【文献】
安井希子 他,"スネアドラム演奏におけるロール音の特徴と熟達度評価の関係",日本音響学会2008年春季研究発表会講演論文集CD-ROM,2008年 3月10日,pp.941-944
【文献】
岩見直樹 他,"基礎的演奏を対象としたドラム練習支援システムの開発",日本音響学会2008年秋季研究発表会講演論文集CD-ROM,2008年 9月 3日,pp.935-938
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
楽器の音色がそれぞれ割り当てられていて、演奏者によって打撃される複数の打撃部を有する電子打楽器に適用されるコンピュータプログラムであって、前記電子打楽器が備えるコンピュータに、
前記複数の打撃部のうち、前記演奏者によって打撃された打撃部を特定する特定ステップと、
前記特定した打撃部に割り当てられた楽器の演奏音を発音する発音ステップと、
演奏内容に応じて得点を付与する得点付与手段であって、前記複数の打撃部のうちの異なる第1及び第2の打撃部が順に打撃されたとき、所定の点数を得点として付与する得点付与ステップと、
前記得点を表示する表示ステップとを実行させるコンピュータプログラムであって、
前記第1及び第2の打撃部の距離が大きいほど、前記所定の点数が高く設定されていることを特徴とするコンピュータプログラム。
楽器の音色がそれぞれ割り当てられていて、演奏者によって打撃される複数の打撃部を有する電子打楽器から、前記複数の打撃部のうち、前記演奏者によって打撃された打撃部を特定する情報を受信する受信手段と、
演奏内容に応じて得点を付与する得点付与手段であって、前記複数の打撃部のうちの異なる第1及び第2の打撃部が順に打撃されたとき、所定の点数を得点として付与する得点付与手段と、
前記得点を表示する表示手段とを備え、
前記第1及び第2の打撃部の距離が大きいほど、前記所定の点数が高く設定されている
ことを特徴とする演奏評価装置。
楽器の音色がそれぞれ割り当てられていて、演奏者によって打撃される複数の打撃部を有する電子打楽器の演奏を評価する演奏評価装置に適用されるコンピュータプログラムであって、前記演奏評価装置が備えるコンピュータに、
前記電子打楽器から、前記複数の打撃部のうち、前記演奏者によって打撃された打撃部を特定する情報を受信する受信ステップと、
演奏内容に応じて得点を付与する得点付与手段であって、前記複数の打撃部のうちの異なる第1及び第2の打撃部が順に打撃されたとき、所定の点数を得点として付与する得点付与ステップと、
前記得点を表示する表示ステップとを実行させるコンピュータプログラムであって、前記第1及び第2の打撃部の距離が大きいほど、前記所定の点数が高く設定されていることを特徴とするコンピュータプログラム。。
【発明の概要】
【0004】
ドラムの演奏においては、打奏速度だけでなく、複数種類の打楽器を次々に打撃して、賑やかに演奏することも重要なテクニックの1つである。しかし、従来の電子打楽器は、演奏の賑やかさを評価することができなかった。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、演奏の賑やかさを評価することができる電子打楽器又は演奏評価装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、楽器の音色がそれぞれ割り当てられていて、演奏者によって打撃される複数の打撃部(SN〜CY2)と、前記複数の打撃部のうち、演奏者によって打撃された打撃部を特定する特定手段(S42)と、前記特定した打撃部に割り当てられた楽器の演奏音を発音する発音手段(16,17,S43)と、演奏内容に応じて得点を付与する得点付与手段であって、前記複数の打撃部のうちの異なる第1及び第2の打撃部が順に打撃されたとき、所定の点数を得点として付与する得点付与手段(S50)と、前記得点を表示する表示手段(15,S51)とを備え、
前記第1及び第2の打撃部の距離が大きいほど、前記所定の点数が高く設定されている電子打楽器としたことにある。
【0007】
また、本発明の特徴は、楽器の音色がそれぞれ割り当てられていて、演奏者によって打撃される複数の打撃部を有する電子打楽器から、前記複数の打撃部のうち、演奏者によって打撃された打撃部を特定する情報を受信する受信手段と、演奏内容に応じて得点を付与する得点付与手段であって、前記複数の打撃部のうちの異なる第1及び第2の打撃部が順に打撃されたとき、所定の点数を得点として付与する得点付与手段と、前記得点を表示する表示手段とを備え、
前記第1及び第2の打撃部の距離が大きいほど、前記所定の点数が高く設定されている演奏評価装置としたことにある。
【0008】
上記のように構成した電子打楽器又は演奏評価装置によれば、異なる打撃部が連続して打撃されたとき、高い得点が付与される。すなわち、単一の打撃部が連続して打撃されたときは、演奏が単調であると判断し、異なる打撃部が連続して打撃されたときは、演奏が賑やかであると判断する。そして、異なる打撃部が連続して打撃されたときは、単一の打撃部が連続して打撃されたときよりも高い得点が付与される。これにより、演奏の賑やかさを評価することができる。
【0009】
また
、電子打楽器の演奏においては、連続して打撃される2つのパッドの距離が大きければ、演奏者の体の動きも大きくなるので、演奏が賑やかに感じられる。したがって、上記のように構成すれば、演奏者の体の動きを評価に加味することができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、得点付与手段は、第1の打撃部が先に打撃され、次に第2の打撃部が打撃された場合において、第2の打撃部が前回打撃された後、第2の打撃部とは異なる打撃部が所定回数以上打撃されているときにのみ、前記所定の点数を得点として付与することにある。2つのパッドが、左右のスティック、ブラシなどで交互に打撃されただけでは、演奏者の体の動きもそれほど大きくなく、演奏が賑やかに感じられないことがある。そこで、1つの打撃部が打撃されてから、他の打撃部が所定回数以上打撃されるまでは、連続して打撃される打撃部同士の距離を得点に反映させないようにすることにより、演奏者の体の動きを、より正確に評価に加味することができる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、得点付与手段は、第1及び第2の打撃部の各打撃の時間間隔に応じた点数をさらに付与することにある。電子打楽器の演奏においては、打奏速度が速いほど賑やかに感じられる。そこで、上記のように構成すれば、打奏速度も評価に加味することができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記特定した打撃部における、打撃の強度を検出する打撃強度検出手段を備え、得点付与手段は、打撃の強度に応じた点数をさらに付与することにある。電子打楽器の演奏においては、打撃強度が大きいほど賑やかに感じられる。そこで、上記のように構成すれば、打撃強度を評価に加味することができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、得点付与手段は、前記特定した打撃部の形状に応じた点数をさらに付与することにある。電子打楽器の演奏においては、打撃部の形状(例えば、スネアドラムの形状、シンバルの形状など)によって演奏の難易度が異なる。そこで、上記のように構成すれば、打撃部ごとの演奏の難易度を評価に加味することができる。
【0014】
さらに、本発明の実施にあたっては、電子打楽器又は演奏評価装置の発明に限定されることなく、電子打楽器又は演奏評価装置に適用されるコンピュータプログラムの発明としても実施し得る。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る電子打楽器の全体概要について図面を用いて説明する。この電子打楽器は、
図1に示すように、パッドSN、パッドTM1、パッドTM2、パッドTM3、パッドBS、パッドHH、パッドCY1、パッドCY2、フレームFR及びコントローラCTからなる。以下の説明において、上記のパッドSN〜CY2を各パッドという。各パッドは、アコースティックドラムセットを構成する打楽器の形状をそれぞれ模擬している。具体的には、パッドSN、パッドTM1、パッドTM2及びパッドTM3は、スネアドラム、第1タム、第2タム及び第3タムの形状をそれぞれ模擬している。また、パッドBSは、バスドラムの形状を模擬している。また、パッドHH、パッドCY1及びパッドCY2は、ハイハット、第1シンバル(例えば、クラッシュシンバル)及び第2シンバル(例えば、ライドシンバル)の形状をそれぞれ模擬している。
【0017】
パッドSN、パッドHH及びパッドBS以外のパッドは、パイプを連結して組み立てられたフレームFRにそれぞれ組み付けられている。パッドSN、パッドHH及びパッドBSは、床面に設置されたスタンドに組み付けられている。各パッドは、スティック、ブラシなどによって打撃されて、打撃操作を表わす打撃操作情報をコントローラCTに供給する。ただし、パッドHHは、ペダル付きのスタンドに組み付けられている。演奏者が足でスタンドのペダルを踏み込み操作することにより、パッドHHが上下に移動する。これにより、ハイハットの開き量に相当するペダル操作情報もコントローラCTに供給する。また、パッドBSは、演奏者側にて床面に設置された、アコースティックドラムのバスドラム用のペダル(図示省略)のビーターによって打撃されて、打撃操作を表わす打撃操作情報をコントローラCTに供給する。
【0018】
パッドSN、パッドTM1、パッドTM2、パッドTM3及びパッドBSは、スティック、ブラシなど(パッドBSにおいては、ビーター)によって打撃されるゴム製のヘッド部11をそれぞれ有する。ヘッド部11は、薄い円板状に形成されていて、底部が閉じた浅い円筒状のケース12の開口端を塞ぐようにして組み付けられている。そして、ケース12の外周面又は底面がフレームFR又はスタンドに組み付けられている。ヘッド部11においては、
図2に示すように、ヘッド部11の裏面に、打撃を検出するピエゾセンサPSが組み付けられている。ピエゾセンサPSは、円板状に形成されている。ピエゾセンサPSは、ヘッド部11への打撃の衝撃の大きさに応じた信号を打撃操作情報として出力する。また、ヘッド部11の裏面には、ヘッド部11の周方向に沿って、第1シートセンサSS1及び第2シートセンサSS2が組み付けられている。この例においては、第1シートセンサSS1及び第2シートセンサSS2は、環状に形成されている。第1シートセンサSS1は、ヘッド部11の裏面の周縁部に貼り付けられており、第2シートセンサSS2は、ヘッド部11の裏面の中心からやや離れた位置に貼り付けられている。第1シートセンサSS1及び第2シートセンサSS2は、フィルム状に形成されたスイッチである。ヘッド部11を打撃すると、その打撃された部分が弾性変形するが、打撃された部分がヘッド部11の周縁部付近であると、第1シートセンサSS1も弾性変形し、オフ状態からオン状態に一瞬変化する。また、打撃された部分がヘッド部11の中心部付近であると、第2シートセンサSS2が弾性変形し、オフ状態からオン状態に一瞬変化する。第1シートセンサSS1及び第2シートセンサSS2は、オン・オフ状態を打撃操作情報として、コントローラCTにそれぞれ出力する。
【0019】
また、パッドHH、パッドCY1及びパッドCY2は、アコースティックドラムのシンバルの形状を模擬するために、パッドSN、パッドTM1、パッドTM2、パッドTM3及びパッドBSとは形状が異なるが、ヘッド部の構成は、パッドSN、パッドTM1、パッドTM2、パッドTM3及びパッドBSのヘッド部11と同様であるので、説明を省略する。
【0020】
コントローラCTは、
図3に示すように、設定操作子13、操作子インターフェース回路14、表示器15、音源回路16、サウンドシステム17、コンピュータ部18及び記憶装置19を備えている。
【0021】
各パッドは、バス20に接続された操作子インターフェース回路14に接続されている。そして、各パッドの打撃操作情報及びパッドHHのペダル操作情報が、操作子インターフェース回路14及びバス20を介して後述するコンピュータ部18に供給される。
【0022】
設定操作子13は、コントローラCTの操作パネル上に設けられ、演奏者の手によって操作されて、発生される楽音信号の音色、音量、効果などの楽音特性を設定するとともに、電子打楽器全体の動作を設定する操作子である。また、この電子打楽器は、後述するように、演奏内容を評価する評価モードと、演奏内容の評価を実行しないノーマルモードの2つの動作モードを有しており、設定操作子13には、この電子打楽器の動作モードを切り替えるモードスイッチ、演奏内容の評価を開始又は停止させるスタート/ストップスイッチ、評価モードに関する設定を変更する評価内容設定スイッチなどが含まれる。設定操作子13は、バス20に接続されていて、設定操作子13の操作を表わす操作情報は、コンピュータ部18に供給される。
【0023】
表示器15は、液晶ディスプレイ(LCD)、7セグLEDなどによって構成され、文字、図形などを表示する。この表示器15の表示は、コンピュータ部18によって制御される。
【0024】
音源回路16は、複数の波形データを記憶した波形メモリを含み、この波形メモリから、コンピュータ部18によって指定された波形データを読み出してディジタル楽音信号を生成し、サウンドシステム17に供給する。すなわち、打撃されたパッドに対応する打奏音を表わすディジタル楽音信号を生成してサウンドシステム17に供給する。サウンドシステム17は、音源回路16から供給されたディジタル楽音信号をアナログ楽音信号にD/A変換するD/A変換器、変換したアナログ楽音信号を増幅するアンプ、及び増幅されたアナログ楽音信号を音響信号に変換して出力するスピーカを備えている。
【0025】
コンピュータ部18は、バス20にそれぞれ接続されたCPU18a、タイマ18b、ROM18c及びRAM18dからなる。CPU18aは、操作子インターフェース回路14から供給された打撃操作情報及びペダル操作情報に応じて、音源回路16に発音のために必要な情報を供給する。また、CPU18aは、ピエゾセンサPSから出力された信号を用いて、打撃の強度を表す打撃強度KYを検出する。また、CPU18aは、第1シートセンサSS1及び第2シートセンサSS2から出力された信号を用いて、パッドにおける打撃された位置を表す打撃位置ICを検出する。すなわち、CPU18aは、第1シートセンサSS1がオンしたとき、ヘッド部11の周縁部が打撃されたと判断し、第2シートセンサSS2がオンしたとき、ヘッド部11の中心部が打撃されたと判断する。そして、詳しくは後述するように、CPU18aは、評価モードにおいて、演奏内容を評価して、得点を表示器15に表示する。
【0026】
また、記憶装置19は、HDD、FDD、CD−ROM、MO、DVDなどの大容量の不揮発性記録媒体と、同各記録媒体に対応するドライブユニットを含むものであり、各種データ及びプログラムの記憶及び読出しを可能にしている。これらのデータ及びプログラムは予め記憶装置19に記憶されていてもよいし、図示しない外部インターフェース回路を介して外部から取り込んでもよい。そして、記憶装置19に記憶された各種データ及びプログラムは、CPU18aによって読み込まれ、電子打楽器の制御に利用される。
【0027】
つぎに、上記のように構成した電子打楽器の動作について説明する。とくに、演奏を評価する手順について詳しく説明する。演奏者が電子打楽器の図示しない電源スイッチをオンにすると、CPU18aは、
図4に示すメインプログラムを実行する。CPU18aは、ステップS10にてメイン処理を開始すると、ステップS20にて、コントローラCTの各回路を初期化する。例えば、各パッドに割り当てられる音色のデータ、表示器15に表示する表示データなどをROM18cから読み出して、それぞれの初期値として設定する。また、動作モードをノーマルモードに設定して、現在の動作モードが何れのモードであるかを表わすモードフラグMDを、ノーマルモードであることを表わす「0」に設定する。また、ノーマルモードにおいては、演奏内容を評価しないので、演奏内容の評価中であるか否かを表わすスタートフラグSTを、評価中でないことを表わす「0」に設定する。つぎに、CPU18aは、ステップS30にて、
図5に示す設定変更プログラムを実行する。設定変更プログラムは、メインプログラムのサブルーチンであって、設定操作子13の操作に応じて、この電子打楽器の各種設定を変更するプログラムである。CPU18aは、ステップS30にて、パネル設定処理を開始すると、ステップS31にて、設定操作子13が操作されたか否かを判定する。設定操作子13が操作されていなければ「No」と判定し、後述のステップS38に処理を進める。一方、設定操作子13が操作されていれば、「Yes」と判定し、ステップS32にて、どの操作子が操作されたかを検出し、検出した操作子に応じて処理を分岐させる。
【0028】
ステップS32において検出した設定操作子がモードスイッチであるときには、CPU18aは、ステップS33にて、動作モードを切り替える。すなわち、CPU18aは、モードフラグMDを用いて現在の動作モードが何れのモードであるかを判定し、ノーマルモードであるときには、動作モードを評価モードに設定し、モードフラグMDを「1」に設定して、ステップS38に処理を進める。一方、現在の動作モードが評価モードであるときに、モードスイッチが操作されたときには、動作モードをノーマルモードに設定し、モードフラグMDを「0」に設定して、ステップS38に処理を進める。
【0029】
また、ステップS32において検出した設定操作子が、スタート/ストップスイッチであるときは、CPU18aはステップS34にて、現在の動作モードが評価モードであるか否かを判定する。現在の動作モードがノーマルモードであるときには、CPU18aは、ステップS38に処理を進める。一方、現在の動作モードが評価モードであるときには、CPU18aは、ステップS35にて、演奏内容の評価を開始又は停止させる。すなわち、CPU18aは、演奏内容の評価中であるときにスタート/ストップスイッチが操作されたときには、評価を停止し、評価を停止しているときにスタート/ストップスイッチが操作されたときには、評価を開始して、ステップS38に処理を進める。演奏内容の評価中であるか否かは、スタートフラグSTを用いて判定する。CPU18aは、評価を開始したとき、スタートフラグSTを「1」に設定するとともに、評価開始からパッドを打撃した回数を表わす打撃回数DS、評価結果を表わす得点SCなどの演奏内容の評価に関するパラメータを初期化する。例えば、打撃回数DS及び得点SCを「0」に設定する。また、CPU18aは、評価を停止したとき、スタートフラグSTを「0」に設定する。
【0030】
また、ステップS32において検出した設定操作子が評価内容設定スイッチであるときは、CPU18aは、ステップS36にて、評価内容を設定するためのメニューを表示器15に表示し、演奏者によって選択されたメニューに従って更なる設定項目を表示する。そして、演奏者からの操作を入力して、評価内容の設定を変更し、ステップS38に処理を進める。例えば、演奏内容の評価の開始方法を変更する。初期状態においては、上記のように、スタート/ストップスイッチの操作に応じて演奏内容の評価を開始するように設定されているが、演奏者が打撃を開始すると評価を開始するように設定を変更することができる。また、評価時間を設定し、評価を開始してから前記設定した時間を超えると、自動的に評価を終了するように設定することもできる。
【0031】
また、ステップS32において検出した設定操作子が、その他の設定操作子であるときには、CPU18aは、ステップS37にて、その他の設定を変更する。例えば、各パッドに割り当てる音色を切り替える。そして、CPU18aは、ステップS38にて、メイン処理に戻る。
【0032】
再びメイン処理の説明に戻る。CPU18aは、設定変更処理の次に、ステップS40にて、
図6に示す、演奏制御プログラムを実行する。演奏制御プログラムは、メインプログラムのサブルーチンであり、打撃されたパッドに対応する楽音信号を生成するとともに、演奏内容を評価するプログラムである。CPU18aは、ステップS40にて、演奏制御処理を開始すると、ステップS41にて、各パッドの第1シートセンサSS1、第2シートセンサSS2及びピエゾセンサPSの出力値を用いて、パッドが打撃されたか否かを検出する。パッドが打撃されていなければ、「No」と判定して、後述のステップS55に処理を進める。一方、パッドが打撃されていれば「Yes」と判定して、ステップS42にて、打撃されたパッドを特定して、パッド名PMとして取得するとともに、ピエゾセンサPSの出力信号を用いて、打撃強度KYを算出し、第1シートセンサSS1及び第2シートセンサSS2の出力信号を用いて、打撃位置ICを算出する。
【0033】
つぎに、CPU18aは、ステップS43にて、パッド名PM、打撃強度KY及び打撃位置ICに応じた発音処理を実行する。すなわち、CPU18aは、パッド名PM、打撃強度KY及び打撃位置ICに応じて、発生させる楽音信号を規定するパラメータを音源回路16に供給する。音源回路16は、供給されたパラメータを用いて、楽音信号を発生して、サウンドシステム17に供給する。
【0034】
つぎに、CPU18aは、ステップS44にて、現在の動作モードが評価モードであるか否かを判定する。現在の動作モードがノーマルモードであれば、CPU18aは、後述のステップS55に処理を進める。一方、現在の動作モードが評価モードであれば、CPU18aは、ステップS45にて、演奏内容の評価中であるか否かを判定する。評価中でないとき(ST=「0」)、CPU18aは、「No」と判定して、ステップS46にて、自動スタート(
図5のステップS36参照)に設定されているか否かを判定する。自動スタートに設定されていなければ、CPU18aは、「No」と判定して、処理をステップS55に進める。一方、自動スタートに設定されていれば、CPU18aは、「Yes」と判定して、ステップS47にて、評価をスタートさせて、スタートフラグSTを「1」に設定するとともに、打撃回数DS、得点SCなどの演奏内容の評価に関するパラメータを初期化して、処理をステップS48に進める。例えば、打撃回数DS及び得点SCを「0」に設定する。また、このとき、CPU18aは、自動スタートの設定を解除する。自動スタートの設定を解除するのは、評価を終了した後の打撃により、再び評価がスタートすることを防止するためである。
【0035】
また、ステップS45において、演奏内容の評価中(ST=1)であるときには、CPU18aは、処理をステップS48に進める。CPU18aは、ステップS48にて、打撃回数DSをインクリメントする。つぎに、CPU18aは、ステップS49にて、アクティブパッドカウンタSNC,TM1C,TM2C,TM3C,BSC,HHC,CY1C,CY2C(以下、アクティブパッドカウンタSNC〜CY2Cと表記する)を更新する。アクティブパッドカウンタSNC〜CY2Cは、各パッドSN〜CY2に対応してそれぞれ設けられたカウンタであって、1つのパッドが打撃された後、それ以外のパッドが打撃された回数を表わす。ただし、カウント値の最大値は、「5」である。
図7に示すように、ステップS47におけるパラメータの初期化時に、アクティブパッドカウンタSNC〜CY2Cは、「5」に設定される。そして、CPU18aは、1つのパッドが打撃されると、打撃されたパッドのパッド名PMに対応するアクティブパッドカウンタを「0」に設定するとともに、その他のパッドに対応するアクティブパッドカウンタをインクリメントする。ただし、インクリメント前において、値が「5」である場合にはインクリメントしない。
【0036】
以下、
図7を用いて、アクティブパッドカウンタの値の遷移について具体的に説明する。例えば、初期化後、パッドSNが打撃されると、CPU18aは、ステップS49にて、アクティブパッドカウンタSNCを「0」に設定する。この場合、他のアクティブパッドカウンタの値は、「5」であるから、CPU18aは、これらをインクリメントしない。後述するように、CPU18aは、演奏制御処理を繰り返し実行するが、次回のステップS49の実行時において、パッドTM1が打撃されていれば(すなわち、パッド名PMが「TM1」であれば)、CPU18aは、アクティブパッドカウンタTM1Cを「0」に設定するとともに、アクティブパッドカウンタSNCをインクリメントする。これにより、アクティブパッドカウンタSNCは「1」に設定される。他のアクティブパッドカウンタは「5」のままである。なお、アクティブパッドカウンタがインクリメントされて「5」に達する前に、対応するパッドが打撃された場合も、そのアクティブパッドカウンタは、「0」に設定される。また、同一のパッドが連続して打撃されているときは、そのパッドに対応するアクティブパッドカウンタは、「0」のままである。
【0037】
再び演奏制御処理の説明に戻る。CPU18aは、ステップS50にて、得点SCを算出する。具体的には、CPU18aは、打撃強度KY、及び次に説明するパッドタイプ係数TY、アクティブパッドステートAPS及び移動距離係数IDを用いて、打撃強度KY×パッドタイプ係数TY+打撃強度KY×アクティブパッドステートAPS×移動距離係数IDなる演算を実行し、演算結果を、前回のステップS50の実行時における得点SCに加算することにより、現在の得点SCを算出する。上記のパッドタイプ係数TYは、
図8に示すように、パッドごとに予め設定された係数であって、パッドタイプ係数テーブルとして、ROM18cに記憶されている。パッドタイプ係数TYの値は、各パッドの形状に応じて設定されている。CPU18aは、ステップS50の実行時において、パッドタイプ係数テーブルを参照して、打撃されたパッドに対応するパッドタイプ係数TYを決定する。また、移動距離係数IDは、
図9に示すように、前回打撃されたパッドと今回打撃されたパッドの距離に応じて予め設定された係数であって、移動距離係数テーブルとして、ROM18cに記憶されている。すなわち、前回打撃されたパッドと今回打撃されたパッドの距離が大きいほど、移動距離係数IDが大きい。ただし、前回又は今回打撃されたパッドが、第1シンバルCY1又は第2シンバルCY2である場合の移動距離係数IDは、「3」である。CPU18aは、ステップS50の実行時において、前回打撃されたパッドのパッド名ZPMと今回打撃されたパッドのパッド名PMを用いて移動距離係数テーブルを参照して、移動距離係数IDを決定する。また、CPU18aは、打撃されたパッドに対応するアクティブパッドカウンタが打撃により「0」に設定される直前に「5」であったならば、アクティブパッドステートAPSを「1」に設定し、打撃されたパッドに対応するアクティブパッドカウンタが打撃により「0」に設定される直前に「0」〜「4」であったならば、アクティブパッドステートAPSを「0」に設定する。したがって、1つのパッドが打撃されてから、他のパッドが5回打撃されるまでは、パッドの距離が得点SCに反映されない。
【0038】
つぎに、CPU18aは、ステップS51にて、得点SCを表示器15に表示する。そして、CPU18aは、ステップS52にて、今回打撃されたパッドのパッド名PMを、前回打撃されたパッドのパッド名ZPMとして記憶する。つぎに、CPU18aは、ステップS53にて、打撃回数DSが所定の打撃回数DX(例えば、100回)を超えているか否か判定する。打撃回数DSが、打撃回数DXを超えていなければ、CPU18aは、「No」と判定して、ステップS55に処理を進める。一方、打撃回数DSが、打撃回数DXを超えていれば、CPU18aは、「Yes」と判定して、ステップS54にて、スタートフラグSTを「0」に設定して、演奏内容の評価を終了し、ステップS55にて、メイン処理に戻る。以降、CPU18aは、設定変更処理及び演奏制御処理からなる処理を繰り返し実行する。
【0039】
上記のように構成した電子打楽器によれば、評価モードにおいて、演奏の賑やかさを評価することができる。連続して打撃される2つのパッドの距離が大きければ、演奏者の体の動きも大きくなり、演奏が賑やかに感じられる。そこで、2つのパッドの距離が大きいほど移動距離係数IDを大きくしておき、移動距離係数IDを打撃強度KYに乗算するようにした。これにより、演奏者の体の動きを評価に加味することができる。ただし、2つのパッドが、左右のスティック、ブラシなどで交互に打撃されただけでは、演奏者の体の動きもそれほど大きくなく、演奏が賑やかに感じられないことがある。そこで、打撃強度KYと、移動距離係数IDとの乗算結果に、アクティブパッドステートAPSをさらに乗算するようにして、1つのパッドが打撃されてから、他のパッドが5回打撃されるまでは、連続して打撃されるパッドの距離を得点に反映させない。また、同一のパッドを連続して打撃するロール演奏の難易度は、パッドによってそれぞれ異なる。そこで、上記のように、得点SCの算出において、パッドごとに予め定められたパッドタイプ係数TYを、打撃強度KYに乗算して、演奏の難易度を得点SCに反映させるようにしている。
【0040】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0041】
例えば、得点SCの算出においては、上記の演算式に限られず、他の演算式を採用してもよい。例えば、1つのパッドにおける打撃位置ICの変化を得点に加味するようにしてもよい。すなわち、同一のパッドが連続して打撃されたとき、前回の打撃位置ZICと今回の打撃位置ICを比較して、打撃位置が異なっていれば、所定の得点を加算するようにしてもよい。具体的には、ヘッド部11の周縁部の打撃については位置係数として「1」を設定し、ヘッド部11の中間部の打撃については、位置係数として「2」を設定し、ヘッド部11の中心部の打撃については位置係数として「3」を設定しておく。そして、CPU18aは、ステップS51において、前回の打撃位置ZICの位置係数と今回の打撃位置の位置係数との差の絶対値を、上記実施形態の演算式による演算結果に加算する。なお、この場合、ステップS52にて、今回のパッド名PMを前回のパッド名ZPMとして記憶するとともに、今回の打撃位置ICを前回の打撃位置ZICとして記憶する。
【0042】
また、打撃強度KYの変化を得点SCに加味するようにしてもよい。すなわち、前回の打撃強度ZKYと今回の打撃強度KYを比較して、打撃強度の差に応じた所定の得点を加算するようにしてもよい。具体的には、CPU18aは、ステップS51において、前回の打撃強度ZKYと今回の打撃強度KYとの差の絶対値(または、前記絶対値に応じた点数)を、上記実施形態の演算式による演算結果に加算する。なお、この場合、ステップS52にて、今回のパッド名PMを前回のパッド名ZPMとして記憶するとともに、今回の打撃強度KYを前回の打撃強度ZKYとして記憶する。
【0043】
また、打撃速度を得点SCに加味するようにしてもよい。具体的には、CPU18aは、タイマ18bを用いて、前回の打撃から今回の打撃までの時間を計測し、計測した時間が所定の短い基準時間(例えば、0.2秒)よりも短ければ、所定の得点(例えば、前記計測した時間の逆数)を上記実施形態の演算式による演算結果に加算する。
【0044】
また、上記実施形態のような係数を乗算することなく、打撃強度、打撃強度の変化、打撃位置の変化及び打撃速度にそれぞれ応じた得点を、単に加算するだけでもよい。この場合、上記実施形態と同様に、表示器15に表示される得点SCは、演奏内容の評価を開始してからの累算値であってもよいし、打撃ごとの得点を表わす瞬時値であってもよい。また、上記の累算値及び瞬時値を表示してもよい。
【0045】
また、所定の短時間(例えば、1秒)内に打撃されたパッドの種類数に応じた得点(以下、エリアポイントと呼ぶ)を得点SCに加味するようにしてもよい。この場合、パッドがスティック、ブラシなどで打撃された場合にのみ、得点を加味するようにしてもよい。具体的には、CPU18aは、ステップS20にてタイマ18bを初期化する。すなわち、1秒ごとに割り込み信号をCPU18aへ送信するようにタイマ18bを設定する。また、CPU18aは、パッドBSを除く各パッドに対応したフラグであって、前記所定の時間内に対応するパッドが打撃されたか否かをそれぞれ表わすパッドフラグの記憶領域をRAM18d内に確保するとともに、全てのパッドフラグの値を、打撃されていないことを表わす「0」に設定する。そして、CPU18aは、ステップS47にて、演奏内容の評価を開始するとともに、タイマ18bに時間計測を開始させる。CPU18aは、パッドBSを除くパッドが打撃された場合であって、かつその打撃強度KYが所定の強度(例えば、最大強度の80%)以上であれば、ステップS50にて、そのパッドのパッドフラグの値を、打撃されたことを表わす「1」に設定する。ただし、パッドHHのスタンドに設けられたペダルが踏み込み操作されることによりパッドHHが打撃された場合は、CPU18aは、パッドHHに対応するパッドフラグの値を変更しない。CPU18aは、タイマ18bから割り込み信号を受信するまでの間、ステップS50を実行するごとに、打撃されたパッドに対応するパッドフラグの値を「1」に設定する。
【0046】
CPU18aは、タイマ18bから割り込み信号を受信すると、全てのパッドフラグの値を合算する。つぎに、CPU18aは、全てのパッドフラグの値を合算した値から所定の種類数(例えば、「2」)を減算する。そして、この減算結果に所定のアクティブエリアポイント係数(例えば、「400」)を乗算した値をエリアポイントとして得点SCに加算する。そして、CPU18aは、全てのパッドフラグの値を「0」に設定し、割り込み信号を受信したときのステップに戻る。なお、全てのパッドフラグを合算した値から減算される種類数は、前記所定の短時間内に打撃すべきパッドの種類数の下限値を設定するパラメータである。すなわち、前記所定の種類数が大きいほど、演奏者は、高いエリアポイントを獲得するためにより多くの種類のパッドを前記所定の短時間内に打撃しなければならない。また、アクティブエリアポイント係数は、得点SCのうち、エリアポイントが占める割合を決定する係数である。これによれば、演奏内容の評価を開始した後、例えば、1秒経過するごとにエリアポイントが計算される。そして、例えば、1秒間にパッドBSを除く少なくとも3種類のパッドがスティック、ブラシなどでそれぞれ打撃され、かつそれらの打撃強度が最大強度の80%以上であるときに限り、エリアポイントが加算される。
【0047】
なお、上記の例では、CPU18aは、タイマ18bから割り込み信号を受信するごとにエリアポイントを計算して得点SCに加算している。しかし、これに代えて、CPU18aは、タイマ18bから割り込み信号を受信するごとに、全てのパッドフラグの値を合算した合算値をRAM18dに記憶した後、全てのパッドフラグを「0」に設定し、割り込み信号を受信したときのステップに戻ってもよい。この場合、CPU18aは、演奏内容の評価を終了するとき(ステップS54)、前記RAM18dに記憶されている合算値の平均値を計算する。つぎに、CPU18aは、前記計算した平均値から前記所定の種類数を減算する。そして、CPU18aは、この減算結果に前記所定のアクティブエリアポイント係数を乗算した値をエリアポイントとして得点SCに加算し、得点SCを表示器15に表示させてもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、打撃回数が所定の打撃回数DXを超えたとき、演奏内容の評価を終了するようにした(ステップS53及びステップS54)。しかし、これに代えて、CPU18aは、タイマ18bを用いて、演奏内容の評価をスタートしてからの時間を計測し、計測した時間が所定の時間(例えば、10秒)を経過したとき、演奏内容の評価を終了するようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、1つのパッドが1つの打楽器に対応しているが、パッド面を複数の領域に分割して、前記分割した領域への打撃をそれぞれ検出可能に構成してもよい。この場合、前記分割した領域に、それぞれ異なる打楽器を割り当てるとよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、各パッドの形状に応じて、パッドタイプ係数TYの値を設定しているが、パッドに割り当てられた音色によって、パッドタイプ係数TYの値を設定してもよい。例えば、打奏音が、高周波成分を多く含む打楽器の音色が割り当てられているパッドほど、パッドタイプ係数TYの値を大きく設定するとよい。これによれば、打奏音が高周波成分を多く含むほど、演奏が賑やかであると判断し、高い得点を付与することができる。
【0051】
また、上記実施形態では、電子打楽器が備えるCPU18aが得点SCを計算して、表示器15に得点SCを表示させている。しかし、これに代えて、電子打楽器の演奏を評価する演奏評価装置(例えば、表示器が内蔵された携帯情報端末)を、図示しない外部インターフェース回路を介してコントローラCTに接続し、この演奏評価装置が得点SCを計算し、得点SCを表示してもよい。この場合、パッドが打撃されると、CPU18aは、ステップS43にて、パッド名PM、打撃強度KY、打撃位置ICに応じて発音処理を実行するとともに、パッド名PM、打撃強度KY、打撃位置IC、モードフラグMD及びスタートフラグSTを演奏評価装置に送信する。そして、CPU18aは、ステップS44乃至ステップS54を実行することなく、ステップS55に処理を進める。一方、演奏評価装置は、CPU18aからパッド名PM、打撃強度KY、打撃位置IC、モードフラグMD及びスタートフラグSTを受信するごとに、ステップS44乃至ステップS54と同様のステップからなるプログラムを実行して得点SCを計算し、得点SCを表示する。