(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項2において、前記凹所深さ調整用治具は、別々の前記凹所内に配置される複数個の前記凹所内配置部と、該凹所内配置部同士を連結した連結部とを有していることを特徴とするプロファイル加工装置。
請求項2又は3において、前記突起高さ調整用治具は、別々の前記突起の先端側に配置される複数個の前記先端側配置部と、該先端側配置部同士を連結した連結部とを有していることを特徴とするプロファイル加工装置。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォーム等の発泡合成樹脂成形体よりなるマットレスの上面をプロファイル加工により凹凸面とすることは周知である(特許文献1)。プロファイル加工装置は、マットレス素材を上下から押圧する1対の押圧ローラと、該押圧ローラ同士の間に配置されたカッターと、該押圧ローラ同士を互いに反対方向へ同期的に回転させる駆動装置とを備えている。各押圧ローラの外周面には、複数個の突起と凹所とが該押圧ローラの軸心線方向及び周方向にそれぞれ交互に配列されている。押圧ローラ同士は、一方の押圧ローラの外周面の突起が他方の押圧ローラの外周面の凹所に対向するように配置されている。
【0003】
このプロファイル加工装置によりマットレスの上面にプロファイル加工を施す場合、回転する押圧ローラ同士の間にマットレス素材を送り込む。マットレス素材は、上下から押圧ローラによって押圧されながら、該押圧ローラの回転に伴ってカッターに向かって移動する。この際、押圧ローラ同士の間では、マットレス素材は、一方の押圧ローラの外周面の突起に押され、これと対向する他方の押圧ローラの外周面の凹所内に入り込むように湾曲した状態となる。各押圧ローラの外周面には突起と凹所とが周方向に交互に設けられているため、マットレス素材は、両押圧ローラの回転に伴い、押圧ローラ同士の間で一方の押圧ローラ側と他方の押圧ローラ側とに交互に湾曲しながらカッターに向かって移動する。このように湾曲しながら移動してくるマットレス素材の厚さ方向の途中部を押圧ローラ同士の間においてカッターで連続的に切断することにより、このカッターによるマットレス素材の切断面は、凸部と凹部とが交互に形成された凹凸面となる。この切断面がマットレスの上面となる。成形後のマットレスの上面の凸部と凹部との高低差は、主として、各押圧ローラの外周面の突起と凹所との高低差により決まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のプロファイル加工装置では、上面の凸部と凹部との高低差が異なる複数種類のマットレスを製造する場合には、外周面の突起と凹所との高低差が異なる複数種類の押圧ローラを用意する必要があり、設備コストが嵩む原因となっていた。
【0006】
また、近年、上面に、凸部と凹部との高低差が異なる複数種類の凹凸面が混在したマットレスや、上面に凹凸面と平坦面とが混在したマットレスも市販されているが、このようなマットレスを製造する場合には、マットレスを上面の形状が異なる部分ごとに分割して別々に成形した後、各部分を連結して1枚のマットレスとしていた。そのため、マットレスの製造設備が大掛かりなものとなると共に、マットレスの製造作業が煩雑なものとなり、高コストとなっていた。
【0007】
本発明は、比較的簡易な設備にて比較的容易に多様な形状の発泡成形体を製造することが可能なプロファイル加工装置と、これを達成するための成形形状調整用治具とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)の
プロファイル加工装置は、
発泡成形体の外面の少なくとも一部に凹凸面を形成するためのプロファイル加工装置であって、発泡成形体を両側から押圧する1対の押圧ローラと、該押圧ローラ同士の間に配置されたカッターと、該押圧ローラ同士を互いに反対方向へ同期的に回転させる駆動装置とを備えており、各押圧ローラの外周面には、複数個の突起と凹所とが該押圧ローラの軸心線方向及び周方向にそれぞれ交互に配列されており、該押圧ローラ同士は、一方の押圧ローラの外周面の突起が他方の押圧ローラの外周面の凹所に対向するように配置されており、回転する該押圧ローラ同士により、発泡成形体を両側から押圧しながら該カッターに向かって移動させ、該カッターによりこの発泡成形体の該押圧方向の途中部を切断するように構成された
プロファイル加工装置において、該プロファイル加工装置による発泡成形体の外面の成形形状を調整するための成形形状調整用治具を備えるものであり、この成形形状調整用治具は、少なくとも一方の
押圧ローラの外周面に装着され、該押圧ローラの外周面の少なくとも一部の
突起と凹所との高低差を変化させるものであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の
プロファイル加工装置は、請求項1において、前記成形形状調整用治具は、前記凹所内に配置される凹所内配置部を有した凹所深さ調整用治具と、前記突起の突出方向の先端側に配置される先端側配置部を有した突起高さ調整用治具との少なくとも一方を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の
プロファイル加工装置は、請求項2において、前記凹所深さ調整用治具は、別々の前記凹所内に配置される複数個の前記凹所内配置部と、該凹所内配置部同士を連結した連結部とを有していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の
プロファイル加工装置は、請求項2又は3において、前記突起高さ調整用治具は、別々の前記突起の先端側に配置される複数個の前記先端側配置部と、該先端側配置部同士を連結した連結部とを有していることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5のプロファイル加工装置は、
請求項1〜4のいずれか1項記載において、前記成形形状調整用治具は、前記押圧ローラの外周面に着脱可能に装着されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明(請求項1)の成形形状調整用治具をプロファイル加工装置の押圧ローラの外周面に装着することにより、該押圧ローラの外周面の突起と凹所との高低差が変化するので、この成形形状調整用治具を押圧ローラに装着していない状態でプロファイル加工装置により発泡成形体の外面を成形した場合と、この成形形状調整用治具を押圧ローラに装着した状態でプロファイル加工装置により発泡成形体の外面を成形した場合とでは、成形後の発泡成形体の外面の形状(凹凸面の凸部と凹部との高低差)が異なる。従って、この成形形状調整用治具を押圧ローラの外周面に装着することにより、押圧ローラを別形状のものに交換しなくても、発泡成形体の外面を種々の形状に成形することができる。また、押圧ローラの外周面に部分的に成形形状調整用治具を装着したり、複数種類の成形形状調整用治具を装着することにより、発泡成形体の外面を、例えば凸部と凹部との高低差が異なる複数種類の凹凸面が混在した形状や、凹凸面と平坦面とが混在した形状とすることも可能である。この場合、従来のように、発泡成形体を外面の形状が異なる部分ごとに分割して別々に成形した後、各部分を連結して1個の発泡成形体とする工程も不要となる。即ち、本発明の成形形状調整用治具を用いることにより、簡易な設備にて非常に容易に多様な形状の発泡成形体を製造することが可能となる。
【0015】
請求項2の態様では、成形形状調整用治具のうち凹所深さ調整用治具の凹所内配置部を押圧ローラの外周面の凹所内に配置することにより、該凹所の深さを調整することができ、突起高さ調整用治具の先端側配置部を押圧ローラの外周面の突起の先端側に配置することにより、該突起の高さを調整することができる。また、この凹所深さ調整用治具と突起高さ調整用治具とを適宜組み合わせることにより、発泡成形体の外面を多様な形状に成形することができる。
【0016】
請求項3の凹所深さ調整用治具は、押圧ローラの外周面の別々の凹所内に配置される複数個の凹所内配置部と、該凹所内配置部同士を連結した連結部とを有しているので、複数個の凹所内にそれぞれ凹所内配置部を配置する場合でも、凹所深さ調整用治具の装着作業を比較的容易に行うことができる。
【0017】
請求項4の突起高さ調整用治具は、押圧ローラの外周面の別々の突起の先端側に配置される複数個の先端側配置部と、該先端側配置部同士を連結した連結部とを有しているので、複数個の突起の先端側にそれぞれ先端側配置部を配置する場合でも、突起高さ調整用治具の装着作業を比較的容易に行うことができる。
【0018】
かかる本発明の成形形状調整用治具を備えた本発明(請求項5)のプロファイル加工装置によれば、比較的簡易な設備にて比較的容易に多様な形状の発泡成形体を製造することが可能である。
【0019】
請求項6の通り、成形形状調整用治具を押圧ローラの外周面に着脱可能に装着することにより、発泡成形体の外面形状に応じて成形形状調整用治具を押圧ローラの外周面に付け替えることができるので、共通の押圧ローラにより多様な形状の発泡成形体を成形することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、シングルサイズの寝具用マットレスの上面の成形を行うためのプロファイル加工装置への本発明の適用例を示しているが、本発明は、それ以外の用途のプロファイル加工装置にも適用可能である。
【0022】
なお、以下の説明において、マットレス使用者の身長方向とは、マットレスの設計上の想定姿勢にてマットレス使用者がマットレス上に臥したときの該マットレス使用者の身長方向を表し、例えばマットレスが長方形のシングルサイズの場合には、マットレスの長手方向を表す。また、左右方向とは、このマットレス使用者の身長方向と直交方向を表す。
【0023】
[プロファイル加工装置20の構成について]
プロファイル加工装置20は、マットレス1を製造するためのマットレス素材Mを上下両側から押圧する1対の押圧ローラ21,21と、該押圧ローラ21,21同士の間に配置されたカッター22と、該押圧ローラ21,21同士を互いに反対方向(第1図(b)の矢印方向)へ同期的に回転させる駆動装置(図示略)と、このプロファイル加工装置20によるマットレス1の上面の成形形状を調整するための成形形状調整用治具等を備えている。各押圧ローラ21の外周面には、該押圧ローラ21の軸心線方向及び周方向にそれぞれ間隔をおいて複数個の突起23が設けられている。各突起23は、押圧ローラ21の外周面から放射方向に突出している。各押圧ローラ21の外周面のうち、隣り合う突起23,23同士の間の部分は、該突起23の突出方向の先端面よりも該押圧ローラ21の軸心側へ凹陥した凹所24となっている。これにより、各押圧ローラ21の外周面は、複数個の突起23と凹所24とが該押圧ローラ21の軸心線方向及び周方向にそれぞれ交互に配列されたものとなっている。押圧ローラ21,21同士は、第1図(b),(c)の通り、一方の押圧ローラ21の突起23が他方の押圧ローラ21の凹所24に対面するように配置されている。この実施形態では、各押圧ローラ21の軸心線方向の長さは、マットレス1の長手方向の全長と同等かそれよりも大きなものとなっており、その外周面の全体にわたって突起23及び凹所24が形成されている。カッター22は、押圧ローラ21,21同士の間の略中間位置に配置されている。
【0024】
成形形状調整用治具は、少なくとも一方の押圧ローラ21の外周面に装着され、該押圧ローラ21の外周面の少なくとも一部の突起23と凹所24との高低差を変化させるものである。この実施形態では、成形形状調整用治具は、凹所24内に配置される凹所内配置部31を有した凹所深さ調整用治具30と、突起23の突出方向の先端側に配置される先端側配置部41を有した突起高さ調整用治具40とからなる。
【0025】
第1図(c)及び第2図(a)〜(d)の通り、この実施形態では、凹所深さ調整用治具30は、押圧ローラ21の外周面の別々の凹所24内に配置される複数個の凹所内配置部31と、該凹所内配置部31同士を連結した連結部32とを有している。この実施形態では、連結部32は、押圧ローラ21の外周面に巻回可能なシート状のものであり、各凹所内配置部31は、この連結部32の押圧ローラ21との対向面から突出する突起物状に形成されている。なお、連結部32はシート状のものでなくてもよく、例えば隣り合う突起23,23同士の間を通り抜けて凹所内配置部31同士を連結する線状のもの等であってもよい。この凹所深さ調整用治具30を押圧ローラ21に装着する場合には、第2図(d)の通り、連結部32を押圧ローラ21の外周面に巻き付けるようにして、各凹所内配置部31を、対応する押圧ローラ21の凹所24内に順次に嵌め込んでいく。この実施形態では、凹所24の深さ方向における各凹所内配置部31の厚さ(この実施形態では連結部32からの凹所内配置部31の突出高さ)は、押圧ローラ21の突起23の突出方向の先端面からの凹所24の深さと略同等となっており、凹所深さ調整用治具30が装着された押圧ローラ21の外周面は、実質的に凹凸のない平滑な曲面となる。なお、凹所内配置部31の厚さを凹所24の深さよりも小さくし、凹所内配置部31を凹所24に嵌め込んだときに、該凹所内配置部31が突起23の先端面よりも凹所24内に後退するように構成してもよい。この場合、凹所内配置部31の厚さが大きくなるほど、凹所24の深さが浅くなり、一般的に、プロファイル加工装置20により成形されたマットレス1の上面の凹凸面における凸部2aと凹部2bとの高低差が小さくなる。
【0026】
凹所深さ調整用治具30は、押圧ローラ21に対し着脱可能に取り付けられていることが好ましい。このような取付方法としては、凹所内配置部31がきちんと凹所24内に嵌め込まれた状態で凹所深さ調整用治具30が押圧ローラ21に保持され、プロファイル加工時等における凹所深さ調整用治具30の押圧ローラ21からの落下又は脱落を十分に防止することができる方法であればよく、特定の方法に限定されるものではないが、例えば、凹所内配置部31を凹所24の周囲の突起23等に弾性的に係合させること、凹所内配置部31や連結部32に磁石を取り付けておき、磁力によって凹所内配置部31や連結部32を押圧ローラ21に吸着保持させること等が挙げられる。なお、凹所深さ調整用治具30を接着剤や粘着テープ等により押圧ローラ21に接着してもよい。
【0027】
各凹所内配置部31は、マットレス素材Mを押圧ローラ21,21によって押圧したときに、該凹所内配置部31によって調整された深さよりも深くマットレス素材Mが凹所24内に入り込むことを十分に規制することができる硬さを有した材料により構成されていることが好ましい。このような材料としては、例えばポリエチレン樹脂、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)樹脂、ゴム全般、あるいは、ウレタン樹脂の熱圧縮品、より具体的な好適例としては株式会社ブリヂストン製「ズレン(ZULEN)」(登録商標)等の硬く変形しにくい材料が好適である。連結部32は、比較的柔軟性に富み、且つ、マットレス1を構成する発泡合成樹脂に対する摩擦係数が比較的低い材料により構成されていることが好ましい。このような材料としては、例えばポリウレタンフィルムや、薄く成形することによって凹所内配置部31よりも柔軟なものとされたウレタン樹脂の熱圧縮品、より具体的な好適例としては株式会社ブリヂストン製「ズレン(ZULEN)」(登録商標)等が好適である。なお、凹所深さ調整用治具30の構成材料はこれに限定されない。凹所内配置部31と連結部32とは、同一の材料により構成されてもよい。連結部32の厚さは、該連結部32を構成する材料の強度等に応じて適宜設定されうるものであるが、連結部32はできるだけ薄い方が好ましい。なお、この実施形態のように、連結部32が突起23の先端面を覆うように構成されている場合には、この連結部32の厚さによって突起23の高さを調整するように構成してもよい。即ち、この連結部32は、突起高さ調整用治具を兼ねるものであってもよい。
【0028】
第1図(b)及び第2図(e)〜(h)の通り、この実施形態では、突起高さ調整用治具40は、押圧ローラ21の外周面の別々の突起23の先端側に配置される複数個の先端側配置部41と、該先端側配置部41同士を連結した連結部42とを有している。この実施形態では、先端側配置部41は、突起23の先端面に重なる板状のものである。この先端側配置部41の厚さが大きくなるほど、突起23の高さが高くなり、一般的に、プロファイル加工装置20により成形されたマットレス1の上面の凹凸面における凸部2aと凹部2bとの高低差が大きくなる。この先端側配置部41は、プロファイル加工時の該先端側配置部41のマットレス素材Mへの食い込みやすさ及び該マットレス素材Mからの抜け出しやすさを確保するために、その板面の面積が突起23の先端面の面積よりも小さいものとされ、突起23の先端面の周縁部よりも若干中央側に配置されることが好ましい。この実施形態では、先端側配置部41は、さらに、平面視形状が突起23の先端面と略相似形となっている。なお、先端側配置部41の形状はこれに限定されない。この実施形態では、連結部42は、線状のものであり、押圧ローラ21の周方向及び軸心線方向に対し斜めに隣接した先端側配置部41,41同士を連結している。なお、連結部42による先端側配置部41,41同士の連結方法はこれに限定されない。
【0029】
この突起高さ調整用治具40を押圧ローラ21に装着する場合には、第2図(h)の通り、この突起高さ調整用治具40を押圧ローラ21の外周面に巻き付けるようにして、各先端側配置部41を、対応する押圧ローラ21の突起23の先端面に順次に重ねていく。これにより、突起23の高さが先端側配置部41の厚さ分だけ高くなる。
【0030】
突起高さ調整用治具40も、押圧ローラ21に対し着脱可能に取り付けられていることが好ましい。このような取付方法としては、先端側配置部41がきちんと突起23の先端面内に存在した状態で突起高さ調整用治具40が押圧ローラ21に保持され、プロファイル加工時等における突起高さ調整用治具40の押圧ローラ21からの落下又は脱落を十分に防止することができる方法であればよく、特定の方法に限定されるものではないが、例えば、先端側配置部41を突起23の先端側に弾性的に係合させること、先端側配置部41や連結部42に磁石を取り付けておき、磁力によって先端側配置部41や連結部42を押圧ローラ21に吸着保持させること等が挙げられる。なお、突起高さ調整用治具40を接着剤や粘着テープ等により押圧ローラ21に接着してもよい。
【0031】
各先端側配置部41は、マットレス素材Mを押圧したときに十分に変形しにくい材料により構成されていることが好ましい。このような材料としては、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ゴム全般、あるいは、ウレタン樹脂の熱圧縮品、より具体的な好適例としては株式会社ブリヂストン製「ズレン(ZULEN)」(登録商標)等の硬く変形しにくい材料が好適である。連結部42は、比較的柔軟性に富む材料(例えば凹所深さ調整治具30の連結部32と同様の材料)により構成されていることが好ましいが、先端側配置部41と共通の材料により一体に構成されてもよい。
【0032】
[マットレス1の説明]
第3図(a)〜(c)に、このプロファイル加工装置20により上面が成形される発泡成形体としてのマットレス1の一例を示す。
【0033】
この実施形態では、マットレス1は、ポリウレタンフォーム等の発泡合成樹脂成形体よりなる。第3図(b)の通り、この実施形態では、マットレス1は、略長方形板状のものであり、通常使用時には、マットレス使用者Uがその身長方向を該マットレス1の長手方向とし、その頭部を該マットレス1の長手方向の一方の所定の端部側(第3図(a),(b)における左端側)に向けて臥するように使用される。
【0034】
この実施形態では、マットレス1は、その長手方向の該一方の端部側から他方の端部側に向かって順に、マットレス使用者Uの頭部付近を支持する頭部支持領域1a、マットレス使用者Uの肩部付近を支持する肩部支持領域1b、マットレス使用者Uの肩部と臀部との間の背中部付近を支持する背中部支持領域1c、マットレス使用者Uの臀部付近を支持する臀部支持領域1d、マットレス使用者Uの腿部及び脛部付近を支持する脚部支持領域1e、並びに、マットレス使用者Uの踵部付近を支持する踵部支持領域1fに区分けされている。この実施形態では、支持領域1a〜1fは、継目のない連続した発泡合成樹脂成形体により一体に構成されている。
【0035】
この実施形態では、頭部支持領域1a、肩部支持領域1b、臀部支持領域1d及び踵部支持領域1fの上面は、それぞれ、複数個の凸部2a及び凹部2bがマットレス1の長手方向及び左右方向に交互に形成された凹凸面となっており、背中部支持領域1c及び脚部支持領域1eの上面は、それぞれ、実質的に平坦面(以下、単に平坦面という。)となっている。なお、実質的に平坦面であるとは、第3図(c)のように、背中部支持領域1c及び脚部支持領域1eの上面も、若干の高低差を有した凸部2a’及び凹部2b’が存在する凹凸面であってもよいことを示している。以下、マットレス1の各部の高さとは、マットレス1の下面からの高さをいう。マットレス長手方向及び左右方向における凸部2aの配列ピッチ(マットレス長手方向及び左右方向に隣り合う凸部2a,2a同士の軸心間距離)Pは、実質的に、プロファイル加工装置20の押圧ローラ21の軸心線方向及び周方向における突起23の配列ピッチ(押圧ローラ21の軸心線方向及び周方向に隣り合う突起23,23同士の軸心間距離)と同等である。この実施形態では、頭部支持領域1aの上面と肩部支持領域1bの上面とは、連続した凹凸面となっているが、これに限定されない。
【0036】
この実施形態では、各支持領域1a,1b,1d,1fの各凸部2aの上端の高さは略同等となっており、各支持領域1a,1b,1d,1fの各凹部2bの底面の高さも略同等となっている。各支持領域1c,1eの上面の高さも略同等となっている。各支持領域1c,1eの上面は、各凸部2aの上端よりも低く且つ各凹部2bの底面よりも高い位置にある。なお、マットレス1の各部の高さはこれに限定されない。例えば、支持領域1a,1b,1d,1fの間で、凸部2aの上端の高さ及び凹部2bの底面の高さがそれぞれ異なっていてもよい。支持領域1c,1eの間で上面の高さが異なっていてもよい。支持領域1c,1eの上面は、凸部2aの上端と同等の高さか、それよりも高い位置にあってもよく、凹部2bの底面と同等の高さか、それよりも低い位置にあってもよい。マットレス1の各部の高さは、プロファイル加工装置20の各押圧ローラ21の外周面における突起23の高さ、凹所24の深さ並びにこれらの高低差を適宜調整することにより、種々変更することができる。
【0037】
なお、マットレス1の上面形状はこれに限定されない。例えば、マットレス1の上面における凹凸面と平坦面との配置は上記以外の配置であってもよい。マットレス1の上面全体が凹凸面であってもよい。マットレス1は6個の支持領域1a〜1fに区分けされているが、それよりも多数の領域に区分けされてもよく、それよりも少数の領域に区分けされてもよい。
【0038】
[マットレス1の上面の成形方法の説明]
マットレス1の上面は、実質的に該マットレス1の厚さの2倍の厚さを有したマットレス素材Mをプロファイル加工装置20でプロファイル加工することにより成形されている。マットレス素材Mの、押圧ローラ21,21同士の間への送り込み方向と直交方向の幅は、実質的にマットレス1の長手方向の全長と同等となっている。なお、マットレス素材Mの構成はこれに限定されない。
【0039】
この実施形態では、プロファイル加工装置20の各押圧ローラ21の外周面を、その軸心線方向の一端側(第1図(a)における下端側)から他端側に向かって順に、マットレス1の頭部支持領域1aの上面を成形するための第1の成形領域21a、肩部支持領域1bの上面を成形するための第2の成形領域21b、背中部支持領域1cの上面を成形するための第3の成形領域21c、臀部支持領域1dの上面を成形するための第4の成形領域21d、脚部支持領域1eの上面を成形するための第5の成形領域21e、並びに、踵部支持領域1fの上面を成形するための第6の成形領域21fに区分けする。
【0040】
マットレス素材Mのプロファイル加工に先立ち、各押圧ローラ21の外周面のうち第3の成形領域21c及び第5の成形領域21eに、それぞれ、成形面を平坦面とするための(即ち凹所内配置部31の厚さが凹所24の深さと同等となっている)凹所深さ調整用治具30を装着する。なお、第3の成形領域21c及び第5の成形領域21eの全体をそれぞれ1個の凹所深さ調整用治具30で覆うようにしてもよく、2個以上の凹所深さ調整用治具30を組み合わせて覆うようにしてもよい。例えば、押圧ローラ21の周方向に並んだ1列分ないし数列分の凹所24に対応する大きさの凹所深さ調整用治具30を複数種、複数個ずつ用意しておき、マットレス1の仕様に応じて、適宜、組み合わせる凹所深さ調整用治具30の種類や個数を変更するようにしてもよい。
【0041】
また、各押圧ローラ21の外周面のうち第1の成形領域21a、第2の成形領域21b、第4の成形領域21d及び第6の成形領域21fには、それぞれ、成形面の凸部2aと凹部2bとの高低差を調整するための突起高さ調整用治具40を装着する。なお、第1の成形領域21a、第2の成形領域21b、第4の成形領域21d及び第6の成形領域21fについても、それぞれ全体を1個の突起高さ調整用治具40で覆うようにしてもよく、2個以上の突起高さ調整用治具40を組み合わせて覆うようにしてもよい。例えば、押圧ローラ21の周方向に並んだ1列分ないし数列分の突起23に対応する大きさの突起高さ調整用治具40を複数種、複数個ずつ用意しておき、マットレス1の仕様に応じて、適宜、組み合わせる突起高さ調整用治具40の種類や個数を変更するようにしてもよい。なお、突起高さ調整用治具40は、必要に応じて用いられるものであり、突起23の高さ調整が不要であれば、突起高さ調整用治具40を押圧ローラ21に装着しなくてもよい。
【0042】
このように各押圧ローラ21に凹所深さ調整用治具30及び突起高さ調整用治具40を装着した後、プロファイル加工装置20の駆動装置を起動させ、回転する押圧ローラ21,21同士の間にマットレス素材Mを送り込む。マットレス素材Mは、上下から押圧ローラ21,21によって押圧されながら、該押圧ローラ21,21の回転に伴ってカッター22に向かって移動し、上下方向の途中部が該カッター22によって連続して切断される。これにより、マットレス素体Mから2枚のマットレス1が形成される。このカッター22による切断面がマットレス1の上面となる。
【0043】
第1図(c)の通り、押圧ローラ21,21の第3の成形領域21c同士の間及び第5の成形領域21e同士の間では、各押圧ローラ21の外周面に、凹所24を埋めるように凹所深さ調整用治具30が装着されているので、マットレス素材Mは、双方の押圧ローラ21,21によって厚さ方向に略均等に押圧され、終始その厚さ方向の略中間がカッター22によって切断される。これにより、成形後のマットレス1の背中部支持領域1c及び脚部支持領域1eの上面は、実質的に平坦なものとなる。
【0044】
第1図(b)の通り、凹所深さ調整用治具30が装着されていない押圧ローラ21,21の第1の成形領域21a同士の間、第2の成形領域21b同士の間、第4の成形領域21d同士の間及び第6の成形領域21f同士の間では、第1図(b)の通り、マットレス素材Mは、一方の押圧ローラ21の突起23に押され、これと対向する他方の押圧ローラ21の凹所24内に入り込むように湾曲した状態となる。各押圧ローラ21の周方向には突起23と凹所24とが交互に設けられているため、押圧ローラ21,21の回転に伴い、マットレス素体Mは、押圧ローラ21,21同士の間で一方の押圧ローラ21側と他方の押圧ローラ21側とに交互に湾曲しながらカッター22に向かって移動する。このように交互に湾曲しながら移動するマットレス素材Mの厚さ方向の途中部が、押圧ローラ21,21同士の間の略中間位置でカッター22によって連続的に切断されることにより、このカッター22によるマットレス素材Mの切断面、即ち、成形後のマットレス1の頭部支持領域1a、肩部支持領域1b、臀部支持領域1d及び踵部支持領域1fの上面は、それぞれ、複数個の凸部2aと凹部2bとが該マットレス1の長手方向及び左右方向に交互に形成された凹凸面となる。
【0045】
これにより、マットレス1の支持領域1a,1b,1d及び1fの上面の凹凸面と、支持領域1c及び1eの上面の平坦面とを、1回の成形工程にて成形することができる。その結果、上面に凹凸面と平坦面とが混在したマットレス1を製造するに当たり、例えば従来技術のように、マットレス1のうち上面が凹凸面となっている部分と上面が平坦面となっている部分とを分割して別々に成形した後、これらを連結して1枚のマットレス1とする工程が不要となるため、マットレス1の製造作業が容易化される。
【0046】
なお、プロファイル加工装置20によるマットレス1の製造方法はこれに限定されない。例えば、凹所深さ調整用治具30として、凹所内配置部31の厚さが凹所24の深さよりも小さいものを用い、マットレス1の支持領域1c及び1eの上面も凹凸面となるように成形してもよい。マットレス1の各支持領域1a〜1fの形状が所望の形状となるように、各押圧ローラ21の各成形領域21a〜21fに凹所深さ調整用治具30と突起高さ調整用治具40とを適宜組み合わせて装着してもよい。その場合、成形領域21a〜21fごとに凹所深さ調整用治具30と突起高さ調整用治具40との組み合わせを異ならせてもよい。
【0047】
上記の実施形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の構成をもとりうる。
【0048】
例えば、上記の実施形態では、凹所深さ調整治具30は、複数個の凹所内配置部31と、該凹所内配置部31同士を連結した連結部32とを有したものとなっているが、連結部32を省略し、各凹所内配置部31を個別に押圧ローラ21の凹所24に嵌め込むようにしてもよい。また、突起高さ調整治具40も、複数個の先端側配置部41と、該先端側配置部41同士を連結した連結部42とを有したものとなっているが、連結部42を省略し、各先端側配置部41を個別に押圧ローラ21の突起23の先端側に配置するようにしてもよい。
【0049】
上記の実施形態では、プロファイル加工装置20の双方の押圧ローラ21の外周面に対し、同種の凹所深さ調整治具30及び突起高さ調整治具40を同様の配置にて装着しているが、一方の押圧ローラ21に装着される凹所深さ調整治具30及び突起高さ調整治具40と、他方の押圧ローラ21に装着される凹所深さ調整治具30及び突起高さ調整治具40とで種類や配置が異なっていてもよい。一方の押圧ローラ21にのみ凹所深さ調整治具30及び突起高さ調整治具40が装着されてもよい。凹所深さ調整治具30又は突起高さ調整治具40のいずれか一方のみが押圧ローラ21に装着されてもよい。