特許第6179169号(P6179169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日新電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6179169-蓄電デバイス 図000003
  • 特許6179169-蓄電デバイス 図000004
  • 特許6179169-蓄電デバイス 図000005
  • 特許6179169-蓄電デバイス 図000006
  • 特許6179169-蓄電デバイス 図000007
  • 特許6179169-蓄電デバイス 図000008
  • 特許6179169-蓄電デバイス 図000009
  • 特許6179169-蓄電デバイス 図000010
  • 特許6179169-蓄電デバイス 図000011
  • 特許6179169-蓄電デバイス 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179169
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/12 20060101AFI20170807BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20170807BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20170807BHJP
   H01G 9/12 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H01M2/12 101
   H01M2/02 K
   H01M2/08 K
   H01G9/12 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-87010(P2013-87010)
(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2014-211994(P2014-211994A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中坊 年宏
(72)【発明者】
【氏名】丸井 崇弘
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/122294(WO,A1)
【文献】 特開2008−103239(JP,A)
【文献】 特開昭60−003866(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0239895(US,A1)
【文献】 特開2008−077945(JP,A)
【文献】 特開2010−257948(JP,A)
【文献】 特開2010−153841(JP,A)
【文献】 特開2007−220409(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0051658(US,A1)
【文献】 特開2004−055290(JP,A)
【文献】 特開2007−157678(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0015218(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/12
H01G 9/12
H01M 2/02
H01M 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水電解液を含浸した電極体と、前記電極体を内包し熱溶着部により前記電極体を気密に封止する外装フィルム材とを備え、前記熱溶着部は前記外装フィルム材同士を重ね合わせて熱溶着により形成されてなる蓄電デバイスであって、前記熱溶着部の一部において前記外装フィルム材同士の間に介在するとともに一端が前記電極体に向かって前記熱溶着部から露出する多孔質フィルムと、前記多孔質フィルムに対向して前記外装フィルム材に設けられる孔とを備える、前記多孔質フィルムは前記熱溶着部の一部において前記外装フィルム材同士の間に介在した状態において前記非水電解液の通過をさせず、ガスを通過させる機能を有する蓄電デバイス。
【請求項2】
前記多孔質フィルムは、前記孔よりも大きな開口部を有し、前記孔と開口部との隙間は前記熱溶着部により封止される、請求項に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記孔を気密に覆うガス放出弁を更に備える、請求項1または2に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
前記多孔質フィルムは、ポリテトラフルオロエチレンからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電気機器に使用される電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタに代表されるハイブリッドキャパシタ、リチウムイオン電池等の蓄電デバイスの中でも特に外装フィルム材で外装されるものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電デバイスとして、例えば、電気二重層キャパシタは、簡単にいえば正極側の分極性電極と負極側の分極性電極とをその間にセパレータを介在させて積層することにより電極体を構成し、かつ、この電極体に非水電解液を含浸させることにより構成されている。このような電気二重層キャパシタでは、ある電圧で通電を長時間行うとその内部にガスが発生し、発生したガスによって電気二重層キャパシタ内の圧力が上昇する。そして、発生したガスの内部応力によって電極体の変形や、電気二重層キャパシタの静電容量あるいはサイクル寿命の低下を引き起こすことが知られている。
【0003】
そこで、このような蓄電デバイスでは、ガス放出弁を装着し、蓄電デバイスの内圧が一定以上になると内部のガスを放出することで上記の問題を防止する措置が講じられている(例えば、特許文献1の図3参照)。
【0004】
特許文献1では、電気二重層キャパシタの外装フィルム材の内側面に溶着されたガス放出弁の外側を、ガスを透過することが可能な透過フィルムで覆った構成が開示されている。透過フィルムとして多孔質フィルムが用いられることが一般的である。この多孔質フィルムは、電気二重層キャパシタ内の非水電解液を透過しないので、ガス放出弁からガスと共に非水電解液が外部に漏出することを防止する。また、この漏出の結果として起こる、ガス放出弁において非水電解液に含まれる電解質が塩となって析出し、ガス放出弁が正常に動作しなくなるという不具合を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−37028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の多孔質フィルムは一般に厚みが薄いので、非水電解液を透過することがある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、蓄電デバイス内部で発生したガスを放出する際に、蓄電デバイス内部の非水電解液の漏出防止効果を簡単な構成で向上させることができ、ひいては静電容量の低下の少ない長期信頼性に優れた蓄電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の蓄電デバイスは、上記課題を解決するために、電極体と、前記電極体を内包し熱溶着部により前記電極体を気密に封止する外装フィルム材とを備え、前記熱溶着部は前記外装フィルム材同士を重ね合わせて熱溶着により形成されてなる蓄電デバイスであって、前記熱溶着部の一部において前記外装フィルム材同士の間に介在するとともに一端が前記電極体に向かって前記熱溶着部から露出する多孔質フィルムと、前記多孔質フィルムに対向して前記外装フィルム材に設けられる孔とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記多孔質フィルムは、前記孔よりも大きな開口部を有し、前記孔と開口部との隙間は前記熱溶着部により封止されることが好ましい。
【0010】
また、前記孔を気密に覆うガス放出弁を更に備えることが好ましい。
【0011】
また、前記多孔質フィルムは、ポリテトラフルオロエチレンからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蓄電デバイスの内部で発生したガスが、外装フィルム材同士の間に介在する多孔質フィルムの内部を多孔質フィルムの面方向に沿って通過する。そして、多孔質フィルムの内部を通過したガスは、外装フィルム材に設けられる孔から放出される。そのため、本発明は、従来の厚みの薄い多孔質フィルムにおいて、ガスがその厚み方向に通過していた場合に比べ、ガス通過経路の距離を長くすることができる。
【0013】
そして、非水電解液はガスとともに多孔質フィルムを通過しようとするところ、ガス通過経路の距離が長いので、非水電解液は多孔質フィルムを通過しきれなくなる。したがって、本発明は、多孔質フィルムの有する電解液の漏出防止効果を向上させることができる。ひいては、蓄電デバイスの体積膨張を解消し、静電容量の低下の少ない長期信頼性に優れた蓄電デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の一例を示す蓄電デバイスの平面図である。
図2】本発明の実施形態の一例を示す蓄電デバイスの側面図である。
図3図1におけるX‐X視を示す断面図である。
図4図3に示す本発明の実施形態であり、多孔質フィルムまわりの平面図である。
図5図4における本発明の実施形態の別の例を示す断面図である。
図6図1におけるX‐X視であり、本発明の実施形態の別の例を示す断面図である。
図7図6に示す本発明の実施形態の平面図であり、多孔質フィルムまわりの平面図である。
図8図6に示す本発明の実施形態の平面図であり、多孔質フィルムまわりの平面図である。
図9】比較例3の蓄電デバイスに用いられるアルミラミネートフィルムの半体を示す平面図である。
図10】比較例3の蓄電デバイスに用いられるガス放出弁まわりを示し、(A)は断面図、(B)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下にこの発明における実施形態の一例を説明する。図1〜5を参照して、この発明の実施形態1における蓄電デバイスは、電極体1と、外装フィルム材2と、多孔質フィルム3と、孔4と、リード端子5と、によって構成されている。また、外装フィルム材2は、二枚の外装フィルム材の半体2a,2bを重ね合わせ、その外縁部を熱溶着して形成した熱溶着部20で一体化したものである。そして、外装フィルム材2の内部に電極体1および非水電解液が封入されている。
【0016】
電極体1は、正極および負極の間にセパレータを介して順次重ね合わせたものを積層または巻回したものである。そして、正極および負極は、金属箔からなる集電体の片面または両面に、炭素材料や金属化合物の粉末を含む活物質層を形成したものである。この活物質層はリチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスで公知の方法により製造される。例えば、電気二重層キャパシタ用の活物質層であれば、活性炭とカーボンブラックの混合物にポリテトラフルオロエチレンを添加・混合した後、プレス成型、ロール成型して製造される。また、上記混合物をスラリー状にしてから塗布することで薄い塗布膜とする方法で製造してもよい。
【0017】
電極体1を構成する正極および負極の集電体の一端には、突起状の露出部が形成されている。該露出部は、正極、負極ごとに集合されていて、板状のリード端子5が該露出部の集合体に超音波溶接やスポット溶接等によって取り付けられている。
【0018】
電極体1は、リード端子5が引き出された状態で非水電解液とともに外装フィルム材2によって気密に収容される。外装フィルム材2は、この実施形態では二枚の外装フィルム材の半体2a,2bを各々の外縁部で重ね合わせて一体にしている。また、外装フィルム材の半体2a,2bには、それぞれ電極体1を収容するための凹部が外縁部を除く領域でプレス成型されている。なお、外装フィルム材2は、半体二枚分の大きさの一体物を折り曲げて重ね合わせるようにしてもよい。
【0019】
外装フィルム材2には軽量で薄くガスバリア性に優れたアルミラミネートフィルムが好適に用いられる。アルミラミネートフィルムは、アルミニウム層の両側にポリプロピレン層やナイロン層等の樹脂層がラミネート成形されている。そして、外装フィルム材2の外縁部を互いに重ね合わせた状態で加熱することで、樹脂層同士が熱溶着により一体化する。このようにして、熱溶着部20により蓄電デバイスの内部を気密にしているので、蓄電デバイスの内部の非水電解液やガスが外部に漏出することはない。
【0020】
外装フィルム材2の外縁部における熱溶着部20の一部において、前記外装フィルム材の半体2a,2bの間に多孔質フィルム3が介在している。このとき外装フィルム材の半体2a,2bと多孔質フィルム3との各界面は、熱溶着により封止されている。そして、多孔質フィルム3の一端3eは、蓄電デバイス内部の電極体1に向かって熱溶着部20から露出している。すなわち、この多孔質フィルム3の一端3eは、蓄電デバイス内部の非水電解液やガスと接触可能な状態となっている。一方、多孔質フィルム3の他端3sは、図4に示すように、幅w1からなる熱融着部によって封止されている。幅w1は例えば3〜10mmであり、蓄電デバイスを気密に封止することが可能な幅であれば特に限定されない。なお、多孔質フィルム3を設ける熱溶着部20の位置は特に限定されない。
【0021】
そして、外装フィルム材2には、多孔質フィルム3に対向する位置に一つ以上の孔4が設けられており、孔4は外装フィルム材を貫通している。孔4は、多孔質フィルム3の一端3eから他端3sに向かってある程度の距離lを離して設けられる。距離lは、ガス通過経路であるとともに非水電解液の通過抑止長であり、少なくとも蓄電デバイス内の非水電解液が孔4に到達しない距離に設定される。孔4の形状は特に限定されず、円形であっても多角形であってもよい。また、孔4は外装フィルム材の半体2a,2bのいずれかに設けられていればよい。
【0022】
多孔質フィルム3としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる不織布を好適に用いることができ、具体的には日本ゴア株式会社製のオレオベントフィルターHtypeを例示することができる。このような多孔質フィルム3は、非水電解液との接触角が大きく透気性を有するので、非水電解液の通過を抑止し、ガスのみを通過させることができる。
【0023】
次に、この発明の実施形態1における発明の作用について説明する。図3および図4を参照して、蓄電デバイスの充放電サイクルにより蓄電デバイス内部で発生したガスは、多孔質フィルム3の露出する一端3eから多孔質フィルム3内に侵入する。そして、多孔質フィルム3内に侵入したガスは、外装フィルム材2に設けた孔4に到達し、孔4から蓄電デバイスの外部に放出される。このとき、蓄電デバイス内の非水電解液は、蓄電デバイスの内圧によって多孔質フィルム3内部に侵入しようとするものの、一端3eから孔4までの距離lが長いので、孔4に到達することはできない。したがって、従来の蓄電デバイスでは、多孔質フィルムに対する非水電解液の通過抑止長が、多孔質フィルムの厚みである数十μm〜数百μmに制約されていたところ、この発明の実施形態では、多孔質フィルム3の面方向に数mm以上と長い通過抑止長を自由に設定することができる。それゆえ、多孔質フィルム3および孔4は、蓄電デバイス内部のガスを放出しつつ、蓄電デバイス内部の非水電解液の漏出防止効果を簡単な構成で向上させることができる。
【0024】
また、この発明の実施形態1では、図5に示すように、孔4を気密に覆うガス放出弁40を設けることが好ましい。ガス放出弁40は、弁体46と、弁孔47と、弾性部材48とによって構成されている。弁体46は内部に空洞を有しており、この空洞に通じるように弁孔47が弁体46の上下面にそれぞれ設けられている。そして、弁体46の空洞に収納された弾性部材が、弁体46の一方の面の弁孔47を密閉している。弁体46は、孔4周囲の外装フィルム材2aに超音波溶接等で溶着されている。また、弾性部材47で密閉された弁孔47は、孔4に通じている。
【0025】
ガス放出弁40は、孔4に通じる弁孔47を弾性部材48で密閉しているので、外気が孔4を通じて蓄電デバイスに侵入することはない。また、蓄電デバイス内のガスが孔4から放出されると、弁孔47を塞いでいる弾性部材がガスの圧力により持ち上げられて弁孔47を通過する。そして、蓄電デバイス内部のガスは、ガス放出弁40から放出される。このように、ガス放出弁40は逆止弁として機能するが、逆止弁として機能するものであれば上述したガス放出弁40に限定されず、ガス放出弁40の代わりに公知の逆止弁を採用してもよい。
【0026】
次に、この発明の実施形態2について図6〜8を用いて説明する。実施形態1と同じ説明は繰り返さない。図6および図7を参照して、実施形態2による蓄電デバイスは、実施形態1の蓄電デバイスと比べ、多孔質フィルム3は孔4よりも大きな開口部30を有している。そして、開口部30の内側において、開口部30に沿って外装フィルム材の半体2a,2bによる熱溶着部21が形成されており、孔4と開口部30との隙間は熱溶着部21により封止されている。これにより、蓄電デバイス外部から外気が孔4を通って内部に侵入することはない。
【0027】
図7を参照して、熱溶着部21の幅w2は例えば0.5〜3mmである。熱溶着部21は、蓄電デバイス内部の圧力がある閾値に達したときに一部が剥離するよう、その幅W2や熱溶着の強度が設定される。
【0028】
図8を参照して、蓄電デバイス内部でガスが発生し、蓄電デバイスの内圧が高くなると、多孔質フィルム3を通過したガスは熱溶着部21を剥離させる。そして、ガスは熱溶着部21の剥離部を通過し、孔4から蓄電デバイス外部に放出される。このとき、実施形態1と同様に、多孔質フィルム3および孔4は、蓄電デバイス内部のガスを放出しつつ、蓄電デバイス内部の非水電解液の漏出防止効果を簡単な構成で向上させることができる。
【0029】
また、実施形態2においても実施形態1で説明したように、ガス放出弁40を設けることで、熱溶着部21が剥離した後であっても、外気が孔4を通じて蓄電デバイス内部に侵入することを防止することができる。
【0030】
次に、蓄電デバイスに電気二重層キャパシタを用いて、この発明の実施例を説明する。
【0031】
1.電極体の準備
【0032】
比表面積が1800m/gの活性炭1.0g、ケッチェンブラック0.1g、ポリフッ化ビニリデン0.1gを乳鉢にて混合・混練し、これにN−メチル−2−ピロリドンを適量添加し、粘度調整を行ったスラリーを得た。このスラリーを0.05mm厚のアルミニウムからなる集電体の両面または片面に塗布し、その後120℃で2時間乾燥して0.08mm厚(片面塗布)、0.10mm厚(両面塗布)の電極シートを作製した。そして、得られた電極シートを矩形で規定の大きさに成形するとともに各電極シートの一端に突起状の露出部を設けた。
【0033】
次いで両面塗布した電極シートを二枚積層したものの両端に片面塗布した電極を更に一枚ずつ積層した。そして、電極間に厚さ0.05mm厚のセルロース製セパレータを介挿して電極体とした。正極および負極ごとに、集電体の突起状の露出部を集合し、各々にアルミニウムからなるリード端子を超音波溶接により取り付けた。こうして、電極体を準備した。
【0034】
2.蓄電デバイスの作製
〔実施例1〕
【0035】
矩形のアルミラミネートフィルムに外縁部を残して凹部をプレス成型した半体を二枚準備し、一方の半体の外縁部の一部に孔を設けた。そして、これら二枚の半体を重ね合わせ、孔と対向する位置の半体間に、多孔質フィルムとしてPTFE不織布(日本ゴア社製のオレオベントフィルターHtype)を介在させた。また、半体の凹部を突き合わせて形成されるアルミラミネートフィルムの内部空間に電極体を収容し、リード端子はアルミラミネートフィルム外部に引き出した。
【0036】
次いで非水電解液として1M−トリエチルメチルアンモニウムBF4/プロピレンカーボネートを電極体に真空含浸した。そして、重ね合わせたアルミラミネートフィルムの半体の外縁部を熱シールして熱溶着部を形成することにより、電極体を気密に封止した。このとき、多孔質フィルムの一端は、電極体に向かって熱溶着部から露出しており、非水電解液と接触可能な状態になっている。こうして、実施例1の蓄電デバイスを得た。
〔実施例2〕
【0037】
多孔質フィルムには、孔と対向する位置に孔よりも大きな開口部を設け、孔と開口部との隙間は熱溶着部により封止した他は、実施例1と同様にして実施例2の蓄電デバイスを得た。
〔実施例3〕
【0038】
弁体と弁孔と弾性部材によって構成されるガス放出弁を、孔を気密に覆うように、アルミラミネートフィルムに超音波溶接により取り付けた他は、実施例1と同様にして実施例3の蓄電デバイスを得た。
〔比較例1〕
【0039】
孔も多孔質フィルムも設けない他は、実施例1と同様にして比較例1の蓄電デバイスを得た。
〔比較例2〕
【0040】
多孔質フィルムであるPTFE不織布に代えてポリイミド不織布を用いた他は、実施例3と同様にして比較例2の蓄電デバイスを得た。
〔比較例3〕
【0041】
図9および図10を参照して、矩形のアルミラミネートフィルムに外縁部を残して凹部をプレス成型した半体を二枚準備し、一方の半体2cの凹部において電極体と当接することがない位置に孔14を設けた。そして、孔14を半体2cの凹部側2rから塞ぐようにしてPTFE不織布13(日本ゴア社製のオレオベントフィルターHtype)を孔14の周囲に超音波溶接により取り付けた。更に、孔14を半体2cの凸部側2fから気密に覆うように、実施例3と同じガス放出弁50をアルミラミネートフィルムに超音波溶接により取り付けた。その後、この半体2cをもう一枚の半体と重ね合わせ、半体の凹部を突き合わせて形成されるアルミラミネートフィルムの内部空間に電極体を収容し、リード端子はアルミラミネートフィルム外部に引き出した。そして、以降の工程は実施例1と同様にして比較例3の蓄電デバイスを得た。
【0042】
3.評価試験
【0043】
上記のようにして作製した実施例1〜3および比較例1〜3の蓄電デバイスを60℃に設定した恒温槽に入れ、各蓄電デバイスに2.7Vの電圧を印加した。
【0044】
実施例1〜3および比較例1〜3の蓄電デバイスに対する電圧印加100時間経過後と300時間経過後の静電容量の変化を表1に示す。静電容量の変化は電圧印加前の静電容量初期値を100として評価した。
【0045】
【表1】
【0046】
表1を参照して、実施例1の蓄電デバイスと比較例1の蓄電デバイスとを比べると、実施例1の蓄電デバイスでは、アルミラミネートフィルムの熱溶着部に孔を設け、その孔に対向するようにPTFE不織布の多孔質フィルムを設けることにより、静電容量の低下の少ない蓄電デバイスを得られることが分かる。
【0047】
なお、電圧印加300時間経過後において、比較例1の蓄電デバイスでは、内部で発生したガスによって蓄電デバイス内の圧力が上昇し、アルミラミネートフィルムの熱溶着部が剥離した。このため、外気が蓄電デバイス内に流入し、静電容量が大きく低下したと考えられる。
【0048】
また、実施例2の蓄電デバイスと比較例1の蓄電デバイスとを比べると、実施例2の蓄電デバイスでは、多孔質フィルムの開口部とアルミラミネートフィルムの孔との隙間を熱溶着部で封止することにより、実施例1よりも更に静電容量の低下の少ない蓄電デバイスを得られることが分かる。
【0049】
また、実施例3の蓄電デバイスと比較例2の蓄電デバイスとを比べると、実施例3の蓄電デバイスでは、アルミラミネートフィルムの熱溶着部に孔を設け、その孔に対向するようにPTFE不織布の多孔質フィルムを設け、更にアルミラミネートフィルムの孔をガス放出弁で気密に覆うことにより、実施例2よりも更に静電容量の低下の少ない蓄電デバイスを得られることが分かる。
【0050】
なお、電圧印加300時間経過後において、比較例2の蓄電デバイスでは、電解液がポリイミド不織布を通過して孔からガス放出弁に漏出し、ガス放出弁に電解質が結晶となって析出していた。これは、PTFE不織布でない多孔質フィルムは適さないことを示している。
【0051】
更に、実施例3の蓄電デバイスと比較例3の蓄電デバイスとを比べると、実施例3の蓄電デバイスでは、多孔質フィルムをアルミラミネートフィルム間に介在させることにより、静電容量の低下の少ない蓄電デバイスを得られることが分かる。
【0052】
なお、電圧印加300時間経過後において、比較例3の蓄電デバイスでは、ガス放出弁に電解質が結晶となって析出していたが、実施例3の蓄電デバイスではこのような現象は見られなかった。これは、多孔質フィルムにおける非水電解液の通過抑止長に着目すると、実施例3の蓄電デバイスでは多孔質フィルムの面方向に沿って通過抑止長を確保することができるので、多孔質フィルムに対する非水電解液の通過を抑制することができることを示している。
【0053】
以上説明したように、実施例1〜3による本発明の蓄電デバイスは、静電容量の低下が少なく、長期信頼性に優れている。なお、今回開示された実施例では、蓄電デバイスとして電気二重層キャパシタを用いたが、外装フィルム材を備えた蓄電デバイス全般に対して広く本発明を適用することができることは明らかである。
【符号の説明】
【0054】
1 電極体
2 外装フィルム材
2a,2b 外装フィルム材半体
3 多孔質フィルム
4 孔
5 リード端子
20,21 熱溶着部
30 開口部
40 ガス放出弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10