(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179286
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】高炉の操業状況判定方法
(51)【国際特許分類】
C21B 7/24 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
C21B7/24 305
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-185720(P2013-185720)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2015-52149(P2015-52149A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100113918
【弁理士】
【氏名又は名称】亀松 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100140121
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 朝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(72)【発明者】
【氏名】上瀧 晴雄
(72)【発明者】
【氏名】道園 紘行
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 雅人
(72)【発明者】
【氏名】伊地知 大
(72)【発明者】
【氏名】門脇 正具
(72)【発明者】
【氏名】波多野 利和
(72)【発明者】
【氏名】今野 雄介
(72)【発明者】
【氏名】橋口 昇平
(72)【発明者】
【氏名】村松 真臣
【審査官】
坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−55512(JP,A)
【文献】
特開昭59−59813(JP,A)
【文献】
特開昭61−48508(JP,A)
【文献】
特開平1−25913(JP,A)
【文献】
特開平4−184009(JP,A)
【文献】
特開平6−93317(JP,A)
【文献】
特開2001−318002(JP,A)
【文献】
特開2002−309307(JP,A)
【文献】
特開2015−25187(JP,A)
【文献】
特開2015−25188(JP,A)
【文献】
特表2009−525488(JP,A)
【文献】
実用新案登録第3160453(JP,Y2)
【文献】
国際公開第2014/203509(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 7/24
C21B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉の羽口の観察孔に配置したカラー画像撮像装置で、レースウエイ内の燃焼状態を経時的に撮像し、撮像画像に基づいて炉内状況又は設備状況を判定する操業判定方法において、
(i)撮像画像からR(赤)成分を抽出して作成したR成分画像の輝度、又は、撮像画像からG(緑)成分を抽出して作成したG成分画像の輝度に基づいて炉内状況又は設備状況を指数化して、その指数又はその指数の経時変化に基づいて炉内状況又は設備状況を判定する、又は、
(ii)撮像画像からR(赤)成分を抽出して作成したR成分画像の輝度、又は、撮像画像からG(緑)成分を抽出して作成したG成分画像の輝度に基づいて炉内状況又は設備状況を指数化して、炉周方向の指数分布を求め、その分布又はその分布の経時変化に基づいて炉内状況又は設備状況を判定する
ことを特徴とする高炉の操業状況判定方法。
【請求項2】
前記炉内状況が、生鉱落ちであることを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業状況判定方法。
【請求項3】
前記炉内状況が、微粉炭吹込み形状であることを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業状況判定方法。
【請求項4】
前記設備状況が、微粉炭吹込みランスの状況であることを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業状況判定方法。
【請求項5】
前記設備状況が、羽口からコークスや微粉炭が逆流した状況、又は、羽口が閉塞した状況であることを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業状況判定方法。
【請求項6】
前記設備状況が、ノロ湧きであることを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業状況判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽口の観察孔に設置した撮像装置で撮像した画像の輝度に基づいて、炉内状況又は設備状況を指数化し、該指数に基づいて該羽口や炉周方向の操業状況を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉操業においては、炉下部に炉周方向に等間隔で配置した羽口から、熱風、酸素、微粉炭(燃料)等を吹き込んで溶銑を製造する。羽口の奥部には、送風圧によってレースウエイが形成され、ここで、高炉原料(主に、焼結鉱)が還元される。
【0003】
高炉の生産性を上げるため、通常、羽口から微粉炭を吹き込むが、レースウエイ奥部での微粉炭の燃焼状態が炉内状況(炉況)に大きく影響する。微粉炭の燃焼状態が悪化すると、高炉原料の還元に必要な熱量が充分に得られず、炉況が悪化する。
【0004】
そこで、炉内炉況を判定するため、羽口の観察孔に撮像装置を設け、レースウエイ奥部における微粉炭の燃焼状態を監視する技術、及び、レースウエイ内の温度を測定する技術が種々提案されている。
【0005】
特許文献1には、羽口に放射温度カメラを設置し、放射温度カメラで得た羽口内の温度分布を画像処理で連続的に記憶し、羽口内の温度分布を評価する方法が提案されている。
【0006】
特許文献2には、羽口覗孔部に放射温度カメラを設置し、羽口内視野の設定点の輝度を非接触で測定し、輝度を画像解析装置により温度に変換し、温度の設定期間の平均値の時系列データのスペクトル解析に基づいて、レースウェイの崩壊周期を算定してレースウェイの状態を評価する方法が提案されている。
【0007】
特許文献3には、レースウエイ内のコークス温度を、羽口後方に設けた観察孔を介して光学的に測定する際、観察孔から得られる放射光を、高速シャッタを有するテレビカメラと放射温度計に導き、テレビカメラの画像信号と放射温度計の温度信号に基づいてコークス温度を算出するレースウエイ内のコークス温度を測定する方法が提案されている。
【0008】
しかし、いずれの方法においても、画像又は画像の精度が不十分で、1つの画像で、炉内状況、例えば、微粉炭の膨張や生鉱落ちを区別して判別することは困難である。炉内状況を正確に検知するためには、連続した画像の処理が必要である。
【0009】
このことを踏まえ、特許文献4で、羽口の観察孔を通して、レースウエイ内の燃焼場の熱画像を、異なる2波長で撮像する撮像装置と、撮像装置が出力する各々の波長の画像信号をデジタル画像に変換するデジタル変換装置と、各々の波長のデジタル画像の輝度比に基づき温度分布を演算する小型計算機を備える高炉羽口レースウエイ温度分布測定装置を提案した。
【0010】
特許文献4に開示の装置によれば、画像輝度が適切な明るさになるように撮像装置の電子シャッタ露光時間を自動制御するため、ガラスの汚れや曇りなどによる観察孔の透過率の低下の影響を受け難いので、正確な温度分布を算出でき、炉況の変化を迅速かつ正確に検知できるが、撮像装置ごとに電子シャッタ露光時間を自動制御することは撮像装置の設定が異なるため、画像処理する場合、円周方向の画像処理結果の定量的な評価が困難になる。
【0011】
そこで、本出願人は、特許文献5で、高炉羽口に設けた撮像装置で、撮像装置の電子シャッタ露光時間を適切な設定に固定して撮像した熱放射輝度画像に、熱放射輝度画像おける羽口の輪郭形状が正規化円となるように幾何学変換を実施して正規化画像を生成し、正規化画像を極座標変換した後、二値化して二値化画像を生成し、二値化画像に存在する明部の正規化円の径方向での分布を利用して、炉内状態を観察する方法と装置を提案した。
【0012】
特許文献5で提案の観察方法と装置は、未溶融の鉱石が落下する生鉱落ちと、未燃焼微粉炭の像が急拡大する微粉炭膨張に着目したもので、生鉱落ちと微粉炭膨張の観察に有効に機能するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平05−256705号公報
【特許文献2】特開平07−305105号公報
【特許文献3】特開平09−256010号公報
【特許文献4】特開2001−318002号公報
【特許文献5】特開2013−185234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献5で提案の観察方法と装置は、生鉱落ちと微粉炭膨張の観察に有効に機能するが、高炉操業を阻害する状態は、生鉱落ちと微粉炭膨張(微粉炭吹込み形状)に限られない。
【0015】
この他、微粉炭吹込みランスの状態(ランスの詰まりや振動、ランス先端への異物付着の状態)や羽口からコークスや微粉炭が逆流した状態(羽口逆流)、この逆流状態が高じて羽口が閉塞した状態(羽口閉塞)、及び、炉内に溜まった銑鉄やスラグが羽口レベルまで上昇して、羽口を溶損する可能性がある状態(ノロ湧き)等がある。
【0016】
本発明は、上記状態の発生に伴う操業条件の変更を正確かつ迅速に行うため、上記状態の発生を正確かつ迅速に検知して、高炉の羽口個別及び炉周方向における炉内状況又は設備状況を正確かつ迅速に判定することを課題とし、該課題を解決する判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。生鉱落ちと微粉炭膨張については、本出願人が特許文献5で提案した観察方法で正確に検知することができる。本発明者らは、微粉炭吹込みランスの状態、羽口逆流、羽口閉塞、ノロ湧きの発生を正確かつ迅速に検知する方法について検討した。この方法については後述する。
【0018】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
【0019】
(1)高炉の羽口の観察孔に配置した
カラー画像撮像装置で、レースウエイ内の燃焼状態を経時的に撮像し、撮像画像に基づいて炉内状況又は設備状況を判定する操業判定方法において、
(i)撮像画像
からR(赤)成分を抽出して作成したR成分画像の輝度、又は、撮像画像からG(緑)成分を抽出して作成したG成分画像の輝度に基づいて炉内状況又は設備状況を指数化して、その指数又はその指数の経時変化に基づいて炉内状況又は設備状況を判定する、又は、
(ii)撮像
画像
からR(赤)成分を抽出して作成したR成分画像の輝度、又は、撮像画像からG(緑)成分を抽出して作成したG成分画像の輝度に基づいて炉内状況又は設備状況を指数化して、炉周方向の指数分布を求め、その分布又はその分布の経時変化に基づいて炉内状況又は設備状況を判定する
ことを特徴とする高炉の操業状況判定方法。
【0020】
(2)前記炉内状況が、生鉱落ちであることを特徴とする前記(1)に記載の高炉の操業状況判定方法。
【0021】
(3)前記炉内状況が、微粉炭吹込み形状であることを特徴とする前記(1)に記載の高炉の操業状況判定方法。
【0022】
(4)前記設備状況が、微粉炭吹込みランスの状況であることを特徴とする前記(1)に記載の高炉の操業状況判定方法。
【0023】
(5)前記設備状況が、羽口からコークスや微粉炭が逆流した状況、又は、羽口が閉塞した状況であることを特徴とする前記(1)に記載の高炉の操業状況判定方法。
【0024】
(6)前記設備状況が、ノロ湧きであることを特徴とする前記(1)に記載の高炉の操業状況判定方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、高炉の炉周方向における炉内状況又は設備状況の変化を正確かつ迅速に検知して判定することができるので、上記変化に伴う操業条件の変更を正確かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】高炉操業における炉内状況の変化とそれに対する操業条件の変更を示す図である。
【
図3】撮像した静止画像(RGB画像)から輝度のR成分を抽出して作成したR成分画像を示す図である。
【
図4】R成分画像の輝度を指数化し、羽口逆流又は羽口閉塞を検知する画像処理手順を示す図である。
【
図5】レースウェイ内の燃焼状態を0.5秒間隔で撮像した静止画像(RGB画像)からR成分を抽出して作成したR成分画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明について説明する。
【0028】
図1に、高炉操業における炉内状況の変化とそれに対する操業条件の変更を示す。例えば、生鉱落ちが発生し、羽口の観察孔を通して撮像したレースウエイの画像の輝度が低下した場合、炉熱が低下したのであり、その影響は、当然に、融着帯の形状の変化に顕れる(
図1、参照)。一方、羽口の観察孔を通して撮像したレースウエイの画像の輝度が上昇した場合、炉熱が上昇したのであり、その影響は、当然に、融着帯の形状の変化に顕れる(
図1、参照)。
【0029】
融着帯の形状の変化は、ガス流れの乱れ、通気性の変動、及び、炉内の熱負荷の変動を誘引し、さらに、これらの乱れ・変動は、融着帯の形状の変化を誘引するので、高炉操業は安定しない。
【0030】
従来は、
図1のXに示すように、例えば、出銑時の溶銑温度など従来より取得可能な還元指標の変化を確認してから、操業条件(微粉炭吹込み量、熱風送風量等)を変更していた。しかし、溶銑温度などの還元指標が確認できるのは操業条件を変更してから数時間後であり、操業条件を変更してから確認までに時間を要した。
【0031】
この間に、融着帯の形状は、ガス流れの乱れ、通気性の変動、及び、炉内の熱負荷の変動を受けて変化するので、上記確認後の操業条件の変更が、融着帯の形状の安定化に有効に機能しない場合がある。時には、炉内のガスの流れや通気性、融着帯の形状の安定化を図るための操業条件の変更が遅れたために、融着帯の形状の不安定化を誘引し、高炉の炉内状況が悪循環に陥ることがある。
【0032】
そこで、本発明の高炉の操業状況判定方法(以下「本発明判定方法」ということがある。)においては、炉況の変化に基づく操業条件の変更を、従来、
図1のXのタイミングで実施していたものから、
図1のYに示すタイミングで、正確かつ迅速に行うため、レースウエイの燃焼状態を撮像した画像に基づいて、炉周方向の炉内状況又は設備状況を正確かつ迅速に判定することを基本思想とする。
【0033】
具体的には、本発明判定方法は、高炉の羽口の観察孔に配置した
カラー画像撮像装置で、レースウエイ内の燃焼状態を経時的に撮像し、撮像画像に基づいて炉内状況又は設備状況を判定する操業判定方法において、
(i)撮像画像
からR(赤)成分を抽出して作成したR成分画像の輝度、又は、撮像画像からG(緑)成分を抽出して作成したG成分画像の輝度に基づいて炉内状況又は設備状況を指数化して、その指数又はその指数の経時変化に基づいて炉内状況又は設備状況を判定する、又は、
(ii)撮像
画像
からR(赤)成分を抽出して作成したR成分画像の輝度、又は、撮像画像からG(緑)成分を抽出して作成したG成分画像の輝度に基づいて炉内状況又は設備状況を指数化して、炉周方向の指数分布を求め、その分布又はその分布の経時変化に基づいて炉内状況又は設備状況を判定する
ことを特徴とする。
【0034】
図2に、本発明判定方法の一実施態様を示す。
【0035】
高炉炉体3に設けた羽口4に挿入した熱風供給管6から熱風9が炉内に高圧で吹き込まれ、レースウエイ1が形成されている。熱風供給管6には、レースウエイ1に微粉炭8を吹き込む微粉炭吹込み管5が配置されている。
図2では、二本の微粉炭吹込み管が配置されているが、一本の配置でもよい。
【0036】
レースウエイ1ではコークスや微粉炭が燃焼して、一酸化炭素が発生する高温燃焼反応が生じている。熱風供給管6の観察孔7には、レースウエイ1内の燃焼状態を撮像する撮像装置10が配置されている。
【0037】
撮像装置10は、撮像制御装置11で制御されて、直径約20mmの観察孔を通し、撮像装置から3〜4m先のレースウエイ1内の燃焼状態を撮像する。撮像画像は、画像表示装置12で表示されるとともに、画像処理装置13で、所要の指数化処理が施され、炉内状況を判定するための基礎情報となる。
【0038】
ここで、
図3に、カラーCCDカメラで、レースウェイ内の燃焼状態を撮像した静止画像(RGB画像)から、画像処理装置で輝度のR(赤)成分を抽出して作成したR成分画像を示す。カラーCCDカメラのRGB信号のうち、R成分の輝度やG(緑)成分の輝度は、温度との相関があることを予め確認しており、ここではR成分画像を示す。なお、2本の微粉炭吹込みランスが熱風供給管に挿入されている場合の画像である。
【0039】
次に、操業条件の変更を正確かつ迅速に行うために、R成分画像の輝度を指数化して炉内状況又は設備状況の変化を正確かつ迅速に検知する画像処理手順について説明する。
【0040】
生鉱落ちと微粉炭膨張(微粉炭吹込み形状)については、本出願人が特許文献5で提案した観察方法で正確に検知することができる。
【0041】
例えば、微粉炭膨張(微粉炭吹込み形状)の場合、炉況が良いと、微粉炭が炉内に吸い込まれていくような形状となるが、通気性が低下し炉況が悪化している場合、微粉炭が撮像画像を埋め尽くすような膨張した形状となる。
【0042】
そして、経時的に撮像した画像(R成分画像又はG成分画像)の輝度に基づいて、生鉱落ち、又は、微粉炭吹込み形状を指数化して、炉周方向の指数分布を求め、該指数分布の経時変化に基づいて、炉周方向の炉内状況を3次元的に判定することができる。
【0043】
図4に、R成分画像の輝度を指数化し、羽口逆流又は羽口閉塞を検知する画像処理手順を示す。
【0044】
R成分画像において、処理領域の最高輝度と最低輝度を取得し、次に、画像の輝度を判定する。撮像画像の輝度がある一定以上ない場合(図中「NO(1)」の場合)、操業条件の迅速な変更のために警報を出力する。
【0045】
一方、撮像画像の輝度がある一定以上ある場合(図中の「YES(1)」)、その画像を二値化するための閾値を演算し、この閾値に基づいて二値化を行い、画像における明部の面積比を演算する。
【0046】
この面積比が基準値未満であれば(図中「NO(2)」の場合)、基準値未満が継続する時間を判定し、継続時間が基準値未満であれば(図中「NO(3)」の場合)、その後の処理をせず、継続時間が基準値以上であれば(図中「YES(3)」の場合)、操業条件の迅速な変更のために警報を出力する。
【0047】
図4に示す画像処理手順を所定の時間間隔を置いて行えば、羽口逆流及び羽口閉塞の経時変化を3次元的に判定することができる。
【0048】
また、微粉炭吹込みランスの状態やノロ湧きとの炉内状況及び設備状態については、
図4に示す画像処理手順と同様に撮像画像の輝度を用いた画像処理手順で経時的に検知することができる。
【実施例】
【0049】
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0050】
(実施例1)
図2に示す撮像装置で、レースウエイ内の燃焼状態を0.5秒間隔で撮像したRGB画像を得た。RGB画像からR成分を抽出してR成分画像を作成した。
図5に、作成したR成分画像の一例を示す。R成分画像の輝度を指数化し、炉周方向の指数分布を経時的に観察した。その結果、3.0秒後の画像から、生鉱落ちが発生していることが判明したので、直ちに、操業オペレータへの警告ガイダンスを行い、
図1のYに示すように、操業条件の変更(増熱アクション)を実施した。
【産業上の利用可能性】
【0051】
前述したように、本発明によれば、高炉の炉周方向における炉内状況又は設備状況の変化を正確かつ迅速に検知して判定することができるので、上記変化に伴う操業条件の変更を正確かつ迅速に行うことができる。よって、本発明は、鉄鋼産業において利用可能性が高いものである。
【符号の説明】
【0052】
1 レースウエイ
2 炉内充填物
3 高炉炉体
4 羽口
5 微粉炭吹込み管
6 熱風供給管
7 観察孔
8 微粉炭
9 熱風
10 撮像装置
11 撮像制御装置
12 画像表示装置
13 画像処理装置