(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸入室、吐出室、斜板室及びシリンダボアが形成されたハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持された駆動軸と、前記駆動軸の回転によって前記斜板室内で回転可能な斜板と、前記駆動軸と前記斜板との間に設けられ、前記駆動軸の駆動軸心に直交する方向に対する前記斜板の傾斜角度の変更を許容するリンク機構と、前記シリンダボアに往復動可能に収納されたピストンと、前記斜板の回転により、前記傾斜角度に応じたストロークで前記ピストンを前記シリンダボア内で往復動させる変換機構と、前記斜板室内に配置され、前記傾斜角度を変更可能なアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御機構とを備え、
前記アクチュエータは、前記駆動軸に対して前記駆動軸心方向に移動可能に設けられる区画体と、前記駆動軸に設けられ、前記区画体と摺接しつつ前記駆動軸心方向に移動することにより、前記傾斜角度の変更を行う移動体と、前記区画体と前記移動体とにより区画され、前記吐出室からの冷媒を導入することによって前記移動体を移動させる制御圧室とを有し、
前記移動体は、前記斜板と連結される連結部を有し、
前記リンク機構は、前記斜板を揺動可能に支持する支持部を有し、
前記斜板は、前記区画体への当接により、前記区画体の移動を伴って前記傾斜角度が増大され、
前記連結部は、前記斜板が前記区画体へ当接する当接部を間に挟んで前記支持部と対向して配置され、
前記支持部から前記当接部が前記区画体と当接する箇所までの距離は、前記支持部から前記連結部までの距離よりも短いことを特徴とする容量可変型斜板式圧縮機。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例1、2について、図面を参照しつつ説明する。実施例1、2の圧縮機は容量可変型両頭斜板式圧縮機である。これらの圧縮機は、いずれも車両に搭載されており、車両用空調装置の冷凍回路を構成している。
【0020】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の圧縮機は、ハウジング1と、駆動軸3と、斜板5と、リンク機構7と、複数のピストン9と、一対のシュー11a、11bと、アクチュエータ13と、
図2に示す制御機構15とを備えている。
【0021】
図1に示すように、ハウジング1は、圧縮機の前方に位置するフロントハウジング17と、圧縮機の後方に位置するリヤハウジング19と、フロントハウジング17とリヤハウジング19との間に位置する第1、2シリンダブロック21、23と、第1、2弁形成プレート39、41とを有している。
【0022】
フロントハウジング17には、前方に向かって突出するボス17aが形成されている。このボス17a内には軸封装置25が設けられている。また、フロントハウジング17内には、第1吸入室27a及び第1吐出室29aが形成されている。第1吸入室27aはフロントハウジング17の内周側に位置している。第1吐出室29aは環状に形成されており、フロントハウジング17において、第1吸入室27aの外周側に位置している。
【0023】
さらに、フロントハウジング17には、第1フロント側連通路18aが形成されている。この第1フロント側連通路18aは、前端側が第1吐出室29aに連通しており、後端側がフロントハウジング17の後端に開いている。
【0024】
リヤハウジング19には、上記の制御機構15が設けられている。また、リヤハウジング19には、第2吸入室27b、第2吐出室29b及び圧力調整室31が形成されている。圧力調整室31はリヤハウジング19の中心部分に位置している。第2吸入室27bは環状に形成されており、リヤハウジング19において、圧力調整室31の外周側に位置している。第2吐出室29bも環状に形成されており、リヤハウジング19において、第2吸入室27bの外周側に位置している。
【0025】
さらに、リヤハウジング19には、第1リヤ側連通路20aが形成されている。この第1リヤ側連通路20aは、後端側が第2吐出室29bに連通しており、前端側がリヤハウジング19の前端に開いている。
【0026】
第1シリンダブロック21と第2シリンダブロック23との間には、斜板室33が形成されている。この斜板室33は、ハウジング1における前後方向の略中央に位置している。
【0027】
第1シリンダブロック21には、複数個の第1シリンダボア21aが周方向に等角度間隔でそれぞれ平行に形成されている。また、第1シリンダブロック21には、駆動軸3を挿通させる第1軸孔21bが形成されている。この第1軸孔21b内には、第1滑り軸受22aが設けられている。
【0028】
さらに、第1シリンダブロック21には、第1軸孔21bと連通して第1軸孔21bと同軸をなす第1凹部21cが形成されている。第1凹部21cは斜板室33と連通しており、斜板室33の一部となっている。第1凹部21cの前端には、第1スラスト軸受35aが設けられている。さらに、第1シリンダブロック21には、斜板室33と第1吸入室27aとを連通する第1連絡路37aが形成されている。また、第1シリンダブロック21には、後述する各第1吸入リード弁391aの最大開度を規制する第1リテーナ溝21eが凹設されている。
【0029】
さらに、第1シリンダブロック21には、第2フロント側連通路18bが形成されている。この第2フロント側連通路18bは、前端が第1シリンダブロック21の前端側に開いており、後端が第1シリンダブロック21の後端側に開いている。
【0030】
第2シリンダブロック23にも、第1シリンダブロック21と同様、複数個の第2シリンダボア23aが形成されている。各第2シリンダボア23aは、各第1シリンダボア21aと前後で対になっている。各第1シリンダボア21aと各第2シリンダボア23aとは同径に形成されている。
【0031】
また、第2シリンダブロック23には、駆動軸3を挿通させる第2軸孔23bが形成されている。また、この第2軸孔23内には、第2滑り軸受22bが設けられている。なお、上記の第1滑り軸受22a及び第2滑り軸受22bに換えて、それぞれ転がり軸受を設けても良い。
【0032】
また、第2シリンダブロック23には、第2軸孔23bと連通して第2軸孔23bと同軸をなす第2凹部23cが形成されている。第2凹部23cも斜板室33と連通しており、斜板室33の一部となっている。第2凹部23cと圧力調整室31とは、第2軸孔23bを介して区画されている。第2凹部23cの後端には、第2スラスト軸受35bが設けられている。さらに、第2シリンダブロック23には、斜板室33と第2吸入室27bとを連通する第2連絡路37bが形成されている。また、第2シリンダブロック23には、後述する各第2吸入リード弁411aの最大開度を規制する第2リテーナ溝23eが凹設されている。
【0033】
第2シリンダブロック23には、吐出ポート230と、合流吐出室231と、第3フロント側連通路18cと、第2リヤ側連通路20bと、吸入ポート330とが形成されている。吐出ポート230と合流吐出室231とは、互いに連通している。この合流吐出室231は、吐出ポート230を介して管路を構成する図示しない凝縮器と接続している。斜板室33は、吸入ポート330を介して管路を構成する図示しない蒸発器と接続している。
【0034】
第3フロント側連通路18cは、前端側が第2シリンダブロック23の前端に開いており、後端側が合流吐出室231に連通している。この第3フロント側連通路18cは、第1シリンダブロック21と第2シリンダブロック23とが接合することで、第2フロント側連通路18bの後端側と連通する。
【0035】
第2リヤ側連通路20bは、前端側が合流吐出室231に連通しており、後端側が第2シリンダブロック23の後端に開いている。
【0036】
第1弁形成プレート39は、フロントハウジング17と第1シリンダブロック21との間に設けられている。また、第2弁形成プレート41は、リヤハウジング19と第2シリンダブロック23との間に設けられている。
【0037】
第1弁形成プレート39は、第1バルブプレート390と、第1吸入弁プレート391と、第1吐出弁プレート392と、第1リテーナプレート393とを有している。第1バルブプレート390、第1吐出弁プレート392及び第1リテーナプレート393には、第1シリンダボア21aと同数の第1吸入孔390aが形成されている。また、第1バルブプレート390及び第1吸入弁プレート391には、第1シリンダボア21aと同数の第1吐出孔390bが形成されている。さらに、第1バルブプレート390、第1吸入弁プレート391、第1吐出弁プレート392及び第1リテーナプレート393には、第1吸入連通孔390cが形成されている。また、第1バルブプレート390及び第1吸入弁プレート391には、第1吐出連通孔390dが形成されている。
【0038】
各第1シリンダボア21aは、各第1吸入孔390aを通じて第1吸入室27aと連通する。また、各第1シリンダボア21aは、各第1吐出孔390bを通じて第1吐出室29aと連通する。第1吸入連通孔390cを通じて、第1吸入室27aと第1連絡路37aとが連通している。第1吐出連通孔390dを通じて、第1フロント側連通路18aと第2フロント側連通路18bとが連通している。
【0039】
第1吸入弁プレート391は、第1バルブプレート390の後面に設けられている。この第1吸入弁プレート391には、弾性変形により各第1吸入孔390aを開閉可能な第1吸入リード弁391aが複数形成されている。また、第1吐出弁プレート392は、第1バルブプレート390の前面に設けられている。この第1吐出弁プレート392には、弾性変形により各第1吐出孔390bを開閉可能な第1吐出リード弁392aが複数形成されている。第1リテーナプレート393は、第1吐出弁プレート392の前面に設けられている。この第1リテーナプレート393は、各第1吐出リード弁392aの最大開度を規制する。
【0040】
第2弁形成プレート41は、第2バルブプレート410と、第2吸入弁プレート411と、第2吐出弁プレート412と、第2リテーナプレート413とを有している。第2バルブプレート410、第2吐出弁プレート412及び第2リテーナプレート413には、第2シリンダボア23aと同数の第2吸入孔410aが形成されている。また、第2バルブプレート410及び第2吸入弁プレート411には、第2シリンダボア23aと同数の第2吐出孔410bが形成されている。さらに、第2バルブプレート410、第2吸入弁プレート411、第2吐出弁プレート412及び第2リテーナプレート413には、第2吸入連通孔410cが形成されている。また、第2バルブプレート410及び第2吸入弁プレート411には、第2吐出連通孔410dが形成されている。
【0041】
各第2シリンダボア23aは、各第2吸入孔410aを通じて第2吸入室27bと連通している。また、各第2シリンダボア23aは、各第2吐出孔410bを通じて第2吐出室29bと連通している。第2吸入連通孔410cを通じて、第2吸入室27bと第2連絡路37bとが連通している。第2吐出連通孔410dを通じて、第1リヤ側連通路20aと第2リヤ側連通路20bとが連通している。
【0042】
第2吸入弁プレート411は、第2バルブプレート410の前面に設けられている。この第2吸入弁プレート411には、弾性変形により各第2吸入孔410aを開閉可能な第2吸入リード弁411aが複数形成されている。また、第2吐出弁プレート412は、第2バルブプレート410の後面に設けられている。この第2吐出弁プレート412には、弾性変形により各第2吐出孔410bを開閉可能な第2吐出リード弁412aが複数形成されている。第2リテーナプレート413は、第2吐出弁プレート412の後面に設けられている。この第2リテーナプレート413は、各第2吐出リード弁412aの最大開度を規制する。
【0043】
この圧縮機では、第1フロント側連通路18a、第1吐出連通孔390d、第2フロント側連通路18b及び第3フロント側連通路18cによって、第1吐出連通路18が形成されている。また、第1リヤ側連通路20a、第2吐出連通孔410d及び第2リヤ側連通路20bによって、第2吐出連通路20が形成されている。
【0044】
また、この圧縮機では、第1、2連絡路37a、37b及び第1、2吸入連通孔390c、410cにより、第1、2吸入室27a、27bと斜板室33とが互いに連通している。このため、第1、2吸入室27a、27b内と斜板室33内とは、圧力がほぼ等しくなっている。そして、斜板室33には、吸入ポート330を通じて蒸発器を経た低圧の冷媒ガスが流入することから、斜板室33内及び第1、2吸入室27a、27b内の各圧力は、第1、2吐出室29a、29b内よりも低圧である。
【0045】
駆動軸3は、駆動軸本体30と第1支持部材43aと第2支持部材43bとで構成されている。駆動軸本体30の前端側には第1小径部30aが形成されており、駆動軸本体30の後端側には第2小径部30bが形成されている。この駆動軸本体30は、ハウジング1の前方側から後方側に向かって延びており、ハウジング1内において、軸封装置25内及び第1、2滑り軸受22a、22b内に挿通されている。これにより、駆動軸本体30、ひいては、駆動軸3は、駆動軸心O周りで回転可能にハウジング1に軸支されている。駆動軸本体30の前端はボス17a内に位置しており、後端は圧力調整室31内に突出している。
【0046】
また、この駆動軸本体30には、斜板5とリンク機構7とアクチュエータ13とが設けられている。これらの斜板5とリンク機構7とアクチュエータ13とは、それぞれ斜板室33内に配置されている。
【0047】
第1支持部材43aは、駆動軸本体30の第1小径部30aに圧入されており、第1軸孔21b内において第1滑り軸受22aとの間に位置している。また、この第1支持部材43aには、第1スラスト軸受35aと当接するフランジ430が形成されているとともに、後述する第2ピン47bが挿通される取付部(図示略)が形成されている。さらに、第1支持部材43aは、復帰ばね44aの前端が挿通されている。この復帰ばね44aには、駆動軸心O方向で、フランジ430側から斜板5側に向かって延びている。
【0048】
第2支持部材43bは、駆動軸本体30の第2小径部30bの後端側に圧入されており、第2軸孔23b内に位置している。第2支持部材43bの前端には、第2スラスト軸受35bと当接するフランジ431が形成されている。さらに、第2支持部材43bにおいて、フランジ431よりも後端側となる位置には、Oリング51a、51bが設けられている。
【0049】
図1に示すように、斜板5は環状の平板形状をなしており、前面5aと後面5bとを有している。前面5aは、斜板室33内において圧縮機の前方に面している。また、後面5bは、斜板室33内において圧縮機の後方に面している。
【0050】
斜板5はリングプレート45を有している。このリングプレート45は環状の平板形状に形成されており、中心部に挿通孔45aが形成されている。斜板5は、斜板室33内において挿通孔45aに駆動軸本体30が挿通されることにより、駆動軸3に取り付けられている。
【0051】
図3の(A)に示すように、リングプレート45において斜板5の後面5b側には、一対の当接
部53a、53bが形成されている。これらの当接部53a、53bは、斜板5の中心Cよりも下端U側に偏心した位置に設けられており、斜板5の中心Cを通る中心線Lを挟んで対称に配置されている。
【0052】
当接部53a、53bは、同一の形状であり、同図の(B)に示すように、リングプレート45から後方に向かって突出する略三角形状をなしている。
図1に示すように、当接部53a、53bは、斜板5の傾斜角度が第1所定傾角となることにより、後述する区画体13bに当接する。なお、当接部53a、53bの形状は適宜設計することが可能である。
【0053】
また、リングプレート45には、後述する連結アーム132と連結する連結部(図示略)が形成されている。
【0054】
図1に示すように、リンク機構7はラグアーム49を有している。ラグアーム49は、斜板室33内において、斜板5よりも前方に配置されており、斜板5と第1支持部材43aとの間に位置している。ラグアーム49は、前端側から後端側に向かって略L字形状となるように形成されている。また、ラグアーム49の後端側には、ウェイト部49aが形成されている。ウェイト部49aは、アクチュエータ13の周方向におよそ半周にわたって延びている。なお、ウェイト部49aの形状は適宜設計することが可能である。
【0055】
ラグアーム49の後端側は、第1ピン47aによってリングプレート45の一端側と連結されている。この第1ピン47aが本発明における支持部に相当する。これにより、ラグアーム49は、第1ピン47aの軸心を第1揺動軸心M1として、リングプレート45の一端側、すなわち斜板5に対し、第1揺動軸心M1周りで揺動可能に支持されている。この第1揺動軸心M1は、駆動軸3の駆動軸心Oと直交する方向に延びている。また、当接部53a、53bは、駆動軸3を間に挟んで第1ピン47a、ひいては、第1揺動軸心M1と対向している。
【0056】
ラグアーム49の前端側は、第2ピン47bによって第1支持部材43aと連結されている。これにより、ラグアーム49は、第2ピン47bの軸心を第2揺動軸心M2として、第1支持部材43a、すなわち駆動軸3に対し、第2揺動軸心M2周りで揺動可能に支持されている。この第2揺動軸心M2は第1揺動軸心M1と平行に延びている。これらのラグアーム49、第1、2ピン47a、47bによって、本発明におけるリンク機構7が構成されている。
【0057】
ウェイト部49aは、ラグアーム49の後端側、つまり、第1揺動軸心M1を基準として第2揺動軸心M2とは反対側に延在して設けられている。このため、ラグアーム49が第1ピン47aによってリングプレート45に支持されることで、ウェイト部49aはリングプレート45の溝部45bを通って、リングプレート45の後面、つまり斜板5の後面5b側に位置する。そして、斜板5が駆動軸心O周りに回転することにより発生する遠心力が斜板5の後面5b側でウェイト部49aにも作用することとなる。
【0058】
この圧縮機では、斜板5と駆動軸3とがリンク機構7によって連結されることにより、斜板5は駆動軸3と共に回転することが可能となっている。また、ラグアーム49の両端がそれぞれ第1揺動軸心M1及び第2揺動軸心M2周りで揺動することにより、斜板5は、最大傾角から
図4に示す最小傾角まで傾斜角度を変更することが可能となっている。
【0059】
図1に示すように、各ピストン9は、それぞれ前端側に第1頭部9aを有しており、後端側に第2頭部9bを有している。各第1頭部9aは各第1シリンダボア21a内を往復動可能に収納されている。これらの各第1頭部9aと第1弁形成プレート39とにより、各第1シリンダボア21a内にそれぞれ第1圧縮室21dが区画されている。各第2頭部9bは各第2シリンダボア23a内を往復動可能に収納されている。これらの各第2頭部9bと第2弁形成プレート41とにより、各第2シリンダボア23a内にそれぞれ第2圧縮室23dが区画されている。
【0060】
また、各ピストン9の中央には係合部9cが形成されている。各係合部9c内には、半球状のシュー11a、11bがそれぞれ設けられている。これらのシュー11a、11bによって斜板5の回転がピストン9の往復動に変換されるようになっている。シュー11a、11bが本発明における変換機構に相当している。こうして、斜板5の傾斜角度に応じたストロークで、第1、2頭部9a、9bがそれぞれ第1、2シリンダボア21a、23a内を往復動することが可能となっている。
【0061】
ここで、この圧縮機では、斜板5の傾斜角度の変更に伴いピストン9のストロークが変化することで、第1頭部9aと第2頭部9bの各上死点位置が移動する。具体的には、斜板5の傾斜角度が小さくなるに伴って、第1頭部9aの上死点位置よりも第2頭部9bの上死点位置が大きく移動する。
【0062】
図5に示すように、アクチュエータ13は、斜板室33内に配置されている。アクチュエータ13は、斜板室33内において、斜板5よりも後方側に位置しており、第2凹部23c内に進入することが可能となっている。このアクチュエータ13は、移動体13aと区画体13bと制御圧室13cとを有している。制御圧室13cは、移動体13aと区画体13bとの間に形成されている。
【0063】
移動体13aは、後壁130と、周壁131と、一対の牽引アーム132とを有している。各牽引アーム132が本発明における連結部に相当する。後壁130は移動体13aの後方に位置しており、駆動軸心Oから離れる方向で径方向に延びている。また、後壁130には、駆動軸本体30の第2小径部30bを挿通する挿通孔130aが貫設されている。挿通孔130a内にはOリング51cが設けられている。周壁131は、後壁130の外周縁と連続し、移動体13aの前方に向かって延びている。各牽引アーム132は、共に周壁131の前端に形成されており、移動体13aの前方に向かって突出している。これらの後壁130、周壁131及び各牽引アーム132により、移動体13aは有底の円筒状を呈している。
【0064】
区画体13bは、移動体13aの内径とほぼ同径の円板状に形成されている。区画体13bは中心に挿通孔133が貫設されている。挿通孔133内にはOリング51dが設けられている。また、区画体13bの外周面にはOリング51eが設けられている。
【0065】
区画体13bとリングプレート45との間には、傾角減少ばね44bが設けられている。具体的には、この傾角減少ばね44bの後端は、区画体13bに当接するように配置されており、傾角減少ばね44bの前端は、リングプレート45に当接するように配置されている。
【0066】
移動体13aの挿通孔130a及び区画体13bの挿通孔133には、駆動軸本体30の第2小径部30bが挿通されている。これにより、移動体13aは、第2凹部23cに収納された状態で、斜板5を間に挟んでリンク機構7と対向した状態で配置されている。
【0067】
一方、区画体13bは、斜板5よりも後方で移動体13a内に配置されており、その周囲が周壁131によって取り囲まれた状態となっている。この区画体13bについても、駆動軸3と共に回転可能となっているとともに、斜板室33内において、駆動軸心O方向に移動することが可能となっている。このように、移動体13a及び区画体13bが駆動軸心O方向に移動するに当たり、移動体13aの周壁131の内周面と、区画体13bの外周面とが摺動する。
【0068】
そして、区画体13bが周壁131によって取り囲まれることにより、移動体13aと区画体13bとの間に制御圧室13cが形成されている。この制御圧室13cは、後壁130と周壁131と区画体13bとによって斜板室33から区画されている。
【0069】
また、第2小径部30bには、サークリップ55が嵌合されている。このサークリップ55は、制御圧室13c内に位置しており、第2小径部30bにおいて、後述する径孔3bの周囲に配置されている。このサークリップ55が本発明における移動量規制部に相当する。なお、サークリップ55に換えて、例えば、第2小径部30bにフランジを設けることにより、このフランジを本発明における移動量規制部としても良い。
【0070】
各牽引アーム132と、リングプレート45における下端U側とは、第3ピン47cによって連結されている。この第3ピン47cも本発明における連結部に相当する。これにより、斜板5は、第3ピン47cの軸心を作用軸心M3として、作用軸心M3周りで移動体13aに揺動可能に支持されている。この作用軸心M3は、第1、2揺動軸心M1、M2と平行に延びている。こうして、移動体13aは斜板5と連結された状態となっている。そして、移動体13aが斜板5と連結されることにより、区画体13bと斜板5とが対向する。また、この圧縮機において、連結部としての各牽引アーム132及び第3ピン47cは、当接部53a、53bを間に挟んで支持部
としての第1ピン47aと対向して配置されている。
【0071】
図1に示すように、第2小径部30b内には、後端から前方に向かって駆動軸心O方向に延びる軸路3aと、軸路3aの前端から径方向に延びて駆動軸本体30の外周面に開く径路3bとが形成されている。軸路3aの後端は圧力調整室31に連通している。一方、径路3bは、制御圧室13cに連通している。これにより、制御圧室13cは、径路3b及び軸路3aを通じて、圧力調整室31と連通している。
【0072】
駆動軸本体30の前端にはねじ部3cが形成されている。このねじ部3cを介して駆動軸3は、図示しないプーリ又は電磁クラッチと連結されている。
【0073】
図2に示すように、制御機構15は、抽気通路15aと給気通路15bと制御弁15cとオリフィス15dと、軸路3aと、径路3bとを有している。
【0074】
抽気通路15aは、圧力調整室31と第2吸入室27bとに接続されている。この抽気通路15aと軸路3aと径路3bとによって、制御圧室13cと圧力調整室31と第2吸入室27bとが連通している。給気通路15bは、圧力調整室31と第2吐出室29bとに接続されている。この給気通路15bと軸路3aと径路3bとによって、制御圧室13cと圧力調整室31と第2吐出室29bとが連通している。また、給気通路15bには、オリフィス15dが設けられている。
【0075】
制御弁15cは抽気通路15aに設けられている。この制御弁15cは、第2吸入室27b内の圧力に基づき、抽気通路15aの開度を調整することが可能となっている。
【0076】
この圧縮機では、
図1に示す吸入ポート330に対して蒸発器に繋がる配管が接続されるとともに、吐出ポート230に対して凝縮器に繋がる配管が接続される。凝縮器は配管及び膨張弁を介して蒸発器と接続される。これらの圧縮機、蒸発器、膨張弁、凝縮器等によって車両用空調装置の冷凍回路が構成されている。なお、蒸発器、膨張弁、凝縮器及び各配管の図示は省略する。
【0077】
以上のように構成された圧縮機では、駆動軸3が回転することにより、斜板5が回転し、各ピストン9が第1、2シリンダボア21a、23a内を往復動する。このため、第1、2圧縮室21d、23dがピストンストロークに応じて容積変化を生じる。このため、この圧縮機では、第1、2圧縮室21d、23dへ冷媒ガスを吸入する吸入行程と、第1、2圧縮室21d、23dにおいて冷媒ガスが圧縮される圧縮行程と、圧縮された冷媒ガスが第1、2吐出室29a、29bに吐出される吐出行程等とが繰り返し行われることとなる。
【0078】
第1吐出室29aに吐出された冷媒ガスは、第1吐出連通路18を経て合流吐出室231に至る。同様に、第2吐出室29bに吐出された冷媒ガスは、第2吐出連通路20を経て合流吐出室231に至る。そして、合流吐出室231に至った冷媒ガスは、吐出ポート230から配管を介して凝縮器に吐出される。
【0079】
そして、これらの吸入行程等が行われる間、斜板5、リングプレート45、ラグアーム49及び第1ピン47aからなる回転体には斜板5の傾斜角度を小さくするピストン圧縮力が作用する。そして、斜板5の傾斜角度が変更されれば、ピストン9のストロークの増減による容量制御を行うことが可能である。
【0080】
具体的には、制御機構15において、
図2に示す制御弁15cが抽気通路15aの開度を大きくすれば、圧力調整室31内の圧力、ひいては制御圧室13c内の圧力が第2吸入室27b内の圧力とほぼ等しくなる。つまり、制御圧室13c内と斜板室33内との差圧である可変差圧が小さくなる。このため、斜板5に作用するピストン圧縮力によって、
図4に示すように、アクチュエータ13では、移動体13aが斜板室33の前方側に向かって移動する。
【0081】
これにより、この圧縮機では、ピストン9を介して斜板5に作用する圧縮反力によって、斜板5は傾斜角度が減少する方向に付勢され、作用軸心M3において、各牽引アーム132を通じて移動体13aが斜板室33の前方側へ牽引される。このため、この圧縮機では、復帰ばね44aの付勢力に抗しつつ、斜板5の下端U側が作用軸心M3周りで時計回り方向に揺動する。また、ラグアーム49の後端が第1揺動軸心M1周りで反時計回り方向に揺動するとともに、ラグアーム49の前端が第2揺動軸心M2周りで反時計回り方向に揺動する。このため、ラグアーム49が第1支持部材43aのフランジ430に接近する。これらにより、斜板5は、作用軸心M3を作用点とし、第1揺動軸心M1を支点として揺動する。このため、駆動軸3の駆動軸心Oに対する斜板5の傾斜角度が減少し、ピストン9のストロークが減少する。このため、この圧縮機では、駆動軸3の1回転当たりの吐出容量が小さくなる。なお、
図4に示す斜板5の傾斜角度がこの圧縮機における最小傾角である。
【0082】
ここで、この圧縮機では、ウェイト部49aに作用した遠心力も斜板5に付与される。このため、この圧縮機では、斜板5が傾斜角度を減少させる方向に変位し易くなっている。
【0083】
また、斜板5の傾斜角度が減少することにより、リングプレート45が復帰ばね44aの後端と当接する。これにより、復帰ばね44aが弾性変形し、復帰ばね44aの後端がフランジ430に近接する。
【0084】
ここで、この圧縮機では、斜板5の傾斜角度が小さくなり、ピストン9のストロークが減少することにより、第2頭部9bの上死点位置が第2弁形成プレート41から遠隔する。このため、この圧縮機では、斜板5の傾斜角度がゼロ度に近づくことで、第1圧縮室21d側では僅かに圧縮仕事が行われる一方、第2圧縮室23d側では圧縮仕事が行われなくなる。
【0085】
一方、
図2に示す制御弁15cが抽気通路15aの開度を小さくすれば、第2吐出室29b内の冷媒ガスの圧力によって圧力調整室31内の圧力が上昇し、制御圧室13c内の圧力が上昇することから、可変差圧が大きくなる。これにより、
図1に示すように、アクチュエータ13では、斜板5に作用するピストン圧縮力に抗して、移動体13aが斜板室33の後方側に向かって移動する。
【0086】
これにより、この圧縮機では、作用軸心M3において、各牽引アーム132を通じて移動体13aが斜板5の下端U側を斜板室33の後方側へ牽引する。このため、この圧縮機では、斜板5の下端U側が作用軸心M3周りで反時計回り方向に揺動する。また、ラグアーム49の後端が第1揺動軸心M1周りで時計回り方向に揺動するとともに、ラグアーム49の前端が第2揺動軸心M2周りで時計回り方向に揺動する。このため、ラグアーム49が第1支持部材43aのフランジ430から離間する。これらにより、斜板5は、作用軸心M3及び第1揺動軸心M1をそれぞれ作用点及び支点とし、上述の傾斜角度が小さくなる場合と反対方向に揺動し、斜板5の下端U側が区画体13bに近接する。このため、駆動軸3の駆動軸心Oに対する斜板5の傾斜角度が増大する。このため、この圧縮機では、ピストン9のストロークが増大して、駆動軸3の1回転当たりの吐出容量が大きくなる。この
図1に示す斜板5の傾斜角度がこの圧縮機において機械的に定まる最大傾角より小さい第1所定傾角である。
【0087】
このように、斜板5の傾斜角度が第1所定傾角となることにより、この圧縮機では、各当接部53a、53bが区画体13bに当接する。これにより、この圧縮機では傾斜角度の第1所定傾角を好適に規制することができる。
【0088】
ここで、各当接部53a、53bが斜板5の中心Cよりも下端U側に偏心した位置に設けられているため、各当接部53a、53bは、区画体13bの外周側、つまり、挿通孔133よりも遠隔した位置において当接する。
【0089】
そして、
図5に示すように、この圧縮機では、吐出容量を最大まで急激に増大させた際、斜板5が傾斜角度の第1所定傾角を超えて、オーバーシュートして、最大傾角まで増大させようとし得る。これにより、各当接部53a、53bは、区画体13bに強く当接するとともに、区画体13bを強く押圧する。
【0090】
この点、この圧縮機では、区画体13bが駆動軸心O方向に移動可能である。これにより、上記のように、各当接部53a、53bが区画体13bと強く当接したり、区画体13bを強く押圧したりしても、区画体13bは、各当接部53a、53bから遠隔するように駆動軸心O方向で後方に移動する。つまり、第1所定傾角を超えて最大傾角まで増大する際、傾斜角度は、各当接部53a、53bの押圧による区画体13bの移動を伴う。一方、後方に移動した区画体13は、サークリップ55に当接することにより、必要以上に後方へ移動することが規制される。
【0091】
こうして、この圧縮機では、各当接部53a、53bが区画体13bに当接した際の衝撃や各当接部53a、53bからの押圧を好適に緩和することができる。これにより、この圧縮機では、各当接部53a、
53bが区画体13bに当接した際の振動の発生を抑制することができ、斜板5、区画体13b及び各当接部53a
、53b等の損傷を防止することができる。また、この圧縮機では、騒音を抑制することもできる。
【0092】
したがって、実施例1の圧縮機は、アクチュエータ13によって斜板5の傾斜角度を変更する圧縮機において、耐久性が高く、かつ静粛性に優れている。
【0093】
特に、この圧縮機では、区画体13bが駆動軸心O方向に移動するため、斜板5と区画体13bとを近接させて配置しても、斜板5と区画体13bの間に当接部53a、53bを配置するための空間を好適に確保することができる。このため、この圧縮機では軸長を縮小できる。
【0094】
また、この圧縮機では、駆動軸本体30の第2小径部30bにサークリップ55が設けられており、制御圧室13c内に位置している。このため、この圧縮機では、サークリップ55に区画体13bが当接することにより、区画体13bの駆動軸心O方向への移動量が規制されている。このため、この圧縮機では、区画体13が駆動軸心O方向で必要以上に後方に移動することが防止され、径孔3bが制御圧室13cの外部、すなわち、斜板室33内に露出することが防止されている。
【0095】
ここで、サークリップ55は、制御圧室13c内において、径孔3cの周囲に配置されている。このため、この圧縮機では、制御圧室13c内にサークリップ55を設けるための専用の空間を確保する必要がなく、制御圧室13cの小型化が可能となっている。このため、これによっても、この圧縮機では軸長を縮小できる。
【0096】
また、この圧縮機では、区画体13bが駆動軸心O方向に移動可能であることから、傾斜角度の変更を行うに当たって移動体13aが区画体13bと摺接しつつ移動する際において、移動体13aが区画体13bに対して移動し易い。このため、この圧縮機では、傾斜角度を好適に変更することが可能となっている。
【0097】
(実施例2)
図6に示すように、実施例2の圧縮機では、実施例1の圧縮機における当接部53a、53bに換えて、一対の当接部57a、57bが設けられている。
図7に示すように、これらの当接部57a、57bは、リングプレート45において斜板5の後面5b側に形成されている。これらの当接部57a、57bは、斜板5の中心Cの近傍、すなわち、斜板5の下端Uよりも中心Cに近い側に設けられている。これらの当接部57a、57bは、実施例1の圧縮機における当接部53a、53bと同様、中心Cを通る中心線Lを挟んで対称に配置されている。また、この圧縮機において、連結部としての各牽引アーム132及び第3ピン47cは、当接部57a、57bを間に挟んで支持部
としての第1ピン47aと対向して配置されている。
【0098】
当接部57a、57bは、同一の形状であり、同図の(B)に示すように、リングプレート45から後方に向かって突出する略三角形状をなしている。当接部57a、57bは、実施例1の圧縮機における当接部53a、53bよりも大型に形成されている。
【0099】
図8に示すように、各当接部57a、57bは、斜板5の傾斜角度が第2所定傾角となることにより、区画体13bに当接する。ここで、この第2所定傾角とは、斜板5における傾斜角度の最小傾角(
図6参照)よりも大きく、かつ、斜板5における傾斜角度の機械的に定まる最大傾角(
図9参照)よりも小さい角度である。この圧縮機における他の構成は実施例1の圧縮機と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0100】
この圧縮機では、
図8に示すように、斜板5の傾斜角度が第2所定傾角となることにより、区画体13bに当接する。そして、
図9に示すように、区画体13bと当接した各当接部57a、57bは、傾斜角度が第2所定傾角から最大傾角まで変位する際、区画体13bを押圧する。これにより、この圧縮機では、傾斜角度が第2所定傾角から最大傾角まで変位するまでの間、各当接部57a、57bが区画体13bと当接したまま、区画体13bを押圧する状態となり、区画体13bは駆動軸心O方向で後方に移動することとなる。こうして、この圧縮機では、第2所定傾角から最大傾角まで増大する際、傾斜角度は、各当接部57a、57bの押圧による区画体13bの移動を伴う。
【0101】
この圧縮機では、上記のように、制御圧室13c内の圧力を増大させる、すなわち、可変差圧を増大させることよって、斜板5の傾斜角度を増大させる。そして、
図10のグラフに示すように、この圧縮機では、最小傾角から第2所定傾角まで傾斜角度が増大する際に必要な可変差圧の増大量に比べて、第2所定傾角から最大傾角まで傾斜角度を増大する際に必要な可変差圧の増大量は大きくなる。つまり、この圧縮機では、第2所定傾角から最大傾角まで傾斜角度を増大させるためには、制御圧室13c内の圧力をより増大させて、可変差圧をより増大させる必要がある。
【0102】
ここで、この圧縮機において、各当接部57a、57bを設けず、区画体13bを駆動軸心O方向に移動不可能に第2小径部30bに設けた場合、同図の破線で示すように、第2所定傾角から最大傾角まで傾斜角度を変位させるために必要な可変差圧の増加速度が低下する。このため、第2所定傾角における吐出容量から最大吐出容量までの間で、所望の傾斜角度で制御すること困難となる。
【0103】
この点、この圧縮機では、上記のように、第2所定傾角から各当接部57a、57bが区画体13bを押圧し、各当接部57a、57bが区画体13bに当接したまま最大傾角まで至る。このため、この圧縮機では、同図の実線で示すように、第2所定傾角から最大傾角まで傾斜角度を変位させるために必要な可変差圧を好適に増大させることができる。つまり、この圧縮機では、傾斜角度が最小傾角から最大傾角となるまで、可変差圧の増大量が滑らかとなる。これにより、この圧縮機では、車両のエンジン等のトルク制御を容易にしつつ、吐出容量を好適に変化させることが可能となっている。この圧縮機における他の作用は実施例1の圧縮機と同様である。
【0104】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0105】
例えば、当接部53a、53bのいずれか一方のみをリングプレート45に設けても良い。同様に、当接部57a、57bのいずれか一方のみをリングプレート45に設けても良い。
【0106】
さらに、制御機構15について、給気通路15bに対して制御弁15cを設けるとともに、抽気通路15aにオリフィス15dを設ける構成としても良い。この場合には、制御弁15cによって、給気通路15bの開度を調整することが可能となる。これにより、第2吐出室29b内の冷媒ガスの圧力によって制御圧室13bを迅速に高圧とすることができ、迅速に吐出容量を増大させることが可能となる。