特許第6179162号(P6179162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179162
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】車両用ドアのフレームモール
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   B60R13/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-68864(P2013-68864)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-189235(P2014-189235A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155767
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 憲志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康治
(72)【発明者】
【氏名】柳井 利文
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−312382(JP,A)
【文献】 特開2010−076650(JP,A)
【文献】 特開平05−269790(JP,A)
【文献】 特開2012−096720(JP,A)
【文献】 特開2007−137144(JP,A)
【文献】 特開2007−062399(JP,A)
【文献】 実開平01−142343(JP,U)
【文献】 実開平04−098611(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体に設けられた開口部を開閉するドアパネルと前記ドアパネルの上端部に組み付けられたドアフレームとを備え、前記ドアパネルと前記ドアフレームとの間に窓開口が形成されている車両用ドアにおける前記ドアパネルと前記ドアフレームとの交差部に形成された前記窓開口の角部に組み付けられるフレームモールであって、
合成樹脂材でそれぞれ形成された第1基部及び第2基部であって、前記角部の内周縁部のうちの前記ドアパネル側の部分に沿って延びるように形成された第1基部、及び前記角部の内周縁部のうちの前記ドアフレーム側の部分に沿って延びるように形成された第2基部を有するベース部材と、
前記第1基部及び前記第2基部のうちの車両外方を向く面を覆うようにして前記第1基部及び前記第2基部に組み付けられた装飾シートと
前記第2基部を前記ドアフレームに係止する係止部材であって、金属材から形成されるとともに前記第2基部の延設方向に沿って延びるように形成された係止部材と、を備え、
前記係止部材の延設方向両端部のうちの前記窓開口の下端側に位置する端部側は、前記第2基部よりも硬質の合成樹脂材で形成された固定部材であって、前記第2基部の延設方向両端部のうちの前記窓開口の下端側に位置する端部側に組み付けられる固定部材に一体的に形成されている、フレームモール。
【請求項2】
請求項1に記載のフレームモールにおいて、
前記固定部材が熱かしめにより前記第2基部に接合されているフレームモール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフレームモールにおいて、
前記係止部材は、
前記第2基部の延設方向両端部のうちの前記窓開口の上端側に位置する端部側から前記第2基部の延設方向中間部に亘って延びるように形成されるとともに、前記第2基部にインサート成形される上側係止部と、
前記第2基部の延設方向両端部のうちの前記窓開口の下端側に位置する端部側から前記第2基部の延設方向中間部に亘って延びるように形成されるとともに、前記固定部材にインサート成形される下側係止部材と、を有するフレームモール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアの窓開口の角部に組み付けられて前記窓開口の周縁部の見栄えを良好にするフレームモールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用ドアは、車両本体に設けられた開口部(乗降口)を開閉するドアパネルと、ドアパネルの上部に組み付けられたドアフレームとを備える。ドアパネルとドアフレームとの間には窓開口が形成されている。また、例えば下記特許文献1及び2に記載されているように、窓開口の角部(ドアパネルとドアフレームとの交差部)に組み付けられるフレームモールは知られている。フレームモールは、ドアパネルの上端部におけるドアフレーム近傍の端部からドアフレーム側へ向かって延び、さらにドアフレームに沿って上方へ延びるように屈曲形成されたフレームモール本体を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−137144号公報
【特許文献2】特開2010−76650号公報
【発明の概要】
【0004】
上記従来のフレームモール本体は、金属板(例えばステンレス鋼板)をプレス加工して形成されている。したがって、プレス加工により凹状又は凸状に曲げられた部分に歪やショックラインが形成され、見栄えが悪くなる。そのため、フレームモール本体の意匠形状を複雑にできない。具体的には、曲率半径の小さい湾曲部、急峻な凹凸部、深い溝部などを形成することができない。このように、フレームモールの形状に関する制約が多い。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、外観品質を向上させたフレームモールを提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両本体に設けられた開口部を開閉するドアパネル(2)とドアパネルの上端部に組み付けられたドアフレーム(3)とを備え、ドアパネルとドアフレームとの間に窓開口(DW)が形成されている車両用ドアにおけるドアパネルとドアフレームとの交差部に形成された前記窓開口の角部(C)に組み付けられるフレームモール(FM)であって、合成樹脂材でそれぞれ形成された第1基部(11)及び第2基部(12)であって、前記角部の内周縁部のうちのドアパネル側の部分(C1)に沿って延びるように形成された第1基部、及び前記角部の内周縁部のうちのドアフレーム側の部分(C2)に沿って延びるように形成された第2基部を有するベース部材(10)と、第1基部及び第2基部のうちの車両外方を向く面を覆うようにして第1基部及び第2基部に組み付けられた装飾シート(DF)と、第2基部をドアフレームに係止する係止部材(S)であって、金属材から形成されるとともに第2基部の延設方向に沿って延びるように形成された係止部材と、を備え、係止部材の延設方向両端部のうちの前記窓開口の下端側に位置する端部側は、第2基部よりも硬質の合成樹脂材で形成された固定部材(30)であって、第2基部の延設方向両端部のうちの前記窓開口の下端側に位置する端部側に組み付けられる固定部材に一体的に形成されているフレームモールとしたことにある。
【0007】
上記のように構成したフレームモールでは、合成樹脂製の第1基部及び第2基部のうちの車室外方を向く面が装飾シートで覆われている。金属のような光輝を有する装飾シートを採用すれば、金属板をプレス加工することにより形成されたフレームモールを模擬できる。この場合、従来のフレームモールで問題となっていた歪やショックラインが形成されないので、従来のフレームモールよりも見栄えを良好にできる。また、意匠形状に関する制約が緩和される。すなわち、曲率半径の小さい湾曲部、急峻な凹凸部、深い溝部などを形成することができる。また、装飾シートの種類を変更することにより、フレームモールの色調、質感などを簡単に変更できる。上記のように、本発明によれば、フレームモールの外観品質を向上させることができる。また、フレームモールを従来よりも軽量化できる。
【0009】
また、これによれば、係止部材の延設方向両端部のうちの前記窓開口の下端側に位置する端部側は、第2基部よりも硬質の合成樹脂材で形成された固定部材を介して、第2基部の延設方向両端部のうちの前記窓開口の下端側に位置する端部側(第2基部の下端部側)に組み付けられる。つまり、直接的にはドアフレームに支持されていない第2基部の端部は固定部材により補強されている。これにより、走行時に第2基部の下端部側が揺動することを抑制できる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、固定部材が熱かしめにより第2基部に接合されていることにある。これによれば、第2基部と固定部材とを接着剤、両面テープなどで接着する場合に比べて材料費及び工程数を削減できる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、係止部材は、第2基部の延設方向両端部のうちの前記窓開口の上端側に位置する端部側から第2基部の延設方向中間部に亘って延びるように形成されるとともに、第2基部にインサート成形される上側係止部(S1)と、第2基部の延設方向両端部のうちの前記窓開口の下端側に位置する端部側から第2基部の延設方向中間部に亘って延びるように形成されるとともに、固定部材にインサート成形される下側係止部材(S2)と、を有することにある。
【0012】
これによれば、係止部材は上側係止部材及び下側係止部材を有する。つまり、上側係止部材単体及び下側係止部材単体としては、第2基部の延設方向一端部から他端部に亘って延びるように一体的に形成された係止部材に比べて短い。したがって、上側係止部材及び下側係止部材の延設方向の寸法精度が高く、上側係止部材及び下側係止部材の第2基部及び固定部材への組み付け位置精度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るフレームモールが適用された車両用ドアの側面図である。
図2】フレームモールの斜視図である。
図3】フレームモールの分解斜視図である。
図4図2のA−A断面図である。
図5図2のB−B断面図である。
図6図2のC−C断面図である。
図7図2のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係るフレームモールFMについて説明する。まず、フレームモールFMが組み付けられる車両用ドア1の構成について簡単に説明しておく。車両用ドア1は、図1に示すように、車両の右側後部座席の乗降口を開閉するドアパネル2とドアパネル2に組み付けられたドアフレーム3を有する。なお、フレームモールFMは、右側後部座席のドアに限られず、他のドアにも適用可能である。
【0015】
ドアパネル2は、車両本体部に図示しないヒンジを介して組み付けられる。ドアパネル2は、車室外側に配置されたアウターパネル2aと車室内側に配置されたインナーパネル2bとが接合されて上方へ開放された袋状に形成されている。ドアフレーム3はドアパネル2の上端部に組み付けられている。ドアフレーム3は、ドアパネル2の前端部から上方へ延設された垂直部3aと、ドアパネル2の後端部から上方且つ後方へ斜めに延設された湾曲部3bを備える。垂直部3aの下端部は、アウターパネル2aとインナーパネル2bとの間に挿入され、ドアパネル2の前端部(例えばインナーパネル2bの前端部)に溶接されている。垂直部3aの上端部は湾曲部3bの前端部に接続されている。また、湾曲部3bの後端部は、アウターパネル2aとインナーパネル2bとの間に挿入され、ドアパネル2の後端部(例えばインナーパネル2bの後端部)に溶接されている。
【0016】
ドアパネル2とドアフレーム3との間には窓開口DWが形成されている。ドアパネル2内には、図示しないドアガラスが収容されている。このドアガラスは、図示しない昇降装置により駆動されて昇降し、窓開口DWを開閉する。ドアパネル2及びドアフレーム3には、窓開口DWの周縁部の見栄えを良好にするドアウィンドウモールMが組み付けられている。ドアウィンドウモールMは、アッパーモールUM、ベルトラインモールBM及びフレームモールFMから構成されている。アッパーモールUM及びベルトラインモールBMの構成は従来と同様である。
【0017】
フレームモールFMは、ドアパネル2と湾曲部3bとの交差部に形成された窓開口DWの角部Cの内周縁部に組み付けられる。フレームモールFMは、図2及び図3に示すように、ベース部材10を備える。なお、以下の説明における各方向は、車両用ドア1が閉じている状態での方向に相当する。
【0018】
ベース部材10は、ドアパネル2の上端部における前後方向中央部よりも少し後方に位置する中間部から後方へ向かって延びるように形成された第1基部11と、第1基部11の後端からドアフレーム3に沿って上方へ延びるように形成された第2基部12を備える。すなわち、第1基部11は角部Cの周縁部のうちのドアパネル2側の部分C1に沿って延びるように形成され、第2基部12は角部Cの周縁部のうちのドアフレーム3側の部分C2に沿って延びるように形成されている。第1基部11と第2基部12は合成樹脂材の射出成形により一体的に形成されている。つまり、ベース部材10は、車室外側(又は車室内側)から見て、角部Cに沿うように屈曲形成されている。
【0019】
第1基部11は、図4に示すように、角部Cの周縁部のうちのドアパネル2側の部分C1に沿って延びる(つまり前後方向に延びる)板状に形成された側板部111と、側板部111の上端から車室内側へ入り込むように形成された上板部112を備える。第2基部12は、図5に示すように、角部Cの周縁部のうちのドアフレーム3側の部分C2に沿って延びる板状に形成された側板部121と、側板部121の上端及び下端から車室内側へ少し入り込むようにそれぞれ形成された上板部122及び下板部123を備える。
【0020】
ベース部材10のうち車室外方を向く面(具体的には、側板部111,121の車室外側面、上板部112,122の上面、及び下板部123の下面)には、真空圧空成形法により装飾シートDFが接着されている。装飾シートDFは、フィルム状の基材に金属粒子(例えばインジウム粒子)を蒸着させることにより形成されており、金属板のような光輝を有している。
【0021】
第1基部11の側板部111における車室内側面には、リップ部材20が組み付けられている(図4参照)。リップ部材20は、側板部111の車室内側面に沿って前後方向に延びるように形成されたベース部21とベース部21の下端部に沿って延びるように形成されたリップ本体部22を備える。リップ本体部22は、ベース部21よりも軟質の合成樹脂材で形成されている。ベース部21及びリップ本体部22は、二異材成形法(二色成形法)により一体的に形成されている。リップ本体部22の下端は車室内側に入り込むように湾曲している。ベース部21には、車室外側面から車室内側面へ貫通する複数の貫通孔H1が前後方向に間隔をおいて形成されている。側板部111の車室内側面には、複数のボス111aが前後方向に間隔をおいて形成されている。各ボス111aは各貫通孔H1に対応している。各貫通孔H1に各ボス111aが挿入され、ベース部21の車室外側面が両面テープで側板部111の車室内側面に接着される。さらに、図4に破線で示したように各ボス111aの先端部が熱かしめされる。これにより、リップ部材20が第1基部11に固定される。リップ部材20が第1基部11に固定された状態では、リップ本体部22の下端は、第1基部11の下端よりも下方に露出している。つまり、リップ本体部22は車室外方から視認可能である。
【0022】
また、第1基部11は、アウターパネル2aの上端部に係止される複数の係止部113を備える。複数の係止部113は、前後方向に間隔をおいて形成されている。係止部113は、上板部112の車室内側の端部から下方へ延設された脚部113aと脚部113aの下端から車室外方へ突出するように形成された突起部113bとを有する。
【0023】
また、ベース部材10は、第2基部12を湾曲部3bに係止する係止部材Sを備える。係止部材Sは、係止部材S1及び係止部材S2を備える(図2参照)。係止部材S1は、帯状の金属板(例えばステンレス鋼板)を曲げ加工して、第2基部12の延設方向両端部のうちの窓開口DWの上端側に位置する一端部から第2基部12の延設方向中央部よりも少し他端部(第2基部12の延設方向両端部のうちの窓開口DWの下端側に位置する端部)側に位置する部分(延設方向中間部)に亘って延びるように湾曲形成されている。また、係止部材S1の幅方向両端部(延設方向に垂直な方向における両端部)は上方へ折り曲げられており、そのうちの一方(車室外側の端部)がインサート成形により第2基部12の側板部121に組み付けられ、他方(車室内側の端部)が側板部121の車室内側面から車室内方へ突出している(図5参照)。
【0024】
また、係止部材S2は、固定部材30を介して第2基部12に組み付けられる。固定部材30は、第2基部12の他端部の車室内側面に組み付けられる。固定部材30は、第2基部12よりも硬質の合成樹脂材で板状に形成されたベース部31を備える。ベース部31の外形は、第2基部12の他端部の外形と略同等である。つまり、ベース部31の後側の縁部は、第2基部12の外周縁に沿うように湾曲形成され、ベース部31の前側の縁部は、ドアフレーム3の湾曲部3bの内周縁に沿うように湾曲形成されている。係止部材S2は、帯状の金属板(例えばステンレス鋼板)を曲げ加工して、ベース部31の前側の縁部に沿って延びるように湾曲形成されている。係止部材S2の幅方向両端部(延設方向に垂直な方向における両端部)のうちの一方がベース部31の前側の縁部にインサート成形により組み付けられ、他方がベース部31の車室内側面から車室内方に突出している(図7参照)。ベース部31には、車室外側面から車室内側面に貫通する貫通孔H3が形成されている。一方、第2基部12の他端部の車室内側面にはボス124が形成されており、ボス124が貫通孔H3に挿入され、図6に破線で示したようにボス124の先端部が熱かしめされることにより、固定部材30が第2基部12の他端部に固定される。係止部材S2の上端部(係止部材S2の延設方向両端部のうちの窓開口DWの上端側の端部)は、係止部材S1の下端部(係止部材S2延設方向両端部のうちの窓開口DWの下端側の端部)にねじ、リベットなどで締結される。
【0025】
また、ベース部材10は、第1基部11と第2基部12とが交差する部分の内周縁部の見栄えを良好にする装飾部材40を有する。装飾部材40は、第2基部12の他端部の車室外側面に組み付けられる。装飾部材40は、合成樹脂材で板状に形成されている。装飾部材40は、車室外側から見て三角形状を呈するように形成されている(図1乃至図3参照)。図6に示すように、装飾部材40の車室内側の面には、ボス41が形成されている。ベース部材10の前端部には、車室内外側面から車室内側面に貫通する貫通孔H2が形成されており、ボス41が貫通孔H2に挿入され、図6に破線で示したようにボス41の先端部が熱かしめされることにより、装飾部材40がベース部材10に固定される。
【0026】
つぎに、ドアウィンドウモールMを窓開口DWの内周縁部に組み付ける手順について説明する。まず、第2基部12の一端部に図示しない連結部材を介してアッパーモールUMの前端部が接続される。つぎに、以下説明するようにして、フレームモールFM及びアッパーモールUMがアウターパネル2aに組み付けられる。まず、第1基部11をアウターパネル2aの上端部に上方から近づけて、アウターパネル2aの上端部を係止部113と側板部111との間に挿入する。アウターパネル2aの車室内側面には段差部が形成されており、この段差部に係止部113の突起部113bが係止される(図4参照)。これにより、第1基部11がアウターパネル2aに固定される。
【0027】
つぎに、係止部材S1及び係止部材S2がそれぞれ湾曲部3bにねじ、リベットなどで締結される。また、アッパーモールUMの車室内側面には、湾曲部3bに係止される係止部が形成されており、この係止部が湾曲部3bにねじ、リベットなどで締結される。上記のようにして、フレームモールFM及びアッパーモールUMがアウターパネル2a及び湾曲部3bに組み付けられる。フレームモールFM及びアッパーモールUMがアウターパネル2a及び湾曲部3bに組み付けられた状態では、リップ本体部22の下端部がアウターパネル2aの車室外側面に当接している(図4参照)。これにより、フレームモールFMの下縁部とアウターパネル2aとの間に隙間が形成されることが抑制される。
【0028】
つぎに、ベルトラインモールBMがアウターパネル2aの上端部に組み付けられる。このベルトラインモールBMの組み付け手順は従来と同様である。つまり、ベルトラインモールBMがアウターパネル2aの上端部に載置されるとともに後方にスライドされて、ベルトラインモールBMの後端部が図示しない連結部材を介して第1基部11の前端部に接続される。そして、ベルトラインモールBMの前端部が図示しないクリップでアウターパネル2aに固定される。上記のようにして、ドアウィンドウモールMが窓開口DWの内周縁部に組み付けられる。
【0029】
上記のように構成したフレームモールFMでは、合成樹脂製の第1基部11及び第2基部12のうちの車室外方を向く面が装飾シートDFで覆われる。本実施形態で採用した装飾シートDFは金属のような光輝を有しているので、金属板をプレス加工することにより形成されたフレームモールを模擬できる。これによれば、従来のフレームモールで問題となっていた歪やショックラインが形成されないので、従来のフレームモールよりも見栄えを良好にできる。また、意匠形状に関する制約が緩和される。すなわち、曲率半径の小さい湾曲部、急峻な凹凸部、深い溝部などを形成することができる。また、装飾シートDFの種類を変更することにより、フレームモールFMの色調、質感などを簡単に変更できる。上記のように、フレームモールFMによれば、外観品質を向上させることができる。また、フレームモールFMを従来よりも軽量化できる。
【0030】
また、係止部材S2は、第2基部12よりも硬質の合成樹脂材で形成された固定部材30を介して、第2基部12の他端部に組み付けられる。つまり、第2基部12の他端部は直接的にはドアフレーム3に支持されていないが、固定部材30により補強されている。これにより、走行時に第2基部12の他端部が揺動することを抑制できる。また、係止部材Sは、係止部材S1と係止部材S2に分割されている。つまり、係止部材S1単体及び係止部材S2単体としては、第2基部12の延設方向一端部から他端部に亘って延びるように一体的に形成された係止部材に比べて短い。したがって、係止部材S1及び係止部材S2の延設方向の寸法精度が高く、係止部材S1及び係止部材S2の側板部121及びベース部31へのそれぞれの組み付け位置精度が高い。
【0031】
また、第2基部12に形成されたボス124が熱かしめされて固定部材30と第2基部12とが接合されるので、第2基部12と固定部材30とを接着剤、両面テープなどで接着する場合に比べて材料費及び工程数を削減できる。
【0032】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0033】
例えば、上記実施形態では、第2基部12に形成されたボス124が熱かしめされて固定部材30と第2基部12とが接合されるが、これに代えて、熱板溶着法、超音波溶着法などにより固定部材30と第2基部12とが接合されてもよい。また、上記実施形態では、係止部材S1は、第2基部12の延設方向一端部から第2基部12の延設方向中央部よりも少し他端部側に位置する部分に亘って延びるように形成されているが、第2基部12の延設方向一端部から第2基部12の延設方向中央部に亘って延びるように形成されていてもよいし、第2基部12の延設方向一端部から第2基部12の延設方向中央部よりも少し一端部側に位置する部分に亘って延びるように形成されていてもよい。また、上記実施形態では、係止部材Sは、係止部材S1及び係止部材S2に分割されているが、係止部材Sの寸法精度や組み付け位置精度が上記実施形態より多少低下しても問題ない場合には、係止部材Sが一体的に形成されていてもよい。この場合、係止部材Sが固定部材30を介することなく第2基部12に組み付けられていてもよい。また、この場合、固定部材30のベース部31が第2基部12の延設方向一端部から他端部に亘って延びるように形成され、このベース部31に係止部材Sが組み付けられるとともに、ベース部31が第2基部12に組み付けられるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1・・・車両用ドア、2・・・ドアパネル、3・・・ドアフレーム、10・・・ベース部材、11・・・第1基部、12・・・第2基部、20・・・リップ部材、30・・・固定部材、BM・・・ベルトラインモール、C・・・角部、FM・・・フレームモール、DW・・・ドアウィンドウ、S・・・係止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7