(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6179061
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】歯科治療における飛沫及び風をよける鼻呼吸補助具
(51)【国際特許分類】
A61C 19/00 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
A61C19/00 L
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-117413(P2016-117413)
(22)【出願日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年5月26日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】516175216
【氏名又は名称】相内 加代子
(72)【発明者】
【氏名】相内 加代子
【審査官】
増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06185740(US,B1)
【文献】
米国特許第06079980(US,A)
【文献】
米国特許第04889490(US,A)
【文献】
米国特許第06308711(US,B1)
【文献】
特開2007−215849(JP,A)
【文献】
特開2004−329869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の口と鼻の間で鼻の両鼻孔への飛沫・風を防ぎ、口を覆わず、しかも目も覆わないシート状の遮蔽体と、前記遮蔽体の鼻側の面に設けられ、前記鼻の鼻中隔又は鼻尖に当接して前記遮蔽体と前記両鼻孔との間に空隙を形成するためのスペーサと、を有する本体と、前記本体に連結され、前記本体を顔面に装着できるよう、前記使用者の両耳に掛けるための耳掛け具と、を備える鼻呼吸補助具。
【請求項2】
前記スペーサは、弾性を有し、弾力をもって前記鼻中隔又は鼻尖に当接する、請求項1に記載の鼻呼吸補助具。
【請求項3】
前記スペーサは、横方向両端部が前記遮蔽体に固着され、中央部が突起したシート状である、請求項1又は2に記載の鼻呼吸補助具。
【請求項4】
前記スペーサは、6つに折れたシート状であり、折り目により7つの領域に分割され、両端の領域は前記遮蔽体に固着され、それらの間の領域は前記遮蔽体から浮いており、中央の領域は前記遮蔽体から最も浮いており、残る4領域は中央の領域に近い方が、前記遮蔽体に対して急な角度で傾斜している、請求項3に記載の鼻呼吸補助具。
【請求項5】
前記本体は、前記使用者の顔面に触れるように、前記シート状の遮蔽体の下端に沿って設けられたクッション材を、さらに有する請求項1から4のいずれかに記載の鼻呼吸補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に歯科治療における飛沫及び風をよける鼻呼吸補助具である。
【背景技術】
【0002】
歯科治療において精神的束縛を感じる者は、治療時の飛沫及び風により、突然の激しい動悸・胸苦しさ・息苦しさ等を伴う強い不安に襲われる場合があり、それに対処できる器具がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、飛沫を防止するブロックマスクを開発する業者や、それを改良する考案者がいる。周知する飛沫ブロックマスクは実用新案登録番号第3197190号の「平型飛沫ブロックマスクの改良構造」であり、それは飲食業でのスタッフの飛沫が、顧客に噴出するのを防止するための飛沫防止マスクである。
【0005】
上記周知する飛沫ブロックマスクは、それを付ける飲食業のスタッフ本人の飛沫を防ぐマスクであるので、主に一種のソフト型平型形態の引例のプレフィルタ下の中央エリアに曲れる板を設置し、着用時は顎に当てる簡易型飛沫ブロックマスクの形態を形成するのである。これでは口全体を覆ってしまい歯科治療は受けられない。そこで発明者は患者であるユーザーが装着することで、歯科治療で発生する飛沫や風を防ぎ、患者の自然な鼻呼吸が出来るように改善したい。
【0006】
歯科治療に精神的束縛を感じてしまうパニック障害を持つ者は、治療時に発生する飛沫や風を鼻に受け、突然の激しい動悸・胸苦しさ・息苦しさ等を伴う強い不安に襲われる場合があり、歯科治療の必要性を感じながら治療を回避してしまいかねない。従って、患者の鼻の前へ飛沫や風をよけるシート状の遮蔽体を設置することにより、患者本人の鼻呼吸が可能になり前述の症状や不安を解決しようとするものである。
【0007】
そのため、歯科治療において精神的束縛を感じ、治療時の飛沫及び風により、突然の激しい胸苦しさ・息苦しさを伴う強い不安に襲われる発明者本人が、上述した目標に対し、詳しく設計や評価した後、本発明を提出するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の歯科治療における飛沫及び風をよける鼻呼吸補助具は、治療時の飛沫及び風の侵入を防ぐことは勿論、両鼻孔の間である鼻中隔又は鼻尖に当接した突起体により、ユーザー本人の鼻呼吸は妨げられず、歯科受診の精神的・身体的不安の軽減に役立つのである。
【0009】
第1の発明は、使用者の鼻の両鼻孔への飛沫及び風をよけ、口を覆わず、しかも目も覆わないシート状の遮蔽体と、遮蔽体の装着側の面に設けられ、鼻の鼻中隔又は鼻尖に当接して、遮蔽体と両鼻孔との間に空隙を形成するための突起体と、を有する本体と、本体に連結され、本体を顔面に装着できるよう、使用者の両耳に掛けるための耳掛け具と、を備える鼻呼吸補助具である。
【0010】
第2の発明は、スペーサは、弾性を有し、弾力をもって鼻中隔又は鼻尖に当接する、鼻呼吸補助具である。
【0011】
第3の発明は、スペーサは、横方向両端部が遮蔽体に固着され、中央部が突起したシート状の鼻呼吸補助具である。
【0012】
第4の発明は、スペーサは、6つに折れたシート状であり、折り目により7つの領域に分割され、両端の領域は前記遮蔽体に固着され、それらの間の領域は遮蔽体から浮いており、中央の領域は遮蔽体から最も浮いており、残る4領域は中央の領域に近い方が、遮蔽体に対して急な角度で傾斜している、鼻呼吸補助具である。
【0013】
第5の発明は、本体は、使用者の顔面に触れるように、シート状の遮蔽体の下端に沿って設けられたクッション材を、さらに有する、鼻呼吸補助具である。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明は、歯科治療に精神的束縛を感じてしまうパニック障害を持つ者は、治療時に発生する飛沫や風を鼻に受け、突然の激しい動悸・胸苦しさ・息苦しさ等を伴う強い不安に襲われる場合がある。そこで、
図3,4で示すように、上記の設計により、鼻呼吸補助具Aを顔面に装着し、鼻中隔又は鼻尖と突起体との当接させて歯科治療における飛沫及び風をよけ、且つ両鼻孔とシート状の遮蔽体との間に確実に隙間を作り、ユーザー本人の自然な鼻呼吸を可能にする。
【0015】
第2の発明は、スペーサは弾性を有し、弾性をもって鼻中隔又は鼻尖に当接するので、鼻呼吸補助具を顔面に装着する際、顔面の圧迫感が少なく当りが柔らかである。
【0016】
第3の発明は、スペーサは横方向両端部が遮蔽体に固着され、中央部が突起したシート状であるため、左右に動きにくく装着時に安定感があり、軽くて鼻に添いやすく当りが柔らかなので、ユーザー自身の自然な鼻呼吸を妨げない。
【0017】
第4の発明は、突起体は6つに折れた形態であり、
図3のように顔面に装着した際、鼻中隔又は鼻尖に押し付けられても、より弾性を有するので、顔面の圧迫感が少ない上、鼻に添いやすく当りがより柔らかい。また6つ折りの突起体は横に広がるテープ状の形態なので左右に動きにくく装着時に安定感があり、ユーザー自身の鼻呼吸を妨げない。
図1で示すように、突起体の横方向両端部は、本体との接着面となり、装着時に本体を鼻中隔又は鼻尖に押し付けた際、遮蔽体から鼻に押し付けられる力が、5面に分散され、鼻中隔又は鼻尖への圧迫感は少なくなり、柔軟性が増す。
【0018】
第5の発明は、シート状の遮蔽体の下端に沿ってクッション材を設けることで、本体を装着する際、歯科治療中に終始装着しても顔面に跡が付かず、且つ当りを良くし装着感を減らす。
【0019】
シート状の遮蔽体は、シート状であるため顔面に添いやすい上、耳掛け具用の穴をあけやすく、また安価である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】本発明の鼻呼吸補助具の斜め上から見た着用イメージ図
【
図7】本発明構造実施例の半円状形スペーサ接着部分を示す図
【
図8】本発明構造実施例の4つ折り形スペーサ接着部分を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜8に基づいて説明する。
【0022】
図1〜8で示すように、本発明の歯科治療における飛沫及び風をよける鼻呼吸補助具Aの実施例であり、この説明は本発明の特許請求の範囲を制限しておらず、具体的に本発明を説明するために用いられる内容である。
【0023】
図1で示すように、該歯科治療における飛沫及び風をよける鼻呼吸補助具Aは、シート状の遮蔽体10と、鼻孔を塞がないように、鼻中隔又は鼻尖に接触するテープ状の、富士山状に浮き上がっている突起体20が一体化し、且つ耳に近接する側11に耳掛け具13(廉価版の場合はゴム状の構造もある)を設け、
図2で示すように顔面に装着する。
【0024】
歯科治療に精神的束縛を感じてしまうパニック障害を持つ者は、治療時に発生する飛沫や風を鼻に受け、突然の激しい動悸・胸苦しさ・息苦しさ等を伴う強い不安に襲われる場合がある。そこで、
図3,4で示すように、上記の設計により、鼻呼吸補助具Aを顔面に装着し、鼻中隔又は鼻尖と突起体とを当接させて歯科治療における飛沫及び風をよけ、且つ両鼻孔とシート状の遮蔽体との間に確実に隙間を作り、ユーザー本人の自然な鼻呼吸を可能にする。
【0025】
シート状の遮蔽体10は、ある程度強剛性があり且つ顔になじむ柔軟性もある。それにより顔面に装着し、本体が顔に押し付けられても突起体20が鼻中隔又は鼻尖だけにあたり両鼻孔を塞がないので、自然な鼻呼吸が可能となり、例えば全く弾性のないものでもできる。
【0026】
突起体20は、6つに折れており、
図3のように顔面に装着した際、鼻中隔又は鼻尖に押し付けられてもより弾性を有するので、顔面の圧迫感が少ない上、鼻に添いやすく当りがより柔らかい。また6つ折りの突起体20は横に広がるテープ状の形態なので左右に動きにくく装着時に安定感があり、ユーザー自身の鼻呼吸を妨げない。
図1で示すように、突起体20の横方向両端部が、遮蔽体10に接着面24で固着されており、装着時に本体Aを鼻中隔又は鼻尖に押し付けた際、遮蔽体から鼻に押し付けられる力が、5面に分散され、鼻中隔又は鼻尖への圧迫感は少なくなり、柔軟性が増す。またテープ状なので軽くて鼻に添いやすく当りが柔らかい上、耳掛け具の穴もあけやすく、洗浄可能で衛生的に保ちやすく安価である。
【0027】
図2の突起体20の横幅21は、両鼻孔の間位の長さであり、横幅21は鼻中隔又は鼻尖の幅より広くてもよい。但し横幅21は両鼻孔を塞がない長さであり両鼻孔を塞がない形状であり、且つ両鼻孔との間に空隙が形成される形態であればよい。
【0028】
図1の耳掛け具13は、例えばゴム様の弾性のある紐が望ましい。
【0029】
図1のシート状の遮蔽体10は、ある程度の強剛性があり且つ顔になじむ柔軟性もあるので、遮蔽体10の横の長さ15は、耳介の前付近までの長さであると、鼻中隔又は鼻尖を中心に頬骨の下に添うので安定していて装着感が少なくてよい、例えば標準的な成人女性用であれば120〜160mm程度でもよい。また
図1の耳に近接する側11が、
図5の耳に近接する側31より遠いため、シート状の遮蔽体10と両鼻孔との間の空隙がより安定して得られ、ユーザーの精神的負担は軽減する。
【0030】
図5で示すように、歯科治療における飛沫および風をよける鼻呼吸補助具Bは、シート状の遮蔽体30と、鼻孔を塞がないように、鼻中隔又は鼻尖に接触するテープ状の突起体40が一体化し、且つ耳に近接する側31に耳掛け具33(廉価版の場合はゴム状の構造もある)を設け、顔面に装着する。
【0031】
シート状の遮蔽体30は、ある程度強剛性があり且つ顔になじむ柔軟性もある。それにより顔面に装着し、本体が顔に押し付けられても突起体40が鼻中隔又は鼻尖だけにあたり両鼻孔を塞がないので、自然な鼻呼吸が可能となり、例えば全く弾性のないものでもできる。
【0032】
図5の突起体40は、例えば四角柱状の小さなプラスチックの塊であり、このプラスチックが弾性のある柔らかいウレタンフォームやゴム、或いは弾性の全くないものでもよい。突起体40は、例えばプラスチックの塊であるので、装着時に形状が保たれやすく、安定感があり頑丈である。
【0033】
図6の突起体40の横幅41は、両鼻孔の長さ位であり、横幅41は鼻中隔又は鼻尖の幅より広くてもよい。但し横幅41は両鼻孔を塞がない長さであり両鼻孔を塞がない形状であり、且つ両鼻孔との間に空隙が形成される形態であればよい。
【0034】
図5の耳掛け具33は、例えばワイヤ状で、シート状の遮蔽体Bが各ユーザーの顔面に添うように曲がるとよい。このワイヤ状の耳掛け具33は、曲がらないものでも弾性のある紐でもよい。
【0035】
本体と突起体の接着面24・42は、例えば強力な両面テープで接着する、或いは接着剤でもよい。
【0036】
図5,6で示すように、シート状の遮蔽体30の横の長さ35は、鼻呼吸補助具Aよりコンパクトな廉価版であるため、例えば上唇の横幅位の大きさで、例えば標準的な成人女性用であれば、例えば40〜80mm程度でも本来の機能は有している。
【0037】
図1、3、5で示すように、下端カバー12・32は、本体A・Bを装着する際、歯科治療中に終始装着しても顔面に跡が付かないようにするため、且つ当りを良くし装着感を減らすもので、例えばクッション材の布を、例えば本体A・Bの下端をくるむように、例えばシート状の遮蔽体A・Bが顔面に直接当たらぬように接着する。
【0038】
図1のシート状の遮蔽体Aの縦幅14、及び
図5のシート状の遮蔽体Bの縦幅34について、パニック障害を持つ者は、閉塞感のある場所にしばしば恐怖を感じてしまうので、出来るだけ縦幅14・34を狭くし、顔面への装着感をなくすのが好ましい。よって縦幅14・34は例えば上唇の上側から鼻尖程度の長さで、標準的な成人女性用であれば、例えば10〜30mm程度でもよい。
【0039】
例えば、バリエーションとして
図7の半円状の突起体50は接着面が少なく当りが柔らかで軽い、
図8の4つ折り形態の突起体60は、軽くて当りが柔らかで、突起体50・突起体60共に、形が保ちやすいので左右にずれにくく、装着時に安定感がある。
【0040】
図1・7・8で示すように、突起体20・50・60はいずれもテープ状であり、軽くて鼻に添いやすく当りが柔らかい上、また洗浄が可能で衛生に保ちやすい。特に突起体50・60においては、軽くコストが安くなる。
【符号の説明】
【0041】
A 歯科治療における飛沫および風をよける鼻呼吸補助具
10 シート状の遮蔽体・本体
11 耳に近接する側
12 下端カバー
13 耳掛け具
14 シート状の遮蔽体の縦幅
15 シート状の遮蔽体の横長さ
20 突起体
21 突起体の横幅
24 本体と突起体の接着面
B 鼻呼吸補助具の別形態
30 上唇の横幅程度に短くしたシート状の遮蔽体
31 耳に近接する側
32 下端カバー
33 耳掛け具
34 シート状の遮蔽体の縦幅
35 シート状の遮蔽体の横幅
40 四角柱状突起体
41 四角柱状突起体の横幅
42 本体と突起体の接着面
50 半円形突起体
60 4つ折り形突起体
【要約】
【課題】 パニック障害を持つ者は、歯科治療時に発生する飛沫や風により、突然の激しい強い不安に息苦しさ等を伴う強い不安を感じてしまう。
【解決手段】使用者の鼻の前にシート状の遮蔽体を設置し、前記本体の顔面側に突起体を固定することで飛沫や風をよけ、本人の自然な鼻呼吸が可能になり、前述の症状や不安を防止する。
【選択図】
図1