特許第6179281号(P6179281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179281
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】媒体発行装置
(51)【国際特許分類】
   G07B 5/00 20060101AFI20170807BHJP
   G07B 1/00 20060101ALI20170807BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   G07B5/00 E
   G07B1/00 A
   B65H5/02 Q
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-179138(P2013-179138)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-49565(P2015-49565A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089093
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 健治
(72)【発明者】
【氏名】小林 真
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−320592(JP,A)
【文献】 特開2000−215329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 1/00 − 5/12
B65H 5/00 − 5/38
B65H 29/00 − 31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側搬送手段及び下側搬送手段により複数枚の媒体を装置内に集積した後、集積媒体を一括して装置外に排出する媒体発行装置において、
前記上側搬送手段にプレス用錘を移動可能に配置し、
媒体集積時に前記上側搬送手段を上昇させることにより前記集積媒体への押圧を断ち、かつ前記プレス用錘を下降することにより前記集積媒体への押圧を与えることを特徴とする媒体発行装置。
【請求項2】
前記上側搬送手段を上昇させる第1のアームと、
前記プレス用錘を上下移動させる第2のアームを設け、前記第1のアーム及び前記第2のアームは一体に構成されたことを特徴とする請求項1記載の媒体発行装置。
【請求項3】
上側搬送手段及び下側搬送手段により複数枚の媒体を装置内に集積した後、集積媒体を一括して装置外に排出する媒体発行装置において、
前記上側搬送手段に移動可能に配置されたプレス用錘と、
前記プレス用錘の移動に連動して移動可能に配置された前記上側搬送手段とを設け、
これにより媒体集積時には前記上側搬送手段を上昇させ、同時に前記プレス用錘を下降することにより前記集積媒体への押圧を与え、
更に、前記集積媒体の排出時には前記上側搬送手段を下降させ、同時に前記プレス用錘を上昇することにより、前記上側搬送手段及び下側搬送手段の駆動により前記集積媒体を束搬送することを特徴とする媒体発行装置。
【請求項4】
前記上側搬送手段を上昇させる第1のアームと、
前記プレス用錘を上下移動させる第2のアームを設け、前記第1のアーム及び前記第2のアームは一体に構成されたことを特徴とする請求項3記載の媒体発行装置。
【請求項5】
請求項3記載の媒体発行装置において、
前記上側搬送手段の片側に搬送基準ガイドを設け、
前記搬送基準ガイドからの距離の短い小型の前記媒体に対して、媒体集積時に前記プレス用錘を下降することにより、前記媒体の幅を外れて前記媒体の側部を下降し、集積する前記媒体の幅方向を規制するガイドとなることを特徴とする媒体発行装置。
【請求項6】
前記プレス用錘は前記媒体の搬送方向に沿って左右両側に設けられ、
前記小型の前記媒体とは、前記媒体の搬送方向に直角な方向である幅が、前記搬送基準ガイドから、前記左右両側の前記プレス用錘のうち前記搬送基準ガイドより遠い方の前記プレス用錘までの距離より短い前記媒体であることを特徴とする請求項5記載の媒体発行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道などで扱われる乗車券、座席指定券、回数券などを発行する媒体発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道などで扱われる乗車券、座席指定券、回数券などを発行する媒体発行装置には、複数枚の媒体に対して装置内で束状態に集積した後に搬送し、媒体を束状態のまま顧客に提供する媒体発行装置がある。
【0003】
従来の媒体発行装置について、図8乃至図11により説明する。図8は従来の媒体発行装置の媒体集積部の説明図である。図8(a)は従来の媒体発行装置の媒体集積部の平面図であり、同図(b)は同じく側面図である。媒体発行装置の媒体集積部は図示しないホッパから一枚ずつ繰出された媒体に対して順次所定の処理を行い、複数の媒体を一旦集積する。その後、この集積媒体を図示しない排出スタッカから排出する。媒体発行装置の媒体集積部は上側ベルト搬送手段51と、下側ベルト搬送手段52を有する。媒体は後述するシャッタの位置に集積され、その後、上側ベルト搬送手段51と下側ベルト搬送手段52に挟持されて排出される。上下ベルト搬送手段51、52によって構成される搬送路の片側は、媒体の突当て走行基準面56を有し、反対側は大型媒体集積時に媒体幅方向の位置を規制する大型媒体専用の幅規制ガイド57を有する。
【0004】
更に、上下ベルト搬送手段51、52によって構成される搬送路の下流には、大型媒体集積用シャッタ71が設けられ、その上流には、小型媒体集積用シャッタ72が設けられる。そして、上側ベルト搬送手段51は、搬送路支持枠55によって支持されている。なお、図8(a)には、搬送路支持枠55及び後述するソレノイド60の図示を省略してある。搬送路支持枠55は、上側ベルト搬送手段51の駆動用ローラ軸53及び従動用ローラ軸54を支持する。搬送路支持枠55は、駆動用ローラ軸53を中心に揺動可能となっている。搬送路支持枠55の駆動用ローラ軸53側の側面は、従動用ローラ軸54側の反対側に延長部55−1が設けられ、ソレノイド60の作用部60−1によって駆動される。これにより搬送路支持枠55は、駆動用ローラ軸53を中心に揺動し、従動用ローラ54が下側ベルト搬送手段52に向けて押下される。
【0005】
図9は従来の媒体発行装置の媒体集積部の大型媒体の集積を示す説明図である。図9(a)は従来の媒体発行装置の媒体集積部の平面図であり、同図(b)は同じく側面図である。大型媒体Tのうち、第1枚目の大型媒体T1を集積する時は、大型媒体集積用シャッタ71を搬送路内に進出させ、上側ベルト搬送手段51と下側ベルト搬送手段52を駆動し、大型媒体Tを矢印Aで示す媒体排出方向へ搬送する。そして、第1枚目の大型媒体T1が大型媒体集積用シャッタ71に突き当たった位置で停止させる。
【0006】
第2枚目の大型媒体T2を集積する時は、先に集積している第1枚目の大型媒体T1の下側へ潜り込ませるようにして集積させる。この時は、大型媒体T2に対しては弱い搬送力でよく、そのため上側ベルト搬送手段51は駆動させず、下側ベルト搬送手段52のみを駆動させる。そして、第2枚目の大型媒体T2が大型媒体集積用シャッタ71に突き当たった位置で停止させる。第3枚目以降の大型媒体Tはこの動作を繰り返すことで、所定の枚数の大型媒体Tを集積する。
【0007】
図10は従来の媒体発行装置の媒体集積部の小型媒体の集積を示す説明図である。図10(a)は従来の媒体発行装置の媒体集積部の平面図であり、同図(b)は同じく側面図である。同様に、小型媒体tのうち、第1枚目の小型媒体t1を集積する時は、小型媒体集積用シャッタ72を搬送路内に進出させ、上側ベルト搬送手段51と下側ベルト搬送手段52を駆動し、小型媒体tを矢印Aで示す媒体排出方向へ搬送する。そして、第1枚目の小型媒体t1が小型媒体集積用シャッタ72に突き当たった位置で停止させる。
【0008】
第2枚目の小型媒体t2を集積する時は、先に集積している第1枚目の小型媒体t1の下側へ潜り込ませるようにして集積させる。この時は、小型媒体t2に対しては弱い搬送力でよく、そのため上側ベルト搬送手段51は駆動させず、下側ベルト搬送手段52のみを駆動させる。そして、第2枚目の小型媒体t2が小型媒体集積用シャッタ72に突き当たった位置で停止させる。第3枚目以降の小型媒体tはこの動作を繰り返すことで、所定の枚数の小型媒体tを集積する。
【0009】
図11は従来の媒体発行装置の媒体集積部における大型媒体の束搬送の状況を示す側面図である。所定の枚数の大型媒体Tが集積されると、大型媒体集積用シャッタ71を搬送路から退避させ、ソレノイド60を動作させることにより、上側ベルト搬送手段51を下側ベルト搬送手段52側に押下させる。これにより、上側ベルト搬送手段51の押圧力を強の状態にして強い搬送力で、束状態の集積媒体Tを矢印A方向へ図示しない排出スタッカまで搬送する。小型媒体tの束搬送の状況についても、ほぼ同様であるので説明は省略する。
【0010】
なお、特開平9−208117号公報(特許文献1)には、複数種類、複数枚の媒体を一括して綴じた状態で発行する媒体発行装置が開示されている。特許文献1によれば、排出口の手前で媒体が突き当たる移動可能な突出部材と、二枚目以降の媒体を一枚目の媒体の裏面側に搬送順に積層する積層手段と、積層された媒体を綴じるステープルを設けたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−208117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、図8乃至図11に示した従来の技術によれば、第1枚目の集積と、集積後の集積媒体の排出は、上下ベルト搬送手段51及び52を駆動することにより行うが、第2枚目以降の集積時は、先に集積している集積媒体の下側へ潜り込ませるようにして集積させるため、上側ベルト搬送手段51を駆動しない必要がある。そのため、上下ベルト搬送手段51及び52の駆動源を個別に設ける必要があった。仮に、上下ベルト搬送手段51及び52の駆動源を共通にする場合は、上側ベルト搬送手段51の駆動を下側ベルト搬送手段52の駆動から断続する構成とする必要があった。即ち、上側ベルト搬送手段51の駆動を下側ベルト搬送手段52から切り離すための電磁クラッチ及び集積時の弱い搬送力と束搬送時の強い搬送力とを切り替えるためのソレノイドなどの電気部品が必要であった。そのため、従来技術は複雑な構造になってしまうという問題があった。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、上下ベルト搬送手段の駆動源を個別に設けることなく、また上側ベルト搬送手段の駆動と下側ベルト搬送手段の駆動とを断続する構成とするのに際し、簡単な構造によって達成することを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明に関する媒体発行装置は、上側搬送手段及び下側搬送手段により複数枚の媒体を装置内に集積した後、集積媒体を一括して装置外に排出する媒体発行装置において、前記上側搬送手段にプレス用錘を移動可能に配置し、媒体集積時に前記上側搬送手段を上昇させることにより前記集積媒体への押圧を断ち、かつ前記プレス用錘を下降することにより前記集積媒体への押圧を与えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
上記構成を有する本発明によれば、媒体集積時に前記上側搬送手段を上昇させ、前記プレス用錘を下降することにより、前記集積媒体への押圧を与えることにしたので、簡単な構成によって、上側搬送手段の駆動を下側搬送手段の駆動から断続することを可能とする媒体発行装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態に関する媒体発行装置の媒体集積部の説明図である。
図2】第1の実施の形態に関する媒体発行装置を示す外観図である。
図3】第1の実施の形態に関する搬送路支持枠を示す斜視図である。
図4】第1の実施の形態に関する第1のアーム及び第2のアームの説明図である。
図5】第1の実施の形態に関する媒体発行装置の媒体集積部の大型媒体の集積を示す説明図である。
図6】第1の実施の形態に関する媒体発行装置の媒体集積部の小型媒体の集積を示す説明図である。
図7】第1の実施の形態に関する媒体発行装置の媒体集積部における大型媒体の束搬送の状況を示す側面図である。
図8】従来の媒体発行装置の媒体集積部の説明図である。
図9】従来の媒体発行装置の媒体集積部の大型媒体の集積を示す説明図である。
図10】従来の媒体発行装置の媒体集積部の小型媒体の集積を示す説明図である。
図11】従来の媒体発行装置の媒体集積部における大型媒体の束搬送の状況を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。図2は第1の実施の形態に関する媒体発行装置を示す外観図である。媒体発行装置100は、航空会社や鉄道会社の発券窓口において、係員が利用客に対して搭乗券、乗車券、座席指定券及び回数券などを発売する際に使用される。媒体発行装置100内で印字及び磁気データの書込みが行われた媒体としての各種券は、媒体発行装置100の前面に設けられた排出スタッカ11から排出され、係員を通じて利用客に渡される。また、媒体発行装置100の前面には、装置のメンテナンス状態などを文字で表示する表示部12と、電源などのスイッチを有する操作部13とが設けられている。
【0018】
図1は第1の実施の形態に関する媒体発行装置の媒体集積部の説明図である。図1(a)は媒体発行装置の媒体集積部の平面図、同図(b)は媒体発行装置の媒体集積部の側面図、同図(c)は矢印B方向から見た媒体発行装置の媒体集積部の正面図である。媒体発行装置100の媒体集積部10は図示しないホッパから一枚ずつ繰出された媒体に対して順次印字及び磁気データの書込処理を行い、複数の媒体として一旦集積する。その後、集積媒体を排出スタッカ11へ一括して排出する。媒体集積部10は上側搬送手段としての上側ベルト搬送手段1と、下側搬送手段としての下側ベルト搬送手段2を有する。上側ベルト搬送手段1は、図示しない駆動源により駆動される駆動用ローラ3と従動用ローラ4、及びこれらに掛け渡された搬送ベルト18を有する。下側ベルト搬送手段2は、図示しない駆動源により駆動される駆動用ローラ25と従動用ローラ26、27、29及びこれらに掛け渡された搬送ベルト28を有する。
【0019】
媒体は後述する所定の位置で集積され、上側ベルト搬送手段1の搬送ベルト18と下側ベルト搬送手段2の搬送ベルト28によって挟持されて排出される。上下ベルト搬送手段1及び2によって構成される搬送路の片側は、大型媒体及び小型媒体を突当てる走行基準面6を有し、反対側は大型媒体集積時に媒体幅方向の位置を規制する大型媒体用幅規制ガイド7を有する。
【0020】
更に、上側ベルト搬送手段1及び下側ベルト搬送手段2によって構成される搬送路の下流には、大型媒体集積用シャッタ21が図示しない駆動機構により搬送路に対して進退可能に設けられ、その上流には小型媒体集積用シャッタ22が同じく搬送路に対して進退可能に設けられる。大型媒体集積用シャッタ21及び小型媒体集積用シャッタ22の位置が、媒体の集積位置となる。
【0021】
そして、上側ベルト搬送手段1は、後述する搬送路支持枠5によって支持されている。なお、図1(a)及び同図(c)には、搬送路支持枠5についての図示を省略してある。図1(b)に示すように搬送路支持枠5は、上側ベルト搬送手段1の駆動用ローラ軸3−1及び従動用ローラ軸4−1を支持する。搬送路支持枠5は、駆動用ローラ軸3−1を中心に揺動可能となっている。また、搬送路支持枠5は、従動用ローラ軸4−1付近に設けられたプレススプリング8により常に下側ベルト搬送手段2側へ付勢されている。その結果、上側ベルト搬送手段1は常に下側ベルト搬送手段2側へ付勢され、これにより上側ベルト搬送手段1の下側ベルト搬送手段2側への押圧力となっている。一方、従動用ローラ軸4−1は、第1のアーム15によって上昇可能となっている。後述するように第1のアーム15は、アーム軸17を中心に回転可能となっている。
【0022】
また、搬送路支持枠5は、後述するプレス用錘9−1及び9−2を揺動可能に支持する軸受5−9を有する。これによりプレス用錘9−1及び9−2は、後述するように回転中心9−14及び9−24(図4(b)参照)を中心に回転することができる。走行基準面6に近い方のプレス用錘9−1及び走行基準面6に遠い方のプレス用錘9−2は、上側ベルト搬送手段1の矢印Aで示す搬送方向に沿って左右両側に設けられる。プレス用錘9−1及び9−2は、第2のアーム16−1及び16−2の時計方向の回転によって上昇可能となっている。第2のアーム16−1及び16−2が反時計方向に回転すると、プレス用錘9−1及び9−2は自重により下降する。プレス用錘9−1及び9−2は下降することにより、底部9−13及び9−23によって集積媒体を押下する。プレス用錘9−1及び9−2は略長尺状をなし、先端は第2のアーム16−1及び16−2と係合するためのあご部分9−11及び9−21を有し、後端は回転中心9−14及び9−24を有する。更に、第1のアーム15と第2のアーム16−1及び16−2とは、アーム軸17に対して反対側に同軸で一体に設けられる。また、図1(c)に示すように、走行基準面6とプレス用錘9−2との間隔をDとすると、後述する小型媒体tの幅をdとするとき、間隔D>幅dの関係を有する。これについては図6において説明する。
【0023】
図3は第1の実施の形態に関する搬送路支持枠を示す斜視図である。搬送路支持枠5は上側ベルト搬送手段1の上半分を覆うように支持する。駆動用ローラ3、従動用ローラ4及び搬送ベルト18の下半分は搬送路支持枠5には覆われていない。搬送路支持枠5の側面には、駆動用ローラ軸3−1を支持する軸受5−3と、従動用ローラ軸4−1を支持する軸受5−4が設けられる。搬送路支持枠5は軸受5−3を中心に揺動可能に構成される。そして、前述のように搬送路支持枠5の従動用ローラ4付近にはプレススプリング8が設けられ、常に従動用ローラ4を下側ベルト搬送手段2側へ付勢している。更に搬送路支持枠5の側面には、前述のプレス用錘9−1及び9−2を支持する軸受5−9が設けられる。なお、プレス用錘9−1及び9−2は、上側ベルト搬送手段1の左右両側でかつ搬送路支持枠5の内側に設けられる。
【0024】
図4は第1の実施の形態に関する第1のアーム及び第2のアームの説明図である。図4(a)は第1の実施の形態に関するソレノイド14、第1のアーム15、第2のアーム16及び上側ベルト搬送手段1の関係を示す説明図であり、 同図(b)は第1の実施の形態に関する第1のアーム15、第2のアーム16及びプレス用錘9の関係を示す説明図である。
【0025】
第1のアーム15及び第2のアーム16−1、16−2は、装置本体に固定され回転可能に支持されたアーム軸17に対してそれぞれ反対側に設けられる。即ち、第1のアーム15が上昇するときには、第2のアーム16−1及び16−2は下降することになる。また、第1のアーム15の先端15−1はソレノイド14の先端にある駆動部14−1と同軸で固定され、ソレノイド14は吸引状態では先端の駆動部14−1が上方へ伸び、非吸引状態では駆動部14−1は下方へ縮む。従って、第1のアーム15はソレノイド14の駆動によって上下動される。
【0026】
更に、第1のアーム15は上側ベルト搬送手段1の従動用ローラ軸4−1の下方に位置するように設けられる。従って、ソレノイド14が吸引されると、先端の駆動部14−1が第1のアーム15の先端15−1を押し上げる。そうすると、第1のアーム15はアーム軸17を中心に反時計方向に回転し、上側ベルト搬送手段1の従動用ローラ軸4−1を矢印C方向に上昇させる。従動用ローラ軸4−1は、プレススプリング8の付勢力に抗して、駆動用ローラ軸3−1を中心に上昇する。これにより、従動用ローラ4の下側ベルト搬送手段2方向への押圧を断つことができる。
【0027】
一方、ソレノイド14が非吸引状態となると、先端の駆動部14−1が縮み、これと同軸の第1のアーム15の先端15−1を押し下げる。これにより第1のアーム15はアーム軸17を中心に時計方向に回転し、上側ベルト搬送手段1の従動用ローラ軸4−1を矢印Cの逆方向にプレススプリング8の付勢力により下降させることができる。
【0028】
上側ベルト搬送手段1の左右に設けられた第2のアーム16−1及び16−2は、L字状をなし、前述のようにアーム軸17に固定されている。そして、先端の作用部16−11及び16−21はプレス用錘9−1及び9−2のあご部分9−11及び9−21と係合可能に向き合っている。
【0029】
前述のように第1のアーム15がアーム軸17を中心に時計方向に回転すると、同時に、第2のアーム16−1及び16−2も時計方向に回転し、第2のアーム16−1及び16−2の作用部16−11及び16−21がプレス用錘9−1及び9−2のあご部分9−11及び9−21と係合し、これを持ち上げる。これによりプレス用錘9−1及び9−2を上昇させることができる。
【0030】
前述のように第1のアーム15がアーム軸17を中心に反時計方向に回転すると、同時に、第2のアーム16−1及び16−2も反時計方向に回転し、プレス用錘9−1及び9−2のあご部分9−11及び9−21との係合が解かれる。プレス用錘9−1及び9−2は自重によって下降する。なお、プレス用錘9−1及び9−2において、集積された媒体を押下する底部9−13及び9−23は直線状をなしている。
【0031】
次に第1の実施の形態に関する媒体発行装置の媒体集積部の動作を説明する。図5は第1の実施の形態に関する媒体発行装置の媒体集積部の大型媒体の集積動作を示す説明図である。図5(a)は第1の実施の形態に関する媒体発行装置の媒体集積部の平面図であり、同図(b)は同じく媒体発行装置の媒体集積部の側面図であり、同図(c)は同じく媒体発行装置の媒体集積部の正面図である。
【0032】
大型媒体Tのうち、第1枚目の大型媒体T1を集積する時は、ソレノイド14(図4(a)参照)を非吸引状態とし、第1のアーム15を時計方向に回転し、上側ベルト搬送手段1の従動用ローラ軸4−1を下降させる。同時に、第2のアーム16−1及び16−2も時計方向に回転し、プレス用錘9−1及び9−2を上昇させる。そして、大型媒体集積用シャッタ21を搬送路内に進出させ、上側ベルト搬送手段1と下側ベルト搬送手段2を駆動し、大型媒体Tを矢印Aで示す媒体排出方向へ搬送する。その後、第1枚目の大型媒体T1が大型媒体集積用シャッタ21に突き当たった位置で停止させる。
【0033】
第2枚目の大型媒体T2を集積する時は、図5(b)に示すように、ソレノイド14(図4(a)参照)を吸引状態とし、第1のアーム15を反時計方向に回転し、上側ベルト搬送手段1の従動用ローラ軸4−1を上昇させる。即ち第2枚目以降の大型媒体T2を集積する時は、大型媒体T2に対しては弱い搬送力でよく、上側ベルト搬送手段1の押圧力は下側ベルト搬送手段2側に作用させず、下側ベルト搬送手段2のみを駆動させる。上側ベルト搬送手段1と下側ベルト搬送手段2とは同時に駆動されるが、上側ベルト搬送手段1は上昇しているので、従動用ローラ4の大型媒体T1への押圧を断つことができ、駆動の切断動作を行わなくてもよい。その結果、第2枚目の大型媒体T2に対してのみ下側ベルト搬送手段2から駆動が供給されることになる。これにより、上側ベルト搬送手段1と下側ベルト搬送手段2とは一体の駆動系により構成することができる。
【0034】
そして、第1のアーム15の反時計方向の回転と同時に、第2のアーム16−1及び16−2も反時計方向に回転し、プレス用錘9−1及び9−2を自重により下降させる。下降したプレス用錘9−1及び9−2は、底部9−13及び9−23を第1枚目の大型媒体T1の上に接して、第1枚目の大型媒体T1を押下する。第2枚目の大型媒体T2は、下側ベルト搬送手段2のみを駆動することにより、先に停止している第1枚目の大型媒体T1の下側へ潜り込ませるようにして集積させる。なお、ここで第2枚目の大型媒体T2は、下側ベルト搬送手段2の駆動用ローラ25と従動用ローラ29によって挟持して搬送するので第2枚目の大型媒体T2を容易に第1枚目の大型媒体T1の下側に潜り込ませることができる。そして、第2枚目の大型媒体T2が大型媒体集積用シャッタ21に突き当たった位置で停止させる。第3枚目以降の大型媒体Tはこの動作を繰り返すことで、所定の枚数の大型媒体Tを集積する。
【0035】
図6は第1の実施の形態に関する媒体発行装置の媒体集積部の小型媒体の集積動作を示す説明図である。図6(a)は第1の実施の形態に関する媒体発行装置の媒体集積部の平面図であり、同図(b)は同じく媒体発行装置の媒体集積部の側面図であり、同図(c)は同じく媒体発行装置の媒体集積部の正面図である。
【0036】
小型媒体tのうち、第1枚目の小型媒体t1を集積する時は、ソレノイド14(図4(a)参照)を非吸引状態とし、第1のアーム15を時計方向に回転し、上側ベルト搬送手段1の従動用ローラ軸4−1を下降させる。同時に、第2のアーム16−1及び16−2も時計方向に回転し、プレス用錘9−1及び9−2を上昇させる。そして、小型媒体集積用シャッタ22を搬送路内に進出させ、上側ベルト搬送手段1と下側ベルト搬送手段2を駆動し、小型媒体t1を矢印Aで示す媒体排出方向へ搬送する。その後、第1枚目の小型媒体t1が小型媒体集積用シャッタ22に突き当たった位置で停止させる。
【0037】
第2枚目の小型媒体t2を集積する時は、図6(b)に示すように、ソレノイド14を吸引状態とし、第1のアーム15を反時計方向に回転し、上側ベルト搬送手段1の従動用ローラ軸4−1を上昇させる。即ち第2枚目以降の小型媒体t2を集積する時は、小型媒体t2に対しては弱い搬送力でよく、上側ベルト搬送手段1の押圧力は下側ベルト搬送手段2側に作用させず、下側ベルト搬送手段2のみを駆動させる。上側ベルト搬送手段1と下側ベルト搬送手段2とは同時に駆動されるが、上側ベルト搬送手段1は上昇しているので、従動用ローラ4の小型媒体t1への押圧を断つことができ、駆動の切断動作を行わなくてもよい。その結果、第2枚目の小型媒体t2に対してのみ下側ベルト搬送手段2から駆動が供給されることになる。これにより、上側ベルト搬送手段1と下側ベルト搬送手段2とは一体の駆動系により構成することができる。
【0038】
そして第1のアーム15の反時計方向の回転と同時に、第2のアーム16−1及び16−2も反時計方向に回転し、プレス用錘9−1及び9−2を自重により下降させる。下降したプレス用錘9−1及び9−2のうち、走行基準面6に近い方のプレス用錘9−1は、底部9−13を第1枚目の小型媒体t1の上に接して、第1枚目の小型媒体t1を押下する。他方、走行基準面6に遠い方のプレス用錘9−2は第1枚目の小型媒体t1の幅を外れて更に下降することになる。これにより、小型媒体tの券幅方向のずれを規制するガイドの機能を果たすことが可能となる。
【0039】
図6(c)に示すように、走行基準面6とプレス用錘9−2との間隔をDとし、小型媒体tの幅をdとするとき、間隔D>幅dである。本実施の形態では、間隔Dと幅dとの差は約0.5mmとする。その結果、走行基準面6に遠い方のプレス用錘9−2は第1枚目の小型媒体t1の幅を外れて更に下降することになる。
【0040】
更に、第2枚目の小型媒体t2は、下側ベルト搬送手段2のみを駆動することにより、先に停止している第1枚目の小型媒体t1の下側へ潜り込ませるようにして集積させる。なお、ここで第2枚目の小型媒体t2は、下側ベルト搬送手段2の駆動用ローラ25と従動用ローラ29によって挟持して搬送するので第2枚目の小型媒体t2を容易に第1枚目の小型媒体t1の下側に潜り込ませることができる。第2枚目の小型媒体t2は、走行基準面6と、小型媒体t1の幅を外れて更に下降したプレス用錘9−2によって、幅方向の動きが規制される。そして、第2枚目の小型媒体t2が小型媒体集積用シャッタ22に突き当たった位置で停止させる。第3枚目以降の小型媒体tはこの動作を繰り返すことで、所定の枚数の小型媒体tを集積する。
【0041】
図7は第1の実施の形態に関する媒体発行装置の媒体集積部における大型媒体の束搬送の状況を示す側面図である。ソレノイド14を非吸引状態とし、第1のアーム15を時計方向に回転し、上側ベルト搬送手段1の従動用ローラ軸4−1を下降させる。これにより、上側ベルト搬送手段1の押圧力を強の状態にして強い搬送力で束状態に集積された大型媒体Tを矢印A方向へ排出スタッカ11まで搬送する。同時に、第2のアーム16−1及び16−2も時計方向に回転し、プレス用錘9−1及び9−2を上昇させる。そして、大型媒体集積用シャッタ21を搬送路内より退避させ、上側ベルト搬送手段1と下側ベルト搬送手段2を駆動し、集積された大型媒体Tを矢印Aで示す媒体排出方向へ搬送する。
【0042】
小型媒体の束搬送の場合は、小型媒体t1の幅を外れて更に下降したプレス用錘9−2と、第1枚目の小型媒体t1の上に接していたプレス用錘9−1ともに、第2のアーム16−1及び16−2により上昇させられる。従って、小型媒体の束搬送は大型媒体の束搬送と同様であるので説明を省略する。
【0043】
以上第1の実施の形態によれば、第1のアーム15と第2のアーム16−1及び16−2を設け、媒体集積時に上側ベルト搬送手段1を上昇させ、上側ベルト搬送手段1の集積媒体への押圧を断ち、プレス用錘9−1及び9−2を下降することにより集積媒体への押圧を与えることにしたので、集積時の弱い搬送力と束搬送時の強い搬送力とを切り替えることにより、簡単な構成によって上側ベルト搬送手段1の駆動を下側ベルト搬送手段2の駆動から断続することを可能とする媒体発行装置を提供することが可能になる。
【0044】
更に、本実施の形態によればプレス用錘9−1及び9−2のうち、搬送基準ガイドから搬送基準ガイドより遠い方のプレス用錘9−2までの距離Dを小型媒体の幅dより大としたことにより、媒体集積時にプレス用錘9−2を下降したとき、小型媒体の幅を外れて前記小型媒体の側部を下降し、以後集積する小型媒体の幅方向を規制するガイドとなることができる。その結果、従来仮に、小型媒体の幅方向を規制する小型媒体専用の幅規制ガイドを設けるとすると、大型媒体Tの集積時に大型媒体Tと干渉する位置関係になってしまい、このため小型媒体t専用の幅規制ガイドを設けることができなかったという問題を解決することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 上側ベルト搬送手段
2 下側ベルト搬送手段
3 駆動用ローラ
3−1 駆動用ローラ軸
4 従動用ローラ
4−1 従動用ローラ軸
5 搬送路支持枠
6 走行基準面
7 大型媒体用幅規制ガイド
8 プレススプリング
9 プレス用錘
10 媒体集積部
15 第1のアーム
16 第2のアーム
17 アーム軸
100 媒体発行装置
T 大型媒体
t 小型媒体
図1
図2
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図11