(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端側に傾動の支点となる傾動軸を、他端側に機関弁を押圧する機関弁押圧部材を、中央部に内燃機関のクランク軸の回転に応じて回転するカムとの作用面を、それぞれ有するロッカーアームと、該ロッカーアームの前記傾動軸を移動可能に支持する油圧タペットとを設けて構成される動弁機構において、
前記油圧タペットの回動を直接的に抑制して、前記油圧タペットを中心にした前記傾動軸の回動を間接的に抑制する回動抑制部材を設け、
前記回動抑制部材を中空管で形成し、前記油圧タペットと共に摺動するように構成すると共に、前記回動抑制部材の前記中空管を経由して、前記油圧タペットの油リザーバーに作動油を供給するように構成することを特徴とする動弁機構。
【背景技術】
【0002】
可変排気量式のエンジン(内燃機関)においては、バルブクリアランスを調節する油圧タペット(油圧リフターともいう)のチェックボール(逆止弁)を、ソレノイドバルブ(逆止弁開放装置)により押し下げ、カムによるリフトを吸収することで、バルブ(機関弁)を休止させる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この装置をエンジンに設けることで、エンジンの運転状況によって燃料が供給される気筒数を減らして作動排気量を少なくすると共に、燃料供給が停止された気筒に対応するバルブの作動も停止させ、燃料消費量を低減させている。
【0004】
しかし、この装置は、高圧部の下方からシールを通してソレノイド軸によりチェックボール押付けスプリング座を移動させるものであるが、高圧下でソレノイドを作動させる難しさ、また、スプリング座との連結での構造の複雑さがある。
【0005】
そこで、本発明の発明者は、ロッカーアームのロッカーシャフト(傾動軸)を支持するロッカーシャフトブラケット(支持部材)を備えて、ロッカーアームに対して、油圧タペットをロッカーシャフトの軸方向にずらした位置に配置して、ロッカーシャフトブラケットと接合して構成した装置を提案している(特願2013−83599号参照)。
【0006】
本発明者の提案した装置によれば、ロッカーアームに対して油圧タペットをロッカーシャフトの軸方向にずらした位置に配置することで、ソレノイドバルブを油圧タペットの油リザーバー側の上部からチェックボールを押し下げるように構成しても、油圧タペットとソレノイドバルブをシリンダヘッド内に収めて、装置の全高を低くすることができるので、これにより、高圧室のオリフィスを開放する機構が複雑にならずに、容易に組み立てることができ、且つ、車両への搭載性を向上することができる。
【0007】
しかし、本発明者の提案した装置は、油圧タペットのプランジャ部分と接合されたロッカーシャフトブラケットでロッカーシャフトを支持する構成のため、油圧タペットの回動、詳しくは、円筒状の油圧タペットのプランジャの回動に伴って、ロッカーシャフトが油圧タペットを中心にして回動する可能性がある。そのため、ロッカーシャフト側に回り留め機構を設ける必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、油圧タペットの回動に伴って発生する、ロッカーアームの傾動軸の回動を防止することができる動弁機構と内燃機関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を解決するための本発明の動弁機構は、一端側に傾動の支点となる傾動軸を、他端側に機関弁を押圧する機関弁押圧部材を、中央部に内燃機関のクランク軸の回転に応じて回転するカムとの作用面を、それぞれ有するロッカーアームと、該ロッカーアームの前記傾動軸を移動可能に支持する油圧タペットとを設けて構成される動弁機構において、前記油圧タペットの回動を直接的に抑制して、前記油圧タペットを中心にした前記傾動軸の回動を間接的に抑制する回動抑制部材を設けて構成される。
【0011】
なお、ここでいう油圧タペットとは、バルブクリアランスを調節する所謂ラッシュアジャスタとしての役割を有するものや、ラッシュアジャスタの役割と、カムの作用を吸収して機関弁を休止させる役割を持つもののことをいう。
【0012】
例えば、この油圧タペットは、ボディとピストンの上下に分割され、内部に逆止弁を備え、逆止弁がピストンに設けたオリフィスを塞いで高圧室が形成されると共に、ピストンの内部にオイルが供給される油リザーバーが形成されるものである。
【0013】
この構成によれば、回動抑制部材を設けることで、油圧タペットの回動を直接的に抑制して、その油圧タペットの回動に伴うロッカーアームの傾動軸の油圧タペットを中心にした回動を間接的に抑制することができる。また、回転抑制部材で油圧タペットの回動を直接的に抑制するので、ロッカーアームに余分な回り留め機構を設ける必要がないため、動弁機構を容易にシリンダヘッドに取り付けることができ、安価に製造することができる。
【0014】
また、上記の動弁機構において、前記機関弁を休止させるときに、前記油圧タペット内に設けた逆止弁を開放する逆止弁開放装置と、前記ロッカーアームの前記傾動軸を支持する支持部材とを設け、前記ロッカーアームに対して、前記油圧タペットを前記傾動軸の軸方向にずらした位置に配置すると共に、前記支持部材を前記油圧タペットと前記逆止弁開放装置との間に配置し、前記回動抑制部材を、前記油圧タペットと前記支持部材の両方の回動を直接的に抑制する部材として構成されることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、回動抑制部材が油圧タペットと支持部材の両方の回動を直接的に抑制することで、ロッカーアームの傾動軸の回動を間接的に抑制することができる。
【0016】
また、カムがロッカーアームに作用したときに、油圧タペットにより支持部材が移動し、それと共にロッカーアームの傾動軸も移動して、カムの作用を吸収して、機関弁を休止させるように構成しても、ロッカーアームに対して油圧タペットを傾動軸の軸方向にずらした位置に配置させたことで、油圧タペットをシリンダヘッド内に収めることができ、内燃機関の全高を、低くすることができる。これにより、車両への搭載性を向上することができる。
【0017】
加えて、逆止弁開放装置が油圧タペットの高圧室を形成する逆止弁を油リザーバー側から押し下げるように、油圧タペットの油リザーバーの上部に設けられるので、高圧室のオリフィスを開放する機構が複雑にならずに、容易に組み立てることができる。
【0018】
更に、従来技術のように、ロッカーアームに油圧タペットを直接取り付ける場合に比べ、油圧タペットと支持部材とが相対的に動かないため、逆止弁開放装置が油圧タペットの逆止弁を容易に開放することができる。
【0019】
加えて、上記の動弁機構において、前記回動抑制部材を中空管で形成し、前記油圧タペットと共に摺動するように構成すると共に、前記回動抑制部材の前記中空管を経由して、前記油圧タペットの油リザーバーに作動油を供給するように構成されると、回動抑制部材に、ロッカーアームの傾動軸の回動を抑制する役割に加えて、油圧タペットの油リザーバーに作動油を供給する役割を持たせることで、油圧タペットの内外面に余計な通路を設ける必要がなくなり、加工が容易になるので、精度の高いものが安価に供給することができる。
【0020】
更に、上記の動弁機構において、前記油圧タペットを接合する動弁機構基台を備え、該動弁機構基台を介して動弁機構をシリンダヘッドに取付けるように構成されると、動弁機構を、動弁機構基台を介してシリンダヘッドに取り付けることができるので、シリンダヘッドに複雑な加工を行う必要がなく、容易に取り付けることができる。
【0021】
そして、上記の目的を解決するための本発明の内燃機関は、上記に記載の動弁機構を備えて構成される。この構成によれば、油圧タペットのオリフィスを開放する機構を単純化し、且つ油圧タペットと逆止弁開放装置をシリンダヘッド内に収めて、装置の全高を低くするために、ロッカーアームに対して油圧タペットをロッカーシャフトの軸方向にずらした位置に配置して、逆止弁開放装置で油圧タペットの油リザーバー側の上部から逆止弁を開放するように構成しても、ロッカーアームの傾動軸が油圧タペットを中心にして回動することを回避することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ロッカーアームに余分な回り留め機構を設けなくても、油圧タペットの回動と、その油圧タペットの回動に伴うロッカーアームの傾動軸の油圧タペットを中心にした回動の両方を回動抑制部材で抑制することができる。
【0023】
これにより、油圧タペットのオリフィスを開放する機構を単純化し、且つ油圧タペットと逆止弁開放装置をシリンダヘッド内に収めて、装置の全高を低くするために、ロッカーアームに対して油圧タペットをロッカーシャフトの軸方向にずらした位置に配置して、逆止弁開放装置で油圧タペットの油リザーバー側の上部から逆止弁を開放するように構成しても、ロッカーアームの傾動軸が油圧タペットを中心に回動せずに、機関弁を動作させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施の形態の動弁機構と内燃機関について、図面を参照しながら説明する。なお、図面においては、ロッカーシャフトの軸方向(カムシャフトの軸方向)をx方向、ロッカーアームの長手方向をy方向、及び、x方向とy方向に垂直な方向をz方向とする。
【0026】
図1に示すように、本発明に係る実施の形態のエンジン(内燃機関)1は、シリンダブロック2に設けられた各気筒3と連通するポート(吸気ポート、又は排気ポート)4を開
閉するバルブ(機関弁)5がシリンダヘッド6に設けられて、シリンダヘッドカバー7で覆われている。
【0027】
このエンジン1は、バルブ5の動弁機構10として、バルブスプリング11、カム12、ロッカーアーム13、油圧タペット14、ソレノイドバルブ(逆止弁開放装置)15、及び制御装置16を備える。
【0028】
このバルブ5は、バルブスプリング11により閉方向に付勢されている。制御装置16がソレノイドバルブ15により油圧タペット14のオリフィスを閉鎖すると、エンジン1のクランク軸(図示しない)の回転に応じて回転するカム12により傾動するロッカーアーム13により押圧され開方向に動作するように構成されている。一方、制御装置16がソレノイドバルブ15により油圧タペット14のオリフィスを解放すると、カム12の作用により傾動しようとするロッカーアーム13の動作を油圧タペット14の動作により吸収するので、開方向に動作せず、ポート4を解放しないように構成されている。
【0029】
ロッカーアーム13は、一端側に傾動の支点となるロッカーシャフト(傾動軸)17と、他端側にバルブ(機関弁)5を押圧するアジャストスクリュー(機関弁押圧部材)18を、中央部にカム12との作用面であるロッカーローラー19を、それぞれ有して構成される。
【0030】
油圧タペット14は、
図4に示すように、ボディ20とピストン21の上下に分割されており、ボディ20の内部に設けたスプリング22でピストン21を付勢している。また、内部にチェックボール23とスプリング24とスプリング座25を有した逆止弁26を備え、チェックボール23がピストン21のオリフィス27を塞いで高圧室28が形成されている。また、ピストン21の内部にオイルが供給される油リザーバー29が形成されている。
【0031】
ソレノイドバルブ15は、
図4に示すように、コイル30とニードル31とプランジャ32とスプリング33とを備えて構成される。このソレノイドバルブ15は、油圧タペット14の油リザーバー29の上部に設けて、ソレノイドバルブ15のニードル31が油リザーバー29側からチェックボール23を押し下げるように構成される。また、このソレノイドバルブ15は、接合部材34を設けている。
【0032】
図3の上面図に示すように、油圧タペット14のチェックボール23を油リザーバー29側から押し下げるように構成された動弁機構10は、ロッカーアーム13のロッカーシャフト17と油圧タペット14の間にロッカーシャフトブラケット(支持部材)40を備えると共に、ロッカーアーム13の位置L1に対して、油圧タペット14をロッカーシャフト17の軸方向であるx方向にずらした位置L2に配置して、ロッカーシャフトブラケット40を介してロッカーシャフト17と油圧タペット14を接合して構成される。以下、このx方向にずらした位置に配置することをオフセットするという。
【0033】
このように油圧タペット14をロッカーアーム13に対してx方向にオフセットすることで、油圧タペット14とソレノイドバルブ15をシリンダヘッド6内に収めることができるので、エンジン1の全高を低くして、車両への搭載性を向上することができる。
【0034】
また、この動弁機構10は、複数のロッカーアーム13のロッカーシャフト17が一つの油圧タペット14にロッカーシャフトブラケット40を介して接合して構成される。これにより、複数のロッカーアーム13を一度に休止させることができるので、4バルブのエンジン1では、一つの気筒3に対して排気用と吸気用の二つの油圧タペット14を設ければよく、部品点数を低減すると共に、搭載性を向上することができる。
【0035】
上記の構成のように、ロッカーアーム13のロッカーシャフト17を油圧タペット14のピストン21にロッカーシャフトブラケット40を介して接合すると、ピストン21の回動によって、ロッカーシャフトブラケット40が回動して、ロッカーシャフト17が油圧タペット14を中心にして回動する可能性がある。
【0036】
そこで、この実施の形態の動弁機構10は、油圧タペット14の回動を直接的に抑制し、油圧タペット14を中心としてロッカーシャフト17が回動することを間接的に抑制するオイルパイプ(回動抑制部材)41を設けて構成される。
【0037】
また、この動弁機構10は、油圧タペット14とオイルパイプ41の両方に接合されるベースブラケット(動弁機構基台)42を介してシリンダヘッド6に取付けられるように構成される。
【0038】
ロッカーシャフトブラケット40は、ロッカーアーム13のロッカーシャフト17を支持する部材であり、一端側が油圧タペット14のピストン21と接合され、他端側がソレノイドバルブ15と接合される。
【0039】
このロッカーシャフトブラケット40は、一端側に油圧タペット14が嵌め込まれ、且つ油圧タペット14のピストン21と接合される油圧タペット接合部40aと、他端側にソレノイドバルブ15が接合されるソレノイドバルブ接合部40bと、ソレノイドバルブ15のニードル31が挿通されるニードル挿通孔40cと、オイルパイプ41が挿通されるオイルパイプ挿通孔40dとを備えて構成される。
【0040】
オイルパイプ41は、90度に曲がった中空管で形成され、一端側がロッカーシャフトブラケット40のオイルパイプ挿通孔40dに挿入されて、油圧タペット14のピストン21と接合される。また、他端側は、ベースブラケット42に挿入される。
【0041】
このオイルパイプ41の一端側は、ロッカーシャフトブラケット40と油圧タペット14のピストン21に固定され、他端側はベースブラケット42に対して摺動するように構成される。これにより、オイルパイプ41は、油圧タペット14のピストン21とロッカーシャフトブラケット40と共に摺動して、油圧タペット14の油リザーバー29に直接、作動油を供給することができる。
【0042】
ベースブラケット42は、油圧タペット14をシリンダヘッド6に固定する基台である。このベースブラケット42は、オイルパイプ41と油通路43とを連通する連通路42aが形成されている。
【0043】
次に、この動弁機構10の動作について、
図1及び
図4と、
図2及び
図5を参照しながら説明する。
図1及び
図4に示すように、ソレノイドバルブ15のニードル31が、チェックボール23を押し下げていない状態では、カム12が作用してロッカーアーム13が傾動しようとすると、ロッカーシャフト17から荷重を受けた高圧室28の圧力が高くなりチェックボール23がピストン21のオリフィス27を塞ぐため、高圧室28の内部のオイルが漏れだすことがなく、油圧タペット14は一塊の部材となる。これにより、ロッカーアーム13がロッカーシャフト17を支点に傾動し、アジャストスクリュー18がバルブ5を開方向に押圧して、ポート4を開放する。
【0044】
また、カム12が作用していない場合で、バルブ5とアジャストスクリュー18との間に、或いはロッカーアーム13やカム12との間にバルブクリアランスが発生すると、ピストン21内の油圧によりチェックボール23が押されて、高圧室28にオイルが送り込
まれて容積が大きくなる。これによって油圧タペット14の全体の長さが押し伸ばされて、バルブクリアランスを埋める。この動作は、所謂ラッシュアジャスタと呼ばれる装置と同様である。
【0045】
次に、
図2及び
図5に示すように、制御装置16によりソレノイドバルブ15のニードル31が、チェックボール23を押し下げると、高圧室28と油リザーバー29との連通部分であるオリフィス27が開放され、油圧タペット14は、ラッシュアジャスタとしての機能が完全に喪失する。この状態で、カム12が作用してロッカーアーム13が傾動しようとすると、ロッカーシャフト17から荷重を受けた高圧室28から油リザーバー29にオイルが流出し、油圧タペット14の全体の長さが縮むことで、カム12のリフトを吸収し、バルブ5を停止させて、ポート4を遮蔽したままにする。
【0046】
これにより、アイドリング時や低回転、あるいは低負荷時に一部の気筒3を休止させるときに、バルブ5を休止させて燃焼効率を向上させ、ポンプ損失を小さくして、熱効率を向上させることができる。
【0047】
次に、この動弁機構10の組立方法について説明する。まず、油圧タペット14をベースブラケット42に組み付ける。このとき、油圧タペット14をロッカーアーム13に対してx方向にオフセットするように配置する。
【0048】
次に、ロッカーシャフトブラケット40のソレノイドバルブ接合部40bにソレノイドバルブ15の接合部材34を接合して、ロッカーシャフトブラケット40にソレノイドバルブ15を組み付ける。次に、ソレノイドバルブ15を組み付けたロッカーシャフトブラケット40を、油圧タペット14の上部に取り付ける。次に、オイルパイプ41をロッカーシャフトブラケット40とベースブラケット42の両方に挿入して、油通路43、オイルパイプ41、及び油リザーバー29を連通する。
【0049】
次に、ベースブラケット42をシリンダヘッド6に組み付ける。次に、ロッカーシャフトブラケット40にロッカーシャフト17を挿通すると共に、ロッカーシャフト17にロッカーアーム13を取り付ける。その後、シリンダヘッドカバー7を取り付けて組立は完了する。
【0050】
本発明の動弁機構10と、それを備えるエンジン1によれば、油圧タペット14のピストン21の回動をオイルパイプ41で止めることにより、ピストン21とロッカーシャフトブラケット40を介して接合されているロッカーアーム13のロッカーシャフト17が回動することを抑制することができる。これにより、ロッカーアーム13に余分な回り留め機構を設ける必要がないため、余分な部品点数の増加や加工工数の増加を抑制すると共に、動弁機構10を容易にシリンダヘッド6に取り付けることができるので、安価に製造することができる。
【0051】
よって、高圧室28のオリフィス27を開放する機構を単純化し、且つ油圧タペット14とソレノイドバルブ15をシリンダヘッド内に収めて、動弁機構10の全高を低くするために、ロッカーアーム13に対して油圧タペット14をロッカーシャフト17の軸方向のx方向にずらした位置に配置して、ソレノイドバルブ15を油圧タペット14の油リザーバー29側の上部からチェックボール23を押し下げるように構成しても、ロッカーアーム13のロッカーシャフト17が油圧タペット14を中心に回動することを回避することができる。
【0052】
また、オイルパイプ41に、ロッカーアーム13のロッカーシャフト17の回動を抑制する役割に加えて、油圧タペット14の油リザーバー29に作動油を供給する役割を持た
せることで、油圧タペット14の内外面に余計な通路を設ける必要がなくなり、加工が容易になるので、精度の高いものが安価に供給することができる。
【0053】
加えて、ベースブラケット42を介して動弁機構10をシリンダヘッド6に取り付けることができるので、シリンダヘッド6に複雑な加工を行う必要がなく、容易に取り付けることができる。また、シリンダヘッドカバー7と油圧タペット14が、及び油圧タペット14とロッカーアーム13とが直接接合されていないので、先に油圧タペット14をベースブラケット42を介してシリンダヘッド6に組み付けてから、ロッカーアーム13を取り付けることが可能となり、容易に組み付けることができる。
【0054】
更に、油圧タペット14とソレノイドバルブ15がシリンダヘッド6内に収まっているので、油圧タペット14の油リザーバー29にオイルを供給する油通路43をシリンダヘッドカバー7に設ける必要が無くなり、衝突時などにその油通路43からオイルが流出する可能性がなくなり、安全性を向上することができる。加えて、シリンダヘッドカバー7を侵食することが無くなるので、シリンダヘッドカバー7の遮音性を阻害せず、防音効果を向上することができる。
【0055】
なお、上記の実施の形態では、一つの気筒に対して吸気バルブ(機関弁)と排気バルブ(機関弁)をそれぞれ複数設けたマルチバルブエンジン(4バルブエンジン)を例に説明したが、本発明はこれに限定されずに、一つの気筒に対して吸気バルブと排気バルブを一つずつ設けたものにも適用することができる。
【0056】
また、カムシャフトについても、一つのカムシャフトで全てのバルブを開閉するSOHC(シングル・オーバーヘッド・カムシャフト)や、吸気側と排気側で別々のカムシャフトを用いるDOHC(ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト)に適用することができる。
【0057】
加えて、バルブ5がz方向に動作するものを例としたが、ペントルーフ型のように、バルブ5が鉛直方向に対して斜めに動作するものにも適用することができる。
【0058】
また、上記の実施の形態では、油圧タペット14とソレノイドバルブ15を組み合わせて、バルブ5を休止することができる構成としたが、本発明は、油圧タペット14のみのラッシュアジャスタとしての機能しか有さない動弁機構にも適用することができる。
【0059】
また、上記の実施の形態では、ロッカーシャフトブラケット40を介して、ロッカーシャフト17と油圧タペット14のピストン21に接合したが、本発明はこれに限定されずに、ロッカーシャフト17と油圧タペット14のピストン21とを直接接合してもよい。
【0060】
加えて、ロッカーシャフトブラケット40を、特願2013−83599号と同様に、複数のロッカーアーム13が一つのロッカーシャフト17を共有し、そのロッカーシャフト17を支持するように構成し、そのロッカーシャフトブラケットに一つの油圧タペット14とソレノイドバルブ15を設けるように構成してもよい。その場合に、オイルパイプ41が邪魔になるようであれば、上記の実施の形態の反対側に配置してもよい。
【0061】
また、上記の実施の形態では、回動抑制部材としてオイルを供給可能な中空管を用いたが、油圧タペット14の油リザーバー29にオイルを供給するパイプを別途設けて、油圧タペット14のピストン21の回動を抑制するためだけの部材を設けるように構成にしてもよい。
【0062】
また、回動抑制部材の形状は90度曲がったものに限定されない。例えば、円弧状に曲
がったものや、直線状のものでもよい。
【0063】
加えて、オイルパイプ41を油圧タペット14とベースブラケット42の両方に挿入したが、本発明はこれに限定されずに、例えば、オイルパイプ41をベースブラケット42に挿入せずに、シリンダヘッド6に直接挿入するように構成してもよい。
【0064】
また、上記の実施の形態では、ベースブラケット42に油圧タペット14を組み付けて、オイルパイプ41を挿入したが、油圧タペット14とオイルパイプ41を直接シリンダヘッド6に組み付けてもよい。
【0065】
加えて、上記の実施の形態では、組み立て時に、ベースブラケット42に油圧タペット14を組み付けてからシリンダヘッド6に動弁機構10を組み付けるようにしたが、ベースブラケット42のみを先にシリンダヘッド6に組み付けてから油圧タペット14などを組み付けてもよい。