特許第6179103号(P6179103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179103
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】共振トランス
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/28 20060101AFI20170807BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20170807BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H01F27/28 K
   H01F27/28 L
   H01F27/32 B
   H01F30/10 C
   H01F30/10 E
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-7865(P2013-7865)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2014-138184(P2014-138184A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】前田 浩
(72)【発明者】
【氏名】山田 稔
【審査官】 小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−248487(JP,A)
【文献】 特開2006−286880(JP,A)
【文献】 特開2010−050153(JP,A)
【文献】 特開2001−169547(JP,A)
【文献】 特開2000−299232(JP,A)
【文献】 特開2001−352755(JP,A)
【文献】 特開昭59−129408(JP,A)
【文献】 特開2004−031611(JP,A)
【文献】 特開平11−111533(JP,A)
【文献】 特開2007−266454(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0139152(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F27/28
27/29−27/32
30/00−38/12
38/16
41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置される第1及び第2接続部と、前記第1及び第2接続部の中央部同士を接続する中脚部と、前記中脚部を挟んで配置されており前記第1及び第2接続部の端部同士を接続する2つの側脚部とを有するコアと、
前記中脚部によって挿通される中央孔が形成された略リング状の外形状を有しており、前記第1接続部から前記第2接続部の間で前記中脚部に沿って配列されており互いに独立した第1収納室、第2収納室及び第3収納室を有する絶縁ボビンと、
前記第1収納室に収納された巻回部が前記中脚部を巻回する一次主巻線と、
前記第2収納室に収納された巻回部が前記中脚部を巻回し、前記一次主巻線より前記第2接続部の近くに配置される二次主巻線と、
前記第3収納室に収納された巻回部が前記中脚部を巻回し、前記二次主巻線より前記第2接続部の近くに配置され、補助電源電圧を生じる一次補助巻線と、
を有し、
前記二次主巻線と前記第2接続部との間には、他の一次主巻線は配置されておらず、
前記一次主巻線と前記第1接続部との間には、他の二次主巻線は配置されておらず、
前記第1収納室、第2収納室および第3収納室の側壁の少なくとも一部は多重であることを特徴とする共振トランス。
【請求項2】
前記一次主巻線及び前記二次主巻線は、いずれもリッツ線であることを特徴とする請求項1に記載の共振トランス。
【請求項3】
前記コアは、ギャップを挟んで接続される第1の部分と第2の部分によって構成され、
前記二次主巻線及び前記一次補助巻線は、前記第1の部分及び前記第2の部分のうちいずれか一方のみにおける前記中脚部の周りを、巻回しており、いずれか他方の前記中脚部には、他の二次主巻線は配置されていないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の共振トランス。
【請求項4】
前記第1収納室の外周側面には、前記一次主巻線の端部を挿通させる第1挿通孔が形成されており、
前記第2収納室の外周側面には、前記二次主巻線の端部を挿通させる第2挿通孔が形成されており、
前記第3収納室の外周側面には、前記一次補助巻線の端部を挿通させる第3挿通孔が形成されており、
前記第2挿通孔は、前記絶縁ボビンの外周方向に関しては、前記コアを挟んで、前記第1挿通孔及び前記第3挿通孔とは反対側に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の共振トランス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振トランスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置に搭載されるバックライト用放電灯の点灯回路におけるDC/ACインバータ回路や、携帯型端末等の電源アダプタに用いられる電源回路では、共振用の共振トランスを含む回路が注目されている。
【0003】
このような用途に用いられる共振トランス又はリーケージトランスに対しては、電子機器の回路基板に実装することを考慮して、実装面積を含めたサイズの小型化が求められている。リーケージトランスの実装面積の縮小に関する技術としては、内側に2次巻線を多段階に巻回し、その外側に一次巻線用のボビンを配置する2重のボビンを有するリーケージトランスが、提案されている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−158927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、電子機器の小型化に対応するために、従来のような2重のボビンを有するリーケージトランスより、さらに実装面積を低減することが求められており、また、これと同時に、トランスの高さ(実装面からの高さ)についても抑制することが求められている。また、小型化と同時に、絶縁を確実に図ることも必要である。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、実装面積及び高さを抑制すると同時に確実な絶縁を図ることが可能であり、小型化に対して有利な構造を有する共振トランスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明に係る共振トランスは、互いに対向して配置される第1及び第2接続部と、前記第1及び第2接続部の中央部同士を接続する中脚部と、前記中脚部を挟んで配置されており前記第1及び第2接続部の端部同士を接続する2つの側脚部とを有するコアと、
前記中脚部によって挿通される中央孔が形成された略リング状の外形状を有しており、前記第1接続部から前記第2接続部の間で前記中脚部に沿って配列されており互いに独立した第1収納室、第2収納室及び第3収納室を有する絶縁ボビンと、
前記第1収納室に収納された巻回部が前記中脚部を巻回する一次主巻線と、
前記第2収納室に収納された巻回部が前記中脚部を巻回し、前記一次主巻線より前記第2接続部の近くに配置される二次主巻線と、
前記第3収納室に収納された巻回部が前記中脚部を巻回し、前記二次主巻線より前記第2接続部の近くに配置され、補助電源電圧を生じる一次補助巻線と、を有する。
【0008】
本発明に係る共振トランスは、コアの中脚部に沿って配列された第1〜第3収納室を有する絶縁ボビンを用いているため、2重のボビンを有する従来技術のリーケージトランスに比べて、実装面積を低減することが可能である。また、コアの中脚部に沿って配列された第1〜第3収納室は互いに独立しているため、各巻線間の絶縁距離を好適に確保することが可能であり、絶縁ボビンの高さを低減して薄層化を実現することができる。
【0009】
また、巻線を、一次主巻線、二次主巻線、一次補助巻線の順番に配置することにより、共振トランスにおける結合度を、精密に調整することが可能である。
【0010】
また、例えば、前記一次主巻線及び前記二次主巻線は、いずれもリッツ線であっても良い。
【0011】
一次主巻線及び二次主巻線をリッツ線とすることにより、フライバックタイプに比べてリーケージインダクタンスが大きい共振タイプの共振トランスにおいて、発熱を好適に防止することができる。
【0012】
また、前記コアは、ギャップを挟んで接続される第1の部分と第2の部分によって構成され、
前記二次主巻線及び前記一次補助巻線は、前記第1の部分及び前記第2の部分のうちいずれか一方のみにおける前記中脚部の周りを、巻回していても良い。
【0013】
二次主巻線と一次補助巻線との間にギャップを跨がない配置とすることにより、このような共振トランスは、結合度をさらに精密に調整することが可能である。
【0014】
また、前記第1収納室の外周側面には、前記一次主巻線の端部を挿通させる第1挿通孔が形成されていても良く、
前記第2収納室の外周側面には、前記二次主巻線の端部を挿通させる第2挿通孔が形成されていても良く、
前記第3収納室の外周側面には、前記一次補助巻線の端部を挿通させる第3挿通孔が形成されていても良く、
前記第2挿通孔は、前記絶縁ボビンの外周方向に関しては、前記コアを挟んで、前記第1挿通孔及び前記第3挿通孔とは反対側に形成されていても良い。
【0015】
このような第1〜第3挿通孔を有する共振トランスは、各巻線間の良好な絶縁特性を確保することが可能であり、小型化に対して有利である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る共振トランスを一次側から見た斜視図である。
図2図2は、図1に示す共振トランスを二次端子側から見た斜視図である。
図3図3は、図1に示す共振トランスに含まれる絶縁ボビンの外形上を表す斜視図である。
図4図5は、図1に示す共振トランスの分解斜視図である。
図5図5は、図1に示す共振トランスの概略断面図である。
図6図6は、図1に示す共振トランスの配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0018】
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る共振トランス10を一次側から見た斜視図であり、図2は、共振トランス10を二次側から見た斜視図である。図1及び図2に示すように、共振トランス10は、コア20と、絶縁樹脂ボビン40と、絶縁樹脂ボビン40の内部に巻回部が収納されている一次主巻線30、二次主巻線32,33、Vcc巻線34及び小信号用巻線36(巻線については図4参照)を有する。
【0019】
共振トランス10の断面図である図5等に示すように、コア20は、略対照な形状を有する第1の部分20aと第2の部分20bとが、ギャップ27を介して接合されたいわゆるEE型のコアである。ただし、共振トランス10に用いられるコアはこれに限定されず、ギャップが接続部と中脚部及び側脚部との間に形成されるEI型等の他の形状のコアであっても良い。また、コア20の材質も特に限定されないが、例えばフェライト等によって作製される。
【0020】
図1及び図4等に示すように、コア20は、互いに対向して配置される第1接続部21a及び第2接続部22bを有している。第1接続部21a及び第2接続部22bは、略平板状の形状を有しており、第1及び第2接続部21a,22bの中央部同士を中脚部23a,23bが接続している(図5参照)。また、図2に示すように、第1及び第2接続部21a,22bの対向する端部同士を、第1側脚部24a,24bと第2側脚部25a,25bとが接続している。したがって、第1側脚部24a,24bと第2側脚部25a,25bは、両者の間に中脚部23a,23bを挟んで配置される。
【0021】
図1及び図4に示すように、共振トランス10の絶縁樹脂ボビン40は、コア20の第1接続部21aと第2接続部22bに、上下方向を挟まれた状態で、コア20に対して組み立てられている。絶縁樹脂ボビン40の斜視図である図3に示すように、絶縁樹脂ボビン40は、コア20の中脚部23a,23bによって挿通される中央孔40aが形成された略リング状の外形状を有する。なお、本実施形態では、コア20の中脚部23a,23bを周回するコイルの巻回部30a,32a,33a,34a,36aの軸方向を上下方向とし、第1接続部21aから第2接続部22bに向かう方向を上方向、第2接続部22bから第1接続部21aに向かう方向を下方向とする。
【0022】
図3及び図4に示すように、絶縁樹脂ボビン40は、上下方向に積層するように組み合わせられた第1〜第5ボビン部材50,60,70,80,90によって構成される。また、断面図である図5に示すように、絶縁樹脂ボビン40は、コア20の第1接続部21aから第2接続部22bの間で中脚部23a,23bに沿って配列されており、互いに独立した第1収納室41、小収納室46、第2収納室42及び第3収納室43を有する。なお、図5では、巻線30,32,33,34,36の図示を省略している。
【0023】
図4に示すように、第1ボビン部材50は、絶縁樹脂ボビン40を構成する部材の中で、最も第1接続部21aに近接するように配置される。第1ボビン部材50は、第1接続部21aに対向するように配置される略平板リング状の第1平板部51と、第1平板部51の内周縁に沿って第1平板部51から上方向に突出する第1上方内周側壁52と、第1平板部51の外周縁に沿って第1平板部51から上方向に突出する第1上方外周側壁53とを有する。第1上方外周側壁53には、コア20を挟んで一次側へ突出する一次側突出部53aと、二次側へ突出する二次側突出部53dが形成されている。
【0024】
一次側突出部53aの上面には、幅方向(一次側と二次側を結ぶ方向)に沿って一次側連通溝53bが形成されている。また、一次側突出部53a及び二次側突出部53dの側面には、上下方向に沿って巻線端部を配置する一次側配線溝53cと二次側配線溝53eが形成されている。
【0025】
絶縁樹脂ボビン40を構成する部材の中で、第1ボビン部材50の上方に配置されるのが、第2ボビン部材60である。第2ボビン部材60は、第1ボビン部材50における第1平板部51に対して略平行に配置される略平板リング状の第2平板部61と、第2平板部61の内周縁に沿って第2平板部61から上方向に突出する第2上方内周側壁62と、第2平板部61の外周縁に沿って第2平板部61から上方向に突出する第2上方外周側壁63とを有する。第2上方外周側壁63には、一次側へ突出する一次側突出部63aが形成されており、一次側突出部63aの上面には、幅方向に沿って一次側連通溝63bが形成されている。
【0026】
さらに、第2ボビン部材60は、第2平板部61の内周縁に沿って第2平板部61から下方向に突出する第2下方内周側壁64と、第2平板部61の外周縁に沿って第2平板部61から下方向に突出する第2下方外周側壁65とを有する。図5に示すように、第1ボビン部材50の上に第2ボビン部材60が積み重ねられることにより、第1収納室41が形成される。第1収納室41の内周側側面は、第1上方内周側壁52と第2下方内周側壁64が対向しており側壁が2重になっている部分を有しており、また、第1収納室41の外周側側面は、第1上方外周側壁53と第2下方外周側壁65が対向しており側壁が2重になっている部分を有しているため、第1収納室41は、外部に対して好適な絶縁特性を奏する。図4に示すように、第1収納室41には、一次主巻線30の巻回部30aが収納されており、巻回部30aは、図1に示す組み立て後の状態では、中央孔40a(図3参照)を挿通するコア20の中脚部23aの周りを巻回する。
【0027】
図1に示すように、一次主巻線30の巻線端部30b,30cは、第1収納室41における一次側の外周側面に形成された第1挿通孔41aを通って第1収納室41の外部に導かれる。図4に示すように、第1挿通孔41aの周壁は、第1ボビン部材50の一次側連通溝53bと、第2ボビン部材60における第2平板部61の延長部分によって構成される。また、一次主巻線30の巻線端部30b,30cは、さらに第1ボビン部材50の一次側配線溝53cに設置され、共振トランス10の端子の一部を構成する。なお、第2ボビン部材60の第2下方外周側壁65には、第1ボビン部材50の一次側突出部53a及び二次側突出部53dとの干渉を避けるための一次側開口部65a及び二次側開口部65bが形成されている。
【0028】
絶縁樹脂ボビン40を構成する部材の中で、第2ボビン部材60の上方に配置されるのが、第3ボビン部材70である。第3ボビン部材70は、第2ボビン部材60における第2平板部61に対して略平行に配置される略平板リング状の第3平板部71と、第3平板部71の内周縁に沿って第3平板部71から上方向に突出する第3上方内周側壁72と、第3平板部71の外周縁に沿って第3平板部71から上方向に突出する第3上方外周側壁73とを有する。第3上方外周側壁73には、二次側へ突出する二次側突出部73dが形成されており、二次側突出部73dの上面には、幅方向に沿って二次側連通溝73eが形成されている。
【0029】
さらに、第3ボビン部材70は、第3平板部71の内周縁に沿って第3平板部71から下方向に突出する第3下方内周側壁74と、第3平板部71の外周縁に沿って第3平板部71から下方向に突出する第3下方外周側壁75とを有する。図5に示すように、第2ボビン部材60の上に第3ボビン部材70が積み重ねられることにより、小収納室46が形成される。小収納室46の内周側側面は、第2上方内周側壁62と第3下方内周側壁74が対向して側壁が2重になっており、また、小収納室46の外周側側面は、第2上方外周側壁63と第3下方外周側壁75が対向しており側壁が2重になっているため、小収納室46は、外部に対して好適な絶縁特性を奏する。図4に示すように、小収納室46の内部には、小信号用巻線36の巻回部36aが配置されている。
【0030】
図1に示すように、小信号用巻線36の巻線端部36b,36cは、小収納室46における一次側の外周側面に形成された小収納室挿通孔46aを通って外部に導かれる。図4に示すように、小収納室挿通孔46aの周壁は、第2ボビン部材60の一次側連通溝63bと、第3ボビン部材70における第3平板部71の延長部分によって構成される。また、小信号用巻線36の巻線端部36b,36cは、さらに第1ボビン部材50の一次側配線溝53cに設置され、共振トランス10の端子の一部を構成する。なお、第3ボビン部材70の第3下方外周側壁75には、第2ボビン部材60の一次側突出部63aとの干渉を避けるための一次側開口部75aが形成されている。
【0031】
絶縁樹脂ボビン40を構成する部材の中で、第3ボビン部材70の上方に配置されるのが、第4ボビン部材80である。第4ボビン部材80は、第3ボビン部材70における第3平板部71に対して略平行に配置される略平板リング状の第4平板部81と、第4平板部81の内周縁に沿って第4平板部81から上方向に突出する第4上方内周側壁82と、第4平板部81の外周縁に沿って第4平板部81から上方向に突出する第4上方外周側壁83とを有する。第4上方外周側壁83には、一次側へ突出する一次側突出部83aが形成されており、一次側突出部83aの上面には、幅方向に沿って一次側連通溝83bが形成されている。
【0032】
さらに、第4ボビン部材80は、第4平板部81の内周縁に沿って第4平板部81から下方向に突出する第4下方内周側壁84と、第4平板部81の外周縁に沿って第4平板部81から下方向に突出する第4下方外周側壁85とを有する。図5に示すように、第3ボビン部材70の上に第4ボビン部材80が積み重ねられることにより、第2収納室42が形成される。第2収納室42の内周側側面は、第3上方内周側壁72と第4下方内周側壁84が対向して側壁が多重になっており、特に、第3上方内周側壁72及び第4下方内周側壁84の一部が、それぞれ2重になっているため、図5に示す断面では、第2収納室42における内周側側面の側壁は4重である。また、第2収納室42の外周側面についても、内周側面と同様であり、第3上方外周側壁73と第4下方外周側壁85が対向しており側壁が多重になっている。内周側側面及び外周側側面の側壁の一部が2重以上(好ましくは4重)であることにより、第2収納室42は、外部に対して好適な絶縁特性を奏する。なお、図4に示すように、第2収納室42の内部には、二次主巻線32,33の巻回部32a,33aが配置される。巻回部32a,33aは、図1に示す組み立て後の状態では、中央孔40a(図3参照)を挿通するコア20の中脚部23bの周りを巻回する。
【0033】
図2に示すように、二次主巻線32,33の巻線端部32b,32c,33b,33cは、第2収納室42における二次側の外周側面に形成された第2挿通孔42aを通って外部に導かれる。図4に示すように、第2挿通孔42aの側壁は、第3ボビン部材70の二次側連通溝73eと、第4ボビン部材80における第4平板部81の延長部分によって構成される。また、二次主巻線32,33の巻線端部32b,32c,33b,33cは、さらに第1ボビン部材50の二次側配線溝53eに設置され、共振トランス10の端子の一部を構成する。なお、第4ボビン部材80の第4下方外周側壁85には、第3ボビン部材70の二次側突出部73dとの干渉を避けるための二次側開口部85bが形成されている。
【0034】
絶縁樹脂ボビン40を構成する部材の中で、第4ボビン部材80の上方であって、最も第2接続部22bに近接するように配置されるのが、第5ボビン部材90である。第5ボビン部材90は、第4ボビン部材80における第4平板部81に対して略平行に配置される略平板リング状の第5平板部91を有しており、第5平板部91には、上方へ突出する2つの平行突起96が形成されている。共振トランス10を組み立てた状態では、平行突起96の間にコア20の第2接続部22bが配置されることにより、コア20と絶縁樹脂ボビン40との相対回転を防止することができる。
【0035】
また、第5ボビン部材90は、第5平板部91の内周縁に沿って第5平板部91から下方向に突出する第5下方内周側壁94と、第5平板部91の外周縁に沿って第5平板部91から下方向に突出する第5下方外周側壁95とを有する。
【0036】
図5に示すように、第4ボビン部材80の上に第5ボビン部材90が積み重ねられることにより、第3収納室43が形成される。第3収納室43の内周側側面は、第4上方内周側壁82と第5下方内周側壁94が対向して側壁が多重になっており、また、第3収納室43の外周側面は、第4上方外周側壁83と第5下方外周側壁95が対向しており側壁が多重になっているため、第3収納室43は、外部に対して好適な絶縁特性を奏する。図4に示すように、第3収納室43の内部には、一次補助巻線としてのVcc巻線34の巻回部34aが配置される。巻回部34aは、図1に示す組み立て後の状態では、中央孔40a(図3参照)を挿通するコア20の中脚部23bの周りを周回する。
【0037】
図1に示すように、Vcc巻線34の巻線端部34b,34cは、第3収納室43における一次側の外周側面に形成された第3挿通孔43aを通って外部に導かれる。図4に示すように、第3挿通孔43aの周壁は、第4ボビン部材80の一次側連通溝83bと、第5ボビン部材90における第5平板部91の延長部分によって構成される。また、Vcc巻線34の巻線端部34b,34cは、さらに第1ボビン部材50の一次側配線溝53cに設置され、共振トランス10の端子の一部を構成する。なお、第5ボビン部材90の第5下方外周側壁95には、第5ボビン部材90の一次側突出部83aとの干渉を避けるための一次側開口部95aが形成されている。
【0038】
図6は、図1に示す共振トランス10の配線図である。一次側には、一次主巻線30の巻線端部30b,30cの他に、Vcc巻線34の巻線端部34b,34c及び小信号用巻線36の巻線端部36b,36cが配置される。二次側には、二次主巻線32,33の巻線端部32b,32c,33b,33cが配置される。一次主巻線30と二次主巻線32,33により、基本的なトランスを構成する。Vcc巻線34は、一次側の制御回路等を動かすための補助電源電圧等を発生させるために設けられている。小信号用巻線36は、一次側の小信号回路へ電流を供給するために設けられたものであるが、共振トランス10の用途によっては小信号用巻線36が必要ない場合もあり、小信号用巻線36を有しないものも、本発明に係る共振トランスに含まれる。
【0039】
本発明では、二次側のコイルは、2つの二次主巻線32,33をバイフィラー巻きした構成となっているが、二次側のコイルとしては、このような態様に限定されない。また、一次主巻線30及び二次主巻線32,33としては、リッツ線(撚り線)を使用することが、リーケージインダクタンスの大きい共振トランス10において、渦電流損による発熱を抑制する観点から好ましい。
【0040】
共振トランス10の製造方法としては、例えば、図4に示すような空芯巻きした巻線30,32,33,34,36を準備する。さらに、第1ボビン部材50に対して一次主巻線30、第2ボビン部材60に対して小信号用巻線36、第3ボビン部材70に対して二次主巻線32,33、第4ボビン部材80に対してVcc巻線34を設置しつつ、第1〜第5ボビン部材50,60,70,80,90を積層することにより、図3に示すような内部に巻線30,32,33,34,36が収納された絶縁樹脂ボビン40を得る。
【0041】
さらに図3に示す絶縁樹脂ボビン40を上下方向から挟み込むようにコア20の第1の部分20a及び第2の部分20bを組み立て、第1の部分20aと第2の部分20bとを接合することにより、図1に示すような共振トランス10を得る。コア20の第1の部分20aと第2の部分20bとは、外周をテープ等で巻くことによって固定されても良く、ギャップ27に塗布された接着剤等によって固定されても良い。
【0042】
図1図6に示す本実施形態の共振トランス10は、コア20の中脚部23a,23bに沿って配列されており互いに独立した第1〜第3収納室41,42,43を有する絶縁樹脂ボビン40を有しているため、2重のボビンを有する従来技術のリーケージトランスに比べて、実装面積(上方向からの投影面積)を低減することが可能である。また、側壁等によって遮蔽されている第1〜第3収納室41,42,43は、外部に対して好適な絶縁特性を有しているため、各巻線間の絶縁距離を好適に確保することが可能であり、実装面積だけでなく、絶縁ボビン40の高さ(上下方向の長さ)を低減して薄層化を実現することができる。
【0043】
また、共振トランス10は、上下方向に積層される一次主巻線30、二次主巻線32,33及びVcc巻線34の各巻回部が、一次主巻線30、二次主巻線32,33、Vcc巻線34の順番に配列されている。このため、Vcc巻線34の巻回部34aが、二次主巻線32,33の巻回部32a,33aの近くであって、一次主巻線30の巻回部30aから離れた位置に配置されている。このような構造を有することにより、共振トランス10は、結合度を精密に設計及び調整することが可能である。
【0044】
特に、二次主巻線32,33の巻回部32a,33a及びVcc巻線34の巻回部34aのすべてが、コア20における第2の部分20bの中脚部23bの周りを周回する配置とすることにより、共振トランス10は、さらに結合度を精密に設計及び調整することが可能である。なお、結合度を精密に設計及び調整するためには、二次主巻線32,33の巻回部32a,33aとVcc巻線34の巻回部34aとが、高さ方向にギャップ27を挟まないように配置されることが特に好ましいため、本実施形態に係る配置の代わりに、二次主巻線32,33の巻回部32a,33aとVcc巻線34の巻回部34aの全てが、コア20における第1の部分20aの中脚部23aの周りを周回する配置も好ましい。
【0045】
一次主巻線30、二次主巻線32,33及びVcc巻線34における巻線端部の収納室外部への配線については、特に限定されないが、一次側と二次側の絶縁特性が好適に確保される態様とすることが好ましい。図1及び図2に示すように、一次主巻線30及びVcc巻線34については、第1収納室41及び第3収納室43における一次側の外周側面に形成された第1挿通口41a及び第3挿通口43aを通って配線され、二次主巻線32,33については、第2収納室42における二次側の外周側面に形成された第2挿通項42aを通って配線されることにより、各巻線間の良好な絶縁特性を確保することが可能である。
【0046】
実施形態に係る共振トランス10は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な改変が可能である。たとえば、共振トランス10では、下方から上方へ向かって一次主巻線30、二次主巻線32,33、Vcc巻線34の順番にコイルが配置されているが、これとは逆に、上方から下方へ向かって一次主巻線30、二次主巻線32,33、Vcc巻線34の順番にコイルが配置されても良い。また、小信号用巻線36及びこれを配置するための小収納室46は省略されてもよく、また必要に応じて、複数の小信号用巻線36を有していても良い。
【符号の説明】
【0047】
10…共振トランス
20…コア
20a…第1の部分
20b…第2の部分
21a…第1接続部
22b…第2接続部
23a,23b…中脚部
24a,24b…第1側脚部
25a,25b…第2側脚部
27…ギャップ
30…一次主巻線
32,33…二次主巻線
34…Vcc巻線
36…小信号用巻線
40…絶縁樹脂ボビン
40a…中央孔
41…第1収納室
42…第2収納室
43…第3収納室
46…小収納室
50…第1ボビン部材
60…第2ボビン部材
70…第3ボビン部材
80…第4ボビン部材
90…第5ボビン部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6