特許第6179256号(P6179256)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6179256長尺状シートの折り込みにおける折り返し補助機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179256
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】長尺状シートの折り込みにおける折り返し補助機構
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/22 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   B65H45/22
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-162747(P2013-162747)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-20904(P2015-20904A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−29183(JP,A)
【文献】 特開2011−256044(JP,A)
【文献】 特開2007−152919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H45/00−45/30
B42D15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り込み装置により、折り込み後他の紙片の幅よりも半分以下の幅の紙片が表出する長尺状シートを折り畳みながら下流の加工装置へ給紙ローラにより送り出す際の折り返し補助機構であり、前記給紙ローラの下方から一対のサポートローラを通過して折り込まれながら連続供給される長尺状シートの半分以下の幅の紙片が折り畳みにより表出する面側と逆側の面に接触しながら前記逆側の面が前記一対のサポートローラをほぼ垂直状態で通過することができる位置で前記長尺状シートの折り込みを補助するバックアップガイドからなることを特徴とした長尺状シートの折り込みにおける折り返し補助機構。
【請求項2】
バックアップガイドが板状であることを特徴とした請求項1に記載の長尺状シートの折り込みにおける折り返し補助機構。
【請求項3】
バックアップガイドが回転体であることを特徴とした請求項1に記載の長尺状シートの折り込みにおける折り返し補助機構。
【請求項4】
バックアップガイドが板状と回転体の併用であることを特徴とした請求項1に記載の長尺状シートの折り込みにおける折り返し補助機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は長尺状シートを折り込みながら連続加工する装置において、折り込み作業を円滑に実行できるようにする補助機構である。詳しくは、長尺状シートを使用した連続帳票や折り畳み葉書等の郵便物を、流れ方向の折り線に沿って連続的に折り込み重ね合わせながら封緘等の加工をする装置において、前記流れ方向の折り線に沿って連続的に二つ折りや三つ折りに折り込む動作を円滑ならしめる機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺状シートを使用した連続帳票や折り畳み葉書、封書等の郵便物は、印刷や印字を終えた長尺状シートを連続的に折り込み封緘する作業により仕上げられる。そして前記折り込みには例えば特開2006−44883号公報のシート折り込み装置等が使用されている
【0003】
前記シートの折り込み装置は、連続シートに一側面側から圧接して縦方向に沿う凹条を形成するシート押込み部材を、連続シートの送給方向と直交する軸心をもつ支軸と、この支軸に回転自在に支持され、その厚さ方向中央部の輪郭が大径円且つ厚さ方向両端側の輪郭が次第に小径円となる傾斜した凸状周縁を有する押込みローラとを有する構成とし、この押込みローラによって回転と同時に連続シートに折曲げ力を付与するようにしたもので、そのような構成により、封緘はがき等の製造に係る連続シートの折り曲げを容易に、且つ円滑に行えるようにするものである。
【0004】
なお、前記シートの折り込み装置は、「アングル」や「くせ折り機」等と称し、長尺状シートの加工現場で今日通常に使用されているものである。そしてそのような折り込み装置は、例えば特開平9−272660号公報の連続用紙処理装置や、特開2002−29183号公報の連続用紙の圧着裂断システム等の各種長尺状シートの処理システムの最上流に配置され、長尺状シートを折り込みながら下流の工程へ送り出している。
【先行技術文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−44883号公報
【特許文献2】特開平9−272660号公報
【特許文献3】特開2002−29183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば図7に示すように、前記工程の最上流に配置され、折り込み装置Xで折り込まれながら下流の上方に配置された給紙ローラ11に一旦引き上げられた長尺状シートSは、その後ピントラクタ12等の搬送システムにより下流の各種加工装置を通過して各種製品に仕上げられるのであるが、長尺状シートの折り合わされる紙片がほぼ同じ幅の折り込みであれば問題がないところ、図1に示すような異なる幅の紙片の折り込みの場合、図7に示す給紙ローラ11で各紙片が絞り込まれ折り畳まれて方向をほぼ水平に変える際に、或いは前記給紙ローラ11の上流に配置されている一対のサポートローラ13a、13b間を絞り込まれて通過する際に、折り込みに対して幅が狭い紙片が表出しているとその幅が狭い紙片に強い反発力が働き開いてしまい、前記サポートローラ13a、13b間を通過できずにジャミングを起こしたり、或いは給紙ローラ11部分で完全に各紙片を折り畳んだりすることができず、幅の狭い紙片が開いた状態で下流の工程へ送り出されてしまう等の事故が発生する。前記傾向は、特に長尺状シートがフィルムシートに被覆ラミネートされている場合に、被覆されたフィルムシートの弾性力が加わりより多く発生する。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、折り込み装置で折り込んだ長尺状シートを、下流の加工装置の給紙部へ送り込む際に、異なる幅の折り込みの場合、特に折り畳みに際して幅が狭い紙片が表出する場合に対応が可能な長尺状シートの折り込みにおける折り返し補助機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の長尺状シートの折り込みにおける折り返し補助機構は、折り込み装置により、折り込み後他の紙片の幅よりも半分以下の幅の紙片が表出する長尺状シートを折り畳みながら下流の加工装置へ給紙ローラにより送り出す際の折り返し補助機構であり、前記給紙ローラの下方から一対のサポートローラを通過して折り込まれながら連続供給される長尺状シートの半分以下の幅の紙片が折り畳みにより表出する面側と逆側の面に接触しながら前記逆側の面が前記一対のサポートローラをほぼ垂直状態で通過することができる位置で前記長尺状シートの折り込みを補助するバックアップガイドからなることを特徴としている。
【0009】
なお、前記バックアップガイドの長尺状シートの表出面との接触部分は、広域に渡りお互いが接触するように平面状であっても、或いは単数や複数の回転可能なローラにより構成されていても構わない。平面状等の形状で長尺状シートとの接触部分が多い場合、長尺状シートの搬送の抵抗を軽減するために、表面にフッ素加工等の滑り加工が施されていても構わず、逆に、例えば複数の横方向の溝を形成する等して搬送の抵抗を増やしても構わない。
【発明の効果】
【0010】
連続用紙の折り畳みの構成には例えば二つ折りや三つ折り(Z折り)等があるが、本発明は折り返し紙片の幅が他の紙片の幅と異なるために、折り込みに対する紙片同士の反発力が強く、折り畳み後に紙片同士が強く開く傾向にある場合に、折り込みから折り畳んだ長尺状シートを下流の工程へ送り出すサポートローラまでの間で紙片開きによるジャミング等の支障の発生を効果的に抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(A)及び(B)は実施例で使用する長尺状シートSの表面図及び裏面図である。
図2】(A)は折り込み装置Xからサポートローラ11までの間で折り畳まれる長尺状シートSの折り畳まれた状態を示す平面図である。(B)は前記(A)におけるI−I線断面図である。
図3】本発明の一実施例で、プレート状のバックアップガイドGを使用した場合の要部概略図である。
図4図3におけるプレート状のバックアップガイドGの斜視図である。
図5図4と異なる構成のバックアップガイドGの要部概略図である。
図6】(A)及び(B)は本加工工程で完成する郵便葉書の表面図及び裏面図である。(C)は前記(A)におけるII−II線断面図である。
図7】本発明が適用される加工工程の給紙部分を示す要部概略図である。
図8】本発明が適用される加工工程の給紙部分を図7よりさらに拡大して示した要部概略図である。
図9図8の要部概略図をわかりやすく説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、三つ折り圧着葉書を例に、図面に基づいて具体的に説明する。
図1に示すように、本実施例で使用する長尺状シートSは、第一紙片1、第二紙片2及び第三紙片3が折り用のミシン目4及び5を介して横方向に連接した単位シートtが、天地方向の切り取り用のミシン目6を介して縦方向に連接されている。そして第一紙片1及び第三紙片3の外側には切取線7(必ずしも表示される必要はなく切り取り用のミシン目等に代えても構わない)を介してマージナル孔8が設けられたマージナル部分9が連接されている。なお第一紙片1は他の2紙片に比較しておおよそ半分以下の幅になっている。そして各紙片の表裏面には各種情報が表示されていてもよいのであるが、本実施例では同図(B)に示すように、単位シートtの第三紙片3裏面には郵便切手欄と郵便番号欄が記載されており、さらに場合によってはこの面に受取人の住所氏名等が印字、印刷されている。
【0013】
既述のように構成された長尺状シートSは、例えば天地方向の切り取り用のミシン目6で蛇腹状に折り畳まれブロック状態で、図7に示すように、例えば圧着葉書加工工程の最上流に配置される。なお、前記長尺状シートSは、必ずしもブロック状態に折り畳まれて設置される必要はなく、例えばロール状に巻き取っておいて順次回転させながら繰り出すようにしてもよい。その際前記切り取り用のミシン目6は省略することができる。
【0014】
なお前記折り込み装置Xへ送り出されるまでに、図示されないインタースタッカ等により、第一紙片1の外側のマージナル部分9は切り落とされる。その後図7に示すように、折り込み装置Xにより図2に示す如く断面Z字状に折り畳まれながら給紙ローラ11へ引き上げられて、ほぼ水平に向きを変え右側に配置されているピントラクタ12により図示されない下流の圧着葉書加工工程へ牽引され送り出されるのである。
【0015】
前記折り込み装置Xから給紙ローラ11の間には、例えば図3、5、7、8及び9に示すように、折り込まれる長尺状シートSに強制的に折りくせを付けながら給紙ローラ11へ送り出す一対のサポートローラ13a、13bが設けられる(一対のガイドバーが折り畳まれて通過する長尺シートSを両側からカニの鋏で挟み込むようにする構造もある)。通常前記一対のサポートローラ13a、13bによりほぼ同じ幅の紙片が断面Z字状に折り畳まれる場合には効率よく折り込めるのであるが、図8、9に示すように、最上面の折り返し紙片の幅が狭い場合、図中の矢印Yに示すようにサポートローラ13a、13bでの押さえ込み幅が少ないため、どうしても紙片の反発力により前記第一紙片1が前記サポートローラ13a、13bの上流側で立ち上がる傾向にある。
【0016】
前記立ち上がった幅狭の第一紙片1が首尾よく一対のサポートローラ13a、13b間で折り畳まれて通過すればよいが、各紙片が樹脂フィルムでラミネートされていたり、長尺状シートSの斤量が大きくて各紙片が分厚い場合に、折り込みに対して強い反発力が発生し、前記一対のサポートローラ13a、13b間を通過するに際して、折りずれを起こしたりひどい場合には幅狭の第一紙片1が立ち上がったまま通過しようとし、前記一対のサポートローラ13a、13b間でジャミングを起こしたりする。
【0017】
本発明ではそのような事故を未然に防ぐために、図3に示すように一対のサポートローラ13a、13bの上流側にバックアップガイドGが設けられるのである。前記バックアップガイドGは、一対のサポートローラ13a、13bの上流側で第三紙片3がほぼ垂直状態で前記一対のサポートローラ13a、13bを通過することができる位置に設けられている。このようにすることにより、幅狭の第一紙片1が第二紙片2側に無理なく折り畳まれた状態に押さえ込まれて、そしてそれにより一対のサポートローラ13a、13b間を各紙片同士がストレスなく通過できるようになるのである。
【0018】
上記の手順で製造された圧着葉書は、図6に示すように断面がZ字状に折り畳まれており、各紙片の対向面同士が公知の疑似接着手段により剥離可能(或いは任意の対向面同士を剥離不能)に接着している。そして前記圧着葉書の受取人は前記疑似接着している対向面同士を開封して内部の情報を視認することができるのである。
【0019】
なお、図3で使用されているバックアップガイドGは、図4に示すように一枚のプレートを使用しているが横方向や縦方向(或いは斜め方向等)に複数枚に分割されていても構わない。
また、バックアップガイドGの形状は前記プレート等の板状に限らない。例えば図5に示すように、円柱形の回転体(図示していないが複数の回転体を配置しても構わない)を前記プレートに代えて、通過する長尺状シートSをバックアップしても構わない。この場合前記回転体は長尺状シートSの流れ方向に合わせて回転するため余分なバックテンションの発生を回避することが可能である。勿論前記プレートの場合、プレート表面にフッ素処理等の離型処理を施すことにより接触する長尺シートSの抵抗を軽減したり、或いは逆にすべりが良すぎる場合に抵抗を増やしたりするための処理(プレートに複数の横溝を形成して摩擦を増やす等)を施しても構わない。
さらに、前記回転体とプレートの両者を併用して使用しても構わない。
【符号の説明】
【0020】
S 長尺状シート
G バックアップガイド
t 単位シート
X 折り込み装置
1、2、3 紙片
4、5 折り用のミシン目
6、7 切り取り用のミシン目
8 マージナル孔
9 マージナル部分
11 給紙ローラ
12 ピントラクタ
13a、13b 一対のサポートローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9