特許第6179184号(P6179184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179184
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】毛髪洗浄剤組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20170807BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20170807BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20170807BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170807BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20170807BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A61K8/86
   A61K8/46
   A61K8/44
   A61K8/34
   A61K8/73
   A61Q5/02
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-103347(P2013-103347)
(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公開番号】特開2014-1200(P2014-1200A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2016年3月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-115383(P2012-115383)
(32)【優先日】2012年5月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】廣島 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】柿澤 恭史
(72)【発明者】
【氏名】青野 恵
(72)【発明者】
【氏名】廣畠 利江
(72)【発明者】
【氏名】大石 泉
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−233743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/86
A61K 8/34
A61K 8/44
A61K 8/46
A61K 8/73
A61Q 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アニオン性界面活性剤、
(B)両性界面活性剤、
(C)平均分子量190〜420のポリエチレングリコール:40〜78質量%、
(D)グリセリン、及び
(E)カチオン化セルロース
を含有し、(A)/(B)で示される(A),(B)成分の配合質量比が1〜10であることを特徴とする毛髪洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)成分の含有量が3〜20質量%、(B)成分の含有量が1〜7質量%、(C)成分の含有量が45〜65質量%である請求項1記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項3】
(A)成分が、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2E.O.)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(3E.O.)から選ばれる請求項1又は2記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項4】
(D)成分の含有量が10〜30質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項5】
(D)/(C)で示される(C),(D)成分の配合質量比が0.1〜0.55である請求項1〜4のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項6】
(E)カチオン化セルロースのカチオン化度が0.4〜1.3meq/gである請求項1〜のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項7】
組成物全量に対する水の含有量が27質量%以下である請求項1〜6のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項8】
温感型シャンプーである請求項1〜のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項9】
(A)アニオン性界面活性剤、
(B)両性界面活性剤、
(C)平均分子量190〜420のポリエチレングリコール:40〜78質量%、
(D)グリセリン、及び
(E)カチオン化セルロース
を含有し、(A)/(B)で示される(A),(B)成分の配合質量比が1〜10である毛髪洗浄剤組成物の製造方法であって、下記工程1〜5を含むことを特徴とする毛髪洗浄剤組成物の製造方法。
工程1:(E)成分と、(E)成分に対し5〜15倍量の(D)成分を混合して混合物1を得る工程。
工程2:混合物1に(D)成分の残量を加え、85℃以上まで昇温し、(E)成分の未膨潤物がなくなるまで混合して混合物2を得る工程。
工程3:(B)成分と、(B)成分に対し2〜4倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解して混合物3を得る工程。
工程4:混合物3及び(C)成分の残量を混合物2に加え、混合溶解する工程。
工程5:工程4で得られた混合物を25℃まで冷却する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温感効果を有し、頭皮の血行促進に有効な毛髪洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
育毛・発毛のためには血行促進が重要であるが、温感刺激(皮膚を温める)作用により局所の血管が拡張し、血行が促進されることが知られている。このため、頭皮を温めるシャンプーを使用することで、頭皮の血行を高めて育毛・発毛が促進されることが期待され、更に、シャンプー後に育毛剤を使用した場合には血行促進効果がより高まることが期待される。
【0003】
シャンプーで頭皮を温める方法としては、(1)ショウキョウエキス等を活用して頭皮の内部から温める方法、(2)シャンプーそのものの温かさを利用して、外側から直接頭皮を温める方法が挙げられるが、効果・即効性の観点から(2)の方法が好ましい。市販のシャンプーは、前者のショウキョウエキス等を活用した頭皮の内部から温める(1)の技術を用いるものであり(特許文献1:特開平11−60460号公報)、その効果や即効性は欠けている。
【0004】
(2)の外側から直接頭皮を温める技術としては、ポリエチレングリコール(PEG)の水和熱を活用し、シャンプー自体の温度を上げる方法が提案されている。しかし、PEGを主溶剤とした溶液には、十分な洗浄力・泡立ちを確保できる量のアニオン性界面活性剤を可溶化させることはできず、また、特に液状剤としたときの保存安定性が悪く、洗浄剤としての機能を維持することができないという問題がある。
【0005】
水分量を増やすことで、アニオン性界面活性剤の溶解性が上がり、十分な洗浄力・起泡性を得ることができるが、温感効果が弱まるという難点がある。一方、水分量を下げると、アニオン性界面活性剤が析出し、洗浄力、起泡力が低下すると共に、不透明で不均一になってしまう。
【0006】
また、PEG溶液はすすぎ時にきしみが生じやすく、コンディショニング剤であるカチオン性ポリマーの溶解性も悪いことがわかっている。
なお、本発明に関連する先行技術文献としては、上記文献に加え、下記のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−60460号公報
【特許文献2】特開2005−206570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、温感効果を有し、且つ、洗浄剤として十分な泡量、泡質が得られると共に、すすぎ性能(きしみのなさ)が良く、しかも保存安定性にも優れた毛髪洗浄剤組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、シャンプー等の毛髪化粧料に配合する温感付与成分としてポリエチレングリコールを主溶剤として用いたときに生じる上記問題点を解決するために鋭意検討し、まず、洗浄力を確保するために適正量のアニオン性界面活性剤と両性界面活性剤を可溶化させるよう、水を混合した。しかし、洗浄効果、泡立ちは良くなるものの、ポリエチレングリコールの割合が低下するため、温感効果が不十分となることがわかった。アニオン性界面活性剤の量を少なくすれば、水分量が少なくても可溶化でき、安定性も確保できるが、これでは洗浄力、起泡力が悪くなる。そこで、本発明者らは更に鋭意検討した結果、特定平均分子量で特定量のポリエチレングリコールにグリセリンを配合すると、温感効果を低下させることなく、十分な洗浄力が得られる程度のアニオン性界面活性剤を可溶化させることができ、泡立ち、洗浄効果が改善されると共に、更に両性界面活性剤を配合することで保存安定性が向上することを見出した。
【0010】
また、本発明者らは、ポリエチレングリコールによるすすぎ時のきしみ感を改善するために鋭意検討した結果、コンディショニング剤を配合するのが有効であり、特にカチオン化セルロースが溶解性が比較的高く、有用であることを知見した。そして、アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤とを適切な割合で配合することで、すすぎ性能(きしみ感のなさ)がより向上し、特にシャンプーとして十分なすすぎ性能が得られることを見出した。
【0011】
また、グリセリンの配合によりアニオン性及び両性界面活性剤とカチオン化セルロースが可溶化するため保存安定性が改善され、上記界面活性剤の割合を最適範囲とすることでより良好な保存安定性、特に低温保存安定性が得られることを見出した。更に、本発明の毛髪洗浄剤組成物の製造方法を見出し、本発明をなすに至った。
【0012】
従って、本発明は、下記毛髪洗浄剤組成物及びその製造方法を提供する。
[1]
(A)アニオン性界面活性剤、
(B)両性界面活性剤、
(C)平均分子量190〜420のポリエチレングリコール:40〜78質量%、
(D)グリセリン、及び
(E)カチオン化セルロース
を含有し、(A)/(B)で示される(A),(B)成分の配合質量比が1〜10であることを特徴とする毛髪洗浄剤組成物。
[2]
(A)成分の含有量が3〜20質量%、(B)成分の含有量が1〜7質量%、(C)成分の含有量が45〜65質量%である[1]記載の毛髪洗浄剤組成物。
[3]
(A)成分が、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2E.O.)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(3E.O.)から選ばれる[1]又は[2]記載の毛髪洗浄剤組成物。
[4]
(D)成分の含有量が10〜30質量%である[1]〜[3]のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
[5]
(D)/(C)で示される(C),(D)成分の配合質量比が0.1〜0.55である[1]〜[4]のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。

(E)カチオン化セルロースのカチオン化度が0.4〜1.3meq/gである[1]〜[]のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
[7]
組成物全量に対する水の含有量が27質量%以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。

温感型シャンプーである[1]〜[]のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。

(A)アニオン性界面活性剤、
(B)両性界面活性剤、
(C)平均分子量190〜420のポリエチレングリコール:40〜78質量%、
(D)グリセリン、及び
(E)カチオン化セルロース
を含有し、(A)/(B)で示される(A),(B)成分の配合質量比が1〜10である毛髪洗浄剤組成物の製造方法であって、下記工程1〜5を含むことを特徴とする毛髪洗浄剤組成物の製造方法。
工程1:(E)成分と、(E)成分に対し5〜15倍量の(D)成分を混合して混合物1を得る工程。
工程2:混合物1に(D)成分の残量を加え、85℃以上まで昇温し、(E)成分の未膨潤物がなくなるまで混合して混合物2を得る工程。
工程3:(B)成分と、(B)成分に対し2〜4倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解して混合物3を得る工程。
工程4:混合物3及び(C)成分の残量を混合物2に加え、混合溶解する工程。
工程5:工程4で得られた混合物を25℃まで冷却する工程。
【発明の効果】
【0013】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、温感効果を有し、かつ洗浄剤として十分な泡量、泡質が得られると共に、すすぎ性能(きしみのなさ)が良く、更に低温保存安定性にも優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の毛髪化粧料組成物は、
(A)アニオン性界面活性剤、
(B)両性界面活性剤、
(C)ポリエチレングリコール、
(D)グリセリン、
(E)カチオン化セルロース
を含有するものである。
【0015】
[(A)アニオン性界面活性剤]
本発明で用いられるアニオン性界面活性剤は、頭皮や毛髪の洗浄用として毛髪洗浄剤組成物に用いられるものであれば特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。アニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アシル化アミノ酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、アルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、脂肪酸石ケン、アルキルリン酸エステル塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩、N−パルミトイルグルタミン酸塩、N−ラウロイル−N−エチルグリシン塩、N−ラウロイルザルコシン塩、N−ミリストイル−β−アラニン塩等が挙げられる。これらの中でも、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(AES)が好ましく、塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸が例示され、好ましくは、泡量、低温安定性の点から、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属であり、特に、ナトリウムがより好ましい。好適には、ポリオキシエチレン(E.O.)の平均付加モル数が1〜5、更に好ましくは1〜3のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましく、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2E.O.)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(3E.O.)が好ましい。
【0016】
(A)アニオン性界面活性剤の配合量は、泡量、泡質、すすぎ時のきしみのなさ、温感感効果、低温安定性の点から、毛髪洗浄剤組成物全量に対し、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。3質量%未満では、余分な皮脂の除去効果が低くなり、更に泡量、泡質及び低温安定性が不十分となる場合があり、20質量%を超えると温感効果、低温安定性、及びすすぎ時のきしみのなさが悪くなる場合がある。
【0017】
[(B)両性界面活性剤]
本発明において、両性界面活性剤は、頭皮や毛髪の洗浄力、起泡性を有し、毛髪洗浄剤組成物に用いられるものであれば特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン系活性剤、アルキルアミドプロピルベタイン等のアミドベタイン系活性剤、スルホベタイン系活性剤、ヒドロキシスルホベタイン系活性剤、アミドスルホベタイン系活性剤、ホスホベタイン系活性剤、イミダゾリニウムベタイン系活性剤、アミノプロピオン酸系活性剤、アミノ酸系活性剤等が挙げられる。これらの中でも、泡量、泡質及び低温安定性の点から、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。これらの中でも、低温安定性、すすぎ時のきしみのなさの点からラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドプロピルベタインが特に好ましい。
【0018】
(B)両性界面活性剤の配合量は、泡量、温感効果、すすぎ時のきしみのなさ、低温安定性の点から、毛髪洗浄剤組成物全量に対し、1〜7質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。1質量%未満では、泡量、すすぎ時のきしみのなさが悪くなり、低温安定性が低下する場合があり、7質量%を超えると温感効果、すすぎ時のきしみのなさ、低温安定性が悪くなる場合がある。
【0019】
ここで、本発明で用いられる(A)成分と(B)成分の配合割合は、低温安定性、すすぎ時のきしみのなさの点から、(A)/(B)の質量比が1〜10であり、2〜7が好ましい。10を超えると、低温安定性、すすぎ時のきしみのなさが悪くなり、1未満でも、低温安定性、すすぎ時のきしみのなさが悪くなる。
【0020】
[(C)ポリエチレングリコール]
本発明においては、ポリエチレングリコールの水和熱を利用して頭皮に温感を与え、頭皮を柔軟にするために主溶剤としてこれを配合する。ポリエチレングリコールの平均分子量は、温感効果の点から190〜420である。具体的には、平均分子量190〜210のポリエチレングリコール200、平均分子量280〜320のポリエチレングリコール300、及び平均分子量380〜420のポリエチレングリコール400が好ましく、より具体的には、平均分子量が190〜210のポリエチレングリコール200に相当するPEG#200,平均分子量が280〜320のポリエチレングリコール300に相当するPEG#300K,ポリエチレングリコール400に相当するPEG#400(以上、ライオン(株)製)等が挙げられる。これらの中で、特に、温感効果、低温安定性の点から、平均分子量が280〜320のポリエチレングリコール300(PEG#300、ライオン(株))がより好ましい。平均分子量が190未満では、温感効果が不十分であり、更に皮膚に刺激があり、420を超えると溶液の低温安定性、すすぎ時のきしみのなさが悪くなる。
【0021】
本発明において、ポリエチレングリコールの平均分子量の測定は、医薬部外品原料規格2006(薬事日報社)収載のポリエチレングリコール200等の平均分子量試験に従って測定できる。例えば、平均分子量が190〜210のポリエチレングリコールの場合、ポリエチレングリコール約0.8gを精密に量り、約200mLの耐圧共栓瓶に入れ、ピリジン約25mLを加え、加温して溶かし放冷する。別に無水フタル酸42gを取り、新たに蒸留したピリジン300mLを正確に量って入れた1Lの遮光した共栓瓶に加え、強く振り混ぜて溶かした後、16時間以上放置する。この液25mLを正確に量り、先の耐圧共栓瓶に加え密栓し、丈夫な布でこれを包み、あらかじめ98℃±2℃に加熱した水浴中に入れる。この際、瓶の中の液が水浴の液の中に浸るようにする。98℃±2℃で30分間加熱した後、水浴から瓶を取り出し、室温(1〜30℃、以下同じ。)になるまで放冷する。次に、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液50mLを正確に加え、この液につき、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定する。このときの指示薬はフェノールフタレイン・ピリジン溶液(1→100)を5滴用いる。ただし、滴定の終点は液が15秒間持続する淡赤色を呈するときとする。同様の方法で空試験をする。
【0022】
得られた値を下記式にあてはめ、平均分子量を算出する。
平均分子量={試料の量(g)×4000}/(a−b)
ただし、a:空試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液の消費量(mL)
b:試料の試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液の消費量(mL)
なお、平均分子量が280〜420のポリエチレングリコールの場合は、秤取量が約1.5gとなり、それ以外はポリエチレングリコール200の試験法と同じである。
【0023】
本発明で用いられる(C)成分のポリエチレングリコールの配合量は、泡質、泡量、温感効果、低温安定性、及びすすぎ時のきしみのなさの点から、毛髪洗浄剤組成物全量に対し、40〜78質量%であり、45〜65質量%が好ましく、45〜60質量%が特に好ましい。40質量%未満では、温感効果が不十分となり、78質量%を超えると、余分な皮脂の除去効果が低くなり、泡質、泡量が減少し、更に低温安定性、すすぎ時のきしみのなさが不十分となる。
【0024】
[(D)グリセリン]
溶剤としてポリエチレングリコールと共に水を多量(20質量%超)に使用すると、アニオン性界面活性剤や、後述するカチオン化セルロースが可溶化し、洗浄性、泡立ちは良好となるが、ポリエチレングリコールが40質量%より少なくなると十分な温感効果が得られなくなる。そこで、本発明者らは、水の代わりにグリセリンを配合したところ、アニオン性界面活性剤、カチオン化セルロース共に可溶化し、十分な洗浄効果、泡立ちが得られ、低温安定性も改善され、なおかつ温感効果もより良好となり、しかも製剤の安定性も改善されることを見出した。
【0025】
本発明で用いられる(D)グリセリンの配合量は、温感効果、泡量及び低温安定性の点から、毛髪洗浄剤組成物全量に対し、好ましくは10〜30質量%であり、15〜25質量%がより好ましい。10質量%未満では、温感効果、低温安定性が悪くなる場合があり、30質量%を超えると温感効果、泡量が不十分となる場合がある。
【0026】
ここで、本発明で用いられる(C)成分と(D)成分の配合割合は、温感効果、低温安定性の点から、(D)/(C)の質量比が0.1〜0.55が好ましく、0.15〜0.53がより好ましく、更に好ましくは0.25〜0.48である。0.55を超えると、温感効果が悪くなる場合があり、0.1未満では、低温安定性が悪くなる場合がある。
【0027】
[(E)カチオン化セルロース]
本発明において、カチオン化セルロースは、ポリエチレングリコールを主溶剤とした毛髪化粧料のすすぎ性能(すすぎ時のきしみ)を改善するために配合する。本発明者らの検討によれば、カチオン性ポリマーを配合することですすぎ時のきしみを低減できるが、ポリエチレングリコールへの溶解性が悪いものは、液剤型としたときに保存安定性が低下することがわかった。本発明者らは、これを改善するために更に検討した結果、カチオン性ポリマーのなかでもカチオン化セルロースの溶解性が比較的高く、特にカチオン化度の低いカチオン化セルロースの溶解性が最も高いことがわかった。
【0028】
本発明で用いられるカチオン化セルロースは、すすぎ時のきしみのなさ、低温安定性の点から、カチオン化度が0.4〜1.3meq/gが好ましく、0.8〜1.0meq/gがより好ましい。0.4meq/g未満及び1.3meq/gを超えると、すすぎ時のきしみのなさ、低温安定性が悪くなる場合がある。なお、カチオン化セルロースのカチオン化度は、下記式より求めた。また、カチオン化度の単位であるmeq/gとは試料1g当たりのNカチオン基のミリ当量数を示す。
【0029】
カチオン化度(meq/g)
=(高分子化合物1g中のカチオン化ヒドロキシエチルセルロースのモル数)×1000
高分子化合物1g中のカチオン化ヒドロキシエチルセルロースのモル数
=(高分子化合物中の窒素含量)/(Nの原子量)
【0030】
このようなカチオン化セルロースとしては、市販品を用いることができ、例えば、レオガードシリーズ(GP、KGP、LP、MGP、MLP(ライオン(株)製))や、カチナールシリーズ(HC−100、HC−200、LC−100、LC−200(東邦化学工業社製))が好ましい。具体的には、レオガードMLP(カチオン化度0.4meq/g、重量平均分子量:120万)、カチナールLC−100(カチオン化度0.8meq/g、重量平均分子量:40万)、カチナールLC−200(カチオン化度1.0meq/g、重量平均分子量:100万)、カチナールHC−200(カチオン化度1.3meq/g、重量平均分子量:100万)が好ましい。
【0031】
(E)カチオン化セルロースの重量平均分子量は、10万〜300万の範囲が好ましく、30万〜200万がより好ましい。10万未満だと泡をすすいだ時のきしみのなさが悪くなる場合があり、かつ乾燥後の髪がパサついた感触になる場合がある。一方、300万を超えると毛髪洗浄剤組成物の低温保存安定性に劣ると共に、毛髪洗浄剤組成物中への溶解が困難になる場合がある。
なお、本発明において、重量平均分子量の測定は、静的光散乱測定による。すなわち、希釈した高分子水溶液の示唆屈折率計を用いた濃度−示唆屈折率曲線と、散乱強度測定装置を用いて散乱強度の濃度−角度依存性を測定し、Zimmプロットの濃度0、角度0に外挿することにより重量平均分子量を測定することができる。
【0032】
(E)カチオン化セルロースの配合量は、泡質、すすぎ時のきしみのなさ、低温安定性の点から、毛髪洗浄剤組成物全量に対し、好ましくは0.1〜1.0質量%、より好ましくは、0.2〜0.6質量%である。0.1質量%未満では、泡質、すすぎ時のきしみのなさが不十分となる場合があり、1.0質量%を超えると低温安定性が悪くなる場合がある。
【0033】
[その他の成分]
本発明の毛髪洗浄剤組成物には、前記必須成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の毛髪洗浄剤組成物に用いられる成分、例えば可溶化剤として、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール等の(C)成分を除く多価アルコール類、カチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン(24E.O.)ポリオキシプロピレン(24E.O.)グリセリルエーテル、ラウリン酸ポリグリセリル等の非イオン性界面活性剤、油分、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤、クエン酸、EDTA等のキレート剤、ジイソステアリン酸エチレングリコールや魚鱗、雲母片等の乳白化剤、色素、防腐・防黴剤、l−メントール等の清涼剤、香料・香料組成物等を、必要に応じて適宜配合することができる。
【0034】
本発明においては、ポリエチレングリコールによる温感を十分に得るために、水の含有量は、組成物全量に対して27質量%以下、特に19質量%以下とすることが好ましい。27質量%を超えると温感効果が得られない場合がある。
【0035】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の25℃でのpH(精製水で10倍希釈)は、6〜9であり、6.5〜8の範囲が好ましい。なお、pHの測定は、pHメーターHM−30V(東亜ディーケーケー(株)製)を用いて測定することができ、pHの調整は、クエン酸、水酸化カリウム等のpH調整剤を用いることができる。
【0036】
また、本発明の毛髪洗浄剤組成物の25℃での粘度は0.2〜7Pa・s、特に0.5〜6Pa・sの範囲が好ましい。なお、粘度の測定は、BM型粘度計(ローターNo.3又はローターNo.4、30回転/分、20秒後)により行うことができる。
【0037】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、シャンプー、リンスインシャンプー、コンディショニングシャンプー、トリートメントインシャンプー等に幅広く利用でき、温感効果を有するため、特に温感型シャンプー、温感型リンスインシャンプー、温感型コンディショニングシャンプー、温感型トリートメントインシャンプーとして用いることができ、特に保存安定性の点から温感型シャンプーが好ましい。
【0038】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の製造方法は、常法に従って調製することができ、例えば、(D)グリセリン及び(E)カチオン化セルロースを混合し、更に、(B)両性界面活性剤、(C)ポリエチレングリコール及び(A)アニオン界面活性剤を加え、混合、溶解して毛髪洗浄剤組成物を得ることができる(製造方法1)。
【0039】
また、下記製造方法2でも毛髪洗浄剤組成物を得ることができる。特に、最終の毛髪洗浄剤を2kg以上製造する場合には、下記理由から製造方法2が好ましい。
【0040】
すなわち、(E)カチオン化セルロースを膨潤させるための(D)グリセリンの量が少ないと、カチオン化セルロースが均一に膨潤せず、一部が未膨潤のまま固形物(ダマ)として最終組成物に残り、その結果、すすぎ時のきしみが生じやすくなることがある。また、(B)両性界面活性剤、(C)ポリエチレングリコール、(A)アニオン性界面活性剤を(D),(E)成分中に順に加える際、多量に(C)成分が存在するため(A),(B)成分が均一に溶解されず、製剤が白濁し、透明外観の組成物が得られないだけでなく、白濁した組成物を高温下で保存すると層分離する場合がある。本発明においては、下記工程1〜5を含む製造方法2を採用することで、上記問題点を解決し、すすぎ時のきしみがなく、外観安定性、特に、高温保存安定性に優れた毛髪洗浄剤組成物を得ることができる。なお、毛髪洗浄剤組成物の全量の上限は特に制限されないが、通常2000kg以下程度である。
【0041】
工程1:(E)カチオン化セルロースと、(E)成分に対し5〜15倍量の(D)グリセリンを混合して混合物1を得る工程。
工程2:混合物1に(D)成分の残部を加えて85℃以上まで昇温し、(E)成分を膨潤させ、(E)成分の未膨潤物がなくなるまで混合して混合物2を得る工程。
工程3:(B)両性界面活性剤と、(B)成分に対し2〜4倍量の(C)平均分子量190〜420のポリエチレングリコールを混合溶解した後、(A)アニオン性界面活性剤を混合溶解して混合物3を得る工程。
工程4:混合物3及び(C)成分の残部を混合物2に加え、混合溶解する工程。
工程5:得られた混合物を25℃まで冷却する工程。
【0042】
工程1において用いられる(D),(E)成分の(D)/(E)の質量比は5〜15が好ましく、より好ましくは7〜12である。5未満又は15を超えると、組成物中に未膨潤の(E)成分が残り、すすぎ時のきしみが生じ、高温安定性も低下する。
【0043】
工程2では、混合物1に(D)成分の残部を加えてから、85℃以上、特に85〜95℃に昇温するのが好ましい。85℃未満では組成物中に未膨潤の(E)成分が残り、すすぎ時のきしみが生じ、高温安定性も低下する。
【0044】
工程3において用いられる(B),(C)成分の(C)/(B)の質量比は2〜4が好ましく、より好ましくは2.5〜3.5である。2未満又は4を超えると製剤が白濁し、高温安定性が悪くなる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例、参考例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示した。また、植物エキスは有姿の配合量を示し、その他の成分は純分換算した配合量を示した。
【0046】
[実施例1〜37、比較例1〜16]
下記表に示す毛髪洗浄剤組成物(シャンプー)を以下の製造方法により、全量で1kg配合して調製した。
まず、(D)、(E)成分を1L真空乳化釜のベッセルに秤取した。次に、減圧状態で、80℃に加温してこれらを溶解した。溶解後、パドルを攪拌しながら、(B)成分、精製水、(C)成分、(A)成分、L−メントール、及びその他の成分の順に加え、十分に溶解した後、減圧状態で25℃まで冷却した。得られた組成物について下記方法に従って評価した。結果を表中に併記する。
【0047】
《評価方法及び評価基準》
<温感効果>
被験者10名により、試料6gを頭髪に塗布後、下記の評価基準により評価した。
[評価基準]
4点:非常にある
3点:ある
2点:ややある
1点:ない
更に、温感効果は被験者の官能評価の平均点から下記の判断基準で評価した。
[判断基準]
◎:3点以上4点以下
○:2点以上3点未満
△:1.5点以上2点未満
×:1点以上1.5点未満
【0048】
<泡量>
泡量は、被験者10名により、試料6gを頭髪に塗布して、泡立て後の泡量を下記の評価基準により評価した。
[評価基準]
5点:非常に多い
4点:多い
3点:やや多い
2点:少ない
1点:ほとんど泡立たない
泡量は上記評価結果の平均点から下記の判断基準で評価した。
[判断基準]
◎:4点以上5点以下
○:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:1点以上2点未満
【0049】
<泡質>
泡質は、被験者10名により、試料6gを頭髪に塗布し、洗髪後の泡質を下記の評価基準により評価した。
[評価基準]
5点:非常にきめ細かな泡である
4点:きめ細かな泡である
3点:きめ細かいが一部大きな泡がある
2点:大きい泡がある
1点:大きい泡がかなり多くある
更に、泡質は評価結果の平均点から下記の判断基準により評価した。
[判断基準]
◎:4点以上5点以下
○:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:1点以上2点未満
【0050】
<すすぎ時のきしみのなさ>
被験者10名により、試料6gを頭髪に塗布し、洗髪後、すすぎ時のきしみのなさを下記の評価基準により評価した。
[評価基準]
5点:全くきしまない
4点:きしまない
3点:ややきしまない
2点:きしむ
1点:非常にきしむ
更に、すすぎ時のきしみのなさは評価結果の平均点から下記の判断基準により評価した。
[判断基準]
◎:4点以上5点以下
○:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:1点以上2点未満
【0051】
<低温安定性>
50mLの透明ガラスバイアルに40mLの試料を充填して、−5℃の恒温槽に1ヵ月保存した後の外観安定性を目視評価した。
[評価基準]
◎:無色透明
○:ほとんど無色透明
△:わずかに白濁
×:白濁
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】

【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】

*比較例10の1,3−ブチレングリコールの量は、植物エキス原料由来の1,3−ブチレングリコールを合算した配合量を示した。
【0058】
【表7】
【0059】
下記表に示す毛髪洗浄剤組成物(シャンプー)を以下の製造方法により、2Lの真空乳化釜を用いて全量で2kg配合し、調製した。得られた組成物について上記と同様に評価し、高温安定性を下記方法により評価した。結果を表中に併記する。
【0060】
<高温安定性>
50mLの透明ガラスバイアル瓶に40mLの試料を充填して、50℃の恒温槽に1ヵ月保存した後の外観安定性を目視評価した。
[評価基準]
◎:無色透明
○:ほとんど無色透明
△:わずかに白濁
×:白濁
【0061】
[実施例38(製造方法1)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し10倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、85℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し3倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0062】
[実施例39(製造方法2)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し5倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、85℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し3倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0063】
[実施例40(製造方法3)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し15倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、85℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し3倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0064】
[参考例1(製造方法4)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し等倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、85℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し3倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0065】
[参考例2(製造方法5)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し4倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、85℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し3倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0066】
[参考例3(製造方法6)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し16倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、85℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し3倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0067】
[参考例4(製造方法7)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し30倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、85℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し3倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0068】
[実施例41(製造方法8)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し10倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、95℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し3倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0069】
[参考例5(製造方法9)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し10倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、60℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し3倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0070】
[参考例6(製造方法10)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し10倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、80℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し3倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0071】
[実施例42(製造方法11)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し10倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、85℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し2倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0072】
[実施例43(製造方法12)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し10倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、85℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し4倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0073】
[参考例7(製造方法13)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し10倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、85℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し当倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0074】
[参考例8(製造方法14)]
工程1:(E)成分と(E)成分に対し10倍量の(D)成分を室温で均一になるまで混合分散した(混合物1)。
工程2:主配合槽に混合物1と(D)成分の残部を投入し、85℃に昇温し、60分間混合溶解した(混合物2)。
工程3:(B)成分と(B)成分に対し5倍量の(C)成分を混合溶解した後、(A)成分を混合溶解した(混合物3)。
工程4:混合物3、精製水を主配合槽(混合物2)に加え、(C)成分の残部と混合溶解した。
工程5:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0075】
[参考例9(製造方法15)]
工程1:(D)成分に(E)成分を加え、85℃に昇温して混合溶解した。
工程2:主配合槽に(B)成分、精製水、(C)成分、(A)成分の順に加え、混合溶解した。
工程3:25℃まで冷却後、その他の成分を混合溶解した。
【0076】
【表8】
【0077】
【表9】
【0078】
実施例及び比較例で使用した原料を下記表に示す。
【表10】