(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
苗を積載する苗載せ台(22)の下部に植付伝動ケース(21)を設け、該植付伝動ケース(21)に駆動回転する植付回転軸(30)を設け、該植付回転軸(30)に回転ケース(31)を設け、該回転ケース(31)に前記苗載せ台(22)から苗を取って植え付ける植込杆(27)を設けて構成する苗植付装置において、
前記回転ケース(31)には、前記植付回転軸(30)に装着する偏心入力回転体(40)と、前記植込杆(27)を回動させる回動軸(34)に装着する偏心出力回転体(42)と、該偏心入力回転体(40)から偏心出力回転体(42)に駆動力を伝動する偏心中継回転体(41)を設け、
前記偏心入力回転体(40)に入力平坦部(40f)を形成し、前記偏心中継回転体(41)に中継平坦部(41f)を形成すると共に、偏心出力回転体(42)に出力平坦部(42f)を形成し、
前記植込杆(27)の苗植付軌跡の下死点、または下死点通過後から植込杆(27)が圃場面の上方に離脱する位置に亘って、該入力平坦部(40f)と中継平坦部(41f)と出力平坦部(42f)が接触し合う構成とし、
前記入力平坦部(40f)の回転上手側後方に、前記植付回転軸(30)と偏心入力回転体(40)の径が最大になる入力最大径部(40m)を形成し、
前記中継平坦部(41f)の回転上手側後方に、前記偏心中継回転体(41)を装着する偏心回転軸(44)と偏心中継回転体(41)の径が最大になる中継最大径部(41m)を形成すると共に、
前記出力平坦部(42f)の回転上手側後方に、前記回動軸(34)と偏心出力回転体(42)の径が最大になる出力最大径部(42m)を形成し、
前記植込杆(27)の下死点、または下死点通過後の位置で前記中継最大径部(41m)が入力最大径部(40m)または出力最大径部(42m)のどちらか一方と接触すると共に、
前記中継最大径部(41m)が入力最大径部(40m)または出力最大径部(42m)から離間すると、入力最大径部(40m)または出力最大径部(42m)のうち他方と接触する配置構成としたことを特徴とする苗植付装置。
前記偏心入力回転体(40)と偏心中継回転体(41)と偏心出力回転体(42)の外周に各々複数の噛合突起を間隔を空けて形成し、一方の噛合突起の間隔部に他方の噛合突起が入り込む際に、噛合突起同士の間隔が最も狭くなる箇所を前記入力平坦部(40f)と中継平坦部(41f)と出力平坦部(42f)としたことを特徴とする請求項1に記載の苗植付装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上記技術思想に基づき具体的に構成された実施の形態について、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、苗移植機の前進方向を基準として、それぞれ前後及び左右とする。
図1及び
図2に、本発明の第一実施形態にかかる苗植付装置を装備した乗用型田植機の右側面図及び平面図を示す。
【0023】
この乗用型田植機は、エンジン11を搭載し、駆動回転する各左右一対の前輪12及び後輪13を備えた走行車体10の後方に、昇降リンク装置14を介して6条植の苗植付部15が連結されている。
【0024】
又、走行車体10には、運転座席16、前輪12を操向する操縦ハンドル17、予備の苗を載せておく予備苗載台18が設けられている。
前記苗植付部15は、機体から伝動入力される植付伝動ケース21の上側に前部が上位となる構成で傾斜した苗載せ台22を走行車体10の後方に配置するとともに、植付伝動ケース21の植付伝動部の後端部に2条ごとで1組の苗植付装置23を設けている。
【0025】
センターフロート24及びサイドフロート26を接地させた状態で走行車体10を進行させると、苗載せ台22が左右に往復移動して台上のマット苗を苗載せ台22下端側に設けた苗受け枠20の苗取り口25に一株ずつ順次供給し、それを苗植付装置23が分離して取り出し圃場に植付ける。
【0026】
次に、第一実施形態にかかる苗植付装置23の構成について説明する。
図3に、本発明の第一実施形態にかかる苗植付装置23の走行車体10の左方向から視た一部断面図を示し、
図4に、後ろ方向からの一部断面図を示す。
【0027】
該苗植付装置23には、植付伝動ケース21の後端部に回転自在に支承される、左右方向に伸びる植付回転軸30と、この植付回転軸30を中心に回転する回転ケース31と、この回転ケース31の両端部に、苗載せ台22から苗を取って圃場に植付ける二つの植込杆27、27とを備える。
【0028】
前記植付回転軸30の左右突出部には、回転ケース31の中央部を一体回転する構成で固定して取り付ける。更に、回転ケース31の両端部に第1の軸受32及び第2の軸受33によって回動軸34を回転自在に支承し、これらの2つの回動軸34のそれぞれに、植込杆27の植付具ケース35が固定して取り付けられている。
【0029】
該植付具ケース35には、2本の棒体を持つフォーク状の植付部材36と、先端部に押出部材37が固定された苗押出体29が設けられている。
図15に、
図3の苗植付装置23の植付回転軸30周辺の断面図を示す。
図3、
図4、
図15に示す通り、植付回転軸30には角軸面30aが形成されており、回転ケース31のボス部38に植付回転軸30と直交させて挿し込んで通したテーパ状の固定部材39を上記角軸面38に接触させて、回転ケース31を植付回転軸30に固定する。更に植付回転軸30には、軸外周から角軸面30aに至る傾斜部30bを設けると共に、この傾斜部30bの半径方向に、固定部材39の一部を重ねて配置する。
【0030】
前記傾斜部30bの半径方向に固定部材39の一部を位置させることにより、ボス38の左右幅を小さくすることができる。これにより、回動する植込杆27と前記ボス38との干渉が防止されると共に、苗植付装置23の左右方向をコンパクトにすることができる。
【0031】
図5に、本実施の形態の回転ケース31の内部構造を示す。回転ケース31の内部には、植付回転軸30の外周部に嵌合し、前記植付伝動ケース21と一体で非回転な偏心入力ギア40が配置されており、偏心入力ギア40に噛合する2つの偏心中継ギア41、41と、各偏心中継ギア41、41に噛合する2つの偏心出力ギア42、42とからなるギア機構が収納されている。
【0032】
前記偏心入力ギア40の回転中心は、植付回転軸30の軸心と同じ、即ち偏心入力ギア40は植付回転軸30と同軸となる配置とし、偏心入力ギア40は、第3の軸受43によって回転ケース31に支持する。偏心中継ギア41は、偏心入力ギア40からの駆動力を偏心出力ギア42に伝動するもので、中継伝動軸44に取り付けられ、回転ケース31に対応して遊転する構成となっている。又、偏心出力ギア42は、植込杆27を回動させる回動軸34に一体回転する構成で取り付けられている。
【0033】
本発明の第一実施形態にかかる苗植付装置23では、偏心中継ギア41の回転中心を、側面視で、偏心入力ギア40の回転中心と、偏心出力ギア42の回転中心とを結んだ線上以外に位置させる構成とする。更に、偏心入力ギア40の回転中心と、偏心中継ギア41の回転中心と、偏心出力ギア42の回転中心と、を結ぶと二等辺三角形が形成される配置とする。また、偏心中継ギア41、41、及び偏心出力ギア42、42は、偏心入力ギア40の回転中心を対称点として、点対称として配置し、これにより、偏心入力ギア40の回転中心と、偏心中継ギア41、41の回転中心と、偏心出力ギアの回転中心42、42とにより、側面視で「S」字形状を描く配置構成とする。
【0034】
前記偏心出力ギア41、41を点対称として配置していることで、本実施形態では、偏心中継ギア41、41の回転中心は、偏心入力ギア40と偏心出力ギア42、42とを結ぶ線の、いずれも回転上手側に位置する。ただし、これを回転下手側に位置する構成としても問題ない。
【0035】
前記偏心中継ギア41の回転中心を、側面視で、偏心入力ギア40の回転中心と、偏心出力ギア42の回転中心とを結んだ線上以外に位置させることにより、偏心入力ギア40の回転中心と偏心出力ギア42の回転中心との距離を短くすることができる。これにより、回転ケース31をコンパクトにし、固有振動数を上げることができるので、振動振幅を小さくすることができる。また、偏心入力ギア40と偏心中継ギア41との回転中心間距離等を任意に設定でき、各回転体の歯数を変更できるので、共振を避けて歯数を設計でき、共振による振動を抑えることができる。
【0036】
回転ケース31の端部に、植込杆27、27を二つ備え、これらの植込杆27、27に駆動力を伝動する偏心中継ギア41、41の回転中心を、偏心入力ギア40の回転中心を対称点として、点対称として配置することにより、重量のある回転ケース31のアンバランスを少なくでき、振動を抑えることができる。
【0037】
前記植付回転軸30が駆動回転すると、回転ケース31が一定方向に回転し、偏心入力ギア40の周りを偏心出力ギア42が公転するとともに、偏心入力ギア40が1回公転する間に公転方向とは逆向きに偏心出力ギア42が1回自転する。
図3、
図5に示す左側面図では、回転ケース31が植付回転軸30と共に図面上で反時計回りに回転し、偏心出力ギア42が植付回転軸30を中心として反時計回りに公転するとともに、時計回りに自転する。
【0038】
植込杆27は、偏心出力ギア42に装着されている回動軸34とともに回動するので、植付回転軸30が駆動回転するのに伴って、植込杆27の植付部材36の先端が後述する苗植付具の先端軌跡19を描く構成で移動する。前記偏心出力ギア42が1回公転する間に、植付部材36の先端が苗植付具先端軌跡19上を一周する。尚、苗植付具先端軌跡19は、走行車体10が停止しているときの左側方から視た静軌跡である。
【0039】
図4で示すとおり、偏心入力ギア40と、偏心中継ギア41と偏心出力ギア42とは、平面視で直線状に配置されるギア機構を構成している。「直線状に配置」とは、これら歯車である回転体の歯幅が同じで、回転体が互いに軸方向に突出していない状態を言う。そして偏心中継ギア41に嵌装した中継回転軸44の左右長さが、偏心入力ギア40と同軸の植付回転軸30の左右長さよりも短く、かつ偏心出力ギア42に嵌装した回動軸34の左右長さよりも短くする。
【0040】
偏心入力ギア40と、偏心中継ギア41と、偏心出力ギア42とを平面視で直線状に配置することにより、回転ケース31の左右幅を広くする必要がなく、回転ケース31をコンパクトに構成することができる。
【0041】
また、偏心中継ギア41に嵌装した中継回転軸44の左右長さが、偏心入力ギア40に嵌装した植付回転軸30の左右長さよりも短く、かつ、偏心出力ギア42に嵌装した回動軸34の左右長さよりも短くしたことにより、植込杆27が回動した際に中継回転軸44と干渉することが防止され、植込杆27の植付回転軌跡が乱れることがなく、苗の植付精度が向上する。
【0042】
前記偏心入力ギア40と、偏心中継ギア41と偏心出力ギア42とは、各々ギア歯とギア歯の間隔、ならびに各ギア歯の長さの異なる非円形状とする。複数の非円形ギア同士が噛み合うことにより、回転ケース31が回転すると、
図3、及び
図6から
図10に示す軌跡を植込杆27が描く構成としている。
【0043】
図7(b)で示す通り、前記偏心入力ギア40と、偏心中継ギア41と偏心出力ギア42の外周縁部には、各々ギア歯の突端部が略平面状に並ぶ平坦部40f,41f,42fを各々形成し、各非円形ギアの各平坦部40f,41f,42f同士が噛み合うときは、ギア歯同士の隙間が小さくなるものとする。ギア歯同士の隙間を小さくすることにより、前記偏心入力ギア40、偏心中継ギア41及び偏心出力ギア42の噛み合いの負荷が強くなっても、ガタ(バックラッシュ)の発生が抑えられる。
【0044】
そして、上記の各平坦部40f,41f,42fは、植込杆27の植付軌跡の下死点、即ち最下降位置で噛み合い始める、もしくは下死点通過後に噛み合い始め、前記植付部材36が土中から完全に離脱する位置で離間し始める。
【0045】
なお、上記の各平坦部40f,41f,42fが離間する位置は、植込杆27が植付姿勢から苗取り姿勢に切り替わり始める位置でもある。
上記の植込杆27の植付軌跡の下死点から、植付部材36が土中から完全に離脱するまでの位置は、植付部材36を土中から速やかに離脱させるべく、植込杆27の移動速度を速くする必要がある。また、植付部材36が土中から完全に離脱する位置では、植込杆27が植付姿勢から苗取り姿勢に切り替わるので、偏心入力ギア40、偏心中継ギア41及び偏心出力ギア42の噛み合いの負荷によってガタが発生し、植込杆27が脈動を起こしたり、植込杆27の回転移動が遅れたりしやすい。
【0046】
しかしながら、各非円形ギア27の各平坦部40f,41f,42fが、植込杆27の植付軌跡の下死点、もしくは下死点通過後から、植付部材36が土中から完全に離脱するまでの位置に亘り、ギア歯同士の間隔が小さくなる状態で噛み合うことにより、前記偏心入力ギア40、偏心中継ギア41及び偏心出力ギア42の噛み合いの負荷が抑えられてガタの発生が防止されるので、植込杆27が脈動を起こしたり、回転移動が遅れたりすることが防止され、苗取りや苗植付のタイミングがずれることが防止される。
【0047】
これにより、植付部材36を土中から速やかに離脱することができるので、苗の植付位置の周囲に孔部を形成することが防止され、苗がこの孔部に倒れ込み、植付姿勢が乱れることが防止される。
【0048】
なお、各非円形ギアには20本から22本程度のギア歯が形成されており、ギア歯1本当たりの植込杆27の移動量は約16°〜18°となる。前述のとおりギア歯の幅、及びギア歯とギア歯の間隔は一箇所ごとに異なるので、上記の値は平均値である。前記平坦部27fは、同じ幅のギア歯を2本並べると共に、該2本のギア歯の間隔をこのギア歯1本分と略同じとすることによって形成される。
【0049】
図7(c)で示す通り、前記偏心入力ギア40、偏心中継ギア41及び偏心出力ギア42の各平坦部40f,41f,42fの噛み合い部分が通過すると、前記植付回転軸30から偏心入力ギア40の外周部までの径が最大になる入力最大径部40m、前記中継伝動軸44から偏心中継ギア41の外周部までの径が最大になる中継最大径部41m、及び前記回動軸34から偏心出力ギア42の外周部までの径が最大になる出力最大径部42mが各々噛み合う配置構成とする。
【0050】
具体的には、前記入力平坦部40fと中継平坦部41fが先行して離間し始める位置で、前記入力最大径部40mが中継最大径部41mと先行して噛み合わせる。入力最大径部40mと中継最大径部41mが噛み合うことにより、偏心入力ギア40と偏心中継ギア41の回転速度が速くなるので、植込杆27の回転移動速度を速くすることができる。この動作を、第1クイック動作とする。
【0051】
そして、該入力最大径部40mと中継最大径部41mが離間し始める位置になると、前記中継平坦部41fと出力平坦部42fが離間し始め、前記中継最大径部41mと出力最大径部42mが噛み合い始める。中継最大径部41mと出力最大径部42mが噛み合うことにより、偏心中継ギア41と偏心出力ギア42の回転速度が速くなるので、第1クイックが終了しても植込杆27の回転移動速度を維持することができる。この動作を、第2クイック動作とする。
【0052】
上記構成により、第1クイック動作が終わると同時に第2クイック動作が開始されるので、植込杆27を下死点から植付部材36が土中から完全に離脱する位置まで速やかに移動させることができるので、植付部材36が植え付けられた苗の周囲に孔部を形成することが防止され、この孔部に苗が倒れ込み、植付姿勢が乱れることが防止される。
【0053】
第1クイックと第2クイックによる植込杆27の移動は、ギア歯約2本分、即ち植込杆27の苗植付軌跡の下死点を0度として32°から36°の範囲で行われる。
なお、前記中継平坦部41fと出力平坦部42fが先行して離間し始める位置で、前記中継最大径部41mと出力最大径部42mを先行して噛み合わせて第1クイック動作を行うと共に、前記入力平坦部40fと中継平坦部41fが離間し始めると前記入力最大径部40mと中継最大径部41mが噛み合い、第2クイック動作を行う構成としてもよい。
【0054】
図5に示すとおり、回転ケース31の内部には、回動軸34に一体回転する構成で取り付けた、円周上の一点を突出させて突起部47tを形成した非円形状の制動カム47と、制動カム47の外周面に接触する制動アーム48と、制動アーム48を制動カム47に押し付ける制動スプリング49とからなる位相ずれ防止機構が設けられている。制動アーム48の接触面側は、円弧形状として、制動カム47の外周面に接触する構成としている。
【0055】
前記制動カム47と制動アーム48と制動スプリング49は、各々一対回転ケース31の内部に設ける。該回転ケース31のうち、一対の偏心中継ギア41,41を設ける部分は、該一対の偏心中継ギア41,41を偏心入力ギア40及び一対の偏心出力ギア42,42よりも搬送方向上手側に配置すべく、各々回転方向上手側に突出する凸部31c,31cが形成されている。一方、該凸部31c,31cの反対側、即ち回転方向上手側には、各々緩やかに湾曲する凹部31d,31dを形成しており、回転ケース31は、側面視でS字形状に形成される。
【0056】
前記凹部31d,31dには、搬送方向上手側に突出する収容突起部31a,31aを各々形成し、該収容突起部31a,31aの内部には収容空間部31b,31bを各々形成する。そして、該収容空間部31b,31bの内部に前記制動スプリング49,49を各々配置する。該制動スプリング49,49は、前記偏心出力ギア42の回動軸34と、偏心中継ギア41の中継回転軸44の間に配置される。
【0057】
なお、前記収容突起部31a,31aの突出量は、前記凸部31c,31cの突出量と略同じとする。
また、前記一対の制動スプリング49,49、及び一対の収容突起部31a,31aは、偏心入力ギア40に嵌装した植付回転軸30を中心として、線対称となる位置に配置される構成とする。
【0058】
上記構成では、収容突起部31a,31aを回転ケース31の凹部31d,31dに形成すると共に、収容突起部31a,31aと凸部31c,31cの突出量を略同じとしたことにより、制動スプリング49,49の突出量が大きくなって回転ケース31が大型化することが防止され、苗植付装置23のコンパクト化が図られる。
【0059】
そして、一対の制動スプリング49,49、及び一対の収容突起部31a,31aを、植付回転軸30を中心として線対称となる位置に配置したことにより、一方の収容突起部31aの突出端部が他方の凸部31cの突出端部と略同一直線上に並ぶ構成となるので、回転ケース31が大型化することが防止され、苗植付装置23のコンパクト化が図られる。
【0060】
また、収容突起部31a,31aを、回転ケース31の回転方向上手側に各々設けたことにより、収容突起部31a,31aは植込杆27,27が圃場に苗を植え付ける際、圃場面または水面の藁屑等の夾雑物を掬い上げにくい姿勢となるので、夾雑物が苗植付装置23に絡み付くことが防止され、夾雑物が苗植付装置23の植付作業を妨げることが防止されると共に、苗植付装置23から夾雑物を除去する作業が不要となる。
【0061】
さらに、植込杆27,27が圃場に苗を植えて上方に移動し、次の苗を取りに行く軌跡、及び苗取り口25から苗を取って圃場に苗を植え付けに行く軌跡において、収容突起部31a,31aが各々下方を向く位置があるので、収容突起部31a,31aに引っ掛かった夾雑物が下方に落下しやすくなり、いっそう夾雑物の絡み付きが防止される。
【0062】
前記制動カム47は、
図5に示す通りの形状をしており、植込杆27が、苗取り口25から苗を取る位置及び苗を圃場に植え付ける位置にある時に偏心出力ギア42の回転を制動し、各ギア間のバックラッシによる振動を抑制して、苗分離及び苗植え付けの動作が正確に行われる構成で作用する。
【0063】
なお、
図14には本発明の第二実施形態にかかる苗植付装置23の、制動カム47の左方向からの側面図を示す。第二実施形態にかかる苗植付装置23では、制動カム47の全周を、第一接触部47aと、第二接触部47bとにより形成する。第一接触部47aは、植込杆27が苗を取る位置にあるときに、制動アーム48と接触する外周位置から、そこから回転前135°の回転位置にあるときに、制動アーム48と接触する外周位置までをいい、第二接触部47bは、それ以外の部分をいう。第一接触部47aでは、制動カム47の外周と回転中心との距離を、段階的に長くなる構成とする。
【0064】
前記制動カム47の第一接触部47aを、植込杆27が苗を取るまで第一接触部47aの外周と回転中心との距離を、段階的に長くすることにより、振動を少なくする力を徐々に強くしながら、苗を取る部分で振動を抑える力を最も強くすることができる。これにより、急激な力の変動による振動を抑えることができると共に、苗の取得を確実に行うことができ、苗の植付精度が向上する。
【0065】
なお、前記第一接触部47aと第二接触部47bの境界部分のどちらか一方に、前記突起部47tを形成する。
前記制動アーム48は制動スプリング49の付勢力によって常時制動カム47に押し当てられ、制動カム47に加えられる圧力は回動軸34を介して偏心出力ギア42に伝達され、偏心出力ギア42の回転動作に伴って生じる負荷を軽減する。該偏心出力ギア42にかかる負荷は、前記回動軸34に設けられる植込杆27の位置毎に変化するので、前記制動カム47は複数個所の径が異なる構成としている。
【0066】
特に、
図7(a)(b)(c)(特に記載が無い限りは
図7とする)で示す、前記植込杆27が苗取り口25から所定量の苗を取る位置では、苗の培地や根が強い抵抗になり、負荷がかかりやすく、偏心入力ギア40、偏心中継ギア41及び偏心出力ギア42の噛み合いの負荷によって植込杆27が脈動を起こしたり、植込杆27の回転移動が遅くなることがある。これにより、植込杆27が苗取り口25を通過する位置がずれ、設定した苗とは異なる量の苗を取ってしまったり、苗を取らずに通過してしまったりして、苗の植付が位置毎に異なり、植付精度が低下する問題が生じる。
【0067】
上記の脈動の発生を防止すべく、前記植込杆27が苗取り口25から苗を取る位置よりも回転方向下手側の位置で、前記制動カム47の突起部47tが制動アーム48に接触し、該制動アーム48は制動スプリング49の付勢力に抗して苗取り口25の直前まで突起部47tによって押し上げられる配置構成とする。そして、植込杆27が苗取り口25を通過する際、前記突起部47tが制動アーム48を通過し切ると、前記制動スプリング49の付勢力によって押し出された制動アーム48が制動カム47に接触することにより、接触の衝撃が回動軸34を介して前記偏心出力ギア42に伝動されるので、前記偏心入力ギア40、偏心中継ギア41及び偏心出力ギア42の噛み合いの負荷が軽減されて、植込杆27が苗取り口25から苗を取る際に脈動を起こしたり、回転移動が遅れたりすることが防止され、苗の植付精度が向上する。
【0068】
前記植込杆27の押出部材37は、植付具ケース35に摺動自在に支持された苗押出体29の先端部に植付部材36の裏面に近接させて取り付けられ、苗押出体29の作動により植付部材36の先端側へ突出、及び植付部材36の根元側へ後退する構成になっている。前記植付具ケース35内に収容されている押出部材37の作動機構により、植付部材36の先端が苗植付具先端軌跡19の下部へ移動していく際に押出部材37が突出して、植付部材36に保持されている苗を圃場へ押し出す。尚、押出部材37の作動機構については後述する。
【0069】
本実施の形態にかかる苗植付装置23は、以上の構成で、植付作業時には次の通りに作動する。植付回転軸30が駆動回転することにより、回転ケース31に取り付けられている一対の植込杆27が、植付部材36の先端が苗植付具先端軌跡19を描く同一軌道上を互いに1/2周期の間隔を保ったまま一定姿勢で移動する。
【0070】
前記植込杆27の植付部材36が苗取り口25を通過する際、苗載せ台22の苗を一株分離して取り出す。このとき、押出部材37は後退した状態にある。植込杆27が下動して植付部材36の先端が苗植付具先端軌跡19の下部まで移動すると、苗押出体29の先端に設けた押出部材37が突出し、植付部材36が保持している苗の土部を下向きに押すことにより、苗を植付部材36から押し出して圃場に植え付ける。その後、植込杆27が下動時よりも後方の軌道を通って上動するとともに、押出部材37が後退する。
【0071】
図6は、本発明の第一実施形態にかかる苗植付装置23の、回動軸34の位置に対応する植付部材36の先端が描く苗植付具先端軌跡19を示す図である。
図6は、走行車体10の左側から視た模式図である。
【0072】
図6に示す公転軌跡51は、植付回転軸30が回転する際の回動軸34の公転軌跡を示している。また、
図6では、偏心入力ギア40、偏心中継ギア41及び偏心出力ギア42は、回動軸34が最下点にあるときの各回転体の位置を示している。又、従来の苗植付具の先端軌跡9を一点鎖線で示している。
【0073】
第一実施形態にかかる苗植付装置23は、
図5に示す偏心入力ギア40、偏心中継ギア41、41及び偏心出力ギア42、42の構成により、植付部材36の先端が、従来の植付具先端軌跡9とは異なる苗植付具先端軌跡19を描く。回動軸34が、公転軌跡51を一周する間に、植付部材36の先端は苗植付具先端軌跡19上を一周移動する。
【0074】
以下に、第一実施形態の苗植付装置23における、苗植付具先端軌跡19の詳細について説明する。
図7は、植込杆27の植付部材36の先端が苗植付具先端軌跡19上の最下点にきたときの回転ケース31内の各偏心ギアの位置関係を示す図である。
図7は、走行車体10の左側から視た図であり、
図7以降の図では、走行車体10の前後方向をx方向、鉛直方向をy方向として説明する。
【0075】
又、
図7以降の図では、
図7の右上の図に示す通り、植込杆27の形状及び姿勢を、植込杆27の植付部材36の先端及び回動軸34の中心を頂点とする三角形で表している。
図7では、植付部材36の先端が苗取り口25に達したとき、及び苗植付具先端軌跡19の最下点に達したときの植込杆27の位置を記載している。
【0076】
第一実施形態では、回動軸34から植付部材36の先端までの長さLを、植付回動軸30の公転軌跡51の中心である植付回転軸30から回動軸34までの長さの2倍の長さ、すなわち植付回動軸30の公転軌跡51の直径φと同じ長さとしている。例えば、長さLを、従来の植付回動軸30の公転軌跡51の直径φと同じ約160mmとしている。
【0077】
前記回転ケース31の端部に備えた、二つの植込杆27、27の回動軸34、34の軸心間距離φと、植込杆27の回動軸34の軸心から、この植込杆27に備えた植付部材36の先端までの距離Lと、が同一であることにより、植付部材36が他方の植込杆27に干渉しない構成とすることができる。これにより苗の植付位置や、植付深さが乱れることを防止でき、苗の植付精度が向上する。
【0078】
更に、苗植付具先端軌跡19上の最下点(B点)の位置から、植付回動軸30の公転軌跡51の中心である植付回転軸30までのy方向の距離b2が、植付回動軸の公転軌跡51の直径φと略同じ長さとなる構成としている。
【0079】
又、
図7に示す通り、偏心入力ギア40の軸心である植付回転軸30と偏心出力ギア42の軸心である回動軸34を結ぶ直線を第1の直線としたとき、回動軸34の公転する回転方向(
図7では左回り)を基準として、偏心中継ギア41の軸心である中継伝動軸44が第1の直線よりも前側に位置する構成としている。
【0080】
そして、偏心入力ギア40の軸心である植付回転軸30と偏心中継ギア41の軸心である中継伝動軸44とを結ぶ直線を第2の直線としたときに、第1の直線と第2の直線がなす角度θ2が、18±2°となる構成としている。
【0081】
さらに、
図7(a)で示す通り、前記中継伝動軸44と回動軸34を結ぶ直線と第3の直線とすると、第1の直線と第3の直線がなす角度は、上記の角度θ2と同じく18±2°となる。そして、第2の直線と第3の直線の交点における角度θ3は、144±4°となる。これにより、第1の直線と第2の直線と第3の直線を各々結ぶ、即ち、植付回転軸30と中継伝動軸44と回動軸34を直線で結ぶと、二等辺三角形が描かれる構成となる。
【0082】
言い換えれば、偏心入力ギア40と偏心中継ギア41と偏心出力ギア42が、二等辺三角形の各頂点位置に配置される構成である。
又、本実施の形態では、
図7に示す通り、回動軸34が公転軌跡51の最下点にきたときに、植付部材36の先端が、苗植付具先端軌跡19の最下点であるB点に達する構成としている。
【0083】
そして、偏心出力ギア42の軸心である回動軸34と植付部材36の先端とを結ぶ直線を第3の直線とすると、植付部材36の先端が苗植付具先端軌跡19上の最下点(B点)に達したときに第1の直線と第3の直線がなす角度θ1が、122±2°となる構成としている。
【0084】
図8は、第一実施形態にかかる苗植付装置23の、植付回転軸30の軸心の位置と苗植付具先端軌跡19上の各通過点との位置関係を示す図である。
図8に示す通り、植付部材36の先端が通過する苗植付具先端軌跡19は、側面視で閉曲線を描く軌跡であり、苗植付具先端軌跡19の最上位となる位置をA点、最下位となる位置をB点、最前方となる位置をC点とする。
【0085】
図8に示す通り、植付部材36の先端は、植付回転軸30よりも低い位置で、最前方点(C点)を通過する。
A点と偏心入力ギア40の軸心である植付回転軸30との間の、x方向の距離をa1とし、y方向の距離をa2とする。又、B点と植付回転軸30との間の、x方向の距離をb1とし、y方向の距離をb2とする。又、C点と植付回転軸30との間の、x方向の距離をc1とし、y方向の距離をc2とする。
【0086】
本実施の形態では、a1の長さが、植付回転軸30から回動軸34までの長さの2倍の長さφの0.65倍以上、0.69倍以下となる構成とし、a2の長さが、長さφの0.91倍以上、0.95倍以下となる構成としている。
【0087】
又、b1の長さが、長さφの0.87倍以上、0.91倍以下となる構成とし、b2の長さが、長さφの0.95倍以上、1.1倍以下となる構成としている。
又、c1の長さが、長さφの1.4倍以上、1.5倍以下となる構成とし、c2の長さが、長さφの0.12倍以上、0.16倍以下となる構成としている。
【0088】
苗植付具先端軌跡19上の最下点(B点)から鉛直上方30mmの水平面の位置を圃場面の位置と仮定し、この水平面と苗植付具先端軌跡19との交差する2点のうち、前方側の交差点をD1点とし、後方側の交差点をD2点とする。
【0089】
そして、D1点とB点とのx方向の距離をd1、D2点とB点とのx方向の距離をd2としたときに、本実施の形態では、d1の長さがd2の長さの略2倍の長さとなる構成としている。
【0090】
又、苗植付具先端軌跡19のうち、C点からB点に至る軌跡の形状が、側面視で、半径が長さφの0.85倍以上、0.9倍以下の真円の弧の形状に略一致する構成としている。
【0091】
図9は、本発明の第一実施形態にかかる苗植付装置23の、一方の植込杆27の植付部材36の先端が植付回転軸30と同一の水平面上を通過する際の、偏心入力ギア40の軸心の位置と各植込杆27との位置関係を示す図である。
【0092】
2つの植込杆27は、植付回転軸30を中心として点対称となる回転ケース31の両端部に配置された2本の回動軸34のそれぞれに固定されている。
図9に示す通り、本実施の形態では、一方の植込杆27の植付部材36の先端が植付回転軸30と同一の水平面上を通過する際、もう一方の植込杆27の植付部材36の先端も、植付回転軸30と同一の水平面上を上下逆方向に向けて通過する。
【0093】
植付回転軸30と同一の水平面と苗植付具先端軌跡19との交差する2点のうち、前方側の交差点をE1点とし、後方側の交差点をE2点とすると、一方の植込杆27の植付部材36の先端が下降しながらE1点を通過する際、他方の植込杆27の植付部材36の先端は、上昇しながらE2点を通過する。
【0094】
そして、E1点と最下点であるB点とのx方向の距離をe1、E2点と植付回転軸30とのx方向の距離をe2としたときに、本実施の形態では、e1の長さがe2の長さと略等しくなる構成としている。
【0095】
図10は、走行車体10が停止しているときの苗植付具先端軌跡19に対応させて、走行車体10が走行しているときの第一実施形態にかかる苗植付装置23の植込杆27の植付部材36の先端が描く動軌跡を示した図である。
【0096】
植込杆27の植付部材36の先端が苗植付具先端軌跡19を描きながら走行車体10が左方向へ走行したとき、植込杆27の植付部材36の先端は、側面視で苗植付具先端動軌跡52を描く。
【0097】
図10に示す通り、植付回転軸30を中心として、植付回動軸の公転軌跡51上の最下点の位置を0°の位置とし、回動軸34が公転軌跡51上の最も後方側にきたときの位置を90°の位置とし、回動軸34が公転軌跡51上の最上点にきたときの位置を180°の位置と規定する。
【0098】
図10の苗植付具先端軌跡19上のF点は、回動軸34の公転軌跡51上の位置を上記の通り規定したときの、回動軸34が260°の位置にあるときの、植込杆27の植付部材36の先端の位置を示している。又、苗植付具先端動軌跡52上のF´点は、F点に対応する動軌跡上の植込杆27の植付部材36の先端の位置を示している。
【0099】
又、苗植付具先端軌跡19上のG点は、回動軸34が公転軌跡51上の90°の位置にあるときの植込杆27の植付部材36の先端の位置を示しており、苗植付具先端動軌跡52上のG´点は、G点に対応する動軌跡上の植込杆27の植付部材36の先端の位置を示している。
【0100】
本実施の形態では、
図5に示した各ギアの構成により、回動軸34が公転軌跡51上の260°の位置付近から植付部材36の先端の移動速度が加速し、90°の位置付近から植付部材36の先端の移動速度が減速する。
【0101】
つまり、苗植付具先端軌跡19上において、植付部材36の先端は、苗を圃場に植え付けるF点からG点に移動する間は速く移動し、苗取り口25から苗を取り出すG点からF点に移動する間は遅く移動する。苗植付具先端動軌跡52上では、F´点から植付部材36の先端が加速して苗を圃場に植え付け、G´点から植付部材36の先端が減速して苗取り口25から苗を取り出す。
【0102】
植付部材36の先端の移動速度を上記の通りに制御することにより、圃場に植え付けた苗に干渉することなく、苗の植え付け後に植付部材36の先端を急上昇させることができる。
【0103】
図11に、第一実施形態にかかる苗植付装置23で、苗の前後方向の植付間隔、即ち株間を変化させたときの、植込杆27の植付部材36の先端の動軌跡を示す。
図11は、各植付け株数(37株、42株、50株、60株、70株、80株、90株)における動軌跡を示している。
図11では、植付部材36の先端の軌跡の最下点の位置から鉛直上方30mmの位置を圃場面と仮定している。
【0104】
従来の苗植付装置によって描かれる苗取り爪先端の軌跡では、疎の植付け側において振動の発生の生じにくい構成とすると、密の植付け側で株数を増やすほど苗同士の植付け間隔が乱れやすくなる問題があったと共に、密の植付け側において苗同士の植付間隔が一定になる構成とすると、疎の植付け側としたときに振動が発生しやすくなる問題があった。本実施の形態の苗植付装置23は、走行車体10が停止している状態において苗植付具先端軌跡19を描く構成で動作することにより、苗同士の植付け間隔を乱すことや、振動の発生により苗の植付けが一時的に行われることなく、37株から90株までの広い範囲の植付け株数に対応できる。
【0105】
第一実施形態にかかる苗植付装置23では、植付け株数に対応したギアの変更等が必要ないので、低コストで作業適応力が向上する。又、苗植付装置23は、従来と略同じ大きさで構成することができるので、コンパクト化が図られる。
【0106】
図12に、本実施の形態の苗植付装置23が停止したときの苗植付装置23の側面図を示す。苗植付装置23を停止させたとき、すなわち植付クラッチを「切」に設定したとき、回転ケース31の両端部に装着されている2つの植込杆27は、
図12に示す姿勢で停止する。
【0107】
図12に示す通り、2つの植込杆27の植付部材36が互いに平行となる向きで停止することにより、苗植付装置23が停止したときに側面視で回転ケース31から前後にはみ出す面積が小さく、嵩張らない。これにより、苗移植機の倉庫等への収納や、軽トラックの荷台等への積載が容易になる。
【0108】
また、植付部材36、36が互いに圃場の土中に侵入した状態で停止することを防止できるので、植付部材36、36に泥土が詰まり、苗植付部15から苗を掻き取れず、苗が植付けられない箇所の発生が防止される。これにより、作業者が手作業で苗を植える作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
【0109】
次に、植込杆27の植付具ケース35内に収容されている押出部材37の作動機構の詳細について説明する。
図13(a)に、第一実施形態にかかる苗植付装置23の植込杆27の断面図を、
図13(b)に、
図13(a)のS1−S1断面を示す。
【0110】
押出カム71は、植付具ケース35内に突出した回転ケース31の突出部に一体的に嵌合し、回動軸34及び植付具ケース35を基準として回転自在に設けられている。この押出カム71の外周面に摺接するカムアーム72は、アーム軸73に回動自在に軸支されている。押出カム71は、回転ケース31の外側で、後述する作動アーム74よりも回転ケース側に配置する。
【0111】
又、アーム軸73には、カムアーム72と一体に回動する作動アーム74が軸支されていて、作動アーム74の先端部と、苗押出体29の植付具ケース35内部側の端部に固定されている押出ナット70と、が継手部材75を介して連結されている。そして、継手部材75を介して苗押出体29が植付部材36の突出側に付勢される構成で、作動アーム74の中間部分を付勢する押出スプリング76が設けられている。
【0112】
前記回動軸34を基準として押出カム71が相対的に回転し、押出カム71とカムアーム72とからなるカム機構の働きで、作動アーム74が揺動する。
前記押出スプリング76を圧縮する位置に作動アーム74があるときは、押出部材37が後退した状態にある。その位置から作動アーム74が回動して押出スプリング76の圧縮が緩和されると、押出スプリング76の弾発力で苗押出体29が押し出され、押出部材37が突出する。
【0113】
図4及び
図13で示すように、第一実施形態にかかる作動アーム74は、回転ケース31の回転軌跡と平行となる平行アーム部74aと、回転ケース31から離れる傾斜姿勢の傾斜アーム部74bと、で構成し、押出スプリング76を、作動アーム74の平行アーム部74aで押圧する構成とする。
【0114】
押出スプリング76を、作動アーム74の平行部74aで押圧する構成としたことにより、作動アーム74の回動案内の幅内で作動アーム74を押圧するので、作動アーム74の姿勢が乱れることがなく、押出部材37が押し出され、苗を確実に植付けることができる。
【0115】
図13(a)上で、苗押出体29と作動アーム74の回動支点であるアーム軸73との上下間に保護部材77を設け、作動アーム74が苗押出体29を押し出す位置に回動した際に、作動アーム74が保護部材77に接触する構成とする。該保護部材77は、植付具ケース35の内側に設けられたクッションゴムであり、支持ボス78により支持されている。保護部材77は、押出スプリング76の弾発力によって回動する際の作動アーム74の衝撃を吸収し、苗押出体29をスムーズに突出させる。また、作動アーム74の苗押出体29との押圧部を、苗押出体29の前後方向における前側に突出させる。
【0116】
前記苗押出体29とアーム軸73との間に、押出位置に移動した作動アーム74を受け止める保護部材77を設け、作動アーム74の苗押出体29との接触部を前側に突出させたことにより、作動アーム74と保護部材77との接触面積を大きくし、苗押出体29を確実に作動アーム74で押すことができると共に、植付杆27をコンパクトにできる。これにより、苗移植機の前後幅が短くなる。
【0117】
図13(a)に示す通り、押出ナット70の前方にオイル溜り80を設ける。押出ナット70の前方にオイル溜り80を設けたことにより、植込杆27の全長を長くすることなく、押出ナット70によって植付具ケース35内部のオイルが外部へたたき出されることを防止できる。
【0118】
又、クッションゴム支持ボス78と押出ナット70との間に隙間を設ける構成として、オイルの押し出しを防止している。
又、
図13(a)及び
図13(b)に示す通り、苗押出体29が内部を摺動する植付具ケース35の筒状部分の内側の側面にオイルバイパス79を設けることにより、コンパクな構成でオイルの押し出しを防止している。
【0119】
又、苗押出体29が植付具ケース35から突出するブッシュ部分にはオイル溜りの空間を設けずに、グリスシールリップ部81に凹部を設けることによって、オイルバイパス79を通じてオイルを後方へ戻せる構成としている。これにより、植込杆27の全長を長くすることなく、オイルを戻すことができる。
【0120】
又、
図4、
図12に示すように、植込杆27の回動量を調節する回動量調節部材50を設け、この回動量調節部材50を植込杆27と回転ケース31との間に配置する。該回動量調節部材50を植込杆27と回転ケース31との間に配置したことにより、苗植付装置23の左右方向をコンパクトにすることができる。