(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の電気絶縁素子、前記第2の電気絶縁素子、および前記エレクトロルミネッセンス半導体材料を合わせたものが前記第3の副層を構成している、請求項1に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願全体にわたって、構成要素が、特定の構成要素を有する、含む、または含んでなると記載される場合、あるいはプロセスが、特定のプロセスステップを有する、含む、または含んでなると記載される場合、本教示の構成要素は、記載の構成要素から本質的になる、またはからなることも考慮され、本教示のプロセスは、記載のプロセスステップから本質的になる、またはからなることも考慮される。
【0011】
本願において、要素または構成要素が、記載の要素または構成要素のリストに含まれるおよび/またはそのリストから選択されると記載される場合、要素または構成要素は、記載の要素または構成要素のいずれか1つであってよく、あるいは記載の要素または構成要素の2つ以上からなる群から選択できることを理解すべきである。さらに、本明細書において明示的であっても暗黙的であっても、本明細書に記載の組成物、装置、または方法の要素および/または特徴は、本教示の意図および範囲から逸脱することなく種々の方法で組み合わせることができることを理解すべきである。
【0012】
用語「含む」(include)、「含む」(includes)、「含むこと」(including)、「有する」(have)、「有する」(has)、または「有すること」(having)の使用は、特に他の記載のない限りは、一般に範囲が限定されず非限定的であるとして理解すべきである。
【0013】
特に他の記載のない限り、本明細書における単数形の使用は複数形を含む(逆も同様である)。さらに、定量値の前に用語「約」が使用される場合、特に他の記載がなければ、本教示は、その特定の定量値自体をも含む。本明細書において使用される場合、用語「約」は、他の指定および意味がなければ、公称値から±10%のばらつきを意味する。
【0014】
本教示が依然として実施可能である限りは、ステップの順序または特定の行為を行う順序は重要ではないことを理解すべきである。さらに、2つ以上のステップまたは行為を同時に行うことができる。
【0015】
本明細書において使用される場合、「p型半導体材料」、「p型半導体」、または「p型OSC」は、主要な電流または電荷キャリアとして正孔を有する半導体材料または半導体化合物を意味する。ある実施形態においては、p型半導体材料が基板上に堆積される場合、約10
-5cm
2/Vsを超える正孔移動度を得ることができる。電界効果デバイスの場合、p型半導体は、約10を超える電流オン/オフ比を示すこともできる。ある実施形態においては、p型OSCは、約−6.4V以上、好ましくは約−6.2V以上、より好ましくは約−6.0V以上の最高被占分子軌道(HOMO)エネルギーを特徴とすることができる。
【0016】
本明細書において使用される場合、「n型半導体材料」、「n型半導体」、または「n型OSC」は、主要な電流または電荷キャリアとして電子を有する半導体材料または半導体化合物を意味する。ある実施形態においては、n型半導体材料が基板上に堆積される場合、約10
-5cm
2/Vsを超える電子移動度を得ることができる。電界効果デバイスの場合、n型半導体は、約10を超える電流オン/オフ比を示すこともできる。ある実施形態においては、n型OSCは、約−3.2V以下、好ましくは約−3.6V以下、より好ましくは約−4.0V以下の最低空分子軌道(LUMO)エネルギーを特徴とすることができる。
【0017】
本明細書において使用される場合、「移動度」は、電荷キャリア、たとえば、p型半導体材料の場合は正孔(または正電荷の単位)、およびn型半導体材料の場合は電子が、電界の影響下で材料を移動する速度の尺度を意味する。デバイスアーキテクチャに依存するこのパラメータは、電界効果デバイスまたは空間電荷電流測定によって測定することができる。
【0018】
本明細書において使用される場合、「溶液処理可能」は、スピンコーティング、印刷(たとえば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、リソグラフ印刷、大量印刷など)、スプレーコーティング、エレクトロスプレーコーティング、ドロップキャスティング、ディップコーティング、およびブレードコーティングなどの種々の溶液相処理に使用可能な化合物、材料、または組成物を意味する。
【0019】
種々の図面全体にわたって類似の参照番号が類似の要素を表す図面を参照すると、従来の有機発光トランジスタ(OLET)は、基板2、ゲート電極4、ゲート電極に結合したゲート絶縁(誘電体)層6、活性チャネル層8、ならびにどちらも活性チャネル層に接触する正孔電極12および電子電極14を含む積層構造を通常は有する。正孔電極12および電子電極14は、同じ面上に配置され、チャネル領域の長さ(L)を画定する距離だけ間隔があけられる。活性チャネル層は、個別にまたは組み合わせによって電子輸送、正孔輸送、および発光の機能を果たすことができる1種類以上の有機半導体材料を含むことができる。たとえば、
図1に示される三層ヘテロ構造OLETにおいて、活性チャネル層8は、それぞれが反対の種類の電荷キャリアを輸送できるように適合させた副層8aおよび8cと、正孔および電子の再結合を促進して発光するように適合させた副層8bとを含むことができる。
【0020】
正孔電極、電子電極、およびゲート電極は、チャネル層に対して種々の配置を有することができる。
図1aは、ボトムゲートトップコンタクトOLET10aを示しており、ゲート電極4は、チャネル層8の下に(基板2に接触して)配置され、正孔電極12および電子電極14は、チャネル層8の上に(チャネル層8の第1の(最も上の)側16に接触して)配置される。
図1bは、ボトムゲートボトムコンタクトOLET10bを示しており、ゲート電極4は、チャネル層8の下に(基板2に接触して)配置され、正孔電極12および電子電極14は、誘電体層6とチャネル層8の第2の(最も下の)側18との間の界面に配置される。
図1cは、トップゲートボトムコンタクトOLET10cを示しており、ゲート電極4は、チャネル層8の上に配置され、正孔電極12および電子電極14は、基板2とチャネル層8の第2の(最も下の)側18との間の界面に配置される。
図1dは、トップゲートトップコンタクトOLET10dを示しており、ゲート電極4は、チャネル層8の上に配置され、正孔電極12および電子電極14は、誘電体層6とチャネル層8の第1の(最も上の)側16との間の界面に配置される。
【0021】
図1への参照を続けると、従来のOLETは、同一平面上の正孔電極12および電子電極14を有し、これらを正電荷キャリア(正孔)および負電荷キャリア(電子)がそれぞれ通過して、活性チャネル層8に注入される。統計学的には、チャネル層に注入されるわずかな比率の正孔および電子が励起子に変換されて、光を発生する。これは、発光副層に静電気的に引き寄せられる正孔輸送副層からの正孔および電子輸送副層からの電子のみが再結合して励起子を形成するからである。特に、正孔電極と電子電極との間のチャネル領域中の正孔および電子は、電極のすぐ下または上にあるチャネル層の一部に位置する正孔および電子よりも、再結合して励起子を形成する可能性がはるかに高い。
【0022】
正孔電極と電子電極との間のチャネル領域での電荷キャリアの局在化を向上させるために、本教示は、チャネル層中に配置された1つ以上の電気絶縁素子を有する新規OLET構造に関する。電気絶縁素子が個別にまたは組み合わせで、チャネル領域の全長に延在しないのであれば、1つ以上の電気絶縁素子は、互いに対して、およびチャネル層の種々の副層に関して種々の方法で配置することができる。電気絶縁素子は、正孔電極および/または電子電極のすぐ下または上の領域への電荷キャリアの移動に対する物理的障壁となり、それによって、正孔電極と電子電極との間のチャネル領域中により多くの電荷キャリアが局在化する。種々の実施形態において、電気絶縁素子は、チャネル層の発光副層中に埋め込んだり、または他の方法で接触させて配置したりすることができる。
【0023】
図2を参照すると、電気絶縁素子は、正孔電極および電子電極のそれぞれのすぐ上または下に存在することができる。たとえば、正孔電極12および電子電極14の両方が第1の電荷輸送副層8cに接触するボトムゲートトップコンタクトOLET(20aまたは20b)において、チャネル層は、正孔電極12と第2の電荷輸送副層8aとの間に配置された第1の電気絶縁素子22、および/または電子電極14と第2の電荷輸送副層8aとの間に配置された第2の電気絶縁素子24を含むことができる。第1および第2の電気絶縁素子は、副層8a、8b、または8cのいずれの中にも埋め込むことができるが、製造を容易にするため(たとえば、堆積/フォトリソグラフィ/エッチングのステップの数を最小限に維持するため)、第1および第2の電気絶縁素子を電荷輸送副層8aの上(
図2a)または発光副層8bの上(
図2b)のいずれかに堆積することができる。同様に、正孔電極12および電子電極14の両方が第1の電荷輸送副層8cに接触して基板2上に堆積されるトップゲートボトムコンタクトOLET(20cまたは20d)において、チャネル層は、正孔電極12と第2の電荷輸送副層8aとの間に配置される第1の電気絶縁素子22、および/または電子電極14と第2の電荷輸送副層8aとの間に配置される第2の電気絶縁素子24を含むことができる。この場合も、第1および第2の電気絶縁素子は副層8a、8b、または8cのいずれの中にも埋め込むことができるが、製造を容易にするため、第1および第2の電気絶縁素子を電荷輸送副層8cの上(
図2c)または発光副層8b(
図2d)の上のいずれかに堆積することができる。
【0024】
ある実施形態においては、本発明のOLETは、非プレーナ型の正孔電極および電子電極を有することができる。当業者によって理解されているように、正孔電極および電子電極のそれぞれは、ゲート電圧の極性に依存して、ソース電極およびドレイン電極(またはその逆)として機能することができる。簡潔に述べると、ソース電極は通常は接地されるので(0V)、ゲート電圧が−100Vでありドレイン電圧が−80Vである場合は、ソース電極が正孔電極となり(負にバイアスされる)、ドレイン電極が電子電極となる(正にバイアスされる)。他方、ゲート電圧が+100Vである場合、ソース電極が電子電極となり、ドレイン電極が正孔電極となる。したがって、本発明のOLETは、非プレーナ型のソース電極およびドレイン電極を有するとして記載することもできる。
【0025】
図3に示されるように、本教示によるOLET30aまたは30bは、互いに垂直にずれた正孔電極12および電子電極14を有することができる。
図1に戻って参照すると、従来のOLETにおいて、正孔電極12および電子電極14の両方は、通常、チャネル層8の第1の側16の上に配置されるか、またはチャネル層8の第2の側18に接触して配置される。
図3を参照すると、d1が、チャネル層の第2の側18から離れて正孔電極が配置される距離を意味し、d2が、チャネル層の第2の側18から離れて電子電極が配置される距離を意味する場合、従来のOLETではd1=d2となり、一方、本発明のOLETではd1≠d2となることが分かる。
【0026】
図3の参照を続けると、副層8aは厚さd
S1の第1の半導体材料を含むことができ、一方、副層8cは厚さd
S2の第2の半導体材料を含むことができ、副層8bは厚さd
Eの発光材料を含むことができる。したがって、本発明のOLETのある実施形態においては、正孔電極12および電子電極14は、チャネル層8の別の副層中に配置することができる。たとえば、d1は0(チャネル層8の第2の側18に接触して副層8a中)であってよく、一方、d2はd
S1(副層8aに接触して副層8b中)であってよく、あるいはd2はd
S1+d
E(副層8bに接触して副層8c中)であってよい。これらの実施形態において、正孔電極12は副層8aに直接隣接する層の上(たとえば、
図3aに示されるボトムゲートアーキテクチャにおける誘電体層6の上、または
図3bに示されるトップゲートアーキテクチャにおける基板2の上)に堆積することができ、一方、電子電極14は副層8aの上(d2=d
S1)または副層8bの上(d2=d
S1+d
E)に堆積することができる。別の実施形態においては、正孔電極12および電子電極14の一方は、チャネル層8の第1の側16の上(d1=d
S1+d
E+d
S2)に配置することができ、正孔電極12および電子電極14の他方は、副層8a(d2=0)、8b(d2=d
S1)、または8c(d2=d
S1+d
E)の中に配置することができる。
【0027】
種々の実施形態において、ゲート電極は、チャネル領域に隣接する正孔電極12の端部32と、チャネル領域に隣接する電子電極14の端部34との間の距離であるチャネル長(L)以上の長さ(L
G)を有することができる。ある実施形態においては、ゲート電極は、チャネル領域の長さLと同じ長さL
Gを有することができ、チャネル領域と一致する空間内に位置することができる。たとえば、
図3aに示されるようなボトムゲート構成において、ゲート電極4を基板2上に堆積することができ、誘電体層6をゲート電極4の上に形成することができる。次に、正孔電極12の端部32と電子電極14の端部34とが、ゲート電極4の端部と位置が合うように、正孔電極12および電子電極14を誘電体層6上にパターン化することができる。同様に、
図2bに示されるようなトップゲート構成において、最初に正孔電極12および電子電極14を基板2上にパターン化することができる。次に、活性チャネル層8を(たとえば副層8a、8b、および8cの逐次堆積によって)正孔電極12および電子電極14の上に形成することができ、続いて、誘電体層6をチャネル層8の上に堆積することができる。続いて、ゲート電極4の端部が正孔電極12の端部32および電子電極14の端部34の位置と合うように、ゲート電極4を誘電体層上にパターン化することができる。
【0028】
別の実施形態においては、ゲート電極はLを超える長さL
G(L
G>L)を有することができ、それによってゲート電極は、正孔電極(たとえば、L
G=L+b)、電子電極(たとえば、L
G=L+b’)、あるいは正孔電極および電子電極の両方(たとえば、L
G=L+b+b’)と部分的に重なる。たとえば、Lは約2μm〜約500μm、好ましくは約5μm〜約20μmであってよい。正孔電極および電子電極はそれぞれ独立して約50μm〜約300μm、好ましくは約100μm〜約200μmの長さL
hおよび長さL
eを有することができる。ゲート電極と正孔電極および/または電子電極のいずれかとの重複部分bおよびb’は、0μm、および最大で正孔電極および/または電子電極の長さ(L
hまたはL
e)であってよいが(すなわち、0≦b≦L
h、0≦b’≦L
e)、好ましくは、重複部分は約0μm〜約100μmである。したがって、ゲート電極の長さL
Gは、約50μm〜約500μm、好ましくは約100μm〜約200μmであってよい。2つの電荷輸送副層の厚さd
S1およびd
S2は約5μm〜約100μmとなることができ、一方、発光副層の厚さd
Eは約2μm〜約50μmとなることができる。
【0029】
図4〜7は、本教示による非プレーナ型の正孔電極および電子電極を有するOLETの種々の実施形態を示している。
【0030】
なんらかの特定の理論によって束縛しようと望むものではないが、非プレーナ型アーキテクチャ中に正孔電極および電子電極(またはソースおよびドレインの電気接点)を有することは、三層OLET中の励起子形成に非常に好都合であり、したがってデバイス輝度が向上すると考えられる。
図8aを参照すると、従来のアーキテクチャにおいて、ソース−ドレイン電界はチャネル層の表面と平行である(矢印の方向で示されている)。このアーキテクチャにおいて、発光副層に静電気的に引き寄せされる正孔輸送副層からの正孔および電子輸送副層からの電子のみが再結合して励起子を形成する。したがって、実際に形成される励起子の数は、電荷輸送副層を通って移動する電荷キャリアのごく一部であることが多い。
図8bおよび
図9を参照すると、本教示によるアーキテクチャにおいて、ソース−ドレイン電界は発光副層8bを横断して広がり(矢印の方向で示されている)、すなわち、正孔および電子の電流の両方が発光副層中に流れ込む。この結果、正孔および電子が発光副層中で衝突してより多数の励起子26が形成される確率がはるかに高くなる。さらに、再び
図8aを参照すると、正孔電極および電子電極の両方は、同じ表面上に堆積され、1種類のみの電荷キャリアの輸送に好都合な副層と接触しているので、接点の1つでは大きな接触抵抗が不可避となる。
図9を参照すると、正孔輸送を促進するp型半導体で構成される副層8aに接触させて正孔電極12を配置し、電子輸送を促進するn型半導体で構成される副層8cに接触させて電子電極14を配置することによって、接触抵抗を大幅に減少させることができる。
【0031】
非プレーナ型の正孔電極および電子電極を有するOLETにおいて、本明細書で前述したように1つ以上の電気絶縁素子をチャネル層中に組み込むことによって、デバイス輝度のさらなる改善を期待できる。
図10を参照すると、実際に形成される励起子の電荷数n(ex)は:
n
h+(ex)=n
h+(total)−n
h+(ch)−n
h+(leak)1−n
h+(leak)2
n
e-(ex)=n
e-(total)−n
e-(ch)−n
e-(leak)1−n
e-(leak)2
で表すことができ、式中n
h+(total)およびn
e-(total)は、それぞれ正孔電極および電子電極から注入された電荷の総数を表し、n(ch)は、発光副層に静電気的に引き寄せられないチャネル領域中の電荷の数を表し、n(leak)1およびn(leak)2は、電極領域の下または上の発光副層を横断する電荷の数を表す。電極領域の下または上の不均衡な電荷キャリア密度のため(n
e-(leak)1<<n
h+(leak)2およびn
h+(leak)1<<n
e-(leak)2)、これらの領域中の電荷キャリアは励起子を形成しそうもなく、n
e-(leak)1、n
e-(leak)2、n
h+(leak)1、およびn
h+(leak)2はリーク電流と見なすことができる。電気絶縁素子22および/または24を組み込むことによって、これらのリーク電流の減少および/または除去が可能であり、したがってチャネル領域中の発光副層8bを横断する反対の種類の電荷キャリアの密度が増加し、それによって励起子形成の確率が最大化されると予想される。
【0032】
電気絶縁素子22および24を含むOLETを示す
図12を参照すると、正孔電極12から注入された正孔は、正孔電極12と電気絶縁素子24の上の領域との間の正孔輸送副層8a中で局在化すると推測され、一方、電子電極14から注入された電子は、電子電極14と電気絶縁素子22の下の領域との間の電子輸送副層8c中で局在化すると推測される。チャネル層中に電気絶縁素子を全く含まない
図11に示されるOLETと比較すると、
図12に示されるOLETでは、正孔電極12と電子電極14との間、より明確には電気絶縁素子22と24との間のチャネル領域中で正孔および電子両方の密度がより高くなると推測され、それによって励起子形成が増加すると推測できることが分かる。
【0033】
図13を参照すると、チャネル層中に電気絶縁素子を組み込むことによって、発光する場所のより正確な空間的制御も可能となり、ゲート電圧への依存性を低くすることができる。特に、電気絶縁素子22および24の個々の長さを変化させることによって、正電荷および負電荷が発光副層8bを流れる場所を調節することができる。
【0034】
したがって、本教示によるOLET100は、第1の電気絶縁素子22および/または第2の電気絶縁素子24をチャネル層中に有することができ、任意選択で、互いに垂直方向にずれた正孔電極12および電子電極14を有することができる。
図14を参照すると、正孔電極14は、チャネル層の一方の側(たとえば、底部側18)から垂直に距離d1だけ離して配置することができ、一方、電子電極14は、チャネル層の同じ側から垂直に距離d2だけ離して配置することができる。距離d1およびd2は同じ場合も異なる場合もある。たとえば、ある実施形態においては、d1およびd2の両方が0であってよく、それによってボトムコンタクトデバイスを得ることができる。ある実施形態においては、d1およびd2の両方がd
S1+d
E+d
S2(ここで、d
S1は第1の電荷輸送副層8aの厚さであり、d
Eは発光副層8bの厚さであり、d
S2は第2の電荷輸送副層8cの厚さである)であってよく、それによってトップコンタクトデバイスを得ることができる。別の実施形態においては、d1は0(チャネル層8の底部側18に接触して副層8a中)であってよく、一方、d2はd
S1(第1の電荷輸送副層8aに接触して発光副層8b中)であってよいし、またはd2はd
S1+d
E(発光副層8bに接触して第2の電荷輸送副層8c中)であってもよい。これらの実施形態において、正孔電極12は、副層8aに直接隣接する層上(たとえば、ボトムゲートアーキテクチャにおける誘電体層6上、またはトップゲートアーキテクチャにおける基板2上)に堆積することができ、一方、電子電極14は副層8a上(d2=d
S1)または副層8b上(d2=d
S1+d
E)に堆積することができる。別の実施形態においては、正孔電極12および電子電極14の一方をチャネル層8の第1の側16の上(d1=d
S1+d
E+d
S2)に配置することができ、正孔電極12および電子電極14の他方を副層8a(d2=0)、8b(d2=d
S1)、または8c(d2=d
S1+d
E)の中に配置することができる。
【0035】
正孔電極12は厚さd
hおよび長さL
hを有し、一方、電子電極14は厚さd
eおよび長さL
eを有する。
図14に示される実施形態において、正孔電極12は、正孔輸送副層8a中に埋め込まれる、または正孔輸送副層8aに接触して他の方法で配置され、電子電極14は電子輸送副層8c中に埋め込まれる、または電子輸送副層8cに接触して他の方法で配置される。この実施形態において、正孔輸送副層8aが電子輸送副層8cの上に配置される場合、d2>d1である。厚さd
l1を有する電気絶縁素子22は、チャネル層の底部側18から距離d3だけ離して配置することができ、ここでd3≧d1+d
hである。同様に、厚さd
l2を有する電気絶縁素子24は、チャネル層の底部側18から距離d4だけ離して配置することができ、ここでd4≦d2である。通常、d3はd4以下であり、d4はd3以上である。電気絶縁素子22および24の存在にもかかわらず、正孔電極12と電子電極14との間のチャネル領域で電荷キャリアが発光副層8b中に依然として到達可能となるためには、電気絶縁素子22の長さL
I1は通常L
h/2〜L
h+L/3
S1+d
Eであり、電気絶縁素子24の長さL
I2はL
e/2〜L
e+L/3であってよい。たとえば、Lは約2μm〜約500μm、好ましくは約5μm〜約20μmであってよい。正孔電極および電子電極はそれぞれ独立して約50μm〜約300μm、好ましくは約100μm〜約200μmの長さL
hおよび長さL
eを有することができる。たとえば、L
hおよびL
eが約100μmであり、Lも約100μmである場合、L
I1およびL
I2は約50μm〜約133μmであってよい。電気絶縁素子の厚さd
l1およびd
l2は約5μm〜約50μmであってよい。
【0036】
図15〜17は、本教示によるOLETのいくつかの好ましい実施形態を示している。これらのOLETのそれぞれは、非プレーナ型の正孔電極12および電子電極14の組の下または上に電気絶縁素子22および24を有する。最良の電荷注入および輸送を実現するために、正孔電極12は正孔輸送副層8aに接触して配置され、一方、電子電極14は電子輸送副層8cに接触して配置される。正孔電極と電子電極との間のチャネル領域内の発光副層中への電荷の流れを最大化し、それによって電荷局在化およびデバイス輝度を向上させるために、電気絶縁素子は発光副層8bに接触して配置される。
【0037】
加工を容易にするために、電気絶縁素子22および24を同じ面上に配置し、プレーナ型または非プレーナ型の正孔電極および電子電極と組み合わせて使用することができる。たとえば、
図2に戻ると、
図2a、2b、2c、および2dに示されるOLETのそれぞれは、プレーナ型の正孔電極および電子電極を有し、電気絶縁素子は電荷輸送副層8a(
図2a)または8c(
図2c)の一方の上、あるいは発光副層8bの上(
図2bおよび2d)に堆積することができる。これらの実施形態では、一方の種類の電荷キャリアにより大きな接触抵抗が生じうるが(たとえば、正孔電極12から注入された正孔は電子輸送副層8c中の接触抵抗を克服する必要がある)、
図2に示されるデバイスは、より少ないシャドーマスク、堆積、および/またはフォトリソグラフィ/エッチングのステップで製造可能であり、それによってより低い製造コストが可能となる。
【0038】
図18を参照すると、電気絶縁素子22および24は発光副層8bと同じ厚さを有することができ、電気絶縁素子22および24を発光副層8bと合わせたものが、2つの電荷輸送副層8aと8cとの間にはさまれた1つのプレーナ型副層を形成することができる。これらの実施形態において、電気絶縁素子は、さらなる加工のために発光材料(多くの場合ホスト材料および発光体の混合物を含む)よりも平滑な表面が得られる傾向にあるので、その上に堆積される半導体膜は、より良好な形態を有すると予想でき、全体としてのデバイスは、積層体のより良好な平坦化が得られると予想できる。
【0039】
本明細書に記載のOLETは、電荷注入層を含むこともできる。たとえば、接触抵抗をさらに減少させるために、正孔電極および電子電極をそれぞれ正孔注入層および電子注入層で覆うことができる。より一般的には、正孔注入層は正孔輸送副層と正孔電極との間に堆積することができ、電子注入層は電子電極と電子輸送副層との間に堆積することができる。
【0040】
さらに、本発明のOLETは、表面改質された基板を含むことができ、上に堆積される層との良好な接着性などの処理を改善可能とするために、基板に表面改質剤がコーティングされる。本発明のOLETは、チャネル層の上(第1の)側に結合するパッシベーション層を含むこともできる。たとえば、上部の電荷輸送副層が金属酸化物半導体を含む場合、デバイス安定性を改善するためにパッシベーション層で覆われた金属酸化物半導体層を有することが好ましい場合がある。
【0041】
本教示によるOLETは、当技術分野において周知の種々の堆積方法を用いて製造することができる。たとえば、ボトムゲート構成において、任意選択の平坦化または表面改質層を透明基板上に、たとえばスピンコーティングによって形成することができる。金属薄膜をその上に熱蒸着し、次に、エッチングまたは別のパターン化技術によってゲート電極を形成することができる。組成に依存するが、誘電体層を、スピンコーティングなどの溶液相プロセスによって、あるいは化学または物理気相堆積によって堆積することができる。これに続いて、第1の電荷輸送副層、発光副層、および第2の電荷輸送副層の逐次堆積によって活性チャネル層を形成することができる。正孔電極および電子電極は、ゲート電極と同様または異なる技術を用いて形成することができる。電気絶縁素子の位置により異なるが、第1の電荷輸送副層、発光副層、および第2の電荷輸送副層の少なくとも1つを複数のステップで堆積することで、電気絶縁素子をチャネル層中に形成することができる。電気絶縁素子は、スパッタリング、イオンアシスト堆積(IAD)、原子層堆積、化学気相堆積、物理気相堆積、異なる種類の印刷技術(たとえば、フレキソ印刷、平版印刷、グラビア印刷、インクジェッティング、パッド印刷など)、ドロップキャスティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング、ロールコーティング、およびスピンコーティングによって形成することができる。これらの技術は、チャネル層および/または誘電体層の形成に使用することもできる。好ましい実施形態において、チャネル層および誘電体層の両方は、溶液相プロセス、たとえばスピンコーティング、スロットコーティング、または印刷によって形成することができる。電気接点は、限定するものではないが、熱蒸着、および高周波またはeビームスパッタリングなどの方法、ならびに種々の堆積方法、たとえば限定するものではないが直前に記載の方法(たとえば、フレキソ印刷、平版印刷、グラビア印刷、インクジェッティング、パッド印刷、スクリーン印刷、ドロップキャスティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング、ロールコーティング、およびスピンコーティング)によって形成することができる。
【0042】
本発明のOLETは、耐温度性が低いプラスチック性、可撓性基板などの種々の基板上に製造することができる。このような可撓性基板の例としては、ポリエステル類、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート;ポリオレフィン類、たとえばポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、およびポリスチレン;ポリフェニレンスルフィド類、たとえばポリフェニレンスルフィド;ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリエーテルケトン類;ポリイミド類;アクリル樹脂;ポリメチルメタクリレート、ならびにそれらのブレンドおよび/またはコポリマーが挙げられる。ある実施形態においては、基板は、ガラス、石英、およびVYCOR(登録商標)などの剛性透明基板であってよい。薄膜トランジスタに一般に使用される基板−ゲート材料を使用することもできる。例としては、ドープされたシリコンウエハ、ガラス上のスズがドープされた酸化インジウム(ITO)、ポリイミドまたはマイラーフィルム上のスズがドープされた酸化インジウム、単独のアルミニウムまたはその他の金属、あるいはポリエチレンテレフタレートなどのポリマー上にコーティングされたアルミニウムまたはその他の金属、ドープされたポリチオフェンなどが挙げられる。
【0043】
ソース/ドレイン電極(または正孔/電子電極)およびゲート電極は、種々の堆積技術を用いて作製することができる。たとえば、電極は、マスクを介して堆積することができるし、堆積した後、エッチングまたはリフトオフ(フォトリソグラフィ)を行うこともできる。好適な堆積技術としては、銅、アルミニウム、金、銀、モリブデン、白金、パラジウム、および/またはニッケルを含む金属または金属合金、あるいはポリエチレンチオキシチオフェン(PEDOT)などの導電性ポリマーからの電着、蒸着、スパッタリング、電気めっき、コーティング、レーザーアブレーション、およびオフセット印刷が挙げられる。電荷キャリア注入は、正孔輸送副層および電子輸送副層のそれぞれへの電荷キャリアの種類の注入に対して低バリア性を有する注入電極(正孔電極または電子電極)の材料を使用することで促進することができる。たとえば、電子電極は、Au、Ca、Mg、Al、Inからなる群から選択される1種類以上の元素、およびペロブスカイト型マンガナイト(RE
1-xA
xMnO
3、RE=La、Nd、Prなどの希土類元素であり、A=アルカリ金属である)を含むことができる。正孔電極は、Au、インジウムスズ酸化物、Cr、Cu、Fe、Ag、ポリ(3,4−エチレンジオキスチオフェン)とポリ(スチレンスルホネート)との組み合わせ(PEDOT:PSS)、およびペロブスカイト型マンガナイト(Re
1-xA
xMnO
3)からなる群から選択される少なくとも1種類の材料を含むことができる。ある実施形態においては、正孔電極および電子電極は、正孔および電子の両方の注入に好都合な種々の仕事関数を有する導体から作製することができる。
【0044】
誘電体層は、無機(たとえば、SiO
2、Al
2O
3、またはHfO
2などの酸化物;ならびにSi
3N
4などの窒化物)、有機(たとえば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、ポリハロエチレン、ポリメチルメタクリレートなどのポリマー)、または複合有機/無機材料で構成されてよい。誘電体層は、当業者に周知の種々の方法によってゲート電極(ボトムゲート)またはチャネル層(トップゲート)に結合させることができる。既に記載した方法に加えて、誘電体層は、自己組織化ナノ誘電体材料の成長(Yoon et al.,PNAS,102(13):4678−4682(2005)、およびHa et al.,Chem.Mater.,21(7):1173−1175(2009)に記載のものなど);無機/有機複合材料の溶液処理(たとえば、Ha et al.,J.Am.Chem.Soc.,132(49):17428−17434(2010)に記載のもの);および金属酸化物の低温溶液処理(たとえば、国際公開第2012/103528号パンフレットに記載のもの)によって形成することができる。さらに誘電体材料は、異なる材料、たとえば、無機/有機材料の組み合わせ、異なる誘電率を有する材料、または異なる技術(たとえば、溶液処理および気相堆積)で処理可能な材料で構成される二重層の形態であってよい。本発明の電気絶縁素子に関して当技術分野において周知のゲート誘電体のあらゆる材料および処理方法を使用することができる。
【0045】
チャネル層の組成に関して、当技術分野において周知の種々のp型半導体、n型半導体、および有機エレクトロルミネッセンス半導体を、それぞれ本発明のOLET中の正孔輸送副層、電子輸送副層、および発光副層として本教示により使用することができる。たとえば、チャネル層は小分子材料、ポリマー、および/または金属錯体を含むことができる。
【0046】
電子輸送(n型)副層に好適な材料としては、チオフェン類のオリゴマー、ホモポリマーまたはコポリマー、特にフルオロカーボンで置換されたものに関するn型有機半導体(OSC)の種類を挙げることができる。たとえば、α,ω−ジパーフルオロヘキシルクアテルヒオフェン類(α,ω−diperfluorohexylquaterhiophenes)および別のフルオロカーボン置換チオフェンオリゴマーが米国特許第6,585,914号明細書に記載されている。
【0047】
別の種類のn型OSCは、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類およびそれらの誘導体に関する。たとえば、シアネート化ペリレンジイミド類およびシアネート化ナフタレンジイミド類、特に、N,N’−ビス−置換−(1,7&1,6)−ジ−シアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)類およびN,N’−ビス−置換2,6−ジシアノナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)類、たとえば米国特許第7,671,202号明細書、米国特許第7,902,363号明細書、および米国特許第7,569,693号明細書、ならびに米国特許出願公開第2010/0319778号明細書に記載のものなどがn型半導体として使用されている。具体例としては、N,N’−ビス(シクロヘキシル)−(1,7&1,6)−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)(CN
2PDI);N,N’−ビス(1H−パーフルオロブチル)−(1,7&1,6)−ジ−シアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(n−オクチル)−(1,7&1,6)−ジ−シアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)(PDI−8CN
2);N,N’−ビス(n−オクチル)−2,6−ジ−シアノナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)(NDI−8CN
2);N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−(1,7&1,6)−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(ベンジル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニロキシ]ベンジル}−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(1−メチルブチル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(1−メチルペンチル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(1−メチルヘキシル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(1−エチルプロピル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(1−エチルブチル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(1−エチルペンチル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);N,N’−ビス(1−エチルヘキシル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド);およびN,N’−ビス(1,3−ジメチルブチル)−(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)が挙げられる。
【0048】
より最近では、複合ペリレン/ナフタレンジイミド類、π架橋二量体ナフタレンジイミド類、および大型ディスク上オバレンジイミド類(任意選択のシアノ置換基を有する)がn型半導体として報告されている。Yue et al.,“Hybrid Rylene Arrays via Combination of Stille Coupling and C−H Transformation as High−Performance Electron Transport Materials,”J.Am.Chem.Soc.(2012);Hwang et al.,“Stable Solution−Processed Molecular n−Channel Organic Field−Effect Transistors,”Adv.Mater.(2012)、およびPolander et al.,“Solution−Processed Molecular Bis(Naphthalene Diimide)Derivatives with High Electron Mobility,”Chem.Mater.,23:3408−3410(2011);Li et al.,“Disc−like 7,14−dicyano−ovalene−3,4:10,11−bis(dicarboximide)as a solution−processible n−type semiconductor for air stable field−effect transistors,”Chem.Sci.,3:846−850(2012)を参照されたい。2−(1,3−ジチオール−2−イリデン)マロンニトリル基と縮合したナフタレンジイミド類もn型半導体として報告されている。Gao et al.,“Core−Expanded Naphthalene Diimides Fused with 2−(1,3−Ditiol−2−Ylidene)Malonitrile Groups for High−Performance Ambient−Stable,Solution−Processed n−Channel Organic Thin Film Transistors,”J.Am.Chem.Soc.,132(11):3697−3699(2010)を参照されたい。
【0049】
別の種類のn型半導体は、ジシアノメチレン置換共役系に関する。たとえば、米国特許第7,928,249号明細書には、ジシアノメチレン置換縮合環化合物、たとえば2,8−ジ−(3−ドデシルチエン−2−イル)−インデノ[1,2−b]フルオレン−6,12−ジマロンニトリル;2,8−ジチエン−2−イル−テトラフェニレンジマロンニトリル;および2,8−ジ−(4’−ドデシルチエン−2’−イル]−4−ドデシルチエン−2−イル)−インデノ[1,2−b]フルオレン−6,12−ジマロノ−ニトリルが記載されている。ジシアノメチレン置換ジケトピロロピロール含有キノイド小分子もn型半導体として研究されている。Qiao et al.,“Diketopyrrolopyrrole−Containing Quinoidal Small Molecules for High−Performance,Air−Stable,and Solution−Processable n−Channel Organic Field−Effect Transistors,”J.Am.Chem.Soc.,134:4084−4087(2012)を参照されたい。
【0050】
チオネート化芳香族ビスイミド類もn型半導体として使用することができる。例としては国際公開第2011/082234号パンフレットに記載のもの、たとえば(S,S)−PDIS
11MP、(S,S)−cis−PDIS
21MP、(S,S)−trans−PDIS
21MP、(S,S)−PDIS
31MP、(S,S)−PDIS
41MP、(S,S)−trans−PDIS
21Mhex、(R,R)−trans−PDIS
21Mhex、(S,R)−trans−PDIS
21Mhex、(R,S)−trans−PDIS
21Mhex、(R,R)−trans−PDIS
21Mhept、(S,S)−trans−PDIS
21MO、trans−PDIS
21Epr、cis−PDIS
21Epr、trans−PDIS
21M3MB、trans−PDIS
22OD、trans−PDIS
21MP−CN
2、cis−NDIS
2Cy、trans−NDIS
2Cy、NDIS
12EH、trans−NDIS
12EH、cis−NDIS
12EH、NDIS
32EH、SPDI−F、trans−PDIS
21MP−F
2、およびS−C2OD−C6
2が挙げられる。
【0051】
n型半導体ポリマーを本教示により使用することもできる。n型半導体ポリマーの例としては、米国特許出願公開第2010/0326527号明細書に記載のナフタレンジイミド類のオリゴマー、ホモポリマー、およびコポリマー、たとえばポリ{N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチオフェン)};ポリ{N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(2,5−チオフェン)};ポリ{N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチオフェン)};ポリ{N,N’−ビス(1−メチルヘキシル)−1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチオフェン)};ポリ{N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’’’−(クアルテルチオフェン)};ポリ{N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチアゾール)};ポリ{N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’,−ベンゾチアジアゾール)};ポリ{N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(1’,4’−ジ−2−チエニル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロベンゼン)};ポリ{N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(1,2−ビス(2’−チエニル)ビニル)};ポリ{N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(2,6−ビス(2’−チエニル)ナフタレン)};およびポリ{N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(1,1’−ジメチル−2,2’−ビピロール)}が挙げられる。
【0052】
アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、シアノ基、および/またはアルキル基で置換されたものなどの別の線状アセン類、ベント(bent)アセン類、アリールビニレン類、フェニレン類、および縮合(ヘテロ)アレーン類も本教示による使用に好適なn型半導体材料となりうる。
【0053】
ある実施形態においては、無機n型OSCを使用することができる。たとえば、溶液処理可能な金属酸化物(たとえば、ITO、酸化インジウム、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物)およびカルコゲナイド類(たとえば、CdSe)が、米国特許第8,017,458号明細書および国際公開第2012/103528号パンフレットに記載されている。
【0054】
正孔輸送(p型)副層に好適な材料としてはオリゴチオフェン類およびポリチオフェンに関するp型有機半導体(OSC)の一種類を挙げることができる。たとえば、ジヘキシルクアテルヒオフェン(dihexylquaterhiophene)および他のアルキル置換チオフェンオリゴマーが、Garnier et al.,“Dihexylquaterthiophene,A Two−Dimensional Liquid Crystal−Like Organic Semiconductor with High Transport Properties,”Chem.Mater.,10(11):3334−3339(1998)に記載されている。位置規則性ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(rr−P3HT)などのポリチオフェンも使用できる。
【0055】
別の種類のp型OSCは、米国特許第7,125,989号明細書に記載されるような可溶性ペンタセン化合物に関する。ペンタセン−N−スルフィニル−tert−ブチルカルバメートなどの可溶性ペンタセン化合物は、ペンタセンとヘテロジエノフィル類とのディールス−アルダー反応によって得ることができる。別のペンタセン誘導体である6,13−ビス(トリイソプロピル−シリルエチニル)ペンタセン(TIPSペンタセン)も、一般的な有機溶媒に対して適度な溶解性を有することが示されている。
【0056】
さらなる種類のp型半導体としては、国際公開第2012/030662号パンフレットに記載のチエノコロネン系化合物が挙げられる。具体例としては、1PB−チエノコロネン、2BO−チエノコロネン、1MP−チエノコロネン、(S)−2MB−チエノコロネン、ウンデカノキシ−チエノコロネン、およびドデシル−チエノコロネンが挙げられる。
【0057】
より最近では、アルキル化[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン類およびアルキル化ジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン類が高い可溶性のp型OSCとして報告されている。Ebata,H.et al.,“Highly Soluble[1]Benzothieno[3,2−b]benzothiophenes(BTBT)Derivatives for High−Performance,Solution−Processed Organic Field−Effect Transistors,”JACS,129(51):15732−15733(2007);Ebata,H.et al.,“Alkylated Dinaphtho[2,3−b:2’,3’−f]Thieno[3,2−b]Thiophenes(C
n−DNTTs):Organic Semiconductors for High−Performance Thin−Film Transistors,”Adv.Mat.,23(10):1222−1225(2011);および同時係属中で本願と同じ譲受人に譲渡された米国仮特許出願第61/533,785号明細書を参照されたい。ジヘキシル置換ジベンゾ[d,d’]チエノ[3,2−b;4,5−b’]ジチオフェンなどの別のチエノアセン化合物もp型半導体として開発されている。Miyata et al.,“High−performance organic field−effect transistors based on dihexyl−substituted dibenzo[d,d’]thieno[3,2−b;4,5−b’]dithiophene,”J.Mater.Chem.(2012)を参照されたい。別の種類の小分子p型OSCはナフタ[2,1−b:6,5−b’]ジフランに関する:A Versatile Motif Available for Solution−Processed Single−Crystal Organic Field−Effect Transistors with High Hole Mobility,”J.Am.Chem.Soc,134:5448−5451(2012)。さらに別の種類の小分子p型OSCはフッ素化アントラジチオフェン誘導体に関する。Subramanian et al.,“Chromophore Fluorination Enhances Crystallization and Stability of Soluble Anthradithiophene Semiconductors,”J.Am.Chem.Soc.,130(9):2706−2707(2008)を参照されたい。
【0058】
最近、強い固相青色発光を示すp型半導体として2−(4−ヘキシルフェニルビニル)アントラセンが報告されている。Dadvand et al.,“Maximizing Field−Effect Mobility and Solid−State Luminescence in Organic Semiconductors,”Angew.Chem.Int.Ed.,51:3837−3841(2012)を参照されたい。
【0059】
さらなる代表的な種類のp型半導体としては、フタルイミド系ポリマー、ある種のジケトピロピロール系ポリマー、イソインジゴ系共役ポリマーが挙げられる、国際公開第2010/117449号パンフレット;Li et al.,“A High Mobility P−Type DPP−Thieno[3,2−b]thiophene Copolymer for Organic Thin−Film Transistors,”Adv.Mater.,22:4862−4866(2010)、Li et al.,“Annealing−Free High−Mobility Diketopyrrolopyrrole−Quaterthiophene Copolymer for Solution−Processed Organic Thin Film Transistors,”J.Am.Chem.Soc.,133:2198−2204(2011)、Bronstein et al.,“Thieno[3,2−b]thiophene−Diketopyrrolopyrrole−Containing Polymers for High−Performance Organic Field−Effect Transistors and Organic Photovoltaic Devices,”J.Am.Chem.Soc.,133:3272−3275(2011)、およびChen et al.,“Highly pi−Extended Copolymers with Diketopyrrolopyrrole Moieties for High−Performance Field−Effect Transistors,”Adv.Mater.(2012);Mei et al.,“Siloxane−Terminated Solubilizing Side Chains:Bringing Conjugated Polymer Backbones Closer and Boosting Hole Mobilities in Thin−Film Transistors,”J.Am.Chem.Soc.,133:20130−20133(2011)、およびLei et al.,“High−Performance Air−Stable Organic Field−Effect Transistors:Isoindigo−Based Conjugated Polymers,”J.Am.Chem.Soc.,133:6099−6101(2011)を参照されたい。
【0060】
アルキル基および/またはアルコキシ基で置換されたものなどの別の線状アセン類、ベントアセン類、アリールビニレン類、フェニレン類、および縮合(ヘテロ)アレーン類も、本教示による使用に好適なp型半導体材料となりうる。
【0061】
発光の種類(赤色、緑色、または青色)に依存して、正孔輸送半導体材料のエネルギーを電子輸送半導体材料のエネルギーと適合させる必要がある。したがって、赤色発光の場合、正孔輸送半導体材料の最高被占分子軌道(HOMO)と電子輸送半導体材料の最低空分子軌道(LUMO)との間のエネルギー差は、少なくとも約1.6V〜約1.8eVとなるべきである。緑色発光の場合、正孔輸送半導体材料のHOMOと電子輸送半導体材料のLUMOとの間のエネルギー差は、少なくとも約2.2eV〜約2.5eVとなる必要がある。青色発光の場合、正孔輸送半導体材料のHOMOと電子輸送半導体材料のLUMOとの間のエネルギー差は、少なくとも約2.8eV〜約3.2eVとなる必要がある。
【0062】
ある実施形態においては、発光副層は、ホスト材料と、蛍光発光体およびリン光発光体から選択されるゲスト発光体とを含む混合物であってよい。別の実施形態においては、発光副層は単一成分のホスト発光材料から作製することができる。好適な有機エレクトロルミネッセンス発光材料としては、OLED用途に使用されている材料が挙げられる。一実施形態においては、発光副層は、ホストのトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq
3)およびゲストの4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)の混合物で構成されてよい。
【0063】
ホスト材料、ゲスト発光体、および単一成分ホスト発光材料のさらなる例は、Chaskar et al.,“Bipolar Host Materials:A Chemical Approach for Highly Efficient Electrophosphorescent Devices,”Adv.Mater.,23(34):3876−3895(2011);Tao et al.,“Organic host materials for phosphorescent organic light−emitting diodes,”Chem.Soc.Rev.,40(5):2943−2970(2011);Sasabe et al.,“Multifunctional Materials in High−Performance OLEDs:Challenges for Solid−State Lighting,”Chem.Mater.,23(3):621−630(2011);Tsuboi,“Recent advances in white organic light emitting diodes with a single emissive dopant,”J.Non−Cryst.Solids,356(37−40):1919−1927(201);Singh et al.,“Bio−organic optoelectronic devices using DNA,”Adv.Polym.Sci.,223(Organic Electronics):189−212(2010);Kappaun et al.,“Phosphorescent organic light−emitting devices:working principle and iridium based emitter materials,”Int.J.Mol.Sci.,9(8):1527−1547(2008);Tokito et al.,“Phosphorescent organic light−emitting devices:triplet energy management,”Electrochemistry,76(1):24−31(2008);Chen,“Evolution of Red Organic Light−Emitting Diodes:Materials and Devices,”Chem.Mater.,16(23):4389−4400(2004);Liu et al.,“Polyfluorenes with on−chain metal centers,”Adv.Poly.Sci.,212(Polyfluorenes):125−144(2008);Danev et al.,“Vacuum deposited polyimide−a perfect matrix for nanocomposite materials,”J.Optoelectron.Adv.Mater.,7(3):1179−1190(2005);米国特許第5,747,183号明細書;米国特許第5,683,823号明細書;米国特許第6,626,722号明細書;米国特許第7,074,502号明細書;米国特許第7,671,241号明細書;および米国特許第7,772,762号明細書に記載されている。
【0064】
一部の代表的なホスト材料としては、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(アルキフェニルフェニルビニレン)、ポリ(アルキフェニルフェニルビニレン−コ−アルコキシフェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(n−ビニルカルバゾール)、およびそれらのコポリマーなどのポリマーが挙げられる。オキサジアゾールまたはベンゾイミダゾールとの複合材料などの種々のカルバゾール化合物、トリフェニルアミン化合物もホスト材料として使用されている。一部の代表的なゲスト発光体(発光染料またはドーパント)としては、蛍光染料、たとえば種々のペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ルブレン誘導体、カルバゾール誘導体(dervatives)、フルオレン誘導体、およびキナクリドン誘導体、ならびにリン光発光体、たとえばIr、Os、またはPtを含む種々の遷移金属錯体が挙げられる。一部の代表的なホスト発光材料としては、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体、または9−ナフチルアントラセン誘導体に基づくリン光ホスト発光化合物、ならびにトリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体などの有機金属キレートに基づく蛍光ホスト発光化合物が挙げられる。
【0065】
正孔注入層および電子注入層は、種々の電荷輸送錯体ならびに別の複素環式芳香族または有機金属錯体の熱蒸着による;あるいは種々の金属酸化物、フッ化物、または炭酸塩の熱蒸着またはスパッタリングによる、チオレート類、ホスホネート類、あるいは脂肪族または芳香族のカルボキシレート類の自己組織化によって作製することができる。正孔注入層および電子注入層は、正孔電極および電子電極のエネルギー準位と、正孔輸送副層および電子輸送副層のそれぞれへの注入に必要なエネルギー準位との間で電子準位の階段が得られる材料から作製することができる。たとえば、Li et al.,“Low operating−voltage and high power−efficiency OLED employing MoO
3−doped CuPc as hole injection layer,”Displays,33(1):17−20(2012);Wen et al.,“Self−assembled of conducting polymeric nanoparticles and its application for OLED hole injection layer,”Energy Procedia,12:609−614(2011);Zhang et al.,“Role of Fe
3O
4 as a p−dopant in improving the hole injection and transport of organic light−emitting devices,”IEEE Journal of Quantum Electronics,47(5):591−596(2011);Choo et al.,“Luminance and charge transport mechanisms for phosphorescent organic light−emitting devices fabricated utilizing a tris(2−phenylpyridine)iridium−doped N,N’−dicarbazolyl−3,5−benzene emitting layer,”Thin Solid Films,519(15):5253−5256(2011);Tao et al.,“Odd−even modulation of electrode work function with self−assembled layer:Interplay of energy barrier and tunneling distance on charge injection in organic light−emitting diodes,”Organic Electronics,12(4):602−608(2011);Sung et al.,“AC Field−Induced Polymer Electroluminescence with Single Wall Carbon Nanotubes,”Nano Letters,11(3):966−972(2011);Qiao et al.,”Controlling charge balance and exciton recombination by bipolar host in single−layer organic light−emitting diodes,”Journal of Applied Physics,108(3):034508/1−034508/8(2011);Khizar−ul−Haq et al.,“Blue organic light−emitting diodes with low driving voltage and enhanced power efficiency based on MoO
3 as hole injection layer and optimized charge balance,”Journal of Non−Crystalline Solids,356(20−22):1012−1015(2010);Qi et al.,“Analysis of metal−oxide−based charge generation layers used in stacked organic light−emitting diodes,”Journal of Applied Physics,107(1):014514/1−014514/8(201);Huang et al.,“Materials and interface engineering in organic light−emitting diodes,”Organic Electronics,243−261(2010);Helander et al.,“Comparison of Alq
3/alkali−metal fluoride/Al cathodes for organic electroluminescent devices,”Journal of Applied Physics,104(9):094510/1−094510/6(2008);Roy Choudhury et al.,“LiF as an n−dopant in tris(8−hydroxyquinoline)aluminum thin films,”Advanced Materials,20(8):1456−1461(2008);Vacca et al.,“Poly(3,4−ethylenedioxythiophene):poly(4−styrenesulfonate)ratio:Structural,physical and hole injection properties in organic light emitting diodes,”Thin Solid Films,516(12):4232−4237(2008);Yang et al.,“Improved fabrication process for enhancing light emission in single−layer organic light−emitting devices doped with organic salt,”Japanese Journal of Applied Physics,47(2,Pt.1):1101−1103(2008);Kim et al.,“UV−ozone surface treatment of indium−tin−oxide in organic light emitting diodes,”Journal of the Korean Physical Society,50(6):1858−1861(2007);Prat et al.,“Stable,highly efficient and temperature resistant organic light−emitting devices,”Japanese Journal of Applied Physics,Part 1:Regular Papers,Brief Communications&Review Papers,”46(4A):1727−1730(2007);Luo et al.,“Improving the stability of organic light−emitting devices by using a hole−injection−tunable−anode−buffer−layer,”Journal of Applied Physics,101(5):054512/1−054512/4(2007);Matsushima et al.,“Charge−carrier injection characteristics at organic/organic heterojunction interfaces in organic light−emitting diodes,”Chemical Physics Letters,435(4−6):327−330(2007);Kim et al.,“Controllable work function of Li−Al alloy nanolayers for organic light−emitting devices,”Advanced Engineering Materials,7(11):1023−1027(2005);Kato,“Designing Interfaces That Function to Facilitate Charge Injection in Organic Light−Emitting Diodes,”Journal of the American Chemical Society,127(33):11538−11539(2005);Veinot et al.,“Toward the Ideal Organic Light−Emitting Diode.The Versatility and Utility of Interfacial Tailoring by Cross−Linked Siloxane Interlayers,”Accounts of Chemical Research,38(8):632−643(2005);Oyamada et al.,“Extremely low−voltage driving of organic light−emitting diodes with a Cs−doped phenyldipyrenylphosphine oxide layer as an electron−injection layer,”Applied Physics Letters,86(3):033503/1−033503/3(2005);Hughes et al.,“Electron−transporting materials for organic electroluminescent and electrophosphorescent devices,”Journal of Materials Chemistry,15(1):94−107(2005);D’Andrade et al.,“Efficient organic electrophosphorescent white−light−emitting device with a triple doped emissive layer,”Advanced Materials,16(7):624−628(2004);Kanno et al.,“Development of OLED with high stability and luminance efficiency by co−doping methods for full color displays,”IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics,10(1):30−36(2004);Han et al.,“Transparent−cathode for top−emission organic light−emitting diodes,”Applied Physics Letters,82(16):2715−2717(2003);Tutis et al.,“Internal electric field and charge distribution in multilayer organic light−emitting diodes,”Journal of Applied Physics,93(8):4594−4602(2003);Mathai et al.,“Controlled injection of holes in
to AlQ3 based OLEDs by means of an oxidized transport layer,”Materials Research Society Symposium Proceedings,708(Organic Optoelectronic Materials,Processing and Devices):101−106(2002);Crone et al.,“Charge injection and transport in single−layer organic light−emitting diodes,”Applied Physics Letters,73(21):3162−3164(1998);およびPark et al.,“Charge injection and photooxidation of single conjugated polymer molecules,”Journal of the American Chemical Society,126(13):4116−7(2004)を参照されたい。
【0066】
本発明のOLETは、第1の適切なバイアス電圧をゲート電極に印加し、電子電極から電子を正孔電極から正孔を注入し、同時に後者の2つの電極の間で第2のバイアス電圧を維持することによって動作させることができる。第1および第2のバイアス電圧は連続電圧であってよい。あるいは、第1および第2のバイアス電圧はパルス電圧であってもよい。
【0067】
本教示による複数のOLETは、ディスプレイデバイスを得るためのマトリックス中に配列することができる。ディスプレイデバイスは、任意選択で駆動およびスイッチング素子、補償トランジスタ素子、コンデンサ、および/または発光ダイオードを含むことができる。
【0068】
限定するものではないが特許および特許出願などの本明細書に引用されるすべての刊行物は、それぞれの個別の刊行物が、全体が記載されるかのように参照により本明細書に援用されると明確および個別に示されるかのように、参照により本明細書に援用される。
【0069】
本教示は、本発明の意図または本質的な特性から逸脱しない他の特定の形態の実施形態を含んでいる。したがって、以上の実施形態は、本明細書に記載の本教示を限定するのではなく、あらゆる点で説明的であると見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、以上の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内となるすべての変更形態が特許請求の範囲に含まれることが意図される。