(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179127
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】移動体駆動装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/635 20150101AFI20170807BHJP
【FI】
E05F15/635
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-39468(P2013-39468)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-167232(P2014-167232A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】城間 貴浩
【審査官】
渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第01917415(US,A)
【文献】
特開2010−196254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/635
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源によって移動体を直線方向に駆動する移動体駆動装置において、
前記駆動源によって前記移動体の進行方向に移動され、前記進行方向に直交する軸周りに回転自在に設けられて、前記移動体への駆動を中継する中継回転体と、
前記移動体に対して相対的に静止して設けられ、前記中継回転体の外周に係合して、前
記移動体の進行方向へ移動される前記中継回転体の移動を回転に変換する回転変換体と、
前記移動体に結合され、前記中継回転体の外周に係合して、前記移動体の進行方向へ移
動されながら回転する前記中継回転体によって前記移動体の進行方向に移動する搬送直線
体と、
前記駆動源からの動力を伝達する動力回転体と、
前記中継回転体を回転自在に保持し、前記動力回転体によって前記中継回転体を前記移
動体の進行方向に移動する中継直線体と、を備える
ことを特徴とする移動体駆動装置。
【請求項2】
前記中継回転体は、前記中継直線体の進行方向における端部に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体駆動装置。
【請求項3】
前記動力回転体は前記駆動源の回転軸に設けられるピニオンで、かつ前記中継回転体もピニオンであり、
前記中継直線体は、前記伝達回転体であるピニオンに噛合するラックで、前記回転変換体は、前記中継回転体であるピニオンに噛合するラックで、前記搬送直線体は、前記中継回転体であるピニオンに噛合するラックである
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体駆動装置。
【請求項4】
前記中継回転体であるピニオンは、前記回転変換体であるラックと前記搬送直線体であるラックで挟みこまれるように設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の移動体駆動装置。
【請求項5】
前記搬送直線体の全長は、前記移動体の移動全長より短い
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の移動体駆動装置。
【請求項6】
前記移動体としてドアを開閉する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の移動体駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドア等である移動体を自動開閉するための移動体駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドア開閉装置(以下、移動体駆動装置と称す)において、ラックとピニオンを用いた形式は故障が少なく、メンテナンスもほとんど不要である信頼性の高い方式である。
例えば鉄道車両用の片引戸もしくはドアパネル1枚を1台の移動体駆動装置で開閉させる両引戸において、回転式モータを用いたドア装置では長さがドアの全開閉の長さ程度に調整された1本のラックが用いられる。この構成でラックを密閉する構造にすると、移動体駆動装置のケースの長さは、ラック移動分によりドア全開閉長の2倍より短くすることはできない。
【0003】
図7及び
図8は、ラックとピニオンを用いた移動体駆動装置による従来のドア装置100の概略図である。この移動体駆動装置の構成においては、モータの正逆いずれかの方向への回転により、モータ軸に固定されたピニオンが対応する方向に回転して、ピニオンに係合されて取付けられたラックが左右いずれかの方向に移動する。ラックには、ドアが取り付けられ、ラックの左右方向の移動と一体的にドアが開閉する。
【0004】
図7はドア全開状態を示す図で、
図8はドア全閉状態を示す図である。
図7(A)及び
図7(B)は、ドア全開状態でのドア装置100の正面図と上面図である。
図8(A)及び
図8(B)は、ドア全閉状態でのドア装置100の正面図と上面図である。
【0005】
図7(A)を用いて、各部の動作を説明する。ドア装置100は、ドアパネル102、ドアパネル102を駆動する移動体駆動装置、収納ケース104、ドアパネル102をガイドするドアレール106等を有する。
【0006】
移動体駆動装置は、駆動モータ(不図示)、ピニオン114、ラック116、駆動アーム108等を有する。ピニオン114は駆動モータの出力軸の一端に固設され、このピニオン114に係合するラック116と共に、収納ケース104の中に収容される。ピニオン114は、収納ケース104の開閉方向で中央付近に配置される。
【0007】
ラック116は、横長の部材で、ピニオン114に係合するギヤが上部に形成される。ラック116は、不図示のレール等によって開閉方向に移動自在に設けられる。ラック116の右端側の底部には、ドアパネル102を駆動する駆動アーム108が下方に向かって設けられる。ドアレール106は、収納ケース104とほぼ同じ全長で、収納ケース104の下部に設けられる。
【0008】
ドアパネル102の左右端にはドアハンガ112が設けられる。ドアパネル102は、左右のドアハンガ112を介して、ドアレール106に移動自在に吊り下げられる。ドアハンガ112には、ドアレール106の下端部に形成されているレール溝106aに緩やかに嵌入してドアパネル102の開閉移動を案内するローラ118が取り付けられる。ドアパネル102の右端上部にはドア連結部110が設けられ、ドア連結部110に駆動アーム108が結合される。
【0009】
この構成において、
図7(A) に示す開状態の位置からピニオン114が図で反時計回り方向に回転すると、ラック116が右方に移動し、ラック116に駆動アーム108及びドア連結部110を介して連結されているドアパネル102が
図8(A) に示す閉状態の位置に移動する。
【0010】
ラック116は、ドアパネル102の開位置から閉位置までの移動に際して。
図7(B)に示す位置から
図8(B)に示す位置まで、移動する。ラック116は、ラック長(ドアパネルの移動量に相当)の約2倍移動するために、ラック長の約2倍のスペースがドア装置100に要求される。また、ラック116を密閉しておくためには、収納ケース104も、ラック長の約2倍の長さが必要となる。
【0011】
一方、車両のコンパクト化や内部空間の確保のために、ドア装置には小型化が求められ、特にドア装置の開閉方向の長さを短縮することが要求される。移動体駆動装置の開閉方向の長さを短縮する提案として、例えば、特許文献1には、一定距離離して2つのピニオンを配置し、2つのピニオンをラックに係合させることで、ドア装置の開閉方向の長さを短縮する移動体駆動装置が提案されている。
【0012】
図9は、特許文献1で提案された移動体駆動装置による具体的例を示す図である。
図9では、ドアは右位置にあって、閉まった状態である。モータ120の駆動軸に取付けられた第1のピニオン114aから一定の距離離れた位置に第2のピニオン114bが設けられる。
【0013】
収納ケースの上側及び下側には、上ラック116aと下ラック116bが、それぞれ左右方向に移動自在に設けられる。下ラック116bには、ドアパネルが結合される。上ラック116aは、第1のピニオン114aの駆動力を、第2のピニオン114bに伝達するための中継ラックである。上ラック116aと下ラック116bのいずれか一方は常に第1のピニオン114aに係合するよう設けられる。
【0014】
図9のようなドアが全閉状態から半分開ぐらいまでの状態では、上ラック116aが、第1のピニオン114aと第2のピニオン114bの両方に係合し、下ラック116bは第2のピニオン114bとの係合により、左方向に移動される。下ラック116bが左側に移動して、半分以上左に移動すると、上ラック116aと第1のピニオン114aの係合が解除され、下ラック116bが第1のピニオン114aに直接係合されて、下ラック116bは全開状態まで移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−196254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図9の特許文献1で示すような、ラック長分だけドア移動が移動するような関係の方式では、ドア幅分だけドアが移動するものとすると、移動体駆動装置の全長がラック長の約2倍になる。
図9に示す例では、移動体駆動装置部分の全長W1は開閉全幅W0の約2倍になる。現在車両用ドアの開閉長さは1mを超えるものが多いため、移動体駆動装置部分の全長も2m以上になってしまう。
【0017】
大型化した移動体駆動装置では、鉄道車両のエンドドアなどは鴨居部の長さ方向に余裕がないために艤装及び配置が困難である。そのため、車両などの構造物の大きさは制限される。また、ラックの両端がドア全体の開閉の2倍の距離まで移動すると、設置後の車体等の取付部とラックの干渉にも注意が必要になる。以上のように、車両内への配置の自由度や省スペース等の観点から、移動体駆動装置の移動方向の長さを短縮化が求められる。
【0018】
本願発明は、上記課題に鑑み、移動方向の長さを短縮した移動体駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、モータによってドアを開閉するドア駆動装置において、モータによって開閉方向に移動され、開閉方向に直交する方向に回転自在に設けられて、ドアへの駆動を中継する中継ピニオンと、ドアに対して相対的に静止して設けられ、中継ピニオンの外周に係合して、開閉方向へ移動される中継ピニオンの移動を回転に変換する回転ラックと、ドアに結合され、中継ピニオンの外周に係合して、開閉方向へ移動されながら回転する中継ピニオンによって開閉方向に移動する搬送ラックと、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、移動方向の長さを短縮した移動体駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る移動体駆動装置2を適用したドア装置1の全開状態を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る移動体駆動装置2を適用したドア装置1の全閉状態を示す図である。
【
図3】中継ラック13と中継ピニオン12を拡大して示す図である。
【
図4】動力ピニオン11及び中継ピニオン12の断面図である。
【
図5】移動体駆動装置2の要部を模式的に示した斜視図である。
【
図6】本実施形態の移動体駆動装置2におけるサイズの具体例を示す図である。
【
図7】ラックとピニオンを用いた従来のドア装置100の全開状態を説明する図である。
【
図8】ラックとピニオンを用いた従来のドア装置100の全閉状態を説明する図である。
【
図9】特許文献1で提案された移動体駆動装置による具体的例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。
図1及び
図2は、本実施形態に係る移動体駆動装置2を適用したドア装置1をそれぞれ示す図である。
図1はドア装置1の全開状態を示す図である。
図1(A)は正面図で、
図1(B)は上面図である。ドアは
図1の左右方向に移動され、以降の説明でこの方向を開閉方向と称す。また、
図1(A)における上下方向を高さ方向(Z方向)と称す。
【0023】
ドア装置1は、移動体駆動装置2、移動体駆動装置2によって移動される移動体であるドアユニット4、ドアユニット4を移動自在に保持するドアレール50を有する。移動体駆動装置2は、ドアユニット4を直線方向に駆動して、
図1の左方向を開方向、右方向を閉方向として、ドアユニット4を進行させる。
【0024】
移動体駆動装置2は、動力ピニオン11、中継ピニオン12、中継ラック13、変換ラック14、搬送ラック15、駆動アーム16、収納ケース26を有する。
動力ピニオン11は、後述する駆動源(モータ)からの動力を移動体駆動装置2に伝達する動力回転体である。動力ピニオン11は円筒形状で外周面全体にギヤが形成される。
【0025】
中継ラック13は、動力ピニオン11に係合され、動力ピニオン11の回転により開閉方向に移動される部材である。また、中継ラック13は、中継ピニオン12を回転自在に保持することで、中継ピニオン12をドアユニット4の開閉方向に移動する。
【0026】
詳しくは、中継ラック13は、開閉方向に細長い直線上の部材で、上面にラックが形成され、ラックに動力ピニオン11のギヤの下側が係合する。中継ラック13の右端上部には、中継ピニオン12が回転自在に取付けられる。中継ピニオン12の取付け構造については、
図3、
図4で詳述する。中継ラック13は、後述する収納ケース26内部に、不図示のスライド機構により開閉方向に移動自在に設けられる。中継ラック13を中継直線体とも呼ぶ。
【0027】
中継ピニオン12は、中継ラック13に回転自在に取付けられて、中継ラック13と一体的に開閉方向に移動する。中継ラック13は円筒形状で外周面全体にギヤが形成される。中継ピニオン12は、ドアユニット4の開閉方向に移動しながら回転して、ドアユニット4への駆動を中継するもので、中継回転体とも呼ぶ。また、中継ピニオン12は、全開状態で、動力ピニオン11の右側近傍に位置するように設けられる。
【0028】
変換ラック14は、ドアユニット4に対して相対的に静止して設けられ、中継ピニオン12に係合して、中継ピニオン12の移動を中継ピニオン12の回転に変換する。詳しくは、変換ラック14は、開閉方向に細長い直線上の部材で、下面側にラックが形成される。変換ラック14は、中継ラック13に対して平行でかつ奥側の位置になるように、収納ケース26の上部に固定的に取付けられる。変換ラック14のラックに中継ピニオン12の上側のギヤが係合して、これにより開閉方向に移動する中継ピニオン12が回転する。変換ラック14は、中継ピニオン12の直線的な移動を回転に変換するもので、回転変換体とも呼ぶ。
【0029】
搬送ラック15は、ドアユニット4に結合され、開閉方向へ移動しながら回転する中継ピニオン12のギヤに係合して、中継ピニオン12によって開閉方向に移動する。詳しくは、搬送ラック15は、開閉方向に細長い直線上の部材で、上面側にラックが形成される。搬送ラック15は、中継ラック13に対して平行でかつ奥側の位置になるように、収納ケース26の下部に不図示のスライド機構により移動自在に取付けられる。
【0030】
搬送ラック15は、中継ピニオン12を変換ラック14と上下(高さ方向)で挟むように設けられる。搬送ラック15のラックに中継ピニオン12の下側のギヤが係合して、搬送ラック15は、中継ピニオン12の回転に応じて開閉方向に移動する。
【0031】
搬送ラック15は、中継ピニオン12によってドアユニット4を開閉方向に搬送するもので、搬送直線体とも呼ぶ。また、搬送ラック15は、中継ピニオン12の直線移動と回転の両方で駆動されるので、搬送ラック15の移動量は、中継ラック13の移動量の2倍となる。
【0032】
駆動アーム16は、搬送ラック15の移動をドアユニット4に伝達するものである。駆動アーム16は、搬送ラック15の右端の下面から、ドアユニット4に向かって下向き方向に設けられる板状の部材である。駆動アーム16の下部には、ドアユニット4の一部が嵌合されるU字状の溝16aが設けられる。
【0033】
収納ケース26は、動力ピニオン11、中継ピニオン12、中継ラック13、変換ラック14、搬送ラック15、駆動アーム16等を内部に収納するものである。収納ケース26は、ドアユニット4の上部に配置され、開閉方向に細長く、内部が中空になっているケースである。上述したように、収納ケース26には、動力ピニオン11及び変換ラック14は固定して設けられる。また、収納ケース26には、中継ラック13及び搬送ラック15を開閉方向に移動自在にするためのスライド機構(不図示)が設けられる。
【0034】
ドアレール50は、ドアユニット4を吊り下げて、ドアユニット4を開閉方向に移動させるガイドで、収納ケース26とドアユニット4の間に配置される。ドアレール50は、開閉方向に細長い部材で、ドアユニット4を吊り下げて案内するドアレール溝50aを有する。
【0035】
ドアユニット4は、ドアパネル41、ドアハンガ42、ドア連結部44を有する。ドアパネル41は、移動体駆動装置2によって開閉方向に移動されて通路あるいは出入り口等を遮蔽するドア本体である。ドアパネル41の右側面部にはドア閉成時の事故防止のために、ゴム質の部材等で形成されている緩衝部材41aが取り付けられる。
【0036】
ドアハンガ42は、ドアパネル41をドアレール50に吊るして移動させるものである。ドアハンガ42は、ドアパネル41の上端の左右に1つずつ設けられる。ドアハンガ42は、案内ローラ45aと調整ローラ45bを有する。案内ローラ45aは、ドアレール50のドアレール溝50aに嵌合して、ドアパネル41の移動を案内する。調整ローラ45bは、2つの案内ローラ45aの間に配置され、2個の案内ローラ45aのドアレール溝50aに対する係合の遊びによってドアパネル41の開閉時に生じるがたつきを抑える。
【0037】
ドア連結部44は、ドアパネル41の右端上部に設けられ、ドアパネル41と駆動アーム16を結合するものである。詳しくは、ドア連結部44には、凸部44aが設けられ、この凸部44aが駆動アーム16に設けられたU字状の溝16aに嵌入する。
【0038】
図2は、
図2はドア装置1の全閉状態を示す図である。
図2(A)は正面図で、
図2(B)は上面図である。
図1の全開状態から、動力ピニオン11の回転により、中継ラック13が閉(右)方向に移動する。中継ラック13と一体的に中継ピニオン12も閉方向に移動する。変換ラック14による中継ピニオン12の回転によって、搬送ラック15が閉方向に移動する。これにより、ドアレール50沿ってドアユニット4が全閉状態まで移動する。動作の詳細は、
図5で説明する。
【0039】
図3は、中継ラック13と中継ピニオン12を拡大して示す図である。
図3(A)は、
図1(A)と同方向の正面図で、
図3(B)は、
図1(B)と同方向の上面図で、
図4(C)は、側面図である。中継ラック13の上面の右端側には、ピニオン固定部23を取り付けるために、ラックが形成されていない平坦な取付部13aが設けられている。
【0040】
ピニオン固定部23は、中継ピニオン12を中継ラック13に回転自在に固定するための部材である。ピニオン固定部23は、2本のネジ23cによって取付部13aの下側に固定される。
【0041】
ピニオン固定部23の上側部分には、軸受け23aがY方向に沿って2個設けられる。中継ピニオン12には中心にピニオン軸12aが設けられる。中継ピニオン12から突出したピニオン軸12aは軸受け23aに挿入され、ピニオン軸12aの先端は止め金具23bが組み付けられる。これにより、中継ピニオン12は中継ラック13に回転自在に取付けられる。
【0042】
図4は、動力ピニオン11及び中継ピニオン12の断面図である。なお、右から左へ向かう方向を、奥行き方向(Y方向)と称す。
図4(A)は、
図2のAA断面で、動力ピニオン11部分の断面図である。
【0043】
収納ケース26内で、中継ラック13の奥側に、変換ラック14及び搬送ラック15が、中継ラック13と平行に設けられる。中継ラック13と搬送ラック15は上述の通り図示なきスライド機構によって、開閉方向に移動自在に設けられる。変換ラック14は収納ケース26内の上部に設けられ、搬送ラック15は収納ケース26内の下部に設けられ、変換ラック14と搬送ラック15は上下で対向するように設けられる。搬送ラック15の下部にはドア連結部44が取付けられる。
【0044】
収納ケース26の下面には、移動するドア連結部44を通過させるための溝26aが設けられる。また、動力ピニオン11は、モータ軸21aに取り付けられ、モータ軸21aの先端は、収納ケース26の側面に設けられた軸受け21bで支持される。
【0045】
図4(B)は、
図2のBB断面で、中継ピニオン12部分の断面図である。上述したように、中継ラック13には、ピニオン固定部23がネジ23cによって取付けられる。中継ピニオン12は、ピニオン軸12aがピニオン固定部23の軸受け23aに支持される。中継ピニオン12のギヤの上側が変換ラック14に係合し、中継ピニオン12のギヤの下側が、搬送ラック15に係合する。換言すれば、中継ピニオン12は、変換ラック14と搬送ラック15に挟持されるように取り付けられる。
【0046】
図5は、移動体駆動装置2の要部を模式的に示した斜視図である。収納ケース26内部での動力ピニオン11等の動作を説明するための図である。
図1との方向の関係は、X,Y、Z方向で示す通りである。
【0047】
破線で示す駆動用のモータ21が収納ケース26の側面の外側に固定される。モータ21のモータ軸21aの先端に動力ピニオン11が取付けられる。動力ピニオン11のギヤの下側に係合し開閉方向に移動自在な中継ラック13が設けられる。中継ラック13の右端には、中継ピニオン12がピニオン固定部23に回転自在に取付けられる。
【0048】
変換ラック14は、中継ラック13の奥側の上部に中継ラック13と平行な向きで、固定して設けられる。搬送ラック15は、中継ラック13の奥側で中継ラック13と平行な向きで、開閉方向に移動自在に設けられる。搬送ラック15の右端の下部には、下向きに突出して駆動アーム16が設けられる。中継ピニオン12は、変換ラック14と搬送ラック15に挟まれて、両方のラックに係合する。
【0049】
図1の開状態から
図2の閉状態への移動を説明する。モータ21により動力ピニオン11をq1方向(反時計方向)へ回転させる。動力ピニオン11のq1方向への回転により、中継ラック13はq2方向(閉方向)に直線的に移動し、中継ピニオン12もq2方向に移動する。中継ピニオン12がq2方向へ直線的に移動すると、中継ピニオン12は静止している変換ラック14に係合してために、中継ピニオン12は、q2方向へ直線的に移動しながら、q3方向(反時計方向)にも回転する。
【0050】
中継ピニオン12のq3方向への回転により、搬送ラック15はq4方向(閉方向)に直線的に移動する。搬送ラック15のq4方向により、搬送ラック15の駆動アーム16を通じて一体化されたドアユニット4が、閉方向(q4方向)に移動して、閉状態になる。
【0051】
逆に、閉状態から開状態への駆動動作を説明する。モータ21により動力ピニオン11のp1方向(時計方向)へ回転させる。動力ピニオン11のp1方向への回転により、中継ラック13はp2方向に移動し、中継ピニオン12は、p2方向へ移動しながら、p3方向(時計方向)に回転する。
【0052】
中継ピニオン12のp3方向への回転により、搬送ラック15はp4方向に移動する。搬送ラック15の駆動アーム16を通じて一体化されたドアユニット4が、開方向(p4方向)に移動して、開状態になる。これにより、モータ21の回転によりドアユニット4を開閉移動することができる。
【0053】
図6は、本実施形態の移動体駆動装置2におけるサイズの具体例を示す図である。
図9の例に対して移動体駆動装置2の全長が短縮されることを説明するための図である。ドアユニット4は省略してある。
【0054】
図6の例と
図9の例で、ドアの開閉全幅W0は共通である。移動体駆動装置2の全長は、
図9の例ではW1であったものが、
図6の例では、W2であり、W1>W2となる。搬送ラック15の全長もドアの開閉全幅のW0以下となる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の移動体駆動装置2では、ドアユニット4駆動用の搬送ラック15を移動させる中継ピニオン12が、ドアユニット4の移動方向に移動しながら、搬送ラック15を回転駆動させるようにした。これにより、従来はドアユニット4の移動全長分必要であったラック長を短縮することができる。そして、搬送ラックの移動分を含めた必要な長さを短縮することにより、移動体駆動装置2の全長の短縮化を実現することができる。
【0056】
また、中継ラックで示す中継直線体は、中継ピニオンを進行方向に移動させる機能が備わっていればよいので、ラック形式には当然限定されない。例えば、公知のベルト、リードスクリュウあるいはリニアモータ等によって、中継ピニオンを直進移動させるようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、いずれのラックも、そのギヤ面が水平な向きに配置された例を示したが、これに限定されるものではなく、ギヤ面は垂直な向きであっても良い。
また、上述した移動体駆動装置は移動体がドアであるドア開閉装置に限定されるものではなく、移動体を貨物として、移動体駆動装置を貨物を運搬するような装置に適用してもよい。
【0058】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0059】
1 ドア装置
2 移動体駆動装置
4 ドアユニット
11 動力ピニオン
12 中継ピニオン
12a ピニオン軸
13 中継ラック
13a 取付部
14 変換ラック
15 搬送ラック
16 駆動アーム
21 モータ
21a モータ軸
22 軸受け
23 ピニオン固定部
23a 軸受け
23b 止め金具
23c ネジ
26 収納ケース
41 ドアパネル
42 ドアハンガ
44 ドア連結部
45a 案内ローラ
50 ドアレール
50a ドアレール溝
100 ドア装置
102 ドアパネル
104 収納ケース
106 ドアレール
108 駆動アーム
110 ドア連結部
112 ドアハンガ
114 ピニオン
116 ラック
118 ローラ
120 モータ