特許第6178997号(P6178997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178997
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】電気自動車用充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   H02J7/00 301B
   H02J7/00 P
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-162277(P2013-162277)
(22)【出願日】2013年8月5日
(65)【公開番号】特開2015-33251(P2015-33251A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】船橋 達治
(72)【発明者】
【氏名】松尾 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】幅 和己
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−200084(JP,A)
【文献】 特開2012−204707(JP,A)
【文献】 特開2005−020977(JP,A)
【文献】 実開昭52−110324(JP,U)
【文献】 特開2009−170111(JP,A)
【文献】 特開2010−158153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B1/00−1/38
1/46−7/08
H02J7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台上に、高圧受変電設備を配置し、
該高圧受変電設備で低圧変換された電力を電気自動車へ供給する給電設備を、該基台上に、前記高圧受変電設備と配置し、かつ該基台の内部には、前記高圧受変電設備および給電設備への配線を収納する配線収納部を形成したことを特徴とする電気自動車用充電装置。
【請求項2】
フォークリフトの腕部を貫通させる搬送用孔部を、前記基台に貫通して備え、該搬送用孔部と前記配線収納部を、重複しないよう区画して形成したことを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置。
【請求項3】
前記基台は、該基台を吊り上げる際に使用する吊上部を複数備え、該複数の吊上部を、該基台の中心を対称点として、対称配置したことを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力会社から供給される電力を電気自動車に給電する電気自動車用充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力会社から需要家側に高圧の電力が供給される場合、需要家側にキュービクルなどの受変電設備を設置して低圧に変換する措置が取られている。
【0003】
例えば、スーパーマーケットやコンビニエンス等に電気自動車用充電装置を設置する場合に、これらの施設に設置された電気自動車用充電装置は、通常、キュービクルなどの受変電設備とともに配置されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
電気自動車用充電装置と受変電設備は、各々、平らで堅ろうな面に配置する必要があるため、上記従来技術では、電気自動車用充電装置と受変電設備の各々につき基礎工事を行った上で、電気自動車用充電装置と受変電設備間を繋ぐ配線のために地面の掘削作業を行い、更に、電気自動車用充電装置と受変電設備の各々につき、高圧入線や接地作業を行う必要があり、電気自動車用充電装置の導入に手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−200084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記の問題を解決し、自ら受変電設備の設置が必要となる需要家において、電気自動車用充電装置を導入するに際し、その設置に伴う、各種作業を軽減することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の電気自動車用充電装置は、基台上に、高圧受変電設備を配置し、該高圧受変電設備で低圧変換された電力を電気自動車へ供給する給電設備を該基台上に、前記高圧受変電設備と配置し、かつ該基台の内部には、前記高圧受変電設備および給電設備への配線を収納する配線収納部を形成したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電気自動車用充電装置において、フォークリフトの腕部を貫通させる搬送用孔部を、前記基台に貫通して備え、該搬送用孔部と前記配線収納部を、重複しないよう区画して形成したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の電気自動車用充電装置において、前記基台は、該基台を吊り上げる際に使用する吊上部を複数備え、該複数の吊上部を、該基台の中心を対称点として、対称配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電気自動車用充電装置では、基台上に、高圧受変電設備を配置し、該高圧受変電設備で低圧変換された電力を電気自動車へ供給する給電設備を該基台上に、前記高圧受変電設備と配置しているため、電気自動車用充電装置の設置現場への搬送前に予め高圧受変電設備と給電設備の配線を済ませておくことができる。このため、電気自動車用充電装置の導入に際し、設置現場で従来必要となっていた各種作業(基礎工事や掘削作業、更には、受電系統と給電系統間の配線作業)を省略して、高圧受変電設備への入線作業と接地作業にのみとすることができ、電気自動車用充電装置の導入作業を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電気自動車用充電装置の全体斜視図である。
図2】基台の全体斜視図である。
図3図1の側面図である。
図4】他の実施形態の側面図である。
図5】基台の垂直断面図である。
図6】基台の窪み部の説明図である。
図7】電気自動車用充電装置の設置例を示す図である。
図8】電気自動車用充電装置の設置例を示す図である。
図9】他の実施形態の側面図である。
図10】他の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の電気自動車用充電装置1は、基台2上に、高圧受変電設備3と、高圧受変電設備3で低圧変換された電力を電気自動車へ供給する給電設備4を隣接配置して構成されている。
【0015】
高圧受変電設備3は、変電所から供給される高い電圧の電力を、需要家で使用できる低い電圧に変圧する設備であり、各種の保護装置や計測装置、配電装置を内蔵している。
【0016】
給電設備4は、高圧受変電設備3に内蔵された変圧器の容量に応じて、急速充電用あるいは普通充電用から適宜選択して使用することができる。
【0017】
本実施形態の基台2は、鉄製の枠体を一体に形成したものである。その他の実施形態として、板金板を溶接して枠状に形成したものとすることもできる。
【0018】
図2に示すように、基台2は、表面に、高圧受変電設備3と給電設備4を設置する際の使用される取付孔5が複数形成されている。
【0019】
図3に示すように、基台2内部の中央部には、高圧受変電設備3および給電設備4への配線を収納する配線収納部6が形成されている。
【0020】
電気自動車用充電装置1を設置現場に搬送する前に、予め、高圧受変電設備3と給電設備4の配線を済ませて、配線を配線収納部6に収納した状態として、設置現場に搬送することにより、従来、電気自動車用充電装置の導入に際し、設置現場で従来必要となっていた各種作業(基礎工事や掘削作業、更には、受電系統と給電系統間の配線作業)を省略して、高圧受変電設備への入線作業と接地作業にのみとすることができ、電気自動車用充電装置の導入作業を簡易化することができる。
【0021】
電気自動車用充電装置1の搬送は、図3に示すように、基台2内部の左右に形成された搬送用孔部7にフォークリフトの腕部を貫通させて行うことができる。
【0022】
フォークリフトを用いて電気自動車用充電装置1の搬送を行う際、フォークリフトの腕部に配線が絡まる事故を回避するために、配線収納部6と搬送用孔部7が重複しないよう区画することが望ましい。図3に示す実施形態では、配線収納部6を完全に囲うように凹状の区画部材8を配置している。その他の実施形態として、図4に示すように、配線収納部6と搬送用孔部7を仕切る仕切板9を配置することもできる。
【0023】
搬送用孔部7は、不使用時にブランクパネルなどの覆い板でカバーできる構造としておくことで、良好な景観を確保することができる。
【0024】
図5および図6に示すように、基台2の側面には、窪み部10が形成されている。窪み部10には、基台2を地面にアンカーボルト14で固定する際に使用されるアンカー接続孔11が形成されている。このように、アンカー接続孔11を窪み部10に設けることにより、基台2の固定に使用されるアンカーボルトに躓く事故を回避することができる。
【0025】
なお、送電線から高圧受変電設備3への電力の引き込みは、地中から行うことが好ましいが、窪み部10に引込ケーブル挿入用の挿入孔12を形成することもできる。この挿入孔12を利用して電力の引き込みを行う場合、電気自動車用充電装置の導入に際し、通常必要となる基礎工事や掘削作業を省略することができる。ただし、挿入孔12を利用して電力の引き込みを行う場合、引き込みケーブルの被覆が、挿入孔12との接触によって破損する事故を回避するため、図6に示すように、引き込みケーブル15をグロメット16などで補強するとともに、グロメット16が窪み部10から外部に突出しないように配置することが望ましい。
【0026】
図2に示すように、基台2上面の4隅には、基台2を吊り上げる際に使用する吊上部13が形成されている。吊上部13は、基台2の中心を対称点として、対称配置することが好ましい。
基台2上に配置される高圧受変電設備3と給電設備4には、様々な形状や重さのものがあるが、吊上部13を、基台2の中心を対称点として、対称配置することにより、高圧受変電設備3と給電設備4の形状や重さに関わりなく、バランスよく吊り上げ作業を行うことができる。なお、吊上部13は、基台2と着脱自在な構成としてもよいし、基台2と一体に形成することもできる。
【0027】
図1図7図8に示すように、高圧受変電設備3と給電設備4の配置に際し、扉の方向は適宜自在に選択することができる。例えば、図1図7の実施形態では、高圧受変電設備3と給電設備4を、各々の背面板が向き合うように、背中合わせとし、給電設備4の扉4aが、充電作業者に対して正面に向くように配置している。
【0028】
また、図7に示すように、基台2上に隣接配置された高圧受変電設備3と給電設備4のうち、駐車場スペース17には給電設備4のみを配置して、駐車スペースを広く確保するとともに、高圧受変電設備3は管理者専用区域19に配置して、高圧受変電設備3への部外者のアクセスを禁止することもできる。
【0029】
また、図8に示すように、本発明の電気自動車用充電装置1に、更に、給電設備15を増設することで、駐車場スペースで複数台の電気自動車18への同時充電を行うこともできる。この場合、給電設備15への電力供給は、電気自動車用充電装置1の高圧受変電設備3からの引き込みにより行われる。引き込みは地面からあるいは基台側面から引き出す方法を適宜選択して行うことができる。
【0030】
前記のように、給電設備4は、高圧受変電設備3に内蔵された変圧器の容量に応じて、急速受電用あるいは普通充電用から適宜選択して使用することができるが、図9に示すように、同一の基台2上に、急速受電用と普通充電用の2つの給電設備4を配置することもできる。その他、基台2上に電灯や看板を設置したり、電灯や看板などへの電源の供給を行う電源盤21などを設置することもできる。勿論、電灯や看板、電源盤21なども予め配線しておくことにより現地での配線作業を簡略化させることが可能である。
【0031】
給電設備4や高圧受変電設備3内に収納される機器はユニット化しておくことが好ましい。例えば、給電設備4内に収めきれなくなった機器ユニット(サーバーなど)を、高圧受変電設備3の筐体の空きスペースに収納したり、図10に示すように、変圧器などの変圧設備20と、高圧受変電設備3の筐体の空きスペースに、蓄電池などの蓄電設備16を収納することもできる。蓄電設備16への配線も、配線収納部6に纏めて収納することができる。高圧受変電設備3内に蓄電設備16を備えることにより、深夜など電気自動車に給電を行わない時間帯には蓄電設備16への蓄電を行い、蓄電された電力を、昼間の電力使用が増大する時間帯の給電に使用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 電気自動車用充電装置
2 基台
3 高圧受変電設備
3a 扉
4 給電設備
4a 扉
5 取付孔
6 配線収納部
7 搬送用孔部
8 凹状の区画部材
9 仕切板
10 窪み部
11 アンカー接続孔
12 挿入孔
13 吊上部
14 アンカーボルト
15 給電設備
16 蓄電設備
17 駐車場スペース
18 電気自動車
19 管理者専用区域
20 変圧設備
21 電源盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10