特許第6179181号(P6179181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179181
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】照明制御システム及び配置登録方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   H05B37/02 H
   H05B37/02 B
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-102558(P2013-102558)
(22)【出願日】2013年5月14日
(65)【公開番号】特開2014-222652(P2014-222652A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】西垣 英則
(72)【発明者】
【氏名】山本 久
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−243749(JP,A)
【文献】 特表2012−514830(JP,A)
【文献】 特開平10−162967(JP,A)
【文献】 特表2010−533950(JP,A)
【文献】 米国特許第08207821(US,B2)
【文献】 国際公開第2013/016439(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有のID情報を有する複数の照明器具を統括制御し、前記複数の照明器具を所定の順番で点灯制御可能な統括制御部と、前記複数の照明器具のうちの複数の照明器具を撮影範囲として撮影が可能であって移動自在により撮影位置が可変な携帯端末とによって構成される照明制御システムにおいて;
前記複数の照明器具の配置位置を示す配置図の情報と前記携帯端末による撮影位置の情報及び撮影方向の情報とを用い、前記携帯端末によって得られた撮影画像の画像解析処理によって、前記撮影画像中の前記照明器具の画像部分と前記配置図上の前記配置位置との対応関係を求める第1の処理、順次点灯される照明器具と前記配置図上の照明器具との対応を求める第2の処理、および前記配置図上に配置された照明器具に対応する各アドレスに前記複数の照明器具の各ID情報を対応付ける第3の処理を行う制御部;
を具備した照明制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記統括制御部又は前記携帯端末の何れか一方に設けられる
請求項に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1乃至第3の処理のうちの少なくとも1つの処理を行う第1の処理部と、前記第1の処理部が行う処理以外の処理を行う第2の処理部とを具備し、
前記第1の処理部は、前記統括制御部に設けられ、
前記第2の処理部は、前記携帯端末に設けられる
請求項に記載の照明制御システム。
【請求項4】
固有のID情報を有する複数の照明器具を統括制御し、前記複数の照明器具を所定の順番で点灯制御可能な統括制御部と、前記複数の照明器具のうちの複数の照明器具を撮影範囲として撮影が可能であって移動自在により撮影位置が可変な携帯端末とによって構成される照明制御システムにおける配置登録方法であって、
前記複数の照明器具の配置位置を示す配置図の情報と前記携帯端末による撮影位置の情報及び撮影方向の情報とを用いて、前記携帯端末によって得られた撮影画像の画像解析処理によって、前記撮影画像中の前記照明器具の画像部分と前記配置図上の前記配置位置との対応関係を求める第1の処理を行い;
順次点灯される照明器具と前記配置図上の照明器具との対応を求める第2の処理を行い;
前記配置図上に配置された照明器具に対応する各アドレスに前記複数の照明器具の各ID情報を対応付ける第3の処理を行う;
配置登録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明制御システム及び配置登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、オフィスビルや各種施設などでは、各フロアや各エリアなどの照明エリア毎に設置される照明器具などの照明負荷を遠隔制御する照明制御システムが採用されている。この種の照明制御システムにおいては、例えば、人やものなどが感知エリアの中で動いたときにその動きを検知することで、人が存在するエリアのみ照明をオンにし、不在のエリアの照明をオフにする等の照明制御が可能であり、消費電力の削減に有効である。
【0003】
このような複数の照明器具を制御する照明制御システムにおいては、各照明器具に付与されたIDを利用して、特定のIDの照明器具のみを点灯させる等の制御が可能である。この場合、所望の位置の照明器具の点灯を制御可能にするためには、各照明器具と各照明器具の配置位置との対応関係を把握しておく必要がある。
【0004】
例えば、照明制御システムの制御卓において各照明器具を順次点灯させると共に、照明器具の実際の点灯状態を確認することで、照明器具とその配置位置との対応関係を登録する方法が考えられる。しかし、照明器具の点灯状態を確認して対応関係を登録する作業は極めて煩雑である。そこで、照明器具の実際の点灯状態を確認するために、天井面に撮像装置を設置して登録を簡単にするシステムも開発されている。
【0005】
しかしながら、このようなシステムでは、撮像装置を固定設置する必要があり、システムが大規模になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−289373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、設置位置の登録を簡単化することができる照明制御システム及び配置登録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る照明制御システムは、固有のID情報を有する複数の照明器具を統括制御し、前記複数の照明器具を所定の順番で点灯制御可能な統括制御部と、前記複数の照明器具のうちの複数の照明器具を撮影範囲として撮影が可能であって移動自在により撮影位置が可変な携帯端末とによって構成される照明制御システムにおいて;前記複数の照明器具の配置位置を示す配置図の情報と前記携帯端末による撮影位置の情報及び撮影方向の情報とを用い、前記携帯端末によって得られた撮影画像の画像解析処理によって、前記撮影画像中の前記照明器具の画像部分と前記配置図上の前記配置位置との対応関係を求める第1の処理、順次点灯される照明器具と前記配置図上の照明器具との対応を求める第2の処理、および前記配置図上に配置された照明器具に対応する各アドレスに前記複数の照明器具の各ID情報を対応付ける第3の処理を行う制御部;を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、設置位置の登録を簡単化することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る照明制御システムを示す説明図。
図2】各照明器具Lの配置を示す配置図の一例を示す説明図。
図3】統括制御部2の具体的な構成を示すブロック図。
図4】携帯端末5の具体的な構成を示すブロック図。
図5】照明器具Lの具体的な構成を示すブロック図。
図6】携帯端末5による撮影を説明するための説明図。
図7】携帯端末5による撮影を説明するための説明図。
図8】第1の実施の形態における配置登録を説明するためのフローチャート。
図9】本発明の第2の実施の形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施形態に係る照明制御システムは、固有のID情報を有する複数の照明器具を統括制御し、前記複数の照明器具を所定の順番で点灯制御可能な統括制御部と、前記複数の照明器具のうちの複数の照明器具を撮影範囲として撮影が可能な携帯端末とによって構成される照明制御システムにおいて;前記複数の照明器具の配置位置を示す配置図の情報を用い、前記携帯端末によって得られた撮影画像の画像解析処理によって、前記撮影画像中の前記照明器具の画像部分と前記配置図上の前記配置位置との対応関係を求める第1の処理、順次点灯される照明器具と前記配置図上の照明器具との対応を求める第2の処理、および前記配置図上に配置された照明器具に対応する各アドレスに前記複数の照明器具の各ID情報を対応付ける第3の処理を行う制御部;を具備する。
【0012】
また、照明制御システムは、前記制御部が、前記携帯端末による撮影位置の情報及び撮影方向の情報を用いて、前記第1の処理を行う。
【0013】
また、照明制御システムは、前記制御部が、前記統括制御部又は前記携帯端末の何れか一方に設けられる。
【0014】
また、照明制御システムは、前記制御部が、前記第1乃至第3の処理のうちの少なくとも1つの処理を行う第1の処理部と、前記第1の処理部が行う処理以外の処理を行う第2の処理部とを具備し、前記第1の処理部は、前記統括制御部に設けられ、前記第2の処理部は、前記携帯端末に設けられる。
【0015】
また、実施形態に係る配置登録方法は、固有のID情報を有する複数の照明器具を統括制御し、前記複数の照明器具を所定の順番で点灯制御可能な統括制御部と、前記複数の照明器具のうちの複数の照明器具を撮影範囲として撮影が可能な携帯端末とによって構成される照明制御システムにおける配置登録方法であって、前記複数の照明器具の配置位置を示す配置図の情報を用いて、前記携帯端末によって得られた撮影画像の画像解析処理によって、前記撮影画像中の前記照明器具の画像部分と前記配置図上の前記配置位置との対応関係を求める第1の処理を行い;順次点灯される照明器具と前記配置図上の照明器具との対応を求める第2の処理を行い;前記配置図上に配置された照明器具に対応する各アドレスに前記複数の照明器具の各ID情報を対応付ける第3の処理を行う。
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る照明制御システムを示す説明図である。図1の照明制御システム1は、複数の照明器具L1,L2,…(以下、代表して照明器具Lという)、これらの照明器具Lを一括して制御する統括制御部2及び照明器具Lを撮影する撮影機器である携帯端末5によって構成される。
【0018】
照明器具Lは、例えば、オフィスビルや各種施設などの各フロアや各エリアなどの照明エリア毎に設置される。照明器具Lは、伝送ライン3を介して照明器具Lを遠隔制御する統括制御部2に接続される。伝送ライン3には、壁スイッチ4や図示しない人感センサ等も接続され、統括制御部2は、これらの照明器具L、壁スイッチ4、人感センサ等を統括制御することができるようになっている。
【0019】
本実施の形態においては、照明器具Lは、夫々固有のIDを有しており、統括制御部2は、各照明器具LのIDを取得して記憶しているものとする。例えば、統括制御部2は、各照明器具Lとの通信によって、各照明器具LからIDを取得することが可能である。これにより、統括制御部2は、各照明器具LのIDを指定して、所望の照明器具Lを点消灯及び調光制御することが可能である。
【0020】
図2は各照明器具Lの配置を示す配置図の一例を示す説明図である。
【0021】
配置図31は、ビル32内の部屋R1,R2,…(以下、代表して部屋Rという)を含む各部屋等の間取りと照明器具L1〜L15の配置を示している。配置図31中の正方形の枠は照明器具Lの配置位置を示しており、図示していないが各配置位置には各配置位置に設置される照明器具を特定するアドレスが付与されている。例えば照明器具L1〜L6にはアドレス1−1〜1−6が、照明器具L7〜L12にはアドレス2−1〜2−6が、照明器具L13にはアドレス3−1が、照明器具L14にはアドレス4−1が、照明器具L15にはアドレス5−1が付与される。ここで、アドレスとは照明器具に予め設定された固有のIDとは異なり、管理者が管理上便宜的に配置図上の各配置位置に配置される各照明器具に付与し使用するものである。配置図31中には、方位を示す表示33も表示されている。また、配置図31中に示されていないが、照明器具L1〜L15は天井に配置されているものとし、床から天井までの距離の情報も配置図31の情報に含まれているものとする。即ち、配置図の情報には、各部屋における照明器具Lの配置位置及びそのアドレス、方位、並びに各部屋の床から天井までの距離の情報が含まれているものする。なお、配置図の画像情報と、位置、アドレス、方位、距離の情報(以下、配置図関連情報という)とを別の情報とし、これらの情報を夫々取得するようにしてもよいことは明らかである。
【0022】
統括制御部2は、照明器具Lと通信を行うことによって、各照明器具LのIDを取得することはできるが、各照明器具Lとの通信だけでは各照明器具Lがいずれの位置に配置されているかを認識することはできない。上述したように、配置図上における各照明器具Lの配置登録(ID登録)は、従来、手入力か大がかりなシステムの導入が必要であった。
【0023】
これに対し、本実施の形態においては、携帯端末5の撮影結果に対する画像解析によって、配置図上における各照明器具の位置と実際の照明器具の位置との対応関係を求めることにより、照明器具Lの位置を統括制御部2において認識可能にする。
【0024】
なお、本実施の形態においては、照明器具の配置登録を簡単化するために、撮影画像の解析によって配置図上の照明器具との対応関係を求めるようになっているが、携帯端末5において撮影画像を取得する点を除く他の処理は、照明制御システム1上のいずれの構成要素において実施してもよい。例えば、画像解析は統括制御部2及び携帯端末5のいずれにおいて実行してもよく、配置図31を統括制御部2及び携帯端末5のいずれにおいて保持していてもよい。なお、本実施の形態においては、統括制御部2において配置図31の画像情報及び配置図関連情報を保持しているものとして説明する。なお、以下説明を簡略化するために、配置図の情報は配置図関連情報を含むものとする。
【0025】
図3は統括制御部2の具体的な構成を示すブロック図である。統括制御部2は、照明器具Lに関する情報を記憶する記憶部21、CPU等によって構成された制御部22、通信部23及びユーザ操作を受け付ける操作部24を有している。本実施の形態においては、記憶部21には配置図の情報も記憶されている。制御部22は、操作部24の操作に従って、記憶部21に記憶された情報に基づいて、照明器具Lを制御するための制御信号を発生する。通信部23は、この制御信号を伝送ライン3を介して各照明器具Lに与えて、点消灯及び調光制御を可能にする。
【0026】
また、通信部23は、携帯端末5との間で通信を行うことも可能である。制御部22は、後述するように、携帯端末5からの情報に基づいて、記憶部21に記憶されている配置図上の各照明器具の配置位置に、対応する照明器具のIDを割当てる配置登録を行う。
【0027】
図4は携帯端末5の具体的な構成を示すブロック図である。携帯端末5は撮像部51を有している。撮像部51は制御部52に制御されて撮影を行い、撮影画像を制御部52に出力する。制御部52は、CPU等によって構成されており、撮影画像に対して所定の映像信号処理を施した後、撮影画像を表示部59に与えて表示させると共に、記憶部53に与えて記憶させることができる。携帯端末5には操作部54が設けられており、操作部54はユーザ操作に応じた操作信号を制御部52に出力する。こうして、制御部52は、ユーザ操作に応じて各部を制御する。
【0028】
表示部59は、LCD等によって構成されており、撮影画像を表示すると共に、制御部52に制御されてメニュー表示や各種アプリケーションの表示を行うことができる。また、表示部59には図示しないタッチパネル等を配設することもでき、この場合には、ユーザが表示部59に表示された画像に対するタッチ操作に応じた操作信号をタッチパネルから制御部52に出力することができる。例えば、表示部59に配置図を表示した場合には、配置図上の所定の位置をユーザがタッチ操作することにより、当該位置の情報を、制御部52において取得することが可能である。
【0029】
また、携帯端末5は、GPS(Global Positioning System)受信部55及びセンサ部57を有している。GPS受信部55は、GPS衛星からの情報に基づく測位を行う。センサ部57は、地磁気センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ等を備えており、各センサ出力を得る。GPS受信部55及びセンサ部57の出力に基づいて、制御部52は撮像部51による撮影方向、即ち、方位及び仰角を検出することができるようになっている。
【0030】
また、携帯端末5は、通信部58を有している。制御部52は、各種情報を通信部58を介して統括制御部2に送信することができるようになっている。
【0031】
このような携帯端末5の各機能は、例えばスマートフォン等によって実現可能であり、携帯端末5としてスマートフォン等を採用することにより、システムを簡単な構成とすることが可能である。
【0032】
本実施の形態においては、記憶部53には、配置登録を行うために必要な情報(後述する器具画像対応情報を含む)を取得するためのアプリケーションが記憶されており、制御部52はこのアプリケーションを起動することで、配置登録を行うために必要な情報を取得するようになっている。制御部52は通信部58を介して取得した情報を統括制御部2に送信する。
【0033】
図5は照明器具Lの具体的な構成を示すブロック図である。照明器具Lは、光源61、駆動部62、通信部63及び記憶部64を備えている。通信部63は伝送ライン3に接続されており、統括制御部2からの制御信号を受信し、駆動部62に与える。駆動部62は制御信号に基づいて光源61を駆動する。これにより、光源61は、統括制御部2の制御信号によって点消灯及び調光制御されるようになっている。
【0034】
記憶部64には、各照明器具Lに固有のID情報が記憶されている。通信部63は、統括制御部2からの命令に従って、記憶部64からID情報を読み出し、伝送ライン3を介して統括制御部2に送信するようになっている。
【0035】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図6乃至図8を参照して説明する。図6及び図7は携帯端末5による撮影を説明するための説明図であり、図8は配置登録を説明するためのフローチャートである。
【0036】
本実施の形態においては、オペレータは、携帯端末5を用いて、撮影範囲に複数の照明器具Lが含まれるように、照明器具Lを撮影する。配置登録する全ての照明器具Lを一度に撮影した方が効率よく配置登録可能であるが、撮影すべき範囲が広い場合等においては、一部の照明器具Lのみを撮影し、撮影範囲をずらしながら配置登録する全ての照明器具Lを撮影するようにしてもよい。
【0037】
本実施の形態においては、先ず、第1の処理として配置図上の照明器具の配置位置と、撮影された照明器具の撮影画像中の位置(画素位置)との対応関係の情報(以下、器具画像対応情報という)を作成する。器具画像対応情報を取得するためには、携帯端末5の撮影範囲の情報は必ずしも必要ではないが、少なくとも携帯端末5の撮影方向、撮影位置、撮影位置から天井までの距離の情報は必要である。
【0038】
図6は部屋Rの天井に設置された照明器具Lを、オペレータ60が携帯端末5を構えて撮影する様子を示している。また、図7図6の撮影方向を上方から見て示すものであり、オペレータ60が部屋Rにおいて矢印に示す撮影方位に向かって撮影を行う様子を示している。
【0039】
図6及び図7に示すように、オペレータ60は、照明器具L側の斜め上方に携帯端末5を向ける。図7はこの場合の撮影方位を示し、図6はこの場合の仰角を示している。これらの撮影方位及び仰角の情報は、携帯端末5のGPS受信部55及びセンサ部57によって取得可能である。
【0040】
携帯端末5の水平方向の位置及び鉛直方向の位置は、オペレータ60の入力操作によって取得することができる。例えば、携帯端末5の操作部54やタッチパネルを操作することで、配置図上のいずれの位置(水平方向の撮影位置)に位置するかを入力することができると共に、携帯端末5を構える高さを入力することができる。オペレータ60が携帯端末5を構える高さと配置図関連情報に含まれる既知の天井高さとによって、撮影位置から天井までの距離の情報を得ることができる。なお、携帯端末5を構える高さについては、オペレータの背の高さ等を用いて概略値を求めることも可能であり、構える高さに代えて背の高さを入力することで、情報の入力作業を簡単にすることができる。
【0041】
なお、オペレータ60の入力操作によって、水平方向及び鉛直方向の撮影位置の情報を入力するものと説明したが、予めこれらの撮影位置を決めておき、オペレータ60が必ずその撮影位置において撮影を行うようにしてもよい。この場合には、撮影位置の情報の入力操作は不要である。
【0042】
また、撮影画像の画像解析によって、撮影画像中の各照明器具Lの被写体検出が可能である。従って、配置図上の撮影位置、撮影方向及び鉛直方向の撮影位置から天井までの距離が分かれば、撮影画像中に最も大きく写されている照明器具Lが配置図上のいずれの配置位置の照明器具であるかを求めることができる。更に、最も近接した照明器具の画像を起点にして、画像解析によって得られた各照明器具Lの各画像と配置図上の各照明器具との対応関係を求めることができ、撮影画像中の全ての照明器具の画像部分について、配置図上のいずれの配置位置の照明器具に対応するかを求めることができる。
【0043】
図8はこのような対応関係の情報(器具画像対応情報)を求めるためのアプリケーションが携帯端末5の記憶部53に記憶されているものとして、配置登録処理を説明するものである。図8の携帯端末5の処理は、制御部52が記憶部53から読み出したアプリケーションを実行することで実現される。なお、このアプリケーションは、携帯端末5が統括制御部2からダウンロードするようにしてもよい。
【0044】
図8のステップS1において、統括制御部2は、照明器具LのIDを取得する。一方、携帯端末5は、統括制御部2に対して、配置図の送信要求を行う(ステップS2)。統括制御部2は配置図の送信要求を受信すると、配置図の情報を携帯端末5に送信する(ステップS3)。携帯端末5は、ステップS4において配置図の情報を受信し、表示部59に配置図を表示する(ステップS5)。
【0045】
例えば、図2の配置図31が表示部59の表示画面上に表示されるものとする。オペレータ60は、ステップS6において、撮影位置の情報を入力する。例えば、オペレータ60は、配置図31上において自分の位置をタッチすると共に、携帯端末5を構える高さを入力する。
【0046】
情報入力が終了すると、携帯端末5は、全点灯要求を統括制御部2に送信する(ステップS7)。これにより、統括制御部2は全照明器具Lを点灯させる(ステップS8)。携帯端末5は、点灯要求後に撮像部51を動作させて動画撮影を行う(ステップS9)。携帯端末5の制御部52は、撮影画像を画像解析して、撮影画像中から各照明器具Lの画像部分を検出する(ステップS10)。各照明器具Lの検出は例えば、周囲との輝度差が相対的に高い部分または所定輝度以上の画像を特定することで行ってもよい。更に、制御部52は、撮影位置の情報、撮影方向の情報及び撮影位置から天井までの距離の情報を用いて、配置図上の各照明器具Lの配置位置と実際に撮影された各照明器具Lの撮影画像中の画像部分の対応関係を示す器具画像対応情報を求める(ステップS11)。
【0047】
なお、全点灯要求は、照明器具Lを点灯させて照明器具Lの画像解析を容易にするために行うものであり、照明器具Lの画像部分の検出が可能であれば、必ずしも照明器具Lを点灯させる必要はない。
【0048】
携帯端末5は、器具画像対応情報の作成処理が終了したことを示す処理終了送信を行う(ステップS12)。統括制御部2はこの送信を受信すると(ステップS13)、全ての照明器具Lを消灯した後(ステップS14)、各照明器具Lを所定の順序で順次点灯させる(ステップS15)。なお、統括制御部2は、照明器具Lを1つずつ点灯させてもよく、点灯させる照明器具Lを1つずつ増やしてもよい。更に、統括制御部2は、全点灯させた照明器具Lを1つずつ消灯させるようにしてもよい。統括制御部2は、いずれのIDの照明器具をいずれの順番で点灯又は消灯させたかを認識している。
【0049】
オペレータ60は、照明器具Lの点灯が再開又は点灯する照明器具Lが切換る毎に、携帯端末5により静止画撮影を行う(ステップS16)。なお、この場合における携帯端末5の撮影位置及び撮影方向は、器具画像対応情報の取得のための撮影時から変化させないものとする。携帯端末5の制御部52は、画像解析によって、点灯した照明器具Lの撮影画像中の画像部分を求め、器具画像対応情報を参照することで、第2の処理として、順次点灯した照明器具Lが配置図上のいずれの位置の照明器具であるかの情報(以下、器具位置情報という)を求める(ステップS17)。携帯端末5は、求めた器具位置情報を統括制御部2に送信する。例えば、携帯端末5は、配置図上の各照明器具に割当てられたアドレスを器具位置情報として送信すればよい。
【0050】
なお、ステップS16においては、点灯する照明器具Lが切換る毎に静止画撮影をするものと説明したが、携帯端末5において動画撮影を行い、画像解析によって、点灯した照明器具Lを順次検出するようにしてもよい。この場合には、携帯端末5を自動的に動画撮影開始させるようにしてもよい。
【0051】
統括制御部2は、器具位置情報を受信すると(ステップS18)、次のステップS19において、配置登録する全ての照明器具Lを点灯させたか否かを判定し、全てを点灯させていない場合には処理をステップS15に戻して順次点灯させる。全ての照明器具Lの点灯が終了すると、ステップS20において第3の処理として配置登録情報を作成する。即ち、統括制御部2は、点灯させた照明器具LのIDと、携帯端末5から送信された器具位置情報とを対応付けた配置登録情報を作成する。
【0052】
こうして、オペレータが携帯端末5を利用して、所定の位置において所定の撮影方向で照明器具を撮影するという簡単な操作によって、照明器具のIDと配置図上の照明器具の配置位置との関係を示す配置登録情報を作成することができる。
【0053】
このように本実施の形態においては、スマートフォン等の携帯端末によって照明器具を撮影し、配置図上の配置位置と撮影画像の画像部分との対応関係を求め、統括制御部において所定の順番で点灯させた照明器具を携帯端末によって撮影して画像解析することで、点灯させた照明器具が配置図上のいずれの配置位置のものであるかを求めて、照明器具の配置登録情報を作成するようになっている。このように、携帯端末を利用することによって極めて簡単なシステムで、器具設置位置の登録が可能である。
【0054】
(第2の実施の形態)
図9は本発明の第2の実施の形態を示すフローチャートである。図9において図8同一の手順には同一符号を付して説明を省略する。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様であり、携帯端末5が実行するアプリケーションが第1の実施の形態と異なるのみである。
【0055】
第1の実施の形態においては、統括制御部2と携帯端末5とが通信を行いながら協働して処理を行うことで配置登録情報を作成した。これに対し、本実施の形態は主に携帯端末5において配置登録情報を求める例を示している。
【0056】
図9のフローは、統括制御部2側において、ステップS3に代えてステップS23を採用すると共にステップS8,S13,S14,S18,S20を省略し、携帯端末5側において、ステップS7,S12を省略し、ステップS16に代えてステップS26を採用し、ステップS21,S22を追加した点が図8のフローと異なる。
【0057】
ステップS23では、携帯端末5からの配置図の送信要求(ステップS2)に対して。統括制御部2は配置図情報だけでなく、照明器具Lの点灯順の情報も携帯端末5に送信する。携帯端末5は、ステップS4において配置図の情報を受信し、表示部59に配置図を表示する(ステップS5)。なお、制御部52は、点灯順の情報については、記憶部53に記憶させておく。
【0058】
携帯端末5は、ステップS6,S9,S10,S11において、第1の処理として器具画像対応情報を作成する。なお、本実施の形態においては、統括制御部2側において全点灯制御していないが、第1の実施の形態と同様に、照明器具Lを全て点灯させた状態で、器具画像対応情報を作成するようにしてもよい。
【0059】
統括制御部2は、配置図等の情報送信後に、ステップS24において所定時間待機した後、携帯端末5に送信した点灯順の情報によって示される順番で、各照明器具Lを順次点灯させる(ステップS15)。統括制御部2は、全ての照明器具Lの点灯が終了したか否かをステップS19において判定し、全ての照明器具Lを点灯させると処理を終了する。
【0060】
一方、携帯端末5は、ステップS24の所定時間の待機終了前に、動画撮影を再開する(ステップS26)。これにより、携帯端末5は、ステップS15の点灯処理による各照明器具Lの点灯状態の撮影が可能である。ステップS26の撮影時においても、携帯端末5の撮影位置及び撮影方向は、器具画像対応情報の取得のための撮影時から変化させないものとする。なお、ステップS24では照明器具Lの順次点灯前に動画撮影が自動的に開始されるものとして説明したが、図8のステップS16と同様に、オペレータが照明器具Lの点灯毎に静止画撮影を行うようにしてもよい。
【0061】
ステップS17では、携帯端末5の制御部52は、画像解析を行い、器具画像対応情報を参照することで、第2の処理として器具位置情報を求める。携帯端末5は、ステップS21において、記憶部53に記憶されている点灯順の情報と器具位置情報とに基づいて、第3の処理として点灯されている照明器具LのIDと器具位置情報とを対応付ける配置登録情報を作成する。
【0062】
携帯端末5は、ステップS21において、全ての照明器具について配置登録が行われたかを判定し、全ての照明器具の配置登録が終了するまでステップS17,S21の処理を繰り返す。こうして、オペレータが携帯端末5を利用して、所定の位置において所定の撮影方向で照明器具を撮影するという簡単な操作によって、携帯端末5において、照明器具のIDと配置位置との関係を示す配置登録情報を作成することができる。
【0063】
このように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態においては、主に携帯端末において、照明器具の配置登録情報を作成することができる。
【0064】
なお、携帯端末5の記憶部53に、配置図の情報や点灯順の情報を予め格納しておき、統括制御部2において、所定の時間の全点灯制御や順次点灯制御を開始するように設定しておくことにより、携帯端末5と統括制御部2との間で通信を行うことなく、携帯端末5のみにおいて配置登録情報の作成が可能である。即ち、この場合には、携帯端末5と統括制御部2との間の通信を行う通信機能を省略することも可能である。
【0065】
また、上記各実施の形態においては、器具画像対応情報及び器具位置情報を携帯端末において求める例について説明したが、画像情報を統括制御部2に送信するようにした場合には、統括制御部2において器具画像対応情報、器具位置情報及び配置登録情報を求めるようにすることも可能である。
【0066】
また、上記各実施の形態においては、複数の照明器具を同時に撮影することで器具画像対応情報を作成し、その後照明器具を順番に点灯させることで器具位置情報を作成する例について説明したが、照明器具を順番に点灯させた状態を動画又は静止画によって撮影し、撮影画像の画像解析処理によって、器具画像対応情報及び器具位置情報を求めるようにすることも可能である。
【0067】
なお、上記各実施の形態においては、照明器具Lが天井に配置されているものとして説明したが、壁等に配置されている場合でも、撮影方向の情報を用いることで、器具画像対応情報、器具位置情報を作成することができることは明らかである。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1…照明制御システム、2…統括制御部、3…伝送ライン、5…携帯端末。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9