(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の実施形態の例について説明する。
図1は、第1実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の概略構成の例を示す図である。
【0019】
本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置は、エンジン10、排気管12、ターボチャージャ14、吸気管16、インタークーラー18、NOx捕集装置20、吸蔵媒体22、NOx貯蔵槽24、循環ポンプ26、EGR管28、EGRクーラー30、NOxセンサ32、回転数・トルクセンサ34、NOx供給管36、NOx供給ポンプ38、添加弁40、及び記憶手段44を有するECU42、を含んで構成されている。
【0020】
エンジン10は内燃機関であり、シリンダ内で燃料を燃焼させることで動力を発生する。エンジン10は、例えばガソリンエンジン等の火花点火機関である。或いは、ディーゼルエンジン等の圧縮着火機関であっても良い。
【0021】
排気管12は、エンジン10の排気側に接続され、エンジン10から排出される排ガスの通路となる。エンジン10から排気管12内へ排出される排ガス中には、エンジン内で燃料が燃焼することで生じた、有害成分であるNOx(窒素酸化物)が含まれている。NOxとは、例えばNO(一酸化窒素)、NO
2(二酸化窒素)、N
2O(亜鉛化窒素)、N
2O
5(五酸化二窒素)、N2O3(三酸化二窒素)、N2O4(四酸化二窒素)、HNO3(硝酸)、NO3(硝酸イオン)、HNO2(亜硝酸)等である。
【0022】
ターボチャージャ14は、排気管12に設けられる。ターボチャージャ14は、排気管12を通ってきた排ガスを利用して内部に有するタービンを高速回転させ、その回転力で内部に有する遠心式圧縮機を駆動することにより、圧縮した空気をエンジン10内に送り込む。
【0023】
吸気管16は、ターボチャージャ14とエンジン10の吸気側とを接続する。吸気管16は、ターボチャージャ14で圧縮された空気の通路となる。
【0024】
インタークーラー18は、吸気管16に設けられる。インタークーラー18は、ターボチャージャ14で圧縮された空気を冷却し、エンジン10の単位容積当たりの吸気質量を増加させる。
【0025】
NOx捕集装置20は、排気管12に設けられる。NOx捕集装置20は、エンジン10の排ガス中のNOxを吸蔵媒体22に吸蔵させて、NOxを排ガスから分離する。NOx捕集装置20としては、例えば、排気通路と吸蔵媒体とが多孔質膜により隔てられ、排ガス中に含まれるNOxを排気通路から多孔質膜を通して吸蔵媒体に接触させて吸収させる膜型気液接触装置を用いることができる。或いは、NOxをシャワー状の吸蔵媒体22と向流接触させることで取り除くスクラバーを用いることができる。吸蔵媒体22の一例として水が挙げられるが、吸蔵媒体22として利用可能な媒体はこれに限られない。例えば、炭酸カリウムや炭酸ナトリウム等のアルカリ塩類、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等のアルカリ土類塩類、炭酸アンモニウムや炭酸水素アンモニウム等のアンモニウム塩類等が溶解された水溶液を用いても良い。或いは、イオン液体、無水アルコール、ガソリン等を用いても良い。吸蔵媒体22に水を用いた場合には、NOxは吸蔵媒体22に硝酸(HNO
3)或いは硝酸イオン(NO
3−)として吸蔵される。
【0026】
NOx貯蔵槽24は、NOxを貯蔵した吸蔵媒体22を含む吸蔵媒体22を貯留するために設けられ、NOx捕集装置20に接続される。NOx貯蔵槽24は、循環ポンプ26を備える。
【0027】
循環ポンプ26は、NOx貯蔵槽24から吸蔵媒体22を汲み上げ、NOx捕集装置20へ供給する。NOx捕集装置20においてNOxを吸蔵した吸蔵媒体22は、NOx貯蔵槽24へ戻される。このように、吸蔵媒体22は、NOx捕集装置20とNOx貯蔵槽24との間を循環する。
【0028】
EGR管28は、排気再循環管であり、エンジン10の吸気側と排気側とを接続する。エンジン10の排ガスの一部は、EGR管28を経由して吸気側に戻される。これにより、エンジン10の燃焼室における燃焼温度を低下させ、NOxの発生量を低減させる効果がある。
【0029】
EGRクーラー30は、EGR管28に設けられる。EGRクーラー30は、エンジン10の吸気側へ戻されるエンジン10の排ガスを冷却する。
【0030】
NOxセンサ32は、NOx貯蔵槽24に設けられ、吸蔵媒体22が吸蔵したNOxの量を検出する。例えば、吸蔵媒体に水が用いられている場合には、NOxセンサ32は、水中の硝酸イオンの量を検出するNO
3計測センサやpH計測センサとなる。
【0031】
回転数・トルクセンサ34は、エンジン10に設けられ、エンジン10の回転数及びトルクを検出する。エンジン10の回転数を検出するセンサは、例えばクランク角センサである。また、エンジン10のトルクを検出するセンサは、例えば磁歪式トルクセンサである。
【0032】
NOx供給管36は、一端がNOx貯蔵槽24に接続される。NOx供給管36は分岐しており、他端はエンジン10、吸気管16、及びEGR管28にそれぞれ接続されている。
【0033】
NOx供給ポンプ38は、NOx供給管36に設けられる。NOx供給ポンプ38は、NOx貯蔵槽24から吸蔵媒体22を汲み上げ、吸蔵媒体22をNOx供給管36に供給する。
【0034】
添加弁40は、NOx供給管36に設けられる。添加弁40は、エンジン10、吸気管16、及びEGR管28の近傍にそれぞれに設けられている。添加弁40は、開閉することでNOx供給管36内における吸蔵媒体22の流れを制御する。NOx供給管36、NOx供給ポンプ38、及び添加弁40が、吸蔵媒体に吸蔵されたNOxをエンジン10の燃焼室に供給するための供給手段となる。
【0035】
ECU42は、CPUや記憶手段44等を備えた電子制御ユニットであり、エンジン10その他の装置の電子制御を行う。ECU42は、NOx供給ポンプ38の圧力制御及び添加弁40の開閉制御を行い、エンジン10の燃焼室に供給するNOx量を制御する。また、ECU42は、NOxセンサ32及び回転数・トルクセンサ34から検出された値等を受け取り、これらに基づいた演算を行う。
【0036】
記憶手段44は、例えばRAMやROMであり、ECU42からアクセス可能に設けられる。記憶手段44は、ECU42が受け取ったNOxセンサ32及び回転数・トルクセンサ34から検出された値を記憶する。また、記憶手段44は、後述する浄化率マップを記憶する。
【0037】
以下、第1実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の動作を説明する。
図2は、第1実施形態における排気浄化装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
ステップS10において、ECU42は、NOx貯蔵槽24に貯蔵されている吸蔵媒体22のNOx貯蔵量を取得する。具体的には、ECU42は、NOxセンサ32が検出した値を受け取ることで吸蔵媒体22のNOx貯蔵量を取得する。ECU42は、取得したNOx貯蔵量の値を記憶手段44に記憶させる。
【0039】
ステップS12において、ECU42は、取得した吸蔵媒体22のNOx貯蔵量が所定値以上であるか否かを判断する。吸蔵媒体22のNOx貯蔵量が所定値以上である場合には(ステップS102において「はい」)ステップS14に進む。吸蔵媒体22のNOx貯蔵量が所定値以上でない場合(ステップS102において「いいえ」)は、処理を何も行わずに終了する。後述の通り、吸蔵媒体22に吸蔵されているNOx量が多いほど効率的にNOxの低減を行うことができる。したがって、本実施形態では、吸蔵媒体22に吸蔵されたNOx量が所定値以上である場合にのみ、吸蔵媒体22に吸蔵されたNOxをエンジン10の燃焼室へ供給する処理を行うようにしている。
【0040】
ステップS14において、ECU42は、吸蔵媒体22に吸蔵されたNOxをエンジン10の燃焼室へ供給する。具体的には、NOx供給ポンプ38にECU42が予め設定した圧力で吸蔵媒体22を汲み上げさせ、添加弁40をECU42が予め設定した時間開弁させる。本実施形態においては、添加弁40を3つ有しているが、いずれの添加弁40から吸蔵媒体22に吸蔵されたNOxを供給させても良い。例えば、エンジンの運転状況に応じて、エンジン10の燃焼室に直接供給しても良いし、EGR管28内に放出しEGR管28を介して燃焼室に供給するようにしても良いし、或いは、吸気管16内に放出し吸気管16を介して燃焼室に供給するようにしても良い。
【0041】
本実施形態では、エンジン10の燃焼室へNOxを供給することで、エンジン10が排出するNOxの量を低減させている。NOxは、燃料中に含まれる窒素(N)や空気中の窒素(N)が高温燃焼時に酸化されることで発生する。そして、この化学反応は平衡反応であり、NOxはゼルドビッチ機構に基づいて生成される。ゼルドビッチ機構は次の化学反応式で表される。
N
2+O⇔NO+N
O
2+N⇔NO+O
N+OH⇔NO+H
ここで、NOxが平衡反応により発生することに注目し、燃料の燃焼時に燃焼室内に所定量のNOxを供給することで、燃焼時におけるNOxの発生を抑えると同時に、供給したNOxを分解させている。
【0042】
本実施形態では、吸蔵媒体22として水を使用しており、NOxを吸蔵した水をエンジン10の燃焼室へ供給しているため、NOx貯蔵槽24内の水量が減少する。このため、エンジン10排気中の水分を回収してNOx貯蔵槽24へ供給することで、NOx貯蔵槽24内の水量を規定値以上に保っている。或いは、水を外部から補充するようにしても良い。NOx貯蔵槽24内の吸蔵媒体22の量はセンサ等で常に監視されている。
【0043】
上述の通り、本実施形態においては、吸蔵媒体22に吸蔵されたNOxをエンジン10の燃焼室へ供給している。これにより、従来と比較して、より効率的にエンジン10のNOx排出量を低減させることを可能にしている。また、NOxの吸蔵をNOx捕集装置20において行い、NOxの分解をエンジン10の燃焼室内で行っている、すなわちNOxの分解と吸蔵を別々の装置において行っているため、NOxの分解と吸蔵を同時に行うことを可能にしている。
【0044】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置について説明する。
図3は、第2実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の概略構成の例を示す図である。第2実施形態では、第1実施形態の構成に加え、酸化剤生成装置50、酸化剤供給弁52、改質装置54、及びNOx変換装置56を有している。第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0045】
酸化剤生成装置50は、酸化剤を生成する。本実施形態では、酸化剤としてオゾンを用いるがこれに限られない。酸化剤生成装置50は、例えば電解法によりオゾンを生成する。電解法は、水を電気分解することによってオゾンを生成する。
【0046】
酸化剤供給弁52は、開閉により改質装置54に酸化剤生成装置50で生成された酸化剤を供給する。酸化剤供給弁52はECU42により制御される。
【0047】
改質装置54は、排気管12のNOx捕集装置20の上流側に設けられる。改質装置54は、NOxの吸蔵媒体22への吸蔵を促す装置であり、NOxから硝酸への変換を促す装置である。改質装置54は、硝酸生成触媒を備え、酸化剤供給弁52によりオゾンが添加され、排ガス中のNOxと水蒸気にオゾンを反応させて硝酸を生成させる。
【0048】
NOx変換装置56は、NOx供給管36に設けられ、吸蔵媒体22中に含まれる硝酸又は硝酸イオンをNOxに分解する。NOx変換装置56により分解されたNOxがNOx供給管36を経由して添加弁40によりNOx変換装置56からエンジン10の燃焼室に供給される。NOxが分解された吸蔵媒体22はNOx貯蔵槽24へ戻されても良い。
【0049】
エンジン10から排出される排ガス中のNOxを水等の吸蔵媒体22に直接吸蔵させる場合、吸蔵速度が遅く効率よくNOxを吸蔵媒体22に吸蔵させることができない。一方、硝酸の水に対する吸蔵速度はNOxを直接水へ吸蔵させる場合よりも高い。そこで、本実施形態では、NOx捕集装置20の処理の前に、改質装置54によりNOxを予め硝酸に変換している。これにより、NOxを効率よく吸蔵媒体22へ吸蔵させることを可能にしている。
【0050】
本実施形態では、酸化剤生成装置50で生成されたオゾンを改質装置54へ供給することでNOxを硝酸へ変換しているが、他の方法でNOxを硝酸へ変換するようにしても良い。例えば、吸蔵媒体22に過酸化水素等の酸化剤を添加することで硝酸の生成反応を促進するようにしても良い。
【0051】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の動作を説明する。第3実施形態に係る排気浄化装置の構成は、第1実施形態と同様である。
図4は、第3実施形態における排気浄化装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
ステップS100において、ECU42は、NOx貯蔵槽24に貯蔵されている吸蔵媒体22のNOx貯蔵量を取得する。具体的には、ECU42は、NOxセンサ32が検出した値を受け取ることで吸蔵媒体22のNOx貯蔵量を取得する。ECU42は、取得したNOx貯蔵量の値を記憶手段44に記憶させる。
【0053】
ステップS102において、ECU42は、取得した吸蔵媒体22のNOx貯蔵量が所定値以上であるか否かを判断する。吸蔵媒体22のNOx貯蔵量が所定値以上である場合には(ステップS102において「はい」)ステップS104に進む。吸蔵媒体22のNOx貯蔵量が所定値以上でない場合(ステップS102において「いいえ」)は、処理を何も行わずに終了する。後述の通り、吸蔵媒体22に吸蔵されているNOx量が多いほど効率的にNOxの低減を行うことができる。したがって、本実施形態では、吸蔵媒体22に吸蔵されたNOx量が所定値以上である場合にのみ、吸蔵媒体22に吸蔵されたNOxをエンジン10の燃焼室へ供給する処理を行うようにしている。
【0054】
ステップS104において、ECU42は、エンジン10の回転数及びトルクを取得する。回転数及びトルクの取得は、回転数・トルクセンサ34からの値を受け取ることで行う。或いは、ECU42は、アクセルペダルの踏み込み具合を検出してエンジン10のトルクを算出するようにしても良い。
【0055】
ステップS106において、ECU42は、エンジン10の燃焼室に供給するNOx量を設定する。具体的には、ECU42はNOx供給ポンプ38の圧力及び添加弁40の開閉時間を設定することで、燃焼室に供給するNOx量を設定する。
【0056】
ステップS108において、ECU42は、記憶手段44から設定した燃焼室に供給するNOx量に応じた浄化率マップを読み出す。
【0057】
ここで、浄化率及び浄化率マップについて説明する。浄化率は、以下の式で表される。
浄化率={(NOx供給量−NOx排出量)/(NOx供給量)}×100 (%)
上記式の通り、浄化率とは、NOx供給量からNOx排出量を引いた差をNOx供給量で除した値の百分率である。ここで、NOx供給量とは、エンジン10に供給されるNOxの量である。NOx排出量とは、NOxが供給されたときのサイクルの燃焼によりエンジン10が排出するNOxの排出量である。
【0058】
図5は、浄化率マップの例を示す図である。浄化率は、NOx供給量、エンジン10の回転数及びトルクに応じて変動する。浄化率マップとは、NOx供給量が所定値のときに、エンジン10の回転数及びトルクの変化に応じて浄化率がどのように変動するのかを示したマップである。すなわち、浄化率マップは、燃焼室に供給されるNOx量、エンジン10の回転数及びトルクと、浄化率との対応関係を示している。浄化率マップは、エンジン10の回転数、トルク、及びNOx供給量に対する浄化率を計測することで予め作成され、記憶手段44に記憶される。
【0059】
図5に示す浄化率マップは、NOx供給量が2.5(L/min)、NO(100%)であるときの浄化率マップである。
図5に示す浄化率マップは、例えば回転数が2000(rpm)、トルクが50(Nm)である場合は、浄化率は約25%であることを示している。また、例えば回転数が2500(rpm)、トルクが120(Nm)である場合には、浄化率は0%未満であることを示している。
【0060】
図6は、浄化率マップの他の例を示す図である。
図6に示す浄化率マップは、NOx供給量が1.0(L/min)、NO(100%)であるときの浄化率マップである。
図6に示す浄化率マップは、例えば回転数が2500(rpm)、トルクが60(Nm)である場合は、浄化率は約0%であることを示している。
【0061】
図5及び
図6に示されている通り、エンジン10の回転数及びトルクが同じ値であれば、NOx供給量が多い程浄化率が高くなる傾向がある。したがって、NOx供給量が多い程効率的にNOxの浄化を行うことが可能である。
【0062】
ステップS110において、ECU42は、記憶手段44から読み出した浄化率マップを参照し、取得したエンジン10の回転数及びトルクにおける浄化率が0%以上であるか否かを判断する。浄化率が0%以上である場合(ステップS110で「はい」)は、ステップS112に進む。浄化率が0%未満である場合(ステップS110において「いいえ」)は、処理を何も行わずに終了する。
【0063】
ステップS112において、ECU42は、吸蔵媒体22に吸蔵されたNOxをエンジン10の燃焼室へ供給する。具体的には、NOx供給ポンプ38にステップS106で設定した圧力で吸蔵媒体22を汲み上げさせ、添加弁40をステップS106で設定した時間開弁させる。本実施形態においては、添加弁40を3つ有しているが、いずれの添加弁40から吸蔵媒体22に吸蔵されたNOxを供給させても良い。例えば、エンジンの運転状況に応じて、エンジン10の燃焼室に直接供給しても良いし、EGR管28内に放出しEGR管28を介して燃焼室に供給するようにしても良いし、或いは、吸気管16内に放出し吸気管16を介して燃焼室に供給するようにしても良い。
【0064】
本実施形態では、燃焼室へ供給するNOx量を予め設定し、設定したNOx量に対応した浄化率マップに基づいて燃焼室内へNOxを供給するタイミングを制御しているが、検出したエンジン10の回転数及びトルクに基づいて、浄化率が0%以上となるように燃焼室へ供給するNOx量を適宜変動させるようにしても良い。
【0065】
図7は、エンジン10の所定の回転数及びトルクに対するNOx供給量と浄化率の関係を示す図である。
図7(a)は、エンジン10の回転数が1500(rpm)、トルクが30(Nm)であるときの、エンジン10の燃焼室へのNOx供給量と浄化率との関係を示している。また、
図7(b)は、エンジン10の回転数が2000(rpm)、トルクが60(Nm)であるときの、エンジン10の燃焼室へのNOx供給量と浄化率との関係を示している。エンジン10の回転数及びトルクが同じ値であれば、NOx供給量が多い程浄化率が高くなる傾向は、
図7(a)からも読み取ることができる。
【0066】
例えば、ECU42が設定した燃焼室へ供給するNOx量が0.5(L/min)であり、エンジン10の回転数が2000(rpm)、トルクが60(Nm)の場合は、
図7(b)によれば浄化率は約−25%、すなわち0%未満となっている。このとき、ECU42は、
図7(b)に示される対応関係に基づいて、浄化率が0%以上となるように燃焼室へ供給するNOx量を適宜変動させるようにしても良い。具体的には、燃焼室へ供給するNOx量を例えば1.5(L/min)に変更して、1.5(L/min)の量のNOxを燃焼室へ供給するようにする。
図7(b)が示す通り、エンジン10の回転数が2000(rpm)、トルクが60(Nm)、NOx供給量が1.5(L/min)が10から20%の間、すなわち0%以上である。
【0067】
本実施形態では、吸蔵媒体22として水を使用しており、NOxを吸蔵した水をエンジン10の燃焼室へ供給しているため、NOx貯蔵槽24内の水量が減少する。このため、エンジン10排気中の水分を回収してNOx貯蔵槽24へ供給することで、NOx貯蔵槽24内の水量を規定値以上に保っている。或いは、水を外部から補充するようにしても良い。NOx貯蔵槽24内の吸蔵媒体22の量はセンサ等で常に監視されている。
【0068】
上述の通り、本実施形態においては、浄化率が0%以上の場合にのみ、吸蔵媒体22に吸蔵されたNOxをエンジン10の燃焼室へ供給している。これにより、従来と比較して、より効率的にエンジン10のNOx排出量を低減させることを可能にしている。また、NOxの吸蔵をNOx捕集装置20において行い、NOxの分解をエンジン10の燃焼室内で行っている、すなわちNOxの分解と吸蔵を別々の装置において行っているため、NOxの分解と吸蔵を同時に行うことを可能にしている。
【0069】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の動作を説明する。第4実施形態に係る排気浄化装置の構成は、第1実施形態と同様である。
図8は、第4実施形態における排気浄化装置の処理の流れを示すフローチャートである。ステップS100からS112は第3実施形態と同様であるため説明を省略する。本実施形態では、浄化率が0%未満であると判断された場合(ステップS110において「いいえ」)の場合、ステップS120に進み、以後第3実施形態と異なる処理を行う。
【0070】
ステップS120において、吸蔵媒体22のNOx貯蔵量が第2の値以上であるか否かを判断する。NOx貯蔵量が第2の値以上である場合(ステップS120で「はい」)は、ステップS122に進む。NOx貯蔵量が第2の値未満である場合(ステップS120で「いいえ」)は、処理を何も行わずに終了する。ここで、第2の値とは、ステップS102における吸蔵媒体22のNOx貯蔵量の判断の閾値である第1の値よりも大きい値である。第2の値は、例えば、吸蔵媒体22のNOx貯蔵量がそれ以上大きくなると、NOx捕集装置20におけるNOxの吸蔵に支障を来たす程度の量である。
【0071】
ステップS122では、ECU42は、エンジン10の出力を一定に保ちつつ、回転数及びトルクを浄化率が0%以上となるように変動させる。
図6には等出力線100が描かれている。例えば、エンジン10の回転数が1300(rpm)、トルクが80(Nm)の状態である場合、ECU42は、等出力線100に沿うようにエンジン10の回転数及びトルクを変動させる。そして、例えば回転数を2000(rpm)、トルクを20(Nm)とする。変動させた後のエンジンの運転条件では、浄化率は10%から20%までの間、すなわち0%以上となっている。
【0072】
ステップS122でエンジンの運転条件を変動させた後、ステップS112に進み、ECU42は、吸蔵媒体22に吸蔵されたNOxをエンジン10の燃焼室へ供給する。
【0073】
図8に示したフローチャートでは、ステップS110で浄化率が0%未満であると判断された場合に、ステップS120において、吸蔵媒体22のNOx貯蔵量を判断しているが、この判断を省略しても良い。すなわち、ステップS110で浄化率が0%未満である判断された場合に、直ちにステップS122へ進み、浄化率が0%以上となるようにエンジン10の回転数及びトルクを変動させるようにしても良い。
【0074】
上述の通り、本実施形態においては、浄化率が0%未満の場合であっても、エンジン10の回転数及びトルクを、エンジン10の出力を一定に保ちつつ変動させて浄化率を0%以上とした後、吸蔵媒体22に吸蔵されたNOxをエンジン10の燃焼室へ供給している。これにより、浄化率が0%未満となるエンジンの運転状態であっても、吸蔵媒体22のNOx貯蔵量が所定値以上大きくなり、NOx捕集装置20におけるNOxの吸蔵に支障を来たすことを防ぐことを可能にしている。
【0075】
<第5実施形態>
以下、第5実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0076】
本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置では、
図22に示すように、内燃機関1の排気中のNOxを吸蔵媒体に吸蔵してNOxを排ガスから分離するNOx捕集装置2と、NOxが吸蔵された吸蔵媒体を貯蔵するNOx貯蔵タンク3と、前記NOx貯蔵タンクの吸蔵媒体を内燃機関のエンジンの吸気系を経由または内燃機関の燃焼筒内に添加する添加装置4と、前記添加装置により吸蔵媒体が添加される添加場の状態を検出する添加場状態検出装置5と、検出された添加場の状態に応じて、前記吸蔵媒体の添加タイミングを制御するコントローラ6と、を含む。なお、NOxを吸蔵する吸蔵媒体については、以下捕集液として記す。
【0077】
「装置の全体構成」
図9は、実施形態の構成を示す図である。上述の第1〜第4実施形態と同様である構成については、同一の番号を付し、説明を省略する。
【0078】
エンジン10の気筒10aには、吸気弁(図示省略)が設けられ、この吸気弁を介し、吸気管16が接続されている。吸気管16の先端にはエアフィルタ15が取り付けられており、ここでフィルタリングされた空気がターボチャージャ14、インタークーラー18、吸気バルブ90を介し、エンジン10の気筒(筒)10a内に供給される。ターボチャージャ14は、排気によって吸気量を増加させ、インタークーラー18は吸気を冷却して、吸気量を増加させる。
【0079】
エンジン10の気筒10aには、排気弁(図示省略)が設けられ、この排気弁を介し、排気管12が接続されている。排気管12は、ターボチャージャ14を介し、NOx捕集装置20が接続されており、ここでNOxが除去された後、排ガスが放出される。他の有害排出物を除去する必要があれば、対応した処理装置を設けるとよい。
【0080】
EGR管28には、排気循環のタイミング、量などを制御するためにEGR弁29が設けられている。
【0081】
「気筒内添加」
ここで、
図9に示す例では、NOx供給管36は、添加弁40を介し、気筒10a内に捕集液を供給する供給ノズルに接続されている。従って、NOx供給ポンプ38を駆動した状態で、添加弁40を開くことで、NOx貯蔵槽24内の捕集液が気筒10a内に供給される。この捕集液を気筒10a内に供給するタイミングおよび量は、コントローラであるECU42が制御する。
【0082】
また、捕集液の添加タイミングが悪いと、捕集液が吸排気管やEGR管内に侵入し、そこに止まり、吸気管やEGR管の腐食が進みやすい。そこで、このような事態を防止する必要もある。
【0083】
本実施形態において、捕集液は、気筒10a内に直接添加される。ディーゼルエンジンの場合、捕集液は気筒10aにおける圧縮工程の燃料噴射と同時あるいは着火後に噴射する。これによって、燃焼時におけるNOx濃度を所望のものに設定でき、また捕集液はすぐに気化するので気筒10aに液状で付着することを防止できる。なお、ガソリンエンジンでは、点火直後または着火直後のタイミングが好適である。このようなタイミングで、捕集液を添加することで、捕集液が添加直後に気化し、シリンダなどに付着することがなく、また燃料燃焼時に吸気と同様にして気筒10a内にNOxとして存在できる。
【0084】
図10には、本実施形態における変形例が示してあり、この例では、NOx変換装置56と、NOx(ガス)貯蔵槽58を有している。また、
図11には、この構成における捕集液の供給系のみを示してある。
【0085】
このように、NOx貯蔵槽24内の例えば硝酸類を含む捕集液はNOx供給ポンプ38によって、NOx変換装置に供給され、生成されたガス状のNOxがNOx(ガス)貯蔵槽58に一旦貯蔵され加圧された後、添加弁40を介し、気筒10a内に添加される。この添加のタイミングは、ECU42によって制御される。
【0086】
NOx変換装置56は、例えば熱処理によって、硝酸類をNOxガスに変換する。この際、白金などの硝酸分解触媒を利用することが好適である。硝酸類の熱分解のためには、数100°C(200〜500°C程度)に加熱することが好適であり、このためにエンジンの排熱を利用することが好適である。また、変換後のNOxガスにおけるNOx濃度は高い方がよい。そこで、NOxセンサ32により検出したNOx濃度が所定値以上の場合に、NOx変換装置56に捕集液を送るとよい。
【0087】
NOx変換装置56からのNOxガスは、NOx(ガス)貯蔵槽58内に貯蔵され、圧力が上昇する。NOx(ガス)貯蔵槽58には、その内部圧力を検出する圧力センサ94が設けられており、気筒10aには、気筒内の圧力を計測する圧力センサ96が添加場状態検出装置として設けられている。ECU42は、これら圧力センサ94,96の検出値に基づいて、気筒10a内の圧力が、NOx(ガス)貯蔵槽58内で加圧されたNOxの圧力よりも低い場合には気筒10a内への添加が可能と判断され、かつエンジン10の動作を制御しているECU42からの信号で運転状態がNOxを十分に浄化できる状態と判断された場合に、気筒10a内に添加される。
【0088】
上述したように、ディーゼル機関の場合は、燃料噴射と同時もしくは着火後に、ガソリン機関の場合は火花添加され着火後に添加されるのが望ましい。これらのタイミングは噴射・着火時期の制御信号よりコントロールされる。
【0089】
なお、エンジン10の回転数、出力トルクに応じて、燃焼によってNOxが減少するか否かも変化するため、これも考慮する。
【0090】
ここで、
図12には、
図10、11の構成におけるECU42による、捕集液添加制御のフローチャートを示す。
【0091】
まず、NOxセンサ32により捕集液中のNOx濃度を計測し(S211)、計測したNOx濃度を設定値と比較する(S212)。添加されるNOx量としては、2.5(L/min)以上が望ましい。
【0092】
NOx濃度が所定値以上であれば、エンジン10の回転数、出力トルク(これらは車両において常に把握している)を取り込み(S213)、エンジン10の運転状態から、NOxが浄化できる運転状態かを判定する(S214)。浄化できる状態であれば、NOx供給ポンプ38を作動させ捕集液をNOx変換装置56に添加する(S215)。
【0093】
気筒10a内圧力と、NOx(ガス)貯蔵槽58内圧力(噴射圧)を比較し(S216)、噴射圧の方が高い場合には、燃焼時期のタイミングに合わせ、噴射弁をオンして、NOxガスを気筒10a内に添加する(S217)。
【0094】
なお、S212で設定値以下、S214で浄化できない、S216で噴射圧の方が低い場合には、NOxの添加は行わず処理を終了する。
【0095】
このように、NOxの浄化が行える場合であって、添加に問題がないタイミングで、NOxを気筒10aに添加するため、確実なNOxの処理が行える。また、本実施形態では、NOxガスを添加するため、気筒への悪影響が少ない。
【0096】
「吸気弁近傍の吸気管内添加」
図13には、気筒10aの吸気弁60近傍の吸気管16にNOxを添加する例を示してある。このように、吸気弁60の開閉を検出する弁開閉検出装置80により、対応する吸気弁60の開閉状態を検出し、吸気弁60が開の状態で、添加弁40を開き、NOxを添加する。この例では、NOx変換装置56、NOx(ガス)貯蔵槽58を有しており、ガス状のNOxが添加されるが、これに限らず液状のNOx(硝酸類)を直接添加してもよい。
【0097】
ここで、この実施形態では、吸気管にNOxを添加するが、吸気弁60が閉じているタイミングでNOxを添加すると、吸気管16やEGR管28に悪影響を及ぼす可能性がある。特に、液状のNOxを添加する場合には、悪影響が大きい。そこで、本実施形態では、弁開閉検出装置80によって吸気弁60が開の状態であることを検出して、NOx添加のタイミングを調整する。
【0098】
図14には、吸気弁60の開閉と、添加弁の開閉を機械的に連動させる構成例が示されている。吸気弁60は、カム62の回転によって吸気弁60の上部バー60aが上下して開閉する。図には、カム62によって、吸気弁が押し下げられて開になっている状態が示してある。吸気弁60の上部バー60aには一対のバーをジョイント64aで連結し下方が開いている逆V字状の連動機構64が接続されている。そして、連動機構64の上部バーの一端が吸気弁60のバー60aに回動自在に固定されており、その上部バーの中間部分がピンで位置が固定され、ここが支点になっている。そこで、吸気弁60が上方に移動すると、連動機構64のジョイント64aが下方に移動する。連動機構64の下方バーの先端は、添加弁68に接続されており、連動機構64の下方バーが下方に移動することによって添加弁68が開となる。添加弁68には、NOx供給管70が接続されているため、添加弁68が開となることによって、吸気管16内にNOxガスが添加される。
【0099】
このように、
図14の例では、吸気弁60と、添加弁68が機械的に接続されており、吸気弁60の開動作と、添加弁68の開動作が連動されている。従って、吸気弁60の開動作を検出して、添加弁68を開制御すること、機械的機構を用いて自動的に行うことができる。
【0100】
図15には、添加弁68の開閉についての他の構成例が示してある。この例では、吸気弁60を駆動するカム62の回転を回転位置計測装置72により計測する。そして、この回転位置計測装置72の検出結果に基づいて吸気弁60の開を検出し、噴射制御装置74が添加弁を制御する。この構成によっても、吸気弁60の開に応じてNOxを吸気管16内の吸気弁60の近傍に供給することができる。
【0101】
図16には、添加弁68の開閉についてのさらに他の構成例が示してある。この例では、吸気弁の動きを弁開閉検出装置80によって検出する。この弁開閉検出装置80は、吸気弁60のバーに取り付けられた永久磁石80aと、この永久磁石80aの周囲に配置されたコイル80bを有し、永久磁石80aの動き(吸気弁60の開)をコイル80bに流れる電流として検知する。弁開閉検出装置80には、噴射制御装置82が接続されており、噴射制御装置82が吸気弁60の開状態において、添加弁68を開として、NOxの添加を制御する。
【0102】
このように、吸気弁60近傍の吸気管16内にNOxを添加する場合には、吸気弁60が開状態であることが条件となる。さらに、液状のNOxを添加する場合には、吸気弁60近傍の温度が所定以上であることが好適である。すなわち、液状のNOxが吸気管16や吸気弁60に付着することを防止できる。
【0103】
「インタークーラー手前の吸気管内添加」
図17には、吸気管16のインタークーラー18の上流側にNOxを添加する構成を示している。ターボチャージャ14の下流側でインタークーラー18の上流側の吸気管16内の吸気状態を添加場状態検出装置98によって検出し、この状態に応じてECU42が添加弁40の開閉を制御する。すなわち、インタークーラー18の上流側のNOxの添加場における、吸気管16内の吸気流速などを検出し、NOxの添加の可否を判定する。エンジン10は、通常複数の気筒10aを有しており、各気筒の吸気弁60開放のタイミングはずれている。また、インタークーラー18の上流側では、吸気の流れはある程度平均化されているが、吸気量は出力トルク、エンジン回転数などによって大きく異なる。本実施形態においては、添加場状態検出装置98において検出した吸気流速が所定値以上の場合に、NOxの添加を許可する。もちろん、上述したエンジン10の運転状態から、NOxを添加できる状態であることも考慮する。
【0104】
また、吸気弁60が開であって、EGR弁29が閉であることを条件とすることも好適である。これによって、吸気管16内の流速が所定以上であることが担保される。
【0105】
ここで、車両の運転状態が変化している場合、吸気管16内の状態が大きく変化する。この例の場合、添加されたNOxが実際にエンジン10の気筒10a内に到達するまでに所定の時間が掛かる。従って、エンジン10の運転状態から、NOxを添加してよいと判断されても、実際にエンジン10の気筒10a内にNOxが供給される時には状態が変わってしまう場合がある。そこで、定常運転時においてNOxを添加するよう制御することが好適である。さらに、液状のNOxを添加する場合には、吸気弁60近傍の温度が所定以上であることが好適であり、これによって、液状のNOxが吸気管16に付着することを防止できる。なお、
図17ではインタークーラー18の上流側にNOxを添加しているが、吸気バルブ90とインタークーラー18の間で添加しても構わない。
【0106】
「EGR管内添加」
図18には、NOxをEGR管のEGRクーラー30の上流側に添加する例を示してある。この例では、添加場状態検出装置98において、NOxを添加するEGRクーラー30の上流側の状態を検出し、検出結果に基づいて添加弁40を開閉してNOxの添加を制御する。この場合、上述の吸気管16への添加の場合と同様に、EGR管28内の流速が所定値以上である時点で、NOxを添加することが好適である。この例では、上述の吸気管内添加と同様に定常運転であることを条件とすることが好適であり、またEGR弁29が下位であることを条件とするとよい。さらに、液状のNOxを添加する場合には、添加場所の温度が所定以上の場合に限定することも好適である。
【0107】
EGR管28内に流れるガスは、もともとNOxを含んでおり、これにNOxを添加することで、NOx濃度をより高くできる。エンジン10の気筒10aに供給するNOx濃度を高く維持しやすい。そこで、このEGR管28内にNOxを供給することが好ましい。
【0108】
「添加場所の制御」
図19には、複数の添加場所を用意した例を示す。すなわち、(i)気筒10a内、(ii)吸気弁近傍の吸気管16内、(iii)インタークーラー18の上流側の吸気管16内、(iv)EGRクーラー30の上流側のEGR管内、の4つ添加場所を用意してあり、対応する添加弁40a〜40dの開閉を制御することによって、いずれかの場所を選択して、NOxを添加することができる。
【0109】
そして、添加場状態検出装置98により、4つの添加場所の状態をそれぞれ検出しておき、適切な添加場所に対し、NOxを選択的に添加する。
【0110】
図20には、4つの添加場所の選択について示してある。優先順位として、(1)(iv)EGR管28内の添加、(2)(iii)インタークーラー18の上流側の吸気管16内、(3)(ii)吸気弁近傍の吸気管16内、(4)(i)気筒10a内、という順が採用される。これによって、(1)EGR弁開、添加場所温度所定以上、定常運転の場合にEGR管内、(2)上記(1)以外で、EGR弁閉、吸気弁開、定常運転の場合に吸気管内、(3)上記(1)(2)以外で、吸気弁近傍の温度が所定以上の場合に吸気弁近傍、(4)上記(1)(2)(3)以外の場合に気筒内、にNOxが添加される。
【0111】
図21には、この例の場合の処理のフローチャートが示されている。
【0112】
このように、NOx貯蔵槽24内のNOx濃度を計測し(S221)、所定値以上であれば(S222)、エンジン10の運転状態を取り込み(S223)、NOxが浄化できる運転状態かを判定し(S224)、浄化できる状態であれば、添加場状態検出装置98により4箇所の添加場所の状態を検出する(S225)。そして、上述の優先順位に従って、添加場所を決定し(S226)、NOx供給ポンプ38を作動させ、NOxを適切な添加場所に添加する(S227)。なお、NOx変換装置56、NOx貯蔵槽58を経由して、NOxガスを添加場所に添加することも好適である。
【0113】
なお、S222で設定値以下、S224で浄化できない場合には、NOxの添加は行わず処理を終了する。
【0114】
このように、4つの添加場所を用意し、添加場所の条件に応じて、添加場所を選択することで、NOx添加可能な状態を多くでき、また最適の添加場所を選択して、NOxを添加することができる。
【0115】
<第6実施形態>
以下、第6実施形態について、図面に基づいて説明する。
図23は、本実施形態の構成を示す図である。上述の第1〜第5実施形態と同様である構成については、同一の番号を付し、説明を省略する。
【0116】
「硝酸類の熱分解」
ここで、捕集液においては、NOxは、基本的に水に溶解して硝酸態となっている。このような硝酸類は上述した気筒10a内の燃焼反応時にNOxとして機能せず、NOxを十分減少することができない。そこで、
図23の例では、NOx貯蔵槽24内の硝酸類を含む捕集液はNOx供給ポンプ38によって、NOx変換装置56に供給され、ここで硝酸類がNOxに分解される。すなわち、硝酸類は、下記の反応(熱分解)により、ガス状のNOx(NO
2またはNO)に分解される。
4HNO
3→4NO+2H
2O+O
2
2NO
2←→2NO+O
2
【0117】
NOx変換装置56においては、硝酸類の分解に熱分解が利用される。
図23の例では、熱回収部102において、エンジンの排熱(排気の熱)を回収し、これを硝酸類の分解の際の熱に利用する。この熱回収には、例えばヒートポンプを用いることができる。このようにエンジン排熱を利用することでシステムの省エネルギー化を図ることができる。なお、NOx変換装置56を排気管12や、エンジンと接触するように配置したり、伝熱材を介し接続したりして、エンジン排熱を伝熱でNOx変換装置56を加熱してもよい。
【0118】
また、本例において、NOx変換装置56は、熱分解反応が行われる分解部56aとヒータ56bを有している。ヒータ56bは温度制御が容易な電熱ヒータが好適であり、これによって分解部56aにおける温度を適切な温度に制御することができる。熱回収部102において回収した熱は、捕集液の予熱に用い、NOx変換装置56内の温度は、ヒータ56bによって制御することが好適である。また、ヒータ56bとして酸化触媒を併用してもよい。
【0119】
さらに、分解部56a内には、硝酸分解触媒を配置し、硝酸類の熱分解を促進することが好適である。硝酸分解触媒は好ましくは白金であり、鉄、銅、亜鉛、金、銀、珪素、アルミニウム、マンガン、クロム、ニッケル、バナジウム、チタン、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびランタノイド元素よりなる群から選ばれた少なくとも一種又は二種以上の金属またはその酸化物を用いることができる。これらの硝酸分解触媒は、担体に担持して用いてもよいし、分解部56aの壁に塗布してもよい。
【0120】
なお、硝酸類の熱分解のためには、数100°C(200〜500°C程度)に加熱することが好適であり、このためにエンジンの排熱を利用することが好適である。また、変換後のNOxガスにおけるNOx濃度は高い方がよい。そこで、NOxセンサ32により検出したNOx濃度が所定値以上の場合に、NOx変換装置56に捕集液を送るとよい。
【0121】
「NOxの添加」
ここで、
図23の例では、NOx変換装置56からのNOxガスは、添加弁40bを介し、EGR管28のEGRクーラー30の上流側に供給されるとともに、添加弁40dを介し、吸気管16のインタークーラー18の上流側に供給される。添加弁40b,40dの開閉は、ECU42によって制御される。ECU42は、エンジン10の運転状態から、適切な添加弁40b,40dを選択してNOxをエンジン10の吸気側に添加する。なお、両方の添加弁40b,40dを一度に開いてもよいし、一方の添加弁40b,40dのみを利用してもよい。
【0122】
このように、EGR管28、吸気管16に、NOxガスを供給することで、エンジン10の吸気におけるNOx濃度を高くして、エンジン10の気筒10a内の燃焼時において、NOxを減少することができる。
【0123】
「EGR管への設置」
図24の例では、NOx変換装置56をEGR管28を利用して構成する。すなわち、NOx供給ポンプ38により、硝酸類を含む捕集液をEGR管28内に添加し、その下流側にNOx変換装置56を配置する。このNOx変換装置56は、EGR管28の一部をNOx変換装置56の分解部56aとして利用する。この分解部56aのEGR管28の周囲にはヒータ56bを設け、分解部56aの温度を適切なものに制御する。また、分解部56aのEGR管28の内壁には、硝酸分解触媒の層を形成する。なお、NOx変換装置56は、EGR管28とは切り離し、別の管として形成し、これをEGR管28から取り外せるようにするとよい。例えば、NOx変換装置56の両端にフランジを形成し、両側のEGR管28とボルト締めで固定するとよい。
【0124】
また、捕集液を分解部56aに向けて添加する添加弁40として、噴射弁を設けるとよい。噴射弁は捕集液のNOx量とエンジン運転条件から、ECU42により噴射量を制御してもよい。捕集液が直接分解部56aに添加されるため、捕集液の気化のための装置、エネルギーは不要である。
【0125】
分解部56aはEGRクーラー30の上流側に配置される。従って、その後に分解部56aを通過したガスがEGRクーラー30の熱交換器において冷却され、凝縮した水が分離される。従って、エンジン10の気筒10aにおいて、NOxと水の反応による硝酸生成が抑制される。
【0126】
EGRクーラー30に、配管及びポンプを設置し、凝縮した水をNOx貯蔵槽24に移送してもよい。これによりNOx貯蔵槽24に水を補充する必要がなく、連続的な排気浄化を行うことができる。
【0127】
EGR管28内に、NOx変換装置56を設置することで、ここにおいて排ガス中の未燃炭化水素およびCOが還元剤として作用する。そこで、NOx変換装置56において硝酸の分解が促進される。また、捕集液の蒸発潜熱によりEGR管28内のガスの温度が低下し、エンジン10の吸気温度を低下することができる。
【0128】
「吸気管への設置」
図25の例では、NOx変換装置56を吸気管16を利用して構成する。すなわち、NOx供給ポンプ38により、硝酸類を含む捕集液を吸気管16内に添加し、その下流側にNOx変換装置56を配置する。NOx変換装置56は、吸気管16の一部を分解部56aとして利用する。また、分解部56aのEGR管28の周囲にはヒータ56bを設け、分解部56aの温度を適切なものに制御する。
【0129】
なお、分解部56aの吸気管16の内壁には、硝酸分解触媒の層を形成するとよい。さらに、吸気管16の分解部56aの部分は、別の管として形成し吸気管16とボルト締めで固定するとよい。
【0130】
この例においても、NOx変換装置56の分解部56aはインタークーラー18の上流側に配置されるので、分解部56aを通過したガスがインタークーラー18において冷却され、凝縮した水が分離される。従って、エンジン10の気筒10aにおいて、NOxと水の反応による硝酸生成が抑制される。
【0131】
インタークーラー18において凝縮した水をNOx貯蔵槽24に移送すれば、NOx貯蔵槽24に水を補充する必要がなく、連続的な排気浄化を行うことができる。また、この構成により、捕集液の蒸発潜熱により吸気温度の低下が見込まれる。
【0132】
「複数箇所へのNOxの添加」
図26の例では、上述した
図23の構成の排気流路、吸気流路とは別置きのNOx変換装置56を設ける例であるが、添加弁40aを介し、エンジン10の気筒10a内にもNOx変換装置56で得たNOxを供給できるようになっている。
【0133】
エンジン10の運転状態、特にエンジン10が吸気工程にあるか、EGR弁29の開閉状態がどうか、などによって、いずれの経路でNOxをエンジン10に供給すべきかが異なる。ECU42においてエンジン10の運転状態を検出し、適切なタイミングで添加弁40の開時期を制御することが好適である。
【0134】
なお、分解部56aで生成したNOxと水が反応し硝酸となることを防ぐため、NOx配管にヒータを設置することも好適である。
【0135】
「配管を利用した構成」
図27には、NOx変換装置56の構成例が模式的に示されている。配管内空間を硝酸分解部として利用する例である。EGR管28や、吸気管16の内壁に熱分解を促進するための硝酸分解触媒56cが層状に形成され、これに対応する管内空間が分解部56aとなっている。硝酸分解触媒56cは、硝酸分解触媒を塗布または硝酸分解触媒を担持した担体が固定して形成することができる。また、この例では、分解部56aを形成する管を、EGR管28、吸気管16とは独立して形成して、途中に挿入する形式としている。
【0136】
そして、分解部56aの上流部に添加弁40から液状の捕集液を噴射することで、捕集液は、気化するとともに、硝酸類がNOxに熱分解される。そして、硝酸分解触媒56cがあるため、硝酸類の熱分解が促進される。なお、ヒータ56bは、配管の外周側に設けられており、分解部56aの適切な加熱を行う。
【0137】
図28の例では、管内の分解部56aに多孔体からなる硝酸分解触媒56cが配置されている。この硝酸分解触媒56cは、触媒をメッシュ状にしたり、ハニーコーム状などの各種形状の担体に担持した形態で分解部56aに設置される。ガスの流通を妨げずに、添加した捕集液中の硝酸の熱分解が効率的に行えれば、どのような形式にしてもよい。
【0138】
「エンジンの排熱利用」
図29の例では、エンジン10の吸気弁60近傍の吸気管16内に捕集液を噴射する構成であって、吸気弁の背面(上面)側に硝酸分解触媒56cの層が形成されている。吸気弁60はエンジン10の排熱によって加熱されているため、ここに供給された捕集液はすぐに気化して、熱分解される。なお、捕集液の噴射は吸気弁60が開いたタイミングで行い、捕集液は気化、熱分解されてそのまま気筒10a内に引き込まれる。エンジン排熱または排気熱のみで熱分解に必要な温度が得られれば、ヒータを設置しなくてもよい。その他に配管内の拡散板、各種バルブなど任意の金属部を硝酸分解部として利用することも可能である。
【0139】
「添加弁の利用」
図30は、NOx添加弁40の内部を硝酸分解部として利用する例である。NOx添加弁40は、吸気管16(
図23)、EGR管28(
図23)、またはエンジン10の気筒10a(
図26)に設置される。そして、添加弁40の上流側の管内の内側壁に硝酸分解触媒56cの層が形成される。また、管の周囲には、ヒータ56bが配置される。これによって、添加弁40の内部において、捕集液は加熱気化するとともに、硝酸が熱分解されて、NOXが添加弁40から噴出される。なお、エンジン排熱のみで熱分解に必要な温度が得られる場合には、ヒータ56bを設置しなくてもよい。