(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のチャネルから選択した1つ以上のチャネルを使用した無線通信を開始する前に、選択したチャネルにおいて特定電波が所定時間、検出されないことの確認が要求される規格を用いた無線通信を実行する複数の無線通信装置と、
前記複数の無線通信装置の少なくとも1つと通信するサーバと
を備える通信システムであって、
前記無線通信装置は、前記特定電波を検出すると、その検出結果をサーバに通知する通知部を備え、
前記サーバは、
前記通知を受けると、変更先のチャネルを、その通知に基づき選定する選定部と、
前記通知の送信元である無線通信装置の近くに位置する他の無線通信装置に対して、前記選定部によって選定されたチャネルを示すチャネル情報を送信する送信部とを備え、
前記無線通信装置は、前記チャネル情報を受信すると、通信に用いるチャネルを、受信したチャネル情報に基づき変更する変更部を備え、
前記送信部は、前記特定電波を発する物体が移動していると推定される場合、その移動に伴って所定時間内に前記特定電波を検出することが予測される無線通信装置に対して前記チャネル情報を送信する
通信システム。
前記送信部は、前記通知部から通知を受けると、前記複数の無線通信装置から受けた前記通知の履歴に基づき選定したチャネルを示すチャネル情報を、前記通知元の無線通信装置に送信する
請求項1に記載の通信システム。
前記変更部は、前記通知部による通知に対して送信された前記チャネル情報を受信すると、受信したチャネル情報に示されるチャネルへの変更を、前記確認をせずに実行する
請求項2に記載の通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記先行技術が有する課題は、「位置情報を考慮する」という抽象的な思想に留まり、位置情報を具体的に活用できていないことである。この他、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、先述した課題の少なくとも一部を解決するためのものであり、以下の形態として実現できる。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、複数のチャネルから選択した1つ以上のチャネルを使用した無線通信を開始する前に、選択したチャネルにおいて特定電波が所定時間、検出されないことの確認が要求される規格を用いた無線通信を実行する複数の無線通信装置と;前記複数の無線通信装置の少なくとも1つと通信するサーバとを備える通信システムが提供される。この通信システムにおいて、前記無線通信装置は、前記特定電波を検出すると、その検出結果をサーバに通知する通知部を備え;前記サーバは;前記通知を受けると、変更先のチャネルを、その通知に基づき選定する選定部と;前記通知の送信元である無線通信装置の近くに位置する他の無線通信装置に対して、前記選定部によって選定されたチャネルを示すチャネル情報を送信する送信部とを備え;前記無線通信装置は、前記チャネル情報を受信すると、通信に用いるチャネルを、受信したチャネル情報に基づき変更する変更部を備える。この形態によれば、変更先のチャネル決定において、無線通信装置の位置情報を具体的に活用できる。或る無線通信装置が特定電波を検出した場合、その無線通信装置(以下「検出装置」ともいう)の近くに位置する他の無線通信装置(以下「近傍装置」ともいう)は、検出装置が使用しているチャネルの少なくとも一部を使用している場合、間もなく特定電波を検出する可能性がある。そこで、この形態のように、近傍装置がサーバから受信したチャネル情報に基づきチャネルを変更することによって、近傍装置が特定電波を検出する可能性を低減することができる。
【0007】
(2)上記形態において、前記送信部は、前記通知部から通知を受けると、前記複数の無線通信装置から受けた前記通知の履歴に基づき選定したチャネルを示すチャネル情報を、前記通知元の無線通信装置に送信する。この形態によれば、検出装置は、通知の履歴に基づき選定されたチャネルを使用するので、特定電波を再び検出する可能性が高いチャネルを回避しやすくなる。
【0008】
(3)上記形態において、前記変更部は、前記通知部による通知に対して送信された前記チャネル情報を受信すると、受信したチャネル情報に示されるチャネルへの変更を、前記確認をせずに実行する。この形態によれば、チャネルの変更に伴って通信が途絶する時間が短くなる。上記「確認をせずに」とは、「選択したチャネルにおいて特定電波が上記所定時間より短い時間、検出されないことを確認する」ことを含む。
【0009】
(4)上記形態において、前記選定部は、前記変更先のチャネルを、前記通知以外から得た情報に基づき決定する。この形態によれば、より特定電波の検出されにくいチャネルが選定されやすくなる。
【0010】
(5)上記形態において、前記選定部は、前記無線通信装置が位置する場所に基づき、前記変更先のチャネルを選定する。この形態によれば、無線通信装置が位置する場所を加味してチャネルを選定できる。
【0011】
(6)上記形態に置いて、前記送信部は、前記特定電波を発する物体が移動していると推定される場合、その移動に伴って所定時間内に前記特定電波を検出することが予測される範囲に位置する無線通信装置に対して前記チャネル情報を送信する。この形態によれば、移動レーダの影響範囲内に位置する他の無線通信装置に対して、レーダ波の検出前に、チャネルの変更を促すことができる。
【0012】
先述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものという訳ではなく、先述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、先述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、先述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を先述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0013】
例えば、本発明の一形態は、装置と、サーバとの2つの要素の内の一部または全部の要素を備えたシステムとして実現可能である。このシステムは、装置を有していてもよく、有していなくてもよい。このシステムは、サーバを有していてもよく、有していなくてもよい。装置は、例えば、前記特定電波を検出すると、その検出結果をサーバに通知する通知部を備えた無線通信装置として構成されてもよい。サーバは、例えば、前記通知を受けると、変更先のチャネルを、その通知に基づき選定する選定部と、前記通知の送信元である無線通信装置の近くに位置する他の無線通信装置に対して、前記選定部によって選定されたチャネルを示すチャネル情報を送信する送信部とを備えてもよい。装置は、前記チャネル情報を受信すると、通信に用いるチャネルを、受信したチャネル情報に基づき変更する変更部を備える無線通信装置として構成されてもよい。こうしたシステムは、例えば通信システムとして実現できるが、通信システム以外の他のシステムとしても実現可能である。このような形態によれば、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等の種々の課題の少なくとも1つを解決できる。先述した通信システムの各形態の技術的特徴の一部又は全部は、いずれもこの装置に適用できる。
【0014】
本発明は、上記以外の種々の形態でも実現できる。例えば、通信方法、この方法を実現するためのプログラム、このプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体、無線通信装置単体、サーバ単体等の形態で実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、通信システム10の概略構成を例示する。通信システム10は、サーバ100と、複数の無線通信装置を備える。
図1には、複数の無線通信装置として、無線通信装置200a,200b,200cが例示される。但し、実際には、多数の無線通信装置が通信システム10に含まれる。無線通信装置200a,200b,200cはそれぞれ、任意の数のクライアント装置(図示しない)と共に無線LANを形成する。以下、無線通信装置200aと無線通信装置200bと無線通信装置200cとを区別しない場合は「無線通信装置200」と呼ぶ。WDS(Wireless Distribution System:アクセスポイント間通信)を実行する無線通信装置を通信システム10に加えてもよい。サーバ100及び無線通信装置200は、インターネットINTを介して互いに通信できる。
【0017】
無線通信装置200aは、IEEE802.11に準拠した無線LANアクセスポイントであり、有線ケーブルを介してインターネットINTに接続される。無線通信装置200bは、OSI参照モデルにおける第3層のルータとしても機能する。無線通信装置200b,200cは、IEEE802.11に準拠したポータブルルータであり、移動体通信網の基地局を介してインターネットINTに接続される。
【0018】
無線通信装置200と無線通信するクライアント装置は、IEEE802.11に準拠した無線通信インターフェイスを備えるパーソナルコンピュータやスマートフォンである。
【0019】
図2は、サーバ100の内部構成を示すブロック図である。サーバ100は、有線通信部120と、CPU130と、RAM140と、フラッシュROM150とを備える。これらは、バスを介して相互に接続されている。
【0020】
有線通信部120は、インターネットINTを介して、受信した信号の波形を整える処理や、受信した信号からMACフレームを取り出す処理等を実行する。CPU130は、チャネルマッピング処理(後述)をRAM140に展開して実行することによって、選定部131及び送信部132として機能する。チャネルマッピング処理を実現するためのプログラムは、フラッシュROM150に格納されている。
【0021】
図3は、無線通信装置200の内部構成を示すブロック図である。無線通信装置200は、無線通信部210と、有線通信部220と、CPU230と、RAM240と、フラッシュROM250と、GPS受信機260とを備える。これらは、バスを介して相互に接続されている。
【0022】
無線通信部210は、通信部211(2.4GHz用)と、通信部212(5GHz用)と、2本のアンテナ270とを備える。無線通信部210は、アンテナ270を介して受信した電波の復調およびデータの生成、並びに、アンテナ270を介して送信する電波の生成および変調を行う。無線通信部210は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)が適用されている。
【0023】
通信部211は、無線LANの規格に準拠した2.4GHz帯に属するチャネルを使用した通信を実行する。通信部212は、無線LANの規格に準拠した5GHz帯に属するチャネルを使用した無線通信を実行する。通信部212は、レーダ波を検出する機能を有する。出願時における日本の法規に従うと、レーダ波の検出対象となる周波数帯は、「5.25〜5.35GHz(以下「W53」と称する)の全チャネル(52〜64ch)」、「5.470〜5.570GHz(以下「W56」と称する)の全チャネル100〜112ch」の周波数帯である。但し、このレーダ波の検出対象となる周波数帯は、上記に限定されず、例えば、米国や中国など外国の法規に従って定めてもよい。
【0024】
有線通信部220は、受信した信号の波形を整える処理や、受信した信号からMACフレームを取り出す処理等を実行する。有線通信部220は、WAN側インターフェイス221と、LAN側インターフェイス222とを備える。WAN側インターフェイス221は、インターネットINT側の回線に接続される。LAN側インターフェイス222は、有線接続の対象となるクライアント装置に接続される。
【0025】
CPU230は、チャネル制御処理(後述)をRAM240に展開して実行することによって、通知部231及び変更部232として機能する。チャネル制御処理を実現するためのプログラムは、フラッシュROM250に格納されている。
【0026】
GPS受信機260は、GPSアンテナ、RFモジュール等を備え、現在位置を示す緯度、経度の情報をCPU230に提供する。
【0027】
無線通信装置200b,200cは、有線通信部220を備えない点以外は、無線通信装置200aと同様な内部構成を有する。
【0028】
図4は、チャネル制御処理を示すフローチャートである。チャネル制御処理は、無線通信装置200のCPU230によって常時、実行される。CPU230は、チャネル制御処理の実行として、変更トリガ検出処理(ステップS300)、サーバ100から推奨チャネル情報(後述)を取得するまでの待機(ステップS500)、及びチャネル変更処理(ステップS600)を繰り返し実行する。
【0029】
図5は、変更トリガ検出処理を示すフローチャートである。初めにCPU230は、無線通信装置200の起動直後であるかを判定する(ステップS310)。つまり、チャネル制御処理を開始した直後であるかを判定する。起動直後である場合(ステップS310、YES)、サーバ100とのTCPコネクションを確立し、起動通知をサーバ100に送信して(ステップS320)、変更トリガ検出処理を終える。
【0030】
図6は、無線通信装置200からサーバ100に送信され、サーバ100に記憶された情報を示すテーブルである。この情報は、無線通信装置200からサーバ100に何れかの通知が送信される度に、サーバ100に備えられたフラッシュROM150に追加で記憶される。無線通信装置200からサーバ100に送信される通知の種別は、
図6に示されるように、ステップS320における起動通知と、ステップS360における定期通知(後述)と、ステップS370における緊急通知(後述)と、ステップS670(
図8と共に後述)におけるCAC(Channel Availability Check)完了通知(後述)とがある。
図6は、説明のために一部の通知のみを示しており、サーバ100は、実際には多数の通知を複数の無線通信装置200から受信すると共に、受信した情報を記憶する。
【0031】
起動通知に含まれる情報は、
図6の(A)欄に示されるように、通知種別、日時、位置、MACアドレス、型番および場所である。日時の情報は、通知が送信された日時を示す。位置の情報は、無線通信装置200の現在位置の緯度、経度を示す。MACアドレス及び型番の情報は、送信元の無線通信装置200自身についての情報を示す。場所の情報は、送信元の無線通信装置200の位置する場所が、屋内なのか屋外なのかを示す。無線通信装置200のCPU230は、自身の場所を、GPS受信機260から入力される情報に基づき判定する。例えばGPS受信機260が屋内GPSの電波を受信している場合、CPU230は、屋内と判定する。例えばGPS受信機260がGPS衛星からの電波を受信している場合、CPU230は、電波強度が強ければ屋外、弱ければ屋内と判定する。
【0032】
図6に示されるように、起動通知を含めて全ての通知には、気象状況の情報が対応づけられる。気象状況は、無線通信装置200の現在位置における現在の気象状況を示す。サーバ100は、気象状況の情報をインターネットINTによって取得する。気象状況の情報は、天気(晴れ、曇り、雨など)と湿度との情報を含む。起動通知に含まれる情報および気象状況の情報は、チャネルの選定に利用される(詳細は後述)。
【0033】
一方、起動直後ではない場合(ステップS310、NO)、CPU230は、使用中のチャネルにおいてレーダ波を検出したかを判定する(ステップS330)。レーダ波を検出していない場合(ステップS330、NO)、CPU230は、サーバ100から推奨チャネル情報を受信したかを判定する(ステップS340)。推奨チャネル情報を受信していない場合(ステップS340、NO)、CPU230は、前回のステップS350から所定時間(例えば1分)が経過したかを判定する(ステップS350)。前回のステップS350から1分、経過していない場合(ステップS350、NO)、CPU230は、ステップS330に戻る。所定時間が経過した場合(ステップS350、YES)、CPU230は、サーバ100に定期通知を送信し(ステップS360)、ステップS330に戻る。
【0034】
図6の(B)欄は、定期通知によって送信される情報を示す。定期通知は、起動通知によって送信される情報に加え、チャネルと、周辺の無線通信装置(以下「周辺装置」という)との情報を含む。チャネルの情報は、定期通知を送信してきた無線通信装置200(以下「定期通知装置」という)が無線通信に使用しているチャネル番号を示す。周辺装置の情報は、周辺装置のMACアドレスと、RSSIと、周辺装置が使用しているチャネルとの情報を含む。無線通信装置200は、これらの情報を、キャリアセンスやアドホック通信によって取得する。無線通信装置200は、周辺装置の情報を取得できない場合、周辺装置の情報を送信しない。
【0035】
一方、使用中のチャネルにおいてレーダ波を検出した場合(ステップS330、YES)、CPU230の通知部231は、サーバ100に緊急通知を送信し(ステップS370)、変更トリガ検出処理を終える。
【0036】
図6の(C)欄は、緊急通知によって送信される情報を示す。緊急通知によって送信される情報は、起動通知によって送信される情報に加え、チャネルの情報を含む。つまり、周辺装置の情報を送信しない点以外は、定期通知と同じである。周辺装置の情報を送信しないのは、できるだけ早く送信を完了させるためである。
【0037】
CPU230は、レーダ波を検出せず(ステップS330、NO)、定期通知の送信(ステップS350)を繰り返している間に、サーバ100から推奨チャネル情報を受信した場合(ステップS340、YES)、変更トリガ検出処理を終える。
【0038】
図7は、チャネルマッピング処理を示すフローチャートである。この処理は、サーバ100が、無線通信装置200から何れかの通知を受けたことを契機に、サーバ100のCPU130によって開始される。
【0039】
受信した通知が定期通知の場合(ステップS410、定期通知)、CPU130は、定期通知装置に対して、チャネルの変更を推奨するかを判定する(ステップS420)。この判定は、定期通知装置と、他の複数の無線通信装置200とから過去に送信された通知から学習した結果に基づき実行される。つまり、過去に蓄積した日時、位置、型番、チャネル、場所および気象状況の少なくとも何れか1つが、レーダ波の検出確率に対して有意な相関を有することが判明し、且つ、定期通知装置によるレーダ波の検出確率が有意に高いことが、上記相関と定期通知の内容とから推定できる場合、チャネルの変更を推奨する。この推定は、例えば、多変量解析や要因分析を用いた統計的手法によって実現する。型番を加味するのは、レーダ波の検出精度が、機種によって異なる可能性があるからである。気象状況を加味するのは、降雨減衰の影響を考慮するためである。降雨減衰は、5GHz帯の電波にも影響する場合がある。但し、雲への反射を考慮すると、レーダ波がより遠くまで届く場合もあり、雨の場合に減衰するとは限らない。
【0040】
チャネルの変更を推奨する場合(ステップS420、YES)、CPU130の選定部131は、推奨チャネルを選定する(ステップS440)。推奨チャネルとして選定されるチャネルは、CACの実施が不要と見なせる5GHz帯のチャネルである。CACの実施が不要と見なせるチャネルは、W52に属するチャネルと、定期通知装置の近くに位置する無線通信装置200(以下「近傍装置」という)によって直近1分、継続して使用されているW53又はW56に属するチャネルである。但し、定期通知装置の場所が屋外の場合、W52及びW53は除外される。上記「近くに位置する」とは、レーダ波検出に関して、同等程度の条件にあると推定できることを意味する。つまり近傍装置とは、着目している無線通信装置200(上記では定期通知装置)に対して、緯度、経度が近い装置であってもよいし、レーダ波検出精度など他のパラメータについても近い値を持つ無線通信装置であってもよい。よって、周辺装置と近傍装置とが一致するとは限らない。
【0041】
この条件を満たすチャネルが複数ある場合、CPU130は、これらのチャネルの中から、ステップS420についての説明と同様な手法によって、統計的にレーダ波の検出確率が低いチャネルを選定する。レーダ波の検出確率が低いチャネルが複数ある場合、混雑度の低いチャネルが選定される。CPU130は、チャネルの混雑度を、周辺装置によるチャネルの使用状況に基づき判定する。推奨チャネルは、1つに限られず、複数でもよい。複数の場合、チャネルボンディングの対象となる組み合わせでもよいし、チャネルボンディングの対象とならない組み合わせでもよい。CPU130は、このような条件を考慮した結果、現状、5GHz帯には使用に適したチャネルが無い場合、2.4GHz帯のチャネルを選定する。
【0042】
続いてCPU130の送信部132は、推奨チャネルを示す推奨チャネル情報を、定期通知装置に送信する(ステップS450)。次にCPU130は、受信した定期通知をサーバ100が有するテーブルに追加して(ステップS460)、チャネルマッピング処理を終える。チャネルの変更を推奨しない場合(ステップS420、NO)、CPU130は、ステップS460を実行する。
【0043】
一方、受信した通知が緊急通知の場合(ステップS410、緊急通知)、緊急通知装置が使用しているチャネルの少なくとも一部を使用しており、且つ、緊急通知を送信してきた無線通信装置200(以下「検出装置」という)の近傍装置をテーブルから抽出する(ステップS430)。
【0044】
続いてCPU130の選定部131は、先述した推奨チャネルの選定(ステップS440)を実行し、送信部132は推奨チャネル情報の送信を実行し(ステップS450)、CPU130はテーブルへの追加(ステップS460)を実行する。但し、CPU130は、緊急通知を受信した場合、推奨チャネルの選定(ステップS440)及び推奨チャネル情報の送信(ステップS450)を、検出装置と、ステップS430において抽出された1つ又は複数の近傍装置とのそれぞれに対して実行する。
【0045】
一方、受信した通知がCAC完了通知(
図8と共に後述)の場合(ステップS410、CAC完了通知)、CPU130は、ステップS460を実行して、チャネルマッピング処理を終える。
【0046】
図8は、チャネル変更処理を示すフローチャートである。この処理は、先述したステップS500の後、つまり無線通信装置200が推奨チャネル情報を受信したことを契機に、CPU230によって実行される。但し、CPU230は、ステップS340でYESと判定することによって変更トリガ検出処理を終えた場合、ステップS500をスキップする。
【0047】
自身が緊急通知を送信した場合(ステップS610、YES)、つまり、受信した推奨チャネル情報が緊急通知に対するものであった場合、CPU230の変更部232は、受信した推奨チャネル情報に従って、チャネルを変更し(ステップS620)、チャネル変更処理を終える。CPU230は、ステップS620を実行した場合、CACを実行せずに、変更後のチャネルを用いて無線通信を開始する。推奨チャネル情報に複数のチャネルが含まれる場合、CPU230は、チャネルボンディングによってできるだけ帯域幅が広くなるようにチャネルを選定する。帯域幅が最も広くなる選定の仕方が複数ある場合、CPU230は、例えばRSSIが最も小さいチャネルを選定する。
【0048】
一方、緊急通知を送信していない場合(ステップS610、NO)、つまり受信した推奨チャネル情報が、起動通知もしくは定期通知に対して送信されたもの、又は近傍装置によって送信された緊急通知に対するものである場合、CPU230は、チャネルを変更するかを判定する(ステップS630)。この判定は、例えば、過去に推奨チャネル情報に従ってチャネルを変更した結果、チャネルの変更時点から所定時間未満でレーダ波を検出したか否かの学習等に基づき実行される。
【0049】
チャネルを変更する場合(ステップS630、YES)、CPU230は、通信が休止するのを待って、変更先のチャネルにおいて1分間、CACを実行する(ステップS640)。通信の休止とは、例えば、アプリケーションのダウンロード等、連続して実行する通信をしていない状態のことである。通信の休止を待つのは、レーダ波を検出していない無線通信装置200にとって、使用しているチャネルから10秒以内に退避する必要はないので、ダウンロード等を中断してでもチャネルを変更する必要性に乏しいからである。
【0050】
CACがOKでなかった場合(ステップS650、NO)、つまり変更先のチャネルにおいてレーダ波が検出された場合、CPU230は、チャネルをランダムに選定し(ステップS660)、再びステップS650を実行する。
【0051】
CACがOKだった場合(ステップS650、YES)、変更先のチャネルを用いた無線通信によってCAC完了通知を送信し(ステップS670)、チャネル変更処理を終える。CAC完了通知は、
図6の(D)欄に示されるように、CACの情報を送信するためのものである。CACの情報は、変更前のチャネルと、変更後のチャネルとを含むと共に、CACがOKだったことを示す。
【0052】
一方、チャネルを変更しない場合(ステップS630、NO)、CPU230は、チャネル変更処理を終える。
【0053】
以上に説明した実施形態によれば、少なくとも以下の効果を得ることができる。(a)無線通信装置200は、レーダ波を検出した場合、CAC無しでチャネルを変更できるので、通信の途絶時間が短くなる。(b)無線通信装置200は、近傍装置によるレーダ波検出の通知を受けるので、近傍装置と同じチャネルを使用している場合に、レーダ波を検出する前にチャネルを変更できる確率が高くなる。(c)無線通信装置200は、サーバ100による学習(統計処理)によって決定された推奨チャネル情報を取得できる。この学習は、複数の無線通信装置200から取得した情報に加え、無線通信装置200以外から得られる情報、具体的には気象状況を加味するので、より実態に即したものといえる。
【0054】
本発明は、本明細書の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、先述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことができる。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。例えば、以下のものが例示される。
【0055】
検出装置は、推奨チャネル情報に示されるチャネルについてCACを実行してもよい。このCACは、所定時間(例えば1分間)よりも短い時間で終えてもよい。
推奨チャネル情報を受信した近傍装置は、CACを実行しなくてもよい。
サーバは、CACを実行した方がよいか否かをテーブルに基づき判定し、判定結果を、緊急通知に対して送信する推奨チャネル情報に付加してもよい。
無線通信装置は、ユーザから指示されたことを契機に、推奨チャネル情報をサーバに要求してもよい。
チャネル変更処理において、緊急通知に対する推奨チャネル情報を受信した場合に、推奨チャネル情報に従わずに、チャネルを変更してもよい。
上述の近傍装置は、着目している無線通信装置(定期通知装置など)に対して、地理的条件が近い装置としたが、この条件に加えて又は代えて、サーバがレーダ波の影響範囲を予測し、当影響範囲内にある無線通信装置を近傍装置と定義してもよい。
【0056】
サーバは、レーダの発射装置に関する情報を加味して、チャネルを選定してもよい。レーダの発射装置とは、例えば、気象レーダなどの固定レーダや旅客機や船舶などの移動レーダである。これらの装置から発射されるレーダ波の周波数、発射日時、発射地域、発射される方角等が、公開されている場合がある。サーバは、公開された情報を、例えばインターネットによって取得し、上記発射装置からのレーダ波を回避するようにチャネルを選定してもよい。
【0057】
サーバは、学習の結果、輸送用機器からレーダ波が発射されることを予測した場合、影響範囲内に位置する無線通信装置に対して、推奨チャネル情報を送信してもよい。推奨チャネル情報によって示されるチャネルは、上記予測に関するレーダ波を回避できるチャネルであってもよい。上記予測の方法として、輸送用機器の近くに位置する無線通信装置の緊急通知を利用してもよい。
【0058】
サーバは、輸送用機器(例えば、公共交通機関や自家用車など)や、移動体通信用の通信装置(例えばスマートフォン等)に搭載されたレーダ波検出器から、レーダ波の検出情報を収集してもよい。レーダ波検出器は、無線通信装置であってもよいし、レーダ波検出の専用機であってもよい。輸送用機器や移動体通信用の通信装置は移動するので、この手法によれば、広範囲についてデータが収集できる。
【0059】
無線通信装置が据え置き型(ブロードバンドルータ等)の場合、無線通信装置は、自身の現在位置をユーザからの設定入力によって取得してもよいし、Wi−Fi(登録商標)を利用して取得してもよい。
無線通信装置は、実施形態のように直接、サーバと通信してもよいし、他の無線通信装置を介してサーバと通信してもよい。
検出対象とする電波は、レーダ波以外でもよい。例えば、医療機器が発する電波でもよい。
サーバは、無線によってインターネットに接続してもよい。