特許第6179495号(P6179495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179495
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】成形用型枠装置
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/04 20060101AFI20170807BHJP
   B28B 7/16 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B28B7/04
   B28B7/16 D
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-199830(P2014-199830)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-68379(P2016-68379A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2015年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小岩 智樹
(72)【発明者】
【氏名】津野 禎一郎
(72)【発明者】
【氏名】北川 喜一
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−293713(JP,A)
【文献】 特開平10−156812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 7/00 − 7/46
B29C 33/00 − 33/76
B29C 39/00 − 39/44
B29C 59/00 − 59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する2つのオモテ側仕上がり面に起伏のある意匠が付与される断面略L字形のパネルを製造するための成形用型枠装置であって、
オモテ側型枠と、ウラ側型枠と、小端押え型枠とを具備し、
前記オモテ側型枠には、前記オモテ側仕上がり面を成形するための互いに直交する2つのオモテ側成形面が設けられ、
前記2つのオモテ側成形面には前記意匠に応じた起伏が加工され、
前記2つのオモテ側成形面が、それぞれ水平面に対し40〜50度傾斜した状態で、オモテ側保持部材を介して基台上に据え付けられる一方、
前記ウラ側型枠には、前記オモテ側仕上がり面に相対するウラ側仕上がり面を成形するためのウラ側成形面と、前記ウラ側成形面の片側縁からオモテ側に向けて延出する片側の小端成形面とが設けられ、
前記両ウラ側成形面および片側の小端成形面は、隙間なく連続するようにウラ側保持部材を介して一体的に結合され、
前記ウラ側保持部材が前記オモテ側型枠にヒンジ連結されることにより、
該ヒンジを支軸にして、前記ウラ側型枠が、前記ウラ側成形面を前記オモテ側成形面に相対させ、かつ、前記片側の小端成形面を前記オモテ側成形面の片側縁に密着させる閉型位置と、前記ウラ側成形面および片側の小端成形面を前記オモテ側成形面から離反させる開型位置との間で回動し得るように保持され、
前記ウラ側型枠を閉型位置に固定すると、前記オモテ側成形面の他側縁と前記ウラ側成形面の他側縁との間に形成される開口から前記オモテ側型枠と前記ウラ側型枠との間に成形材料を流し込むことができ、
前記小端押え型枠は、成形材料を流し込む前記開口の一部を塞ぐ小端平滑化プレートを有し、
前記小端平滑化プレートは、前記開口の一部を塞ぐ位置にて前記開口のオモテ側過半部を塞ぐことのできる幅と、該位置における最上縁が前記開口の最上縁と同等以上の高さになる厚みを有するように形成され、
前記成形材料を前記開口の端面まで充填すると、該端面を他側の小端とする断面略L字形のパネルが成形されるように構成された成形用型枠装置。
【請求項2】
請求項1に記載の成形用型枠装置において、
前記小端押え型枠は、成形材料を流し込む前記開口に近接して前記オモテ側型枠に取り付けられ、
前記小端平滑化プレートが小端押え型枠保持部材を介して前記オモテ側型枠にヒンジ連結されることにより、該ヒンジを支軸にして、前記小端平滑化プレートが、前記開口の端面のオモテ側過半部を塞ぐ閉型位置と、前記開口の端面全体を開放する開型位置との間で回動し得るように保持されたことを特徴とする成形用型枠装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の成形用型枠装置において、
前記小端平滑化プレートは、ウレタンゴムまたはニトリルゴムからなる矩形断面の板材からなり、前記開口に臨む表面が平滑に形成されていることを特徴とする成形用型枠装置。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の成形用型枠装置において、
前記ウラ側型枠のウラ側成形面と片側の小端成形面とが接続する角部に空気抜き孔が設けられたことを特徴とする成形用型枠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁材に利用されるプレキャストコンクリート製パネル等の成形用型枠装置に関し、特に、建物外壁の出隅部分等に取り付けられる断面略L字形のコーナー用パネル等を製造するのに適した成形用型枠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、プレファブ住宅のための外壁材として、あらかじめ工場でキャスティング製法により製造される軽量気泡コンクリート製の外壁パネルを開発し、実用化している。かかる外壁パネルは、ポルトランドセメントに珪砂、フライアッシュ、マグネシア、無機繊維、特殊混和材、気泡形成剤等を混錬した成形材料を製品1枚ずつの成形型用型枠に打設して成形される。成形材料の打設時には、メッシュ状に溶接された防錆鉄筋が成形用型枠の内側に敷き込まれて一体化される。成形材料は、成形用型枠に打設された状態で一定時間スチーム養生され、さらに脱型後、高温高圧環境下でオートクレーブ養生されることにより硬化反応が促進されて、優れた強度を発揮する。成形材料に混錬される気泡形成剤は、成形材料が硬化反応するときにコンクリートの内部に無数の独立気泡を生成する。その独立気泡によって外壁パネルの耐水性や防湿性が確保され、また、防耐火性能や断熱性能も向上する。
【0003】
成型用型枠のオモテ側成形面には、あらかじめ天然石材や煉瓦等を模した緻密な起伏が加工されており、その成形型によって成形される外壁パネルのオモテ側仕上がり面には、例えば図7に示すような、(a)古煉瓦パターン、(b)割石パターン、(c)小端積みパターン、(d)砂岩パターン、(e)ボーダーパターン、(f)大谷石スクラッチパターンといった彫りの深い重厚な質感の意匠が付与される。
【0004】
特許文献1には、かかる外壁パネルの製造に際して、成形用型枠の内側に鉄筋および補強用の鋼製フレームを精度よく位置決めすることができ、かつ、硬化後の外壁パネルを成形用型枠から容易に脱型できるようにした外壁パネルの製造方法および製造装置に関する発明が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、前記製造方法の改良案として、特に小端(こば:板状パネルの長手方向に沿う狭い側面)にも起伏模様を施すようにした外壁パネルを成形用型枠から無理なく脱型するための方法と、それに用いる脱型用治具の発明が開示されている。
【0006】
図8は、かかる外壁パネルを鉄骨材からなる建物躯体に建て込む場合の標準的な壁構造を例示示している。建物外壁の平坦な部分に配置される一般部用パネルP1は、幅が数十cm程度で長さ(建て込んだときの高さ)が1〜3m程度の長矩形状に成形されている。一般部用パネルP1のウラ側成形面には、リップ溝形鋼からなる補強フレーム91が2本ずつ、コンクリート内に埋設された状態で、一般部用パネルP1の長手方向(建て込んだ時の上下方向)に沿って取り付けられている。そして、建物躯体の鉄骨柱92、93に取り付けた専用金具94を、この補強フレーム91に係止するなどして、一般部用パネルP1が建物躯体に固定される。
【0007】
建物外壁の出隅部分には、断面略L字形のコーナー用パネルP2が、図示しない適宜の取付金具(例えば、本出願人の出願による特許文献3に開示された出隅用パネル取付金具等)を介して建て込まれる。例示形態にかかるコーナー用パネルP2は、互いに直交する2つのオモテ側仕上がり面が略等幅(例えば13〜20cm程度)となるように形成され、両方のオモテ側仕上がり面に同パターンの起伏を有する意匠が付与されている。
【0008】
一般部用パネルP1、P1同士が隣接する目地、および一般部用パネルP1とコーナー用パネルP2とが隣接する目地は、いずれもシーリング材95を充填して止水される。外壁パネルのオモテ側仕上がり面に彫の深い意匠パターンが形成されているため、シーリング材95は、意匠パターンの起伏における底面よりも奥側に納まる底目地として仕上げられる。
【0009】
図9および図10は、本出願人が従来、前述のようなコーナー用パネルP2の製造に使用している成形用型枠装置1の概略的な構成を示す。この成形用型枠装置1は、コーナー用パネルP2の互いに直交する2つのオモテ側仕上がり面を形成するためのオモテ側型枠2と、オモテ側仕上がり面に相対して互いに直交する2つのウラ側仕上がり面を形成するためのウラ側型枠3とを組み合わせて構成されている。
【0010】
オモテ側型枠2は、互いに直交する2つのオモテ側成形面21(21a、21b)を有しており、その一方(21b)を略水平に、他方(21a)を略垂直にした姿勢で、適宜の基台11上に固定されている。各オモテ側成形面21は、硬質のウレタンゴム等からなる型板材211を鋼板からなる下地板212に張着するなどして構成され、その型板材211に彫の深い起伏模様が加工されている。
【0011】
ウラ側型枠3は、互いに直交する2つのウラ側成形面31(31a、31b)と、その一方から連続的に延設された片側の小端成形面32とを有している。それらの成形面31、32は鋼板等を利用して平滑に形成され、その背面側に適宜のウラ側保持部材33が結合されている。ウラ側保持部材33の端縁部は、オモテ側型枠2が固定される基台11の端縁部近傍にヒンジ12を介して連結されている。このヒンジ12を支軸にして、ウラ側型枠3が、ウラ側成形面31をオモテ側成形面21に相対させた閉型位置(図9)と、ウラ側成形面31をオモテ側成形面21から大きく離反させた開型位置(図10)との間で回動し得るように保持される。
【0012】
コーナー用パネルP2の成形に際しては、図11に示すように、オモテ側型枠2の内側に鉄筋Rを仮止めした上でウラ側型枠3を閉型位置に固定し、略垂直に保持されて互いに相対するオモテ側成形面21とウラ側成形面31との間に形成される上部の開口13から、成形用型枠装置1の内側に成形材料Cを流し込んで、該開口13の上端面と同じ高さまで充填する。充填された成形材料Cの天面は、成形材料C自体の流動性によって自然に平坦化され、この天面がコーナー用パネルP2における他側の小端(こば)となる。
【0013】
成形材料Cを充填する際には、成形材料Cが型枠内の隅々までゆきわたるように、基台11の下方に設置したバイブレータ(図示せず)等を用いて成形用型枠装置1全体に振動を加え、成形材料C中に含まれる気泡を抜く。そして、成形材料Cが硬化した後、ウラ側型枠3を開いて成形品を脱型する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−246722号公報
【特許文献2】特開2001−293717号公報
【特許文献3】特開2012−092595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述のような成形用型枠装置1を用いたコーナー用パネルP2のキャスティング製法では、図11に示すように、オモテ側型枠2の互いに直交する2つのオモテ側成形面21a、21bのうち、略水平に設置されるオモテ側成形面21bの近傍は気泡が無理なく上方に抜けるため、該成形面21bによって成形される仕上がり面も美麗な仕上がりになる。しかしながら、略垂直に設置されるオモテ側成形面21aの近傍は、該成形面21aに形成された起伏の高低差が大きいと気泡が上方へ抜けにくくなって、硬化後の仕上がり面に直径1〜2mm程度のピンホールが数多く残ってしまう。ピンホールをそのままにしておくと外壁の美観が損なわれるので、現状では成形品を脱型した後、オモテ側仕上がり面にセメントペースト等からなる補修材を塗り込むなどしてピンホールを埋める作業を行っている。
【0016】
また、かかるキャスティング製法では、ウラ側型枠3の小端成形面32によって成形される片側の小端は高い精度で平滑に仕上がるものの、成形材料Cの流し込み口(上部の開口13)に形成される他側の小端(充填される成形材料Cの天面)は、成形材料C自体の流動性による自然な平坦化に任せているだけなので、平滑とまではいえない粗面の状態で硬化する。ところが、図8に示したように、外壁パネル同士が隣接する目地は、オモテ側仕上がり面に形成された起伏よりも奥側にシーリング材95が充填される底目地になるので、外壁パネルの小端においてシーリング材95に隠れない範囲(少なくとも起伏の高さに相当する範囲)は、オモテ側仕上がり面と同程度の美麗さで仕上げられていることが望ましい。そこで、現状では、成形材料Cの流し込み口に形成される他側の小端についても、脱型後に自動切削加工機またはグラインダ等を用いて平滑に研磨する補修作業を行っている。
【0017】
プレキャストコンクリートからなる外壁パネルは、それ自体が相当に重いため、前述のような脱型後の補修作業は非常に手間がかかり、外壁パネルの生産性を著しく低下させることになる。特許文献2に開示された成形用型枠も、互いに直交する2つのオモテ側成形面を有してはいるが、縦向きのオモテ側成形面によって成形されるオモテ側仕上がり面にピンホールが残る問題を有効に解決し得るものではない。
【0018】
また、硬化後に研磨や補修が施された仕上がり面は、平滑な成形面によってはじめから美麗に成形された仕上がり面とは明らかに質感が相違するので、それらが外壁の出隅部分や目地部分に露出すると建物の外観も損なわれる。
【0019】
そこで、本発明は、前述のようなコーナー用パネルP2をはじめとする、特にオモテ側の直交2面に起伏模様が付与される断面略L字形のパネルの成形用型枠に関して、起伏の高低差が大きい場合でも仕上がり面にピンホールが残りにくく、脱型後の補修作業を大幅に省力化することのできる装置構成を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前述の目的を達成するため、本発明の成形用型枠装置は、互いに直交する2つのオモテ側仕上がり面に起伏のある意匠が付与される断面略L字形のパネルを製造するための成形用型枠装置であって、オモテ側型枠と、ウラ側型枠と、小端押え型枠とを具備し、前記オモテ側型枠には、前記オモテ側仕上がり面を成形するための互いに直交する2つのオモテ側成形面が設けられ、前記2つのオモテ側成形面には前記意匠に応じた起伏が加工され、
前記2つのオモテ側成形面が、それぞれ水平面に対し40〜50度傾斜した状態で、オモテ側保持部材を介して基台上に据え付けられる一方、前記ウラ側型枠には、前記オモテ側仕上がり面に相対するウラ側仕上がり面を成形するためのウラ側成形面と、前記ウラ側成形面の片側縁からオモテ側に向けて延出する片側の小端成形面とが設けられ、前記両ウラ側成形面および片側の小端成形面は、隙間なく連続するようにウラ側保持部材を介して一体的に結合され、前記ウラ側保持部材が前記オモテ側型枠にヒンジ連結されることにより、該ヒンジを支軸にして、前記ウラ側型枠が、前記ウラ側成形面を前記オモテ側成形面に相対させ、かつ、前記片側の小端成形面を前記オモテ側成形面の片側縁に密着させる閉型位置と、前記ウラ側成形面および片側の小端成形面を前記オモテ側成形面から離反させる開型位置との間で回動し得るように保持され、前記ウラ側型枠を閉型位置に固定すると、前記オモテ側成形面の他側縁と前記ウラ側成形面の他側縁との間に形成される開口から前記オモテ側型枠と前記ウラ側型枠との間に成形材料を流し込むことができ、前記小端押え型枠は、成形材料を流し込む前記開口の一部を塞ぐ小端平滑化プレートを有し、前記小端平滑化プレートは、前記開口の一部を塞ぐ位置にて前記開口のオモテ側過半部を塞ぐことのできる幅と、該位置における最上縁が前記開口の最上縁と同等以上の高さになる厚みを有するように形成され、前記成形材料を前記開口の端面まで充填すると、該端面を他側の小端とする断面略L字形のパネルが成形される、との構成を採用する。
【0021】
この発明では、オモテ側型枠が、互いに直交する2つのオモテ側成形面を両面とも斜め上向きにした姿勢で適宜の基台上に据え付けられているので、型枠内に充填された成形材料中の気泡が、オモテ側成形面に加工された起伏の近傍においても、その起伏に邪魔されることなく円滑に上方へと抜ける。その結果、オモテ側成形面によって成形される2つのオモテ側仕上がり面は、どちらもピンホールの残らない美麗な仕上がりになって、脱型後の補修作業が大幅に省力化される。
【0022】
オモテ側型枠と対をなすウラ側型枠は、適宜のウラ側保持部材を介して前記基台にヒンジ連結され、開閉自在に保持される。ウラ側型枠を閉型位置に固定すると、ウラ側型枠に設けられたウラ側成形面がオモテ側成形面に相対するとともに、ウラ側型枠に設けられた片側の小端成形面がオモテ側成形面の片側縁に密着して、隙間のない成形空間が形成される。
【0023】
なお、本発明によって成形されるパネルの断面形状に関し、そのオモテ側は互いに直交する2つの面の接続箇所に若干の面取り部分や曲面部分が設けられていてもよい。ウラ側も、オモテ側と同様に、互いに直交する2つの面からなるものでもよいし、直交2面の接続箇所(ウラ側から見た入隅部分)に面取り部分や曲面部分が設けられていてもよい。また、ウラ側は全体が平坦であってもよいし、補強用のリブや溝、金具を取り付けるための凹部や切欠、孔部等が適宜形成されていてもよい。オモテ側とウラ側とを接続する両側の小端についても、オモテ側およびウラ側に直交する概ね平坦な面であればよく、その面にリブや溝、切欠、孔部等が適宜形成されていてもよい。つまり、本発明によって製造されるパネルは、互いに直交する2つのオモテ側仕上がり面と、該オモテ側仕上がり面に実質的に相対する適宜形状のウラ側仕上がり面と、両側の概ね平坦な小端とを具備することを前提としており、このような主旨でパネルの断面形状を「略L字形」と記載している。
【0024】
また、この発明においては、互いに直交する2つのオモテ側成形面が、それぞれ斜め上向きに保持されることとなるが、2つのオモテ側成形面の傾斜角度は必ずしも等しくなくてよいので、実用的には、成形用型枠装置の全体的形状や起伏の具体的形状に応じ、45度を基準としてプラスマイナス5度(40〜50度)程度の範囲内で設定されるものとする。
【0025】
オモテ側型枠とウラ側型枠とによって囲まれた成形空間には、オモテ側成形面の他側縁とウラ側成形面の他側縁との間に形成される開口から、流動性を有する成形材料が流し込まれる。この成形材料については、従来と同様の軽量気泡コンクリート材料のほか、キャスティング製法に適した流動性および硬化性を有するセラミック系材料や樹脂系材料、また、それらの材料に強化繊維等を混錬したものなどをパネルの用途等に応じて適宜利用することができる。
【0026】
成形材料中に混ざり込んだ空気を型枠外に抜き出すため、本発明はさらに、前記ウラ側型枠のウラ側成形面と片側の小端成形面とが接続する角部に空気抜き孔が設けられた、との構成を採用する。この角部が、ウラ側型枠を閉じたときに形成される成形空間の奥半部(成形材料を流し込む開口とは反対側の部分)で最も高い位置になる場合には、この位置に空気抜き孔を設けることにより、ウラ側成形面および片側の小端成形面に気泡が残りにくくなって、成形材料が成形空間の奥半部の隅々まで密実に充填される。
【0027】
この成形用型枠装置によると、型枠内に成形材料を流し込むための開口の端面が、成形品における他側の小端となる。ただし、該開口の端面は水平面に対し略45度傾斜して設けられるので、開口の端面一杯まで成形材料を充填しようとしても、成形材料が開口の端面からこぼれ出てしまうことになる。そこで、本発明は、前記開口の端面を好適に成形するための構成として、前記小端押え型枠が、成形材料を流し込む前記開口の一部を塞ぐ小端平滑化プレートを有し、前記小端平滑化プレートは、前記開口の一部を塞ぐ位置にて前記開口のオモテ側過半部を塞ぐことのできる幅と、該位置における最上縁が前記開口の最上縁と同等以上の高さになる厚みを有するように形成される、との構成を採用する。
【0028】
小端平滑化プレートの断面寸法をこのように設定することにより、他側の小端におけるオモテ側の過半部が補修を要しない平滑な仕上がりになり、補修を要するウラ側の未半部も、断面略三角形状に増し打ちされる余剰部分を研磨するだけの簡単な補修で足りることになる。
【0029】
さらに、本発明は、前記開口の端面を好適に成形するための付加的構成として、前記小端押え型枠は、成形材料を流し込む前記開口に近接して前記オモテ側型枠に取り付けられ、前記小端平滑化プレートが小端押え型枠保持部材を介して前記オモテ側型枠にヒンジ連結されることにより、該ヒンジを支軸にして、前記小端平滑化プレートが、前記開口の端面のオモテ側過半部を塞ぐ閉型位置と、前記開口の端面全体を開放する開型位置との間で回動し得るように保持された、との構成を採用する。
【0030】
型枠内に成形材料を充填する際(あるいは充填の直後)に、小端押え型枠を閉型位置に動かし、小端平滑化プレートによって開口のオモテ側過半部を塞ぐことにより、開口の端面からこぼれ出る成形材料の量を減らすことができる。
【0031】
前記小端平滑化プレートは、ウレタンゴムまたはニトリルゴムからなる矩形断面の板材により形成されていると、型枠の長さ全体にわたって、オモテ側型枠の開口の端面に対する密着度が向上するので、より好ましい。また、前記小端平滑化プレートの前記開口に臨む表面が平滑に形成されていると、前記開口の端面によって成形されるパネルの他側の小端のうち、少なくともそのオモテ側の過半部は、小端平滑化プレートの表面(他側の小端成形面)によって平滑に仕上げられる。したがって、少なくともこのオモテ側過半部については、脱型後の研磨や補修が不要になり、この部分が露出する目地の美観も良好になる。
【発明の効果】
【0032】
上述のように構成される本発明の成形用型枠装置は、オモテ側型枠が、互いに直交する2つのオモテ側成形面をそれぞれ水平面に対し略45度傾斜させた姿勢で基台上に据え付けられているので、型枠内に充填された成形材料中の気泡が、該オモテ側成形面の近傍においても、該オモテ側成形面に加工された起伏に邪魔されることなく円滑に上方へと抜ける。したがって、該オモテ側成形面によって成形される2つのオモテ側仕上がり面は、いずれもピンホールの残らない美麗な仕上がりになって、脱型後の補修作業が大幅に省力化される。
【0033】
さらに、この成形用型枠装置において、ウラ側型枠のウラ側成形面と片側の小端成形面とが接続する角部に空気抜き孔を設けた構成では、ウラ側成形面および片側の小端成形面にも気泡が残りにくくなって、成形材料が成形空間の隅々まで密実に充填される。
【0034】
さらに、この成形用型枠装置において、成形材料を流し込むための開口に近接してオモテ側型枠に小端押え型枠を取り付け、成形材料の充填時に小端平滑化プレートによって該開口の端面のオモテ側略半部を塞ぐように構成した場合には、該開口の端面からこぼれ出る成形材料を減らして、他側の小端におけるオモテ側の略半部を平滑に仕上げることができるので、脱型後の研磨や補修が一層、省力化される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施の形態にかかる成形用型枠装置の閉型状態における外観透視図である。
図2】前記成形用型枠装置の開型状態における外観透視図である。
図3】前記成形用型枠装置の閉型状態における幅方向断面図である。
図4】前記成形用型枠装置の開型状態における幅方向断面図である。
図5】前記成形用型枠装置を閉型状態にして成形材料を充填した状態を示す幅方向拡大断面図である。
図6】前記成形用型枠装置によって成形されるパネルの脱型後の幅方向断面図である。
図7】外壁パネルのオモテ側仕上がり面に形成される意匠パターンの例を示す部分拡大図である。
図8】外壁パネルを鉄骨材からなる建物躯体に建て込む場合の標準的な構造を示す部分断面斜視図である。
図9】従来の成形用型枠装置の閉型状態における概略的な構成を示す図である。
図10】従来の成形用型枠装置の開型状態における概略的な構成を示す図である。
図11】従来の成形用型枠装置に成形材料を充填したときの問題点を説明する幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0037】
図1図5は本発明の実施の形態にかかる成形用型枠装置10の構成を示し、図6は該成形用型枠装置10によって成形されるパネルの脱型後の断面形状を示している。例示の成形用型枠装置10は、建物外壁の出隅部分に取り付けられる断面略L字形の軽量気泡コンクリート製コーナー用パネル(図6図8参照:以下、単に「パネル」という。)Pを、キャスティング製法によって製造するための成形用型枠装置10である。
【0038】
そのパネルPは、互いに直交する2つのオモテ側仕上がり面Pa、Paと、該オモテ側仕上がり面Pa、Paに相対して互いに直交する2つのウラ側仕上がり面Pb、Pbと、それらオモテ側仕上がり面Paおよびウラ側仕上がり面に直交してオモテ側とウラ側とを接続する片側の小端Pcおよび他側の小端Pdと、長さ方向における両端面に形成される略L字形の小口(図示せず)とを有するもので、2つのオモテ側仕上がり面Paには天然石材や煉瓦を模した彫の深い意匠が付与される。そして、例示の成形用型枠装置10は、オモテ側型枠20と、ウラ側型枠30と、小口型枠40と、小端押え型枠50とを組み合わせて構成されている。
【0039】
(オモテ側型枠)
オモテ側型枠20には、パネルPのオモテ側仕上がり面Paを成形するための互いに直交する2つのオモテ側成形面201、201が設けられている。それらのオモテ側成形面201は、例えばウレタンゴムやニトリルゴムなど機械的強度や耐油性に優れた合成ゴム材料からなる型板材202に、オモテ側仕上がり面Paの意匠に応じた起伏を加工して形成されている。型板材202は、例えば断面L字形に屈曲された鋼板等からなる適宜の下地板203に張着されている。
【0040】
オモテ側型枠20は、その長軸(パネルPを建て込んだときの上下方向)を水平に寝かせた姿勢で、適宜の形鋼材や鋼板等を組み合わせて構成されたオモテ側保持部材204に保持され、そのオモテ側保持部材204が適宜の基台101上に固定されている。基台101は、例えば平坦なテーブル状をなし、パネルPの製造ライン上に設けられた適宜の搬送装置等(図示せず)に載せられる。基台101の下方には加振装置としてのバイブレータ(図示せず)等が設置されている。
【0041】
本発明の最大の要部は、このオモテ側型枠20に設けられる2つのオモテ側成形面201、201が、それぞれ水平面に対し略45度傾斜して上を向いた姿勢で、基台101上に据え付けられる点にある。ただし、オモテ側成形面201を保持するオモテ側保持部材204の詳細な形状や部材構成は、実用的な強度や安定性を損なわない限り、本発明においては特に限定しない。また、オモテ側成形面201の傾斜角度については、成形用型枠装置10の全体的形状や起伏の具体的形状に応じ、45度を基準としてプラスマイナス5度(40〜50度)程度の範囲内で適宜、増減されてもよい。
【0042】
(ウラ側型枠)
ウラ側型枠30には、オモテ側仕上がり面Paに相対するパネルPのウラ側仕上がり面Pbを成形するためのウラ側成形面301と、ウラ側成形面301の片側縁からオモテ側に向けて延出する片側の小端成形面302とが設けられている。それらウラ側成形面301および片側の小端成形面302は、例えば表面の平滑な鋼板を山谷状に折曲するなどして、隙間なく連続するように形成されている。該鋼板の外側には、適宜の形鋼材や鋼板等を組み合わせて構成されたウラ側保持部材303が取り付けられ、これを介してウラ側成形面301および片側の小端成形面302が一体的に結合されている。
【0043】
例示の形態では、ウラ側成形面301がオモテ側成形面201と同様に、互いに直交する2つの面によって構成されているが、直交2面の接続箇所(ウラ側から見た入隅部分)に、例えば該直交2面に対して斜めになる面(面取り部分)や、円弧状の断面を有する曲面等が設けられていてもよい。また、該直交2面はそれぞれ凹凸のない平坦面となされているが、両面あるいは片面に補強用のリブや溝、金具を取り付けるための凹部や切欠、孔部等が適宜形成されていてもよい。
【0044】
ウラ側保持部材303は、その片側縁近傍に設けられたヒンジ102を介して、オモテ側保持部材204の片側縁近傍に連結されている。このヒンジ102を支軸にして、ウラ側型枠30が、ウラ側成形面301をオモテ側成形面201に相対させる閉型位置(図1図3)と、オモテ側成形面201から大きく離反させる開型位置(図2図4)との間で、適宜の角度(例示の形態では約135度)だけ回動し得るように保持される。ウラ側型枠30における片側の小端成形面302も、閉型位置においてはオモテ側型枠20におけるオモテ側成形面201の片側縁に直交する姿勢で該片側縁に隙間なく密着し、開型位置においては、オモテ側型枠20におけるオモテ側成形面201の片側縁から離反する。
【0045】
このウラ側型枠30を閉型位置にすると、ウラ側成形面301と片側の小端成形面302とが山形に接続して、その角部が最も高い位置にくる。この角部には、直径数mm程度の空気抜き孔304が、ウラ側型枠30の長軸方向に沿って適宜間隔で形成されている。
【0046】
(小口型枠)
小口型枠40は、パネルPの両小口(パネルPの長さ方向における両端面:図示せず)を成形するための略L字ブロック状の部材であり、その小口成形面401は平滑に形成されている。小口型枠40は、その外側に設けられたヒンジ103を介して、オモテ側型枠20の両端部近傍にそれぞれ連結されている。そのヒンジ103を支軸にして、小口型枠40が、小口成形面401をオモテ側型枠20の長軸に直交させる閉型位置(図1)と、小口成形面401をオモテ側型枠20における片側のオモテ側成形面201と平行になるように外方へ倒す開型位置(図2)との間で、略90度回動し得るように保持される。
【0047】
(小端押え型枠)
小端押え型枠50は、ウラ側型枠30を閉型位置に固定したときの他側縁とオモテ側成形面201の他側縁との間に形成される一定幅の細長い開口104(この開口104が成形材料の流し込み口となる。)の一部を塞ぐための小端平滑化プレート501を有する。小端平滑化プレート501は、例えばウレタンゴムやニトリルゴムなど、機械的強度や耐油性に優れた合成ゴム材料からなる矩形断面の細長い厚肉板材を用いて形成されている。その板材の長さはオモテ側型枠20およびウラ側型枠30の長さと同程度で、板材の幅は開口104の幅よりもやや小さく、板材の厚さは開口104の幅の半分程度となされ、開口104に臨む表面(他側の小端成形面)は平滑に形成されている。
【0048】
小端平滑化プレート501は、平坦な鋼板等からなる下地板503に張着され、さらにその下地板503が、例えばアーム状に屈曲した小端押え型枠保持部材504に結合されている。そして、小端押え型枠保持部材504の一端が、オモテ側保持部材204における開口104の近傍にヒンジ105を介して連結されている。このヒンジ105を支軸にして、小端押え型枠50が、開口104の端面のオモテ側略半部を塞ぐ閉型位置(図1図3)と、開口104の端面全体を開放する開型位置(図2図4)との間で回動し得るように保持される。
【0049】
(閉型位置での固定)
パネルPの製造に際しては、オモテ側型枠20の内側に鉄筋(図示せず)を仮止めした上で、前述した各部の型枠を図2および図4に示す開型状態から閉じ合わせて、図1および図3に示す閉型状態となす。具体的には、まず小口型枠40を立て起こして、オモテ側型枠20の長さ方向における両端面を塞ぐ。次いで、ウラ側型枠30を回動させて、そのウラ側成形面301をオモテ側型枠20のオモテ側成形面201に相対させる。これにより、ウラ側型枠30における片側の小端成形面302も、オモテ側型枠20におけるオモテ側成形面201の片側縁に直交する姿勢で該片側縁に隙間なく密着し、それらの内側にパネルPの成形空間が形成される。ウラ側型枠30の回動操作は手動で行うが、このとき、操作の安全のために、適宜のハンドル部材(図示せず)等をウラ側型枠30に取り付け、あるいは係着するなどしてもよい。
【0050】
閉じ合わせたオモテ側型枠20とウラ側型枠30とは、適宜の固定手段を用いて互いに固定される。例示の形態では、鋼棒材231の端部に締結ナット232を螺合するなどして構成された固定ロッド23が、オモテ側型枠20の両端部にヒンジ234を介して連結されている。一方、ウラ側型枠30の両端部には、固定ロッド23を挟み込んで締結ナット232を係合させることのできる固定ロッド受け部24が設けられている。この固定ロッド23を利用して、閉型位置にあるウラ側型枠30とオモテ側型枠20とを連結することにより、ウラ側型枠30とオモテ側型枠20とが、それらの間に小口型枠40を挟み込んだ状態で互いに固定される。
【0051】
この状態で、オモテ側型枠20におけるオモテ側成形面201の他側縁と、ウラ側型枠30におけるウラ側成形面301の他側縁との間に、両型枠の長さ全体にわたる一定幅の開口104が形成される。この開口104が成形材料の流し込み口となり、この開口104の端面一杯まで成形材料を充填すると、該端面が成形後のパネルPにおける他側の小端Pdになる。
【0052】
ただし、この開口104の端面は水平面に対し略45度傾斜しているので、開口104の端面一杯まで成形材料を充填しようとしても、成形材料が開口104の端面からこぼれ出てしまう。そこで、成形材料の充填時、あるいは充填の直後に、小端押え型枠50を閉型位置まで回動させて、開口104の下半部(オモテ側の略半部)を塞ぐようにする。
【0053】
閉型位置に回動された小端押え型枠50は、適宜の固定手段を用いてオモテ側型枠20に固定される。例示の形態では、小端平滑化プレート501を張着した下地板503の下面に、略円筒状の支持スリーブ251が適宜間隔で複数個、取り付けられている。支持スリーブ251の軸長は、小端平滑化プレート501の厚さよりも僅かに小さくなされている。さらに、下地板503にも、支持スリーブ251の軸心に合致する貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0054】
一方、オモテ側型枠20におけるオモテ側保持部材204には、オモテ側成形面201の他側縁から該成形面に直交して外方に張り出すオモテ側縁フランジ205が設けられている。このオモテ側縁フランジ205は、その上面を開口104の端面と面一に揃えて、オモテ側型枠20の長さ全体にわたり略一定幅で連続するように設けられている。このオモテ側縁フランジ205には、小端押え型枠50の閉型位置において支持スリーブ251の軸心に合致する貫通孔206が形成され、さらにその下面に固定ナット207が固着されている。
【0055】
そして、下地板503の上方から、鍔付きの六角長頭部252を有する固定ボルト253を貫通孔および支持スリーブ251に挿入し、該固定ボルト253の雄ネジ部をオモテ側縁フランジ205の固定ナット207に締結すると、小端押え型枠50が、オモテ側型枠20との間に複数個の支持スリーブ251を挟み込んだ状態で、オモテ側型枠20に固定される。
【0056】
ここで、支持スリーブ251の軸長が小端平滑化プレート501の厚さよりも僅かに小さくなされているので、その差分寸法だけ小端平滑化プレート501が圧縮され、オモテ側成形面201の他側縁に略均一の強さで押し当てられる。このように、適度な厚みを有する合成ゴム製の小端平滑化プレート501を開口104の片側に略均一の適正な強さで押し当てることにより、開口104と小端平滑化プレート501との当接箇所を、開口104の長さ全体にわたって隙間なく封止することができる。
【0057】
このように構成すれば、成形材料を充填する際に成形材料が開口104よりも下方にこぼれ出るのを防ぐことができる。また、成形後のパネルPにおける他側の小端Pdは、少なくともそのオモテ側の略半部が補修を要しない平滑な仕上がりになるので、目地に充填されるシーリング材のオモテ側に露呈しても美観が損なわれる心配がない。また、補修を要するウラ側の略半部も、断面略三角形状に増し打ちされる余剰部分Peを自動切削加工機やグラインダ等によって平坦に研磨するだけの簡単な補修で足り、しかもその研磨部分は目地のシーリング材によって隠れるので、補修作業を簡略化することができる。
【0058】
さらに、成形材料を開口104の端面一杯まで充填する際の作業性を高め、また脱型後の補修を少しでも容易にするための詳細な構成として、小端平滑化プレート501の幅及び厚さに関する推奨値を次のように設定する。すなわち図5に示すように、小端平滑化プレート501の幅R(開口104に面する実質的な有効幅)は、開口104のオモテ側略半部、より好ましくは過半部を塞ぐことのできる寸法とし、小端平滑化プレート501の厚さTは、小端押え型枠50の閉型位置における最上縁が開口104の最上縁と同等以上の高さになる寸法とする。言い換えると、小端平滑化プレート501の幅Rが開口104の幅Sの1/2以上であり、小端平滑化プレート501の幅Rと厚さTとの合算寸法が開口104の幅Sよりも若干大きくなる、というものである。このような寸法設計により、成形材料を、開口104の周囲からこぼれ出さないようにして開口104の端面一杯まで充填するのが容易になる。また、成形後のパネルPにおける他側の小端Pdのオモテ側の過半部を平滑に仕上げることができるので、脱型後にウラ側の未半部(余剰部分Pe)を研磨する作業も一層、容易になる。
【0059】
成形材料を充填する際には、基台101の下方に設置した加振装置(図示せず)を駆動して成形用型枠装置10全体に振動を加え、成形材料中に含まれる気泡を流し込み口(開口104)および空気抜き孔304から上方に抜いて、成形材料を成形空間の隅々まで隙間なく充填する。そして、成形材料の養生後、小端押え型枠50、ウラ側型枠30、小口型枠40の順に型枠を開くと、断面略L字形に成形されたパネルPが得られる。小端押え型枠50、ウラ側型枠30および小口型枠40はいずれも、オモテ側型枠20に対してヒンジ連結されているので、脱型作業も容易である。
【0060】
このような成形用型枠装置10を利用すると、例えばオモテ側仕上がり面Paに最大10mm程度の彫の深い起伏模様が付与されるようなパネルPでも、そのオモテ側仕上がり面Paに脱型後の補修をほとんど要しない成形品質で美麗に、かつ効率的に製造することができる。
【0061】
なお、例示した実施の形態は一例であり、これと同様の作用効果が得られる範囲において、装置各部の詳細な構造や形状は適宜改変可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、断面略L字形の成形品をキャスティング製法によって成形するための型枠装置として、成形品の用途、材質、サイズ等に限定されることなく、様々な成形品の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 成形用型枠装置
101 基台
102 ヒンジ
103 ヒンジ
104 開口
105 ヒンジ
20 オモテ側型枠
201 オモテ側成形面
204 オモテ側保持部材
30 ウラ側型枠
301 ウラ側成形面
302 片側の小端成形面
303 ウラ側保持部材
304 空気抜き孔
40 小口型枠
401 小口成形面
50 小端押え型枠
501 小端平滑化プレート
303 下地板
504 小端押え型枠保持部材
P パネル
Pa オモテ側仕上がり面
Pb ウラ側仕上がり面
Pc 片側の小端
Pd 他側の小端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11