【実施例】
【0034】
以下、本明細書で開示する電流遮断装置及び蓄電装置の実施例について説明する。なお、本明細書で開示する蓄電装置では、電流遮断装置以外の構成は様々なものを使用することができる。また、以下に説明する蓄電装置は、例えば車両に搭載され、モータに電力を供給することができる。
【0035】
蓄電装置の一例として、密閉型の二次電池、密閉型のキャパシタ等が挙げられる。二次電池の一例として、比較的高容量で大電流の充放電が行われる種類の電池、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池等の二次電池が挙げられる。なお、二次電池の電極組立体の一例として、セパレータを介して対向する電極対(正極電極及び負極電極)を有するセルが複数積層された積層タイプの電極組立体、セパレータを介して対向する電極対を有するシート状のセルが渦巻状に加工された捲回型の電極組立体が挙げられる。なお、以下の説明では、正極外部端子と負極外部端子の双方がケースの一方向に露出している蓄電装置について説明する。しかしながら、本明細書で開示する技術は、円筒型の電池のように、ケースが一方の極性(例えば負極)の端子として機能し、他方の極性(例えば正極)の端子がケースから絶縁された状態でケースに固定されているタイプの蓄電装置等にも適用することができる。
【0036】
(第1実施例)
図1に示すように、蓄電装置100は、ケース1と、電極組立体60と、負極外部端子19と、正極外部端子119と、電流遮断装置2を備えている。ケース1は、矩形箱状の本体部分62と、本体部分62を閉塞する矩形平板状の蓋部分63を備えている。本体部分62及び蓋部分63は、金属製(例えば、ステンレス、アルミニウム)である。以下の説明では、本体部分62及び蓋部分63を、単にケース1と称することがある。ケース1の内部には、正極電極及び負極電極を備える電極組立体60が収容されている。ケース1と電極組立体60は、絶縁シート61によって絶縁されている。正極集電タブ65が、正極電極に固定されている。負極集電タブ67が、負極電極に固定されている。
【0037】
負極外部端子19及び正極外部端子119が、ケース1(蓋部分63)に固定されている。図示は省略するが、負極外部端子19とケース1、及び正極外部端子119とケース1との間は、絶縁シート等により絶縁されている。負極外部端子19は、電流遮断装置2,負極リード68を介して、負極集電タブ67(負極電極)に電気的に接続している。電流遮断装置2の詳細は後述する。なお、電流遮断装置2と負極リード68は、導電性を有する接続部材13によって接続されている。正極外部端子119は、正極リード64を介して正極集電タブ65(正極電極)に電気的に接続している。負極リード68及び正極リード64は、ケース1(蓋部分63)に取り付けられている絶縁シート66によって、ケース1と絶縁されている。
【0038】
図2A及び
図2Bを参照し、電流遮断装置2について説明する。なお、
図2A,2Bでは、正極電極及び負極電極を備える電極組立体60(
図1を参照)の図示を省略している。電極組立体60は、
図2A,2Bの下方に配置されている。電流遮断装置2は、電極組立体60と負極外部端子19とを電気的に接続する。電流遮断装置2は、電極組立体60が収容されているケース1の内部とケース1の外部とのガスの流通を阻止する。電流遮断装置2は、ケース1内の内圧が所定レベルを超えて上昇したときに、電極組立体60と負極外部端子19との直列な通電経路を遮断する。なお、
図2A,2Bでは、負極外部端子19とケース1との間に介在している絶縁シート66の図示を省略している。
【0039】
上記した「所定レベルの内圧」とは、蓄電装置100が過充電(過電圧)状態になったり、蓄電装置100が過昇温状態(活物質の熱暴走温度)になったときのケース1内の内圧を意味する。「所定レベルの内圧」は、蓄電装置100の容量,出力電圧等の条件により設定される。なお、蓄電装置100では、電流遮断装置2は、負極外部端子19の下方に配置される。しかしながら、電流遮断装置2を配置する位置は、負極外部端子19の下方に限定されるものではない。電流遮断装置2は、電極組立体60と負極外部端子19との直列な通電経路上に配置されていればよい。
【0040】
電流遮断装置2は、蓄電装置100のケース1内部に配置されており、ケース1の内部(電流遮断装置2の外部)のガスが電流遮断装置2の内部に流通しないようにシールされている。電流遮断装置2の構造を、蓄電装置100のケース1の内部(
図2Aの下方)からケース1の外側(
図2Aの上方)に向けて順に説明する。電流遮断装置2は、受圧部22を有する変形板3と、通電板4と、第1接点部6と、第2接点部23と接点板5を備えている。変形板3は、変形可能であり、ガスの流通を阻止する。変形板3の受圧部22は、ケース1内の内圧を受けるようになっている。通電板4は、電極組立体60と電気的に接続されている。第1接点部6は、通電板4上に形成されている。第1接点部6は、通電板4に設けられた破断溝16よりも通電板4の中央側に形成されている。第2接点部23は、導電性の接点板5上に形成されている。第2接点部23は、第1接点部6と接触している。変形板3は、電流遮断装置2の外側部分に配置され、電流遮断装置2の外面を形成している。通電板4,接点板5は、夫々変形板3の内側に配置されている。
【0041】
電流遮断装置2では、通電板4に設けられている第1接点部6の第2接点部23と接触する側の反対側(
図2Aの下方)が、変形板3と接触可能である。また、通電板4の変形板3が接触する部分の周囲には、破断溝16が形成されている。通電板4の破断溝16が設けられる部分が破断することにより、第1接点部6は、通電板4から分離可能である。電流遮断装置2では、変形板3によって、通電板4と接点板5との接点部6、23が、電解液が存在する雰囲気から遮断されている。そのため、接点部6、23は、電解液や周囲の環境によって劣化することが防止される。また、通電経路が破断したときにアーク(火花)が発生しても、水素ガスが発生している蓄電装置100のケース1内に影響を及ぼさない。
【0042】
導電性の封口蓋体7が、接点板5の上方(負極外部端子19側)に設けられている。封口蓋体7の雌ネジ部8は、ケース1に固定された負極外部端子19の雄ネジ部9とネジ結合されている。シール部材10が、封口蓋体7の上面とケース1の内面との間に装着されている。封口蓋体7とケース1は、シール部材10によって電気的に絶縁されている。
【0043】
変形板3は、薄板で形成されている。具体的には、変形板3は、金属性のダイアフラムである。変形板3の外周部は、絶縁性の支持部材11によって固定されている。また、変形板3の外周部が、シール部材14によってシールされている。変形板3の中央部には、接点板5の側に向けて突出する絶縁性の突起12が設けられている。突起12の形状は、例えば筒状である。
【0044】
ケース1の内圧が所定レベルを超えて上昇すると、変形板3がケース1の内圧の上昇によってケース1の外方(上方)に向けて変形する。突起12の当接部24が第1接点部6に接触し、通電板4及び接点板5の接点部6、23に衝撃を与える。その結果、第1接点部6及び第2接点部23が、通電板4から分離する。変形板3は、ケース1の内圧の上昇によってケース1の外方に向けて変形するときに、変形板3の外周部の支持点を超えて変形し、反転する。電流遮断装置2を組み立てるとき、又はケース1の内圧が通常(所定レベル以下)のときは、変形板3は、ケース1の内方(下方)に凸の状態を保っている。変形板3が反転することにより、変形板3が変形するときの変位量(ストローク)を十分に確保することができる。
【0045】
通電板4は、電極組立体60(
図1を参照)と電気的に接続される接続部材13を備えている。接続部材13は、通電板4の外周の一端に設けられている。接続部材13は、負極集電タブ67に固定されている負極リード68と電気的に接続される。通電板4の接続部材13が設けられていない外周部は、絶縁性の支持部材11によって支持されている。通電板4の外周部は、シール部材14を介して変形板3と所定の間隔を有した状態で、支持部材11に保持されている。なお、上記「所定の間隔」とは、電流遮断装置が作動した後に、変形板3と通電板4との間に車両負荷(電圧)が加わった場合に、絶縁破壊が発生しない程度の間隔である。
【0046】
通電板4の中央部15は、通電板4の他の部分と比較して、厚みが薄い。具体的には、通電板4の変形板3側の中央に、窪みが設けられている。変形板3の突起12の当接部24は、通電板4の薄い部分(中央部15)に接する。すなわち、当接部24は、通電板4の第1接点部6に接する。通電板4には、破断溝16が設けられている。破断溝16は、当接部24が当接する部分の周囲に設けられている。そのため、当接部24が第1接点部6に接したときに、その衝撃によって、通電板4が破断されやすい。破断溝16は、平面視したときに、当接部24の外周よりも外側に設けられている。なお、破断溝16は、連続していてもよいし、不連続であってもよい。すなわち、破断溝16は、当接部24の周りを一巡していてもよいし、当接部24の周りに部分的に設けられていてもよい。また、破断溝16は、
図2Aに示す形状に限定されるものではなく、通電板4の厚みを局所的に薄くする形状であればよい。
【0047】
接点板5は、導電性の平板状の薄板で形成されている。接点板5の一例として、導電性を有する金属のダイアフラムが挙げられる。接点板5の外周部は、絶縁性の支持部材11で固定されている。接点板5の中央部は、通電板4と接する第2接点部23を構成している。接点部6、23は、単に、通電板4の中央部と接点板5の中央部が接触した状態であってもよい。あるいは、接点部6、23は、通電板4の中央部と接点板5の中央部を溶接等で固着することにより接触していてもよい。絶縁性のシール部材17が、接点板5の外周部と通電板4の外周部との間に設けられている。そのため、接点板5の外周部と通電板4の外周部は、電気的に絶縁されている。シール部材17は、接点板5と通電板4との間をシールし、かつ接点板5と通電板4との間の空間と支持部材11との間をシールする。そのため、電解液が第1接点部及び第2接点部に接触することを確実に防ぐことができる。
【0048】
封口蓋体7の外周部は、絶縁性の支持部材11で支持されている。封口蓋体7の外周部は、接点板5と接触しており、接点板5と電気的に導通している。封口蓋体7の内面(接点板5側の面)に、上方(接点板5から離れる側)に窪んでいる凹部18が設けられている。具体的には、封口蓋体7の中央部が、封口蓋体7の外周部(接点板5と接触している部分)よりも上方に窪んでいる。変形板3の突起12が通電板4に接触すると、接点板5が上方に変形する。凹部18は、接点板5を上方に変形させるための空間である。
【0049】
支持部材11は、絶縁性を有しており、例えば樹脂モールドで成形されている。支持部材11を平面視するとリング状である。支持部材11の断面は略U字状である。この略U字状の部分に、変形板3の外周部、シール部材14、通電板4の外周部、絶縁性のシール部材17及び封口蓋体7の外周部が位置している。また、略U字状の部分によって、変形板3、シール部材14、通電板4、シール部材17、接点板5及び封口蓋体7が、一体的に保持されている。支持部材11の外面には、金属製のカシメ部材20が被覆されている。カシメ部材20によって、上記部材の保持が確実に行われる。また、カシメ部材20によって、電流遮断装置2の内部が密封されている。
【0050】
通電経路について説明する。矢印21は、電極組立体60から負極外部端子19までの通電経路を示している。上記したように、通電板4の接続部材13が、ケース1の内部に配置された電極組立体60(
図1を参照)と電気的に接続されている。通電板4の中央部に、接点板5と接触する第1接点部6が設けられている。また、接点板5の中央部に、通電板4と接触する第2接点部23が設けられている。さらに、接点板5の外周部が、封口蓋体7と電気的に接続されている。これにより、電極組立体60から負極外部端子19に至る直列な通電経路が形成されている。
【0051】
例えば蓄電装置100が過充電されると、密閉されたケース1の内部でガスが発生し、ケース1の内圧が上昇する。この場合、
図2Bに示すように、ケース1の内圧が変形板3に作用し、変形板3が上方に変形(反転)する。変形板3が上方に変形すると、突起12が通電板4にぶつかり、通電板4が破断溝16を起点として破断される。通電板4の第1接点部6と接点板5の第2接点部23とが、通電板4から分離される。接点板5は、反転状態、あるいは、通電板4と接合される前の状態となる。その結果、通電経路21が破断され、電流が遮断される。すなわち、負極外部端子19と電極組立体60との導通が遮断される。換言すると、蓄電装置100の電流の流れが遮断される。
【0052】
通電経路21が破断した後は、突起12によって、通電板4と接点板5が再接触することが防止される。なお、変形板3は、外周部が支持部材11に固定されている以外に、他の部品と接触していない。そのため、変形板3は、ケース1の内部圧力によって安定して作動する。また、変形板3に設けられた突起12が通電板4にぶつかるときに、通電板4に衝撃力が加わる。そのため、接点部6、23の破断荷重がばらついていても、破断荷重のばらつきを補うことができる。電流遮断装置2が駆動するときのケース1の内圧、すなわち、電流を遮断するときのケース1の内圧を安定させることができる。
【0053】
上記実施例では、絶縁性の変形板3の中央部に、接点板5側に向けて突出する絶縁性の突起12を設ける例について説明した。この場合、シール部材14は絶縁性を有していなくてもよい。しかしながら、シール部材14が絶縁性の材料(例えばゴム)で形成されている場合、変形板3及び突起12は、金属等の導電性の材料で形成してもよい。変形板3の中央部に絶縁性の突起12を設けることに代えて、変形板3全体を絶縁性の材料で形成してもよい。あるいは、突起12の接点板5及び通電板4に接触する部分だけを絶縁性の材料で形成してもよい。あるいは、突起12に絶縁コーティングを行ってもよい。
【0054】
重要なことは、ケース1の内圧が上昇して変形板3が上方に変形したときに接点部6、23に衝撃が加わり接点部6、23が通電板4から分離されること、及び、通電経路が破断された後に接点板5と通電板4とが電気的に絶縁された状態が維持されることである。このことは、以下の実施例についても同様である。
【0055】
(第2実施例)
図3A,3Bを参照し、蓄電装置200について説明する。蓄電装置200は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置202の構造が蓄電装置100の電流遮断装置2と相違する。蓄電装置100と同じ部材には、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
図3Aは通電経路の破断前の状態を示し、
図3Bは通電経路の破断後の状態を示している。なお、以下の実施例では、蓄電装置の全体の図示を省略し、電流遮断装置の周囲の構造だけを図示することがある。
【0056】
電流遮断装置202では、変形板25が、円弧状の波形部を有する薄板で構成されている。受圧部22は、平板状である。波形部は、中央部(受圧部22)と外周部の間の変形部に設けられている。
【0057】
通電板4が破断した後は、通電板4と接点部6,23との距離が大きいことが好ましい。変形板が平板状の場合、通電板4と接点部6,23との距離を大きくするためには、変形板が変形する前(ケース1の内圧が通常のとき)に、変形板が電極組立体60側に大きく突出していることが必要である。しかしながら、電流遮断装置を取り付けるスペースが小さいと、変形板を電極組立体60側に大きく突出させることができない。そのため、変形板が反転したときに、変形板の変位量(ストローク)が小さくなる。通電板4と接点部6,23との距離が小さくなり、電流遮断装置の信頼性(通電経路を再導通させないこと)を十分に確保することができない
【0058】
電流遮断装置202は、変形板25に波形部が設けられている。そのため、変形板25が変位する方向(
図3A,3Bの上下方向)において、電流遮断装置202を取り付けるスペースが小さくても、変形板25の変位量を十分に確保することができる。すなわち、変形板25が変位する方向において、変形板25の変形量を増大させることができ、変形板25のストロークを大きくすることができる。なお、波形部が設けられている変形板25の場合、変形板25が反転する構造であってもよいし、反転しない構造であってもよい。変形板25が反転しない構造の場合、接点板5が反転する構造であることが好ましい。
【0059】
(第3実施例)
図4A,4Bを参照し、蓄電装置300について説明する。蓄電装置300は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置302の構造が蓄電装置100の電流遮断装置2と相違する。蓄電装置100と同じ部材には、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
図4Aは通電経路の破断前の状態を示し、
図4Bは通電経路の破断後の状態を示している。
【0060】
電流遮断装置302では、接点板30が、円弧状の波形部を有する薄板で構成されている。接点板30は、蓄電装置300の通電経路を構成している。蓄電装置300の通電効率を向上させるためには、接点板を、アルミニウム等の電気抵抗の小さい材料で形成することが好ましい。しかしながら、アルミニウム等の材料はバネ性が低い。そのため、接点板が反転する構造の場合、反転構造を実現するための設計が難しい。電流遮断装置302のように、接点板30が波形部を備えていると、接点板30のバネ定数を下げることができる。接点板30を小さな荷重で動かしたり、保持したりすることができる。そのため、接点板30が波形部を有していることにより、接点板30は反転することなく接点板としての機能を発揮し得る。なお、接点板30に波形部を設けるとともに、変形板3に波形部を設けてもよい。
【0061】
(第4実施例)
図5A,5Bを参照し、蓄電装置400について説明する。蓄電装置400は、蓄電装置300の変形例であり、電流遮断装置402の構造が蓄電装置300の電流遮断装置302と相違する。蓄電装置300と同じ部材には、蓄電装置300と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
図5Aは通電経路の破断前の状態を示し、
図5Bは通電経路の破断後の状態を示している。
【0062】
電流遮断装置402では、通電板33の形状が、電流遮断装置302の通電板4と異なる。具体的には、通電板4は破断溝16が設けられており、通電板33は貫通孔34が設けられている。すなわち、通電板33には破断溝が設けられていない。貫通孔34は、通電板33の中央部に設けられている。突起12が、貫通孔34を通過することができる。なお、接点板30の接点部32は、貫通孔34の周囲に設けられている。すなわち、電流遮断装置402を平面視すると、接点部32が、貫通孔34の外側に設けられている。
【0063】
貫通孔34が通電板33に設けられているので、変形板3が変形すると(
図5B)、突起12は、貫通孔34を通過して接点板30に直接衝突する。突起12が接点板30に衝突することによって、通電板33の第1接点部31と接点板30の第2接点部32とが分離する。突起12が接点板30に直接衝突するので、通電板33の第1接点部31と、接点板30の第2接点部32とを、一層容易に破断することができる。
【0064】
電流遮断装置402では、第1接点部31と第2接点部32とが分離した後は、変形板3と通電板33とが絶縁されている。なお、変形板3と通電板33を絶縁する構成として、変形板3自体を絶縁材料で構成してもよいし、突起12を絶縁材料で構成してもよい。あるいは、貫通孔34の内周部分に絶縁コーティングを施してもよい。また、変形板3,突起12,貫通孔34の内周部分が全て導電性の場合、突起12と通電板33、及び変形板3と通電板33が接触しないように構成することによって、変形板3と通電板33を絶縁してもよい。
【0065】
なお、突起12が貫通孔34に嵌っていてもよい。変形板3が通電経路の破断前の状態(
図5A)に戻ることを防止することができるので、第1接点部31と第2接点部32が分離した状態を維持することができる。また、本実施例で開示した通電板33の中央部に貫通孔34を設ける構成は、電流遮断装置2,202,302の通電板4に適用することもできる。
【0066】
(第5実施例)
図6を参照し、蓄電装置500について説明する。蓄電装置500は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置502の構造が蓄電装置100の電流遮断装置2と相違する。蓄電装置100と同じ部材には、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
【0067】
電流遮断装置502では、圧力孔36が、通電板35に設けられている。圧力孔36は、変形板3の変形に伴う圧力変動を接点板5に作用させる。圧力孔36は、破断溝16の周囲に設けられている。具体的には、圧力孔36は、通電板35の中央部と外周部の中間に設けられている。通電板35に圧力孔36を設けることにより、変形板3が変形したときに、その変形に伴う圧力変動が接点板5に直接伝わる。そのため、通電板35の第1接点部6を一層容易に破断することができる。なお、電流遮断装置202,302,402のように、電流遮断装置502の変形板3及び/又は接点板5が、波形部を備えていてもよい。
【0068】
(第6実施例)
図7,8を参照し、蓄電装置600について説明する。蓄電装置600は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置602を取り付ける位置が、蓄電装置100の電流遮断装置2を取り付ける位置と相違する。蓄電装置100と同じ部材には、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
【0069】
図7に示すように、電流遮断装置602は、負極外部端子19にネジ締結されていない。電流遮断装置602は、金属製の接続部材42を介して、負極外部端子19に電気的に接続している。すなわち、封口蓋体40(
図8を参照)は、電流遮断装置2の封口蓋体7とは異なり、負極外部端子19の下方に設けられて負極外部端子19に螺合する構成となっていない。負極外部端子19は、電流遮断装置602から少し離れた位置に設けられている。
【0070】
図8に示すように、封口蓋体40は、本体部41と、本体部41の外周部に設けられている接続部材42を備えている。接続部材42は、カシメ部材20よりも上方に位置している。接続部材42は、負極外部端子19と電気的に接続されている。蓄電装置600では、ネジ締結の手段をとることなく、蓄電装置600内(ケース1内)に電流遮断装置602を配置することができる。
【0071】
(第7実施例)
図9を参照し、蓄電装置700について説明する。蓄電装置700は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置702の構造が蓄電装置100の電流遮断装置2と相違する。蓄電装置100と同じ部材には、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
【0072】
電流遮断装置702では、変形板3の外周部と通電板4の外周部が、溶接で固着されている。変形板3と通電板4を溶接することにより、変形板3と通電板4の間の空間をより気密に保つことができる。すなわち、電流遮断装置702は、電流遮断装置2(
図2を参照)と異なり、変形板3の外周部と通電板4の外周部との間にシール部材14が介在していない。なお、電流遮断装置702では、変形板3と通電板4を溶接するために、変形板3は、溶接可能な金属材料で形成されている。通電経路を遮断するために、電流遮断装置702では、突起12は絶縁性を有するように形成されている。なお、変形板の外周部と通電板の外周部を溶接するという構成は、電流遮断装置102,202,302,402,502及び602にも適用することができる。
【0073】
(第8実施例)
図10を参照し、蓄電装置800について説明する。蓄電装置800は、蓄電装置600の変形例であり、電流遮断装置802の構造が蓄電装置600の電流遮断装置602と相違する。蓄電装置600と同じ部材には、蓄電装置600と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
【0074】
電流遮断装置802は、電流遮断装置602(
図8を参照)に、電流遮断装置702(
図9を参照)の特徴を適用したものに相当する。すなわち、電流遮断装置802は、電流遮断装置602において、変形板3の外周部と通電板4の外周部を溶接で固着したものに相当する。電流遮断装置802では、変形板3と通電板4を溶接するために、変形板3は、溶接可能な金属材料で形成されている。通電経路を遮断するために、電流遮断装置802では、突起12は絶縁性を有するように形成されている。
【0075】
(第9実施例)
図12A,12B,12Cを参照し、蓄電装置900について説明する。蓄電装置900は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置902の構造が蓄電装置100の電流遮断装置2と相違する。蓄電装置100と同じ部材には、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
図12Aは通電経路の破断前の状態を示し、
図12Bは通電経路の破断直後の状態を示し、
図12Cは通電経路が破断してから所定時間が経過した状態を示している。
【0076】
電流遮断装置902を構成する部品の形態は、電流遮断装置2と同一である。電流遮断装置902では、変形板3と接点板5の材料・寸法等が、
図12A,12B,12Cの順に動作するように調整されている。
図12Aに示すように、ケース1の内圧が所定レベル未満のときは、電極組立体60(
図1を参照)から負極外部端子19に至る直列な通電経路が形成されている。このとき、変形板3の通電板4側の端面(突起12の通電板4と対向する面)と、通電板4との間には、隙間が存在する(第1状態)。
【0077】
図12Bに示すように、ケース1の内部でガスが発生しケース1の内圧が所定レベルを超えると、変形板3が上方に変形(反転)する。すると、突起12が通電板4にぶつかる。変形板3が上方に反転するときの反転力は、通電板4の破断溝16を破断する力よりも大きい。そのため、変形板3が上方に変形すると、通電板4が破断溝16を起点として破断される。突起12は、通電板4及び接点板5に衝撃を加える。すると、接点板5が、通電板4の破断部とともに通電板4から離反する(第2状態)。その結果、電極組立体60(
図1を参照)から負極外部端子19に至る通電経路が遮断される。
【0078】
図12Cに示すように、通電板4が破断して所定時間が経過すると、接点板5と通電板4の距離が、第2状態のときよりも短くなる(第3状態)。突起12から接点板5に加えられた衝撃がなくなり、接点板5に復元力が生じるからである。接点板5は、接点板5が通電板4側に移動する力と、変形板3が反転する力(接点板5を通電板4から離反させる力)とが釣り合った位置で停止する。電流遮断装置902では、第3状態のときに接点板5と通電板4の隙間が1mm以上になるように調整されている。接点板5と通電板4の隙間が1mm以上であれば、接点板5と通電板4の間が導通しない。すなわち、通電経路が遮断した状態を維持することができ、電極組立体60と負極外部端子19が再導通することを確実に防止することができる。
【0079】
電流遮断装置902が備える特徴は、上述した全ての実施例に適用することができる。すなわち、上述した全ての実施例において、通電経路が遮断されてから所定時間が経過した後に、接点板5が通電板4と導通しない位置で、接点板5が通電板4側に移動する力と変形板3が反転する力とが釣り合うように調整してもよい。
【0080】
(第10実施例)
図13A,13Bを参照し、蓄電装置1000について説明する。蓄電装置1000は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置1002の構造が蓄電装置100の電流遮断装置2と相違する。蓄電装置100と同じ部材には、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
図13Aは通電経路の破断前の状態を示し、
図13Bは通電経路の破断後の状態を示している。
【0081】
電流遮断装置1002では、接点板5の一部に、脆弱部が設けられている。具体的には、破断溝70が、接点板5の中央部と外周部の中間に設けられている。
図13Bに示すように、電流遮断装置1002では、通電板4が破断すると、接点板5が破断溝70を起点として破断する。そのため。接点板5に復元力(通電板4側に移動する力)が生じない。通電経路が遮断した後に、電極組立体60と負極外部端子19が再導通することを確実に防止することができる。
【0082】
図14を参照し、脆弱部(破断溝70)を設ける位置について説明する。脆弱部は、接点板5の中央部(破断溝16)と外周部(シール部材17と接触する部分)との間に設けられる。脆弱部(破断溝70)は、
図14のように接点板5の周方向に一巡していてもよいし、
図14の破線70で示す部分に分散して設けられていてもよい。脆弱部は、接点板5に生じる復元力を抑制することができる形態であれば、様々な形態を適用することができる。
【0083】
なお、電流遮断装置1002では脆弱部の一例として破断溝70を設ける例を示したが、接点板5は、必ずしも破断溝70を起点として破断する必要はない。通電板4が破断したときに、接点板5が破断溝70を起点として塑性変形してもよい。この場合も、接点板に復元力が生じることを防止することができる。なお、接点板5に破断溝70を設けることに代えて、接点板5の一部に、接点板5が塑性変形するような脆弱部を設けてもよい。例えば、接点板5の一部をプレス等で加工硬化してもよい。あるいは、接点板5の一部を熱処理(焼入れ)してもよい。
【0084】
(第11実施例)
図15を参照し、蓄電装置1100について説明する。蓄電装置1100は、蓄電装置1000の変形例であり、電流遮断装置1102の構造が蓄電装置1000の電流遮断装置1002と相違する。蓄電装置1000と同じ部材には、蓄電装置1000と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
【0085】
電流遮断装置1102では、接点板1105に離反部72が設けられている。離反部72は、接点板1105の外周部と中央部(第2接点部23)の間に設けられている。離反部72では、接点板1205の外周部から中央に向かうに従って、接点板1105と通電板4との距離が増大している。具体的には、接点板1105は、外周部から中央に向けて通電板4から離れる方向に延びており、中央部分が通電板4に向けて屈曲している。なお、脆弱部(破断溝70)は、離反部72に設けられている。
【0086】
電流遮断装置1102では、通電経路が遮断された後の接点板1105と通電板4との距離を大きくすることができる。通電経路が遮断された後に、接点板1105と通電板4とが再導通することをより確実に防止することができる。
【0087】
(第12実施例)
図16A,16B,16Cを参照し、蓄電装置1200について説明する。蓄電装置1200は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置1202の構造が蓄電装置100の電流遮断装置2と相違する。蓄電装置100と同じ部材には、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
図16Aは通電経路の破断前の状態を示し、
図16B、16Cは通電経路の破断後の状態を示している。
【0088】
電流遮断装置1202では、接点板5と通電板4の間に、絶縁性を有する絶縁部材が設けられている。具体的には、絶縁シート74が、接点板5の外周部と第2接点部23の間で、接点板5の表面に貼り付けられている。
図16Aに示すように、絶縁シート74は、第2接点部23には設けられていない。また、絶縁シート74は、接点板5の表面に貼り付けられているので、接点板5の導通経路が狭くなることはない。そのため、負極外部端子19と電極組立体60(
図1を参照)の導通が妨げられることはない。
【0089】
図16Bに示すように、通電板4が破断して通電経路が遮断されると、絶縁シート74は接点板5とともに上方に移動する。
図16Cに示すように、電流遮断装置1202では、例えば、通電板4が破断したときに接点板5の中央部分だけが上方に移動した場合でも、接点板5と通電板4が導通することを防止することができる。通電経路が遮断された後に、接点板5と通電板4が導通することをより確実に防止することができる。
【0090】
なお、絶縁シート74を接点板5の表面に貼り付けることに代えて、接点板5の表面に絶縁コーティングを施してもよい。この場合、絶縁コーティングは、接点板5の外周部と第2接点部23の間に施すことが好ましい。すなわち、第1接点部6と第2接点部23との導通を妨げないように、第2接点部23には絶縁コーティングを施さないことが好ましい。
【0091】
(第13実施例)
図17A,17B,17Cを参照し、蓄電装置1300について説明する。蓄電装置1300は、蓄電装置1200の変形例であり、電流遮断装置1302の構造が蓄電装置1200の電流遮断装置1202と相違する。蓄電装置1200と同じ部材には、蓄電装置1200と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
図17Aは通電経路の破断前の状態を示し、
図17B、17Cは通電経路の破断後の状態を示している。
【0092】
電流遮断装置1302では、絶縁シート76が、導電板4の外周部と破断溝16の間で、導電板4の表面に貼り付けられている。
図17Aに示すように、絶縁シート76は、破断溝16よりも導電板4の外周側に設けられている。すなわち、絶縁シート76は、第1接点部6には設けられていない。また、絶縁シート76は、導通板4の表面に張り付けられているので、導通板4の導通経路が狭くなることはない。負極外部端子19と電極組立体60(
図1を参照)との導通が妨げられることはない。
【0093】
図17Bに示すように、通電板4が破断して通電経路が遮断されると、絶縁シート76の位置は変わらずに、接点板5だけが上方に移動する。そのため、絶縁シート76は、接点板5の変形に影響を及ぼすことはない。なお、
図17Cに示すように、通電板4が破断したときに接点板5の中央部分だけが上方に移動した場合でも、接点板5と通電板4が導通することを防止することができる。通電経路が遮断された後に、接点板1205と通電板4とが導通することをより確実に防止することができる。なお、電流遮断装置1202と同様に、絶縁シート76を通電板4の表面に貼り付けることに代えて、通電板4の表面に絶縁コーティングを施してもよい。
【0094】
(第14実施例)
図18A,18Bを参照し、蓄電装置1400について説明する。蓄電装置1400は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置1402の構造が蓄電装置100の電流遮断装置2と相違する。蓄電装置100と同じ部材には、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
図18Aは通電経路の破断前の状態を示し、
図18Bは通電経路の破断後の状態を示している。
【0095】
図18Aに示すように、電流遮断装置1402では、通電板1404の第1接点部6の外周に、窪み78が形成されている。換言すると、通電板1404の接点板5側の表面に、第1接点部6を囲う窪み78が設けられている。
図18Bに示すように、通電板1404が破断して通電経路が遮断された後に、通電板1404と接点板5の距離を大きくすることができる。通電経路が遮断した後に、電極組立体60と負極外部端子19が再導通することをより確実に防止することができる。
【0096】
(第15実施例)
図19を参照し、蓄電装置1500について説明する。蓄電装置1500は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置1502の構造が蓄電装置100の電流遮断装置2と相違する。蓄電装置100と同じ部材には、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
【0097】
図19に示すように、電流遮断装置1502では、変形板3の下方に絶縁性の保護板80が設けられている。保護板80は、変形板3,シール部材14,通電板4,シール部材17,接点板5及び封口蓋体7とともに、支持部材11に支持されている。保護板80は、変形板3と電極組立体60(
図1を参照)の間に配置されている。そのため、電極組立体60が電流遮断装置1502に接触しても、変形板3が誤動作することを防止することができる。ケース1の内圧が所定レベル未満(ケース1の内圧が正常)のときに、電極組立体60と負極外部端子19の間の通電経路が遮断されることを防止することができる。また、保護板80が絶縁性であるため、変形板3と電極組立体60とが接触して短絡することを防止できる。なお、保護板80には貫通孔82が設けられている。そのため、ケース1の内圧が所定レベルを超えて上昇したときに、圧力が変形板3の受圧部22に加わることが妨げられることはない。
【0098】
(第16実施例)
図20を参照し、蓄電装置1600について説明する。蓄電装置1600は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置1602の構造が蓄電装置100の電流遮断装置2と相違する。蓄電装置100と同じ部材には、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
【0099】
図20に示すように、電流遮断装置1602は、突起12を覆うキャップ81を備えている。キャップ81は、絶縁性の材料で形成されている。キャップ81はガイド83を備えており、ガイド83が支持部材11に支持されている。すなわち、キャップ81は、変形板3,シール部材14,通電板4,シール部材17,接点板5及び封口蓋体7とともに、支持部材11に支持されている。電流遮断装置1602は、絶縁性のキャップ81を備えているので、突起12を金属等の導電性の材料で形成することができる。
【0100】
電流遮断装置1602では、通電板4と突起12が対向する位置において、通電板4の表面と突起12の表面との距離Daが、キャップ81が突起12の側面を覆っている距離Dbより短い。そのため、キャップ81が突起12から外れることを防止することができる。また、ガイド83が支持部材11に支持されているので、突起12に対するキャップ81の位置をずれにくくすることができる。また、突起12が変形板3に固定されていなくても、ガイド83によって、突起12の変形板3に対する位置決めを行うことができる。
【0101】
(第17実施例)
図21を参照し、蓄電装置1700について説明する。蓄電装置1700は、蓄電装置1600の変形例であり、電流遮断装置1702の構造が蓄電装置1600の電流遮断装置1602と相違する。蓄電装置1600と同じ部材には、蓄電装置1600と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
【0102】
図21に示すように、電流遮断装置1702では、キャップ84はガイドを備えていない。しかしながら、通電板4と突起12が対向する位置において、通電板4の表面と突起12の表面との距離Daが、キャップ84が突起12の側面を覆っている距離Dbより短い。そのため、キャップ84が突起12から外れることを防止することができる。電流遮断装置1702では、電流遮断装置1602と比較して、キャップの形状を簡単にすることができる。
【0103】
(第18実施例)
図22を参照し、蓄電装置1800について説明する。蓄電装置1800は、蓄電装置1700の変形例であり、電流遮断装置1802の構造が蓄電装置1700の電流遮断装置1702と相違する。蓄電装置1700と同じ部材には、蓄電装置1700と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
【0104】
図22に示すように、電流遮断装置1802では、通電板85の形状が、電流遮断装置1700の通電板4と異なる。通電板85では、破断溝16で囲まれた範囲が、破断溝16の外側よりも窪んでいる。すなわち、通電板85では、破断溝16が、通電板85の中央部(厚みが薄い部分)を画定している。電流遮断装置1802の場合、変形板3が上方に移動したときに、通電板85が、キャップ84の側面近傍に位置する。そのため、仮に突起12が通電板85に接したときの衝撃によってキャップ84が突起12から外れようとしても、キャップ84が通電板85の周囲部(破断溝16の外側)にぶつかる。よって、キャップ84が突起12から外れることを防止することができる。
【0105】
(第19実施例)
図23を参照し、蓄電装置1900について説明する。蓄電装置1900は、蓄電装置1700の変形例であり、電流遮断装置1902の構造が蓄電装置1700の電流遮断装置1702と相違する。蓄電装置1700と同じ部材には、蓄電装置1700と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
【0106】
図23に示すように、電流遮断装置1902では、突起88及びキャップ86の形状が、電流遮断装置1700と異なる。突起88の通電板4側の端部の径は、他の部分の径よりも大きい。キャップ86の形状は、突起88の形状と同様の特徴を有している。すなわち、突起88を覆う部分において、キャップ86の通電板4側の端部の径は、他の部分の径よりも大きい。電流遮断装置1902では、振動や、ケース1内の発熱によってキャップ86が突起88から外れることを防止することができる。
【0107】
(第20実施例)
図24A,24Bを参照し、蓄電装置2000について説明する。蓄電装置2000は、蓄電装置1600の変形例であり、電流遮断装置2002の構造が蓄電装置1600の電流遮断装置1602と相違する。蓄電装置1600と同じ部材には、蓄電装置1600と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
図24Aは通電経路の破断前の状態を示し、
図24Bは通電経路の破断後の状態を示している。
【0108】
図24Aに示すように、電流遮断装置2002では、通電板90の形状が、電流遮断装置1602の通電板4の形状と異なる。通電板90は、突起12に向けて突出している突出部92を備えている。突出部92は、破断溝16の内側に設けられている。突出部92の断面形状は曲面であり、具体的には円弧状である。
図24Bに示すように、電流遮断装置2002の場合、仮に突起12がキャップ81を介して通電板90に対して斜めに接触しても、突出部92のほぼ中心に衝撃を伝えることができる。そのため、ケース1の内圧が上昇したときに、通電板90が確実に破断され、通電経路が遮断される。
【0109】
(第21実施例)
図25A,25Bを参照し、蓄電装置2100について説明する。蓄電装置2100は、蓄電装置1600の変形例であり、電流遮断装置2102の構造が蓄電装置1600の電流遮断装置1602と相違する。蓄電装置1600と同じ部材には、蓄電装置1600と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
図25Aは通電経路の破断前の状態を示し、
図25Bは通電経路の破断後の状態を示している。
【0110】
図25Aに示すように、電流遮断装置2102では、キャップ94の形状が、電流遮断装置1602のキャップ81の形状と異なる。キャップ94は、通電板4に向けて突出している突出部95を備えている。突出部95は、突起12の通電板4側の端面上に位置している。突出部95の断面形状は曲面であり、具体的には円弧状である。
図25Bに示すように、電流遮断装置2102の場合、仮に突起12がキャップ81を介して通電板90に対して斜めに接触しても、突出部95が、通電板4のほぼ中心に衝撃を伝えることができる。そのため、ケース1の内圧が上昇したときに、通電板4が確実に破断され、通電経路が遮断される。なお、突出部95の形状は、通電板4側に向けて細くなる形状であればよく、円弧状に限定されるものではない。
【0111】
(第22実施例)
図26A,26Bを参照し、蓄電装置2200について説明する。蓄電装置2200は、蓄電装置1600の変形例であり、電流遮断装置2202の構造が蓄電装置1600の電流遮断装置1602と相違する。蓄電装置1600と同じ部材には、蓄電装置1600と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
図26Aは通電経路の破断前の状態を示し、
図26Bは通電経路の破断後の状態を示している。
【0112】
図26Aに示すように、電流遮断装置2202では、突起12とキャップ81の間に、絶縁性液体96が配置されている。絶縁性液体96は、突起12の通電板4側の端面に配置されている。絶縁性液体96は、薄膜内に保持されており、変形板3が変形する前は、突起12とキャップ81の間の空間に留まっている。なお、図示は省略しているが、キャップ81の絶縁性液体96の近傍には、微細な孔が設けられている。なお、絶縁性流体の材料は、電池が動作する温度で液体であれば特に限定されない。絶縁性流体の材料として、NMP等の溶剤,油(例えば、植物油及び鉱物油のうち、電池が動作する温度で液体であるもの)等を用いることができる。
【0113】
図26Bに示すように、変形板3が上方に変形すると、キャップ81が通電板4に接触する衝撃により、突起12とキャップ81の間の空間が狭くなる。絶縁性液体96がキャップ81内からキャップ81の外部に排出され、通電板4の表面に絶縁膜96aが形成される。電流遮断装置2202の場合、通電経路が遮断された後に接点板5が通電板4に接触しても、絶縁膜96aによって接点板5と通電板4が導通することを防止することができる。すなわち、通電経路が遮断された後に、電極組立体60と負極外部端子19が再導通することを確実に防止することができる。
【0114】
(第23実施例)
図27を参照し、蓄電装置2300について説明する。蓄電装置2300は、蓄電装置2200の変形例であり、電流遮断装置2302の構造が蓄電装置2200の電流遮断装置2202と相違する。蓄電装置2200と同じ部材には、蓄電装置2200と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある
【0115】
電流遮断装置2302では、キャップ81の側壁に樹脂製の薄板98が配置されている。薄板98の下方(変形板3側)は、キャップ81の側壁を介して、突起に対向している。薄板98の上方(通電板4側)は、破断溝16の外側で通電板4に接している。電流遮断装置2302の場合、導電性液体96がキャップ81の外部に排出されたときに、薄板98によって、導電性液体96が変形板3側に移動することを抑制することができる。通電板4の表面に絶縁膜(
図26B参照)が形成されやすくなり、電極組立体60と負極外部端子19が再導通することを一層確実に防止することができる。
【0116】
以上、本発明の実施の形態を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0117】
例えば、上記実施例では、絶縁性の変形板と、変形板の中央部に接点板の側に向けて突出する絶縁性の突起を備える例が示されている。しかしながら、ケースの内圧が上昇して変形板が変形して通電経路が破断されたときに、接点板と通電板とが電気的に絶縁された状態を維持することができればよい。例えば、絶縁性の突起を設けることに代えて、変形板全体を絶縁性の材料で形成してもよい。あるいは、突起の接点板及び通電板に接触する部分だけを絶縁性の材料で形成してもよい。
【0118】
上記実施例では、変形板及び/又は接点板を、金属製の薄板、例えば、金属製のダイアフラムで構成する例が示されている。しかしながら、変形板は、絶縁性を有しており、弾性変形可能な材料で形成してもよい。また、接点板は、導電性を有しており、弾性変形可能な材料で形成してもよい。
【0119】
また、変形板は、負極電極(負極集電体)の材質と同等の性質を有する材質であってもよい。従来、変形板の材質として、正極電極(正極集電体)の材料であるアルミニウム又はチタンを用いていた。変形板の材質としてアルミニウムを用いる場合、変形板の強度が弱くなるという問題があった。また、変形板の材質としてチタンを用いる場合、アルミニウムを用いる場合と比較して変形板が高価になるという問題があった。さらに、変形板の材質としてアルミニウム又はチタンを用いる場合、セル内の温度上昇,ケースの内圧の変動等により、変形板がクリープして劣化するということが起こり得た。変形板が劣化すると、蓄電装置が通常の状態で作動してえるときに、ケース1の内圧が所定値を超えない程度に上昇しただけで電流遮断装置が作動するということが起こり得る。すなわち、変形板が劣化すると、電流遮断装置が本来作動する圧力よりも低い圧力で作動することが起こり得た。
【0120】
変形板の材質として負極電極(負極集電体)の材質と同等の性質を有する材質を用いると、上記したような問題を解決することができる。なお、負極電極の材質として、銅系の材料,ステンレス鋼が挙げられる。また、「負極電極の材質と同等の性質」とは、負極電極と完全に同一の材料(又は純銅)のみを意味するものではない。例えば、負極電極の材質である銅を主性分とし、他の元素を含む合金等も含まれる。
【0121】
また、変形板を溶接可能な銅系の材料又はステンレス鋼で形成する場合、突起は絶縁性を有するように形成することが好ましい。なお、変形板の材料として、銅系の材料,ステンレス鋼の他に、鉄,ニッケル等を用いることもできる。
【0122】
電流遮断装置は、正極外部端子119と電極組立体60の間の通電経路上に配置してもよい。しかしながら、電流遮断装置は、上記実施例で示したように、負極外部端子19と電極組立体60の間の通電経路上に配置することがより好ましい。正極電極と負極電極を積層して電極組立体を形成する場合、一般的に、Liの析出を防止するために、正極電極よりも負極電極の方が大きく作られることが多い。したがって、電極組立体60と電流遮断装置との距離を短くする場合、電流遮断装置と負極電極とが接触する可能性がある。
【0123】
正極外部端子119と電極組立体60の間の通電経路上に電流遮断装置を配置していると、正極電位となっている電流遮断装置と負極電極とが接触することがあり、短絡が発生する虞がある。負極外部端子19と電極組立体60との間の通電経路上に電流遮断装置を配置することにより、上記のような短絡を防止できる。なお、上記したように変形板3,接点板5の材質を負極電極と同じ材質にすることにより、負極電極と電流遮断装置との接続(例えば溶接)を容易することができる。その結果、異種金属同士の接続に伴う腐食が発生することも低減できる。
【0124】
上記実施例では、変形板に設けられた突起の形状が筒形である。しかしながら、突起の形状は、例えば錐形等の他の形状でもよい。
【0125】
上記実施例では、突起は、通電板又は接点板に接触するように構成されている。しかしながら、突起は、通電板と接点板との双方に接触する構成してもよい。
【0126】
上記実施例では、通電板は、縦断面形状において中央部が薄く形成されている。また、破断溝が、通電板の中央部の薄い部分に形成されている。しかしながら、通電板の厚さを一定とし、破断溝を通電板の中央部に形成してもよい。
【0127】
上記実施例では、通電板は、外周部の一端に蓄電装置の電極組立体と電気的に接続される接続部材を備えている。しかしながら、上記実施例の形態に限定されるものではなく、通電板と電極組立体とが電気的に接続される構成であればよい。
【0128】
上記実施例において、接点板に孔が設けられていてもよい。接点板と通電板に囲まれた空間が密閉されていると、変形板が通電板を上方に押し込むときに、通電板から変形板に反力が生じ、通電板を破断するために大きな力を要することがある。接点板に孔を設けると、変形板が通電板を上方に押し込むときに、上記の空間が抵抗とならず、変形板が通電板を一層確実に破断することができる。