特許第6178800号(P6178800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6178800ユーザの行動及び関連する感情状態の履歴記録
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178800
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】ユーザの行動及び関連する感情状態の履歴記録
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20170731BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20170731BHJP
【FI】
   A61B5/16ZJM
   G06Q50/10
【請求項の数】6
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-546686(P2014-546686)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-505702(P2015-505702A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】IB2012056990
(87)【国際公開番号】WO2013088307
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年12月3日
(31)【優先権主張番号】61/576,569
(32)【優先日】2011年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ゲウルツ ルーカス ジャコブス フランシスカス
(72)【発明者】
【氏名】ティマー レムコ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウワー タジャッデ ルトガー
(72)【発明者】
【氏名】ラアイマーカース テオドルス ジェラルダス ヒューゴ コルネリウス
(72)【発明者】
【氏名】ルーピク ウェンデリナ エリーゼ コリン
【審査官】 山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−267483(JP,A)
【文献】 特開2001−229285(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/075137(WO,A1)
【文献】 特開平10−305016(JP,A)
【文献】 特開平11−175448(JP,A)
【文献】 特開2002−032492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定の期間におけるユーザの生理的状態を表す生体センサデータを発生する生体センサにより前記ユーザがモニタされるデータネットワーク上でサービスを提供する方法であって、
前記データネットワークを介して前記生体センサデータを受信するステップと、
該生体センサデータと、前記特定の期間において前記ユーザにより呈される感情状態とを関連付けるステップと、
該感情状態を表すと共に前記特定の期間に関連付けられた感情データを履歴記録に記録するステップと、
前記特定の期間において生じる前記ユーザの行動を表す行動データを決定するステップと、
前記特定の期間に関連付けられた該行動データを前記履歴記録に記録するステップと、
将来の行動に関する推奨案を、
前記履歴記録に記録された以前の感情データであって、1以上の以前の期間に関連付けられた該ユーザの1以上の以前の感情状態を表す感情データ、及び
前記履歴記録に記録された以前の行動データであって、前記1以上の以前の期間に関連付けられた該ユーザの1以上の以前の行動を表す行動データ、
の組み合わせ制御の下で発生するステップと、
を有し、
更に、前記推奨案は、前記ユーザの前記感情データ及び前記行動データに基づくプロフィールと他の人の前記感情データ及び前記行動データに基づく他のプロフィールとの組み合わせ制御の下で発生され、前記他の人の前記履歴記録は当該推奨案を発生させるために基準として使用され
前記推奨案を発生するステップには、前記ユーザの現在の行動データが、該ユーザの前記特定の期間に関連付けられた以前の前記行動データに類似し、かつ、当該特定期間に関連付けられた以前の前記感情データが負の値を持つ感情状態を呈する場合に、前記ユーザに対する警告を発することを含む、方法。
【請求項2】
前記生体センサデータ感情状態を関連付けるステップが、
前記データネットワークを介して前記ユーザにより送出されると共に前記特定の期間に関連付けられた第1前後関係データを受信するステップであって、該第1前後関係データが前記ユーザにより解釈された感情状態を表すものであるステップと、
該第1前後関係データを前記感情データに含めるステップと、
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記行動データを決定するステップが、
i)前記データネットワークを介して前記特定の期間における前記ユーザの地理的位置を表す地理データを受信すると共に、前記行動を前記地理的位置及び前記特定の期間の制御の下で決定するステップ、
ii)前記データネットワークを介して前記ユーザの電子カレンダへの記入を表し且つ前記特定の期間に関係するカレンダデータを受信すると共に、前記行動を該カレンダデータの制御の下で決定するステップ、
iii)前記特定の期間において前記ユーザが1以上の電子データ通信行為/セッションに積極的に参加したことを表す該ユーザの通信履歴を決定するステップ、
iv)前記データネットワークを介して、前記ユーザにより該データネットワークを介して送出されると共に前記特定の期間に関連付けられ且つ前記ユーザにより解釈された行動を表す第2前後関係データを受信するステップ、及び
v)前記ユーザが前記特定の期間において電子コンテンツ情報を使用したことを示す該ユーザの履歴を決定するステップ、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記データネットワークを介して、前記履歴記録に対するアクセスのリクエストを受信するステップと、
該リクエストが認可されるか否かを決定するステップと、
該リクエストが認可されることに依存して前記データネットワークを介して前記アクセスを提供するステップと、
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の他のユーザの各々が、対応する他の特定の期間における当該他のユーザの他の生理学的状態を表す他の生体センサデータを発生する対応する他の生体センサによりモニタされる請求項1に記載の方法であって、
前記データネットワークを介して前記他の生体センサデータを受信するステップと、
該他の生体センサデータに、前記対応する他の特定の期間において当該他のユーザにより呈される他の感情状態を関連付けるステップと、
対応する他の履歴記録に、前記他の感情状態を表すと共に前記対応する他の特定の期間に関連付けられた他の感情データを記録するステップと、
前記対応する他の期間において生じる当該他のユーザの他の行動を表す他の行動データを決定するステップと、
前記対応する他の履歴記録に、前記対応する他の特定に期間に関連付けられた前記他の行動データを記録するステップと、
前記行動及び前記他の行動が好相性であるかを決定するために、前記履歴記録及び前記対応する他の履歴記録を分析するステップと、
前記行動及び前記他の行動が好相性である場合に、前記感情状態及び前記他の感情状態が好相性であるかを決定するために前記履歴記録及び前記対応する他の履歴記録を分析するステップと、
前記感情状態及び前記他の感情状態が好相性である場合に、前記ユーザ及び当該他のユーザに好相性なプロフィールを有することを通知するステップと、
を有する、方法。
【請求項6】
個人用電子装置であって、
特定の期間におけるユーザの生理的状態を表す生体センサデータを、ネットワーク対応装置の生体センサから入力するための第1ノードと、
記特定の期間における前記ユーザの地理的位置を表す地理データをナビゲーション支援器から入力するための第2ノード、電子カレンダから、前記特定の期間に関するものであって前記ユーザの前記電子カレンダへの記入を表すカレンダデータを入力するための第3ノード、当該個人用電子装置を介して実施された前記特定の期間における1以上の電子データ通信セッションに前記ユーザが積極的に参加したことを表す該ユーザの通信履歴を入力するための第4ノード、及びユーザインターフェースであって、該ユーザインターフェースとの第1のユーザ対話に応答して、前記ユーザにより解釈された前記特定の期間における該ユーザの感情状態を表す第1前後関係データを発生すると共に、該ユーザインターフェースとの第2のユーザ対話に応答して、前記ユーザにより解釈された前記特定の期間における該ユーザの行動を表す第2前後関係データを発生するユーザインターフェース、のうちの少なくとも1つと、
ータ記憶部と、
有し、
前記データ記憶部に前記生体センサデータ、並びに前記地理データ、前記カレンダデータ、前記通信履歴、前記第1前後関係データ及び前記第2前後関係データのうちの少なくとも1つに基づく前記ユーザの感情データ及び行動データを履歴記録として記録し、
更に、将来の行動に関する推奨案を、
前記履歴記録に記録された以前の感情データであって、1以上の以前の期間に関連付けられた該ユーザの1以上の以前の感情状態を表す感情データ、及び
前記履歴記録に記録された以前の行動データであって、前記1以上の以前の期間に関連付けられた該ユーザの1以上の以前の行動を表す行動データ、
の組み合わせ制御の下で発生し、
更に、前記推奨案は、前記ユーザの前記感情データ及び前記行動データに基づくプロフィールと他の人の前記感情データ及び前記行動データに基づく他のプロフィールとの組み合わせ制御の下で発生され、前記他の人の前記履歴記録は当該推奨案を発生させるために基準として使用され
前記推奨案を発生することには、前記ユーザの現在の行動データが、該ユーザの前記特定の期間に関連付けられた以前の前記行動データに類似し、かつ、当該特定期間に関連付けられた以前の前記感情データが負の値を持つ感情状態を呈する場合に、前記ユーザに対する警告を発することを含む、個人用電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データネットワーク上でサービスを提供する方法に関する。また、本発明はネットワーク対応装置及び個人用電子装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットは、人々が特定の予め決められたプロフィールを満たす個人を、インターネットの出現前よりも一層迅速に見付けることを可能にしている。例えば、人がインターネットを介して知識、感じ方又は意見を共有する仮想共同体が目立つようになっている。“仮想共同体”なる表現は、チャットルーム、ソーシャルネットワーク・ウェブサイト、掲示板、簡易ブログ、企業の顧客満足度を掲示するウェブサイト、仮想世界、大規模複数競技者ゲーム等の特定の媒体を介して対話する個人のソーシャルネットワークを指す。“ソーシャルネットワーク”なる表現は、個人間の相互依存性又は共通性に基づいた社会構造を形成する個人のグループを指す。斯様な相互依存性又は共通性の例は、友情、親族関係、共有関心、共有信念、同一イベントへの参加等である。“ブログ”なる表現は、“ウエブログ”なる表現の混合語であり、個人により維持され、個人が解説、イベントの説明、又はグラフィックス若しくはビデオ等の他の題材の形で、時々、最新情報を掲示する或る種のウェブサイトを指す。“簡易ブログ”なる用語は、非常に短い掲示を特徴とするブログを指す。
【0003】
インターネット上に提供される共同体サービスの一例が、Hyuncheol Park により出願された“Community service providing system and method”なる名称の米国特許出願公開第20050004923号公報に記載されており、該公報は参照により本明細書に組み込まれる。米国特許出願公開第20050004923号公報の要約書は、共同体サービスを提供するシステム及び方法に言及しており、該システム及び方法においては、各通信サービスユーザの感情又は状況を、所定の通信サービスユーザの感情又は状況に関する情報を所定の情報軸に基づいて構成された感情マップ上の座標値として表すと共に、該感情マップ上に表された座標値に基づいて斯かる座標値の間の類似性又は相違の判定結果に従って所定のイベントを発生することにより、間接的に確認することができ、かくして、他の共同体会員を満足させる機会も適切なイベントの発生を介して提供することができる。明瞭化のために、米国特許出願公開第20050004923号公報の説明で使用される“感情マップ”なるフィーチャは、複数軸に跨がる抽象空間を指す。該複数軸の各々は特定の感情又は気分を示す。ユーザが該マップ上の特定の位置を選択する場合、この特定の位置は1組の座標値により特徴付けられ、各座標値は対応する気分の強さを表す。
【0004】
完全さを期すためには、遠隔生理学的監視(モニタリング)及び感情計算の分野を参照されたい。
【0005】
遠隔生理学的監視の分野は、人の生命徴候(バイタルサイン)の遠隔探査に関するものである。遠隔生理学的監視は、例えば生体遠隔測定法(医療遠隔測定法とも称される)の分野で使用される。生体遠隔測定法は、動き回る患者の種々のバイタルサインを遠隔的に監視するための医療分野における遠隔測定法の適用を含む。遠隔生理学的監視は、例えばスポーツ及び訓練プログラムにおいても使用される。遠隔生理学的監視は、更に、必要かも知れない又は必要な場合に捜査救助活動を開始すべく、誰か(例えば、消防士、警察官、軍人等)が倒れたかをチェックするために危険な環境においても使用される。
【0006】
感情計算の分野では、人の生理学的パラメータを監視及び分析することにより人の感情状態を検出するために生理学的監視を用いることが知られている。“感情計算”なる表現は、人の気持ち又は感情を認識、解釈、処理及びシミュレーションすることができるシステム及び装置の分野を指す。感情計算はコンピュータ科学、心理学、生理学及び認知科学に跨がる学際的分野である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、なかでも、個人の行動に関する記録(ログ)情報及び該個人の感情(emotions)に関すると共に上記行動に関連する他の情報に基づいて仮想共同体(virtual community)に提供されるサービスを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特定の個人の感情に関する情報が、時間にわたり、履歴記録に登録される。該特定の個人の行動に関する他の情報も、上記履歴記録に登録される。上記特定の個人の感情に関する情報及び該特定の個人の行動に関する他の情報は、上記履歴記録に互いに時間的関係を付けて登録される。この場合、該履歴記録は、この特定の個人の、行動及び該行動に関連する感情の時系列を表す日誌として働く。当該特定の個人は、例えば読み出し及び/又は編集するために該日誌に対するアクセス権を有し、該日誌又は該日誌の一部に対するアクセス権(例えば、読み出しアクセス権)を1以上の選択された他の人に付与することができる。該特定の個人の日誌は、将来の行動に関する推奨案(recommendations)を発生するための推奨システムに対する入力として働くこともできる。該推奨システムは推奨案を上記特定の個人自身に、及び/又は当該仮想共同体における、感情プロフィールが該特定の個人の感情プロフィールに似ている他の個人に供給することができる。上記推奨案は、特定の将来の行動に賛成する助言又は他の特定の将来の行動に反対する助言を含むことができる。
【0009】
特定の行動の例は、音楽ホールにおけるコンサート、劇場における演劇又はショー、映画館における映画、スポーツイベント、フリーマーケット、抗議行進等の特定のイベントに参加すること;特定の本を読むこと又は自宅で再生される特定のDVDに記録された映画若しくはドキュメンタリを観ること、庭いじりをすること、犬を散歩させること、ハイキングをすること、サイクリングに行くこと、旅行をすること、食事をすること、友達又はその人の80代の代母(人の友達も)を訪問すること、うたた寝すること、自宅のソファに座って人生、世界及び全てを考えること等である。
【0010】
更に特定的には、本発明はデータネットワーク上でサービスを提供する方法に関するものである。該方法において、ユーザは、特定の期間に関連されると共に該特定の期間における当該ユーザの生理的状態を表す生体センサデータを発生するように構成された生体センサによりモニタされている。該方法は、データネットワークを介して上記生体センサデータを受信するステップと;該生体センサデータに特定の期間において該ユーザにより呈される感情状態を関連付けるステップと;該感情状態を表すと共に上記特定の期間に関連付けられた感情データを履歴記録(履歴ログ)に記録するステップと;上記特定の期間において生じるユーザの行動を表す行動データを決定するステップと;上記行動を表すと共に上記特定の期間に関連付けられた行動データを上記履歴記録に記録するステップとを有する。
【0011】
従って、この特定のユーザに対して、このユーザの感情の展開を該ユーザの行動との時間的関係で表す履歴記録が作成される。このように該履歴記録は、ユーザの行動に関する情報が記録されると共に、特定の期間毎のユーザの感情状態に関する情報が注釈として使用された日誌として使用することができる。完全を期すために、ここでは、ユーザは特定の期間毎に1以上の行動に関わることができることを付言しておく。例えば、当該特定の期間における行動の第1のものはオフィスにおける(退屈な)会議に出席することを含む一方、同一の特定の期間における第2の行動は該会議の間にラップトップからEメールを送信すること、該会議の間に良い小説を読むこと又は該会議の間にバンジョーの弾き方を覚えることさえ含む。
【0012】
ユーザの感情状態の前後関係内での該ユーザの行動の分析は、行動と感情状態との間の相関の点で該ユーザに固有のパターンを明らかにし得る。例えば、履歴記録は、ユーザが例えば小説を読む、料理を作る、犬を散歩させる等の特定の行動に関わっている場合、該ユーザ(彼/彼女)は該特定の行動に先行するユーザの行動とは無関係に典型的に寛いだ気分にあることを示す。前記生体センサデータがリアルタイムに、即ち実質的に当該生体センサにより発生される際に、受信されていると仮定すると、当該サービスは、当該ユーザが所定長より長い期間にわたり悪い(ネガティブな)気分又はネガティブな感情状態にあると判定された場合に該ユーザに対して上記のような特定の行動を推奨することができる。他の例として、複数のユーザに対して履歴記録が維持されると共に、相性の良いユーザプロフィールのユーザに対して維持された履歴記録はクラスタ化される。或る人が当該サービスに加入し、特定のクラスタのユーザプロフィールと相性の良い特定の加入者プロフィールを有していると仮定する。この場合、当該サービスは、上記加入する人に対し、特定のクラスタの履歴記録において積極的な(ポジティブな)感情状態に関連された行動を分析することに基づいて推奨案を発生することができる。例えば、特定のクラスタは、特定のクラスタのモニタされているユーザのうちの特定の美術展覧会に出席したか又は特定の小説を読んだユーザが、該特定の美術展覧会に出席している間に及び出席から幾らかの時間の後に、又は特定の小説を読んでいる間にポジティブな感情状態にあったことを明らかにする。この場合、当該サービスは、当該加入者が明らかに何らかの元気づけが必要とする時点で、上記特定の美術展示会若しくは同様の美術展示会に出席し又は上記特定の小説若しくは類似の小説を読むという推奨案を作成し、当該加入者に該推奨案を送る。
【0013】
前記生体センサデータは、特定の期間におけるユーザの生理学的状態を表す。
【0014】
該生体センサデータは、実質的に実行時に又はリアルタイムで、即ち、例えば各特定期間の終了時において生体センサデータが発生されるやいなや、当該生体センサから当該サービスの供給者(サービスプロバイダ)のサーバへアップロードされ得る。第1シナリオ例では、生体センサは、該生体センサの動作使用時にユーザにより携帯されるネットワーク対応データ通信装置を備え、斯かる通信装置に収容され、又は斯かる通信装置に接続される。例えば、該ネットワーク対応データ通信装置は、携帯電話、スマートフォン又はネットワーク対応パーソナルデジタルアシスタント(PDA)を含む。第2のシナリオ例では、ユーザの自宅環境、ユーザの車、ユーザの職場等のユーザの環境が、1以上の生理学的パラメータの現在値を遠隔的に捕捉するよう構成された生体センサシステムを備える。該生体センサシステムは、個々のユーザを識別するように構成されると共に、データネットワークを介して生体センサデータをリアルタイムにアップロードするためのネットワークインターフェースを有する。
【0015】
他の例として、一連の複数の期間に対して発生された生体センサデータは、当該生体センサ自体に、当該生体センサに接続された例えば固体メモリ等のメモリ装置に、又は当該生体センサに収容され、斯かる生体センサを収容し若しくは斯かる生体センサに接続されたネットワーク対応データ通信装置に蓄積することができる。この場合、蓄積された生体センサデータは、後に1以上のバッチでアップロードすることができる。
【0016】
同様に、共に特定の期間に関連するユーザの感情状態及び/又はユーザの行動は、該特定の期間の間に、又は該特定の期間の実質的に終了時に決定することができる。他の例として、特定の期間に関係する感情状態及び行動は後に、即ち遡って決定することもできる。関係のある事柄は、ユーザの感情状態に関する情報及びユーザの行動に関する他の情報をユーザの感情状態との時間的関係で、例えば時間順に記憶する履歴記録が作成され、ユーザの感情的に注釈を付けられた生活の記述書として役立つということである。この記述書は、次いで、先に触れたように及び後に更に詳細に説明するように、ユーザの個人的日誌として、又は推奨システムに対する入力として使用することができる。
【0017】
本発明の方法の一実施態様において、前記生体センサデータに感情状態を関連付けるステップは、特定の期間に関連されると共にデータネットワークを介してユーザにより送出される第1前後関係データを受信するステップであって、該第1前後関係データがユーザにより解釈された感情状態を表すものであるステップと、該第1前後関係データを感情データに含めるステップとを有する。
【0018】
上記特定の期間の間におけるユーザの感情状態は、上記データネットワークを介してユーザから受信される上記第1前後関係データにより表される。
【0019】
上記第1前後関係データは、上記特定の期間の間において若しくは該期間の終了時の近くで発生されたもの、又は後に発生されるものであり得る。同様に、第1前後関係データは、実質的に上記特定の期間の間に、例えば該特定の期間の間に及び/又は該特定の期間の終了の数分後に、ユーザにより送出することができる。他の例として、特定の期間に関連される第1前後関係データは、大幅に遅く受信することもできる。
【0020】
例えば、特定の期間に当てはまり得る第1前後関係データは、異なる期間のシーケンスを表す異なる第1前後関係データのバッチにおいて受信される。上記の異なる第1前後関係データは、ユーザのデータ記録装置において、ユーザが蓄積(accumulate)された第1前後関係データを当該サービス提供者のサーバにアップロードする機会が生じるまで、蓄積され記憶される。他の例として、ユーザは第1前後関係データを、過去の特定の期間における彼/彼女の感情状態の回顧的注釈として遡って送信する。この遡及的注釈は、例えば当該サービス提供者が前記生体センサデータを履歴記録に記録すると共に、ユーザにとり都合が良いなら又は都合がよい時に該ユーザに第1前後関係データを注釈として追加させるように、該ユーザに該履歴記録に対するアクセス権を付与することにより可能にされる。
【0021】
上記第1前後関係データは、ユーザにより蓄積(compile)されたものとすることができ、例えば個人的テキストメッセージ、ユーザのカメラにより撮影された又はインターネット上のウェブページから選択された写真又はビデオクリップ等の形態をとることができる。第1前後関係データは、前記特定の期間の間に若しくは該期間の終了時の近くで、又は回顧的な感情の注釈として大幅に後でアップロードされる。
【0022】
ユーザにより蓄積される代わりに、ユーザにより送信される第1前後関係データは事前フォーマッティングされ、例えばユーザインターフェース(例えばグラフィックユーザインターフェース又は音声入力ユーザインターフェース)を介してアクセス可能なメニュで選択可能な複数の所定のオプションのうちの特定の1つを有する。上記ユーザインターフェースは、前記生体センサの動作使用の間においてユーザにより携帯されるネットワーク対応データ通信装置の一部を形成することができる。また、該ユーザインターフェースは、例えばユーザの自宅のPC若しくはラップトップPC又はユーザのスマートフォン等の該ユーザの他のネットワーク対応データ処理装置の一部を形成することもできる。即ち、上記ユーザインターフェースは、上記生体センサと協働すると共に生体センサデータをサービス提供者にアップロードするネットワーク対応通信装置とは無関係な装置の一部を形成することができる。例えば、上記ユーザインターフェースは複数の所定の選択可能なオプションのメニュに対するアクセス権を付与し、これらオプションのうちの各々の特定の1つは例えば“怒っている”、“幸福である”、“興奮している”、“悲しい”、“心配である”等の特定の感情状態を表す。ユーザに対するオプションの表示は、全てのユーザに対して一様であるか、又は特定のユーザに対して個性化され得る。しかしながら、上記オプションのうちの特定の1つに関連される特定の感情状態は、全てのユーザに対して一様とし、全てのユーザに対して共通となるような感情状態に関する基準系を有するようにする。
【0023】
従って、第1前後関係データはユーザにより又はユーザの制御の下で発生され、ユーザの感情状態の該ユーザによる解釈を形成する。代わりに又は該第1前後関係データとの組み合わせで、ユーザの感情状態は生体センサデータ自体から推測することができる。この前後関係内において、人の感情状態を決定することは、この人の生理学的状態を示す生理学的パラメータの値しか考慮されない場合には困難であることに注意すべきである。典型的に、生理学的パラメータの値は感情の強さは示すが、必ずしも感情価を示すものではない。“感情価”なる表現は心理学分野において感情のタイプを特徴付けるために使用される。正の価を持つ感情の例は、幸福、満足、親切さ等である。負の価を持つ感情の例は、怒り、恐れ、苛立ち、悲しみ等である。これに関しては、例えばMed. Biol. Eng. Comput., 2004, 42, pp 419-427のK. H. Kim他による“Emotion recognition system using short-term monitoring of physiological signals”又はProc. IEEE RO-MAN 2006, The 15th IEEE International Symposium on Robot and Human Interactive 15 Communication, Hatfield, U.K., Sept 8, 2006, pp 269-276, IEEEのOlivier Villon他による“A User-Modeling Approach to Build User's Psycho-Physiological Maps of Emotions using Bio-Sensors”を参照されたい。従って、上記に紹介された第1前後関係データは感情状態の識別を容易にさせ得る。
【0024】
本発明の方法の他の実施態様において、前記特定の期間におけるユーザの行動を表す前記行動データを決定するステップは、i)前記特定の期間におけるユーザの地理的位置を表す地理データを、前記データネットワークを介して受信すると共に、上記地理的位置及び特定の期間の制御の下で行動を決定するステップ;ii)ユーザの電子カレンダへの記入(エントリ)を表すものであって前記特定の期間に関係するカレンダデータを、前記データネットワークを介して受信すると共に、該カレンダデータの制御の下で行動を決定するステップ; iii)前記特定の期間においてユーザが1以上の電子データ通信セッションに積極的に参加したことを表す該ユーザの通信履歴を、前記データネットワークを介して受信するか又は決定するステップ;iv)前記データネットワークを介してユーザにより送出されると共に前記特定の期間に関連する第2前後関係データ(ユーザにより解釈された行動を表す)を、該データネットワークを介して受信するステップ;及びv)ユーザが前記特定の期間において電子コンテンツ情報を使用(消費)したことを示す該ユーザの履歴を決定するステップ;のうちの少なくとも1つを有する。
【0025】
当該行動は、特定の期間に関係する電子カレンダへのユーザの記入から推測することができる。例えば、ユーザの電子カレンダは、仕事上の会議、出張旅行、公のイベントへの参加、誕生日パーティ、歯医者の予約、休暇のスケジュール等に関する記入を有する。これら記入の各々は、当該カレンダに示される日の時間帯にスケジュールされた対応する行動として解釈することができる。電子カレンダは、例えばユーザの携帯電話、スマートフォン又はPC等の、ユーザのネットワーク対応装置で動作するソフトウェアアプリケーションである。該ユーザのネットワーク対応装置は、当該電子カレンダを当該サービス提供者のサーバに維持される電子カレンダのコピーと自動的に同期するように構成されているものとすることができる。
【0026】
当該行動は、特定の期間におけるユーザの地理的位置から推定することができる。この場合、上記地理的位置及び特定の期間は、例えば特定の地理的区域における公開イベントの予め決められたスケジュールと、及び/又は前述したユーザの電子カレンダの1以上の記入と相関がとられ得る。代わりに、又は加えて、上記地理的位置は例えばスポーツ競技場、公園、動物園、湖等の特定の機関又は組織の施設を示すことができ、このことから、ユーザがスポーツイベント又はスポーツ訓練セッションに参加している、散策又は犬の散歩のために外出している、動物園を訪問している、ボートに乗っていること等を、各々、推測することができる。
【0027】
特定の期間におけるユーザの地理的位置は、ユーザのネットワーク対応データ通信装置のユーザインターフェースを介しての明示的なユーザ入力に基づいて決定し、該ユーザのネットワーク対応データ通信装置から前記データネットワークを介して送出することができる。例えば、ユーザは特定の期間において又はその後に当該サービスの提供者に、当該特定の期間における彼/彼女の所在の指示情報、例えば“アムステルダム”、“ヘルシンキの暗黒物質に関する会議”、“ロンドンに向かうユーロスターに乗車中”又は“代母の誕生日パーティ”等を送出することができる。“ロンドンに向かうユーロスターに乗車中”なる明示的なユーザ入力は、ユーザがロンドン、パリ及びブリュッセルを結ぶ高速鉄道サービスを使用して列車で旅行していることを意味する。その日の時間及びユーロスターのスケジュールも分かる場合、当該列車に乗車して旅行している間のユーザの地理的位置は、概ね高信頼度で決定することができる。更に、この場合における行動の1つは、列車による旅行となる。代母の誕生日パーティ”なる明示的なユーザ入力は、ユーザの代母の住所として地理的位置を(例えば、該ユーザの電子アドレス帳を介して)、及びパーティに出席するという行動を推定するのに役立つ。
【0028】
ユーザの地理的位置は、例えば生体センサに接続されたユーザのネットワーク対応移動通信装置の地理的位置を決定することを介して、リアルタイムに決定することもできる。例えば、上記ネットワーク対応移動通信装置が携帯電話を有する場合、該携帯電話の地理的位置は当該携帯電話ネットワークにおける基地局により決定することができる。この場合、当該携帯電話ネットワークは地理的位置を表すデータを当該携帯電話の識別情報と一緒に当該データネットワーク上のサービス提供者の所定のアドレスにアップロードすることができ、該サービス提供者において前記生体センサデータと組み合わされるようにする。他の例として、上記移動通信装置の地理的位置は、特定の公開イベントをカバーすると共に該移動通信装置の現在の環境を形成する地理的領域に設置された1以上の専用のビーコンから該移動通信装置により受信される1以上の信号により決定される。この場合、該移動通信装置は、受信された信号を表すデータを生体センサデータと一緒にアップロードすることができる。更に他の例として、上記移動通信装置はGPS受信器等の電子ナビゲーション支援器を収容するか又は斯かる支援器に接続される。この場合、上記移動通信装置は、受信されたGPSデータを表すデータを生体センサデータと一緒にアップロードすることができる。GPS受信器は、地球上を軌道飛行する4つ以上の衛星に対する妨害されない視線を必要とするので、通常、屋内では動作しない。斯かる視線が妨害されたことをGPS受信器が検出した場合、当該移動通信装置は最後に有効に取得された地理的位置を、ユーザの特定の行動に関連付けることができる特定の建物の入口と照合するように試みることができ、ユーザが該建物に意識的に入ったと仮定する。当該移動通信装置は、汎用の又は当該ユーザの要求のために仕立てられた、地理的位置を建物に関連付けることが可能な搭載データベースを有することができる。例えば、当該建物がファーストフードレストランと識別された場合、ユーザはファーストフードの食事をしようとしていると仮定することができ;当該建物が劇場と識別された場合、ユーザは公演芸術のイベントに参加しようとしていると仮定することができ;当該建物がデパートと識別された場合、ユーザはショッピングをしようとしていると仮定することができ;当該建物が大学の所有物と識別され、且つ、ユーザが学生である場合、該ユーザは学生が大学においてなすべきとされていることを行うために該建物に入ったと仮定することができる、等々である。
【0029】
1以上のデータ通信セッションへのユーザの積極的な参加に関する該ユーザの通信履歴も、特定の期間における行動を決定するために使用することができる。この点において、斯様なデータ通信セッションの例は、電話若しくはビデオ電話を掛け又は受けること、Eメールを送信し又は受信すること、ショートテキストメッセージ(ショートメッセージサービスメッセージ、即ちSMSメッセージ、オンラインチャット等)を送信し又は受信すること、マルチメディアコンテンツを含むメッセージ(マルチメディアメッセージサービスのメッセージ、即ちMMSメッセージ)を送信又は受信すること、リアルタイムテキスト(RTT)に関わること、ツイッタ等の簡易ブログサービスにテキストに基づく掲示を送信し又は読むこと、電子ファイルをダウンロード又はアップロードすること、ストリーミングメディアを送信又は受信すること、ウェブサイトを閲覧すること、又はウェブページを更新すること等である。例えば、当該ユーザの携帯電話を考察する。当該携帯電話は、発呼及び受呼の履歴を、各受呼者又は各発呼者の各電話番号、各通話の開始時刻及び/又は終了時刻等と一緒に維持し又は維持するように構成することができる。他の例として、例えばインターネット接続を備えたPC又はスマートフォン等の当該ユーザのネットワーク対応データ通信装置を考察する。このようなネットワーク対応データ通信装置は、送信されたEメール及び受信されたEメールの履歴を、送信又は受信した日の時刻、受信者の又は送信者の識別情報、件名のヘッダに示された当該Eメールの話題等と一緒に維持し又は維持するように構成することができる。このようなネットワーク対応通信装置は、アップロード又はダウンロードされ、ストリーミングされ、閲覧された電子ファイルの履歴を発信元又は宛先の識別情報、ファイル形式、ファイルの題名等と一緒に維持し又は維持するように構成することもできる。従って、ユーザのデータ通信装置は、当該ユーザの1以上のデータ通信セッションへの積極的な参加に関する情報を含む該ユーザの通信履歴を維持するように構成され又は構成することができる。“積極的な参加”なるフィーチャにおける“積極的な”なる修飾語は、ユーザが当該データ通信セッションに及び交換される電子コンテンツに精神的に晒されるように当該データ通信セッションに知っていながら参加しているという意味を伝えることを意味する。ユーザが進行しているデータ通信セッションに気が付かないままであった場合、一方におけるユーザの感情又は生理学的状態と、他方における当該データ通信セッションの特徴との間の因果関係を推定することは可能ではないであろう。当該データ通信セッションの特徴は、交換された電子コンテンツの意味的側面により、例えば当該ユーザが通信している当事者、当該電子コンテンツにおいて言及された1以上の話題、当該データ通信セッションの間におけるユーザの地理的位置及び当日の時刻等により決定することができる。
【0030】
従って、ユーザの通信履歴は、前記行動データに含めるための“通信”なる行動の固有な詳細を提供し、当該行動を一層詳細に指定することができるようにする。斯かる通信履歴は、ユーザのデータ通信装置から本発明におけるサービスの提供者のサーバにアップロードすることができる。他の例として、本発明におけるサービスの提供者が通信履歴を決定する。例えば、本発明におけるサービスは、ユーザの通信サービス提供者又はユーザのインターネットサービス提供者のサービスパッケージの一部を形成し、その結果として、本発明におけるサービスの提供者はユーザのデータ通信装置に維持される該ユーザの通信に関する情報の少なくとも幾らかに対するアクセス権を有する。しかしながら、通常は、ユーザの通信サービス提供者及びユーザのインターネットサービス提供者は、ユーザと他の当事者との間で通信される意味内容を調べることは許されない。
【0031】
ユーザの行動は、前記データネットワークを介してユーザにより送出されると共に前記特定の期間に関連される第2前後関係データに基づいて決定することもできる。該第2前後関係データは、ユーザにより解釈された行動を表す。ユーザは、特定の期間に関係する第2前後関係データを、該特定の期間において例えばユーザのスマートフォンを介して、又はその後に例えば当日の終わりに若しくは当該ユーザにとり都合の良い時に該ユーザの自宅のPCから送出することができる。
【0032】
第1前後関係データに関連して前述したように、第2前後関係データはユーザにより蓄積されたものとすることができると共に、例えば個人的テキストメッセージ、ユーザのカメラにより撮影され又はインターネット上のウェブページから選択された写真又はビデオクリップ、ユーザが設計したアイコン等の形をとることができる。第2前後関係データは、特定の期間において又は遡及的にアップロードされる。ユーザにより蓄積される代わりに、ユーザにより提供される第2前後関係データは、予めフォーマッティングされると共に、例えばグラフィックユーザインターフェース又は音声入力ユーザインターフェース等のユーザインターフェースを介してアクセス可能なメニュ内で選択することができる複数の予め決められたオプションのうちの特定の1つを有する。上記ユーザインターフェースは、前記生体センサの動作使用の間においてユーザにより携帯されるネットワーク対応データ通信装置の一部を形成することができる。また、該ユーザインターフェースは、例えばユーザの自宅のPC若しくはラップトップPC又はユーザのスマートフォン等の該ユーザの他のネットワーク対応データ処理装置の一部を形成することもできる。例えば、上記ユーザインターフェースは複数の所定の選択可能なオプションのメニュに対してアクセスさせ、これらオプションのうちの各々の特定の1つは例えば“仕事”、“旅行”、“趣味”、“スポーツ”、“寛ぎ”、“食事”、“勉強”、“ピアノの演奏”等の特定の行動を表す。ユーザに対する上記オプションの表示は、全てのユーザに対して一様であるか、又は特定のユーザ毎に個性化され得る。しかしながら、上記オプションのうちの特定の1つに関連される特定の行動は、全てのユーザに対して共通である行動に関する基準系を有するように、全てのユーザに対して一様と見なされる。従って、第2前後関係データは、ユーザにより又はユーザの制御の下で発生され、ユーザによる該ユーザの行動の解釈を形成する。
【0033】
ユーザの行動は、該ユーザが特定の期間において電子コンテンツ情報を使用(消費)したことを示す該ユーザの履歴に基づいて決定することもできる。例えば、ユーザの家庭用娯楽(ホームエンターテイメント)ネットワークは、ワールドワイドウェブを閲覧するためのPC、事前に記録された電子コンテンツ情報(例えば、映画、ドキュメンタリ等のビデオファイル及び音楽のオーディオファイル等)を再生するための再生装置(DVDプレーヤ、MP3プレーヤ等)、並びにTV放送を受信するTV受信機を有する。ダウンロードされるウェブページ、インターネットを介してストリーミングされ又はDVDプレーヤ、CDプレーヤ若しくはMP3プレーヤで再生される電子コンテンツ情報は、全て、ユーザにより使用される電子コンテンツ情報の事例である。ホームネットワークに接続されて、該ネットワークは当該ユーザにより時間にわたって消費された電子コンテンツ情報の履歴を維持するよう構成することができる。従って、当該ユーザの行動の詳細(即ち、このユーザにより消費された電子コンテンツ情報の詳細)を、消費された電子コンテンツ情報のジャンル、タイトル、話題的側面、並びに該電子コンテンツ情報が消費された期間等の消費履歴から抽出することができる。該消費履歴は、当該サービスの提供者にアップロードすることができる。ユーザはタイムスタンプを付された生体センサデータを発生する携帯生体センサを装着していることができ、該生体センサデータは当該サービス提供者において受信された上記消費履歴に登録された期間と相関させることができる。代わりに、又は加えて、ホームエンターテイメントシステムは、電子コンテンツ情報を消費している間のユーザをキャプチャするためのビデオカメラ、及び該ユーザの感情状態を決定するためにコンピュータ上で動作するパターン認識ソフトウェアを有する。このようなソフトウェアは、現状技術において既知である。このようなソフトウェア及びコンピュータ視覚システムに関する背景技術に関しては、例えばGeorgia Institute of Technology, Graphics, Visualization and Usability Center, Technical Report # GIT-GVU-98-23, August 1998のIrfan A. Essaによる“Coding, Analysis, Interpretation, and Recognition of Facial Expressions”{該文献の要約版はIEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, Vol. 19 (7), July, 1997に見られる};及び2011 IEEE International Conference on Automatic Face & Gesture Recognition (FG 2011), Santa Barbara, USA, March 2011のAbdinav Dhall他による“Emotion Recognition Using PHOG and LPQ features”を参照されたい。この場合、上記ホームエンターテイメントネットワークは上記カメラによりキャプチャされた画像からユーザを識別し、これら画像から該ユーザの感情状態を決定し、これら感情状態をタイムスタンプが付されると共に当該サービス提供者にアップロードされるようにし、かくして、種々の感情状態が、前記履歴記録(履歴ログ)において、消費された電子コンテンツと相関されるようにするよう構成することができる。
【0034】
本発明の方法の一実施態様は、前記データネットワークを介して上記履歴記録に対するアクセスのリクエストを受信するステップ、該リクエストが認可されるか否かを決定するステップ、該リクエストが認可されることに依存して、上記データネットワークを介してアクセスを提供するステップを有する。
【0035】
この実施態様において、ユーザの履歴記録は個人的な日誌又は日記として使用される。ユーザは他の人が該ユーザの履歴記憶にアクセスすることを認可することができる。該認可は、上記他の人が当該履歴記録全体にアクセスすることを許可するように構成されたものであり得る。他の例として、上記認可は、上記他の人に対して当該履歴記録の1以上の特定の部分(例えば、1以上の特定の期間に関係する感情データ及び行動データを表す部分、又は1以上の所定の行動を表す行動データを伴う部分等)にアクセスすることのみを許可するように構成されたものであり得る。上記認可は種々の方法で実施することができる。
【0036】
例えば、ユーザはデータネットワークを介しての該ユーザの履歴記録に対するアクセスを認可するために他の人に対しアクセスコード又はログインコードを供給している。誰が、何時、該履歴記録に実際にアクセスしたかを追跡することができるように、異なる人には異なるアクセスコードを付与することができる。認可される異なる人毎の異なるアクセスコードは、アクセス条件を設けることも可能にする。第1の認可された人には、完全な履歴記録にアクセスするための永久的認可を付与することができる。第2の認可された人には、当該履歴記録のうちの特定の部分(例えば記録された1以上の所定のタイプの行動により特徴付けられた、週の日若しくは日の時刻等の時間的側面により特徴付けられた、又はユーザの感情状態のタイプ若しくは価により特徴付けられた等)のみにアクセスするための永久的認可を付与することができる。第3の人には、記録された1以上の事前に指定された行動に関してのみの、当該履歴記録に対する一時的アクセス権が付与される。
【0037】
他の例として、上記認可は1回限りの使用のためのアクセスコードを伴う当該ユーザからの、例えばEメール又はSMSによる、招待状を受信することにより実施される。
【0038】
本発明の方法の他の実施態様は、将来の行動に関する推奨案を、前記履歴記録に記録された以前の感情データであって、1以上の以前の期間に関連する当該ユーザの1以上の以前の感情状態を表す感情データ、及び上記履歴記録に記録された以前の行動データであって、上記1以上の以前の期間に関連する当該ユーザの1以上の以前の行動を表す行動データのうちの少なくとも一方の制御の下で発生するステップを有する。
【0039】
上記他の実施態様において、ユーザの履歴記録は推奨サービスにより動作される推奨システム(リコメンダシステム)に対する入力として使用される。推奨システムは、当業技術において既知であり、当該推奨システムによりアドレス指定された人にとり関心のありそうなコンテンツ情報の品目(例えば、本、映画、音楽、TV番組、ウェブページ等)又は社会的若しくは共同体的事項(例えば、特定の人々、特定の公開イベント等)を推奨するように構成される。典型的な推奨システムは、人のプロフィールを基準と照合して、該人により未だ考慮されていない事項に関する該人の好みを予測する。個々のユーザの履歴記録は、このユーザの行動及び斯かる行動との時間的関係での該ユーザの感情状態に関しての該ユーザの生活様式の進展に関する情報を提供する。推奨システムは、このユーザに対し、Eメール、SMS又は事前に記録された音声メール等を介して当該履歴記録で検出されたパターンに基づいて行動を推奨することができる。例えば、ユーザの感情状態は典型的にはユーザが特定の行動に関わり始める際に負の感情価(誘発性)から正の感情価へ変化したか、又はポジティブな感情状態の強さは、典型的に、ユーザが特定の行動に関わり始める際に増加した。本発明のサービスが、ユーザの現在及び一番最近の感情状態においてネガティブな感情に向かう傾向を識別した場合、当該推奨システムは該ユーザに対して上記特定の行動に関わるように提案することができる。他の例として、行動の現在のパターンが履歴記録に記録された行動の過去のパターンに類似すると共に、該過去のパターンの結果としてユーザが最終的にネガティブな感情状態を呈することとなった場合、当該推奨システムは穏やかな警告を発し、現在のパターンから脱却するための他の行動を特定することができる。
【0040】
本発明の方法の他の実施態様において、推奨案はユーザのプロフィールと他の人の他のプロフィールとの組み合わせ制御の下で発生される。
【0041】
上記他の実施態様において、1以上のユーザの履歴記録は当該推奨サービスに加入している1以上の他の人に対する基準として役立ち得る。当該加入者は、必要ではないが、前述したように生理的状態が生体センサによりモニタされている特定のユーザであり得る。基準プロフィールは、1以上のユーザにより事前に明かされた関心、好み又は嫌悪に基づいて作成される。代わりに、又は加えて、基準プロフィールは、1以上の履歴記録に記録された感情状態に時間的に対応する行動パターンの類似性に基づいて作成される。加入者のプロフィールは、上記基準プロフィールと同様のものになるように形成される。加入者プロフィールは、例えば、当該加入者により事前に宣言された関心、好み又は嫌悪に基づいて形成される。推奨サービスは、履歴記録を、即ち基準プロフィールにおけるユーザの行動パターン及び関連する感情状態を分析する。次いで、該推奨サービスは加入者に対して1以上の推奨案を送出して、当該基準プロフィールによれば該加入者をポジティブな感情状態を呈するようにさせそうな1以上の行動を該加入者に対し推奨することができる。上記推奨案は加入者に対して例えば1日に1回電子的に(例えば、Eメール、SMS、事前に記録された音声メッセージ等により)提供することができる。代わりに、又は加えて、推奨案は加入者に対して、当該サービスが最近の映画を観る若しくは最近出版された小説を読む、又は最近の公演芸術イベントに参加する等の、履歴記録に最近記録された1以上の新しい行動を特定した場合に供給することができる。該1以上の新しい行動は、この加入者に対する基準と考えられるユーザのポジティブな感情状態に関連するものとして記録されたものである。
【0042】
本発明の方法の他の実施態様において、複数の他のユーザの各々は、対応する他の特定の期間に関連すると共に該対応する他の特定の期間における他のユーザの他の生理学的状態を表す他の生体センサデータを発生するように構成された他の生体センサによりモニタされている。該方法は、前記データネットワークを介して上記他の生体センサデータを受信するステップと、該他の生体センサデータに、上記対応する他の特定の期間において当該他のユーザにより呈される他の感情状態を関連付けるステップと、対応する他の履歴記録に、上記他の感情状態を表すと共に上記対応する他の特定の期間に関連された他の感情データを記録するステップと、上記対応する他の期間において生じる当該他のユーザの他の行動を表す他の行動データを決定するステップと、上記対応する他の履歴記録に、上記対応する他の特定に期間に関連する上記他の行動データを記録するステップと、を有する。また、該方法は、上記行動及び上記他の行動が好相性であるかを決定するために、上記履歴記録及び上記対応する他の履歴記録を分析するステップと、上記行動及び上記他の行動が好相性である場合に、上記感情状態及び上記他の感情状態が好相性であるかを決定するために上記履歴記録及び上記対応する他の履歴記録を分析するステップと、上記感情状態及び上記他の感情状態が好相性である場合に、上記ユーザ及び当該他のユーザに好相性なプロフィールを有することを通知するステップとを有する。
【0043】
本方法の上記実施態様において、上記履歴記録のうちの各特定の1つは、特定のユーザの感情状態の履歴と時間的に関係する該特定のユーザの行動の履歴に関しての、該特定のユーザのプロフィールとして働く。この場合、該特定のプロフィールは、この特定のユーザの特定の行動に対する又は該特定のユーザの或る時間的順序の行動に対する該特定のユーザの感情的反応と考えられる。この実施態様の方法は、異なるユーザのプロフィールの間の類似性を見付けるように試みる。異なるユーザが好相性な行動に対して又は好相性な行動の順序に対して同様の感情的反応を有することが分かった場合、該方法は、これらの異なるユーザに感情の好相性性を通知し、互いに連絡し合うことができるようにする。従って、本方法の該実施態様は気の合う人を見付けるためのツールとして役立つ。例えば、2人のユーザのプロフィールが特定のジャンルの映画又は特定の配役の映画を観る際にポジティブな感情状態を生じることを示す場合、これらのユーザが、例えばEメール若しくは簡易ブログを介して、これらの映画に関して互いに連絡したい、又は直接会って新しい映画を一緒に観たいことさえ有りそうである。
【0044】
また、本発明はネットワーク対応装置にも関するもので、該ネットワーク対応装置は、データネットワークとデータを通信するためのネットワークインターフェースと、生体センサから、特定の期間における当該ネットワーク対応装置のユーザの生理学的状態を表す生体センサデータを受信するための第1ノードと、第2ノード、第3ノード及び第4ノードのうちの少なくとも1つとを有する。上記第2ノードは、特定の期間におけるユーザの地理的位置を表す地理データをナビゲーション支援器から受信するためのものであり、上記第3ノードは電子カレンダから特定の期間に関するものであってユーザの電子カレンダへの記入を表すカレンダデータを受信するためのものであり、上記第4ノードは特定の期間においてユーザが1以上の電子データ通信セッション(オプションとして、当該ネットワーク対応装置を介して実施された)に積極的に参加したことを表す該ユーザの通信履歴を受信するためのものである。該ネットワーク対応装置はユーザインターフェースを更に有し、このユーザインターフェースは、該ユーザインターフェースとの第1のユーザ対話に応答して、ユーザにより解釈された特定の期間における該ユーザの感情状態を表す第1前後関係データを発生すると共に、該ユーザインターフェースとの第2のユーザ対話に応答して、ユーザにより解釈された特定の期間における該ユーザの行動を表す第2前後関係データを発生するように構成される。該ネットワーク対応装置は、上記データネットワーク上の所定のアドレスに、上記生体センサデータ、並びに上記地理データ、上記カレンダデータ、上記通信履歴、上記第1前後関係データ及び上記第2前後関係データのうちの少なくとも1つをアップロードするように構成される。
【0045】
従って、本発明のネットワーク対応装置は、データを収集すると共に該データをデータネットワーク上のサーバにアップロードして、該サーバがユーザの日誌又は日記を蓄積し、及び/又は前述したような推奨サービスで使用するための基準プロフィールを蓄積するように構成される。本発明のネットワーク対応装置は、上述した本発明の機能を提供するために、なかでも適切な制御ソフトウェアをインストールすると共に生体センサに接続することにより構成されたスマートフォン又は携帯電話により実施化することができる。他の例として、該ネットワーク対応装置は、ユーザのデータ処理装置及び機器の集合体により形成され、これらの特定の各々は前記地理データ、通信履歴又は電子カレンダ等の特定の種類の情報を発生及び維持する。データ処理装置及び機器の該集合体は、一方から他方へ、及び最終的にはネットワークインターフェースを介して前記データネットワーク上のサービス提供者のサーバへ情報を伝送し又は交換するネットワークを形成することができる。
【0046】
本発明は、個人用(パーソナル)電子装置に関するものでもある。該個人用電子装置は、生体センサから、特定の期間におけるネットワーク対応装置のユーザの生理学的状態を表す生体センサデータを受信するための第1ノードと、第2ノード、第3ノード及び第4ノードのうちの少なくとも1つとを有する。上記第2ノードは、特定の期間におけるユーザの地理的位置を表す地理データをナビゲーション支援器から受信するためのものであり、上記第3ノードは電子カレンダから特定の期間に関するものであってユーザの電子カレンダへの記入を表すカレンダデータを受信するためのものであり、上記第4ノードは特定の期間において当該個人用電子装置を介して実施された1以上の電子データ通信セッションにユーザが積極的に参加したことを表す該ユーザの通信履歴を受信するためのものである。該個人用電子装置はユーザインターフェースを更に有し、このユーザインターフェースは、該ユーザインターフェースとの第1のユーザ対話に応答して、ユーザにより解釈された特定の期間における該ユーザの感情状態を表す第1前後関係データを発生すると共に、該ユーザインターフェースとの第2のユーザ対話に応答して、ユーザにより解釈された特定の期間における該ユーザの行動を表す第2前後関係データを発生するように構成される。該個人用電子装置は、データ記憶部も有する。該個人用電子装置は、上記データ記憶部に上記生体センサデータ、並びに上記地理データ、上記カレンダデータ、上記通信履歴、上記第1前後関係データ及び上記第2前後関係データのうちの少なくとも1つを記録することにより履歴記録を維持するように構成される。
【0047】
上記個人用電子装置は、前述したネットワーク対応装置のデータ収集機能と、データネットワーク上のサーバにより実行されるものとして前述した記録機能とを組み合わせる。このように、この個人用電子装置は個人的データをプライバシの理由で該個人用電子装置に維持し、従って、該個人用電子装置においてアクセス可能な当該ユーザの日誌として働く。該個人用電子装置は、必要ではないが、ネットワークインターフェースを備えたデータ通信装置とすることができる。例えば、なかでも適切な制御ソフトウェアをインストールすると共に生体センサに接続することによってスマートフォン又は携帯電話を構成し、上述した個人用電子装置の機能を提供することができる。
【0048】
上記個人用電子装置の一実施態様は、将来の動作に関する推奨案を、前記履歴記録に記録された以前の感情データであって、1以上の以前の期間に関連する当該ユーザの1以上の以前の感情状態を表す以前の感情データと、上記履歴記録に記録された以前の行動データであって、上記1以上の以前の期間に関連する当該ユーザの1以上の以前の行動を表す以前の行動データとの組み合わせ制御の下で発生するよう構成される。
【0049】
上記実施態様において、該個人用電子装置は、例えば適切な制御ソフトウェアをインストールすることにより、ユーザの行動パターン及び該ユーザの付随する感情状態を分析するよう構成される。感情状態における正(ポジティブ)から負(ネガティブ)への傾向を検出すると、該個人用電子装置は、最近の行動及び最近の感情状態を過去における感情のパターンと比較し、感情の流れを変えるための推奨案に対するポインタ(指針)を導出することができる。
【0050】
一実施態様において、上記個人用電子装置は、ユーザが電子コンテンツ情報を使用することができるように、表示モニタ及び/又はスピーカ若しくはイヤホンを有する。電子コンテンツ情報の使用例(消費例)は、前述したように、ワールドワイドウェブを閲覧すること、ビデオファイル又はオーディオファイルを再生すること、インターネットを介してストリーミングされるビデオ又はオーディオを受信すること、簡易ブログを編集すること等である。該個人用電子装置は、このユーザの行動データを、該ユーザが電子コンテンツ情報を消費した履歴を維持することにより記録するよう構成される。該個人用電子装置は、生体センサデータを消費された電子コンテンツ情報と時間的に関係づけ、当該個人用電子装置にとりローカルな履歴記録を形成するよう構成される。代わりに、又は加えて、該個人用電子装置はカメラの形態の特定の生体センサ、及び該カメラにより捕捉された画像からユーザを識別すると共に該ユーザの感情状態を決定するパターン認識ソフトウェアを有することもできる。
【0051】
本発明は、添付図面を参照することにより例示として後に更に詳細に説明される。尚、各図において、同様の又は対応する特徴部は同一の符号により示されている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1は、本発明におけるシステムのブロック図である。
図2図2は、本発明における個人用電子装置のブロック図である。
図3図3は、ユーザのネットワーク対応データ通信装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、本発明におけるシステム100のブロック図である。システム100は、例えば第1通信装置102、第2通信装置104、第3通信装置106及び第4通信装置108等の複数の電子通信装置を有している。図1のシステム100において、上記複数の通信装置の各々は、添付請求項に記載されているようなネットワーク対応装置の機能を果たす。システム100は、サーバ110及び例えばインターネット等のデータネットワーク112も有する。上記複数の通信装置の各々は、対応する通信装置とサーバ110との間でデータネットワーク112を介してデータ通信を行うよう構成されたネットワークインターフェース(図示略)を有している。
【0054】
上記複数の通信装置の各々は、対応する生体センサ・サブシステムを収容するか、又は対応する外部生体センサ・サブシステムから生体センサデータを受信するように構成される。例えば、第1通信装置102は第1生体センサ・サブシステム114を収容する一方、第4通信装置108は該第4通信装置108の外部の第4生体センサ・サブシステム116に接続されている。第2通信装置104は第2生体センサ・サブシステム(図示略)を収容するか又は斯かるサブシステムに接続され、第3通信装置106は第3生体センサ・サブシステム(図示略)を収容するか又は斯かるサブシステムに接続される。
【0055】
上述した生体センサ・サブシステムの各々は、1以上の生体センサを有する。既知のように、生体センサは生体遠隔測定及び遠隔生理学的監視の分野で使用される或る種のセンサである。生体センサは1以上の生理的パラメータを感知して、該感知された1以上の生理的パラメータの値を表す出力信号を生成するよう構成される。生理的パラメータの例は、ユーザの心拍数又は脈拍数、血圧、電気皮膚反応、体温、皮膚温度、熱流、呼吸数等である。従って、生体センサの出力信号は、当該生体センサにより監視(モニタ)されている人の生理的状態を表す。
【0056】
上記複数の電子通信装置の各々は、サーバ110に対して、対応する電子通信装置のユーザの感知された生理的状態を表す生体センサデータをアップロードするように構成されている。好ましくは、上記生体センサデータは、該生体センサデータを特定の期間において呈された当該ユーザの生理的状態に関連付けることができるように、タイムスタンプを付されるか又は時間的前後関係におかれる。サーバ110は、前記複数の電子通信装置の各々から受信された各生体センサデータを、データ記憶部118における対応する履歴記録に記憶する。
【0057】
上記生体センサデータは、例えばリアルタイムに、即ち当該生体センサデータが関連する生体センサ・サブシステムからの出力信号から発生された際にアップロードされる。例えば、生体センサデータは連続的に発生され、サーバ110に連続的にアップロードされる。他の例として、生体センサデータは特定の期間の間又は一連の分離された期間の間においてのみ連続的に発生され、斯様な期間の間においてサーバ110に連続的にアップロードされる。上記の分離された期間は、予め計画されたものとすることができるか、又は斯様な各期間がサーバ110からのリクエストに応じて開始されるものとすることができる。更に他の例として、上記生体センサデータは連続的に又は間欠的に発生され、対応する生体センサ・サブシステムが当該通信装置のユーザの生理的状態の大きな変化を検出した際にのみリアルタイムにサーバ110にアップロードされる。即ち、該アップロードされた生体センサデータは、生理的状態の変化を表す。
【0058】
他の例として、上記生体センサデータはサーバ110に遅延された形でアップロードされる。例えば、一連の期間の間に発生された生体センサデータは、継続的に(例えば連続的に)、間欠的に、又はユーザの生理的状態の大きな変化を検出した際に、関係する生体センサ・サブシステムにおいて蓄積されると共にローカルに記憶されるか、又は関係する通信装置においてローカルに記憶される。次いで、一番最近に蓄積された生体センサデータを、例えば1日に1回、週に1回、ユーザのコマンドに応じて又はサーバ110からのリクエストに応じてサーバ110にアップロードすることができる。
【0059】
関連する生体センサ・サブシステムを関連する通信装置に収容し又は永久的に接続する必要はないことに注意すべきである。この場合、ユーザの生体センサ・サブシステムは、ローカルに記憶された生体センサデータを他の装置、例えば当該ユーザの上記通信装置又はUSBスティック等のデータ記憶装置にアンロードするように構成された専用の主体を形成することができる。斯様にして他の装置により入力された生体センサデータは、後に、当該ユーザの通信装置及びデータネットワーク112を介してサーバ110に転送することができる。
【0060】
前記複数の電子通信装置の各々は、移動通信装置又は静止通信装置であり得る。移動通信装置の例は、携帯電話又はスマートフォン、ネットワークインターフェースを備えたパーソナルデジタルアシスタント(PDA)又はパームトップPC、ネットワークインターフェースを備えたラップトップPCである。これらの例の各々は、データネットワーク112を介して無線データ通信を行うように構成された汎用タイプの通信装置を代表する。移動通信装置の他の例は、搭載生体センサ・サブシステムにより発生される生体センサデータを無線通信するように構成された専用の装置である。静止通信装置の例は、ネットワークインターフェースを備えたデスクトップPC、ネットワークインターフェースを備えたラップトップPC、ネットワークインターフェースを備えたホームネットワークである。
【0061】
サーバ110は、データ処理サブシステム120を有する。該データ処理サブシステム120は、特定のユーザの生体センサデータを、特定の期間において当該ユーザにより呈された感情状態又は2以上の特定の期間において該ユーザにより呈された感情状態を決定するために処理するよう構成される。
【0062】
前述したように、人の感情状態は特定の期間において感知された1以上の生理的パラメータの値を表す生体センサデータから決定することができる。
【0063】
しかしながら、斯かる生理的パラメータの値は典型的には感情の強さを示すものであり、必ずしも該感情の価(誘発性)を示すものではない。従って、オプションとして、特定の期間に関係するユーザの生体センサデータに関連する該ユーザの感情状態を確かめるために第1前後関係データを用いることができる。
【0064】
上記第1前後関係データは、例えば彼/彼女の通信装置のユーザインターフェース(図示略)又は彼/彼女の生体センサ・サブシステムのユーザインターフェース(図示略)を介して入力される明示的なユーザ入力により形成することができる。該明示的なユーザ入力は、このユーザの現在の感情を示すように構成される。例えば、上記ユーザインターフェースは複数の予め設定された選択可能なオプションのメニュを提示することができ、これらオプションのうちの各々は複数の感情のうちの特定のものを示す。上記オプションは当該ユーザインターフェースのグラフィック部分に、例えばアイコン若しくはグラフィックス記号として、カラーとして、記入自然言語での言葉若しくは表現として提示することができる。上記メニュのオプションのうちの特定のものを選択することが、ユーザにより選択された該特定のオプションに関連した特定の感情を表す第1前後関係データを発生させる。他の例として、上記ユーザインターフェースは音声/データ変換を行うように構成され、ユーザは彼/彼女の感じられた現在の感情を示す音声コマンドを入力することができる。
【0065】
第1前後関係データは特定の期間に、当該前後関係データに含まれる時間指示情報により、例えばタイムスタンプにより又は該特定の期間を指定する明示的なユーザ入力により関連付けられる。前記複数の通信装置の対応するものから対応する第1前後関係データを受信すると、サーバ110は該第1前後関係データをデータ記憶部118における履歴記録のうちの対応するものに記憶する。上記の各第1前後関係データの時間指示情報は、該各第1前後関係データを、上記対応する通信装置から受信されたものであって該第1前後関係データと同一の期間に関係する生体センサデータに関連付けることを可能にする。従って、データ記憶部118における各履歴記録は、各通信装置の各ユーザにより時間にわたって呈された感情状態を表すものとなる。
【0066】
個々のユーザの特定の感情状態の持続時間、即ち該個々のユーザが該特定の感情状態にあると考えられ得る時間長は、なかでも、該個々のユーザの個性及び該個々のユーザ(彼/彼女)の周囲の世間における変化の該個々のユーザの感じ方に依存する。上記持続時間は、“感情状態”なる概念の定義、及び個人に適用可能であると信ぜられる全感情範囲をカバーすると考えられる異なる感情状態の数にも依存する。加えて、何処で1つの感情状態が終了し、何処で他の感情状態が開始するか、又は個人が単一の時点において単一の感情状態のみを呈し得るか否かは常に明確であるということではない。
【0067】
本発明において、特定の期間において個人に当てはまると判定された特定の感情状態は、この特定の期間における該個人の特定の行動に対して、又は該特定の期間における該特定の行動及び該特定の期間に先行する1以上の他の期間における1以上の他の行動に対して関係づけられるようにされる。後に説明するように、ユーザの感情及び行動の記録された履歴は、日誌として若しくは感情の注釈を伴う簡易ブログとして使用することができるか、又は該記録された履歴はデータ処理システム120により実施化される推奨システムのための基礎として使用することができる。知られているように、推奨システムは、1以上の個人にとり関心又は利益がありそうな情報項目(特定の本、特定の映画、特定の音楽、特定のウェブページ等)、社会的事項(特定のイベント、特定の社会集団、特定の人)、健康に関する問題、食事の問題等に関して該1以上の個人に対して推奨案を作成するために情報を処理及びフィルタリングするシステムである。従って、ユーザの感情状態を該ユーザの1以上の行動に結びつけることができるように、該ユーザの行動に関するデータをサーバ110に供給する必要がある。
【0068】
特定の時間における前記通信装置の特定の1つの特定のユーザの行動は、種々の方法で決定することができる。
【0069】
例えば、ユーザの行動はデータ処理サブシステム120により、彼/彼女の地理的位置から、又は彼/彼女の地理的位置及び該地理的位置の変化の率から推定することができる。第1の筋書きにおいて、第1通信装置102は第1ユーザの地理的位置を追跡する搭載型の第1ナビゲーション支援器122を有する一方、第2通信装置104は該第2通信装置104の外部の第2ナビゲーション支援器124に接続されている。例えば時間に対する第1ユーザの地理的位置は、該第1ユーザの行動を推定するために使用することができる。第1ユーザがレストランに一致する特定の地理的位置の周辺にしばらく留まる場合、該第1ユーザは食事をしている又はコーヒーを飲んでいると結論することがもっともらしく思われる。第1ユーザが特定の現場(例えば、スポーツ競技場、テーマパーク、博物館、ハイキング場、ショッピングモール、オフィスビル、フリーマーケット)に一致する特定の地理的区域内にしばらく留まる場合、第1ユーザは当該特定の現場に関連する行動に関わっていると結論することができるであろう。第1ユーザの地理的位置が時間に伴って変化し、例えば高速道路、鉄道線路、自転車道、ハイキングコース等に一致する地図上の経路に沿う場合、該第1ユーザは移動中であると結論することができる。生体センサデータに関連して前述したように、第1ユーザの地理的位置(又は複数の位置)を表す地理データは、継続的に、間欠的にのみ、又はサーバ110における現地理的位置の更新に値するような地理的位置の変化に際してアップロードすることができる。他の例として、タイムスタンプが付された地理的位置の一番最近の履歴が第1ナビゲーション支援器122に、又は第1通信装置102における他の場所にローカルに記憶され、例えば周期的に、第1通信装置102に対する明示的なユーザ入力に際して、又はサーバ110からのリクエストに際してアップロードされる。
【0070】
上記第1の筋書きに類似する第2の筋書きは、搭載されたナビゲーション支援器は有さないが、代わりに第2通信装置104の外部の第2ナビゲーション支援器124に接続された第2通信装置104の第2ユーザに適用可能なものである。
【0071】
第3の筋書きにおいて、第3通信装置106は、例えばテーマパーク、ショッピングモール、美術展、町の或る区域等の地理的領域に分散された第1無線ビーコン126、第2無線ビーコン128等の複数の無線ビーコンとインターフェース接続されるよう構成されている。この場合、該第3通信装置106の地理的位置は、上記無線ビーコンの1以上に対する当該第3通信装置106の相対位置に基づいて決定することができる。例えば、第3無線装置106は、上記無線ビーコンのうちの特定のものが当該第3通信装置106の近傍内にある場合、該特定のビーコンの存在を登録するように構成される。他の例として、第3通信装置106は、上記無線ビーコンに対する当該第3通信装置の相対位置を、受信される無線信号の信号強度に基づいて決定するように構成される。生体センサデータに関連して前述したように、第3ユーザの地理的位置を表すデータは、継続的に、間欠的にのみ、又はサーバ110における現在の地理的位置の更新に値するような地理的位置の変化に際してアップロードすることができる。他の例として、地理的位置の一番最近の履歴が第3通信装置106においてローカルに記憶され、例えば周期的に、該第3通信装置106に対する明示的なユーザ入力に際して、又はサーバ110からのリクエストに際してアップロードされる。
【0072】
特定の期間における上記通信装置のうちの特定のもののユーザの行動は、例えば該ユーザのカレンダから決定することもできる。例えば、第4通信装置108は、将来の特定の日付を、該特定の日付に計画された又は該日付に関連する約束、イベント、行動、催促等の1以上の特定の記入により印すための、第4ユーザの電子カレンダ(図示略)を有している。この場合、該カレンダの印付けを表すデータを該第4通信装置108からサーバ110へアップロードすることができる。データ処理サブシステム120は、該カレンダの印付けを表すデータを第4生体センサ・サブシステム116らの生体センサデータと相関させて、感情状態と行動との間の時間的関係を確立する。
【0073】
特定の期間における前記通信装置のうちの特定のもののユーザの行動は、例えば、第2前後関係データを発生するための該特性の通信装置に対する明示的なユーザ入力から決定することもできる。例えば、該特定の通信装置はユーザが該通信装置のユーザインターフェース(図示略)を介してオプションのメニュから特定の行動を表す特定のオプションを選択することを可能にする。該特定のオプションの選択は、上記特定の行動を表す第2前後関係データがサーバ110にアップロードされるように、又は後にサーバ110にアップロードされるためにタイムスタンプと共に該特定の通信装置にローカルに記憶されるように整える。次いで、前記データ処理サブシステム120は、上記行動を表す受信された第2前後関係データを処理し、このデータを、当該期間に関連付けられた履歴記録に追加する。
【0074】
従って、データ記憶部118は個々のユーザの生体センサデータ及び/又は感情状態に関するデータ、並びに個々のユーザの行動に関する他のデータを蓄積すると共に、このデータを個々の履歴記録に記憶させる。かくして、これらの履歴記録は、データネットワーク112上でサービスを提供する種々の応用シナリオで使用することができる。応用シナリオの例を、以下に記載し、例示として第1ユーザ、即ち第1通信装置102のユーザに関連して解説する。尚、当該応用シナリオは他の通信装置の他のユーザのいずれに対しても適用可能であることは明らかであろう。
【0075】
第1の応用シナリオにおいて、サーバ110は第1ユーザに関する履歴記録をデータ記憶部118に維持する。該第1ユーザの履歴記録は、互いに時間的に関係づけられた第1ユーザの感情状態及び該第1ユーザの行動に関する該第1ユーザの履歴を表す。例えば、第1ユーザの行動は当該履歴記録において該第1ユーザの感情状態に関する前後状況を提供するように表される。第1ユーザは、この第1ユーザの第1通信装置102又は他の認可されたネットワーク対応装置を介して、該第1ユーザの感情状態及び/又は該第1ユーザの行動に関する追加の情報を提供する追加の注釈データをアップロードすることができる。該追加の注釈データは、感情状態の前後状況を強化又は飾るために該第1ユーザの履歴記録に追加される。例えば、第1ユーザはサーバ110に該第1ユーザの特定の行動に関係づけられた1以上のテキスト記入、画像、ビデオクリップ又はオーディオクリップをアップロードする。アップロードされた該追加データは、サーバ110によりタイムスタンプが付され、関連する履歴記録に第1ユーザの現在の行動及び現在の感情状態に関連付けられて書き込まれる。他の例として、第1ユーザはサーバ110に対して、アップロードされた追加データは該第1ユーザの履歴記録における特定の期間に又は過去における該第1ユーザの特定の行動に遡及的に関連付けられるべきであると指定することができる。このようにして、該第1ユーザの履歴記録は、第1ユーザに対する個人的日誌又は個人的日記として働く。サーバ110における個人的日誌又は個人的日記はデータネットワーク112を介して当該第1ユーザにより調べることができ、後にデータネットワーク112を介して編集することができる。
【0076】
第1ユーザは1以上の他の人にデータ記憶部118における該第1ユーザの履歴記録に維持された彼/彼女の個人的日誌にアクセスすることを認可することができる。例えば、第1ユーザは彼/彼女の配偶者が彼/彼女の個人的日誌の全内容に何時でもアクセスすることを認可する。第1ユーザは、友人が該ユーザ(彼/彼女)の個人的日誌の1以上の特定の部分のみに何時でも又は所定の長さの時間のみアクセスすることを認可する。上記日誌の特定の部分は、当該履歴記録における記入の時間的側面、地理的側面、感情的側面又は意味的側面等の該履歴記録における特定の部分を識別するのに役立つ1以上の属性により特徴付けられ得る。例えば、上記特定の部分は過去の特定の日又は過去の特定の日における特定の時刻に関係する。他の例として、上記特定の部分は、第1ユーザにより訪問され、当該履歴記録に行動として記録された場所等の地理的位置に関するものである。他の例として、上記特定の部分は、当該履歴記録に記録された第1ユーザの1以上の特定の行動、例えば第1ユーザの毎週のテニス試合に関するものである。更に他の例として、上記特定の部分は第1ユーザの特定の感情状態に関するものである。更に他の例として、上記特定の部分は、アップロードされた追加データの1以上の特定の特徴、例えば1以上のテキスト記入において現れる特定のキーワード、又は画像、オーディオクリップ、ビデオクリップ等の1以上の識別子に現れる特定のキーワードに関するものである。
【0077】
第1ユーザは上記他の人を、データネットワーク112を介して該他の人のネットワーク対応装置に招待状を送信することにより認可することができる。該招待状は、好ましくは、事前にフォーマッティングされると共に、該他の人がサーバ110に維持された第1ユーザの履歴記録にアクセスすることを認可するように構成された認可データを含む。好ましくは、上記招待状は、サーバ110における第1ユーザの履歴記録にアクセスするための該他の人の手順を自動化又は少なくとも容易化するための組込スクリプトを備えた電子招待状である。上記他の人は上記認可データを供給することによりデータネットワーク112を介してサーバ110に接触する。サーバ110のデータ処理サブシステム120は上記認可データの有効性を検証し、該サーバ110に接触している上記他の人の素性(アイデンティティ)を検証する。オプションとして、データ処理サブシステム120は、第1ユーザに、該他の人に対して認可を与えたかを確認するよう要求することができる。データ処理サブシステム120は、上記認可が有効であることが分かったら、上記他の人に第1ユーザの履歴記録又は該履歴記録の1以上の特定の部分にアクセスするためのアクセス権を許可し、上記認可が無効であることが分かったら、アクセスを拒否する。識別処理、認証処理及び認可処理を含むアクセス制御技術はコンピュータセキュリティの分野で良く知られているので、ここでは更に詳細には説明しない。
【0078】
第2の応用シナリオにおいて、サーバ110は基準プロフィールの第1データベース130及び加入者プロフィールの第2データベース132を維持する。
【0079】
第1データベース130内の基準プロフィールの各々は、前記通信装置のユーザのうちの1以上の特定の組の人の特徴を表し、これらユーザの間には第1通信装置102の第1ユーザ、第2通信装置104の第2ユーザ、第3通信装置106の第3ユーザ、第4通信装置108の第4ユーザ等が存在する。
【0080】
第1データベース130内の上記基準プロフィールは事前に決定されたものであり得る。例えば、前記通信装置のユーザは、これらユーザの生活様式に関する関心、好み及び嫌悪を明示的に宣言するように依頼されている。この場合、第1データベース130における上記基準プロフィールは、上記通信装置のユーザの宣言された関心、好み及び嫌悪に基づいて形成される。他の例として、第1データベース130における上記基準プロフィールは、データ記憶部118内の履歴記録に基づいて形成される。例えば、第1データベース130における特定の基準プロフィールは、前記通信装置のユーザの特定の部分組における各ユーザの特徴の1以上の公分母(common denominators)、例えば履歴記録に記録された1以上の特定の行動、又は行動に相関された感情における特定のパターンにより形成される。
【0081】
第2データベース132における特有の各加入者プロフィールは、サーバ110により提供される推奨サービスに対する加入者のプロフィールである。該第2データベース132における特定の加入者プロフィールは、必ずしもということではないが、前記通信装置のうちの特定のものの特定のユーザの加入者プロフィールとすることができる。加入者がサーバ110の推奨サービスに登録する際、これら加入者は生活様式に関する関心、好み及び嫌悪を告げるように要求される。
【0082】
サーバ110における推奨サービスにおいて、データ処理サブシステム120は特定の加入者プロフィールを第1データベース130に記憶された1以上の基準プロフィールと照合する。第1データベース130における基準プロフィールの各々は、行動が感情に相関されている1以上の履歴記録を表している。合致した基準プロフィールは、データ記憶部118における1以上の履歴記録に関連付けられる。該合致した基準プロフィールの上記1以上の履歴記録は、ポジティブな感情状態を生じさせた特定の行動に関する情報を有している。次いで、サーバ110は上記特定の加入者に対して斯様な特定の行動又は同様の行動を提案することができる。例えば、サーバ110は、当該特定の加入者の地理的範囲内で近い将来に行うように計画されたものであって、その性質が上記合致した基準プロフィールによればポジティブな感情的状態を生じさせた特定の行動の1以上に対応するイベント(例えば、スポーツイベント、公演芸術イベント、展覧会、祭、フリーマーケット等)をワールドワイドウェブ134上で検索する。次いで、サーバ110は、このようなイベントの通知を、データネットワーク112を介して上記特定の加入者に送信する。他の例として、サーバ110は上記基準プロフィールに関連付けられた1以上の履歴記録を検索して、該基準プロフィールによればポジティブな感情状態に関連する記録された行動に関係する特定のコンテンツ情報(例えば、本、映画、音楽、ビデオゲーム等)、特定のハードウェア品目(例えば、玩具、収集品、工具等)及び/又は特定の行動(特定の地域をハイキングする、特定のレストランで食事する、特定のスポーツ試合に参加する、特定の趣味を始める等)に対するポインタの存在を見付ける。
【0083】
上記特定の加入者が実際に前記通信装置のユーザのうちの特定のユーザである場合、データ処理サブシステム120は、データ記憶部118内の該加入者の履歴記録に記憶された該特定の加入者の行動に依存して生じる該特定の加入者の感情状態の進展のパターンを検索することができる。データ処理サブシステム120が上記特定の加入者のポジティブな感情状態の強さの低下傾向の最近の発生、ネガティブな感情状態の強さの上昇傾向の最近の発生を特定したか、又はデータ処理サブシステム120が上記特定の加入者のポジティブな感情状態から該特定の加入者のネガティブな感情状態への最近の切り替わりを検出したと仮定する。この場合、データ処理サブシステム120は、この特定の加入者が一層ポジティブな感情状態を取り戻す助けとなり得る手掛かりを求めて、上記基準プロフィールに関連付けられた1以上の履歴記録を分析することができる。例えば、上記基準プロフィールの1以上の履歴記録が、上記特定の加入者のものと同様の行動を背景として、該特定の加入者のものと同様の感情的傾向のパターンを含むことが分かるかも知れない。この場合、データ処理サブシステム120は上記基準プロフィールの履歴記録の各々における後続の一連の出来事を分析して、該特定の加入者が一層ポジティブな感情状態に到達することを助け得る特定のコンテンツ情報、ハードウェア品目又は行動に対するポインタを見付けることができる。このようなポインタが見付かった場合、サーバ110は、例えばデータネットワーク112を介して、上記特定のコンテンツ情報、ハードウェア品目又は行動を示す推奨案を当該特定の加入者に送信する。そうした後、データ処理サブシステム120は該特定の加入者の感情状態をモニタして、上記推奨案が当該感情状態に対してポジティブな影響を有したか否かをチェックすることができる。ポジティブな影響を有した場合、このことは、感情的傾向のパターンと該特定の加入者に関して見付かったポインタの有用性との間の関係を補強し得る。この場合、見付かったポインタは、データ処理サブシステム120による将来の参照のために、第2データベース132に維持された当該特定の加入者のプロフィールに追加される。
【0084】
代わりに、又は加えて、データ処理サブシステム120は上記特定の加入者が一層ポジティブな感情状態を取り戻すのを助け得る手掛かりを求めて該特定の加入者の履歴記録を分析することができる。例えば、この特定の加入者の履歴記録は、過去に生じたものであって、過去の傾向に関連するものと同等の現在の行動を背景として感情的傾向の現在のパターンに類似する感情的傾向の1以上のパターンを含むことが判明し得る。この場合、データ処理サブシステム120は当該特定の加入者の履歴記録における後続の一連の出来事を分析して、該特定の加入者が一層ポジティブな感情状態に到達することを現在助け得る特定のコンテンツ情報、ハードウェア品目又は行動に対するポインタを見付けることができる。このようなポインタが見付かった場合、サーバ110は、例えばデータネットワーク112を介して、上記特定のコンテンツ情報、ハードウェア品目又は行動を示す推奨案を当該特定の加入者に送信する。そうした後、データ処理サブシステム120は該特定の加入者の感情状態をモニタして、上記推奨案が当該感情状態に対してポジティブな影響を有したか否かをチェックすることができる。ポジティブな影響を有した場合、このことは、感情的傾向のパターンと該特定の加入者に関して見付かったポインタの有用性との間の関係を補強し得る。この場合、見付かったポインタは、データ処理サブシステム120による将来の参照のために、第2データベース132に維持された当該特定の加入者のプロフィールに追加される。
【0085】
図1のブロック図におけるシステム100は、通信装置のユーザの集団に対して日記サービスを、又は斯様なユーザの集団に及び/又は生体センサデータのアップロードに参加していない斯様なサービスへの加入者に対して推奨サービスを提供するクライアント/サーバアーキテクチャを形成している。
【0086】
図2は個人用電子装置200のブロック図を示すもので、該個人用電子装置200は図1のシステム100を参照して上述した通信装置の各々のデータ収集機能、並びに該個人用電子装置200のユーザに対する推奨サービスの提供及び/又は個人的日記の維持を行う。従って、生体センサデータ、感情データ及び行動データは該個人用電子装置200を離れる必要はない。
【0087】
該個人用電子装置200は、前述したような生体センサデータを生成するための生体センサ201(又は生体センサに接続する入力部)を有する。個人用電子装置200は、上記生体センサデータを、オプションとして当該生体センサデータが発生又は入力された特定の期間に関する指示情報と一緒に、該個人用電子装置200における履歴記録202に記憶するように構成されている。
【0088】
個人用電子装置200は、ユーザの行動を表す行動データを特定の期間に関係するものとして決定する構成部品も有している。例えば、該個人用電子装置200は、特定の期間における当該個人用電子装置200の(従って、該装置のユーザの)地理的位置を表す地理データを発生するナビゲーション支援器203を有する。該個人用電子装置200は、上記地理データを、該地理データが発生され又は入力された上記特定の期間に関係する指示情報と一緒に当該個人用電子装置200における履歴記録202に記憶するように構成されている。この場合、ユーザは後に彼/彼女の履歴記録202を調べ、当該個人用電子装置200のユーザインターフェース204を介して行動に関する注釈を追加することができる。代わりに、又は加えて、個人用電子装置200は、該個人用電子装置200において電子カレンダを実施化するソフトウェアアプリケーション206を有する。この場合、特定の期間に関連付けてなされた記入は、この期間における当該ユーザの1以上の行動を示すものであり得る。代わりに、又は加えて、ユーザは個人用電子装置200に対して彼/彼女の行動をユーザインターフェース204との明示的なユーザ対話を介して指定する。例えば、ユーザインターフェース204は、各々が個々の行動を表す事前に設定された選択可能なオプションのメニュを提示する。該ユーザインターフェース204とのユーザの明示的ユーザ対話に応答して、該個人用電子装置200は、ユーザにより指定された行動を表す第2前後関係データを発生する。従って、該個人用電子装置200は、特定の期間に関係する当該ユーザの特定の行動に関する行動データを取得する。
【0089】
ユーザは、個人用電子装置200に対しユーザインターフェース204との明示的なユーザ対話を介して彼/彼女の感情状態に関する第1前後関係データを指定することもできる。例えば、ユーザインターフェース204は、各々が個々の感情状態を表す事前に設定された選択可能なオプションの他のメニュを提示する。該ユーザインターフェース204とのユーザの明示的ユーザ対話に応答して、該個人用電子装置200は、ユーザにより解釈された該ユーザの感情状態を表す第1前後関係データを発生する。この場合、前記生体センサデータ及び該第1前後関係データを、感情データにより表される該ユーザの感情状態を決定するために使用することができる。上記行動データ及び感情データは履歴記録202に特定の期間に関係するものとして記録される。従って、履歴記録202は、当該個人用電子装置200のユーザの履歴を表すデータを、互いに時間的に関係付けられた該ユーザの感情状態及び該ユーザの行動に関して記憶する。
【0090】
個人用電子装置200はデータ処理システム208も有する。生体センサ201がユーザの生理的状態をモニタしている間、及び履歴記録202が感情データ及び行動データを蓄積している間に、該データ処理システム208は当該ユーザの最近の感情状態の傾向を分析する。該傾向が負の感情価の方向への感情状態の進展を表す場合、又はネガティブな感情の強さが増加している場合、データ処理システム208は履歴記録202を調べて、当該感情状態を正の感情価又は一層強いポジティブな感情の一方へ転換させると思われる特定の行動の形での転換点を特定するために感情傾向の合致するパターンを見付ける。他の例として、データ処理システム208は、このユーザの履歴記録においてポジティブな感情に常に関連付けられている行動を見付けることもできる。次いで、該データ処理システム208は該個人用電子装置200のユーザに対して、上記特定の行動のうちの、例えば1日における時間、現在の地理的位置又は電子カレンダ206における記入等から導出することができる当該ユーザの現在の状況に適合し得る1以上を行わせる推奨案を供給する。
【0091】
図3は、ユーザのネットワーク対応データ処理装置300のブロック図であり、図1を参照して前述した第1通信装置102の機能が当該ユーザの異なるデータ処理装置の間に分散されている。
【0092】
図3に示す例において、前記第1通信装置102の第1生体センサ・サブシステム114の機能は、該ネットワーク対応データ処理装置300では生体センサ・サブシステム302を有する物理的に分離した主体により実施化されている。該生体センサ・サブシステム302はネットワーク対応装置304を介してデータ通信ネットワーク112に、タイムスタンプが付された生体センサデータをサーバ110に対して発生された時点に又は該生体センサ・サブシステム302に時間にわたり蓄積された生体センサデータのバッチの形でアップロードするために、ユーザがそう望む際に、又は永久的に接続することができる。
【0093】
図示された例のネットワーク対応データ処理装置300は、特定の時間間隔にわたり当該ユーザの地理的位置を決定する機能を備えた別個の主体(例えば、GPS受信器306)も有している。該GPS受信器306は他のネットワーク対応装置308を介してデータ通信ネットワーク112に、タイムスタンプが付された地理データをサーバ110に対して発生された時点に又は該GPS受信器306に時間にわたり蓄積されたタイムスタンプが付された地理データのバッチの形でアップロードするために、ユーザがそう望む際に、又は永久的に接続することができる。前述したように、ユーザの行動は、状況次第で、彼/彼女の時間にわたる地理的位置(又は複数の地理的位置)から推定することができる。
【0094】
図3に示された例のネットワーク対応データ処理装置300は、電子カレンダの機能を備えた別個の主体も有している。該電子カレンダ310は他のネットワーク対応装置312を介してデータ通信ネットワーク112に、カレンダ記入をサーバ110に対してアップロードするために、ユーザがそう望む際に、又は永久的に接続することができる。前述したように、ユーザの行動は、状況次第で、彼/彼女の電子カレンダになされた記入から推定することができる。
【0095】
図3に示された例のネットワーク対応データ処理装置300は、電子データ通信装置314の機能を備えた別個の主体、例えばスマートフォン、も有している。スマートフォン314はデータネットワークインターフェース316を有し、ローカルな記憶部318に通信履歴を維持するように構成されている。該通信履歴は、当該ユーザにより送信され又は該ユーザにより受信及び開封されたEメール、該ユーザにより掛けられ又は受けられた電話、該ユーザにより送信又は受信されたSMSメッセージ、ワールドワイドウェブを閲覧している間に該ユーザにより訪問されたウェブサイト等に関する情報を有する。前述したように、ユーザの行動に関する詳細は、状況次第で、通信履歴から推定することができる。
【0096】
図3に示された例のネットワーク対応データ処理装置300は、モデム322が装備された別個のPC320も有している。該PC320は、テキスト入力に適したユーザインターフェース324(例えば、キーボード)及び例えばコンピュータマウス(図示略)を介して対話されるグラフィックユーザインターフェース(GUI)326を有している。PC320は、ユーザにサーバ110に維持される彼/彼女の履歴記録にアクセスさせると共に、該ユーザに彼/彼女の履歴記録をアルファベットテキストにより及び画像、ビデオクリップ、オーディオクリップ等により編集又は修飾させる。該PC320は当該ユーザに前記第1前後関係データ(該ユーザにより解釈された該ユーザの感情状態を表す)及び/又は前記第2前後関係データ(該ユーザにより解釈された該ユーザの行動を表す)も蓄積及びアップロードさせる。
図1
図2
図3