(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記監視エリアに列車が進入してくるタイミングでは、踏切道制御部は、その監視エリアについての第1信号を無視するよう構成されている請求項1又は2に記載の踏切障害物の検知装置。
複線の踏切道に配置される踏切道制御部には、第1センサ回路と第2センサ回路から、各々、第1信号、第2信号、及び第3信号が供給される請求項4に記載の踏切障害物の検知装置。
第1信号、第2信号、及び第3信号は接点信号であり、これらを受ける踏切道制御部は、リレーロジックで機能している請求項1〜7の何れかに記載の踏切障害物の検知装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
図1は、列車軌道の上り線と下り線が並走する複線の踏切道CROSに配置された障害物検知装置DETを説明する図面である。なお、障害物検知装置DETは、単線の踏切道CROSや、三線以上を跨ぐ踏切道CROSにも配置可能であり、何れの構成でも、列車通過時に、以下に説明する危険回避動作を実行することで、列車安全運行システムの一翼を担っている。
【0019】
このような機能を発揮する障害物検知装置DETの機器構成を説明すると、実施例の障害物検知装置DETは、踏切道CROSに列車が接近したことを検知する列車検知部12,13と、踏切道CROSの対向位置に配置されてレーザ光を連続的に放射する一対のレーザセンサ回路SNa,SNbと、レーザセンサ回路SNaからの放射光の反射基準点を構成する基準ポールPai(=Pa1〜Pa3)と、レーザセンサ回路SNbからの放射光の反射基準点を構成する基準ポールPbi(=Pb1〜Pb3)と、列車検知部12,13の列車検知信号TRを受けて踏切道CROSを遮断制御すると共に、レーザセンサSNa,SNbの検出信号を受けて、必要時には危険回避動作を実行する踏切道制御部11と、を中心に構成されている。
【0020】
ここで、踏切道制御部11は、リレーロジック回路で構成されており、列車近接時には、踏切警報機14と踏切遮断機15を制御して踏切道CROSを遮断し、その後、踏切道CROSに取り残された障害物が検出された場合には、防護無線監視制御部18を制御して、所定の通報動作による危険回避動作をしている。
【0021】
具体的に説明を補足すると、踏切道制御部11は、列車検知部12,13の列車検知信号TR1,TR2に基づいて、踏切道CROSに列車が接近していることを検知すると、踏切警報機14の鳴動を開始させる。そして、鳴動開始から数秒〜10秒後には、踏切遮断機15の閉鎖動作を開始させて、遮断桿を降下させる。
【0022】
このようにして、踏切道CROSが道路から遮断された後は、踏切道CROSに取り残された障害物の有無を監視して、例えば、4秒以上継続して障害物を発見すると、その旨を、防護無線監視制御部18を経由して、駅や列車の係員に無線通報している。なお、通報までに所定の待機時間(例えば連続4秒)を設けるのは、障害物自らによる危険回避動作が期待できるので、無闇に列車を緊急停車させないためである。
【0023】
また、踏切道に障害物を発見した異常を報知するため、踏切動作反応灯16を赤色に点灯させ、且つ、発信表示灯17を白色に点滅させることで、無線通報動作の完了を報知する。
【0024】
続いて、踏切道制御部11に列車の接近を通知する列車検知部12,13の構成について説明する。実施例の列車安全運行システムでは、列車軌道の下り線に対応して、3カ所に信号機1〜信号機3を配置すると共に、信号機1と信号機2の間に列車検知部12を配置し、信号機2と信号機3の間に、列車検知部13を配置している。なお、上り線にも、下り線と同様の機器が配置されており、以下の説明は、上り線にもそのまま妥当する。
【0025】
列車検知部12,13は、いわゆる軌道回路で構成されており、
図1(b)に示す通り、検査信号を発生する送信器TRと、リレーコイルを配置した受信器RVと、送信器TRと受信器RVを列車軌道に接続する配線と、を有して構成されている。そして、列車の非通過時には、送信器TRと、列車軌道と、受信器RVとで形成される電流ループ回路を経由して、受信器RVのリレーコイルにリレー駆動電流Iを流している。なお、列車検知部12は、例えば、線路方向500〜600mの距離で形成される。
【0026】
ところが、列車検知部12,13の位置に、下り列車が進入すると、列車の車輪によって電流ループ回路が短絡される結果、受信器RVの電流Iが途絶えることになる。そこで、本実施例では、受信器RVのリレー駆動電流が途絶えてリレーが開放することで、踏切道制御部11に列車進入を通知している。
【0027】
なお、鉄道レールと鉄道レールの継ぎ目の適所には、絶縁継目が配置されているので、列車検知部12,13は、互いに絶縁状態となっている。
【0028】
また、送信器TRと受信器RVとの間には、一編成の列車しか存在しないよう、離間距離が適宜に設定されており、下り列車は、先ず列車検知部12で検知され、次に、列車検知部13で検知される。そして、下り列車が検知部12の範囲を抜け、非検知状態になると、次列車の列車検知部12への進入が許可される。
【0029】
そして、下り列車が、踏切道CROSを通過した後も、これに後続する下り列車が列車検知部12で検知される場合も含め、列車検知部12,13の何れか一方が列車を検知している限り、踏切道CROSの遮断状態が継続されるよう構成されている。したがって、列車運行ダイヤや、列車検知部12と列車検知部13の離間距離や、列車検知部12と踏切道CROSの離間距離は、踏切道CROSを継続して遮断しても弊害が生じない程度の合理的な設定となっている。
【0030】
続いて、
図2に基づいて、レーザセンサ回路SNaの内部構成について説明する。図示の通り、実施例のレーザセンサ回路SNaは、間欠的に動作して、例えば、波長905nm程度のレーザ光を送受信可能なレーザセンサLZと、レーザセンサLZを、6rps(rotations per second)程度で高速回転させる回転モータMOと、回転モータMOの回転駆動信号やレーザセンサLZを間欠動作させる放射駆動信号を出力する信号出力部2aと、レーザ反射光を受けたレーザセンサLZから出力される反射信号を受ける信号入力部3aと、信号出力部2aに駆動制御信号を出力すると共に、信号入力部3aから反射信号を受けて、必要な測距演算を実行する監視制御部1aと、監視制御部1aの内部動作を規定する動作パラメータを記憶する情報設定部4aと、測距演算の演算結果を監視制御部1aから受けて接点信号として出力する接点信号出力部5aとを有して構成されている。
【0031】
なお、
図2には、もっぱら、レーザセンサ回路SNaの内部構成が記載されているが、レーザセンサ回路SNbは、レーザセンサ回路SNaと同一構成であり、レーザセンサ回路SNbも、レーザセンサLZ、回転モータMO、信号出力部2b、信号入力部3b、監視制御部1b、情報設定部4b、及び、接点信号出力部5bを有して構成されている。
【0032】
レーザセンサLZは、同一水平面を走査するいわゆる平面式レーザセンサであって、略半円柱状の保持体BDYに収容されて、回転モータMOによって定常的に360°回転している。保持体
BDYは、190°程度の円弧状の透光前面CVと、平板状の遮光背面HDとで構成されており、遮光背面HDを保持ポールなどに固定して配置されている。
【0033】
先に説明した通り、レーザセンサLZから放射されるレーザ光の波長は、905nm程度であるが、1cm×1cm程度のビームサイズで、透光面CVを透過して踏切道CROSに向けて略水平方向に放射される。レーザ光のビームサイズは、30m先で評価した場合に30cm×30cm程度であり、基準ポールPai(=Pa1〜Pa3)や基準ポールPbi(=Pb1〜Pb3)に設けられた反射面(反射基準点)に確実に投射させるようになっている。
【0034】
なお、レーザセンサ回路SNaと、レーザセンサ回路SNbに内蔵されたレーザセンサLZの放射光の波長は同一であるが、互いに干渉しないよう2つのレーザセンサ回路SNa、SNbの取付高さを相違させている。また、この高低差に対応して、基準ポールPaiと、Pbiの反射面の高さも相違させている。先に説明した通り、レーザ放射光は、30m先でも30cm×30cm程度のビームサイズであるので、2つのレーザセンサLZ,LZの取付高さを、例えば50cm以上相違させるだけで、相互干渉を確実に防止することができる。
【0035】
レーザセンサLZは、故障などのトラブルが無い限り、365日24時間、定常的に360°回転して、レーザ光を間欠的に放射している。動作間隔は、特に限定されないが、本実施例では、回転角度に換算して、0.25°毎にレーザ光を放射している。但し、レーザセンサLZは、透光前面CVと、遮光背面HDとで覆われているので、外部に向けてレーザ光を放射する放射範囲は、透光前面CVに対応して190°程度であり、残りのタイミングでは、レーザセンサLZの発光異常や、回転異常などの自己診断の動作を実行している。この自己診断の動作は、レーザセンサLZの回転に対応して、365日24時間、1/6秒毎に繰り返されるので、本実施例では、セーザーセンサLZの異常が即座に検出される。
【0036】
監視制御部1a,1bは、例えば、DSP(Digital Signal Processor)で構成されており、監視制御部1a,1bの内部動作(測距演算)を規定する動作パラメータは、パソコンPCから、予め、情報設定部4に設定されるようになっている。なお、情報設定部4に記憶される動作パラメータには、踏切道内の監視エリアARを特定する位置情報と、各々3本で合計6本の基準ポールPai,Pbiを特定する位置情報とが含まれている。
【0037】
監視制御部1a,1bは、レーザ光の送信タイミングと、レーザ反射光の受信タイミングとの時間差に基づいて、反射点の距離を算出する(測距演算)。また、監視制御部1a,1bは、この測距演算の後、その時のレーザ放射方向に基づいて、踏切道CROSに障害物が存在するか否かを判定して、所定の検出信号Dt1,Dt2を出力する。
【0038】
本実施例では、複線の踏切道CROSにおける障害物の監視エリアARは、情報設定部4の動作パラメータに基づき、列車軌道に対応して二分されており(AR=AR1+AR2)、これに対応して、
図1に示す構成では、2種類の検出信号Dt1,Dt2が出力される。
【0039】
また、レーザセンサLZが、基準ポールPai,Pbiに向けてレーザ光を放射したタイミングでは、監視制御部1a,1bは、基準ポールPai,Pbiの反射面からレーザ反射光を受けなかったことを示す不確認信号Non1〜Non3を出力している。更に、監視制御部1a,1bは、自己診断機能に基づいて、レーザセンサLZの発光異常や回転異常などを判定し、異常検出時には異常信号ERを出力するよう構成されている。
【0040】
図3(a)は、レーザセンサ回路SNaのレーザセンサLZと、基準ポールPa1〜Pa3との位置関係、及び、監視制御部1aの測距演算における基準位置を説明する図面である。また、
図3(b)は、レーザセンサ回路SNaが監視する監視エリアARであって、上り列車に対する監視エリアAR1と、下り列車に対する監視エリアAR2の設定例を例示する図面である。
【0041】
監視エリアARの設定は適宜であるが、図示例では、手前側の遮断機CRa,CRaと、奥側の遮断機CRb,CRbと、レーザセンサ回路SNaとで確定される内側空間を、レーザセンサ回路SNaの監視エリアARとしている。そして、監視エリアARの外側であって、列車軌道に略平行して、6本の基準ポールPa1〜Pa3,Pb1〜Pb3を立設させている。
【0042】
特に限定されるものではないが、ここでは、列車軌道に略平行する直線上に、基準ポールPa1と基準ポールPb3を設け、基準ポールPb3と遮断機CRaの間に、レーザセンサ回路SNa(レーザセンサLZ)を配置している。また、列車軌道に略平行する直線上に、基準ポールPb1と基準ポールPa3を設け、基準ポールPa3と遮断機CRbの間に、レーザセンサ回路SNb(レーザセンサLZ)を配置している。
【0043】
そして、上り線と下り線の境界位置には、列車軌道に略平行して2本の基準ポールPa2,Pb2を設け、2本の基準ポールPa2,Pb2の接続ラインを境界線として、図示上側(下り線)を監視エリアAR1とし、図示下側(上り線)を監視エリアAR2としている。このように監視エリアARを二分するので、何れかの監視エリアAR1,AR2に列車が進入するタイミングは、他方の監視エリアAR2,AR1だけを監視することで、踏切道CROSに取り残された障害物を確実に検出することができる。
【0044】
なお、本実施例では、レーザセンサ回路SNaから30m以内の地点に、基準ポールPa1〜Pa3を設置する共に、レーザセンサ回路SNbから30m以内の地点に、基準ポールPb1〜Pb3を設置しており、基準ポールPai,Pbiの反射面が受けるビームサイズは、全て30×30cm以下である。
【0045】
レーザセンサ回路SNa,SNbのレーザセンサLZは、360°全方向にレーザ光を放射するが、便宜上、以下の説明では、レーザセンサ回路SNaから基準ポールPa1に向う方向を放射角θ=0に規定し、その後、時計方向に放射角θが変化することにする(
図3参照)。同様に、レーザセンサ回路SNbについては、レーザセンサ回路SNbから、基準ポールPb1に向う方向を放射角θ=0に規定し、その後、時計方向に放射角θが変化することにする(
図4参照)。
【0046】
図3に示す通り、放射角θ1=0のタイミングで、レーザセンサ回路SNaが放射するレーザ光は、基準ポールPa1に向い、その後、放射角θ2とθ3のタイミングで、基準ポールPa2と基準ポールPa3に向う。なお、各基準ポールPa1,Pa2,Pa3には、放射角θ1,θ2,θ3に正対する姿勢で反射面が設けられている。
【0047】
また、レーザセンサ回路SNaが放射するレーザ光は、放射角θaのタイミングで、二分された監視エリアARの境界線の左端部に向い、放射角θbのタイミングで、監視エリアAR1の上端部を特定する遮断機CRbに向うことになる。
【0048】
図3(b)に示す通り、本実施例において、レーザセンサ回路SNa(レーザセンサLZ)と、監視エリアAR2の左端部までの離間距離はXとなっている。また、特に限定されないが、本実施例では、鉄道軌道の直角方向(図示上下方向)において、監視エリアAR1と監視エリアAR2のエリア幅は各々で同一値Yとなっている。
【0049】
以上説明した離間距離X及びエリア幅Yと、5つの放射角θ1,θ2,θ3,θa,θbは、基準ポールPa1〜Pa3とレーザセンサ回路SNaとの離間距離R1〜R3と共に、監視制御部1aの測距演算を規定する動作パラメータとして、障害物検知装置DETの起動前に、予め監視制御部1aの動作設定部4aに設定されている。
【0050】
したがって、放射角θが0≦θ≦θbのタイミングにおいて、監視制御部1aの測距演算で算出される障害物(反射点)までの離間距離R2が、0<R2*COS(θ)≦Xであって、且つ、0<R2*SIN(θ)≦Yであれば、監視制御部1aは、その障害物が、監視エリアAR2に位置すると判定できることになる(
図3(a)のR2参照)。
【0051】
また、放射角θがθa<θ≦θbのタイミングにおいて、監視制御部1aの測距演算で算出される障害物(反射点)までの離間距離R1が、0<R1*COS(θ)≦Xであって、且つ、Y<R1*SIN(θ)≦2*Yであれば、監視制御部1aは、その障害物が、監視エリアAR1に位置すると判定することができる(
図3(a)のR1参照)。
【0052】
以上説明したレーザセンサ回路SNaが監視する監視エリアAR1,AR2や、3本の基準ポールPa1〜Pa3とレーザセンサ回路SNaの位置関係は、レーザセンサ回路SNbについても基本的に同じである。
【0053】
すなわち、
図4(a)には、レーザセンサ回路SNbと、3本の基準ポールPb1〜Pb3との位置関係が示されている。また、放射角θ1=0のタイミングで、レーザセンサ回路SNbが放射するレーザ光は、基準ポールPb1に向い、その後、放射角θ2とθ3のタイミングで、基準ポールPb2と基準ポールPb3に向うこと、及び、放射角θaのタイミングで、監視エリアARを二分する境界線の右端部に向い、放射角θbのタイミングで、監視エリアAR2の下端部を特定する遮断機CRaに向うことも示されている。
【0054】
なお、
図4(b)に示す通り、この実施例では、レーザセンサ回路SNbと、監視エリアAR1の右端部までの離間距離がXであり、監視エリアAR1と監視エリアAR2のエリア幅は各々Yである。そして、これら離間距離X及びエリア幅Yや、5つの放射角θ1,θ2,θ3,θa,θbは、基準ポールPb1〜Pb3とレーザセンサ回路SNbとの離間距離R1’〜R3’と共に、動作パラメータとして、障害物検知装置DETの起動前に、予め監視制御部1bの動作設定部4b(不図示)に設定されている。
【0055】
以上説明した通り、レーザセンサ回路SNaと、レーザセンサ回路SNbにとって、監視エリアAR1,AR2は、実質的に共通しており、本実施例では、同じ監視エリアARを二重に監視していることになる。そのため、何れか一方のレーザセンサ回路SNa,SNbに異常が生じた場合でも、残りのレーザセンサ回路SNb,SNaによって監視活動を続けることができる。
【0056】
続いて、
図5を参照しつつ、レーザセンサ回路SNaの監視制御部1aの動作周期τについて説明する。先に説明した通り、この実施例では、レーザセンサLZの回転数を6rpsとしている。また、レーザセンサLZの回転動作の単位角度は0.25°であり、レーザセンサLZが0.25°回転する毎にレーザ光を放射させる設計としている。
【0057】
すなわち、レーザセンサLZの一回転における放射回数は、1440回(=360/0.25)であり、1秒間の回転数は6回である。そして、このような動作を実現するには、レーザセンサLZは、1秒間に1440*6回、レーザ光を間欠的に放射する必要があり、放射動作の動作周期τは、115.7μS(=1/1440/6秒)である必要がある。
【0058】
以上を踏まえて
図5のフローチャートを説明すると、監視制御部1aは、所定の動作周期τ(≒115.7μS)毎に動作を開始するため、最初に、動作周期τに達したか否かを判定する(ST1)。動作周期τに達したか否かは、適宜なタイマ処理で判定されるが、特にこの構成に限定されず、例えば、
図5(a)の処理を、動作周期τ毎に起動されるタイマ割込み処理として実行しても良く、その場合にはステップST1の処理が不要となる。
【0059】
何れにしても、動作周期τに達した場合には、監視制御部1aは、先ず、制御信号出力部2aを通して、レーザセンサLZを単位角だけ回転させると共に、レーザセンサLZからレーザ光を間欠的に放射させる(ST2)。この駆動制御処理によって、レーザセンサLZは0.25°回転すると共に、動作周期τ毎の放射動作を実行することになる。
【0060】
次に、監視制御部1aは、
図3(a)に示す基準方向θ1を基準角(θ=0)として、放射角θを求め、その時の放射方向θが、レーザセンサ回路SNaの透光前面CVを通過する前面方向か、それとも、遮光背面HDに向う背面方向かを判定する(ST3)。そして、背面方向への放射時であれば、レーザセンサの異常判定を実行する(ST4)。判定内容は適宜であるが、本実施例では、回転周期である1/6秒毎に、遮光背面から所定レベルの反射波が得られるか否かを判定している(
図5(b)のST40)。
【0061】
そして、1/6秒毎に所定レベルの反射波が得られているとは判定できない場合は、レーザセンサLZの発光異常や、回転モータMOの回転異常が疑われるので、その旨を示すセンサ異常信号ERを出力する(ST41)。
図2に示す通り、センサ異常信号ERは、接点信号出力部5aを経由して、リレー接点を駆動可能な接点信号として踏切道制御部11に伝送される。
【0062】
次に、
図5(a)のステップST3に戻って説明を続けると、レーザセンサ回路SNaから放射されるレーザ光の放射角θが、透光前面CVを通過する前面方向である場合には、測距演算を実行して、算出される反射点までの距離Rを、放射角θと共に一時保存する(ST5)。
【0063】
そして、その時の放射角θが、基準ポールPai(=Pa1〜Pa3)に向う角度θ1〜θ3か否かを判定し(ST6)、基準ポールPaiへの放射タイミングであれば、基準ポールPaiが正しく検出できるか否かを判定する(ST7)。より具体的には、
図5(c)に示す通りであり、測距演算を実行して算出される反射点までの距離Rが、放射角θ1/θ2/θ3に対応して、基準ポールPaiまでの距離R1/R2/R3に一致するか否かを判定する(ST70)。
【0064】
ここで、放射角θ1/θ2/θ3に対応する所定レベルの演算結果R1/R2/R3が得られない場合は、その理由として、(1)レーザセンサ回路SNaが故障していることの他、(2)放射角θ1/θ2/θ3の方向に障害物が存在すること、(3)障害物は存在しないが、レーザセンサ回路SNa(レーザセンサLZ)の取付姿勢がずれていること、(4)障害物は存在しないが、基準ポールPa1〜Pa3の反射面がずれていること、(5)障害物は存在しないが、基準ポールPa1〜Pa3が傾いていることなどが考えられる。
【0065】
ここで、(2)放射角θ1/θ2/θ3の方向に障害物が認められる場合は、その障害物が、監視エリア1に位置するか、監視エリア2に位置するか、それ以外に位置するかに分かれる。
【0066】
そこで、放射角θ1/θ2/θ3に対応する所定レベルの演算結果R1/R2/R3が得られない場合には、次に、測距演算の演算結果Rを判定して、監視エリア1からの反射波か、それとも、監視エリア2からの反射波かを判定する(ST71)。
【0067】
そして、測距演算の演算結果Rが算出されない場合も含め、監視エリア1や監視エリア2からの反射波ではないと判定される場合には、異常が認められた基準ポールPai(=Pa1〜Pa3)を特定して、不確認信号Non1〜Non3の何れかを出力する(ST72)。この不確認信号Non1〜Non3も、接点信号出力部5aを経由して、リレー接点を駆動可能な接点信号として踏切道制御部11に伝送される。
【0068】
一方、ステップST71の処理で、監視エリア1からの反射波か、監視エリア2からの反射波であると判定される場合には、判定結果に対応して、検出信号Dt1か、検出信号Dt2を出力して処理を終える(ST73)。
【0069】
次に、ステップST6の判定に戻って説明を続けると、ステップST6の判定がNoであれば、次に、その時の放射角θが、θa<θ≦θbの範囲か否かを判定する(ST8)。
図3に関して説明した通り、放射角θが、θa<θ≦θbの範囲であれば、監視エリアAR1と監視エリアAR2の何れかから反射波を受ける可能性がある。
【0070】
そこで、この場合には先ず、監視エリアAR1についての障害物判定を実行する(ST9)。より具体的には、
図5(d)のステップST90の処理が実行され、監視制御部1aの測距演算で算出される障害物までの離間距離Rが、0<R*COS(θ)≦Xであって、且つ、Y<R*SIN(θ)≦2*Yであれば、その障害物が、監視エリアAR1に位置すると判定される(
図3(a)のR1参照)。そして、障害物が検出された場合には、監視エリアAR1に対応して検出信号Dt1を出力する(ST91)。この検出信号Dt1も、接点信号出力部5aを経由して、リレー接点を駆動可能な接点信号として踏切道制御部11に伝送される。
【0071】
このようにして、ステップST9の処理が終われば、続いて、監視エリアAR2についての障害物判定を実行する(ST10)。より具体的には、
図5(e)のステップST100の処理が実行され、監視制御部1aの測距演算で算出される障害物までの離間距離Rが、0<R*COS(θ)≦Xであって、且つ、0<R*SIN(θ)≦Yであれば、その障害物が、監視エリアAR2に位置すると判定される(
図3(a)のR2参照)。
【0072】
そして、障害物が検出された場合には、障害物が検出された監視エリアAR2に対応して検出信号Dt2を出力する(ST101)。この検出信号Dt2も、接点信号出力部5aを経由して、リレー接点を駆動可能な接点信号として踏切道制御部11に伝送される。
【0073】
ところで、ステップST8の判定がNoであれば、その時の放射角θが、0<θ≦θaの範囲か否かを判定する(ST11)。
図3(b)に示す通り、0<θ≦θaの範囲は、監視エリアAR2であると確定されるので、
図5(e)の処理が実行される。実行内容は、上記した通りであり、監視制御部1aの測距演算で算出される障害物までの離間距離Rが、0<R*COS(θ)≦Xであって、且つ、0<R*SIN(θ)≦Yであれば、その障害物が、監視エリアAR2に位置すると判定される。
【0074】
そして、障害物が検出された場合には、障害物が検出された監視エリアAR2に対応して検出信号Dt2が出力され(ST101)、この検出信号Dt2が、接点信号出力部5aを経由して、リレー接点を駆動可能な接点信号として踏切道制御部11に伝送される。
【0075】
以上の処理が終われば、ステップST1の判定処理を繰り返して、次の実行タイミングに達するのを待つ。以上の通り、本実施例では、実行周期τ毎に、ステップST1〜ST11の処理を繰り返すので、レーザセンサLZの0.25°毎のステップ回転と、ステップ回転ごとの放射動作が実現される。
【0076】
続いて、異常信号ER、不確認信号Non1〜Non3、及び、検出信号Dt1〜Dt2を受ける踏切道制御部11の動作を説明する。
図2に示す通り、踏切道制御部11は、レーザセンサ回路SNaとレーザセンサ回路SNbから信号を受けるので、結局、2種類の異常信号ERと、6種類の不確認信号Non1〜Non3と、4種類の検出信号Dt1〜Dt2を受けることになる。そこで、以下の説明では、各信号に、添字a又は添字bを付すことで、レーザセンサ回路SNaから受ける信号か、レーザセンサ回路SNbから受けた信号かを区別することにする。
【0077】
先に説明した通り、レーザセンサ回路SNa,SNbから受ける検出信号Dt1a,Dt1b、及び、監視エリアAR1における障害物検出信号であり、また、レーザセンサ回路SNa,SNbから受ける検出信号Dt2a,Dt2bは、監視エリアAR2における障害物検出信号である。そこで、踏切道制御部11は、
図6に示すリレーロジックによって無線通報動作を開始している。
【0078】
図示の通り、検出信号Dt1a,Dt1bと、検出信号Dt2a,Dt2bは、列車検知部12,13から列車検知信号TR1,TR2を受けている場合に限り、各々、時素リレーTM1,TM2に供給されるよう構成されている。ここで、時素リレーTM1,TM2は、セット時間が例えば4秒のオンディレイタイマと同様に動作する回路であり、有意レベルの検出信号Dt1,Dt2を受けてからセット時間だけ遅れて、接点がON動作するが、有意レベルの検出信号Dt1,Dt2がなくなると瞬時に復帰動作が実行される。
【0079】
そのため、各検出信号Dt1a,Dt1b,Dt2a,Dt2bの有意レベルが4秒継続した場合に限り、時素リレーTM1,TM2から、有意レベルの検出信号Dt1a,Dt1b,Dt2a,Dt2bが出力されることになる。
【0080】
時素リレーTM1,TM2の出力は、各々、第1段目のOR回路に供給され、上り線や下り線の列車検知信号TRに基づいて生成される禁止信号INH1,INH2が供給されていない限り、禁止回路を経て、最終段のOR回路に供給される。ここで、禁止信号INH1は、監視エリアAR1に下り列車が進入したことを示し、禁止信号INH2は、監視エリアAR2に上り列車が進入したことを示している。また、禁止回路は、入力信号を出力するか否かを規制するリレー接点などで構成されている。
【0081】
そのため、禁止信号INH1,INH2が供給されていないタイミングにおいて、最終段のOR回路の出力は、監視エリアAR1か監視エリアAR2の何れかに一以上の障害物が4秒以上継続して検出されたことを意味することになる。そこで、本実施例では、最終段のOR回路の出力に基づいて、障害物を検出した旨の無線通報動作を開始している。
【0082】
一方、禁止信号INH1,INH2が供給されているタイミングであって、監視エリアAR1に下り列車が進入した場合は、監視エリアAR1に関する検出信号Dt1a,Dt1bが無視され、監視エリアAR2から得られた検出信号Dt2a,Dt2bによって上記の無線通報動作を開始される。同様に、監視エリアAR2に上り列車が進入した場合は、監視エリアAR2に関する検出信号Dt2a,Dt1bが無視され、監視エリアAR1から得られた検出信号Dt1a,Dt1bによって上記の無線通報動作を開始される。
【0083】
ところで、レーザセンサ回路SNaからの不確認信号Non1a〜Non3aや、レーザセンサ回路SNbからの不確認信号Non1b〜Non3bについては、例えば、20回連続して検出されると、駅の係員に対して異常報知動作を開始するよう構成されている。
【0084】
また、異常信号ERa,ERbについては、例えば、3回連続して検出されると、駅の係員に対して異常報知動作を開始するよう構成されている。
【0085】
以上の通り、本実施例では、既存の安全運行システムを大幅に変更することなく、比較的簡易で合理的な手法で、踏切道のトラブルを解消している。しかも、機器のトラブルを自己診断して、異常報知するようになっており、機器障害を迅速に復旧させることができる。
【0086】
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は、何ら本発明を限定する趣旨ではなく、適宜に変更可能である。特に、無線通報動作を開始する開始条件や、基準ポールPai,Pbiの本数や配置位置や、監視エリアARの設定条件は、各々、理解の容易化のため、その一例を具体的に例示したに過ぎず適宜に変更されるのは勿論である。
【解決手段】基準ポールPaiの位置で所定ビームサイズとなるレーザ光を平面放射するレーザセンサLZを内蔵し、レーザ光の反射点が、所定の監視エリアARに含まれるか否か示す第1信号Dtiと、基準ポールPaiであるか否かを示す第2信号Nonと、自己診断結果を示す第3信号ERを出力するセンサ回路SNaと、第1信号、第2信号、及び第3信号を判定して、必要な対応動作を採る踏切道制御部と、を有して構成される。