【課題を解決するための手段】
【0009】
本特許出願の目的は、マイクロカプセル化された消火組成物を基にした消火特性を有する複合材料から作成された自動消火剤を開発することであり、それは、固相基板を用いることなく、耐久性があり、頑丈で、かつ可撓性を有しており、実際の使用に適している。
【0010】
本発明の技術的効果は、消火特性を有し、かつ消火組成物で満たされて、2〜100μm(つまり、2.10
−6m〜10
−4m)の範囲の大きさを有するマイクロカプセル、及び結合剤を含む材料から作成される自動消火剤において達成される。前記マイクロカプセルはハロカーボンがポリ尿素及び/又はポリウレタンの高分子シェル中に封入されて成り、前記結合剤は高分子成分並びに鉱物繊維及び/又は鉱物粒子を含む複合材料である。前記ハロカーボンはポリイソシアネートプレポリマーを基にしたポリ尿素及び/又はポリウレタンの高分子シェル中に封入され、前記ハロカーボンは1,1,2,2‐テトラフルオロジブロモエタン、及び/又は1,1,2‐トリフルオロトリクロロエタン、及び/又は2‐ヨード‐1,1,1,2,3,3,3‐ヘプタフルオロプロパン、及び/又はそれらと他のハロカーボンとの混合物である。
【0011】
混合物中の他のハロカーボンは、好ましくは下記の第2物質のうちのいずれか1つを含む:(a)1,1,2,2‐テトラフルオロエタン;(b)1,1‐ジフルオロ‐2,2,2‐トリクロロエタン;(c)1,2‐ジフルオロトリクロロエタン;(d)1,1‐ジフルオロ−1,2‐ジクロロエタン;(e)1,2‐ジフルオロ‐1,1‐ジクロロエタン;(f)1,1‐ジフルオロ‐1‐クロロエタン;(g)1‐フルオロ‐1,1‐ジクロロエタン;(h)1‐フルオロ‐2‐クロロエタン;(i)ペンタフルオロクロロエタン;(j)1,1,2,2‐テトラフルオロジクロロエタン;(k)1,1,1‐トリフルオロトリクロロエタン;(l)1,1,2‐トリフルオロトリクロロエタン;(m)1,1‐ジフルオロテトラクロロエタン;及び(n)1,2‐ジフルオロテトラクロロエタン。
【0012】
好ましくは、鉱物繊維は下記の材料のうちの少なくとも1つを含む:(a)ガラス繊維;(b)玄武岩繊維;(c)天然鉱物の繊維;及び(d)合成鉱物の繊維。
【0013】
好ましくは、鉱物粒子は下記の材料のうちの少なくとも1つを含む:(a)方解石;(b)大理石;(c)白亜;(d)天然鉱物;及び(e)合成鉱物。
【0014】
好ましくは、高分子成分は下記の物質のうちの少なくとも1つを含む:(a)アクリル樹脂;(b)アルキド樹脂;(c)グリプタル樹脂;(d)ラテックス樹脂;(e)ペンタフタル樹脂;(f)エポキシ樹脂;(g)ポリウレタン;(h)ポリ尿素;(i)ポリビニルアルコール;及び(j)ポリ酢酸ビニル。
【0015】
消火剤はプレートの形態で製造されることが好ましい。
【0016】
ポリイソシアネートプレポリマーを基にしたポリ尿素又はポリウレタンから作成されるマイクロカプセルは、高い強度を有するためにハロカーボンで満たすことができ、また、110〜165℃の範囲の特定の温度で破裂する薄いシェルを有する。消火剤に対してシェルは長期にわたってしっかりと密閉されたままであるため、最大10%の効率損失で数年間貯蔵することができる。
【0017】
ポリイソシアネートは数千のヒドロキシル基又はアミノ基と反応するため、本発明において使用されるポリイソシアネートプレポリマーは、より強い化学結合を有する「濃密」で多孔質なポリ尿素高分子及び/又はポリウレタンを作り出すために必要不可欠である。
【0018】
高分子成分並びに鉱物繊維及び/又は鉱物粒子を含む複合高分子材料である結合剤は、消火剤に強度、可撓性、及び耐久性をもたらす。
【0019】
高分子成分の特性は消火剤を製造するために有益であり、マイクロカプセル及び複合材料のその他の成分は樹脂中で分散され、そして得られた液体は請求項に係る消火剤に成形及び固化される。
【0020】
鉱物成分は、消火剤の製造工程の間にカプセルが充填物中に均一に分布することを助けるため、充填物は乾燥時にカプセルを押圧しない。鉱物繊維は、得られた材料に亀裂が入ることを防ぎ、かつ鉱物粒子により材料中の全カプセルのために材料中に空気孔が形成されて発火に応じて機能するため、カプセル中に包含された全てのガスが、その一部分だけではなく、消火のために使用される。
【0021】
消火剤のプレート形状の幾何学は、使用時に消火剤の最大効率をもたらす。プレート形状の他に、消火剤は特定の対象物を保護するのに適した任意の他の形状を有してもよい。
【0022】
本発明の第2実施形態によれば、本発明は、請求項に係る発明による自動消火剤の製造方法に関する。本方法は下記の製造段階を含む:
−消火剤とポリイソシアネートとの第1混合物を調整する段階;
−ポリビニルアルコールの水溶液中で第1混合物の乳濁液を得る段階;
−得られた乳濁液をポリエチレンポリアミンの水溶液に添加する段階;
−水中でマイクロカプセルの懸濁液を生成する段階;
−懸濁液と結合剤との第2混合物を調製する段階;
−第2混合物からプレートを成形する段階;
−プレートを乾燥する段階;
−接着剤層をプレートの片面に適用する段階;
−接着剤層を剥離可能な保護フィルムで被覆する段階;及び
−プレートを特定の大きさの片に切断する段階。
【0023】
この製造方法は、使用時に、消火剤を強力に放出し、かつ可撓性を有し、頑丈で、耐久性、信頼性があり、軽量である、非常に効果的な消火剤を得るのに役立つ。
【0024】
本発明の第3実施形態によれば、本発明は、本発明の自動消火剤を使用して発火後10〜20秒以内に消火する対象物に関連する。
【0025】
本発明は、例えば配電盤及び電源ボックス(特に電源コンセントボックス)、車両のエンジンベイ、変電所、サーバーステーション、並びにその他の電気開閉装置及び電力装置などの対象物を、火災による破壊から保護するのに効果的に役立つ。
【0026】
本発明のその他の特徴的な機能及び利点は、本明細書に添付される
図1〜4を参照しながら、以下の例示的かつ非限定的な記載から明らかとなろう。
【0027】
本特許出願を図面により説明する: