(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179056
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】舗装版の連結構造
(51)【国際特許分類】
E01C 5/06 20060101AFI20170807BHJP
E01C 11/14 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
E01C5/06
E01C11/14
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-269261(P2013-269261)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-124524(P2015-124524A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112196
【氏名又は名称】株式会社ピーエス三菱
(73)【特許権者】
【識別番号】507142775
【氏名又は名称】株式会社ピーエスケー
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】白水 祐一
(72)【発明者】
【氏名】平安山 良和
【審査官】
西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−252008(JP,A)
【文献】
特開平03−087407(JP,A)
【文献】
実開平06−049597(JP,U)
【文献】
実開平03−089794(JP,U)
【文献】
実開平03−089795(JP,U)
【文献】
特開2003−155897(JP,A)
【文献】
特開2000−319807(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02491714(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 5/06
E01C 11/04
E01C 11/14
E01D 2/00
E21D 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結される各舗装版に、該舗装版の上面と接合面とに連通開口する上向き弧状の連結孔を備え、該連結孔の接合面側開口を互いに連通させて前記両舗装版を接合させ、互いに連通配置の前記両連結孔に連続させてその中心部分に上向き弧状の連結棒が挿通され、該連結棒が前記両連結孔内にグラウトにより埋設された舗装版の連結構造において、
前記両舗装版の表面の各接合面から所定の間隔を隔てた位置に、該表面を窪ませた形状の凹陥部を設け、該凹陥部内の前記接合面とは反対側の立ち上がり面を前記舗装版の上面と直角に形成し、前記連結孔を前記接合面と前記凹陥部内の前記接合面側の立ち上がり面とに連通開口させて形成し、
前記連結棒にはその両端部外周にネジが刻設され、該ネジに前記凹陥部内においてナットを螺嵌させ、該凹陥部内に取り外し可能な後埋め材を嵌合させ、該後埋め材と前記ナットの凹陥部側端面との間に弾性クッション材を介在させた状態で、該後埋め材を前記舗装版に対して取り外し可能に固定したことを特徴とする舗装版の連結構造。
【請求項2】
前記後埋め材は、前記凹陥部の底面に露出させて前記舗装版に埋設したアンカーナットに対し、該後埋め材に貫通させたボルトを螺嵌し締結することによって凹陥部内に固定されている請求項1に記載の舗装版の連結構造。
【請求項3】
前記後埋め材は、高強度繊維補強モルタルをもって形成されている請求項1又は2に記載の舗装版の連結構造。
【請求項4】
前記連結棒は、その両端のナット嵌合部分を除く部分の外周に、一端側から他端側に亘ってテーパー状をした弧状の被覆材の中心部分に埋設され、該被覆材の外周に、該被覆材と前記グラウトとを付着させないための縁切り材層を備え、該縁切り材と前記連結孔内面との間に前記グラウトを充填した請求項1〜3の何れかに記載の舗装版の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート舗装版又は場所打ちコンクリート舗装版を路盤上に敷設して道路や港湾施設、空港のエプロン、滑走路等の舗装面を形成する場合の舗装版の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路や空港のエプロン、滑走路等の舗装は、耐久性が優れていること、沈下、破損等に対して補修や交換が可能なことなどから、プレキャスト・プレストレストコンクリート舗装版が広く採用されている。これらの舗装版は、製造上、施工上大きさが制限されるために、複数の舗装版を連結して、所定の長さ、面積の舗装面を形成するようになっている。
【0003】
このような舗装版の連結構造として、各舗装版に接合面と上表面とに両端を開口させた弧状の連結孔を所定の間隔で複数形成し、両側の舗装版の接合面を当接させて、両者の連結孔を整合、連通させ、この連結孔内に、弧状の鋼材等の連結棒を両者に跨って挿通し、更に、モルタル等のグラウトを充填、固化させて連結棒を埋設、固定して、両側の舗装版を相互に連結する方法が知られている(例えば特許文献1、2)。
【0004】
この舗装版の連結構造は、連結孔内への連結棒の挿通、グラウトの充填等の作業を舗装版の上表面から行えること等から、効率的に施工を行うことができる。しかし、施工後経年とともに、連結孔内の連結棒とグラウトの付着が切れ、連結棒の振動、変位等によりグラウトに亀裂等が発生してこれが進行し、グラウトの端部が連結孔から舗装版の上表面に突出して、この突出部分が走行車両等により磨耗、破損して上面に凹陥部が生じるという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するものとして上記連結孔内に埋設される鋼材の端部にクッション材を設置し、舗装版表面への荷重変動の際の鋼材の移動によるグラウトの破壊を防止せんとしたものが開発されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭56−167005号公報
【特許文献2】特開昭56−167006号公報
【特許文献3】特開平10−252008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した引用文献3に示されているような弧状の連結孔とその内部にグラウトによって埋設された弧状の連結棒を使用し、かつグラウトが破壊されて飛散するのを防止しようとした構造であっても、舗装版上の車輪通過による多回数の繰り返し荷重がかかることによる連結部のたわみの繰り返しや温度変化の影響に起因する、連結棒の移動によるグラウトの破損を完全に防止することができなかった。
【0008】
本発明はこのような従来の問題に鑑み、前述した弧状の連結孔と弧状の鋼材を使用した従来の連結構造と同様に、少ない現場作業によって容易かつ低コストで施工でき、しかも車輪通過による多回数の繰り返し荷重による連結部分の撓みの繰り返しや温度変化の影響を受けてもグラウト屑の舗装版上への飛散を防止できる舗装版の連結構造の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、互いに連結される各舗装版に、該舗装版の上面と接合面とに連通開口する上向き弧状の連結孔を備え、該連結孔の接合面側開口を互いに連通させて前記両舗装版を接合させ、互いに連通配置の前記両連結孔に連続させてその中心部分に上向き弧状の連結棒が挿通され、該連結棒が前記両連結孔内にグラウトにより埋設された舗装版の連結構造において、前記両舗装版の表面の各接合面から所定の間隔を隔てた位置に、該表面を窪ませた形状の凹陥部を設け、該凹陥部内の前記接合面とは反対側の立ち上がり面を前記舗装版の上面と直角に形成し、前記連結孔を前記接合面と前記凹陥部内の前記接合面側の立ち上がり面とに連通開口させて形成し、前記連結棒にはその両端部外周にネジが刻設され、該ネジに前記凹陥部内においてナットを螺嵌させ、該凹陥部内に取り外し可能な後埋め材を嵌合させ、該後埋め材と前記ナットの凹陥部側端面との間に弾性クッション材を介在させた状態で、該後埋め材を前記舗装版に対して取り外し可能に固定したことにある。
【0010】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記後埋め材は、前記凹陥部の底面に露出させて前記舗装版に埋設したアンカーナットに対し、該後埋め材に貫通させたボルトを螺嵌し締結することによって凹陥部内に固定されていることにある。
【0011】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記後埋め材は、高強度繊維補強モルタルをもって形成されていることにある。
【0012】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1〜3の何れかの構成に加え、前記連結棒は、その両端のナット嵌合部分を除く部分の外周に、一端側から他端側に亘ってテーパー状をした弧状の被覆材の中心部分に埋設され、該被覆材の外周に、該被覆材と前記グラウトとを付着させないための縁切り材層を備え、該縁切り材と前記連結孔内面との間に前記グラウトを充填したことにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、請求項1に記載のように、互いに連結される各舗装版に、該舗装版の上面と接合面とに連通開口する上向き弧状の連結孔を備え、該連結孔の接合面側開口を互いに連通させて前記両舗装版を接合させ、互いに連通配置の前記両連結孔に連続させてその中心部分に上向き弧状の連結棒が挿通され、該連結棒が前記両連結孔内にグラウトにより埋設された構造であるため、従来と同様に、舗装版の表面側からの作業のみで舗装版間を連結させることができ、また、弧状の連結棒を除去することによって、補修のための一部の舗装版を除去して、新たな舗装版の設置が容易になし得られる。
【0014】
また、前記両舗装版の表面の各接合面から所定の間隔を隔てた位置に、該表面を窪ませた形状の凹陥部を設け、該凹陥部内の前記接合面とは反対側の立ち上がり面を前記舗装版の上面と直角に形成し、前記連結孔を前記接合面と前記凹陥部内の前記接合面側の立ち上がり面とに連通開口させて形成し、前記連結棒にはその両端部外周にネジが刻設され、該ネジに前記凹陥部内においてナットを螺嵌させ、該凹陥部内に取り外し可能な後埋め材を嵌合させ、該後埋め材と前記ナットの凹陥部側端面との間に弾性クッション材を介在させた状態で、該後埋め材を前記舗装版に対して取り外し可能に固定したことにより、連結後の舗装版上を車両や航空機が移動する際に加わる車輪荷重によって上下のたわみが繰り返されたとしても、連結棒の両端はナット及び弾性クッション材を介して後埋め材に支えられているため、軸方向の移動が規制され、連結棒とグラウトの付着切れの発生が抑制される。
【0015】
また、舗装版連結部に対する繰り返し荷重によって、舗装版とグラウトとの付着切れが生じ、連結棒が軸方向に微動する状態となったとしても、ナット及びクッション材を介して後埋め材にその軸方向の荷重が伝えられるため、荷重伝達面積が、連結棒の断面積よりはるかに大きくなり、単位面積当たりの荷重が小さく、後埋め材を破壊しないものとすることが可能となる。
更に、連結棒の軸方向の荷重は、後埋め材を介して前記舗装版の上面と直角に形成した凹陥部内の前記接合面とは反対側の立ち上がり面に略垂直に作用するため、後埋め材が舗装版表面に突出しにくい。
【0016】
本発明は、請求項2に記載のように、前記後埋め材は、前記凹陥部の底面に露出させて前記舗装版に埋設したアンカーナットに対し、該後埋め材に貫通させたボルトを螺嵌し締結することによって凹陥部内に固定することにより、後埋め材の舗装版表面を締める面積が、凹陥部の開口部に限定された小面積となる。また、このため、後埋め材が舗装版表面に突出することを防止できる。
【0017】
本発明は請求項3に記載のように後埋め材を高強度繊維補強モルタルをもって形成することにより、熱変形量が舗装版自体と同等となり、温度変化による後埋め材と舗装版間の隙間の変動がなくなる。
【0018】
本発明は請求項4に記載のように、連結棒は、その両端のナット嵌合部分を除く部分の外周に、一端側から他端側に亘ってテーパー状をした弧状の被覆材の中心部分に埋設され、該被覆材の外周に、該被覆材と前記グラウトとを付着させないための縁切り材層を備え、該縁切り材と前記連結孔内面との間に前記グラウトを充填することにより、一部の舗装版を補修等のために取り換える際に、ナットを取り外した状態で上記テーパーの細径側から連結棒をハンマー等で打つ等して加圧することにより、縁切り材層を境にして滑り、連結棒は凹陥部を通して舗装版の表面側に抜き出しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る舗装版の連結構造の実施の一例の全体構造の縦断面図である。
【
図4】連結前の舗装版の連結孔部分を示す断面図である。
【
図5】同上の後埋め材を示しており、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
【
図6】同後埋め材を舗装版表面の凹陥部に固定する部材の分解斜視図である。
【
図7】
図1に示す連結構造における連結棒締結部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に本発明の実施の形態を図面について説明する。
【0021】
図において符号1は本発明に係る舗装版の連結構造により連結されている舗装版である。この舗装版1は、一例としてプレキャストコンクリート版を使用しているが、場所打ちによるコンクリート版であってもよい。
【0022】
互いに連結される各舗装版1,1には、該舗装版1の上面と接合面1aとに連通開口する上向き弧状の連結孔3を有し、各連結孔3,3の接合面側開口を互いに連通させて両舗装版1,1を接合させ、その連通配置の両連結孔3,3に連続させてその中心部分に上向き弧状の連結棒10が挿通され、該連結棒10と連結孔3,3内面との空隙にグラウト16を充填することにより両舗装版1,1に跨らせた配置に連結棒10が埋設されるようになっている。
【0023】
互いに連結される両舗装版1,1の接合面1a側の縁部上面には、該縁部から所定の間隔を隔てた位置に、箱抜き用型枠を使用した箱抜きによって形成された凹陥部2,2......が、前記縁部に沿った配置にて所定間隔毎に形成され、各凹陥部2内の前記接合面1a側、即ち前方側の立ち上がり面2aと接合面1aに連通開口させて連結孔3が形成されている。
また、各凹陥部2内の前記接合面1a側、即ち後方側の立ち上がり面2bは、それぞれの舗装版1,1の上面1bと直角、即ち舗装版が水平配置にあるとき鉛直方向に向くように形成されている。
【0024】
この連結孔3は、両舗装版1,1を互いに接合させた際に、該両舗装版1,1間において互いに連通する位置に形成されている。尚、舗装版1,1の接合面間には、連結孔3部分に開口を形成した弾性を有する止水用の目地材4が介在されており、この目地材に形成された連通孔部4aを通じて両舗装版1,1の連結孔3,3が連通されている。
【0025】
各連結孔3は、舗装版1に弧状をした鋼管5を埋設することによって形成されている。この鋼管5の凹陥部2側の端部外周には、フランジ状の配置に鍔プレート6が一体化されている。
【0026】
この鍔プレート6は凹陥部2の接合面側内面に形成し後述する連結棒固定用ナット12が回転可能に嵌り合う凹部7の底面に露出しており、連結孔3の凹陥部側開口3bがこの凹部7内に開口されている。
【0027】
両舗装版1,1内の各鋼管5,5は、同じ曲率の円弧状に形成されており、その円弧の延長部分が
図1中に仮線で示す鋼管中心線aで示すように、凹陥部2の舗装版表面側開口部を通る形状の曲率となっている。
【0028】
互いに連結しようとする両舗装版1,1の連結孔3,3内に連続した配置に1本の連結棒10が挿入されている。この連結棒10は、鋼管5,5の中心線aと同じ曲率に形成されており、該中心線aの位置に挿入されている。
【0029】
連結棒10の両端外周にはネジ山11,11が形成され、これに連結棒固定用ナット12,12が螺嵌され、この両ナット12,12と鍔プレート6,6との間にはそれぞれリング状弾性クッション材13,13を介在させている。
【0030】
連結棒10は、その両端のナット嵌合部分を除く部分の外周に、一端側から他端側に亘ってテーパー状をした弧状の被覆材14の中心部分に埋設され、その被覆材14の外周には、後述するグラウト16と被覆材14とを付着させないための縁切り材層15を備えている。
【0031】
被覆材14としては一例としてモルタルが使用できる他、セメント系のグラウト材が使用できる。また、縁切り材層15としては、瀝青や合成樹脂フィルムが使用できる。瀝青を使用する場合は、被覆材14を予め弧状のテーパー状に成形した後、その外周面に塗布することによって被着させる。
【0032】
一方合成樹脂フィルムを使用する場合は、予め形成した被覆材15の外周にテープ状のものを巻きつけてもよく、また、合成樹脂フィルムを使用して予め弧状のテーパー筒を形成しておき、その内部に連結棒10を挿入し、該連結棒10とテーパー筒状のフィルムとの間に被覆材14を充填してもよい。
【0033】
このようにして形成された被覆材15付の連結棒10を連結孔3,3内に挿入し、リング状弾性クッション材13,13を介在させて両端外周のネジ山11,11にナット12,12を螺嵌し、この両ナット12,12を締め付けることによって連結棒10を位置決めしている。
【0034】
尚、このナット12,12の締付け後の状態で、連結棒10の両端が各舗装版1,1の凹陥部2の内面に突出しない長さに予め形成しておく。
【0035】
このようにして連結孔3,3内に位置決めされた被覆材15付の連結棒10と、連結孔内面との隙間にグラウト16が充填されている。グラウト16は一例として無収縮性のセメントミルクが使用され、その注入は、各鋼管5の凹陥部2側の端部上側に連通させたグラウト孔17,17の一方をグラウト圧入孔とし、他方を空気抜き孔としてグラウト16を注入し、内部の空隙内を隙間なく埋める。
【0036】
このようにしてグラウト16を充填し、所定の強度が発現した後、前述したナット12,12を鍔プレート6側に締結することによって、舗装版1,1間を相対移動不能に連結する。尚、このナット12,12締結は、グラウト充填前に行ってもよい。
【0037】
尚、このナット12,12の締付け後の状態で、連結棒10の両端が各舗装版1,1の凹陥部2の内面に突出しない長さに予め形成しておく。
【0038】
凹陥部2内には、後埋め材20が嵌めこまれるようになっている。この後埋め材20は、凹陥部2内に嵌り合い、上面が舗装版1の表面と同高さになるように形成されている。この後埋め材20は、高強度繊維補強モルタルをもって形成されている。一例として鋼または有機短繊維補強材を混入させたダックスモルタル(株式会社ピーエス三菱商標)が使用できる。
【0039】
後埋め材20には、表裏に貫通させて埋設したボルト止め具21を備えている。このボルト止め具21は、下端側に比べて上端側が太い形状に形成され、中心にボルト挿入孔22が貫通開口されている。ボルト挿入孔22は、上側が拡径のボルト頭部嵌合部22aとなっており、下側がボルト軸部貫通部22bとなっている。
【0040】
凹陥部2の底面には、後埋め材20が嵌めこまれた状態のとき、ボルト挿入孔22のボルト軸部貫通部22bに対応する位置に、アンカーナット23が、その開口部を露出させた状態に埋め込まれている。尚、このアンカーナット23とボルト止め具21は、セラミック又は高強度モルタルによって成形したものを使用している。
【0041】
凹陥部2内における後埋め材20は、前述したボルト止め具21のボルト挿入孔22内に頭部付ボルト24を挿入し、その軸部24bをボルト止め具21のボルト軸部貫通部22bに挿入し、先端をアンカーナット23に螺嵌させ、頭部24aをボルト挿入孔22内のボルト頭部嵌合部22aとボルト軸部貫通部22bとの境界の段部に当接させて締め付けることによって脱落不能に固定されるようになっている。
【0042】
尚、頭部付ボルト24は、頂面に角穴が形成され、角型の棒状レンチにより着脱操作できるものを使用している。
【0043】
ボルト止め具21の上端の開口は、蓋25によって閉鎖されるようになっており、この蓋25を嵌合することによって後埋め材20の上面の穴が塞がれ、表面が平らになるようになっている。
【0044】
このように構成される舗装版の連結構造は、場所打ち又はプレキャストコンクリート製の舗装版1の製造時に凹陥部2を箱抜きによって形成するとともに、鋼管5を埋め込んで連結孔3を形成しておく。この舗装版1,1を図 に示すように接合面1a,1a間に目地材4を介在させるとともに連結孔3,3を互いに整合させて接合する。
【0045】
次いで、互いに連通配置の連結孔3,3内に連結棒10を通すとともに、各鋼管5の鍔プレート6にリング状弾性クッション材13をあてがい、連結棒10の両端にナット12を嵌め合せ、一端側のナット12を所定の位置まで螺進させた後、多端側のナット12を締付ける。これによって舗装版1,1間に跨らせた状態に連結棒10を固定する。
【0046】
このようにして連結孔3,3内に連結棒10を固定した後、該連結孔3,3内の空隙にグラウト16を充填し、両ナット12,12の外側面に円盤状弾性クッション材18をあてがい、凹陥部2内に後埋め材20をはめ込み、頭部付ボルト24によって固定することにより、ナット12,12の端面と後埋め材20との間に円盤状弾性クッション材13を圧縮した状態で介在させる。次いで蓋25を嵌合して連結作業を終了する。
【0047】
このように構成される舗装版の連結構造においては、連結後の舗装版1,1上を車両や航空機が移動する際に加わる車輪荷重によって上下のたわみが繰り返されたとしても、連結棒10の両端はナット12及び円盤状弾性クッション材18を介して後埋め材20に支えられているため、軸方向の移動が規制され、連結棒10とグラウト16の付着切れの発生が抑制される。
【0048】
また、繰り返し荷重によって連結棒10とグラウト16との付着切れが生じ、軸方向に微動する状態となったとしても、ナット12及び円盤状弾性クッション材18を介して後埋め材20にその軸方向の荷重が伝えられるため、荷重伝達面積が、連結棒10の断面積よりはるかに大きくなり、単位面積当たりの荷重が小さく、後埋め材20を破壊しないものとすることが可能となる。また、連結棒の軸方向の荷重は、後埋め材を介して舗装版1,1の上面1bと直角に形成された凹陥部内後方側の立ち上がり面2b面に略垂直に作用するため、後埋め材が舗装版表面に突出しにくい。
【0049】
このようにして舗装版を連結して敷設した後に、一部の舗装版を取り換える際には、連結棒両端側の後埋め材20,20を外し、連結棒10の一端のナット12を取り外す。これによって露出した連結棒10の被覆材15の細径側の端部をハンマー等で強打することによって連結棒10を他方の凹陥部2より取り出す。この時、連結棒10の外周の被覆材15とグラウト16との間には縁切り材層15があるため、連結棒10は被覆材15とともに容易にその太径端部側に抜き出される。
【0050】
このようにして、取り換えようとする舗装版1と隣接する舗装版1との連結を解いた後、取り換えようとする舗装版1を除去し、残されている舗装版1の連結棒10が抜き取られ鋼管5内に付着しているグラウト16を剥ぎ取って内面をきれいに仕上げ、舗装版が抜き取られた後の空間に新たな舗装版1を挿入し、前述と同様にして隣接する舗装版間を連結する。
【0051】
尚、上述したように連結棒10を切断せずに舗装版表面側に抜き取る他、何らかの事由によって連結棒10の切断しない状態での抜き取りができない場合には、連結棒10を舗装版間の目地部で切断し、取り替えようとする舗装版を除去した後に、被覆材15のテーパーの太径側に連結棒10押し出すことによって除去してもよい。
【符号の説明】
【0052】
a 鋼管中心線
1 舗装版
1a 接合面
1b 上面
2 凹陥部
2a 前方側の立ち上がり面
2b 後方側の立ち上がり面
3 連結孔
3a 接合面側開口
3b 凹陥部側開口
4 目地材
4a 連通孔部
5 鋼管
6 鍔プレート
7 凹部
10 連結棒
11 ネジ山
12 連結棒固定用ナット
13 リング状弾性クッション材
14 被覆材
15 縁切り材層
16 グラウト
17 グラウト孔
18 円盤状弾性クッション材
20 後埋め材
21 ボルト止め具
22 ボルト挿入孔
22a ボルト頭部嵌合部
22b ボルト軸部貫通部
23 アンカーナット
24 頭部付ボルト
24a 頭部
24b 軸部
25 蓋