(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
容器と、前記容器内に収納される電極体と、電極端子と、前記電極端子と前記電極体とを電気的に接続する集電体と、前記容器の外部に配置され、前記容器と前記電極端子とを絶縁する絶縁部材とを備える蓄電素子であって、
前記容器は、その表面から前記容器の外方に突出する凸部を有し、
前記凸部は、前記電極端子に貫通される貫通孔が形成されており、
前記電極端子は、前記凸部を貫通した状態で、前記集電体と電気的に接続されており、
前記絶縁部材は、前記凸部と前記電極端子との間に配置される主部分と、前記凸部の側面の側方に、前記側面に沿って配置され、前記主部分の外縁から前記表面側に延びる側部とを有し、
前記絶縁部材は、圧着された状態において、前記側部の前記容器の前記表面側の下端端部が前記容器の前記表面から離隔している
蓄電素子。
前記電極端子は、少なくとも前記絶縁部材と前記容器の前記凸部とを圧着することにより、前記容器の前記貫通孔が形成される部分と前記電極端子との間を前記絶縁部材で密閉する
請求項1に記載の蓄電素子。
前記側部は、前記凸部の側面の一部に沿って配置される第一側壁部と、前記第一側壁部とは前記凸部を挟んで反対側の前記凸部の側面の一部に沿って配置される第二側壁部とを有し、
前記第一側壁部と前記第二側壁部とは、前記容器の前記表面に近づくにつれて、互いに離れる方向に傾斜している
請求項1から6のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の技術では、
図9に示すように、容器300に凸部120bを設け、絶縁封止材121に凸部120bの側面を覆う回り止め部121bを設けた場合であって、容器300の凸部120bが形成されている表面120aまで回り止め部121bが延びている。回り止め部121bは、凸部120bの側面に沿っているため、接続部131の圧着方向に沿って形成されている。このため、接続部131により容器300外部の電極端子130および容器300内部の集電体112、115を圧着させたときに、電極端子130と集電体112、115との距離が短くなるため、その間に配置された絶縁封止材121もともに圧縮される。このとき、絶縁封止材121の回り止め部121bは、圧着方向に沿って容器300の表面120aに向かって延びているため、回り止め部121bの容器300表面120a側の端部121cは、容器300の表面120aに対して押圧することになる。つまり、接続部131により圧着されたときに、絶縁封止材121の回り止め部121bが容器300の表面120aに対して突っ支い棒のように働き、回り止め部121b付近の絶縁封止材121が貫通孔120c付近の絶縁封止材121よりも相対的に持ち上げられてしまう。このため、容器300の貫通孔120cが絶縁封止材121により密閉されずに隙間が空く、回り止め部121b自身の破損が生ずる等の、容器300の気密性を損なう問題が発生する恐れがある。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、電極端子まわりの気密性を十分に確保しやすい蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の一形態に係る蓄電素子は、容器と、前記容器内に収納される電極体と、電極端子と、前記電極端子と前記電極体とを電気的に接続する集電体と、前記容器と前記電極端子とを絶縁する絶縁部材とを備える蓄電素子であって、前記容器は、その表面から前記容器の外方に突出する凸部を有し、前記凸部は、前記電極端子に貫通される貫通孔が形成されており、前記電極端子は、前記凸部を貫通した状態で、前記集電体と電気的に接続されており、前記絶縁部材は、前記凸部の側面の側方に沿って配置される側部を有し、前記側部の前記容器の表面側の端部は前記容器の表面から離隔している。
【0012】
これによれば、絶縁部材が容器に貫通した接続部を中心にして回転することを防ぐために、容器にはその表面に外方に突出する凸部が設けられ、かつ、絶縁部材に当該凸部の側面の側方に側部が設けられている。そして、当該側部は、凸部の側面に沿って延びており、延びた先の側部の容器の表面側の端部が容器の表面から離隔している。
【0013】
したがって、例えば、絶縁部材および容器が接続部により圧着されるような場合に、側部の端部が容器の表面を押圧することを防ぐことができる。このため、容器の貫通孔が絶縁部材により密閉されずに隙間が空くこと、および、側部自身が破損することを防ぐことができる。これにより、容器の気密性を十分に確保することができる。
【0014】
また、前記電極端子は、少なくとも前記絶縁部材と前記容器の前記凸部とを圧着することにより、前記容器の前記貫通孔が形成される部分と前記電極端子との間を前記絶縁部材で密閉し、前記絶縁部材は、前記電極端子により前記容器の凸部とともに圧着された状態において、その前記側部の前記端部が前記容器の表面から離隔していてもよい。
【0015】
これによれば、接続部が容器の凸部を貫通するための貫通孔が、容器に設けられている。そして、容器の貫通孔が形成される部分と貫通孔を貫通する接続部との間の隙間を絶縁部材により密閉するために、絶縁部材および容器の凸部が接続部により圧着される。
【0016】
したがって、絶縁部材および容器が、接続部により圧着されるような場合に、側部の端部が容器の表面を押圧することを防ぐことができる。このため、容器の貫通孔が絶縁部材により密閉されずに隙間が空くこと、および、側部自身が破損することを防ぐことができる。これにより、容器の気密性を十分に確保することができる。
【0017】
また、前記電極端子は、前記凸部の突出方向の外側に配置される板状の端子本体と、前記端子本体の主面に交差する方向に延び、前記容器の前記貫通孔を貫通する柱状の接続部と、を有してもよい。
【0018】
また、前記絶縁部材は、さらに、前記貫通孔と前記接続部との間に挟み込まれる筒状の筒部と、前記容器の前記凸部と前記電極端子との間に挟み込まれ、かつ、前記筒部の端部から前記筒部の軸に交差する方向であって外側の方向に向かって拡がる板状の板部と、を有し、前記側部は、前記板部の外縁から前記凸部の側面に沿って配置されてもよい。
【0019】
また、前記電極端子は、さらに、前記接続部の前記端子本体とは反対側の端部がかしめられることにより形成される、前記貫通孔の径よりも外径が大きいかしめ端を有し、前記かしめ端および前記端子本体により、前記容器の凸部および前記絶縁部材を、挟み込んで圧着してもよい。
【0020】
これによれば、電極端子は、容器を貫通して集電体に電気的に接続する柱状の接続部を有している。絶縁部材は、容器の凸部と端子本体との間に挟み込まれる板部と、容器の貫通孔を形成している部分と接続部とを絶縁するための筒部を有する。電極端子は、接続部が絶縁部材の筒部および容器の貫通孔を貫通した状態で、接続部の端子本体とは反対側の端部がかしめられることにより、容器の凸部および絶縁部材を圧着している。
【0021】
したがって、絶縁部材は、圧着された状態で、容器に形成される貫通孔を凸部と板部とにより密着させることができるため確実に容器の貫通孔の部分を密閉することができる。また、絶縁部材は、凸部と電極端子の端子本体との絶縁を確実に図ることができる。さらに、絶縁部材は、電極端子の接続部を筒部の内部を貫通させているため、容器の貫通孔が形成されている部分と電極端子の接続部との絶縁を確実に図ることができる。
【0022】
また、前記凸部は、さらに、前記貫通孔が形成され前記端子本体とともに前記板部を挟み込む頂部を有し、前記側面が、前記頂部の外縁から前記表面を連続して接続する部分であり、前記頂部の外縁形状は、非円形であってもよい。
【0023】
また、前記側部は、前記凸部の側面の一部に沿って配置される第一側壁部と、前記第一側壁部とは前記凸部を挟んで反対側の前記凸部の側面の一部に沿って配置される第二側壁部とを有し、前記第一側壁部と前記第二側壁部とは、前記容器の前記表面に近づくにつれて、互いに離れる方向に傾斜していてもよい。
【0024】
このように、凸部を挟んだ第一側壁部と第二側壁部とが容器の表面に近づくにつれて互いに離れる方向に傾斜させることにより、容器に対する絶縁部材の組み立ての容易さと、絶縁部材の側部に回り止めの機能の実現とを両立させることができる。
【0025】
また、前記凸部は、前記第一側壁部に対向する第一側面と、前記第二側壁部に対向する第二側面とが互いに、前記表面に近づくにつれて、互いに離れる方向に傾斜しており、前記第一側壁部と前記第二側壁部とが為す第一角度は、前記第一側面と前記第二側面とが為す第二角度以上であってもよい。
【0026】
これによれば、第一側壁部と第二側壁部とが為す第一角度は、第一側面と第二側面とが為す第二角度以上である。このため、第一角度と第二角度とが等しい場合には、第一側壁部と第一側面とは密着し、第二側壁部と第二側面とは密着することとなる。これにより、凸部と絶縁部材との重ね合わせの容易性を担保しつつ、圧着時により高い密着性を確保することが可能となる。
【0027】
また、表面から外方に突出する凸部を有する容器と、前記容器内に収納される電極体と、電極端子と、前記電極端子と前記電極体とを電気的に接続する集電体と、前記凸部の側面の側方に沿って配置される側部を有し、前記容器と前記電極端子とを絶縁する絶縁部材とを備える蓄電素子の製造方法であって、前記容器と前記電極端子との間に前記絶縁部材を配置する配置工程と、前記側部の端部から前記容器の表面への押圧力が働かない範囲で、前記絶縁部材と前記容器の前記凸部とを前記電極端子で圧着する圧着工程と、を含む蓄電素子の製造方法として実現してもよい。
【発明の効果】
【0028】
以上のような本発明によれば、電極端子まわりの気密性を十分に確保しやすくできるという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0031】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池1の模式的な構成を示す分解斜視図である。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態の非水電解質二次電池1は、容器30と、容器30内に収容される電極体11と、電極端子23と、電極端子23と電極体11とを電気的に接続する集電体12、15と、容器30と電極端子23とを絶縁する外部絶縁封止材22と、容器30と集電体12、15とを絶縁する内部絶縁封止材13とを有する。
【0033】
容器30は、蓋部20と容器本体10とから構成される。蓋部20は、X軸方向(後述参照)に長い長尺板状の部材である。容器本体10は、矩形筒状の部材の一端に開口10xを有し、他端に底を有する部材である。なお、本実施の形態では、容器本体10と蓋部20との並び方向を上下方向(
図1ではZ軸方向)とし、正極端子と負極端子との並び方向を左右方向(
図1ではY軸方向)とし、上下方向および左右方向に垂直な方向を前後方向(
図1ではX軸方向)と定義する。
【0034】
蓋部20は、長手方向の両端部に、蓋部20の上側の表面である上面20bから容器30の外方に向けて突出する凸部21と凸部21以外の部分である板状の蓋本体20aとを有する。なお、ここで、蓋部20の上面20bとは、蓋本体20aの容器30外側の面である。つまり、容器30は、その上面20bから容器30の外方に突出する凸部21を有する。
【0035】
凸部21は、頂部としての板部21bと、側壁部21dとを有する。板部21bは、凸部21の上部を構成する平板状の部材であり、平面視においてX軸方向およびY軸方向に平行な辺を有する矩形状であり、蓋本体20aと平行である。また、凸部21は、板部21bに電極端子23に貫通される貫通孔21aが形成されている。なお、
図1においては、正極側の貫通孔21aのみを示し、負極側の貫通孔は後述する絶縁封止材の陰に隠れるため図示されない。
【0036】
電極体11は、帯状の電極である正極と負極との間にセパレータが挟み込まれるように積層しつつ全体が長円筒形に捲回されて形成される。電極体11は、捲回軸方向がX軸方向に一致し、かつ、断面の長円形状の長軸がZ軸方向に一致するような向きで容器30内に収納される。正極および負極は、捲回軸方向に互いに位置をずらして、捲回軸を中心に長円筒形に捲回されている。電極体11は、その両端において、正極および負極のそれぞれが所定の幅でセパレータから電極体11の捲回軸方向(Y軸方向)外側に向けて突出している突出部11a、11bを有する。つまり、電極体11は、捲回軸方向の一端において正極がセパレータから突出している正極側の突出部11aと、他端において負極がセパレータから突出している負極側の突出部11bとを有する。更に、正極側の突出部11aおよび負極側の突出部11bは、活物質が形成されておらず、基材である金属箔が露出している。つまり、正極側の突出部11aは、正極活物質層が形成されていない正極基材であるアルミニウム箔が露出しており、負極側の突出部11bは、負極活物質層が形成されていない負極基材である銅箔が露出している。正極側の突出部11aおよび負極側の突出部11bには、正極側の集電体12および負極側の集電体15がそれぞれ電気的に接続される。
【0037】
集電体12の上側の端部は、電極体11の上側の表面と平行(つまり、X−Y平面に平行)な板状の構成(後述する板部12b1)を有し、当該板状の構成には貫通孔12aが形成されている。また、集電体12は、電極体11の捲回軸方向の一端である正極側の突出部11aにおいて、Z軸方向の下側の端部に向かうにつれて、当該正極側の突出部11aのX軸方向外側の側面に沿って湾曲し、かつ、正極側の突出部11aと共に、アルミニウムまたはアルミニウム合金の挟持板14に挟まれて超音波溶接等により接続、固定される構成(後述する腕部12c)を有する。なお、負極側の集電体15も同様の構成を有し、銅または銅合金で形成される。正極側の集電体12および負極側の集電体15は、同じ構成であるため、以下では、正極側の集電体12のみについて説明し、負極側の集電体15の説明は省略する。
【0038】
なお、集電体12、15の詳細な構成については後に更に詳細に説明する。
【0039】
内部絶縁封止材13は、蓋部20と集電体12との間に配置されることにより、容器30と集電体12とを絶縁する絶縁部材である。つまり、内部絶縁封止材13は、容器30の内部に配置されて、集電体12を介して電気的に接続されている電極体11から容器30を絶縁するための絶縁部材である。また、内部絶縁封止材13は、容器30の蓋部20に形成される貫通孔21aに対して電極端子23および外部絶縁封止材22とともに圧着されることにより、当該貫通孔21aを密閉するための封止材(パッキン)としても機能する。内部絶縁封止材13は、集電体12の基台部12b(後述参照)を電極端子23側から覆う形状である。内部絶縁封止材13は、合成樹脂等により構成され、絶縁性および弾性を備える。内部絶縁封止材13には、蓋部20の貫通孔21aおよび集電体12の貫通孔12aとともに、後述する電極端子23の接続部23bによって貫通される貫通孔13aが形成されている。
【0040】
外部絶縁封止材22は、電極端子23の端子本体23a(後述参照)と蓋部20の凸部21との間に挟み込まれることにより、電極端子23と容器30とを絶縁する絶縁部材である。つまり、外部絶縁封止材22は、容器30の外部に配置されて、電極端子23および集電体12を介して電気的に接続されている電極体11から容器30を絶縁するための絶縁部材である。また、外部絶縁封止材22は、容器30の蓋部20に形成される貫通孔21aに対して電極端子23および内部絶縁封止材13とともに圧着されることにより、当該貫通孔21aを密閉するための封止材(パッキン)としても機能する。外部絶縁封止材22は、凸部21の板部21bの上側に配置され、貫通孔22dが形成される板状の板部22bと、板部22bの貫通孔22dが形成される部分から連続して形成され、板部22bの下方に延びる筒状の筒部22cとを有する。つまり、外部絶縁封止材22は、筒部22cと、筒部22cの軸に交差する方向であって筒部22cの外側の方向に向かって拡がる板部22bとを有する。
【0041】
また、外部絶縁封止材22は、板部22bの外縁から凸部21の側面に沿って形成される側壁部22aを有する。つまり、外部絶縁封止材22は、板部22bおよび側壁部22aにより凸部21の外側を覆う部材である。
【0042】
外部絶縁封止材22は、内部絶縁封止材13と同様の合成樹脂製の部材である。外部絶縁封止材22に形成される貫通孔22dは、蓋部20に形成される貫通孔21a、内部絶縁封止材13に形成される貫通孔13aおよび集電体12に形成される貫通孔12aとともに、後述する電極端子23の接続部23bによって貫通される。
【0043】
また、外部絶縁封止材22の筒部22cは、蓋部20と対向する側(つまり板部22bの下側)に形成されており、貫通孔22dと筒部22cの内縁とは一致している。また、筒部22cは、貫通孔13a、21aに対応した外形を有し、これら各貫通孔13a、21aに嵌り込むようになっている。したがって、筒部22cは、容器30の凸部21に形成される貫通孔21aと電極端子23の接続部23bとの間に挟み込まれる。つまり、外部絶縁封止材22は、電極端子23の端子本体23aと容器30の凸部21の板部21bとの間に挟み込まれ、かつ、電極端子23の接続部23bと容器30の貫通孔21aを形成する部分との間に挟み込まれることにより、電極端子23と容器30とを絶縁する。
【0044】
更に、外部絶縁封止材22の板部22bの上側には枠体22eが形成されており、枠体22eは板部22bに形成される貫通孔22dの外側に形成されている。
【0045】
電極端子23は、容器30の凸部21の突出方向の外側に配置される板状の端子本体23aと、端子本体23aの主面に交差する方向(端子本体23aの下方)に延び、容器30に形成される貫通孔21aを貫通する柱状の接続部23bとを有する。端子本体23aは、その外縁の形状が枠体22eの内縁の形状に対応した平面形状である。接続部23bは、端子本体23aと集電体12とを電気的に接続するとともに、蓋部20と電極体11とを機械的に接合する役割を果たす。また、正極側に配置される電極端子23は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から構成され、負極側に配置される電極端子23は、銅または銅合金から構成される。
【0046】
電極端子23は、具体的には、図示しない外部負荷(つまり、非水電解質二次電池1の電気エネルギーを消費する機器)の端子が端子本体23aの表面に溶接固定されることにより、非水電解質二次電池1と外部負荷との電気的な接続を完成するための部材である。あるいは、電極端子23は、図示しない複数の非水電解質二次電池1を並べて配置した状態で、バスバーにより各電池の端子本体23aが溶接固定されることにより、非水電解質二次電池1同士の電気的な接続を完成するための部材である。
【0047】
なお、電極端子23は、端子本体23aと接続部23bとが鍛造、鋳造等によって同一の素材から構成されていてもよい。また、電極端子23は、端子本体23aと接続部23bとがそれぞれ独立しており、端子本体23aと接続部23bとを構成する2つの異種または同種材料の素材を一体成形することにより構成されていてもよい。
【0048】
次に、
図2および
図3を参照して、本実施の形態に係る非水電解質二次電池1の、電極端子23および集電体12周辺の構成を更に詳細に説明する。ただし、
図2は、組立てられた状態における
図1の非水電解質二次電池1のY−Z平面で切断したときの電極端子周辺の要部断面図である。また、
図3は、同
図1の非水電解質二次電池1のX−Z平面で切断したときの電極端子周辺の要部断面図である。
【0049】
図2および
図3に示すように、非水電解質二次電池1の電極端子23および集電体12周辺の構成は、上から電極端子23、外部絶縁封止材22、蓋部20の凸部21、内部絶縁封止材13、集電体12の板部12b1の順に積層されている。外部絶縁封止材22は、板部22bと、凸部21の板部21bと、内部絶縁封止材13の板部13b(後述参照)とが重り、かつ、筒部22cが蓋部20に形成される貫通孔21aおよび内部絶縁封止材13に形成される貫通孔13aに貫通した状態で配置される。筒部22cの端面は、内部絶縁封止材13の下面と同一面上にあり、内部絶縁封止材13の下面とともに集電体12の主面を形成する板部12b1の上面に接している。そして、外部絶縁封止材22の筒部22cの内周の形状と、集電体12の貫通孔12aとは、同じサイズ、かつ、同じ形状である。また、筒部22cと貫通孔12aとは電極端子23の接続部23bに貫通されている。つまり、接続部23bの外周と、筒部22cの内周および貫通孔12aが形成される部分とは、互いに接触した状態となる。そして、電極端子23の接続部23bは、外部絶縁封止材22の筒部22cおよび集電体12に形成される貫通孔12aを貫通した状態で、その先端がかしめられ、かしめ端23cが整形される。つまり、電極端子23は、さらに、接続部23bの端子本体23aとは反対側の端部がかしめられることにより形成される、筒部22cの内径および集電体12に形成される貫通孔12aの径よりも外径が大きいかしめ端23cを有する。
【0050】
かしめ端23cの外径は各貫通孔21a、22d、13a、12aの径より大きいため、外部絶縁封止材22、蓋部20、内部絶縁封止材13および集電体12は電極端子23の端子本体23aとかしめ端23cとにより挟まれることで互いに圧着され、一体的に固定される。これにより、電極端子23は、外部絶縁封止材22と容器30の凸部21とを圧着することにより、容器30の貫通孔21aが形成される部分と電極端子23との間を外部絶縁封止材22および内部絶縁封止材13で密閉する。また、電極端子23は、接続部23bおよびかしめ端23cが集電体12により接しているため、蓋部20の凸部21を貫通した状態で集電体12と電気的に接続される。なお、接続部23bの側面は外部絶縁封止材22の筒部22cによって覆われているため、蓋部20と接続部23bとの間は絶縁状態が確保されている。
【0052】
図2および
図3に示すように、本実施の形態の蓋部20は、その裏側(つまり下側)に、容器本体10の開口10xに嵌合するように開口10xの内縁形状と一致する外形状を有する枠部20cが形成される。枠部20cは、容器本体10の上側の端面と当接する蓋部20の側端の内側に形成される。つまり、蓋部20は、枠部20cが形成される部分の厚みが、他の部分の厚みよりも大きい枠部20c構成となる。また、蓋部20の、凸部21を除いた部分の厚みは、枠部20cが形成される部分において最も大きく、次いで枠部20cの外側の部分、枠部20cの内側の部分の順に小さくなっている。
【0053】
また、蓋部20は、その構成部材の断面の厚みはほぼ一様である。蓋部20には、凸部21の裏側において、凸部21の突出に対応した凹部21xが形成されている。つまり、蓋部20の凸部21は、例えば、均一の厚みの板状部材に対してプレス加工により凹凸をつけることにより形成されたものである。したがって、蓋部20は、凸部21の側面21cを形成する側壁部21dを有する。側壁部21dは、
図2および
図3に示すように、平面視において矩形状の板部21bの外縁から蓋部20の短手方向(X軸方向)および長手方向(Y軸方向)に沿って蓋本体20aの間にわたって連続して、かつ、蓋本体20aに交差する方向に沿って形成されている。側壁部21dは、四方のそれぞれに面する4つの部分21d1、21d2、21d3、21d4を有する。4つの部分21d1、21d2、21d3、21d4は、隣り合う部分同士が互いに連続している。当該4つの部分21d1、21d2、21d3、21d4のうちで、凸部21の板部21bの短手方向(X軸方向)に沿った外縁に連続している一対の部分21d1、21d3は、蓋本体20aおよび板部21bに対して垂直に屈曲して形成される(
図2参照)。また、当該4つの部分21d1、21d2、21d3、21d4のうちで、凸部21の板部21bの長手方向(Y軸方向)に沿った外縁に連続している一対の部分21d2、21d4は、蓋本体20aに近づくにつれて互いに離れる方向に傾斜して屈曲して形成される(
図3参照)。つまり、側壁部21dのY軸方向に沿っている一対の部分21d2、21d4のX軸方向外側の第一側面21c2および第二側面21c4は、蓋部20の上面20bに近づくにつれて、互いに離れる方向に傾斜している。
【0054】
内部絶縁封止材13は、蓋部20に形成される凸部21と同様に、板部13bと、側壁部13cとを有する。内部絶縁封止材13の上側の形状は、凹部21xの形状に対応した形状である。板部13bは、凸部21の板部21bに平行な平板状であって、平面視においてX軸方向およびY軸方向に平行な辺を有する矩形状である。板部13bには、上述した貫通孔13aが形成されている。側壁部13cは、板部13bの周縁から電極体11側(つまり下側)に向かって立ち上がるように形成されている。側壁部13cは、四方のそれぞれに面する4つの部分13c1、13c2、13c3、13c4を有する。4つの部分13c1、13c2、13c3、13c4は、隣り合う部分同士が互いに連続している。そして、側壁部13cは、上述した側壁部21dの内側の面と平行である。つまり、4つの部分13c1、13c2、13c3、13c4のうちで、板部13bのX軸方向に沿った一対の辺から立ち上がっている一対の部分13c1、13c3は、板部13bに対して垂直に形成される。また、当該4つの部分13c1、13c2、13c3、13c4のうちで、板部13bのY軸方向に沿った一対の辺から立ち上がっている一対の部分13c2、13c4は、下部に行くに従い互いに離れる方向に傾斜して形成される。また、
図3に示すように、凸部21の板部21bの長手方向に沿った外縁に連続している一対の互いに対向する側壁部21dの二方に面する部分21d2、21d4の内側の面と、内部絶縁封止材13の板部13bのY軸方向に沿った一対の辺から立ち上がっている一対の部分13c2、13c4の外側の面とは、互いに接している。
【0055】
更に、蓋部20の凸部21の上部に位置している外部絶縁封止材22は、内部絶縁封止材13と同様に凸部21の形状に対応した形状を有する。外部絶縁封止材22において、板部22bの下面が凸部21の板部21bの上面と接触しており、板部22bの外縁から板部22bの下方に延びる側壁部22aが凸部21の側面を形成する側壁部21dに沿った形状である。側壁部22aは、四方のそれぞれに面する4つの部分22a1、22a2、22a3、22a4を有する。4つの部分22a1、22a2、22a3、22a4は、隣り合う部分同士が互いに連続している。当該4つの部分22a1、22a2、22a3、22a4のうちで、板部22bのX軸方向に沿った一対の辺から下方に延びる一対の部分22a1、22a3は、板部22bに対して垂直に形成される。また、当該4つの部分22a1、22a2、22a3、22a4のうちで、板部22bのY軸方向に沿った一対の辺から下方に延びる一対の部分22a2、22a4は、容器30の上面20bに近づくにつれて互いに離れる方向に傾斜して形成される。つまり、外部絶縁封止材22の側壁部22aは、凸部21の側面の一部(第一側面21c2)に沿って配置される第一側壁部としての側壁部22aの部分22a2と、第一側壁部とは凸部21を挟んで反対側の凸部21の側面(第二側面21c4)の一部に沿って配置される第二側壁部としての側壁部22aの部分22a4とを有する。
【0056】
ここで、側壁部22aの部分22a2と側壁部の部分22a4とが為す第一角度θ1は、第一側面21c2と第二側面21c4とが為す第二角度θ2と等しい。つまり、側壁部22aの部分22a2のX軸方向内側の面と第一側面21c2とは密着し、側壁部22aの部分22a4のX軸方向内側の面と第二側面21c4とは密着する。
【0057】
このように、外部絶縁封止材22は、板部22bの外縁から側壁部22aが凸部21の側面に接触して形成される。このため、側壁部22aは、外部絶縁封止材22が容器30に対して回転しないようさせる回り止めの機能を有する。つまり、外部絶縁封止材22は、凸部21の側面に対して側壁部22aが係止するため、電極端子23によりかしめられるときに容器30の貫通孔21aを中心にして回転することが防止される。
【0058】
また、板部22bの下面から側壁部22aの下端までのZ軸方向の距離は、蓋本体20aの上面20bから凸部21の板部21bの上面までのZ軸方向の距離未満となっている。すなわち、
図2および
図3に示すように、外部絶縁封止材22、蓋部20、内部絶縁封止材13および集電体12が、電極端子23の端子本体23aとかしめ端23cにより挟み込まれて圧着された状態において、側壁部22aの容器30の上面20b側の端部(つまり、側壁部22aの下端)の端面22fは、蓋部20の上面20bから、所定間隔Cをもって離隔している。要するに、外部絶縁封止材22は、電極端子23により容器30の凸部21とともに圧着された状態において、その側壁部22aの端部が容器30の上面20bから離隔している。もちろん、外部絶縁封止材22は、電極端子23により圧着されていない状態であっても、その側壁部22aの端部が容器30の上面20bから離隔している。
【0059】
このように、本実施の形態の非水電解質二次電池1においては、蓋部20が凸部21およびそれに対応する凹部21xを有し、外部絶縁封止材22および内部絶縁封止材13の形状が凸部21の形状および凹部21xの形状にそれぞれ対応する形状を有するように構成されている。
【0060】
次に、
図4および5を参照して、集電体12の詳細な構成を説明する。
図4は集電体12を下方から仰視した斜視図であり、
図5の(a)および(b)はそれぞれY軸方向の視点から視た図およびX軸方向の視点から視た図である。
【0061】
各図に示すように、集電体12は、一枚の金属板をプレス等により屈曲加工することにより形成され、平板状の構成を含む基台部12bと、基台部12bのX軸方向の両端から下方に向けて延伸する一対の腕部12cとを備える。
【0062】
図4および
図5の(a)に示すように、基台部12bは、貫通孔12aが形成された平板状の板部12b1と、板部12b1のY軸方向に沿った一対の辺において屈曲して形成された一対の壁部12b2とから構成される。一対の壁部12b2は、
図3に示す蓋部20の凹部21xの側壁部21dの内側の面である側面21cに対応して、下部に行くに従い互いに離れる方向に傾斜している。一対の壁部12b2は、それぞれの容器30のY軸方向の端部側(
図5(b)の右側)の部分が一対の腕部12cへと連続する構成を有する。つまり、壁部12b2のうちで電極体11の突出部11a、11bに近い側の一部のみが腕部12cと連続している。
【0063】
次に、一対の腕部12cのそれぞれは、電極体11に接続される腕本体12c1と、腕本体12c1と壁部12b2とを繋ぐ渡り部分12c2とから構成される。一対の腕本体12c1のそれぞれは、電極体11の正極側の突出部11aのX軸方向に向かって面する側面の外側に沿って、板部12b1に直交する方向に板部12b1から下方に延伸する、外形が長尺状の平板である。つまり、一対の腕本体12c1は、互いに平行である。
図3に示すように、一対の腕本体12c1は、その間に電極体11を挟み込んでいる。なお、一対の腕本体12c1のそれぞれの先端は、
図5(b)に示すように、Y軸方向の視点から見た形状が丸い。このように、腕本体12c1の先端が丸い構成とすることにより、電極体11に集電体12を接続する時に、電極体11の表面に傷がつくのを防いでいる。なお、腕本体12c1の先端の形状は、丸くなくてもよく、角張っていてもよい。
【0064】
一方、一対の渡り部分12c2のそれぞれは、
図5の(a)に示すように、基台部12bの板部12b1に対する角度が、基台部12bの板部12b1に対する壁部12b2と同一の角度である。つまり、渡り部分12c2は、一対の壁部12b2のそれぞれの延長線上に形成されている集電体12の一対の構成要素である。そして、一対の渡り部分12c2は、下部に行くに従い互いに離れる方向に傾斜している。このように、一対の壁部12b2および一対の渡り部分12c2が傾斜しているため、内部絶縁封止材13の板部13bに直接接触する板部12b1の上面のY軸方向の幅W1は、一対の腕本体12c1の間隔W2よりも小さい。また、壁部12b2と渡り部分12c2とが互いに延長線上に形成されているため、集電体12の腕部12cと基台部12bとの間の強度と、一対の腕部12cの精度とが確保されやすい。
【0065】
また、
図2、
図4および
図5(b)に示すように、渡り部分12c2は、容器30のY軸方向の端部側に腕本体12c1が配置されるように、基台部12bの壁部12b2から容器30のY軸方向の端部側に向かう方向に延びている。これにより、腕本体12c1は、板部12b1の後端eよりも外側の位置にて延伸している。
【0066】
本実施の形態に係る非水電解質二次電池1によれば、外部絶縁封止材22が容器30に貫通した電極端子23を中心にして回転することを防ぐために、容器30にはその上面20bに外方に突出する凸部21が設けられ、かつ、外部絶縁封止材22に当該凸部21の側面の側方に側壁部22aが設けられている。そして、当該側壁部22aは、凸部21の側面に沿って延びており、延びた先の側壁部22aの容器30の上面20b側の端部の端面22fが容器30の上面20bから所定距離Cだけ離隔している。
【0067】
したがって、例えば、外部絶縁封止材22および容器30が電極端子23により圧着されるような場合であっても、側壁部22aの端部の端面22fが容器30の上面を押圧することを防ぐことができる。このため、容器30の貫通孔21aが外部絶縁封止材22により密閉されずに隙間が空くこと、および、側壁部22a自身が破損することを防ぐことができる。これにより、容器30の気密性を十分に確保することができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る非水電解質二次電池1によれば、電極端子23が容器30の凸部21を貫通するための貫通孔21aが、容器30に設けられている。そして、容器30の貫通孔21aが形成される部分と貫通孔21aを貫通する接続部23bとの間の隙間を外部絶縁封止材22により密閉するために、外部絶縁封止材22および容器30の凸部21が電極端子23により圧着される。
【0069】
したがって、外部絶縁封止材22および容器30が、電極端子23により圧着されるような場合に、側壁部22aの端部が容器30の上面20bを押圧することを防ぐことができる。これにより、電極端子23とかしめ端23cとの間で生じる圧力は、外部絶縁封止材22においては、側壁部22aに伝達されることなく、凸部21の板部21bに対向する板部22bにのみ伝達される。よって、外部絶縁封止材22と凸部21とは緊密に面接触することができる。このため、容器30の貫通孔21aが外部絶縁封止材22により密閉されずに隙間が空くこと、および、側壁部22a自身が破損することを防ぐことができる。これにより、容器30の気密性を十分に確保することができる。
【0070】
また、本実施の形態に係る非水電解質二次電池1によれば、電極端子23は、容器30を貫通して集電体12に電気的に接続する柱状の接続部23bを有している。外部絶縁封止材22は、容器30の凸部21と端子本体23aとの間に挟み込まれる板部22bと、蓋部20の貫通孔21aを形成している部分と接続部23bとを絶縁するための筒部22cを有する。電極端子23は、接続部23bが外部絶縁封止材22の筒部22cおよび蓋部20の貫通孔21aを貫通した状態で、接続部23bの端子本体23aとは反対側の端部がかしめられることにより、容器30の凸部21および外部絶縁封止材22を圧着している。
【0071】
したがって、外部絶縁封止材22は、圧着された状態で、容器30に形成される貫通孔21aを凸部21と板部22bとにより密着させることができるため、容器を確実に密閉することができる。また、外部絶縁封止材22は、凸部21と電極端子23の端子本体23aとの絶縁を確実に図ることができる。さらに、外部絶縁封止材22は、電極端子23の接続部23bを筒部22cの内部を貫通させているため、容器30の貫通孔21aが形成されている部分と電極端子23の接続部23bとの絶縁を確実に図ることができる。
【0072】
また、本実施の形態の非水電解質二次電池1によれば、
図3に示すように、外部絶縁封止材22の、側壁部22aのうちでY軸方向に沿った一対の部分22a2、22a4が、蓋部20の凸部21の側壁部21dのうちでY軸方向に沿った一対の側壁部21dの部分21d2、21d4の容器30の外側の面の傾斜に対応して、蓋部20の上面20bに近づくに従い互いに離れる方向に傾斜している。
【0073】
側壁部22aは回り止めとして機能する必要があるため、側壁部21dおよび側壁部22aがともに直立した壁部(つまりZ軸方向に平行な壁部)であると仮定すれば、凸部21に外部絶縁封止材22を配置する際に、凸部21および外部絶縁封止材22の平面視における外縁形状の少なくとも一方に、厳密な精度が要求される。また、厳密な精度で凸部21および外部絶縁封止材22を成形できたとしても、外部絶縁封止材22の回り止めの機能を考慮すれば両者の間にクリアランスを設けることは望ましくないため、組み立てが容易ではない。
【0074】
これを解決するために、側壁部21dおよび側壁部22aを互いに傾斜させる部分を形成することにより、両者の組み立ての容易さと、外部絶縁封止材22の側壁部22aに回り止めの機能の実現とを両立させることができる。また、凸部21の板部21bの上面と外部絶縁封止材22の板部22bの下面との密着性を確保できる。
【0075】
また、本実施の形態の非水電解質二次電池1によれば、側壁部22aの部分22a2と側壁部の部分22a4とが為す第一角度θ1は、第一側面21c2と第二側面21c4とが為す第二角度θ2と等しい。このため、側壁部22aの部分22a2のX軸方向内側の面と第一側面21c2とは密着し、側壁部22aの部分22a4のX軸方向内側の面と第二側面21c4とは面接触することとなる。これにより、凸部21と外部絶縁封止材22との重ね合わせの容易性を担保しつつ、圧着時により高い密着性を確保することが可能となる。
【0076】
また、上記の説明においては、凸部21の側壁部21dは、凸部21の板部21bのX軸方向に沿った外縁に連続している一対の部分21d1、21d3が、蓋本体20aおよび板部21bに対して垂直に屈曲して形成され、凸部21の板部21bのY軸方向に沿った外縁に連続している一対の部分21d2、21d4が、蓋本体20aに近づくにつれて互いに離れる方向に傾斜して屈曲して形成されているが、これに限らない。つまり、板部21bのX軸方向に沿った外縁に連続している側壁部21dの一対の部分が蓋本体20aに近づくにつれて互いに離れる方向に傾斜して屈曲して形成され、板部21bのY軸方向に沿った外縁に連続している側壁部21dの一対の部分が板部21b対して垂直に屈曲して形成されてもよい。
【0077】
また、外部絶縁封止材22の側壁部22aは、凸部21の側壁部21dの形状に対応して形成されるため、上記と同様に、側壁部22aのX軸方向に沿っている一対の部分22a1、22a3が板部22b2対して垂直であり、Y軸方向に沿っている一対の部分22a2、22a4が傾斜しているものとしたが、これに限らない。つまり、側壁部22aのX軸方向に沿った一対の部分とY軸方向に沿った一対の部分との関係は、上記と同様に相互に入れ替わっていてもよい。したがって絶縁封止材の側壁部22aは、Y軸方向において垂直、かつX軸方向において傾斜していてもよい。
【0078】
また、凸部21の側壁部21dおよび外部絶縁封止材22の側壁部22aは、Y軸方向およびX軸方向の双方において傾斜していてもよく、更には、側壁部21dおよび側壁部22aの四方に面する部分のうち、少なくとも一方に面する部分だけが傾斜面を有するような構成であってもよい。いずれの場合でも、
図3に示す例と同様の効果が得られる。
【0079】
以上のように、本発明の実施の形態の非水電解質二次電池1によれば、蓋部20に設けられた凸部21に対して、その端面22fが蓋部20の上面20bから離隔した側壁部22aを有する外部絶縁封止材22を組み合わせた構成としたことにより、回り止めの機能を有する外部絶縁封止材22を用いて電極端子23周りの気密性を高めることが可能になる。
【0080】
しかしながら、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0081】
なお、上記実施の形態の非水電解質二次電池1では、側壁部22aの端面22fと蓋部20の上面20bとの間における所定間隔Cの離隔は、集電体12と電極端子23とが圧着された状態において生ずるものとした。これは、電極端子23の接続部23bの先端がかしめられる前の、集電体12、電極端子23、外部絶縁封止材22、および内部絶縁封止材13が単に組み合わされて配置された状態においても、一定間隔の離隔が生じていることを前提としている。
【0082】
ところで、蓋部20の凸部21との気密性を十分に確保するために、側壁部22aの端面22fと蓋部20の上面20bとの間に押圧が加えられることにより、凸部21の板部21bの上面と外部絶縁封止材22の板部22bの下面とがより広い密着面で密着されている。この場合に、本発明は、外部絶縁封止材22が側壁部22aを有した構成において、回り止めの機能を有する外部絶縁封止材22の側壁部22aが蓋部20の上面20bに当接することが、広い密着面で外部絶縁封止材22の阻害要因となっていため、当該阻害要因を除去することを、その要旨とするものである。
【0083】
したがって、圧着前には離隔が生じており、かつ、集電体12と電極端子23とが圧着された状態において、端面22fと上面20bとが、所定間隔Cが実質的に0と見なせるほどに近接している構成であっても、側壁部22aの端面22fと蓋部20の上面20bとの近接が、押圧を伴わない接触状態であれば、当該構成は本発明に含まれる。
【0084】
このため、次のような製造方法で製造された非水電解質二次電池も本発明に含まれる。つまり、その製造方法とは、表面から外方に突出する凸部を有する容器と、前記容器内に収納される電極体と、電極端子と、前記電極端子と前記電極体とを電気的に接続する集電体と、前記凸部の側面の側方に沿って配置される側部を有し、前記容器と前記電極端子とを絶縁する絶縁部材とを備える蓄電素子の製造方法であって、前記容器と前記電極端子との間に前記絶縁部材を配置する配置工程と、前記側部の端部から前記容器の表面への押圧力が働かない範囲で、前記絶縁部材と前記容器の前記凸部とを前記電極端子で圧着する圧着工程と、を含む製造方法である。
【0085】
また、上記実施の形態の非水電解質二次電池1は、側壁部22aの部分22a2と側壁部の部分22a4とが為す第一角度θ1は、第一側面21c2と第二側面21c4とが為す第二角度θ2と等しいが、これに限らない。例えば、
図6の要部断面図に示すように、側壁部22aの部分22a2と側壁部の部分22a4とが為す第一角度θ1は、第一側面21c2と第二側面21c4とが為す第二角度θ2よりも大きくてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態の非水電解質二次電池1では、蓋部20の凸部21は、その裏側に設けられた凹部21xに対応する反転形状として形成されたものであるが、本発明の凸部21は、凹部21xの有無にかかわらず形成されていてもよい。
【0087】
ただし、凸部21を形成する際に、凹部21xを併せて形成することは以下の効果をもたらし、より好適である。すなわち、凹部21xを本発明の凹部として、この凹部内に、内部絶縁封止材13および集電体12の基台部12bを収めることができるため、容器本体10の内部には電極体11以外の構成として集電体12の腕部12cのみが存在する構成とできる。このため、電極体11の容器30内部の収納効率を高めることが可能となる。
【0088】
また、上記実施の形態に係る非水電解質二次電池1では、外部絶縁封止材22の側壁部22aは、凸部21の側面21cの四方を囲う構成であるがこれに限らずに、四方のうちの少なくとも一方であってもよい。また、側壁部22aは、壁体でなくてもよく、例えば複数の柱状のものであってもよく、凸部21の側面21cの側方に配置されることにより外部絶縁封止材22が電極端子の接続部23bを中心に回ることを防止できる側部であればよい。
【0089】
また、上記実施の形態に係る非水電解質二次電池1では、外部絶縁封止材22の板部22bの上面には枠体22eが形成されており、電極端子23は、枠体22eで囲まれた板部22b内に載置されるものとしたが、枠体22eは省略した構成としてもよい。ただし、枠体22eを備えた構成とすることは、以下の効果をもたらし、より好適である。すなわち、枠体22eおよび板部22bで囲まれた開空間内に電極端子23の端子本体23aを収めることにより、電極端子23の、接続部23b周りの回転を防ぐことができ、気密性を確保することが可能となる。なお、枠体22eは板部22bの全周に設けるものとしたが、全周の一部に設けるようにしてもよい。
【0090】
また、上記実施の形態に係る非水電解質二次電池1では、電極端子23は、平板上の端子本体23aを有し、外部負荷の端子を端子本体23aの表面に溶接固定するものとしたが、
図7に示すように、端子本体23aの上面には、ボルト部23dを設けた構成としてもよい。ボルト部23dを介して外部負荷の端子と非水電解質二次電池1とを着脱自在に接続することが可能となる。なお、ボルト部23dは本発明の突起の一例であるが、ネジを切られていない単なる棒状部材として実現されていてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態に係る非水電解質二次電池1では、外部絶縁封止材22の板部22bは、矩形状であるが、凸部21上での回転を防ぐために、非円形であれば任意の形状を有するものであってもよい。また、凸部21の板部21bについても外部絶縁封止材22の板部22bに対応した任意の非円形形状であってもよい。
【0092】
また、上記実施の形態に係る非水電解質二次電池1では、電極端子23の接続部23bは、端子本体23aとは反対側の端部がかしめられるリベットで構成されることにより、外部絶縁封止材22、蓋部20、内部絶縁封止材13および集電体12を圧着しているが、電極端子23の接続部23bがリベットでなくてもよい。例えば、接続部23bの先端がボルトで構成されて、接続部23bのかしめ端23cの代わりにナットをボルトに組み合わせて締め込むことにより、外部絶縁封止材22、蓋部20、内部絶縁封止材13および集電体12を圧着してもよい。また、圧着される対象となる部材は、蓋部20に形成される貫通孔21aを密閉することが可能となる最小限の構成である、外部絶縁封止材22と蓋部20とであればよい。
【0093】
また、上記の説明においては、本発明の電極体は捲回型であるとしたが、積層型の電極体としてもよい。
【0094】
また、上記の説明においては、本発明の蓄電素子は、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池1であるとしたが、電気化学反応により充放電可能な電池であれば、ニッケル水素電池その他各種の二次電池を用いてもよい。また、一次電池であってもよい。さらに電気二重層キャパシタのように、電気を直接電荷として蓄積する方式の素子であってもよい。要するに、本発明の蓄電素子は電気を蓄積可能な素子であれば、その具体的な方式によって限定されるものではない。
【0095】
また、上記の説明においては、容器本体10および蓋部20から構成される電池容器は、本発明の素子容器に相当するものであり、電極端子は蓋部に設けられるものとしたが、本発明は、電極端子を容器本体側に設けるものとしてもよい。要するに本発明は、素子容器内の任意の位置に設けられた凹部に集電体の基台部が位置可能な構成であればよく、素子容器を構成する蓋部と容器本体との接合の態様、更には素子容器を構成する部材の種類、形状、個数によって限定されるものではない。
【0096】
また、電池本体はアルミニウム製であるとしたが、アルミニウム合金、ステンレスその他任意の金属または金属化合物を材料とするものであってもよい。また、形状は外形六面体としたが、円筒形状であってもよい。要するに、本発明の素子容器は、形状、材質その他の具体的な構成によって限定されるものではない。
【0097】
要するに、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内であれば、以上説明したものを含め、上記実施の形態に種々の変更を加えたものとして実施してもよい。