特許第6179268号(P6179268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179268
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】異物排出装置及び媒体取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   G07D9/00 403D
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-168876(P2013-168876)
(22)【出願日】2013年8月15日
(65)【公開番号】特開2015-36932(P2015-36932A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】須藤 育男
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−125309(JP,A)
【文献】 特開2011−251851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の媒体の落下を防止すると共に前記媒体以外の異物を落下させる選別部と、
前記選別部の下方に配置され前記異物を上面に載置するベルトと、
前記ベルトを走行させて前記異物を所定の排出箇所まで搬送するベルト走行部と、
前記ベルトの走行が正常であるか否か及び該ベルトの走行距離を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果を基に、前記ベルトが正常に走行しているか否かを判定し、前記ベルトが正常に走行している場合には、前記ベルトの上面のうち前記排出箇所からの走行距離が最も長い箇所が前記排出箇所へ到達するまでの走行距離である最長走行距離だけ、前記ベルトの上面を前記排出箇所へ向かう排出方向へ走行させる排出動作を行わせ、前記ベルトが正常に走行していない場合には、前記ベルトの上面を排出方向と反対の方向へ走行させるよう、前記ベルト走行部を制御する制御部と
を具えることを特徴とする異物排出装置。
【請求項2】
前記ベルトは、走行方向に沿って環状に形成され、
前記制御部は、前記排出動作として、前記ベルトの上面を前記排出方向へ半周分以上に相当する過半周距離だけ走行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の異物排出装置。
【請求項3】
前記ベルト走行部は、
前記選別部の下方に、互いの回転中心軸を平行に揃えるよう配置され、その周囲に前記ベルトが掛け回された2個以上のローラと、
2個以上の前記ローラのうち少なくとも1個を回転させる回転駆動部と
を具え、
前記検知部は、2個以上の前記ローラのうち少なくとも1個の回転量を検知し、
前記制御部は、前記ローラにおける外周の長さ及び前記ローラの回転量を基に前記ベルトの走行距離を認識する
ことを特徴とする請求項2に記載の異物排出装置。
【請求項4】
所定の媒体の落下を防止すると共に前記媒体以外の異物を落下させる選別部と、
前記選別部の下方に配置され前記異物を上面に載置するベルトと、
前記ベルトを走行させて前記異物を所定の排出箇所まで搬送するベルト走行部と、
前記ベルトの走行距離を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果を基に、前記ベルトの上面のうち前記排出箇所からの走行距離が最も長い箇所が前記排出箇所へ到達するまでの走行距離である最長走行距離だけ、前記ベルトの上面を前記排出箇所へ向かう排出方向へ走行させる排出動作を行うよう、前記ベルト走行部を制御する制御部と、
前記ベルトの走行により前記排出箇所において前記ベルトの上面から排出された前記異物を導く案内路と、
前記異物が前記案内路へ排出されたことを検知する排出検知部と
を具え、
前記制御部は、
前記排出動作において前記排出検知部により前記異物を検知した場合、最後に前記異物を検知したときから前記過半周距離だけ前記ベルトを走行させるよう制御する
ことを特徴とする異物排出装置。
【請求項5】
所定の媒体の落下を防止すると共に前記媒体以外の異物を落下させる選別部と、
前記選別部の下方に配置され前記異物を上面に載置するベルトと、
前記ベルトを走行させて前記異物を所定の排出箇所まで搬送するベルト走行部と、
前記ベルトの走行距離を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果を基に、前記ベルトの上面のうち前記排出箇所からの走行距離が最も長い箇所が前記排出箇所へ到達するまでの走行距離である最長走行距離だけ、前記ベルトの上面を前記排出箇所へ向かう排出方向へ走行させる排出動作を行うよう、前記ベルト走行部を制御する制御部と
を具え、
前記制御部は、前記ベルトの上面を前記排出方向へ走行させるよう制御した際に、前記検知部により前記ベルトが正常に走行していないことを検知した場合、前記ベルトを前記排出方向又はこれと反対の反対方向へ走行させてから停止させる走行停止動作を複数回行った後、前記排出動作を行うよう制御する
ことを特徴とする異物排出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記走行停止動作として、前記ベルトを前記排出方向へ走行させてから停止させ、続いて前記ベルトを前記反対方向へ走行させてから停止させる振動動作を複数回行わせる
ことを特徴とする請求項5に記載の異物排出装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記走行停止動作として、少なくとも前記ベルトを前記反対方向へ走行させてから停止させる動作を複数回行わせる
ことを特徴とする請求項5に記載の異物排出装置。
【請求項8】
取引対象である媒体を投入させる投入口と、
前記投入口に投入された前記媒体を繰り出して所定の搬送部に受け渡す操出部と、
前記投入口の下方に形成され、前記媒体の落下を防止すると共に前記媒体以外の異物を落下させる選別部と、
前記選別部の下方に配置され前記異物を上面に載置するベルトと、
前記ベルトを走行させて前記異物を所定の排出箇所まで搬送するベルト走行部と、
前記ベルトの走行が正常であるか否か及び該ベルトの走行距離を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果を基に、前記ベルトが正常に走行しているか否かを判定し、前記ベルトが正常に走行している場合には、前記ベルトの上面のうち前記排出箇所からの走行距離が最も長い箇所が前記排出箇所へ到達するまでの走行距離である最長走行距離だけ、前記ベルトの上面を前記排出箇所へ向かう排出方向へ走行させる排出動作を行わせ、前記ベルトが正常に走行していない場合には、前記ベルトの上面を排出方向と反対の方向へ走行させるよう、前記ベルト走行部を制御する制御部と
を具えることを特徴とする媒体取引装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記排出動作の終了後に前記操出部による前記媒体を繰り出す動作を開始させる
ことを特徴とする請求項8に記載の媒体取引装置。
【請求項10】
前記投入口は、開閉可能なシャッタを有し、
前記制御部は、前記投入口の前記シャッタを開放したときから前記排出動作を開始させる
ことを特徴とする請求項8に記載の媒体取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異物排出装置及び媒体取引装置に関し、例えば紙幣のような紙葉状の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動預払機(ATM)等に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等で使用される現金自動預払機等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するようになされている。
【0003】
現金自動預払機としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う入出金部と、紙幣を搬送する搬送部と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、金種ごとに紙幣を収納する紙幣カセットと、再使用すべきでない紙幣を収納するリジェクトカセットとを有するものが提案されている。
【0004】
この現金自動預払機は、入金取引において、顧客が入出金部に紙幣を投入すると、投入された紙幣を1枚ずつに分離して搬送部により搬送し、鑑別部で鑑別し、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部へ収納する一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣を入出金部へ戻して顧客に返却する。
【0005】
続いて現金自動預払機は、顧客により入金金額が確定されると、一時保留部に収納している紙幣を繰り出してその金種を鑑別部により再鑑別し、鑑別された金種に応じて各紙幣カセットに収納すると共に、損傷の程度が大きいと鑑別された紙幣をリジェクトカセットに収納する。
【0006】
また現金自動預払機は、出金処理において、顧客の操作指示により出金すべき金額が確定すると、紙幣カセットから出金すべき金額に応じた紙幣を繰り出して搬送部により搬送し、鑑別部により正常な紙幣が過不足なく繰り出されたことを鑑別した後、入出金部へ搬送して顧客に取り出させる。
【0007】
ところで入出金部には、入金用の紙幣を投入するための箱型のプール部が設けられているものの、顧客によりプール部に誤って硬貨やクリップ等(以下これらを異物と呼ぶ)が投入される場合がある。このような異物は、紙幣の正常な搬送や搬送を妨げる恐れや、入出金部や搬送部等を損傷させる恐れがある。
【0008】
そこで、例えば図13に示す入出金部312のように、紙幣BLを収容するプール部32の底部に異物FBを落下させるための落下孔32Hを穿設し、その下方にこの異物FBを外部に排出するための異物排出部336が設けたものがある。
【0009】
この異物排出部336は、図14に示すように、2個のプーリ41及び42の外周を取り巻くように異物排出ベルト43が掛け渡されている。モータ44は、その出力軸44Sにプーリ41が取り付けられており、紙幣制御部311(図13)の制御に基づいて当該プーリ41を回転させ、異物排出ベルト43を排出方向T1又はその反対の反対方向T2へ走行させる。
【0010】
異物排出ベルト43を排出方向T1へ走行させると、異物排出ベルト43上に載っていた異物FBは、プーリ41側に隣接して配置された異物案内部48に落下する。異物案内部48は、異物排出ベルト43から落下した異物FBを現金自動預払機の外部まで滑らせるようにして案内する。またプーリ41の上方には、異物排出ベルト43の上面との間に所定の隙間Gを形成する堰止部47が設けられている。
【0011】
異物排出部336では、異物排出ベルト43上に複数の異物FBが重なって載置される場合がある。このような複数の異物FBが異物排出ベルト43上から一度に落下した場合、異物案内部48の途中で詰まってしまう恐れがある。そこで異物排出部336は、異物排出ベルト43上で重なっている異物FBの一部を堰止部47により堰き止めて異物案内部48へ一度に落下する異物FBの量を制限し、詰まりの発生を防止するようになされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2013−125309号公報(図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、かかる構成の異物排出部336では、異物排出ベルト43を排出方向T1方向へ走行させる際、異物が異物排出ベルト43と堰止部47との間に詰まってしまい、異物案内部48への落下を阻止してしまうと共に、異物排出ベルト43の走行を妨害してしまう場合がある。
【0014】
そこで異物排出部336のなかには、紙幣制御部311の制御により、例えば異物排出ベルト43を1周分に相当する排出走行時間だけ排出方向T1へ走行させた後、半周分に相当する反対走行時間だけ反対方向T2へ走行させる、といった往復動作を繰り返すものがある。これにより異物排出部336は、仮に異物FBが異物排出ベルト43と堰止部47との間に詰まったとしても、このような異物排出ベルト43の往復動作により、これを解消することが期待できる。
【0015】
しかしながらこのような異物排出部336では、異物排出ベルト43上における異物FBの状態に拘わらず往復動作を繰り返していた。すなわち異物排出部336は、異物FBの詰まりが発生していなくとも異物排出ベルト43を反対方向へ走行させており、また往復動作を終了するタイミングによっては、異物排出ベルト43上の異物を排出できずに残留させてしまう恐れもあるため、総じて異物排出の効率が悪い、という問題があった。
【0016】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、効率良く異物を排出できる異物排出装置及び媒体取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる課題を解決するため本発明の異物排出装置においては、所定の媒体の落下を防止すると共に媒体以外の異物を落下させる選別部と、選別部の下方に配置され異物を上面に載置するベルトと、ベルトを走行させて異物を所定の排出箇所まで搬送するベルト走行部と、ベルトの走行が正常であるか否か及び該ベルトの走行距離を検知する検知部と、検知部による検知結果を基に、ベルトが正常に走行しているか否かを判定し、ベルトが正常に走行している場合には、ベルトの上面のうち排出箇所からの走行距離が最も長い箇所が排出箇所へ到達するまでの走行距離である最長走行距離だけ、ベルトの上面を排出箇所へ向かう排出方向へ走行させる排出動作を行わせ、ベルトが正常に走行していない場合には、ベルトの上面を排出方向と反対の方向へ走行させるよう、ベルト走行部を制御する制御部とを設けるようにした。
また本発明の異物排出装置においては、所定の媒体の落下を防止すると共に媒体以外の異物を落下させる選別部と、選別部の下方に配置され異物を上面に載置するベルトと、ベルトを走行させて異物を所定の排出箇所まで搬送するベルト走行部と、ベルトの走行距離を検知する検知部と、検知部による検知結果を基に、ベルトの上面のうち排出箇所からの走行距離が最も長い箇所が排出箇所へ到達するまでの走行距離である最長走行距離だけ、ベルトの上面を排出箇所へ向かう排出方向へ走行させる排出動作を行うよう、ベルト走行部を制御する制御部と、ベルトの走行により排出箇所においてベルトの上面から排出された異物を導く案内路と、異物が案内路へ排出されたことを検知する排出検知部とを設け、制御部が、排出動作において排出検知部により異物を検知した場合、最後に異物を検知したときから過半周距離だけベルトを走行させるよう制御するようにした。
さらに本発明の異物排出装置においては、所定の媒体の落下を防止すると共に媒体以外の異物を落下させる選別部と、選別部の下方に配置され異物を上面に載置するベルトと、ベルトを走行させて異物を所定の排出箇所まで搬送するベルト走行部と、ベルトの走行距離を検知する検知部と、検知部による検知結果を基に、ベルトの上面のうち排出箇所からの走行距離が最も長い箇所が排出箇所へ到達するまでの走行距離である最長走行距離だけ、ベルトの上面を排出箇所へ向かう排出方向へ走行させる排出動作を行うよう、ベルト走行部を制御する制御部とを設け、制御部が、ベルトの上面を排出方向へ走行させるよう制御した際に、検知部によりベルトが正常に走行していないことを検知した場合、ベルトを排出方向又はこれと反対の反対方向へ走行させてから停止させる走行停止動作を複数回行った後、排出動作を行うよう制御するようにした。
【0018】
また本発明の媒体取引装置においては、取引対象である紙葉状の媒体を投入させる投入口と、投入口に投入された媒体を繰り出して所定の搬送部に受け渡す操出部と、投入口の下方に形成され、媒体の落下を防止すると共に媒体以外の異物を落下させる選別部と、選別部の下方に配置され異物を上面に載置するベルトと、ベルトを走行させて異物を所定の排出箇所まで搬送するベルト走行部と、ベルトの走行が正常であるか否か及び該ベルトの走行距離を検知する検知部と、検知部による検知結果を基に、ベルトが正常に走行しているか否かを判定し、ベルトが正常に走行している場合には、ベルトの上面のうち排出箇所からの走行距離が最も長い箇所が排出箇所へ到達するまでの走行距離である最長走行距離だけ、ベルトの上面を排出箇所へ向かう排出方向へ走行させる排出動作を行わせ、ベルトが正常に走行していない場合には、ベルトの上面を排出方向と反対の方向へ走行させるよう、ベルト走行部を制御する制御部とを設けるようにした。
【0019】
本発明は、検知部による検知結果からベルトの走行が正常であるか否かを把握することができ、ベルトの走行が正常である場合には、当該ベルト上に載置された異物を排出するのに必要な最小限の距離だけベルトを走行させ、正常で無い場合には、ベルトを反対の方向へ走行させ、異物の詰まり等の正常に走行できない要因の解消を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、効率良く異物を排出できる異物排出装置及び媒体取引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】現金自動預払機の構成を示す略線的斜視図である。
図2】紙幣入出金機の構成を示す略線図である。
図3】入出金部の構成を示す略線図である。
図4】異物排出部の構成を示す略線図である。
図5】第1の実施の形態による回転検知部の構成を示す略線図である。
図6】紙幣投入処理手順を示すフローチャートである。
図7】第1の実施の形態における異物排出処理手順を示すフローチャートである。
図8】異物の詰まりの発生及び解消を示す略線図である。
図9】第2の実施の形態による走行検知部の構成を示す略線図である。
図10】第2の実施の形態における異物排出処理手順を示すフローチャートである。
図11】振動処理手順を示すフローチャートである。
図12】他の実施の形態による回転検知部の構成を示す略線図である。
図13】従来の入出金部の構成を示す略線図である。
図14】従来の異物排出部の構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0023】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになされている。
【0024】
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面の上部から上面に渡る部分が斜めに切り落とされたような形状となっており、この部分に顧客応対部3が設けられている。
【0025】
顧客応対部3は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
【0026】
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣BLが排出される部分である。また入出金口5は、後述するシャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙で構成されている。
【0027】
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
【0028】
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0029】
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行うようになされている。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0030】
因みに筐体2は、前面側やその後面側等の一部の側面が開閉可能な扉により構成されている。すなわち筐体2は、顧客との間で現金に関する取引を行う取引動作時には、図1に示したように各扉を閉塞することにより、紙幣入出金機10内に収納している紙幣を保護する。一方筐体2は、作業者等が保守作業を行う保守作業時には、必要に応じて各扉を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得るようになされている。また筐体2の前面下方には、入出金口5に誤って投入された異物を排出するための異物排出口2Eが設けられている。
【0031】
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、内部に紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。また紙幣入出金機10の各部分は、紙幣制御部11により制御される。
【0032】
紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引に伴う処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0033】
紙幣制御部11は、例えば顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、操作表示部6(図1)を介して所定の操作入力を受け付けた後、入出金部12のシャッタ31を開いてプール部32に紙幣を投入させる。入出金部12は、後述する検知部によりプール部32内に紙幣が1枚以上収容されているか否かを検知し、その検知結果を紙幣制御部11へ通知する。
【0034】
この入出金部12は、プール部32に紙幣が投入されると、シャッタを閉じて当該プール部32内から紙幣を1枚ずつ繰り出し、搬送部13へ受け渡す。搬送部13は、複数のローラやベルト等により構成されており、長方形の紙葉状に構成された紙幣を短辺方向に沿って進行させ、鑑別部14へ搬送する。鑑別部14は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて当該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等を鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部11へ通知する。これに応じて紙幣制御部11は、取得した鑑別結果に基づいて当該紙幣の搬送先を決定する。
【0035】
このとき搬送部13は、鑑別部14において正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部15へ搬送する等して一時的に保留させる一方、取引すべきでないと鑑別されたリジェクト紙幣を入出金部12へ搬送して顧客に返却する。その後紙幣制御部11は、投入された紙幣の合計金額を集計して操作表示部6に表示すると共に、入金取引を継続するか否かを顧客に選択させる。
【0036】
ここで紙幣制御部11は、顧客により入金取引の中止が指示された場合、一時保留部15に保留している全ての紙幣を搬送部13により入出金部12へ搬送して顧客に返却する。また紙幣制御部11は、顧客により入金取引の継続が指示された場合、一時保留部15に保留している全ての紙幣を搬送部13により鑑別部14へ搬送してその金種及び損傷の程度等を鑑別させ、その鑑別結果を取得する。
【0037】
そして紙幣制御部11は、紙幣の損傷の程度が大きければ、これを再利用すべきでない紙幣として搬送部13によりリジェクトカセット16へ搬送して収納させ、損傷の程度が小さければ、これを再利用すべき紙幣として搬送部13により搬送させ、その金種に応じた紙幣カセット17に収納させる。
【0038】
また紙幣制御部11は、例えば顧客が紙幣を出金する出金取引を行う場合、操作表示部6(図1)を介して所定の操作入力を受け付けた後、出金すべき金額に応じた紙幣を紙幣カセット17から繰り出させ、搬送部13により鑑別部14へ搬送させる。続いて紙幣制御部11は、この紙幣を鑑別部14により鑑別させた上で、搬送部13により入出金部12へ搬送してプール部32内に集積させ、入出金口5(図1)のシャッタを開いて顧客に取り出させる。
【0039】
このように入出金部12は、入金取引において、顧客に紙幣をプール部32内に投入させ、この紙幣を1枚ずつに分離して搬送部13に受け渡すようになされている。
【0040】
[1−2.入出金部の構成]
入出金部12は、図3に側面図を示すように、筐体30内に各種部品が組み込まれた構成となっている。筐体30は、中空の直方体状に形成されており、その上面前寄りには、長手方向を左右に向けた紙幣BLを通過させ得る程度に大きい紙幣入出孔30Hが設けられている。
【0041】
また筐体30の上面には、上下に薄い板状のシャッタ31が設けられている。シャッタ31は、紙幣制御部11(図2)の制御に基づき、図示しないシャッタ駆動部によって前後方向へ移動される。シャッタ31は、前方へ移動したとき(図中破線で示す)には、紙幣入出孔30Hを閉塞して内部を外部から遮蔽し、後方へ移動したとき(図中実線で示す)には、紙幣入出孔30Hを開放してその内部を外部と連通させる。
【0042】
筐体30内における前寄りの箇所、すなわち紙幣入出孔30Hの下方には、紙幣BLを収容するプール部32が設けられている。プール部32は、前後方向が比較的短く左右方向が比較的長い直方体状の収容空間32Sが内部に形成されると共に、その上面が開放されている。この収容空間32Sには、短辺方向を上下に向けると共に長辺方向を左右に向けた紙葉状の紙幣BLが、複数重ねた状態で収容される。
【0043】
プール部32の収容空間32Sは、シャッタ31が開放されているときに、顧客により紙幣BLが投入されることや、収容されている紙幣BLが顧客により取り出されることが想定されている。
【0044】
またプール部32には、紙幣BLの有無を検出する紙幣検知部32Dが設けられている。紙幣検知部32Dは、所定の検知光L1を発光する発光素子及びこれを受光する受光素子により構成されており、当該検知光L1が遮光されたか否かに応じて紙幣検知信号を生成し、これを紙幣制御部11へ送出する。
【0045】
紙幣制御部11は、この紙幣検知信号を基に、収容空間32S内に1枚以上の紙幣BLが収容されているか否かを認識することができる。さらに紙幣制御部11は、各種処理の実行中においては、この紙幣検知信号を基に、例えば紙幣BLが収容空間32S内に投入されたか否か、或いは収容空間32Sから紙幣BLが取り出されたか否かを判断することができる。
【0046】
さらにプール部32は、中心軸を左右方向に向けた回動軸32Rを介して筐体30に取り付けられている。また筐体30内には、紙幣制御部11の制御に基づき回動軸32Rに駆動力を伝達する回動機構(図示せず)が設けられている。
【0047】
かかる構成により回動軸32Rは、紙幣制御部11の制御の下で、プール部32を矢印R1方向又はその反対の矢印R2方向へ約90度の範囲で回動させることができる。これによりプール部32は、図3に実線で示したように底面をほぼ水平とした状態(以下これを入出ポジションと呼ぶ)と、破線で示すように底面をほぼ垂直とした状態(以下これを分離ポジションと呼ぶ)との間を遷移することができる。
【0048】
収容空間32S内には、前後方向に薄い板状の仕切板33が設けられている。この仕切板33は、紙幣制御部11(図2)の制御に基づき、図示しない仕切板駆動部により前後方向に移動される。またプール部32の後方下側には、収容空間32S内に収容された紙幣BLを1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部13に受け渡す分離部34が設けられている。さらにプール部32の後方上側には、搬送部13から搬送されてくる紙幣BLをプール部32内へ順次放出して集積させる放出部35が設けられている。分離部34及び放出部35は、それぞれ複数のローラ等の組み合わせにより構成されており、いずれも紙幣制御部11の制御に基づいて動作する。
【0049】
またプール部32の底面には、比較的大きな孔でなる複数の落下孔32Hが穿設されている。この落下孔32Hは、プール部32の収容空間32S内に紙幣BL以外の物、例えば硬貨やクリップのような物(以下これを異物FBと呼ぶ)が誤って投入された場合、この異物FBを下方へ落下させる一方、紙幣BLを落下させずに収容空間32S内に止める。
【0050】
プール部32の下方には、異物排出部36が設けられている。異物排出部36は、図4に正面図を示すように、2個のプーリ41及び42並びに両者の周囲を取り巻くように掛け渡された異物排出ベルト43を中心に構成されている。
【0051】
プーリ41は、中心軸を前後方向に向けた円柱状に構成されており、プール部32の下方における右側に配置されている。プーリ41の周側面には、周方向に沿ってその一部分が周期的に切削されることにより歯車状に形成された滑り止め部(図示せず)が設けられている。
【0052】
またプーリ41の中心には、モータ44の出力軸44Sが挿通されている。モータ44は、筐体30に取り付けられており、紙幣制御部11(図2)の制御に基づき、出力軸44S及びこれに挿通されたプーリ41を図4の時計方向又は反時計方向に回転させる。
【0053】
プーリ42は、プーリ41と同様に中心軸を前後方向に向けた円柱状に構成されており、プール部32の下方における左側に配置されている。プーリ42の中心には、中心軸を前後方向に向けた細長い円柱状でなる回転軸45が挿通されている。この回転軸45は、図示しない軸受により、筐体30に対し回転可能に支持されている。
【0054】
異物排出ベルト43は、長手方向の両端が接続されて環状に形成されており、プーリ41及び42の周囲を取り巻くように掛け回されている。また異物排出ベルト43における前後方向の幅は、プール部32に穿設された落下孔32Hよりも広くなっている。このため落下孔32Hから落下してきた異物FBは、異物排出ベルト43の上面に載置される。
【0055】
異物排出ベルト43は、モータ44によりプーリ41が回転されると、当該プーリ41との摩擦により、その上面を右方向又は左方向へ向けて走行させる。このとき異物排出ベルト43は、その上面に異物FBが載置されていると、この異物FBを上面の走行方向へ搬送することになる。
【0056】
説明の都合上、以下では右方向を排出方向T1とも呼び、左方向を反対方向T2とも呼ぶ。また以下では、異物排出ベルト43の上面部分に着目し、当該上面部分の進行方向を当該異物排出ベルト43の走行方向と呼ぶ。さらに以下では、異物排出ベルト43を排出方向T1へ走行させるようにモータ44を回転させる際の回転方向を排出回転方向と呼び、その反対方向を反対回転方向と呼ぶ。
【0057】
異物排出ベルト43の裏面には、プーリ41の周側面に形成された滑り止め部と対応するように、内面における長手方向に沿った所定位置に、周期的に内側へ突出したラック状ないし内歯車状の係合部(図示せず)が形成されている。
【0058】
このため異物排出ベルト43は、プーリ41に対して滑ること無く、モータ44からの駆動力が伝達される。その一方で、異物排出ベルト43が他の部品に引っかかる等の理由により走行できない場合、プーリ41は当該異物排出ベルト43によりその回転が抑制され、モータ44の出力軸44Sに駆動力が印加されたときにも回転できなくなる。
【0059】
プーリ42の上方には、異物ガイド46が設けられている。異物ガイド46は、その上面に右側が低くなるような傾斜面46Sが形成されている。傾斜面46Sの右端は、異物排出ベルト43の上面に極めて近接しており、当該異物排出ベルト43との隙間に異物FBを進入させないようになっている。
【0060】
プーリ41の上方には、筐体30の一部分により堰止部47が構成されている。堰止部47は、右側へ進むに連れて低くなるような傾斜面となっており、異物排出ベルト43の上面との間に比較的狭い隙間Gを形成している。この隙間Gは、例えば硬貨1枚分よりも広い程度の距離となっている。
【0061】
堰止部47は、異物排出ベルト43が排出方向T1に向けて走行している場合、当該異物排出ベルト43の上面に載置された異物FBのうち、隙間Gよりも高く積み上げられた部分を堰き止めて左側へ崩す。これにより堰止部47は、異物排出ベルト43の上面に複数の異物FBが重なるように載置された場合に、これらの異物FBを隙間G以下の高さとなるように少量ずつに分けて搬送させることができる。
【0062】
プーリ41の右側には、異物を案内する異物案内部48が設けられている。異物案内部48は、当該プーリ41の近傍から筐体2の異物排出口2E(図1)までを滑らかな傾斜面により繋いでおり、異物排出ベルト43の右端から落下した異物FBを、重力の作用により傾斜面上で滑降させ、当該異物排出口2Eへ導く。
【0063】
また異物案内部48の途中には、排出検知部49が設けられている。排出検知部49は、所定の検知光L2を発光する発光部49Aと、この検知光L2を受光する受光部49Bとにより構成されている。また発光部49A及び受光部49Bは、異物案内部48の傾斜面上を滑降する異物FBにより検知光L2が遮光されるよう、その取付位置や取付方向等が調整されている。
【0064】
受光部49Bは、検知光L2の受光結果に応じた排出検知信号を生成し、これを紙幣制御部11へ供給する。紙幣制御部11は、この排出検知信号を基に、異物FBが異物案内部48へ排出されたか否かを認識することができる。
【0065】
かかる構成に加えて、プーリ41及びその近傍には、図5(A)及び(B)に示すように、当該プーリ41の回転を検知する回転検知部50が設けられている。回転検知部50は、ディテクタ51及びセンサユニット52により構成されている。
【0066】
ディテクタ51は、扇形の薄板状に構成されており、光透過性が無い材料、すなわち光を遮断する性質を有する材料により構成されている。またディテクタ51は、プーリ41の前側面に対し、モータ44の出力軸44Sから見てプーリ41の外周面よりも外方に突出するように取り付けられている。
【0067】
このためディテクタ51は、プーリ41の回転に伴い、すなわち異物排出ベルト43の走行に伴い、出力軸44Sを中心として回転する。またディテクタ51は、異物排出ベルト43が走行せずプーリ41が停止しているときには、当該プーリ41と共に停止することになる。
【0068】
センサユニット52は、上方向から見て左側を開いた略U字状に形成されている。センサユニット52の後側部分には、前方向へ向けて所定の検知光L3を発光する発光素子52Aが組み込まれている。またセンサユニット52の前側部分には、後方から進行してくる検知光L3を受光する受光素子52Bが組み込まれている。受光素子52Bは、検知光L3の受光結果を基に回転検知信号を生成し、これを紙幣制御部11へ通知する。
【0069】
この回転検知信号は、例えば受光素子52Bにより検知光L2を受光したときにはハイレベルとなり、受光しなかったときにはローレベルとなる。すなわち受光素子52Bは、プーリ41の回転によりディテクタ51が発光素子52A及び受光素子52Bの間に位置して検知光L3を遮断しているか否かに応じて、回転検知信号の信号レベルを変化させることになる。
【0070】
このため紙幣制御部11は、回転検知信号がハイレベル及びローレベルに交互に変化している場合には、プーリ41が回転しており異物排出ベルト43が走行していると判断することができる。また紙幣制御部11は、回転検知信号の信号レベルがハイレベル又はローレベルのまま変化しない場合には、プーリ41が回転しておらず異物排出ベルト43が走行していないと判断することができる。
【0071】
さらに回転検知部50では、プーリ41が1回転する間に、ディテクタ51が検知光L3を1回だけ遮断する。このため回転検知信号には、プーリ41が1回転する間に、ハイレベルからローレベルへの立ち下がり及びローレベルからハイレベルへの立ち上がりがいずれも1回のみ出現する。このため紙幣制御部11は、回転検知信号に出現する立ち上がり又は立ち下がりの回数を計数することにより、プーリ41の回転数を認識することができる。
【0072】
ここで、プーリ41の外周の長さについては、容易に計測することができる。そこで紙幣制御部11は、プーリ41の外周の長さを予め記憶しておき、これをプーリ41の回転数に乗じることにより、異物排出ベルト43の走行距離を算出することができる。
【0073】
また、異物排出ベルト43の走行方向に関する1周の長さについても、容易に計測できる。そこで紙幣制御部11は、この1周の長さを予め記憶しておき、異物排出ベルト43の走行距離を1周の長さで除算することにより、当該異物排出ベルト43の周回数を算出することもできる。
【0074】
このように入出金部12の下方に配置された異物排出部36には、プーリ41の回転数を検出する回転検知部50が設けられている。また紙幣制御部11は、この回転検知部50から供給される回転検知信号を基に、プーリ41の回転状態及び回転数並びに異物排出ベルト43の走行状態及び周回数を認識するようになっている。
【0075】
[1−3.入金処理及び異物排出処理]
次に、紙幣入出金機10における入金処理及びこれと並行して実行される異物排出処理について説明する。
[1−3−1.入金処理]
現金自動預払機1の主制御部9は、例えば操作表示部6に表示した所定のメニュー画面(図示せず)から顧客により「預金」項目が選択されると、紙幣入出金機10の紙幣制御部11に対し、上述した入金処理の開始を指示する。
【0076】
これに応じて紙幣制御部11は、入金処理の一環として、入出金部12に対し、紙幣BLを顧客に投入させると共にこの紙幣BLを1枚ずつに分離して搬送部13(図2)へ受け渡す紙幣投入処理を行う。具体的に紙幣制御部11は、図6に示す紙幣投入処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
【0077】
ステップSP1において紙幣制御部11は、シャッタ31を開放することによりプール部32の収容空間32Sを外部と連通させ、次のステップSP2へ移る。因みにこのときプール部32は、図3に実線で示した入出ポジションとなっている。
【0078】
ステップSP2において紙幣制御部11は、紙幣検知部32D(図3)からの紙幣検知信号を基に、収容空間32S内に紙幣BLが投入されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、紙幣制御部11はこのステップSP2を繰り返すことにより紙幣BLが投入されるのを待ち受ける。一方、ステップSP2において肯定結果が得られると、紙幣制御部11は次のステップSP3へ移る。
【0079】
ステップSP3において紙幣制御部11は、図示しない各種センサ等の検知結果を基に、プール部32内における紙幣の状態を確認し、次のステップSP4へ移る。
【0080】
ステップSP4において紙幣制御部11は、プール部32内における紙幣BLの状態が正常であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは例えばプール部32に対し紙幣BLが奥まで挿入されていない等、後述する分離処理を正常に行い得ない状態であることを表している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP5に移る。
【0081】
ステップSP5において紙幣制御部11は、操作表示部6に所定のメッセージを表示する等して、顧客に対し紙幣BLを一度取り出して再度正しく投入するよう促し、再びステップSP2へ移る。
【0082】
一方、ステップSP4において肯定結果が得られると、このことはプール部32に対し紙幣BLが正しく投入されていることを表している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP6へ移る。
【0083】
ステップSP6において紙幣制御部11は、この紙幣投入処理と並行して実行される異物排出処理(詳しくは後述する)が終了したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、紙幣制御部11はこのステップSP6を繰り返すことにより、この異物排出処理の終了を待ち受ける。一方、ここで肯定結果が得られると、このことは異物排出処理が終了しており、プール部32内に投入されている紙幣BLを1枚ずつに分離して搬送部13に受け渡し得る状態であることを表している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP7へ移る。
【0084】
ステップSP7において紙幣制御部11は、シャッタ31を閉塞し、次のステップSP8へ移る。ステップSP8において紙幣制御部11は、プール部32を矢印R1方向(図3)へ回動させて分離ポジションとし、次のステップSP9へ移る。
【0085】
ステップSP9において紙幣制御部11は、分離部34の各ローラを適宜回転させることにより、プール部32内に収容されている紙幣BLを1枚ずつに分離して搬送部13(図2)に受け渡す分離処理を開始し、次のステップSP10へ移る。
【0086】
ステップSP10において紙幣制御部11は、紙幣検知部32Dから得られる紙幣検知信号を基に、プール部32内に紙幣BLが残留していないか否か、すなわちプール部32内の全ての紙幣BLを分離し終えたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、紙幣制御部11は、このステップSP10を繰り返すことにより、分離部34による分離処理を継続させてプール部32内の全ての紙幣BLを分離し終えるまで待機する。
【0087】
一方、ステップSP10において肯定結果が得られると、紙幣制御部11は次のステップSP11へ移る。ステップSP11において紙幣制御部11は、分離部34の各ローラを停止させる等して分離処理を終了し、さらにステップSP12へ移って紙幣投入処理手順RT1を終了する。
【0088】
[1−3−2.異物排出処理]
次に、異物排出処理について説明する。紙幣制御部11は、上述した紙幣投入処理手順RT1(図6)を開始すると、これと並行して図7に示す異物排出処理手順RT2を開始し、ステップSP21へ移る。
【0089】
ステップSP21において紙幣制御部11は、プーリ41の回転数を計数するための変数である回転カウント値を値「0」に初期化することにより、異物排出ベルト43の走行距離を計測する準備を行い、次のステップSP22へ移る。因みに排出カウント値は、例えば回転検知部50からの回転検知信号に立ち上がりが出現する度に値「1」が加算される。ステップSP22において紙幣制御部11は、モータ44(図3等)を排出回転方向に回転させることにより、異物排出ベルト43を排出方向T1へ進行させ、次のステップSP23へ移る。
【0090】
ステップSP23において紙幣制御部11は、回転検知部50(図5)から得られる回転検知信号を基に、立ち上がり又は立ち下がりの出現の有無等から、プーリ41が正常に回転しているか否か、すなわち異物排出ベルト43が正常に走行しているか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは例えば図8(A)に示すように、異物FBが隙間Gに詰まる等して異物排出ベルト43が正常に走行していないことを表している。このとき紙幣制御部11は、異物排出ベルト43を正常に走行させるべく、次のステップSP24へ移る。
【0091】
ステップSP24において紙幣制御部11は、モータ44を停止させ、次のステップSP25へ移る。ステップSP25において紙幣制御部11は、回転カウント値を再度初期化することにより、新たに異物排出ベルト43の走行距離を計測する準備を行い、次のステップSP26へ移る。ステップSP26において紙幣制御部11は、モータ44(図3等)を反対回転方向に回転させることにより異物排出ベルト43を反対方向T2へ進行させ、次のステップSP27へ移る。
【0092】
ステップSP27において紙幣制御部11は、回転検知部50(図5)から得られる回転検知信号を基に、異物排出ベルト43の反対方向T2への走行距離が所定の反対走行距離D1以上であるか否かを判定する。因みに反対走行距離D1は、例えば異物排出ベルト43の半周分に相当する距離に設定されている。ここで否定結果が得られると、このとき紙幣制御部11は、このステップSP27を繰り返すことにより、異物排出ベルト43の反対方向T2への走行距離が半周分以上となるのを待ち受ける。
【0093】
一方、ステップSP27において肯定結果が得られると、このことは異物排出ベルト43における反対方向T2への走行距離が半周分以上となり、当該異物排出ベルト43を反対方向T2へ十分に走行させたことにより、図8(B)に示すように、異物FBの詰まりが解消された可能性があることを表している。このとき紙幣制御部11は次のステップSP28へ移る。ステップSP28において紙幣制御部11は、モータ44を停止させた後、回転カウント値を再度初期化してから異物排出ベルト43を再度排出方向T1へ走行させるべく、再度ステップSP21へ移る。
【0094】
一方、ステップSP23において肯定結果が得られると、このことは異物排出ベルト43が正常に走行していることを表しており、このとき紙幣制御部11は、次のステップSP29へ移る。ステップSP29において紙幣制御部11は、排出検知部49(図4)から得られる排出検知信号を基に、異物FBが異物案内部48(図4)へ排出されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、紙幣制御部11は次のステップSP30へ移る。
【0095】
ステップSP30において紙幣制御部11は、ステップSP25と同様、回転カウント値を再度初期化することにより、新たに異物排出ベルト43の走行距離を計測する準備を行い、再度ステップSP23へ移る。これにより紙幣制御部11は、回転カウント値により表される異物排出ベルト43の走行距離を、排出方向T1への走行を開始した時点からの走行距離では無く、異物FBを最後に排出した時点からの走行距離を表す値とすることができる。
【0096】
一方、ステップSP29において否定結果が得られると、紙幣制御部11は、次のステップSP31へ移る。ステップSP31において紙幣制御部11は、回転検知部50(図5)から得られる回転検知信号を基に、回転カウント値が閾値以上であるか否か、具体的には異物排出ベルト43の排出方向T1への継続した走行距離、すなわち最後の停止若しくは異物案内部48への異物FBの排出から継続して走行した距離が、所定の継続走行距離D2以上であるか否かを判定する。因みに継続走行距離D2は、例えば異物排出ベルト43の一周分に相当する距離に設定されている。
【0097】
ここで否定結果が得られると、このことは異物排出ベルト43が停止も異物案内部48へ異物FBを排出することも無く継続して走行した距離が比較的短く、当該異物排出ベルト43上に異物FBが残留している可能性が高いことを表している。このとき紙幣制御部11は、異物排出ベルト43を引き続き排出方向T1へ走行させるべく、再度ステップSP23へ戻る。
【0098】
一方、ステップSP31において肯定結果が得られると、このことは異物排出ベルト43が停止も異物案内部48へ異物FBを排出することも無く走行した距離が十分に長意ことを表している。このことは、仮に異物排出ベルト43の上面における左端付近に異物FBが載置されていたとしても、既に右端まで搬送して異物案内部48へ排出できたと推定されること、換言すれば、異物排出ベルト43上に異物FBが残留している可能性が低いことを表している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP32へ移る。
【0099】
ステップSP32において紙幣制御部11は、モータ44を停止させることにより異物排出ベルト43の走行を停止させ、次のステップSP33へ移って異物排出処理手順RT2を終了する。因みに紙幣制御部11は、このとき紙幣投入処理手順RT1(図6)のステップSP6における待機処理を終了し、次のステップSP7へ処理を移すことになる。
【0100】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による紙幣入出金機10の入出金部12は、異物排出部36に回転検知部50を設け、プーリ41が回転しているか否か、及びその回転数を検知することにより、異物排出ベルト43が正常に走行しているか否か、及びその走行距離を認識するようにした。
【0101】
また紙幣制御部11は、入金処理と並行して異物排出処理を実行し、回転検知部50による回転検知結果を基に異物排出ベルト43の走行を制御するようにした。具体的に紙幣制御部11は、モータ44を回転させるよう制御しているにも拘わらず異物排出ベルト43が走行していない場合のみ反対方向T2へ一時的に走行させるようにし、また最後に異物FBが排出されてから異物排出ベルト43が排出方向T1へ継続走行距離D2以上の距離を走行した時点でその走行を停止させるようにした。
【0102】
これにより紙幣制御部11は、異物排出ベルト43の実際の走行状態を認識した上で、当該異物排出ベルト43を異物FBの確実な排除に必要な最小限の距離だけ走行させることができ、その完了までの時間を最小限に抑えることができる。これを換言すれば、紙幣制御部11は、異物排出処理の効率を格段に高めることができる。この結果、現金自動預払機1は、入金処理において顧客を待たせる時間を従来よりも短縮することができる。
【0103】
特に異物排出部36は、最終的に走行状態を検知したい異物排出ベルト43では無く、当該異物排出ベルト43の走行と直接的に対応して回転するプーリ41の回転状態を回転検知部50により検知するようにした。また回転検知部50としては、プーリ41に取り付ける扇形の板状部材であるディテクタ51と、いわゆる遮光センサであるセンサユニット52とにより構成した。このため異物排出部36は、従来の異物排出部336(図13及び図14)に対し極めて簡素な部品を僅かに追加するだけで、異物排出ベルト43の走行状態を精度良く検知することができる。
【0104】
また紙幣制御部11は、異物排出処理手順RT2(図8)において、異物排出ベルト43を排出方向T1に向けて一周分に相当する継続走行距離D2以上に走行させるようにした。これにより紙幣制御部11は、従来の構成、例えば回転検知部50を設けずに紙幣BLの分離処理が終了するまで異物排出処理を実行する構成と比較して、紙幣BLの枚数に左右されること無く、必要最小限の時間をかけるだけで、異物排出ベルト43上の異物FBを確実に排出することができる。
【0105】
また紙幣制御部11は、異物排出処理手順RT2(図8)において、異物排出ベルト43が正常に走行していなかった場合にのみ、反対方向T2へ一時的に走行させるようにした。すなわち紙幣制御部11は、異物排出ベルト43が正常に走行している場合には、反対方向T2へ走行させることが無い。このため紙幣制御部11は、従来のように一様に異物排出ベルト43を反対方向T2に走行させる場合と比較して、異物FBが投入されない多くの場合において時間を短縮することができる。
【0106】
さらに紙幣制御部11は、異物排出処理手順RT2(図8)において、異物排出ベルト43を反対方向T2へ走行させる際の走行距離を半周分に相当する反対走行距離D1とした。このため異物排出部36では、異物排出ベルト43の上面における右端において、複数の異物FBが重なることにより堰止部47と当該異物排出ベルト43との間に挟まっていたとしても、この異物FBを右端近傍まで搬送して異物ガイド46に乗り上げさせることができる。これにより異物排出部36では、異物FBの重なりを崩すことを期待でき、これに伴って当該異物FBを異物案内部48へ排出できるようになる。
【0107】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による入出金部12は、異物排出部36に回転検知部50を設けてプーリ41の回転を検知し、その回転検知結果を基に紙幣制御部11において異物排出ベルト43が正常に走行しているか否か、及びその走行距離を認識する。また紙幣制御部11は、異物排出処理において、回転検知部50による回転検知結果を基に異物排出ベルト43の走行を制御する。これにより紙幣制御部11は、異物排出ベルト43の実際の走行状態に応じて、当該異物排出ベルト43を異物FBの確実な排除に必要な最小限の距離だけ走行させることができ、且つ完了までに要する時間を最小限に抑えることができる。
【0108】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0109】
紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11及び入出金部12に代わる紙幣制御部111及び入出金部112を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0110】
紙幣制御部111は、紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、種々の処理を行う。また紙幣制御部111は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0111】
[2−1.入金部の構成]
入出金部112は、第1の実施の形態による入出金部12と比較して、異物排出部36に代わる異物排出部136を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。この異物排出部136は、異物排出部36と比較して、異物排出ベルト43及び回転検知部50に代わる異物排出ベルト143及び走行検知部150を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0112】
異物排出ベルト143は、図9(A)、(B)及び(C)に示すように、第1の実施の形態による異物排出ベルト143の前側辺に、走行検知部150の一部を構成するディテクタ151が複数設けられている。因みに図9(A)は正面図を表し、図9(B)は平面図を表し、図9(C)は右方向から見た側面図及び一部の断面図を表している。
【0113】
ディテクタ151は、小さな矩形状でなり、異物排出ベルト143の前側辺に、所定間隔ごとに前方へ突出するように設けられている。具体的にディテクタ151は、例えば異物排出ベルト143がプーリ41の周側面に沿って半周する区間に4〜5個が設けられている。またディテクタ151は、第1の実施の形態におけるディテクタ51と同様、光透過性の無い材料、すなわち光を遮断する性質を有する材料により構成されている。
【0114】
走行検知部150は、異物排出ベルト143に設けられたディテクタ151及びセンサユニット152により構成されている。センサユニット152は、第1の実施の形態におけるセンサユニット52が、筐体30に対し異なる取付方向により取り付けられたような構成となっている。
【0115】
すなわちセンサユニット152は、後側を開放したU字状に構成されており、上側に検知光L3を発光する発光素子152Aが組み込まれ、下側にこの検知光L3を受光して走行検知信号を生成する受光素子152Bが組み込まれている。この走行検知信号は、第1の実施の形態における回転検知信号と同様、検知光L3がディテクタ151により遮断されているか否かに応じて信号レベルが変化する。
【0116】
紙幣制御部111は、走行検知信号の信号レベルが変化しているか否かに応じて、異物排出ベルト143が走行しているか否かを判断する。
【0117】
また紙幣制御部111は、隣接するディテクタ151同士の周期(距離)を予め記憶している。このため紙幣制御部111は、走行検知信号に出現する立ち上がり又は立ち下がりの回数を計数し、この回数に周期を乗じることにより、異物排出ベルト143の走行距離を算出することができる。
【0118】
さらに紙幣制御部111は、第1の実施の形態と同様、異物排出ベルト143の1周の長さを予め記憶しており、算出した異物排出ベルト143の走行距離を1周の長さで除算することにより、当該異物排出ベルト143の周回数を算出することもできる。
【0119】
[2−2.紙幣投入処理及び異物排出処理]
ところで紙幣制御部111は、入金処理の一環として入出金部112において実行される紙幣投入処理については、第1の実施の形態と同様に紙幣投入処理手順RT1(図6)に従う。その一方で紙幣制御部111は、これと並行して実行される異物排出処理については、図7と対応する図10に示す異物排出処理手順RT3に従う。
【0120】
紙幣制御部111は、紙幣投入処理手順RT1(図6)を開始すると、これと並行して図10に示す異物排出処理手順RT3を開始し、ステップSP41へ移る。
【0121】
ステップSP41において紙幣制御部111は、異物排出ベルト143の走行距離を計数するための2個の変数である走行カウント値及び排出後カウント値をそれぞれ値「0」に初期化することにより、異物排出ベルト143の走行距離を計測する準備を行い、次のステップSP42へ移る。
【0122】
因みに走行カウント値は、第1の実施の形態における回転カウント値に相当するものであり、異物排出ベルト143が最後に停止してからの走行距離を計数する目的で使用される。また排出後カウント値は、最後に異物FBを異物案内部48(図4)へ排出してからの異物排出ベルト143の走行距離を計数する目的で使用される。これらの走行カウント値及び排出後カウント値は、いずれも走行検知部150からの走行検知信号により1個のディテクタ151の通過が検知される度に、値「1」が加算される。
【0123】
紙幣制御部111は、ステップSP42〜ステップSP44において、異物排出処理手順RT2(図7)のステップSP21〜SP24とそれぞれ同様の処理を実行し、次のステップSP45へ移る。
【0124】
ステップSP45において紙幣制御部111は、サブルーチンとして図11に示す振動処理手順SRT4を開始し、ステップSP61へ移る。ステップSP61において紙幣制御部111は、この振動処理における振動回数を計数するための変数である振動カウント値を値「0」に初期化し、次のステップSP62へ移る。
【0125】
ステップSP62において紙幣制御部111は、モータ44(図3等)を反対回転方向に回転させることにより、異物排出ベルト43を反対方向T2へ進行させ、次のステップSP63へ移る。ステップSP63において紙幣制御部111は、所定の振動走行時間だけ待機し、次のステップSP64へ移る。因みに振動走行時間は、例えば0.5秒のように極めて短い時間に設定されている。ステップSP64において紙幣制御部111は、モータ44を停止させ、次のステップSP65へ移る。
【0126】
ステップSP65において紙幣制御部111は、モータ44を排出回転方向に回転させることにより、異物排出ベルト43を排出方向T1へ進行させ、次のステップSP66へ移る。ステップSP66において紙幣制御部111は、振動走行時間だけ待機し、次のステップSP67へ移る。ステップSP67において紙幣制御部111は、モータ44を停止させ、次のステップSP68へ移る。
【0127】
すなわち紙幣制御部111は、ステップSP62〜SP67の処理により、異物排出ベルト43を僅かな距離だけ、あたかも当該異物排出ベルト43上に載置されている異物FBを振動させるかのように1往復させる。
【0128】
ステップSP68において紙幣制御部111は、振動カウント値に値「1」を加算し、次のステップSP69へ移る。ステップSP69において紙幣制御部111は、振動カウント値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。因みに閾値は、例えば値「10」に設定されている。ここで否定結果が得られると、このことは異物排出ベルト43の微少な往復走行の回数、すなわち振動の回数が比較的少ないことを表している。このとき紙幣制御部111は、ステップSP62へ戻って異物排出ベルト43の微少な往復走行を繰り返す。
【0129】
一方、ステップSP69において肯定結果が得られると、このことは異物排出ベルト43の微少な往復走行の回数、すなわち振動の回数が10回以上となり、異物FBの重なりを十分に崩すことができたと推定されることを表している。このとき紙幣制御部111は、次のステップSP70へ移って振動処理手順SRT4を終了し、元の異物排出処理手順RT3(図9)におけるステップSP45へ戻った上で、その次のステップSP46へ移る。
【0130】
このように紙幣制御部111は、異物排出ベルト43が正常に走行していなかった場合に振動処理を行うことにより、異物FBを崩して当該異物排出ベルト43の正常な走行を図るようになされている。
【0131】
続いて紙幣制御部111は、ステップSP46〜SP50において、異物排出処理手順RT2(図7)のステップSP25〜SP29における回転カウント値を走行カウント値に置き換えた処理を行い、ステップSP50において肯定結果が得られた場合、ステップSP51へ移る。
【0132】
ステップSP51において紙幣制御部111は、走行カウント値はそのまま変化させること無く、排出後カウント値を初期化し、再度ステップSP43へ戻る。これにより紙幣制御部111は、異物案内部48(図4)を最後に異物FBが通過してからの異物排出ベルト143の走行距離を正しく計測しながら、一連の処理を繰り返すことができる。
【0133】
一方、ステップSP50において否定結果が得られると、紙幣制御部111はステップSP52へ移る。ステップSP52において紙幣制御部111は、走行カウント値を基に、異物排出ベルト143の排出方向T1への継続した走行距離、すなわち最後に停止してから継続して走行した距離が継続走行距離D2(異物排出ベルト143の一周分)以上であるか否かを判定する。
【0134】
ここで否定結果が得られると、このことは異物排出ベルト43が排出方向T1へ継続して走行した距離が比較的短く、当該異物排出ベルト43上に異物FBが残留している可能性が高いことを表している。このとき紙幣制御部111は、異物排出ベルト143を引き続き排出方向T1へ走行させるべく、再度ステップSP43へ戻る。
【0135】
一方、ステップSP52において肯定結果が得られると、このとき紙幣制御部111は次のステップSP53へ移る。ステップSP53において紙幣制御部111は、異物排出ベルト143が異物案内部48へ異物FBを排出すること無く継続して走行した距離が所定の排出後走行距離D3以上であるか否かを判定する。因みに排出後走行距離D3は、例えば異物排出ベルト143の半周分に設定されており、継続走行距離D2よりも小さい値となっている。
【0136】
ここで否定結果が得られると、このことは異物排出ベルト143が異物案内部48へ最後に異物FBを排出してから排出方向T1へ走行した距離が比較的短く、当該異物排出ベルト143上に異物FBが残留している可能性が高いことを表している。このとき紙幣制御部111は、異物排出ベルト143を引き続き排出方向T1へ走行させるべく、再度ステップSP43へ戻る。
【0137】
一方、ステップSP53において肯定結果が得られると、このことは異物排出ベルト143が停止も異物案内部48へ異物FBを排出することも無く走行した距離が十分に長意ことを表している。このことは、仮に異物排出ベルト143の上面における左端付近に異物FBが載置されていたとしても、既に右端まで搬送して異物案内部48へ排出できたと推定されること、換言すれば、異物排出ベルト143上に異物FBが残留している可能性が低いことを表している。このとき紙幣制御部111は、次のステップSP54へ移る。
【0138】
ステップSP54において紙幣制御部111は、モータ44を停止させることにより異物排出ベルト143の走行を停止させ、次のステップSP55へ移って異物排出処理手順RT3を終了する。
【0139】
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による紙幣入出金機110の入出金部112は、異物排出部136に走行検知部150を設け、異物排出ベルト143が正常に走行しているか否か、及びその走行距離を認識するようにした。
【0140】
また紙幣制御部111は、第1の実施の形態と同様、入金処理と並行して異物排出処理を実行し、走行検知部150による回転検知結果を基に異物排出ベルト143の走行を制御するようにした。これにより紙幣制御部111は、異物排出ベルト143の実際の走行状態を認識した上で、当該異物排出ベルト143を異物FBの確実な排除に必要な最小限の距離だけ走行させることができ、その完了までの時間を最小限に抑えることができる。
【0141】
これに加えて紙幣制御部111は、異物排出ベルト143が正常に走行していない場合には、当該異物排出ベルト143を微少に往復させる振動処理を行ってから、反対方向T2へ走行させるようにした。これにより異物排出部136は、図8(A)に示したように異物FBが隙間Gに詰まっていたとしても、これを積極的に崩すことができるので、その後の反対方向T2への走行との組み合わせにより、異物FBの詰まり解消できる可能性を格段に高めることができる。
【0142】
また紙幣制御部111は、異物排出処理手順RT3(図10)において、走行カウント値及び排出後カウント値といった2種類の変数を用いたことにより、異物排出ベルト143が最後に停止してからの走行距離とは別に、異物案内部48(図4)を最後に異物FBが通過してからの異物排出ベルト143の走行距離を計測するようにした。これと共に排出後走行距離D3については、継続走行距離D2よりも小さい値とした。
【0143】
このため紙幣制御部111は、例えば異物案内部48(図4)を最後に異物FBが通過してからの異物排出ベルト143の走行距離が一周未満であったとしても、当該走行距離が半周以上であり、且つ最後に停止してからの走行距離が一周以上であれば、異物排出処理を終了することができる。
【0144】
すなわち紙幣制御部111は、異物案内部48(図4)を最後に異物FBが通過してから異物排出ベルト143を走行させるべき距離と、最後に停止してから走行させるべき距離とを、それぞれ独立して最適な値を用いることができる。これにより紙幣制御部111は、これらの距離をいずれか一方に合わせた場合に生じ得る、時間の無駄な経過や異物FBが残留する危険性を適切に排除することができ、さらに効率を高めることができる。
【0145】
さらに走行検知部150は、比較的小さなディテクタ151を比較的狭い間隔ごとに、具体的にはプーリ41の周側面における半周分の区間に4〜5個の間隔で、異物排出ベルト143に取り付けるようにした。これにより走行検知部150は、例えばプーリ41が一回転する間に走行検知信号の立ち上がり又は立ち下がりを8〜10回検出することができるので、第1の実施の形態における回転検知部50と比較して、異物排出ベルト143の走行距離や走行状態をきめ細かく検知することができる。
【0146】
その他の点においても、第2の実施の形態による入出金部112及び紙幣制御部111は、第1の実施の形態による入出金部12及び紙幣制御部11と同様の作用効果を奏し得る。
【0147】
以上の構成によれば、第2の実施の形態による入出金部112は、異物排出部136に走行検知部150を設け、異物排出ベルト143が正常に走行しているか否か、及びその走行距離を認識する。また紙幣制御部111は、異物排出処理において、走行検知部150による走行検知結果を基に異物排出ベルト43の走行を制御し、正常に走行していない場合には、振動処理を行ってから反対方向T2へ走行させる。これにより紙幣制御部111は、異物FBの詰まりが発生した場合にはこれを高い確度で解消できると共に、異物排出ベルト143の実際の走行状態に応じて、当該異物排出ベルト143を異物FBの確実な排除に必要な最小限の距離だけ走行させることができ、且つ完了までに要する時間を最小限に抑えることができる。
【0148】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、回転検知部50においてプーリ41に取り付けたディテクタ51によりセンサユニット52の検知光L3が遮光されたか否かを検知し、回転検知信号の変化を基に紙幣制御部11においてプーリ41の回転状態及びその回転数を検知する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、種々の手法によりプーリ41の回転状態及びその回転数を検知するようにしても良い。
【0149】
具体的には、例えば図12(A)及び(B)に示すように、プーリ241の周側面に形成されたディテクタ251とセンサユニット252との組み合わせによる回転検知部250を構成しても良い。ディテクタ251は、プーリ241の周側面に、検知光L3を反射する反射部251A及び反射しない非反射部251Bが周方向に沿って交互に配置された構成となっている。センサユニット252は、発光素子252Aからディテクタ251へ向けて検知光L3を発光し、当該検知光L3が反射部251Aにおいて反射された場合、これを受光素子252Bにより受光する。受光素子252Bは、第1の実施の形態による受光素子52Bと同様、受光結果に基づき回転検知信号を生成する。かかる構成により回転検知部250は、回転検知部50と同様、プーリ241の回転状態を表す回転検知信号を生成することができる。
【0150】
またディテクタ51の数については、1枚に限らず、2枚以上としても良い。これにより紙幣制御部11は、プーリ41の回転状態をきめ細かく検知することができる。例えば紙幣制御部11は、ディテクタ51の数をNとし、その大きさや間隔を適切に定めた上で回転検知信号の立ち上がりのみを利用すれば、プーリ41の回転状態を(1/N)回転ごと検知でき、さらには立ち上がり及び立ち下がりの双方を利用すれば、(1/2N)回転ごとに検知できる。
【0151】
さらにディテクタ51の取付対象としては、プーリ41に限らず、例えばプーリ42やモータ44の出力軸44S等、異物排出ベルト43の走行に伴って回転する種々の部品とすることができる。またモータ44とプーリ41との間にギヤを介在させる場合には、このギヤにディテクタ51を取り付けるようにしても良い。
【0152】
また上述した第2の実施の形態においては、走行検知部150において異物排出ベルト143の前側辺に取り付けたディテクタ151によりセンサユニット152の検知光L3が遮光されたか否かを検知し、走行検知信号の変化を基に紙幣制御部111において異物排出ベルト143の走行状態及びその走行距離を検知する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、種々の手法により異物排出ベルト143の走行状態及びその走行距離を検知するようにしても良い。
【0153】
具体的には、例えば異物排出ベルト43の表面や裏面にディテクタ251と同様のディテクタを設け、走行方向に沿って反射部251A及び非反射部251Bを交互に配置して、センサユニット252により検知光L3をこのディテクタに照射するようにしても良い。
【0154】
さらに上述した第1の実施の形態においては、センサユニット52により検知光L3を発光及び受光するようにして、ディテクタ51により検知光L3が遮断されたか否かを当該センサユニット52により検知する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばセンサユニットにより超音波を発信及び受信するようにして、ディテクタ51によりこの超音波が遮断されたか否かを当該センサユニットにより検知するようにする等、種々の物理現象を利用してディテクタ51の有無を検知するようにしても良い。紙幣BLや異物FBを検知する他の各検知部についても同様であり、また第2の実施の形態についても同様である。
【0155】
さらに上述した第1の実施の形態においては、異物排出ベルト43における長手方向の両端を接続して環状に形成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば異物排出ベルト43の両端をプーリ41及び42の周側面に固定すると共にある程度の長さに渡ってそれぞれ巻き付けておき、各プーリを回転させて異物排出ベルト43の巻付量を変化させることにより、排出方向T1又は反対方向T2へ走行させるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0156】
さらに上述した第1の実施の形態においては、異物排出ベルト43の上面をほぼ水平とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばプーリ42をプーリ41よりも高い位置に配置し、異物排出ベルト43の上面を異物案内部48側(すなわち右側)が低くなるよう傾斜させても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0157】
さらに上述した第1の実施の形態においては、2個のプーリ41及び42の周囲に異物排出ベルト43を掛け回す場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば3個以上のプーリを配置し、その周囲に異物排出ベルト43を掛け回すようにしても良い。この場合、要はプール部32の落下孔32Hから落下してくる異物FBを異物排出ベルト43の上面により受け止めることができ、且つ当該異物排出ベルト43の走行により異物FBを異物案内部48へ搬送して排出することができれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0158】
さらに上述した第1の実施の形態においては、異物排出部36において排出検知部49により異物FBが排出されたか否かを検知し、異物排出処理手順RT2(図7)のステップSP29及びSP30において、異物FBが排出された場合には回転カウント値を初期化するようにした場合について述べた。
【0159】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば異物排出部36から排出検知部49を省略し、異物FBが排出されたか否かを検知しないようにしても良い。この場合、異物排出処理手順RT2のステップSP29及びSP30を省略し、異物排出ベルト43における最後の停止以降の走行距離が継続走行距離D2以上となった時点で異物排出処理を終了すれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0160】
さらに上述した第1の実施の形態においては、異物排出処理手順RT2(図7)のステップSP23において、異物排出ベルト43が正常に走行しているか否かを判定し、正常でない場合には当該異物排出ベルト43を一時的に反対方向T2へ走行させるようにした場合について述べた。
【0161】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば異物排出処理手順RT2においてステップSP23〜SP28を省略し、排出検知部49により異物FBが排出されてから異物排出ベルト43を継続走行距離D2だけ走行させた時点で異物排出処理を終了するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0162】
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金処理において、シャッタ31を開放したときに異物排出処理を開始するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばプール部32の紙幣検知部32D(図3)により紙幣BL等がプール部32内に投入されたことを検知したとき、或いは出金処理においてシャッタ31を開放したとき等、様々な時点から異物排出処理を開始するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0163】
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣投入処理手順RT1(図6)のステップSP6〜SP9において、異物排出処理が終了してからシャッタ31を閉塞して紙幣BLの分離処理を開始するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば異物排出処理を継続しながらシャッタ31を閉塞して紙幣BLの分離処理を開始するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0164】
さらに上述した第1の実施の形態においては、異物排出処理手順RT2(図7)においてステップSP27の閾値である反対走行距離D1を異物排出ベルト43の半周分に相当する距離とし、ステップSP31の閾値である継続走行距離D2を一周分に相当する距離とした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば反対走行距離D1を異物排出ベルト43の一周分に相当する距離とし、継続走行距離D2を半周分に相当する距離とする等、それぞれ種々の距離としても良い。
【0165】
例えば継続走行距離D2は、少なくとも異物排出ベルト43の半周分以上であれば、異物排出ベルト43の上面における異物案内部48からの走行距離が最も長い左端部分に載置された異物FBであっても、右端に到達させて当該異物案内部48へ排出することができる。また反対走行距離D1も、少なくとも異物排出ベルト43の半周分以上であれば、右端近傍の堰止部47の位置において詰まっていた異物FBを、左端近傍の異物ガイド46に到達させることができる。第2の実施の形態についても同様であり、排出後走行距離D3については任意の値とすることができる。
【0166】
さらに上述した第2の実施の形態においては、振動処理手順SRT4(図11)の振動動作において、異物排出ベルト143を排出方向T1及び反対方向T2に振動走行時間ずつ走行させる場合について述べた。
【0167】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば走行カウント値を利用して異物排出ベルト143の各方向への走行距離を規定しても良い。また、走行距離若しくは走行時間については、任意の時間や距離(すなわち走行カウント値)としても良く、さらには排出方向T1及び反対方向T2で走行距離若しくは走行時間を相違させても良い。この場合、例えば排出方向T1への走行距離若しくは走行時間を「0」として、反対方向T2への走行及び停止を交互に繰り返すようにすることもできる。
【0168】
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣入出金機10を制御する紙幣制御部11により紙幣投入処理手順RT1(図6)及び異物排出処理手順(図7)を実行するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば入出金部12に紙幣制御部11と同様の機能を有する入出金制御部を設け、当該入出金制御部により紙幣投入処理手順RT1及び異物排出処理手順を実行するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0169】
さらに上述した第1の実施の形態においては、本発明を入出金部12における紙幣BLを投入するためのプール部32の下方に配置する異物排出部36に適用するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、種々の装置において本来取り扱いたい媒体を選別してそれ以外の異物FBを落下させ、落下した異物FBを排出する異物排出部に適用するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0170】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0171】
さらに上述した第1の実施の形態においては、選別部としてのプール部32及び落下孔32Hと、ベルトとしての異物排出ベルト43と、ベルト走行部としてのプーリ41及び42並びにモータ44と、検知部としての回転検知部50と、制御部としての紙幣制御部11とによって異物排出装置としての入出金部12を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる選別部と、ベルトと、ベルト走行部と、検知部と、制御部とによって異物排出装置を構成するようにしても良い。
【0172】
さらに上述した第1の実施の形態においては、投入口としての入出金口5と、操出部としての分離部34と、選別部としてのプール部32及び落下孔32Hと、ベルトとしての異物排出ベルト43と、ベルト走行部としてのプーリ41及び42並びにモータ44と、検知部としての回転検知部50と、制御部としての紙幣制御部11とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる投入口と、操出部と、選別部と、ベルトと、ベルト走行部と、検知部と、制御部とによって媒体取引装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明は、例えば入金取引において紙幣を投入させる入出金部を有する現金自動預払機でも利用できる。
【符号の説明】
【0174】
1、101……現金自動預払機、2……筐体、2E……異物排出口、5……入出金口、9……主制御部、10、110……紙幣入出金機、11、111……紙幣制御部、12、112……入出金部、13……搬送部、31……シャッタ、32……プール部、32D……紙幣検知部、32H……落下孔、32S……収容空間、34……分離部、35……放出部、36、136……異物排出部、41、42……プーリ、43、143……異物排出ベルト、44……モータ、47……堰止部、48……異物案内部、49……排出検知部、50……回転検知部、51、151……ディテクタ、52、152……センサユニット、150……走行検知部、BL……紙幣、FB……異物、G……隙間、T1……排出方向、T2……反対方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14