクトドライブ式およびハーモニックドライブ(登録商標)式の両方のロボットマニピュレータの性能、サイズ、コストおよび寿命の要因となる。従来の軌道生成方法は、概してトルク制約を考慮していないか、あるいは滑らかな指令軌道を生成していない。例えば、周知のサーボ制御法は、非特許文献1に見出すことができ、一般に、最大許容速度を超えないでロボットエンドエフェクタの加速と減速との間の切り替え点を定めるように作用する。切り替え点は通常、全ての利用可能なシステム電力を用いている間中常に、最短時間でシステム状態を変えるように作用する。この方法は、バングバング制御と呼ばれることもある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Bobrowら「Time-optimal control of robotic manipulators along specified paths」(International Journal of Robotic Research, Vol. 4, No. 3, 1985)
【発明の概要】
【0004】
時間最適ではあるが、いくつかの実世界への応用は、不定のまたは定量化不可能なシステム共振があるために、この方法の実行可能性を制限し得る。より詳細には、加加速度(時間に対する加速度の変化)における突然の変化が、システムの広範なスペクトル励起として働き、最終の位置で許容できないほど長い整定時間をもたらす。
【0005】
軌道プロファイルまたは加速度、加加速度、加加速度率などの、軌道プロファイルの運動学的特性を制約することによって、Bobrowらなどの、バングバング制御から軌道の不連続を取り除く従来のシステムは、非最適軌道およびそれによる低効率をもたらす。これは特に、大きくて重い積載量を取り扱うように構成されたこれまでのロボットシステムに当てはまる。
【0006】
例えば最大システムトルクおよび最大積載量加速を使用し、滑らかな指令時間最適軌道を提供する軌道生成を提供することは有利となる。
【0007】
本開示の実施形態の前述の態様と他の特徴は、添付の図面に関連付けて以下の記述で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態の態様を組み込んだ処理ツールの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態の態様を組み込んだ別の処理ツールの概略図である。
【
図3A】本開示の実施形態の態様が適用され得る例示的な基板搬送経路である。
【
図3B】本開示の実施形態の態様が適用され得る例示的な基板搬送経路である。
【
図3C】本開示の実施形態の態様が適用され得る例示的な基板搬送経路である。
【
図3D】本開示の実施形態の態様が適用され得る例示的な基板搬送経路である。
【
図4】ロボットアームの従来の軌道の「S字型曲線プロファイル」を示す。
【
図5A】本開示の実施形態の態様による時間最適軌道を示す例示的なグラフである。
【
図5B】本開示の実施形態の態様による時間最適軌道の生成を示すフローチャートである。
【
図5C】本開示の実施形態の態様による時間最適軌道を示す例示的なグラフである。
【
図5D】本開示の実施形態の態様による時間最適軌道を示す例示的なグラフである。
【
図6A】本開示の実施形態の態様によって生成された時間最適軌道におけるモータトルクを示す例示的なグラフである。
【
図6B】本開示の実施形態の態様によって生成された時間最適軌道におけるエンドエフェクタの加速度プロファイルを示す例示的なグラフである。
【
図7A】本開示の実施形態の態様による時間に対する加速度のプロットを示す例示的なグラフである。
【
図7B】本開示の実施形態の態様による時間に対するモータトルクのプロットを示す例示的なグラフである。
【
図7C】本開示の実施形態の態様による時間に対するモータトルクのプロットを示す例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本開示の実施形態の態様を用いることができる例示的な基板処理装置を示す。本開示の実施形態の態様は図面を参照して説明するが、本開示の実施形態は多くの代替形式で実施され得ることを理解すべきである。さらに、要素もしくは材料の任意の適切なサイズ、形状または種類を用いてよい。
【0010】
図1で見られるように、例えば半導体ツールステーション690などの基板処理装置が、本開示の実施形態の態様によって示される。半導体ツールまたは基板処理ツールは図面で示されるが、本明細書に記載の開示された実施形態の態様は、任意のツールステーションまたはロボットマニピュレータを利用する用途に適用することができる。基板処理ツール690は、例えばロードロック610によって隔離される例えば異なる雰囲気(例えば、一方側は不活性ガスで他方側は真空、あるいは一方側は清浄な空気で他方側は真空/不活性ガス)を有する異なるセクションを含むことができる。ある態様において、ツール690はクラスターツールとして示されるが、本開示の実施形態の態様は、例えば
図2に示され、2006年5月26日に出願された「Linearly Distributed Semiconductor Workpiece Processing Tool」と題された米国特許出願第11/442,511号明細書に記載された線形ツールステーションなどの任意の適切なツールステーションに適用してもよく、その開示は、その全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。本開示の実施形態の態様が用いられ得る他の例示的な基板処理ツールは、限定ではないが、2008年5月19日に出願された米国特許出願第12/123,329号明細書、2008年5月19日に出願された米国特許出願第12/123,365号明細書、2008年12月9日に出願された米国特許出願第12/330,780号明細書、2011年1月13日に出願された米国特許出願第13/159,034号明細書、2009年8月17日に出願された米国特許出願第12/542,588号明細書、ならびに米国特許第7,575,406号明細書、第7,959,395号明細書および第7,988,398号明細書を含み、これらの全てはその全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。ツールステーション690は通常、大気フロントエンド600、真空ロードロック610および真空バックエンド620を含んでいる。本開示の実施形態の他の態様において、ツールステーションは、任意の適切な構造を有してもよい。フロントエンド600、ロードロック610およびバックエンド620のそれぞれの構成要素は、例えばクラスタ型アーキテクチャ制御などの任意の適切な制御アーキテクチャの一部であり得る制御装置691に接続されてもよい。その制御システムは、例えば2005年7月11日に出願された「Scalable Motion Control System」と題された米国特許出願第11/178,615号明細書(現在は、米国特許第7,904,182号明細書)に開示されたものなどの主制御装置、クラスタ制御装置および自律遠隔制御装置を有する閉ループ制御装置であってもよく、その開示はその全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。本開示の実施形態の他の態様において、任意の適切な制御装置および/または制御システムが利用されてもよい。制御装置691などの処理ツールの制御装置、または基板処理ツールに接続される任意の他の適切な制御装置は、本明細書に記載されるように、最適軌道を生成するように構成されたプロセッサおよび/またはメモリを含んでいてもよい。ある態様において、制御装置691は、下記でさらに記載がある場合を除いて、ロボット搬送の動作をもたらすために全ての利用可能な電力を用いるように(例えば最大トルク)ロボット搬送を制御する「バングバング」制御装置として知られるもののように構成されてもよい。
【0011】
ある態様において、フロントエンド600は通常、ロードポートモジュール605および例えば装置フロントエンドモジュール(EFEM)などのミニエンバイロメント660を含んでいる。ロードポートモジュール605は、300mmロードポート、前面開口または底面開口のボックス/ポッドおよびカセット用のSEMI規格のE15.1、E47.1、E62、E19.5またはE1.9に準拠するボックス・オープナ/ローダ・ツー・ツール・スタンダード(BOLTS)インターフェースであってもよい。代替的な実施形態において、ロードポートモジュールは、200mmウェハインターフェース、400mmウェハインターフェース、または例えばより大きいもしくはより小さいウェハ、もしくはフラットパネルディスプレイのフラットパネル、LED(発光ダイオード)パネルおよびソーラーパネルなどの任意の他の適切な基板インターフェースとして構成されてもよい。2つのロードポートモジュールは
図1に示されるが、本開示の実施形態の他の態様において、任意の適切な数のロードポートモジュールがフロントエンド600に組み込まれてもよい。ロードポートモジュール605は、架空搬送システム、自動搬送台車、人力搬送台車、有軌道搬送台車、または任意の他の適切な搬送方法から基板キャリアまたはカセット650を受容するように構成されてもよい。ロードポートモジュール605は、ロードポート640を通してミニエンバイロメント660と接続してもよい。ロードポート640は、基板カセット650とミニエンバイロメント660との間で基板の通過を可能にしてもよい。ミニエンバイロメント660は通常、基板をカセット650から例えばロードロック610へ搬送する移送ロボット(図示せず)を含んでいる。ある態様において、移送ロボットは、例えば米国特許第6,002,840号明細書に記載されたような軌道搭載ロボットであってもよく、その開示はその全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。あるいは移送ロボットは、限定されることはないが、ロボットマニピュレータが、1つまたは2つ以上のエンドエフェクタまたは基板ホルダー(例えば、それぞれが、1つまたは2つ以上の基板を保持できてもよい)を有する1つまたは2つ以上のアームを有する、SCARA(選択的柔軟多関節ロボットアーム)ロボット、フロッグレッグロボット、線形スライド式アームロボットおよび4バーリンクロボットを含む任意の他の適切な移送ロボットであってもよい。ロボットの他の適切な例は、2005年6月9日に出願された米国特許出願第11/148,871号明細書、2005年7月11日に出願された米国特許出願第11/179,762号明細書、2008年5月8日に出願された米国特許出願第12/117,415号明細書、2008年5月8日に出願された米国特許出願第12/117,355号明細書、2011年8月26日に出願された米国特許出願第13/219,267号明細書(現在は、米国特許第8,237,391号明細書)、2011年2月18日に出願された米国特許出願第13/030,856号明細書、ならびに米国特許第8,008,884号明細書、第6,547,510号明細書、第5,813,823号明細書、第5,899,658号明細書、第5,720,590号明細書、および第7,891,935号明細書に記載されたものを含み、これらの全てはその全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。ミニエンバイロメント660は、複数のロードポートモジュール間での基板移送のために制御された清浄域を提供してもよい。
【0012】
真空ロードロック610は、ミニエンバイロメント660とバックエンド620との間に配置されてもよく、ミニエンバイロメント660とバックエンド620とに接続されてもよい。ロードロック610の基板保持チャンバは通常、大気スロットバルブと真空スロットバルブを含んでいる。チャンバの各スロットバルブは、スロットバルブの適切なドアによって独立して閉鎖可能であってもよい。スロットバルブは、基板を大気フロントエンド600から搬入した後、ロードロック610を真空にするために使用され、および窒素などの不活性ガスを用いてロードロックを大気にする時、搬送チャンバ625内を真空に維持するために使用される環境分離を提供することができる。ある態様において、ロードロック610はまた、処理のために基板の基準を所望の位置に合わせるアライナ、基板バッファ、または任意の他の適切な処理装置を備えてもよい。本開示の実施形態の他の態様において、真空ロードロックは、処理装置の任意の適切な位置に配置されてもよく、任意の適切な基板処理機器を含む任意の適切な構造を有してもよい。
【0013】
真空バックエンド620は通常、搬送チャンバ625、1つまたは2つ以上の処理ステーション630および移送ロボット(図示せず)を含んでいる。移送ロボットは、ロードロック610と様々な処理ステーション630との間で基板を搬送するために、搬送チャンバ625内に配置されてもよく、ミニエンバイロメント660に関する上述の移動ロボットと実質的に同様であってもよいが、それは真空環境でのロボットの使用を目的とする。処理ステーション630は、基板上に電気回路または他の所望の構造を形成するために、様々な蒸着、エッチング、または他の種類の処理を通して、基板に作用してもよい。典型的な処理は、限定されることはないが、例えば、プラズマエッチングまたは他のエッチング処理などの真空を用いる薄膜処理、化学蒸着(CVD)、プラズマ蒸着(PVD)、イオン注入などの注入処理、計測、急速熱処理(RTP)、乾燥ストリップ原子層堆積(ALD)、酸化/拡散、窒化物の形成、真空リソグラフィー、エピタキシー(EPI)、ワイヤボンダおよび蒸発、または真空圧力を用いる他の薄膜処理を含んでいる。処理ステーション630は、基板を搬送チャンバ625から処理ステーション630へ移せるように、また逆の場合も同様にするために、搬送チャンバ625に接続される。
【0014】
ここで
図2を参照すると、異なるセクションを有する別の例示的な基板処理ツール710が示されている。この態様において、処理ツールは線形処理ツールであり、ツールインターフェースセクション712は通常、搬送チャンバ718Tの長手軸Xの方へ向いている(例えば内側に)が、搬送チャンバ718Tの長手軸Xからオフセットされるように搬送チャンバモジュール718に装着される。すでに本明細書で参照によって組み込まれている、米国特許出願第11/442,511号明細書に記載されているように、搬送チャンバ718Tの長さを伸ばすために、搬送チャンバモジュール718は、他の搬送チャンバモジュール718A、718I、718Jを接続部750、760、770に接続することによって、任意の適切な方向に伸ばしてもよい。接続部750、760、770は、処理ツール690に関する上述のロードロックと実質的に同様であってもよい。各搬送チャンバモジュール718、718A、718I、718Jは、基板を処理システム710中で搬送し、例えば処理モジュールPMの中へ、および処理モジュールPMの外へ搬送するための適切な基板搬送部780を含んでいる。ある態様において、搬送部780は、上述のものと実質的に同様であってもよい。理解されるように、各チャンバモジュールは、隔離された雰囲気または制御された雰囲気(例えば窒素、清浄な空気、真空)を保持可能であってもよい。他の態様において、搬送チャンバモジュール718、718A、718I、718Jは、本明細書に記載されたようにロードロック610の特徴を含んでいてもよい。
【0015】
ここで
図3A〜3Dを参照すると、ロボット搬送部のエンドエフェクタ上の基板の例示的な搬送経路が、本開示の実施形態の態様によって示されている。理解されるように、これらの搬送経路は、例えば上述のロボット搬送部などの任意の適切なロボット搬送部用のものであってもよい。また理解されるように、時間最適軌道は、これらの例示的な搬送経路のそれぞれに対して本開示の実施形態の態様によって生成されてもよい。本明細書で用いられ、図面で示される用語「経路」とは、基板保持位置間の三次元空間を通した、基板の物理的な搬送経路を指すことに留意する。この経路は、経路を形成するために互いに連結される1つまたは2つ以上のセグメントを含んでいてもよいことに留意する。経路の用語「軌道」とは、例えば加速度、速度などの、搬送経路に沿って動く基板搬送部または少なくともその一部(例えば、エンドエフェクタ、アームリンク、駆動モータなど)の運動学的特性を含んでいる。
【0016】
図3Aで見られるように、1つの適切な基板搬送経路300は、例えば基板がセグメント300A、300Bによって形成される直線的経路に沿って移動するように各セグメントが実質的に直線である2つのセグメント300Aおよび300Bを有する直線的な搬送経路であってもよい。
図3Bに示される別の適切な搬送経路310は、基板がセグメント310Aと310Bとの間で移行するために実質的に滑らかな曲線をたどるように、セグメント310Aと310Bとの間で基板の動きが一体化された曲線状の、または非線形の、経路の少なくとも一部を有してもよい。
図3Cおよび3Dは、任意の適切な数の直線状の搬送セグメントおよび/または一体化されたもしくは一体化されていない曲線状の(すなわち非線形)搬送セグメントを含み得る複合経路320、330を示している。例えば、
図3Cは、セグメント320Aと320Bが点13で交わり、セグメント320Bと320Cが点23で交わる、3つのセグメントを有する搬送経路320を示している。
図3Dは、点15および25でそれぞれ接続される3つのセグメント330A、330B、330Cを有する経路330を示している。しかしながら、
図3Dにおいては、セグメント330Aと330Bとの間の移行部、およびセグメント330Bと330Cとの間の移行部は、任意の適切な滑らかな移行曲線によって一体化されている。理解されるように、他の態様において、搬送経路は、任意の適切な基板保持ステーション(例えば、初期/始点および最終/終点)間で基板を搬送するための任意の適切な形状の経路を形成する1つまたは2つ以上のセグメントを含む任意の適切な搬送経路であってもよい。経路は任意の適切な形状を有し、経路に沿った軌道(例えば運動学的特性)は、経路に対して線形の基準座標系において確立されてもよい。また理解されるように、搬送経路は、経路の始点と終点との間に最適な経路を形成するために結合されたおよび/または一体化された、任意の適切な数の経路セグメントを含む二次元または三次元搬送経路であってもよい。
【0017】
上述のように、制御装置691などの任意の適切な制御装置は、ロボットの搬送駆動部の最大出力を用いて、エンドエフェクタなどのロボット搬送部の少なくとも一部の時間最適動作を生成するためのバングバング制御装置として構成されてもよい。本開示の実施形態の態様は、例えば高積載量の適用または任意の他の適切な積載量の適用などについて、モータトルク(例えば最大トルク/ピークトルク)および/または基板加速度の制約を有する、他のパラメーター化されていない基板搬送軌道の生成を可能にすることに留意する。生成された軌道に関して本明細書で用いられる用語である、パラメーター化されていないとは、軌道が、軌道の曲線または形状に関して(時間に関して、または位置・速度基準座標系もしくは位置・速度空間において)、制約を受けておらず、それによって時間最適軌道の形状は、ロボットマニピュレータの利用可能な最大モータトルク(例えばモータメーカーによって規定された最大トルク)、最大基板加速度限界(例えば、ロボットマニピュレータの基板ホルダー上で基板が滑り落ち始める点)、および/または最大速度限界の前述された制約内で実現されることを意味している。本開示の実施形態の態様によれば、最適(最短)移動時間(例えば始点と終点の間の基板搬送時間)が所定の最大駆動トルク制約に対して実現されるように、軌道は経路セグメントのそれぞれに対して生成され得る。さらにモータ、ハーモニックギアボックスなどの駆動コンポーネントのピークトルク要求量は、(より短い移動時間で、またはより短い移動時間ではなくても)低減することができ、ロボット搬送に関連するコストの削減、ロボット搬送のサイズの低減、および/またはロボット搬送の耐用期間の向上につながる。本開示の実施形態の態様は、概してトルク制約を考慮していない、または概して滑らかな指令軌道を生成していない、既存の軌道生成方法の欠陥に取り組んでいる。生成された軌道に関して本明細書で用いられる用語「滑らかさ」とは、徐々に継続的に加速することを指す。加速の不連続は通常、実用的には実現可能ではなく、例えばロボット搬送アームの固有振動モードの励振だけでなく、重大なトラッキングエラーという望ましくない結果につながる。
【0018】
本開示の実施形態のある態様において、
図5Aを参照すると、例えば最大の利用可能なトルクを用いて、システム状態を最短時間で変化させるように作用する時間最適軌道(最適トルク軌道とも称することができる)は、基板搬送経路の各セグメント(例えば
図3Cおよび3Dで示されるように、搬送経路は一組より多くのセグメントを有してもよい)に対して生成することができ、時間最適軌道は、始点(例えば位置・速度基準座標系において)から時間最適前方軌道550の少なくとも一部を生成し(
図5B、ブロック500)、終点(例えば位置・速度基準座標系において)から時間最適後方軌道560の少なくとも一部を生成し(
図5B、ブロック510)、完全な時間最適軌道を生成するために前方軌道と後方軌道を結合する(
図5B、ブロック520)ことによって得ることができる。時間最適前方軌道および時間最適後方軌道の部分は、任意の適切な順序で、また必ずしも上述の順序ではなく、生成され得ることに留意する。また、時間最適前方軌道および時間最適後方軌道は、例えば本明細書に記載された、モータトルク、基板の加速度および/または速度の制約に基づいた任意の適切な最適軌道であってもよいことに留意する。ある態様において、それぞれの始点と終点との間の時間最適前方軌道および時間最適後方軌道の一部と軌道の頂点のみを生成してもよく、また一方で他の態様において、完全な時間最適前方軌道および時間最適後方軌道を生成してもよい。本開示の実施形態の態様は、平滑化「ブリッジ」セグメント570が、前方軌道上の点と後方軌道上の点をつなぐように、前方軌道と後方軌道の結合を提供する。このブリッジセグメント570の継続時間は、ブリッジセグメントが終点で加速の継続条件を満たすように、位置に対する速度の逆数の積分によってなど任意の適切な方法で得ることができる。ある態様において、平滑化ブリッジ570は、前方軌道550と後方軌道560との間で不連続を実質的になくす数学的な一体化アルゴリズムである。ある態様において、平滑化ブリッジ570は、位置・速度基準座標系における二次ベジエ曲線であってもよいが、他の態様において、平滑化ブリッジ570は、任意の適切な曲線または例えば三次ベジエ曲線または三次スプラインなどの丸め手法であってもよいことを理解すべきである。例えばベジエ曲線などの平滑化曲線570は、前方軌道と後方軌道との間で数値解を通してフィット/スプラインされるアルゴリズムであってもよい。
【0019】
図4を参照すると、基板移送時間を最小化するための「台形速度プロファイル」および「S字型曲線プロファイル」の図が示されている。これらのプロットは、ロボットアーム駆動モータにおける指令速度についての時間に対する速度の曲線を示している。しかしながら、台形速度プロファイルとS字型曲線プロファイルは、本開示の実施形態の態様によって生成された軌道と比較すると時間最適ではない。
図4で見られるように、軌道を生成する時に最大利用可能電力が使用されないように速度(したがって加速度)が一定である、S字型曲線および台形曲線の部分がある。
【0020】
図5Aを再度参照すると、本開示の実施形態の態様によって生成された軌道の例示的な図が示されている。非限定的な例示目的のみで、動作プロファイルが、SCARAアームロボットマニピュレータの径方向の伸長動作に関して生成される。この実施例において、再度、非限定的な例示目的のみで、軌道は、ほぼ5Nmの最大Rモータ(例えば径方向伸長モータ)トルク限界およびほぼ0.3gの最大基板加速度限界によって制約される。ロボットアームの径方向のほぼ400mmの伸長が、
図5Aで考慮されている。
【0021】
図5Aは、例えば位置・速度基準座標系における
図7A〜7C(後述される)の最適軌道を示している。
図5Aで見られるように、前方軌道セグメント550、後方軌道セグメント560およびブリッジングセグメント570が示されている。ある態様において、前方および後方軌道セグメント550、560との接触点または接続点10、20のそれぞれにおいて、ブリッジングセグメント570は、前方軌道セグメント550と後方軌道セグメント560のそれぞれと実質的に同じ接線と振幅を有している。上述のように、ある態様において、ブリッジングセグメントまたはブリッジセグメント570は、二次ベジエ曲線として確定されてもよく(しかし、他の態様において、ブリッジセグメントは、例えば三次ベジエ曲線などの任意の適切な曲線によって任意の適切な方法で画定されてもよい)、位置pおよび速度vは、点10、20およびaにおける位置と速度に関して画定され、aは、点10および20における前方軌道550および後方軌道560の接線の交点として確定される。ある態様において、位置pおよび速度vは以下のように画定されてもよい。
【0024】
ここで、パラメーターτは0から1まで変化する。時間の経過は、パラメーターτの関数として以下のように得ることができる。
【0026】
ブリッジセグメントにおける全ての点での軌道曲線の特徴(例えば速度、速度変化、および速度変化率)が、対応する点10、20からそれぞれ前方におよび後方に伸長する前方セグメントと後方セグメントの対応する特徴と同等か、それを下回るように、点10および20が選択されることに留意する(例えば
図5Aを見ると、ブリッジセグメントは、点aで交わる前方軌道および後方軌道のそれぞれの伸長部より下にあり、傾斜と傾斜変化などのブリッジセグメントの関連する特徴が、対応する点10、20におけるそれぞれの伸長部の比較可能な特徴を下回る)。ブリッジセグメントを形成する曲線は、始点および終点を変えないで上記の速度条件を満足させる任意の適切な数の自由度を与えてもよい。本開示の実施形態の態様は、基板ホルダーの線形径方向動作に関して示される一方で、本開示の実施形態の態様は、非線形経路に沿った動作にも拡張可能なことを理解すべきであることに再度留意する。また本開示の実施形態の態様は、所定の軌道において平滑化される必要のある複数のコーナーポイントにも適用されてもよい。例えば
図5Cを参照すると、(例えば前方軌道または後方軌道のいずれかとして生成されてもよい)軌道曲線573の中央領域で、例えば軌道のこの領域における速度の制約によって速度が減少する時間最適軌道が示されている。この態様において、本開示の実施形態の態様によって平滑化される2つの点a、bがある。ここで前方軌道551は、上述の方法と実質的に同様の方法で、それぞれの始点から生成される。また後方軌道563は、上述の方法と実質的に同様の方法で、それぞれの終点から生成される。また、軌道曲線573は、凹形の形状または傾斜を有するように示されるが、他の態様において、軌道は、凸形の傾斜を有してもよく、または
図5Dに示されるように、軌道曲線573’の軌道551、563と交わる部分は凸形の傾斜を有し、軌道曲線573’の中央部分は凹形の傾斜を有するように凸形および凹形の傾斜の結合を有してもよい(軌道573’を参照)。点aおよびbは、ブリッジセグメントの全ての点で、ブリッジセグメント571、572に対応する軌道曲線の特徴(例えば、速度、速度変化および速度変化率)が、対応する点10、20、30、40からそれぞれ前方におよび後方に伸長する前方セグメントおよび後方セグメントの対応する特徴と同等かまたは下回るように、上述の方法と実質的に同様の方法でブリッジされる(例えば、
図5Cおよび5Dを見ると、ブリッジセグメントは、点aおよび点bで交わる前方軌道および後方軌道のそれぞれの伸長部を下回り、傾斜および傾斜変化などのブリッジセグメントの関連する特徴は、対応する点10、20、30、40におけるそれぞれの伸長部の比較可能な特徴を下回る)。
【0027】
図6Aは、ブリッジセグメントがある場合とない場合の最適軌道におけるモータトルクの比較を示す例示的なグラフである。
図6Bは、ブリッジセグメントがある場合とない場合の軌道内の基板ホルダーの加速度プロファイルの比較を示す例示的なグラフである。
【0028】
ここで
図7A〜7Cを参照すると、
図7Aは、本開示の実施形態の態様による時間最適軌道を用いて、基板の加速度プロファイルと、基板ホルダーがロボットマニピュレータのアーム(SCARA型ロボットアームに接続された基板ホルダーを示す
図2を参照)に接続された場合のエンドエフェクタまたは基板ホルダーの動作用に生成される標準のS字型曲線軌道(
図4も参照)とを比較する。2つの軌道(例えば時間最適軌道およびS字型曲線軌道)のモータトルクは、
図7Bに示されている。
図7Aおよび7Bで見られるように、時間最適軌道は、時間最適軌道の移動時間が、標準のS字型曲線軌道の移動時間よりほぼ25パーセント少なくなるように、利用可能モータトルクを最適に利用する。そのようなものとして、
図7Aおよび7Bに示される軌道は、最適トルクを含む時間最適軌道と考えてもよい。
図7Cは、移動時間が実質的に同じになるようにそれぞれの軌道が生成された、時間最適軌道と標準のS字型曲線軌道を比較する。
図7Cで見られるように、実質的に同じ移動時間にするために、時間最適軌道は、基板ホルダーの動作用に生成される標準のS字型曲線軌道よりも約50パーセント少ないトルクを必要とする。
【0029】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、時間最適軌道の生成方法は、少なくとも1つの経路セグメントを備えた搬送経路を有するロボットマニピュレータに提供される。この方法は、少なくとも1つの経路セグメントの始点から少なくとも1つの経路セグメントの終点の方に向かって、少なくとも1つの経路セグメントに沿って、マニピュレータの前方時間最適軌道を生成することと、少なくとも1つの経路セグメントの終点から少なくとも1つの経路セグメントの始点の方に向かって、少なくとも1つの経路セグメントに沿って、マニピュレータの後方時間最適軌道を生成することと、完全な時間最適軌道を得るために時間最適前方軌道と時間最適後方軌道を結合させることとを備え、少なくとも1つの経路セグメントの前方軌道および後方軌道は、位置・速度基準座標系において時間最適前方軌道と時間最適後方軌道を、時間最適前方軌道と時間最適後方軌道との間に実質的に不連続を有さずに接続する平滑化ブリッジとともに一体化される。
【0030】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、完全な時間最適軌道は、パラメーター化されていない。
【0031】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、時間最適前方軌道および時間最適後方軌道のうち少なくとも1つは、ロボットマニピュレータの最大モータトルクによって画定される。
【0032】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、平滑化ブリッジは、平滑化ブリッジのそれぞれの終点において、時間最適前方軌道および時間最適後方軌道のそれぞれに接続され、平滑化ブリッジのそれぞれの終点は、位置・速度基準座標系におけるそれぞれの終点において、時間最適前方軌道および時間最適後方軌道のそれぞれに接する。1つまたは2つ以上の態様によれば、平滑化ブリッジにおける全ての点において、平滑化ブリッジの軌道の特徴は、それぞれの終点からそれぞれ前方および後方に伸長する前方軌道および後方軌道の対応する特徴と同等かまたは下回る。
【0033】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、完全な時間最適軌道は、搬送経路から実質的に独立している。
【0034】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、搬送経路に沿った加速は、時間最適前方軌道、時間最適後方軌道および平滑化ブリッジで、およびそれらの間で実質的に連続的である。
【0035】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、平滑化ブリッジは、前方軌道と後方軌道との間に曲線をあてはめる数値解である。ある態様において、平滑化ブリッジは、二次ベジエ曲線、三次ベジエ曲線または三次スプラインを備える。
【0036】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、それぞれの平滑化ブリッジを含むそれぞれの完全な時間最適軌道は、少なくとも1つの経路セグメントのそれぞれに対して生成される。
【0037】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、本方法はさらに、少なくとも1つの経路セグメントの隣接セグメントの終点を平滑化ブリッジとともに一体化することを含む。
【0038】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、基板処理ツールが提供される。基板処理ツールは、少なくとも1つの経路セグメントを有する搬送経路に沿って移動する基板ホルダーを含むロボットマニピュレータと、ロボットマニピュレータに接続される制御装置とを備える。制御装置は、少なくとも1つの経路セグメントの始点から少なくとも1つの経路セグメントの終点の方に向かって、少なくとも1つの経路セグメントに沿って、ロボットマニピュレータの時間最適前方軌道を生成し、少なくとも1つの経路セグメントの終点から少なくとも1つの経路セグメントの始点の方に向かって、少なくとも1つの経路セグメントに沿って、ロボットマニピュレータの時間最適後方軌道を生成し、完全な時間最適軌道を得るために時間最適前方軌道と時間最適後方軌道を結合させるように構成され、少なくとも1つの経路セグメントの時間最適前方軌道および時間最適後方軌道は、位置・速度基準座標系において時間最適前方軌道と時間最適後方軌道を、時間最適前方軌道と時間最適後方軌道との間に実質的に不連続を有さずに接続する平滑化ブリッジとともに一体化される。
【0039】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、完全な時間最適軌道は、パラメーター化されていない。
【0040】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、時間最適前方軌道および時間最適後方軌道のうち少なくとも1つは、ロボットマニピュレータの最大モータトルクによって画定される。
【0041】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、制御装置は、平滑化ブリッジを、平滑化ブリッジのそれぞれの終点において、時間最適前方軌道および時間最適後方軌道のそれぞれに接続するように構成され、平滑化ブリッジのそれぞれの終点は、位置・速度基準座標系におけるそれぞれの終点において、時間最適前方軌道および時間最適後方軌道のそれぞれに接する。1つまたは2つ以上の態様によれば、平滑化ブリッジにおける全ての点において、平滑化ブリッジの軌道の特徴は、それぞれの終点からそれぞれ前方および後方に伸長する前方軌道および後方軌道の対応する特徴と同等かまたは下回る。
【0042】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、搬送経路に沿った加速は、時間最適前方軌道、時間最適後方軌道および平滑化ブリッジで、およびそれらの間で実質的に連続的である。
【0043】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、平滑化ブリッジは、二次ベジエ曲線、三次ベジエ曲線または三次スプラインを備える。
【0044】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、制御装置は、それぞれの平滑化ブリッジを含む完全な時間最適軌道を少なくとも1つの経路セグメントのそれぞれに対して生成するように構成される。
【0045】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、制御装置はさらに、少なくとも1つの経路セグメントの隣接セグメントの終点を平滑化ブリッジとともに一体化するように構成される。
【0046】
本開示の実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、完全な時間最適軌道は、搬送経路から実質的に独立している。
【0047】
本開示の実施形態の態様は個別に、またはそれらの任意の適切な組み合わせで使用され得ることに留意する。また前述の説明は、本開示の実施形態の態様の単なる例示であるということを理解すべきである。様々な代替および修正が、本開示の実施形態の態様から逸脱することなく当業者によって考案され得る。したがって、本開示の実施形態の態様は、添付の請求項の範囲内にある、全てのこうした代替、修正および変形を含むことを意図している。さらに、異なる特徴が互いに異なる従属項や独立項に挙げられているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせを有利に用いることができないということを示しておらず、こうした組み合わせは本発明の態様の範囲内にある。