特許第6179091号(P6179091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179091
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】物干し装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 57/12 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   D06F57/12 J
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-254382(P2012-254382)
(22)【出願日】2012年11月20日
(65)【公開番号】特開2014-100309(P2014-100309A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】512300311
【氏名又は名称】アイズ.ジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】小田 和人
(72)【発明者】
【氏名】四蔵 展夫
(72)【発明者】
【氏名】塚本 圭司
【審査官】 栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−025991(JP,U)
【文献】 特開2001−113097(JP,A)
【文献】 特開2011−167449(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3132451(JP,U)
【文献】 実開昭61−164698(JP,U)
【文献】 特開2012−130483(JP,A)
【文献】 実開昭59−005192(JP,U)
【文献】 特開2000−317199(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3124167(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/12
E04B 1/00
A47K 10/04
A47K 10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物干し竿の一端部を着脱自在に支持するための竿支持具と、
壁面に当接させる基端部を有し、先端寄りの位置に前記物干し竿を抜き差し可能な貫通孔が設けられたステーと、
前記物干し竿を吊り下げるためのワイヤと、
前記ワイヤを保持するワイヤ保持具とを備え、
前記物干し竿が架設された状態で、
前記竿支持具は、第一の壁面に固定され、
前記ワイヤ保持具は、前記第一の壁面と所定の角度で交わる第二の壁面の、前記竿支持具よりも高い位置に固定され、
前記物干し竿は、前記一端部が前記竿支持具に支持され、他端部寄りの部分が前記ステーの前記貫通孔内に配され、
前記ワイヤは、前記物干し竿の荷重に抗して前記ステーを前記ワイヤ保持具の方向に斜め上向きに引っ張り、その引っ張り力によって、前記ステーの前記基端部を前記第二の壁面に当接させて位置決めし、前記物干し竿及び前記ステーが保持されることを特徴とする物干し装置。
【請求項2】
前記ワイヤは、前記ステーを前記ワイヤ保持具の方向に引っ張る請求項1記載の物干し装置。
【請求項3】
前記竿支持具には、前記物干し竿の前記一端部と係合可能な係合部が設けられ、
前記物干し竿が架設された状態で、前記物干し竿の前記一端部と前記係合部とが係合することによって抜け止めされる請求項1又は2記載の物干し装置。
【請求項4】
前記ステーには、前記基端部から離れた前記貫通孔寄りの位置に、衣服用ハンガーのフックを引っ掛けるための引掛け部が設けられている請求項1又は2記載の物干し装置。
【請求項5】
前記竿支持具及び前記ステーは、素材が木材である請求項1乃至4のいずれか記載の物干し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の壁又は建屋の壁を利用して物干し竿を架設するための物干し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、建具の左右の縦枠に固定される一対のクランプと、基端部が各クランプに回動自在に軸着された一対のアームと、各アーム先端部の間に支持されるポール(物干し竿)とを備えた部屋干しハンガー掛けがあった。使用時は、一対のアームを略水平に起こしてストッパで支持することによりポールが架設される。使用後は、ストッパを外してアームを略垂直に倒すことにより、壁の近傍(建具の縦枠の近傍)に収めることができる。
【0003】
また、特許文献2に開示されているように、両端にそれぞれ係合部が設けられた伸縮自在な物干し竿と、物干し竿の係合部に着脱自在に係合する係合部材とが設けられ、あらかじめ壁の異なる位置に複数の係合部材を取り付けておき、使用時に、架設したい物干し竿の長さに応じて適当な2つの係合部材を選択し、その間に物干し竿を架け渡す室内物干し構造があった。使用後は、係合部材から物干し竿を取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−162320号公報
【特許文献2】実用新案登録第3098259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の部屋干しハンガー掛けの場合、建具に一旦取り付けると各部材(クランプ、アーム、ストッパ及びポール)を分解することができないので、使用後にアームを倒して納めたとしても、各部材が部屋の壁にぶら下がった状態で残ってしまい、室内の美観を損ねたり邪魔になったりするという問題がある。
【0006】
また、特許文献2の室内物干し構造の場合、物干し竿を取り外すことができるが、例えばこの室内物干し構造を、床面が四角形で四方を壁に囲まれた矩形の部屋(一般的な六畳間や八畳間など)に設置する場合、物干し竿を短くして架設しようとすると、物干し竿を壁に対して斜めの角度に配置しなければならず、部屋の美観を損ねたり、不快に感じたりする。一方、物干し竿を壁に対して直角又は平行に配置しようとすると、物干し竿を対向する壁と壁との間をいっぱいに伸ばして架設しなければならないので、洗濯物の量が少ないときでも、物干し装置が広いスペースを取ってしまう。
【0007】
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、様々な長さの物干し竿を架設することができ、設置場所の美観を損なわず、構造もシンプルな物干し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、物干し竿の一端部を着脱自在に支持するための竿支持具と、壁面に当接させる基端部を有し、先端寄りの位置に前記物干し竿を抜き差し可能な貫通孔が設けられたステーと、前記物干し竿を吊り下げるためのワイヤと、前記ワイヤを保持するワイヤ保持具とを備え、
前記物干し竿が架設された状態で、前記竿支持具は、第一の壁面に固定され、前記ワイヤ保持具は、前記第一の壁面と所定の角度で交わる第二の壁面の、前記竿支持具よりも高い位置に固定され、前記物干し竿は、前記一端部が前記竿支持具に支持され、他端部寄りの部分が前記ステーの前記貫通孔内に配され、前記ワイヤは、前記物干し竿の荷重に抗して前記ステーを、前記ワイヤ保持具の方向に斜め上向きに引っ張り、その引っ張り力によって、前記ステーの前記基端部を前記第二の壁面に当接させて位置決めし、前記物干し竿及び前記ステーが保持される物干し装置である。
【0009】
前記ワイヤは、前記物干し竿を介して前記ステーを前記ワイヤ保持具の方向に引っ張るものである。
【0010】
前記物干し竿は、前記一端部の周面に凸条又は凹溝が形成され、前記竿支持具には、前記物干し竿の前記凸条又は凹溝と係合可能な係合部が設けられ、前記物干し竿が架設された状態で、前記物干し竿は、前記凸条又は凹溝と前記係合部とが係合することによって、自己の長手方向に抜け止めされる。
【0011】
また、前記ステーには、前記基端部から離れた前記貫通孔寄りの位置に、衣服用ハンガーのフックを引っ掛けるための引掛け部が設けられている。また、前記竿支持具及び前記ステーは、素材が木材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の物干し装置は、様々な長さの物干し竿を架設することができる。また、使用時は、物干し竿を架設する方向を適宜設定することにより室内の美観を確保することができる。使用後においても、物干し竿を取り外すことができ、壁に小形の竿支持具とワイヤ保持具が残るが、ほとんど気にならず邪魔にもならない。
【0013】
また、竿支持具とワイヤ保持具を壁に固定する際にビスや釘を使用した場合でも、壁に残る痕跡が非常に小さくて済み、後で補修するとしても簡単である。したがって、例えば、短い期間だけ賃貸アパートで生活する場合でも、部屋を引き払う際に重大なトラブルになりにくいので、安心して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の物干し装置の一実施形態を使用して物干し竿を架設した様子を示す正面図(a)、平面図(b)である。
図2】架設対象の物干し竿を示す正面図(a)、右側面図(b)である。
図3】この実施形態の物干し装置の竿支持具を示す正面図(a)、右側面図(b)、平面図(c)である。
図4】この実施形態の物干し装置のステーを示す正面図(a)、右側面図(b)、平面図(c)である。
図5】物干し竿が竿支持具に係合する部分の構造を説明する正面図(a)、平面図(b)である。
図6】この実施形態のワイヤ及びワイヤ保持具の設置状態を説明する正面図(a)、平面図(b)である。
図7】この発明の他の実施形態のワイヤ及びステーの設置状態を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の物干し装置の一実施形態について、図面に基づいて説明する。この実施形態の物干し装置10,12は、室内の2つの壁を利用して物干し竿14,16を架設するための装置であり、図1は、室内に、物干し装置10を使用して長い方の物干し竿14を架設し、物干し装置12を使用して短い方の物干し竿16を架設した様子を示している。架設されている部屋は、床面Yuが四角形で4つの壁に囲まれた矩形の部屋であり、4つの壁の中の1つが第一の壁Ka1、第一の壁Ka1と連続して直角に交わる壁が第二の壁Ka2である。長い方の物干し竿16は、第二の壁Ka2からやや離れた位置に第二の壁Ka2と略平行に架設され、短い方の物干し竿16は、第二の壁Ka2寄りの位置に第二の壁Ka2と略平行に架設されている。
【0016】
長い方の物干し竿14は、図2に示すように、本体14aが断面円形の細長いポールであり、本体14aの一端部のやや内側の周面に凹溝14bが設けられ、凹溝14bの外側に凸条14cが形成されている。本体14aの端面には、長手方向に膨らんだ膨出部14dが形成されている。膨出部14dは、物干し竿14の端部が後述する竿支持具18内で長手方向に僅かのあそびを有して嵌合し、揺動可能な程度の膨らみである。なお、凸条14cは、凹溝14bを省略して、本体14aの一端部の周面をフランジ状に突出させることによって形成してもよい。短い方の物干し竿16は、上記の物干し竿14の本体14aの長さを短くしたものであり、凹溝14b、凸条14cと同様の凹溝16b、凸条16cが設けられている。
【0017】
まず、長い方の物干し竿14を架設するための物干し装置10について説明する。物干し装置10は、竿支持具18、ステー20、ワイヤ22及びワイヤ保持具24で構成されている。
【0018】
竿支持具18は、物干し竿14の凸条14c側の端部を着脱自在に支持するための部材であり、図3に示すように、上端が開口した略矩形の小形の箱状体である。内側の収容部分の幅寸法と深さ寸法は、それぞれ物干し竿14の凸条14cの直径よりも僅かに大きい。また、竿支持具18の背面18aの内外面が平面状に形成され、前面18bは、上端から底面に至る位置まで深く切り欠かれ、その切り欠きの幅寸法は、物干し竿14の凹溝14bの最深部が形成する円の直径よりも僅かに大きく、凸条14cの先端が形成する円の直径よりも小さい。すなわち、切り欠いた両側が互いに内向き突出することによって、一対の突出部28が形成されている。突出部28は、物干し竿14を架設するとき、凹溝14c及び凸条14cと係合する係合部として働く。
【0019】
ステー20は、所定の厚みを有した細長い板材であり、図4に示すように、左側の基端部から右側の先端部にかけて緩やかに細くなり、先端部の角が取れて丸くなっている。基端部は、長手方向とほぼ直角に平坦な端面32が形成され、端面32は略長方形であり、ここでは縦横比が約4/1である。先端部には、物干し竿14の本体14aを抜き差し可能な貫通孔34が開口されている。貫通孔34は、貫通方向の中央部が略円形で最も狭くなっており、開口端に向かって横長の楕円状に広くなっている。さらに、ステー20の中央部からやや貫通孔34に近い位置に長穴が形成され、衣服用ハンガーのフックを引っ掛けるための引掛け部36が設けられている。
【0020】
物干し竿14を吊り下げるためのワイヤ22と、ワイヤ22を保持するフック等であるワイヤ保持具24については、物干し竿14を架設する手順を説明する中で述べる。
【0021】
次に、物干し装置10を使用して物干し竿14を架設する手順の一例を説明する。まず、竿支持具18を、第一の壁Ka1の所定の位置に取り付ける。竿支持具18を取り付けるときは、図5に示すように、底面を下側(床面Yu側)に配し、背面18aを第一の壁Ka1にビス38で固定する。ここでは、壁に大きな痕跡が残らないようにビス38を使用しているが、一定以上の固定強度が得られれば他の方法で固定してもよい。
【0022】
次に、フックであるワイヤ保持具24を、第二の壁Ka2の所定の位置に取り付ける。ワイヤ保持具24も、図6に示すようにビス38を使用してしっかりと固定する。ワイヤ保持具24を取り付ける位置は、第一の壁Ka1に取り付けた竿支持具18よりも高い位置であり、後述するように、好ましくはステー20の端面32から貫通孔34までの距離と等しい距離だけ高くする。
【0023】
次に、ワイヤ保持具24にワイヤ22の一端を引っ掛ける。ワイヤ22は、伸びにくく切れにくい金属ワイヤ等を使用するとよい。ワイヤ22の長さは、ステー20が水平に位置するように、ワイヤ保持具24と物干し竿14の挿通位置まで長さに調節され、ワイヤ保持具24に引っ掛けた側とは反対側の端部に輪22aが設けられている。
【0024】
次に、物干し竿14の本体14aの一端部(凹溝14c及び凸条14cのない側の端部)をワイヤ22の輪22aの中に挿通し、凹溝14c及び凸条14cがある側の端部を竿支持具18の上端から収容部分に入れる。物干し竿14が竿支持具18内に入ると、図5に示すように、物干し竿14の凹溝14bが竿支持具18の突出部28によってガイドされ、凸条14cが突出部28及び膨出部14dによってガイドされ、滑らかに下向きに移動する。物干し竿14は、凸条14cが竿支持具18に入って支持されると、凸条14aと突出部28とが係合することにより、長手方向に抜け止めされる。また、背面18aの左右の端部(隆起部26のない部分)と前面18bとの間に凸条14cが移動できる空間があるので、本体14a第一の壁Ka1に対する本体14aの角度を左右方向に振らせることができる。
【0025】
次に、ステー20の先端部の貫通孔34内に、物干し竿14の反対側の端部を挿入し、図6に示すように、ステー20をワイヤ保持具24の近傍に配する。そして、基端部の端面32を、ワイヤ22がワイヤ保持具24と物干し竿14との間にピンと張らせた状態で、第二の壁Ka2に当接させる。すると、ワイヤ22によって物干し竿14がワイヤ保持具24の方向に引っ張られ、その引っ張り力が物干し竿14を通じてステー20に作用し、ステー20の端面32が第二の壁Ka2に押し当てられ、摩擦力により保持される。また、物干し竿14も、ステー20によって位置決めされ、ワイヤ22の引っ張り力を受けて保持される。
【0026】
こうして物干し竿14が略水平に架設されると、図1に示すように、物干し竿14の本体14aに、シーツやタオル等の洗濯物38を干すことができる。また、ステーの引掛け部36を利用して、ハンガー40を取り付けたシャツ等の洗濯物38を干すことができる。
【0027】
物干し竿14を架設した状態で、洗濯物38等の重い物をしっかり支持するためには、図6に示すように、ステー20が第二の壁Ka2からほぼ水平に突出し、ワイヤ22が斜め約45度の角度に張られた状態にすることが好ましい。これは、ステー20の長さ、ワイヤ22の長さ、竿支持部18及びワイヤ保持部24の取り付け位置を調節することによって簡単に実現することができる。また、例えば不慣れな人が架設した結果、例えば、竿支持部18やワイヤ保持具等の取り付け位置が多少ずれてしまったとしても大丈夫である。図5(b)に示すように、物干し竿14の端部の凸条14cが、竿支持具18の係合部である突出部28に係合している部分には遊びがあり、図6(b)に示すように、ステー20の貫通孔34内の直径が変化している部分にも遊びがあるので、物干し竿14が左右に振れることによって上記の位置ずれが自動的に吸収され、ほぼ理想に近い状態に架設することができる。
【0028】
洗濯物が乾いて回収した後(すなわち使用後)は、上記と反対の手順で物干し竿14とワイヤ22を取り外し、物置などに収納する。部屋の壁には、竿支持具18とワイヤ保持具24が取り付けられたままになるが、いずれも小形なので気にならず、部屋の美観にはほとんど影響しない。
【0029】
次に、短い方の物干し竿16を架設するための物干し装置12について説明する。物干し竿16は、上記の物干し竿14と比べると、本体16aが相対的に短い点が異なるだけで、上記と同様の凹溝16b、凸条16cを有している。したがって、物干し装置12は、上記と同じ竿支持具18及びワイヤ保持具24に、新たなステー42及びワイヤ44を組み合わせることによって構成されている。
【0030】
新たなステー42は、上記のステー20の基端部から先端部までの長さ寸法を約半分に短くしたものであり、基端部の端面32や先端部側の貫通孔34及び引掛け部36の構造は同じである。
【0031】
新たなワイヤ44は、上記のワイヤ22の長さ寸法を約半分にしたものであり、ワイヤ保持具24に引っ掛ける端部とは反対側の端部に、上記と同様の輪44aが設けられている。ワイヤ44の長さは、ステー42が水平に位置するように、ワイヤ保持具24と物干し竿16の挿通位置まで長さに設定されている。
【0032】
物干し竿16は、物干し装置12を使用して、上記の物干し竿14よりも低い位置に架設され、図5図6と同様に、ステー42が第二の壁Ka2からほぼ水平に突出し、ワイヤ44が上述の物干し装置10と同様に斜め約45度の角度に張られる。
【0033】
以上説明したように、この実施形態の物干し装置10,12は、長さの異なる物干し竿14,16を自在に架設することができる。また、使用時は、物干し竿14,16を架設する方向を壁と直角又は平行に設定することにより室内の美観を確保することができる。使用後においても、物干し竿14,16を取り外すことができ、壁には小形の竿支持具18とワイヤ保持具24が残るが、ほとんど気にならず邪魔にもならない。また、竿支持具18とワイヤ保持具24を壁に固定する際にビス38を使用しているが、壁に残る痕跡が非常に小さくて済み、後で補修するとしても簡単である。
【0034】
また、図1に示す部屋は、第一の壁Ka1と第二の壁Ka2の位置関係がほぼ直角(90度)になっているが、鋭角(例えば60〜80度)や鈍角(例えば100〜120度)になっていても、同様に架設することができる。これは、図6(b)で説明したように、ステー20,42の貫通孔34内で、物干し竿14,16は振れることができるからである。したがって、六畳間等の矩形の部屋だけでなく、異形の部屋でも同様に使用することができ、連続しない2つの壁を第一及び第二の壁として使用してもよい。また、建屋の外壁を利用してベランダなどの屋外に架設することも可能である。
【0035】
なお、本発明の物干し装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば図7に示すように、ステー20の係止フック20aにワイヤ22の先端の輪22aを係合するものでも良い。この場合も、ワイヤ保持具24の斜め上向きにステー20を引っ張り、その引っ張り力によって、ステー20の基端部の端面32を第二の壁Ka2面に当接させて位置決めし、物干し竿14及びステー20が保持される。
【0036】
上記の竿支持具18は、物干し竿14の端部にある所定の凹溝14b、凸条14cに対応した係合部である一対の突出部28が設けられているが、例えば、物干し竿の端部の周面が平坦(凹溝や凸部が設けられていない)場合は、突出部28を省略してもよい。ただし、竿支持部から物干し竿の端部が脱落するおそれがある場合は、滑りにくいゴム紐で縛り付ける等して固定しておくとよい。
【0037】
また、ステーは、上記のステー20のような形状の板材に限定されず、基端部の材料や形状も、使用状態において滑り落ちにくいゴム等でも良く、平面の場合は平坦な端面が所定の面積を有し、図6図7に示すような架設状態を実現できるものであればよく、デザイン性等を考慮して形状を変更することができる。また、引掛け部36は、ハンガーを吊るすことができる利便性やステーの軽量化を考慮して設けられているが、ステー自体の強度を高くしたいとき等は省略してもよい。
【0038】
また、ワイヤも、上記のワイヤ20,42の形態に限定されず、図6に示すような架設状態を実現できるものであればよい。上記のワイヤ20,42の場合、一端に輪22a,42aを設けた簡単な構成であるが、例えば、物干し竿をベルトで締め付けて保持する締め付け具を取り付けてもよい。また、ワイヤの長さを可変調整できる長さ調節機構を設けてもよい。
【0039】
また、ステー、竿支持具、ステーは、素材が木材であることが好ましく、例えば、木材建築の室内の美観にマッチしやすい等の利点がある。また、ステーの基端部の端面(又は角部)にフェルトやゴムシートを貼り付け、部屋の壁を傷つけないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10,12 物干し装置
14,16 物干し竿
14b,16b 凹溝
14c,16c 凸条
18 竿支持具
20,42 ステー
22,44 ワイヤ
24 ワイヤ保持具
26 隆起部
28 突出部
32 基端部の端面
34 貫通孔
36 引掛け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7