【実施例】
【0041】
(A.固有粘度:IV)
ポリマー0.1gをo−クロロフェノール10mlに160℃、20分で溶解し、25℃で測定した。
【0042】
(B.ポリマー中のリン量、マンガン量の定量)
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて測定した。
【0043】
(C.ポリマー中のアルカリ金属量の定量)
原子吸光分析法((株)日立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレン−空気)にて定量を行った。
【0044】
(D.カルボン酸末端基量)
ポリエチレンテレフタレート組成物のチップを採取し、Mauliceらの方法によって測定した。ポリマーチップ2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mlに溶解し、遠心沈降後の上澄み液を採取した。該上澄み液を、N/20−NaOHメタノール溶液によって滴定し、カルボン酸末端基量として当量/ポリエステル1tの値で示した。
(文献 M.J.Maulice,F.Huizinga.Anal.Chim.Acta,22 p.363(1960))。
【0045】
(E.ジエチレングリコールの測定方法)
ポリマーチップ0.5gをモノエタノールアミン中でアミン分解し、遊離したジエチレングリコールをガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC−14A)で測定した。なお、数値はポリマー中のジエチレングリコールの重量%である。
【0046】
(F.ポリマー中の白色異物の定量)
固相重合前のポリマーのストランドもしくはチップを黒色台紙に5g計量し、オーツカ光学(株)製ラウンドタイプ照明拡大鏡(ENV−Bタイプ)を用いて白色異物をマーキングした。マーキングした白色異物について、走査型電子顕微鏡(SEM:(株)日立ハイテクノロジーズ製)観察を行い、最大直径が50μm以上の白色異物についてSEM−エネルギー分散型X線分光法(EDX:(株)堀場製作所製、EMAX−7000型)にて元素分析を行った。
リン元素、及びアルカリ金属元素が検出された白色異物について個数をカウントし、最大直径から下記換算式で白色異物体積を算出し、ポリエチレンテレフタレート組成物に対する白色異物総体積の体積分率を算出した。
白色異物体積=(4×π×(最大直径/2)
3)/3
但し、ポリエチレンテレフタレート組成物の比重は1.35g/cm
3とした。
【0047】
(G.カルボン酸末端基増加量:ΔCOOH)
ポリエチレンテレフタレート組成物のチップを155℃、水蒸気中で4時間処理した。
測定装置:PRESSURE COOKER 305SIII((株)HIRAYAMA製作所製)
カルボン酸末端基増加量(ΔCOOH)は処理前後のサンプルのカルボン酸末端基量を測定し、算出した。
【0048】
ΔCOOHが30eq/ton以下を合格とした。
【0049】
(H.フィッシュアイの測定)
偏光板を用いて、ポリエチレンテレフタレート組成物の二軸延伸フィルム(厚み50μm)のA4サイズあたりのフィッシュアイを目視でマーキングし、SEM−EDXによりリン元素、及びアルカリ金属元素の有無を確認した。リン元素、及びアルカリ金属元素を含むフィッシュアイの個数が0個/A4のフィルムを合格とした。
【0050】
(I.伸度保持率)
二軸延伸されたフィルムを用いて、(株)平山製作所製 高加速寿命試験装置 PC−305SIIIを用い、121℃、100%RHで湿熱処理を行い、処理前のサンプルに対する処理後の伸度保持率が50%となる時間を伸度半減期とした。
フィルムの伸度は、ASTM D882−12に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて、下記条件によって測定した。
・測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
・試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
・引張速度:200mm/分
・測定環境:温度23℃、湿度65%RH
太陽電池用途において適用可能と考えられる伸度半減期75時間以上を合格とした。
【0051】
(J.環状三量体の含有量)
押出成形前のチップ20mgをOCPに150℃で30分間溶解し、室温で冷却する。その後、内部標準として1、4−ジフェニルベンゼンを添加後、メタノール2mlを加えて、高速遠心分離機でポリマーを分離後、液層部を測定する。
装置:(株)島津製作所製LC−10ADvp
カラム:YMC−Pack ODS−2 150mm×4.6mm
カラム温度:40℃
流量:1.3ml/min
注入量:10μm
検出器:UV240nm
溶離液:A液(純水):B液(メタノール)=25:75 。
【0052】
(K.環状三量体の析出量)
二軸延伸ポリエステルフィルムを150℃のオーブン中で30分間静置した後、フィルム表面を面積が72cm
2になるよう枠で囲い、枠内を10mlのエタノールで洗浄し、溶液をすべて回収した。回収した溶液の365nmにおける吸光度を、(株)日立製作所製分光光度計U3010を用いて測定した。環状三量体の標準エタノール溶液との比較により環状三量体の析出量を求めた。
環状三量体の析出量が0.5mg/m
2未満を合格とした。
【0053】
(参考例1)リン酸二水素ナトリウムエチレングリコール溶液の調製方法
60℃に加熱したエチレングリコール10Lにリン酸二水素ナトリウム二水和物4000mmolを攪拌しながら添加し、濃度400mmol/Lのリン酸二水素ナトリウム二水和物エチレングリコール溶解を調製した。調製した溶液は、各実施例において所定の濃度に希釈後使用した。
【0054】
(実施例1)
ビスヒドロキシエチレンテレフタレート114重量部(ポリエチレンテレフタレート(PET)100重量部相当)があらかじめ仕込まれたエステル化反応装置(ES缶)にテレフタル酸86重量部、エチレングリコール37重量部からなるスラリーをスネークポンプにて3.5時間かけて供給し、反応物の温度を245℃〜255℃にコントロールしながらエステル化反応を行った。
【0055】
エステル化反応終了後、得られたビスヒドロキシエチレンテレフタレート114重量部(PET100重量部相当)を重合缶に移行し、酢酸マンガン4水和物を0.07重量部(5%エチレングリコール溶液、マンガン元素として2.8mol/ton相当)、三酸化アンチモン0.03重量部を添加した。その後、リン酸0.019重量部(1.9mol/ton相当)と、リン酸二水素ナトリウム2水和物0.027重量部(1.7mol/ton相当)を25mmol/Lのエチレングリコール溶液で周速4m/sで攪拌しているところに添加し、温度を255℃から280℃まで昇温しながら減圧し、重縮合反応を最終到達温度280℃、真空度0.1Torrで行った。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は固有粘度0.55dl/g、ジエチレングリコール0.8重量%、リン元素含有量3.1mol/ton、ナトリウム金属含有量1.7mol/ton、カルボン酸末端基19eq/ton、白色異物含有量が0ppm(得られたポリマーチップ5gについて拡大鏡(オーツカ光学(株)製ENV−B)による観察を行い、検出なし)と本発明の範囲内であった。このとき、リン元素含有量が添加量に対して減少しているのは、重縮合反応中に、エチレングリコールとともにリン化合物が系外へ飛散したためである。
【0056】
得られたポリエチレンテレフタレート組成物を150℃で4時間乾燥、結晶化させたのち、チップ温度230℃、真空度0.3Torr以下で11時間固相重合を行い、固有粘度0.80dl/g、カルボン酸末端基11eq/ton、ΔCOOHが25eq/tのポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物を、窒素雰囲気下で押出機に供給し、押出温度280℃で400メッシュのフィルターを通し、Tダイからキャスティングドラム(20℃)にて急冷、静電印加法にてシート化した後に、縦延伸温度90℃、縦延伸倍率3.8倍で縦延伸したのち、横延伸温度110℃、横延伸倍率3.8倍で延伸し、熱処理を200℃で3秒行い、実効倍率で面倍率13.2倍の二軸延伸フィルムを得た。結果を表1および表2に示す。
得られた二軸延伸フィルムは、白色異物起因のフィッシュアイが0個/A4であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0057】
(実施例2)
酢酸マンガン4水和物添加後に、エチレングリコールを11重量部(テレフタル酸成分に対して0.35モル倍相当)を添加する以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート組成物、および二軸延伸フィルムを得た。結果を表1および表2に示す。
得られたポリエチレンテレフタレート組成物は、エチレングリコールを添加した結果、カルボン酸末端基が9eq/ton、ΔCOOHが20eq/tonと実施例1に比べて耐加水分解性が向上しており、二軸延伸フィルムも太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0058】
(実施例3〜5、20 比較例1〜3、7)
リン酸アルカリ金属化合物の種類および添加量、周速、リン酸アルカリ金属化合物エチレングリコール溶液の濃度、固有粘度を変更する以外は参考例1、実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート組成物、二軸延伸フィルムを製膜した。結果を表1および表2に示す。
【0059】
実施例3においては、リン酸二水素ナトリウム2水和物の代わりにリン酸二水素カリウム無水物を使用したところ、白色異物が0.15ppmと増加する傾向にあるが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0060】
実施例4においては、周速を2m/sに変更したところ、白色異物が0.15ppmと増加する傾向にあるが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0061】
実施例5においては、リン酸二水素ナトリウム2水和物エチレングリコール溶液の濃度を30mmol/Lに変更したところ、白色異物が0.5ppmと増加する傾向にあるが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0062】
実施例20においては、リン酸二水素ナトリウム2水和物の代わりにリン酸二水素リチウム無水物を使用したところ、COOH末端基量が15eq/tonと増加する傾向にあり、伸度半減期も76hrと低下する傾向にあるが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0063】
比較例1においては、ポリエチレンテレフタレート組成物の固有粘度を0.63dl/gに変更した。固有粘度が本発明の範囲の下限を下回っているため、伸度半減期が低下し、耐加水分解性が不十分であった。
【0064】
比較例2においては、ポリエチレンテレフタレート組成物の固有粘度を0.95dl/gに変更した。固有粘度が本発明の上限を越えているため、伸度半減期が低下し、耐加水分解性が不十分であった。これは、固有粘度(分子量)が大きくなったために、フィルムの配向性が低下したためと推定する。
【0065】
比較例3においては、リン酸アルカリ金属化合物を添加しない以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は、ΔCOOHが41eq/tonと本発明の範囲外であり、耐加水分解性において不十分であった。
【0066】
比較例7においては、リン酸二水素ナトリウム2水和物エチレングリコール溶液の濃度を35mmol/Lに変更したところ、白色異物が1.4ppmと本発明の範囲外となり、二軸延伸フィルムのフィッシュアイも4個/A4検出され、光学特性において不十分であった。
【0067】
(実施例6)
リン酸二水素ナトリウム2水和物エチレングリコール溶液の濃度を5mmol/Lとし、リン酸二水素ナトリウム2水和物エチレングリコール溶液の添加方法を、テレフタル酸との混合スラリーとしてエステル化反応中に3.5時間かけて、周速25m/sで攪拌しているところに添加するように変更する以外は実施例2と同様にしてポリエチレンテレフタレート組成物、及び二軸延伸フィルムを得た。結果を表1および表2に示す。
【0068】
得られたポリエチレンテレフタレート組成物は、ΔCOOHが20eq/ton、白色異物も0ppmと本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0069】
(実施例7)
リン酸二水素ナトリウム2水和物エチレングリコール溶液を2.5mmol/L、12.5mmol/Lの2種類の濃度で調製する。2.5mmol/Lの溶液はテレフタル酸と混合スラリーとして周速25m/sで攪拌しているところに3.5時間かけて添加し、もう一方の12.5mmol/Lの溶液は、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート114重量部(PET100重量部相当)を重合缶に移行したあとに、実施例2と同様にして添加してエチレンテレフタレート組成物を得た。結果を表1および表2に示す。
【0070】
得られたエチレンテレフタレート組成物は、ΔCOOHが20eq/ton、白色異物も0ppmと本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0071】
(実施例8〜16、19,比較例4、6、8、9)
リン酸アルカリ金属化合物の添加量と添加方法、リン酸の添加量、助触媒である酢酸マンガンの添加量、固有粘度を変更する以外は実施例2と同様にしてポリエチレンテレフタレート組成物、及び二軸延伸フィルムを得た。結果を表1および表2に示す。
【0072】
実施例8においては、リン酸の添加量を変更した結果、リン酸/リン酸二水素ナトリウム2水和物のモル比が0.76に低減し、M/Pが1.43に増加したことにより、ΔCOOHが27eq/tonと実施例2と比較して耐加水分解性が低下する傾向にあるが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0073】
実施例9においては、リン酸の添加量を変更した結果、リン酸/リン酸二水素ナトリウム2水和物のモル比が1.47に増加したことにより、ΔCOOHが27eq/tonと実施例2と比較して耐加水分解性が低下する傾向にあるが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0074】
実施例10においては、リン酸二水素ナトリウム2水和物の添加量を変更した結果、リン酸/リン酸二水素ナトリウム2水和物のモル比が1.90、M/Pが1.34とそれぞれが増加したことにより、ΔCOOHが26eq/tonと実施例2と比較して耐加水分解性が低下する傾向にあるが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0075】
実施例11においては、リン酸二水素ナトリウム2水和物の添加量を本発明の上限値に近い2.8mol/tonに変更した結果、リン酸/リン酸二水素ナトリウム2水和物のモル比が0.68に低減したことにより、ΔCOOHが26eq/tonと実施例2と比較して耐加水分解性が低下する傾向にあり、リン酸二水素ナトリウム2水和物の添加量が本発明の範囲の上限に近くなったことから白色異物が0.1ppmに増加する傾向にあるが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0076】
また、リン酸二水素ナトリウム2水和物の添加量を本発明の上限値に近い値としたためエチレングリコール溶液としての添加量が増加した結果、ジエチレングリコールも増加する傾向にあった。
【0077】
実施例12においては、リン酸二水素ナトリウム2水和物、リン酸、酢酸マンガン4水和物の添加量を変更したことにより、リン元素量が1.7mol/tonと本発明の範囲の下限に近くなったことにより、ΔCOOHが26eq/tonと実施例2に比べて耐加水分解性が低下する傾向にあるが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。また、実施例10と比較すると、リン酸/リン酸二水素ナトリウムのモル比、およびM/Pが本発明のより好ましい範囲内であることから、伸度半減期は向上している。
【0078】
実施例13においては、リン酸二水素ナトリウム2水和物を2.8mol/ton、リン酸を2.8mol/ton添加した結果、リン元素の含有量が4.8mol/tonと本発明の上限に近く、M/Pが0.88と低いため、ΔCOOHが28eq/tonと増加傾向にあり、白色異物も0.1ppm検出されているが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0079】
実施例14においては、リン酸二水素ナトリウム2水和物を2.5mol/ton添加した結果、リン酸/リン酸アルカリ金属化合物の比が0.76になったため、ΔCOOHが28eq/tonと増加する傾向にあり、白色異物が0.1ppm検出されているが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0080】
実施例15においては、固有粘度を0,72dl/gに変更したことにより、固相重合時間が短くなり、カルボン酸末端基量13eq/tonと実施例2に比べて増加する傾向にあるが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0081】
実施例16においては、固有粘度を0.87dl/gに変更したことにより、固相重合時間が長くなり、カルボン酸末端基量が8eq/tonと減少する傾向にあった。フィルムとした場合は伸度半減期が低下する傾向にあったが本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。伸度半減期が低下した理由としては、分子量が大きくなったため、フィルムの配向度が低下したためと推定している。実施例19においては、固有粘度を0,67dl/gに変更したことにより、固相重合時間が短くなり、カルボン酸末端基量15eq/tonと実施例2に比べて増加する傾向にあるが、本発明の範囲内であり、太陽電池フロントシート用途等に供しても問題ないレベルであった。
【0082】
比較例4においては、実施例2と比較して、リン酸の添加量を変更したところ、リン元素量が0.9mol/tonと本発明の範囲外であるため、ΔCOOHが38eq/tonと耐加水分解性が不十分であった。
【0083】
比較例6においては、リン酸二水素ナトリウム2水和物エチレングリコール溶液の濃度を1.0mmol/Lとして添加したところ、ΔCOOHが33eq/tonと耐加水分解性が不十分であった。これは、リン酸二水素ナトリウム2水和物エチレングリコール溶液が薄すぎたため、反応系内に多量のエチレングリコールを持ち込むことになり、ジエチレングリコールが増加し、耐加水分解性が低下したと推定する。(ジエチレングリコール0.5重量%=全グリコール成分に対して1mol%に相当)
比較例8においては、リン酸二水素ナトリウムが3.5mol/tonと本発明の上限を越えているため、リン酸/リン酸二水素ナトリウム2水和物のモル比が0.54と低減し、伸度半減期が65時間と未達であり、白色異物が1.4ppmと本発明の範囲外となり、二軸延伸フィルムのフィッシュアイも5個/A4と耐加水分解性、光学特性ともに不十分であった。
【0084】
比較例9においては、リン量が5.7mol/tonと本発明の上限を越えており、リン酸/リン酸二水素ナトリウム2水和物のモル比が2.94に増加、M/Pが0.64に低減した結果、ΔCOOHが42eq/tonと耐加水分解性が不十分であった。
【0085】
(比較例5)
リン酸二水素ナトリウム2水和物エチレングリコール溶液の濃度を1mmol/Lとする以外は実施例6と同様にしてエステル化反応を行ったが、リン酸二水素ナトリウム2水和物エチレングリコール溶液濃度が本発明の範囲の下限以下と薄く、エチレングリコールの量がテレフタル酸対比で5.75モル倍と過剰になったため、精留塔温度の制御が不可となり、ポリエチレンテレフタレート組成物が得られなかった。結果を表1および表2に示す。
【0086】
(実施例17)
リン酸の代わりにエチルジエチルホスホノアセテートを用いる以外は実施例7と同様にしてポリエチレンテレフタレート組成物を得た。結果を表1および表2に示す。
【0087】
(実施例18)
シリカ粒子(富士シリシア化学(株):“サイリシア”(登録商標)350)をポリエチレンテレフタレート組成物に対して0.16重量%になるように5重量%エチレングリコールスラリーとして添加する以外は、実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート組成物を得た。結果を表1および表2に示す。
【0088】
(比較例10)
固相重合を実施しない以外は、実施例1と同様にして固有粘度0.8dl/gのポリエチレンテレフタレート組成物を得た。結果を表1および表2に示す。
【0089】
(実施例21)
実施例21においては、固有粘度0.7dl/gまで溶融重合を行い、チップ化した後、固相重合で固有粘度0.88dl/gとする以外は実施例2と同様にしてポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は、実施例2に比べて溶融重合反応終了時の固有粘度が高く、反応時間が長いため、ジエチレングリコールが1.2重量%と増加する傾向にあった。結果を表1および表2に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】