(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179202
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】仕切り付き包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/489 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
B65D5/489
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-119597(P2013-119597)
(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公開番号】特開2014-237453(P2014-237453A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 雄二
【審査官】
小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−048114(JP,U)
【文献】
特開平09−301348(JP,A)
【文献】
実開平07−017716(JP,U)
【文献】
米国特許第05775489(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2対の対向する面板が連設されて角筒状の周壁が形成され、前記面板を切断して仕切り板と該仕切り板に連設された仕切り貼着板を設け、該仕切り貼着板を、前記仕切り板を設けた面板に対向する面板に貼着することによって、前記仕切り板で包装箱の内部を仕切るようにした仕切り付き包装箱であって、
前記周壁の角筒状をつぶす様に折り畳んだ状態で、前記仕切り貼着板と前記仕切り板を設けた面板の間の切断部分に、切断可能なつなぎ部が設けられ、
前記仕切り貼着板の裏面は後面板の裏面(内面)に貼着されており、
前記周壁を角筒状に起こしたときに仕切り貼着板と前面板の間の切断部分に設けられたつなぎ部が切断され、仕切り貼着板と前面板は切り離されて離れることにより、仕切り板が前面板から後面板に渡って設けられることを特徴とする仕切り付き包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切り付き包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の物品を合わせて包装する包装箱には、物品どうしが混ざらないように、あるいは、物品どうしがぶつかり合わないように、仕切りを設けているものがある。仕切りは、包装箱とは別部材で設けているものもあるが、包装箱と一体となって設けられているものもある。
【0003】
例えば、前面板、後面板及び一対の側面板を連設し、これらを角筒状に折り曲げ、周壁を形成した包装箱において、前面板の上縁に仕切り板を連設し、この仕切り板を下方へ折り曲げ、その上縁部及び下縁部を前面板の裏面に貼着し、これらの貼着部に挟まれた仕切り板の中間部に、切込及び垂直折目により複数の仕切り片とその上部を繋ぐ後貼片とを形成し、仕切り板を後面板へ向けて起立させ、後貼片を後面板の裏面に貼り着けた中仕切付包装箱がある(特許文献1)。
【0004】
前述の中仕切付包装箱は、前面板の上端に延設して仕切り板を設けているが、前面板などを切断して設けた仕切り板を内側に折り曲げて、対向する後面板などに仕切り貼着片で貼着させた包装箱もある。
【0005】
この場合、製函工程で、サック貼りして、周壁の角筒状をつぶす様に折り畳んだ状態に胴部を形成した後に、前面板の切断した部分が浮いてしまって、集積などで積み重ねるときに、この浮いた部分に、他の包装箱が挟み込まれてしまうことがあって、著しく生産性が損なわれることがあった。
【0006】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−72047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、前面板などを切断して設けた仕切り板を内側に折り曲げて、対向する後面板などに仕切り貼着片で貼着させた包装箱において、製函工程で、サック貼りして、周壁の角筒状をつぶす様に折り畳んだ状態に胴部を形成した後に、前面板などの切断した部分が浮いてしまって、集積などで積み重ねるときに、この浮いた部分に、他の包装箱が挟み込まれてしまうことがない仕切り付き包装箱を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、請求項1の発明は、2対の対向する面板が連設されて角筒状の周壁が形成され、前記面板を切断して仕切り板と該仕切り板に連設された仕切り貼着板を設け、該仕切り貼着板を、前記仕切り板を設けた面板に対向する面板に貼着することによって、前記仕切り板で包装箱の内部を仕切るようにした仕切り付き包装箱であって、
前記周壁の角筒状をつぶす様に折り畳んだ状態で、前記仕切り貼着板と前記仕切り板を設けた面板の間の切断部分に、切断可能なつなぎ部が設けられ、
前記仕切り貼着板の裏面は後面板の裏面(内面)に貼着されており、
前記周壁を角筒状に起こしたときに仕切り貼着板と前面板の間の切断部分に設けられたつなぎ部が切断され、仕切り貼着板と前面板は切り離されて離れることにより、仕切り板が前面板から後面板に渡って設けられることを特徴とする仕切り付き包装箱である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の仕切り付き包装箱は、前面板などを切断して設けた仕切り板を内側に折り曲げて、対向する後面板などに貼着片で貼着させた包装箱において、製函工程で、角筒状に周壁を形成した後も、前面板などの切断した部分が浮いてしまって、集積などで積み重ねるときに、この浮いた部分に、他の包装箱が挟み込まれてしまうことがない。そして、このトラブルによって、著しく生産性がそこなわれることがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の仕切り付き包装箱はこの一例の展開図である。
【
図2】
図1の点線の丸で囲んだ部分Aの拡大図である。
【
図3】本発明の仕切り付き包装箱の一例を製函するために貼着した状態を模式的に示した説明図である。
【
図4】従来の仕切り付き包装箱の一例を製函するために貼着した状態を模式的に示した説明図である。
【
図5】本発明の仕切り付き包装箱の一例の製函した状態を模式的に正面で示した説明図である。
【
図6】本発明の仕切り付き包装箱の一例の製函した状態を模式的に平面で示した説明図である。
【
図7】本発明の仕切り付き包装箱の一例を製函し、閉じた状態を模式的に斜視で示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態につき説明する。
図1は、本発明の包材の一例を模式的に断面で示した説明図である。
図2は、
図1の点線の丸で囲んだ部分Aの拡大図である。
尚、図の一点鎖線や二点鎖線は、押罫や、切れ込みと押罫を交互に入れたリード罫などの折罫である。
【0013】
本例の仕切り付き包装箱100のブランクは、
図1の展開図に示すように、後面板1、左側面板2、前面板3、右側面板4が連設されていて、後面板1の左には貼着板5が設けられている。この貼着板5のおもて面を右側面板4の裏面に貼着することによって、後面板1と前面板3が対向し、左側面板2と右側面板4が対向し、2対の対向する面板が連設されて、角筒状の周壁が形成される。
【0014】
前面板3には、右側に上から切り欠いた切り欠き部6が設けられている。そして、その左側には、下に切り抜き部7と、その上に、前面板3との間に折罫を介して仕切り板8と、更に折罫を介して仕切り貼着板9が、切断部を設けることによって形成されている。
【0015】
そして、
図2の部分拡大図のように、仕切り貼着板9と前面板3の間の切断部分は、容易に切断可能なつなぎ部10が設けられ、接続している。つなぎ部10の長さXは、0.5mmから1.0mmで、間隔Yが、5から10mmになるように設けることが好ましい。
【0016】
後面板1の下端には、後部底板11が設けられ、後部底板11の右端には、折罫を介して、貼合板12が設けられている。また、前面板3の下端には、前部底板13が設けられ、前部底板13の右端には、折罫を介して、貼合板14が設けられている。
【0017】
また、前面板3と前部底板13の間の折罫にのるように切り込み線による差込部15、16が設けられている。そして、左側面板2と右側面板4の下端には、底フラップ17、18がそれぞれ設けられている。
【0018】
後面板1の上端には、蓋面板19が設けられ、また、蓋面板19の上端には前覆い面板20が設けられ、更に、前覆い面板20の上端には、差込部15、16に差し込んで係止するための差込片21、22が設けられている。また、左側面板2と右側面板4の上端には、上フラップ23、24が設けられている。
【0019】
図3は、本発明の仕切り付き包装箱の一例を製函するために貼着した状態を模式的に示した説明図である。
図4は、従来の仕切り付き包装箱の一例を製函するために貼着した状態を模式的に示した説明図である。
図5は、本発明の仕切り付き包装箱の一例の製函した状態を模式的に正面で示した説明図である。
図6は、本発明の仕切り付き包装箱の一例の製函した状態を模式的に平面で示した説明図である。
図7は、本発明の仕切り付き包装箱の一例を製函し、閉じた状態を模式的に斜視で示した説明図である。
【0020】
図1の展開図のようなブランクから、本例の仕切り付き包装箱100を製函するには、貼着板5のおもて面にグルーなどの接着剤を塗布し、また、仕切り貼着板9の裏面、貼合板12、14のおもて面にも接着剤を塗布する。
【0021】
次に、貼合板12、14を外側に折った状態で、後部底板11と前部底板13をそれぞれ後面板1、前面板3の裏側になるように内側に折込み、また、底フラップ17、18もそれぞれ左側面板2、と右側面板4の裏側になるように内側に折込み、この状態で、後面板1と左側面板2の間の折罫を折り、前面板3と右側面板4の間の折罫を折る。これによって、
図3のように、周壁の角筒状をつぶす様に折り畳んだ状態の仕切り付き包装箱100になる。
【0022】
このようにして、貼着板5のおもて面を右側面板4の裏面に貼着し、仕切り貼着板9の裏面を後面板1の裏面(内面)に貼着させ、また、貼合板12の裏面を底フラップ17のおもて面に、貼合板14の裏面を底フラップ18のおもて面に、それぞれ貼合する。これにより底部はテーネス底と呼ばれる形式になり、周壁を角筒状に起こしたときにそれに伴って底部が形成されるようになる。
【0023】
このとき、
図4の従来の仕切りつき包装箱200のように、仕切り貼着板と前面板の間の切断部分につなぎ部10が設けられていないと、この後の搬送や集積などで積み重ねるときに、切断部分側の前面板が浮いてしまい、積み重ねられる他の包装箱が挟まってしまうことが有り、このトラブルによって、著しく生産性がそこなわれる恐れがある。
【0024】
次に、後面板1、左側面板2、前面板3、右側面板4をそれぞれ隣り合う面板が、互いに直角になるように起こして、2対の対向する面板が角筒状の周壁を形成するようにする。底部はテーネス底なので、これに伴って形成される。また、仕切り貼着板9と前面板3の間の切断部分に設けられたつなぎ部10は切断され、仕切り貼着板9と前面板3は切り離されて離れる。
【0025】
これにより、仕切り付き包装箱100は、
図5の正面図、
図6の平面図のように、その底部が形成され、角筒状の周壁も形成され、そして、仕切り板8が前面板3から後面板1に渡って設けられ、仕切り付き包装箱100の内部が2つに仕切られる。
【0026】
そして、上フラップ23、24を内側に倒し、蓋面板19をその上に倒し、更に前覆い面板20を、前面板3を覆うように倒して、最後に差込片21、22をそれぞれ差込部1
5、16に差し込むことによって、
図7のように閉じられた仕切り付き包装箱100が、製函される。
【0027】
以上のように、内容物を充填するときに、後面板1、左側面板2、前面板3、右側面板4をそれぞれ隣り合う面板が、互いに直角になるように起こして、2対の対向する面板が角筒状の周壁に形成するまでは、仕切り貼着板9と前面板3の間が、つなぎ部10によって接続されているので、製函工程で、サック貼りして、周壁の角筒状をつぶす様に折り畳んだ状態に胴部を形成した後に、前面板などの切断した部分が浮いてしまって、集積などで積み重ねるときに、この浮いた部分に、他の包装箱が挟み込まれてしまうことがない。
【符号の説明】
【0028】
100・・・仕切り付き包装箱
200・・・従来の仕切り付き包装箱
1・・・後面板
2・・・左側面板
3・・・前面板
4・・・右側面板
5・・・貼着板
6・・・切り欠き部
7・・・切り抜き部
8・・・仕切り板
9・・・仕切り貼着板
10・・・つなぎ部
11・・・後部底板
12、14・・・貼合板
13・・・前部底板
15、16・・・差込部
17、18・・・底フラップ
19・・・蓋面板
20・・・前覆い面板
21、22・・・差込片
23、24・・・上フラップ