特許第6179588号(P6179588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179588
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】インタフェース装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/42 20060101AFI20170807BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20170807BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20170807BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20170807BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   G02B27/42
   G02B26/08 Z
   H04N5/74 H
   H04N9/31 Z
   G02B5/18
【請求項の数】10
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-504113(P2015-504113)
(86)(22)【出願日】2013年8月23日
(86)【国際出願番号】JP2013072586
(87)【国際公開番号】WO2014136292
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2016年7月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-41876(P2013-41876)
(32)【優先日】2013年3月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】奥村 藤男
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−271515(JP,A)
【文献】 特開2000−253347(JP,A)
【文献】 特開平04−201270(JP,A)
【文献】 特開2004−309650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/42
G02B 26/00 − 26/08
G02B 26/10 − 26/12
G02B 5/18
H04N 5/74
H04N 9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射するレーザ光源を有するレーザ光照射手段と、
像を照射すべき複数の方向それぞれを示す情報である、制御情報を取得する、制御情報取得手段と、
前記像が照射される方向を、前記制御情報に基づいて制御する制御手段と、
前記レーザ光が入射し、入射時とは非相似の前記像を形成するように該レーザ光を回折する、第1集光手段と、
を有するインタフェース装置。
【請求項2】
前記第1集光手段は、互いに独立した前記像を形成するように前記レーザ光を回折する、複数の回折領域を有し、
前記制御情報は、前記レーザ光を入射させるべき前記回折領域を示すことで、前記レーザ光を照射すべき方向を示し、
前記制御手段は、前記制御情報によって示される前記回折領域に対して前記レーザ光が入射するように、前記レーザ光が照射される方向を制御する、
請求項1に記載のインタフェース装置。
【請求項3】
前記レーザ光照射手段によって照射されたレーザ光の一部をそれぞれフィルタリングして部分レーザ光を出射し、出射した部分レーザ光がそれぞれ異なる回折領域に入射する、複数の開口を備える、選択手段を有し、
前記複数の回折手段はそれぞれ、入射した部分レーザ光を回折し、
前記制御手段は、前記制御情報が示す前記回折領域に対して前記部分レーザ光を出射するように、前記選択手段を制御する、
請求項2に記載のインタフェース装置。
【請求項4】
前記レーザ光照射手段によって照射されたレーザ光を分割して前記複数の部分レーザ光を形成し、各部分レーザ光を、前記複数の開口のみに入射させる、分割手段を有する、請求項3に記載のインタフェース装置。
【請求項5】
前記第1集光手段は、
位置が可変であり、
前記複数の回折領域はそれぞれ、
前記レーザ光がそれぞれ入射する複数の部分領域を有し、
該複数の部分領域はそれぞれ、入射したレーザ光が異なる像を形成するように、該部分レーザ光を回折し、
前記制御情報は、前記レーザ光を照射すべき部分領域をさらに示し、
前記制御手段は、前記制御情報によって示される前記部分領域に、前記レーザ光が入射するように、前記選択手段及び前記第1集光手段を制御する、
請求項3又は4に記載のインタフェース装置。
【請求項6】
前記選択手段は、前記レーザ光照射手段から照射したレーザ光が前記回折手段に入射する前に、該レーザ光の拡散角度を小さくする第2集光手段を有し、
前記第1集光手段は、入射した方向とは異なる方向に、前記像を照射する、
請求項3乃至5いずれか一項に記載のインタフェース装置。
【請求項7】
前記第1集光手段は、前記像を形成するようにレーザ光を回折する回折領域を少なくとも1つ有し、
前記レーザ光照射手段によって照射されたレーザ光の一部をフィルタリングして、それぞれ部分レーザ光を出射する、複数の開口を有する、選択手段と、
前記各開口によって出射された部分レーザ光を、それぞれ異なる方向から同一の前記回折領域へ入射させる、方向変更手段を有し、
前記制御情報は、前記部分レーザ光を出射すべき開口を示すことで、前記レーザ光を照射すべき方向を示し、
前記制御手段は、前記制御情報に示される開口が、前記部分レーザ光を出射するように、前記選択手段を制御する、
請求項1に記載のインタフェース装置。
【請求項8】
前記第1集光手段は、入射したレーザ光が前記像を形成するように、該レーザ光を回折する、回折領域を少なくとも1つ有し、
当該インタフェース装置は、前記レーザ光照射手段を複数有し、
各レーザ光照射手段は、それぞれ異なる方向、かつ同一の前記回折領域を通過する方向に、レーザ光を照射し、
前記制御手段は、前記レーザ光照射手段を制御し、前記制御情報に示される方向へ前記レーザ光を照射するレーザ光照射手段に、レーザ光を照射させる、
請求項1に記載のインタフェース装置。
【請求項9】
前記レーザ光照射手段は、異なる色のレーザ光を照射する、複数のレーザ光源を有し、
前記制御情報は、当該インタフェース装置が照射すべきレーザ光の色を示し、
前記制御手段は、レーザ光照射手段から、前記制御情報が示す色のレーザ光が照射されるように、前記複数のレーザ光源のうち、1つ以上のレーザ光減に、レーザ光を照射させる、
請求項1乃至7いずれか一項に記載のインタフェース装置。
【請求項10】
インタフェース装置を制御するコンピュータによって実行される制御方法であって、
前記インタフェース装置は、
レーザ光を照射するレーザ光源を有するレーザ光照射手段と、
前記レーザ光が入射し、入射時とは非相似の像を形成するように該レーザ光を回折する、第1集光手段と、
を有し、
当該制御方法は、
像を照射すべき複数の方向それぞれを示す情報である、制御情報を取得する、制御情報取得ステップと、
前記像が照射される方向を、前記制御情報に基づいて制御する、制御ステップと、
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタフェース装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラなどの画像認識機器とプロジェクタを組み合わせたインタフェース装置が開発されている。これらのインタフェース装置は、物体や手、又は指によるジェスチャーをカメラで読み取る。そして、これらのインタフェース装置は、画像処理によって物体の識別や認識、及びジェスチャーの認識を行い、その結果に応じた情報を、プロジェクタから照射する画像によって与える。また、これらのインタフェース装置は、プロジェクタによって照射される画像に対する手や指によるジェスチャーを読み取って、入力とする。このようなインタフェース装置の例として、非特許文献1〜3に記載されているものが挙げられる。
【0003】
上記のようなインタフェース装置においてプロジェクタは重要な構成要素である。インタフェース装置を小型かつ軽量にするためには、プロジェクタを小型かつ軽量にする必要がある。現在、このような、小型かつ軽量なプロジェクタは、ピコプロジェクタと呼ばれている。非特許文献4〜6には、このようなピコプロジェクタが開示されている。
【0004】
ここで、プロジェクタを小型及び軽量にすることと、プロジェクタの出力を明るくすることは、トレードオフの関係にある。例えば非特許文献4は、出力の明るさがピコプロジェクタの中で最高の部類である一方、大きさもピコプロジェクタの中で最大の部類である。具体的には、このプロジェクタは、体積が 160cc、重量が 200g、である。そして、このプロジェクタは、12W の LED光源で、33lm の光束を出力する。一方、非特許文献5記載のピコプロジェクタは、特許文献4記載のプロジェクタより小型及び軽量であるものの、出力の明るさは特許文献4記載のプロジェクタの半分程度である。具体的には、非特許文献5記載のプロジェクタは、体積が 100cc、重量が 112g、消費電力が 4.5W、かつ明るさは 15lm である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Pranav Mistry、「SixthSense」、MIT Media Lab、[平成25年2月4日検索]、インターネット(URL:http://www.pranavmistry.com/projects/sixthsense)
【非特許文献2】Hrvoje Benko、Scott Saponas、「Omnitouch」、Microsoft、[平成25年2月4日検索]、インターネット(URL: http://research.microsoft.com/en-us/news/features/touch-101711.aspx)
【非特許文献3】NEC、Mobile World Congress 2012、[平成25年2月4日検索]、インターネット(URL: http://www.nec.com/en/event/mwc/movie.html)
【非特許文献4】「Shenzhen YSF社製小型プロジェクタGP-091」、[平成25年2月4日検索]、インターネット(URL:http://trade.e-to-china.com/product-p1A6DEA1/Mini_led_Lcos_projector_GP_091_Portable_home_theater_Projector.html)
【非特許文献5】「Microvision社の小型レーザプロジェクタ」、[平成25年2月4日検索]、インターネット(URL: http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1107/06/news098.html)
【非特許文献6】「Sixthsenseに用いられるプロジェクタの性能」、[平成25年2月4日検索]、インターネット(URL:http://www.picopros.com/article/sixthsense-technology-using-microvision-picop%C2%AE-technology)
【非特許文献7】小館香椎子、神谷武志、「回折光学素子の数値解析とその応用」、丸善出版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、小型及び軽量であるプロジェクタにおいて、複数の場所に対して、明るい像を表示する方法を検討した。前述したように、現在、プロジェクタにおいて、小型及び軽量にすることと、出力を明るくすることは、トレードオフの関係にある。現状のピコプロジェクタは、小型及び軽量なものとするために出力が暗くなっており、近い距離かつ環境光の強さが弱いところでしか使えない。
【0007】
しかし、上述したインタフェース装置の使用範囲は、近距離に限らない。このようなインタフェース装置を、少し離れたところにある物体に情報を表示したり、机の上に画像を出して表示したりするために用いたい場合もある。しかし既存のプロジェクタをこのように照射距離が長い状況で用いる場合、プロジェクタによる出力が暗く、表示された情報を見ることが難しい。
【0008】
ここで、非特許文献3記載の装置は、プロジェクタによる像の照射方向を絞ることで、表示される像を明るくすることができる。しかし、像の照射方向を絞る結果、複数の方向に対して同時に像を表示することができなくなる。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、小型及び軽量であるプロジェクタにおいて、複数の方向に対して同時に明るい像を照射できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が提供するインタフェース装置は、レーザ光を照射するレーザ光源を有するレーザ光照射手段と、像を照射すべき複数の方向それぞれを示す情報である、制御情報を取得する、制御情報取得手段と、前記像が照射される方向を、前記制御情報に基づいて制御する制御手段と、前記レーザ光が入射し、入射時とは非相似の前記像を形成するように該レーザ光を回折する、第1集光手段を有する。
【0011】
本発明が提供する制御方法は、インタフェース装置を制御するコンピュータによって実行される。このインタフェース装置は、レーザ光を照射するレーザ光源を有するレーザ光照射手段と、前記レーザ光が入射し、入射時とは非相似の前記像を形成するように該レーザ光を回折する、第1集光手段を有する。当該制御方法は、像を照射すべき複数の方向それぞれを示す情報である、制御情報を取得する、制御情報取得ステップと、前記像が照射される方向を、前記制御情報に基づいて制御する、制御ステップを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小型及び軽量であるプロジェクタにおいて、複数の方向に対して同時に明るい像を照射できる技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0014】
図1】実施形態1のインタフェース装置を示すブロック図である。
図2】第1集光部によって回折されたレーザ光が形成する像を例示する図である。
図3】既存のプロジェクタとインタフェース装置それぞれによって出射されたレーザ光が拡散していく様子を示す図である。
図4】実施形態1のインタフェース装置による動作の流れを例示するフローチャートである。
図5】実施形態2のインタフェース装置を示すブロック図である。
図6】実施形態2のインタフェース装置の具体的な構成を例示するブロック図である。
図7】選択部の構成を例示する図である。
図8】実施形態2のインタフェース装置によってレーザ光が出射される様子を示す図である。
図9】実施形態3のインタフェース装置を示すブロック図である。
図10】分割部によって分割された部分レーザ光が選択部へ入射する様子を示す図である。
図11】実施形態3のインタフェース装置によってレーザ光が出射される様子を示す図である。
図12】実施形態4のインタフェース装置を示すブロック図である。
図13】実施形態4における第1集光部を例示する図である。
図14】実施形態4のインタフェース装置が像を照射する様子を示す図である。
図15】分割部を有する実施形態4のインタフェース装置が、像を照射する様子を示す図である。
図16】実施形態5のインタフェース装置を示すブロック図である。
図17】実施形態5のインタフェース装置が像を照射する様子を示す図である。
図18】分割部を有する実施形態5のインタフェース装置が像を照射する様子を示す図である。
図19】実施形態6のインタフェース装置を示すブロック図である。
図20】実施形態6のインタフェース装置が像を照射する様子を示す図である。
図21】第2集光部を有する実施形態6のインタフェース装置が像を照射する様子を示す図である。
図22】実施形態7のインタフェース装置を示すブロック図である。
図23】実施形態7のインタフェース装置が像を照射する様子を示す図である。
図24】レーザ光照射部の構成例を示す図である。
図25】実施例1を示す図である。
図26】実施例2を示す図である。
図27】実施例3を示す図である。
図28】実施例4を示す図である。
図29】実施例5を示す図である。
図30】実施例6を示す図である。
図31】実施例6におけるインタフェース装置をさらに説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
なお、以下に示す説明において、各装置の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。各装置の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0017】
[実施形態1]
図1は、実施形態1のインタフェース装置2000を示すブロック図である。図1において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。図1において、実線の矢印はレーザ光の流れを表し、点線の矢印は情報の流れを表す。
【0018】
インタフェース装置2000は、レーザ光照射部2100、制御情報取得部2200、制御部2300、及び第1集光部2400を有する。以下、それぞれについて説明する。
【0019】
<レーザ光照射部2100>
レーザ光照射部2100は、レーザ光を照射するレーザ光源を有する。
【0020】
<制御情報取得部2200>
制御情報取得部2200は、制御情報を取得する。制御情報は、インタフェース装置2000が像を照射すべき複数の方向それぞれを示す情報である。
【0021】
<制御部2300>
制御部2300は、制御情報によって示される複数の方向それぞれへ、インタフェース装置2000から像が照射されるように、インタフェース装置2000を制御する。
【0022】
<第1集光部2400>
第1集光部2400は、レーザ光照射部2100によって照射されたレーザ光が入射する。そして、第1集光部2400は、入射時とは非相似の像を形成するように、レーザ光を回折する。
【0023】
図2は、第1集光部2400によって回折されたレーザ光が形成する像を例示する図である。例えば、第1集光部2400から照射されるレーザ光によって形成される像は、中空の図形である。また例えば、第1集光部2400から照射されるレーザ光によって形成される像は、線状の図形である。また例えば、第1集光部2400から照射されるレーザ光によって形成される像は、中空の図形や線状の図形の組み合わせ(例:文字など)である。これにより、インタフェース装置2000によれば、照射されたレーザ光が均一に拡散していく既存のプロジェクタと異なり、レーザ光の光束が一部に集約された状態で拡散していくため、遠くにある物体に対しても、明るい像が照射される。
【0024】
図3を用いて、既存のプロジェクタによって照射されるレーザ光が形成する像と、インタフェース装置2000によって照射されるレーザ光が形成する像の違いについて説明する。図3は、既存のプロジェクタとインタフェース装置2000それぞれによって照射されたレーザ光が拡散していく様子を示す図である。図において、斜線部分は、光が存在する部分である。図3(a)は、既存のプロジェクタによって照射されたレーザ光が拡散していく様子を示している。通常のプロジェクタの場合、レーザ光が形成する像は円や四角形などであり、かつ像の内部を埋め尽くすように、光が均一に存在する。そして、照射された光は、像の内部に光が均一に存在している状態で拡散していく。
【0025】
一方、図3(b)は、本実施形態のインタフェース装置2000によって照射されたレーザ光が拡散していく様子を示している。ここで、図3(b)に示すように、インタフェース装置2000によって照射されるレーザ光は、第1集光部2400によって回折された結果、中空円などの像を形成する。そのため、インタフェース装置2000から照射されたレーザ光は、図3(a)の場合よりも、狭い領域に光束が集約された状態で拡散していく。その結果、インタフェース装置2000の場合、既存のプロジェクタの場合よりも、像を形成する光の、光束の密度が大きくなる。したがって、インタフェース装置2000の場合、既存のプロジェクタの場合よりも、照射されるレーザ光によって形成される像が明るくなる。
【0026】
第1集光部2400は例えば、透明な材料の表面に波長レベルの細かな凹凸が設けられた回折光学素子である。この回折光学素子は、レーザ光が図2に例示したような像を形成するように、入射したレーザ光を回折する。このような回折光学素子によってレーザ光を回折することで、理論上、どのような像も形成できる。このような回折光学素子については、例えば非特許文献7に詳しく説明されている。そのため、ここでは説明を省略する。
【0027】
<処理の流れ>
図4は、実施形態1のインタフェース装置2000による動作の流れを例示するフローチャートである。
【0028】
ステップS102において、制御情報取得部2200は、制御情報を取得する。ステップS104において、制御部2300は、制御情報に基づいて、インタフェース装置2000からレーザ光が照射される方向を制御する。ステップS106において、レーザ光照射部2100は、レーザ光を照射する。ステップS108において、第1集光部2400は、入射したレーザ光を回折して照射する。
【0029】
なお、インタフェース装置2000による動作の流れは、上述した流れに限定されない。例えば、レーザ光照射部2100がレーザ光を照射した後に、制御部2300による制御を行ってもよい。
【0030】
<作用・効果>
本実施形態のインタフェース装置2000によれば、レーザ光照射部2100から照射されたレーザ光を、第1集光部2400によって回折することで、像を照射する。ここで、第1集光部2400は、入射時とは非相似の像を形成するように、レーザ光を回折する。その結果、インタフェース装置2000の場合、既存のプロジェクタよりも、照射するレーザ光によって形成される像の光の密度が大きくなる。したがって、インタフェース装置2000の場合、既存のプロジェクタよりも、照射されるレーザ光によって形成される像が明るくなる。
【0031】
例えば日本において法的に認められているクラス2のレーザの場合、レーザの出力はわずか1mWと小さい。そのため、例えば緑色のレーザ光の場合、光束は 0.68lm 程度である。しかし、これが 1cm 角の中に照射された場合、照度は 6800lx にもなる。インタフェース装置2000は、このように、レーザ光を一部の領域に集中させるように照射するため、インタフェース装置2000によって照射される像は明るい。
【0032】
さらに、制御部2300は、制御情報取得部2200が取得する制御情報によって示される複数の方向へレーザ光を照射するように、インタフェース装置2000を制御する。したがって、インタフェース装置2000によれば、複数の方向それぞれに、レーザ光を照射することができる。
【0033】
さらに、インタフェース装置2000は構造がシンプルであるため、小型及び軽量にできる。
【0034】
また、インタフェース装置2000が、図2に示すような比較的シンプルな像を表示する場合、レーザ光照射部2100は、単色のレーザ光源のみを有すればよい。そのため、消費電力が小さい。
【0035】
また、本実施形態のインタフェース装置2000は、映像等を表示する既存のプロジェクタと異なり、図2に示したような像を照射する。ここで一般的に、映像等を表示する既存のプロジェクタは、レーザ光の平面形状を、画像を構成する画素の形状に合わせるため、レーザ光源から照射される略円形のビーム形状を、短形に変換する。そして、この変換の際に、レーザ光の強度が低下する。場合によっては、この変換により、レーザ光の強度が、20〜30%減少する。
【0036】
一方、インタフェース装置2000は、図2に示したような像を照射するため、既存のプロジェクタのように、ビーム形状を変換する必要がない。そのため、インタフェース装置2000によれば、既存のプロジェクタと比較し、装置内部におけるレーザ光の強度低下が小さい。ただし、インタフェース装置2000は、レーザ光照射部2100から出力されるレーザ光を、短形に変換する構成を有しても構わない。
【0037】
なお、インタフェース装置2000はレーザ光を照射するため、焦点調節が不要である。したがって、インタフェース装置2000は、例えばモバイル機器への適用に好適である。
【0038】
[実施形態2]
図5は、実施形態2のインタフェース装置2000を示すブロック図である。図5において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。図5において、実線の矢印はレーザ光の流れを表し、点線の矢印は情報の流れを表す。
【0039】
<第1集光部2400>
実施形態2において、第1集光部2400は、複数の回折領域2420を有する。複数の回折領域2420には、それぞれレーザ光が入射する。そして、各回折領域2420は、互いに独立した像を形成するように、レーザ光を回折する。
【0040】
<制御情報取得部2200>
制御情報取得部2200が取得する制御情報は、レーザ光を入射させるべき回折領域2420を示す。
【0041】
<制御部2300>
制御部2300は、制御情報によって示される回折領域2420にレーザ光が入射するように、インタフェース装置2000を制御する。レーザ光をどの回折領域2420へ入射させるかによって像が照射される方向が決まるため、インタフェース装置2000は、制御情報に示されている回折領域2420へレーザ光を入射させることで、所望の方向へ像を投射することができる。
【0042】
例えば実施形態2のインタフェース装置2000の具体的構成は、図6示す構成である。以下、詳しく説明する。
【0043】
<選択部2500>
図6に示すインタフェース装置2000は、選択部2500を有する。選択部2500は、複数の開口2510を有する。各開口2510は、レーザ光照射部2100によって照射されたレーザ光の一部が入射し、入射したレーザ光をそれぞれフィルタリングする。ここで、「フィルタリングする」とは、入射したレーザ光を出射すること及び遮断することのいずれかを、選択的に行うことを意味する。各開口2510が出射するレーザ光は、それぞれ異なる回折領域2420に入射する。ここで、開口2510が出射したレーザ光を、部分レーザ光と表記する。回折領域2420は、入射した部分レーザ光を回折する。
【0044】
選択部2500は、例えば二次元変調素子である。二次元変調素子は、例えば、透過型の液晶パネル、反射型液晶、又は Digital Micromirror Device (DMD) などである。
【0045】
レーザ光照射部2100によって照射されたレーザ光は、全ての開口2510に入射する。例えば、インタフェース装置2000は、レーザ光照射部2100から照射されたレーザ光が、全ての開口2510に入射するように、レーザ光照射部2100によるレーザ光の照射角度や、レーザ光照射部2100と開口2510との距離が設計されている。その他にも例えば、インタフェース装置2000は、レーザ光照射部2100によって照射されたレーザ光が、全ての開口2510に入射するように、レーザ光の拡散角度を変更する光学素子を有していてもよい。また、この光学素子は、レーザ光照射部2100の内部に組み込まれていてもよい。
【0046】
図7は、選択部2500の構成を例示する図である。図7において、選択部2500は、格子状の液晶パネルである。図7において、選択部2500は、開口2510−1〜4を有している。制御部2300は、制御情報が示す方向へレーザ光を照射する回折領域2420に対して、選択部2500から部分レーザ光が照射されるように、選択部2500を制御する。具体的には、制御部2300は、開口2510−1〜4のそれぞれが、レーザ光を出射するか否かを設定する。また、図7において、ブラックマトリクス2520は、画素間の光漏れを防いでコントラストを向上させる目的で設けられる枠である。
【0047】
<制御部2300>
制御部2300は、制御情報によって示される回折領域2420に対して部分レーザ光を出射する開口2510が、部分レーザ光を出射するように、選択部2500を制御する。この場合、例えばインタフェース装置2000は、回折領域2420と、その回折領域2420へレーザ光を出射する開口2510との対応付ける対応情報をさらに取得する。なお、この対応情報は、インタフェース装置2000の内部に格納されていてもよいし、インタフェース装置2000の外部に格納されていてもよい。
【0048】
また、制御情報は、部分レーザ光を出射すべき開口2510を示すことで、レーザ光が入射されるべき回折領域2420を示してもよい。この場合、制御部2300は、制御情報によって示されている開口2510が、部分レーザ光を出射するように、選択部2500を制御する。
【0049】
図8を用いて、実施形態2のインタフェース装置2000による像の照射の流れを説明する。図8において、点線はレーザ光を表している。レーザ光照射部2100から照射されたレーザ光100は、選択部2500へ入射する。ここで、選択部2500は、制御情報に基づき、制御部2300によって制御される。これにより、選択部2500は、一部の開口2510がレーザ光を出射し、残りの開口2510がレーザ光を遮断する。これにより、部分レーザ光110、120、及び130が形成される。そして、部分レーザ光110〜130は、それぞれ回折領域2420に入射し、回折領域2420によって回折される。回折領域2420によって回折された部分レーザ光110〜130はそれぞれ、制御情報によって示される方向のいずれかに照射される。ここで、図8における星印は、回折領域2420を通過した部分レーザ光110〜130それぞれによって形成される像である。
【0050】
なお、図8において、選択部2500と第1集光部2400との間に隙間が設けられている。しかし、これは図を見やすくするために設けた隙間であり、インタフェース装置2000を実装する際、この隙間は不要である。
【0051】
<作用・効果>
実施形態2のインタフェース装置2000によれば、どの回折領域2420にレーザ光を入射させるかを制御するという単純な方法で、像を照射する方向を制御できる。例えば、インタフェース装置2000は、レーザ光を通過させる開口2510を選択することで、レーザ光を通過させる回折領域2420を選択する。このように単純な制御を行う制御部2300は、シンプルな機構で実装することができる。また、前述したように、第1集光部2400と選択部2500とは、密着させて実装することができる。これらのことから、インタフェース装置2000が小型及び軽量になる。また、制御部2300がシンプルな機構で実装できるため、インタフェース装置2000は消費電力が小さい。
【0052】
[実施形態3]
図9は、実施形態3のインタフェース装置2000を示すブロック図である。図9において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。図9において、実線の矢印はレーザ光の流れを表し、点線の矢印は情報の流れを表す。
【0053】
実施形態2のインタフェース装置2000において、選択部2500が有する領域のうち、開口2510以外の領域に入射したレーザ光は、選択部2500を通過することがない。例えば図7に示す液晶パネルは、画素間の光漏れを防いでコントラストを向上させるため、ブラックマトリクス2520が設けられている。そして、ブラックマトリクス2520に入射したレーザ光は、選択部2500を通過することができないため、ロスとなる。また、ブラックマトリクス2520の端の部分でレーザ光が回折を起こし、本来の進行方向とは別の方向に光が進む、いわゆる迷光が発生する。このような迷光の発生により、レーザ光の強度は低下する。
【0054】
そこで、実施形態3のインタフェース装置2000は、分割部2600を有する。分割部2600は、選択部2500に入射するレーザ光が、各開口2510のみに入射するように、レーザ光照射部2100から照射されたレーザ光を分割し、複数の部分レーザ光を形成する。各部分レーザ光は、それぞれ異なる開口2510に対して入射する。これにより、選択部2500が有する領域のうち、開口2510以外の部分にレーザ光が入射することによるロスを防ぐことができる。例えば、分割部2600は、回折光学素子である。
【0055】
図10は、分割部2600によって分割された部分レーザ光200が、選択部2500へ入射する様子を示す図である。部分レーザ光200は、ブラックマトリクス2520へは入射せず、開口2510−1に入射している。そのため、レーザ光がブラックマトリクス2520に入射することによる、レーザ光のロスが発生しない。なお、図10では、図が煩雑になるのを避けるため、開口2510−1へ入射する部分レーザ光200のみを示している。実際には、開口2510−2、開口2510−3、及び開口2510−4に対しても、それぞれ異なる部分レーザ光200が入射する。
【0056】
図11は、実施形態3のインタフェース装置2000によって像が照射される様子を示す図である。図11において、点線はレーザ光を表している。レーザ光照射部2100によって照射されたレーザ光100は、分割部2600によって分割される。その結果、複数の部分レーザ光200が形成される。そして、複数の部分レーザ光200は、選択部2500へ入射する。選択部2500は、一部の部分レーザ光200を出射し、残りの部分レーザ光200を遮断する。選択部2500から出射された部分レーザ光は、図8を用いて説明した実施形態2のインタフェース装置2000の場合と同様に処理される。
【0057】
<作用・効果>
実施形態3のインタフェース装置2000によれば、レーザ光照射部2100から照射されたレーザ光が、選択部2500が有する領域のうち、開口2510のみに入射する。これにより、レーザ光を通過させることができない領域にレーザ光が入射することによるロスが発生しない。また、開口2510と開口2510以外の領域との境目で迷光が生じることを防ぐことできる。したがって、実施形態3のインタフェース装置2000によれば、レーザ光の強度が低下することを防げるため、インタフェース装置2000によって照射される像がより明るくなる。
【0058】
[実施形態4]
図12は、実施形態4のインタフェース装置2000を示すブロック図である。図12において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。図12において、実線の矢印はレーザ光の流れを表し、点線の矢印は情報の流れを表す。
【0059】
<第1集光部2400>
実施形態4の第1集光部2400は、位置が可変である。また、第1集光部2400が有する複数の回折領域2420は、それぞれ以下のように構成される。
【0060】
回折領域2420は、レーザ光がそれぞれ入射する複数の部分領域2422を有する。部分領域2422はそれぞれ、入射した部分レーザ光が異なる像を形成するように、部分レーザ光を回折する。
【0061】
図13は、実施形態4における第1集光部2400を例示する図である。第1集光部2400は、複数の回折領域2420を有する。さらに、回折領域2420は、Aという像を形成する部分領域2422−1、Bという像を形成する部分領域2422−2、Cという像を形成する部分領域2422−3、及びDという像を形成する部分領域2422−4という、4つの部分領域2422を有する。したがって、部分レーザ光がどの部分領域2422を通過するかによって、インタフェース装置2000によって照射される像が変化する。
【0062】
なお、図13において、図が煩雑になることを避けるため、符号2422−1〜4を、左上の回折領域2420が有する部分領域2422のみに付している。また、説明のために、部分領域2422間及び回折領域2420間に隙間が設けられている。しかし第1集光部2400を実装する際、この隙間は不要である。
【0063】
<制御情報取得部2200>
制御情報取得部2200が取得する制御情報は、部分レーザ光を入射させるべき部分領域2422をさらに示す。なお、制御情報は、部分レーザ光を入射させるべき部分領域2422を、インタフェース装置2000が照射すべき像の形状で示してもよい。この場合、インタフェース装置2000は、部分領域2422と、部分領域2422によって形成される像の形状とを対応付ける対応情報をさらに取得する。なお、この対応情報は、インタフェース装置2000の内部に格納されていてもよいし、インタフェース装置2000の外部に格納されていてもよい。
【0064】
<制御部2300>
制御部2300は、制御情報によって示される回折領域2420及び部分領域2422に対して、部分レーザ光が入射するように、選択部2500及び第1集光部2400を制御する。具体的には、制御部2300は、制御情報によって示される回折領域2420に対して部分レーザ光を出射する、開口2510を選択する。そして、選択した開口2510がレーザ光を出射するように、選択部2500を制御する。また、制御部2300は、第1集光部2400の位置を制御することで、選択した開口2510が出射したレーザ光を、制御情報が示す部分領域2422に入射させる。
【0065】
例えば第1集光部2400が、図13に示す第1集光部2400であるとする。そして、第1集光部2400の位置が初期状態にある場合、開口2510から出射されて回折領域2420に入射する部分レーザ光は、部分領域2422−1に入射するとする。第1集光部2400の位置が初期状態の場合、インタフェース装置2000はAという像を照射する。
【0066】
例えば制御部2300は、第1集光部2400の位置を左に移動することで、開口2510から出射された部分レーザ光が、部分領域2422−2に入射するようにする。これにより、インタフェース装置2000は、Bという像を照射する。また、例えば制御部2300は、第1集光部2400の位置を下に移動することで、開口2510から出射された部分レーザ光が、部分領域2422−3に入射するようにする。これにより、インタフェース装置2000は、Cという像を照射する。
【0067】
図14は、実施形態4のインタフェース装置2000が像を照射する様子を示す図である。図14において、点線はレーザ光を表している。図14において、第1集光部2400の斜線部分と白塗り部分は、それぞれ異なる部分領域2422を表している。レーザ光は、部分領域2422によって回折された後、インタフェース装置2000から照射される。制御部2300は、第1集光部2400の位置を変更することで、部分レーザ光が入射する部分領域2422を変更する。こうすることで、インタフェース装置2000によって照射される像が変化する。
【0068】
第1集光部2400に入射するレーザ光は例えば、複数の回折領域2420それぞれについて、1つの部分領域2422に入射する。この場合、例えば各開口2510は、出射する部分レーザ光が1つの部分領域2422を通過するように設計されている。その他にも例えば、実施形態4のインタフェース装置2000は、図15に示すように、分割部2600を用いてレーザ光を分割してもよい。分割部2600は、形成する部分レーザ光が、複数の回折領域2420それぞれについて、1つの部分領域2422を通過するように、レーザ光を分割する。
【0069】
<作用・効果>
実施形態4のインタフェース装置2000によれば、第1集光部2400の位置をわずかに変更するだけで、インタフェース装置2000から照射される像を変更することができる。そのため、インタフェース装置2000に、照射される像を切り替えるための複雑な機構を導入する必要がない。そのため、インタフェース装置2000を大型化せずに、照射される像を切り替える機構を、インタフェース装置2000に導入することができる。
【0070】
例えば、インタフェース装置2000を小売店において利用する場合を想定する。小売店では、雑誌、飲料、パン類、又は雑貨など、種々の商品が販売されており、これらに対して、それぞれ異なる像を照射することが考えられる。このような場合でも、実施形態4のインタフェース装置2000によれば、第1集光部2400の位置をわずかにずらして、レーザ光が通過する部分領域2422を変更することで、対応することができる。
【0071】
[実施形態5]
図16は、実施形態5のインタフェース装置2000を示すブロック図である。図16において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。図16において、実線の矢印はレーザ光の流れを表し、点線の矢印は情報の流れを表す。
【0072】
<第2集光部2700>
実施形態5のインタフェース装置2000は、第2集光部2700を有する。第2集光部2700は、レーザ光照射部2100から照射されたレーザ光が、選択部2500に入射する前に、レーザ光の拡散角度を小さくする。例えば第2集光部2700は、レーザ光が選択部2500に対して略垂直に入射するように、レーザ光照射部2100から照射されたレーザ光の拡散角度を小さくする。
【0073】
<第1集光部2400>
第1集光部2400は、入射した方向とは異なる方向にレーザ光を照射する。そのため、各回折領域2420は、それぞれ異なる方向へレーザ光を照射する。
【0074】
図17は、実施形態5のインタフェース装置2000が像を照射する様子を示す図である。レーザ光照射部2100から照射されたレーザ光は、第2集光部2700により、拡散角度が小さくなる。図17では、第2集光部2700によって、レーザ光の拡散角度がほぼ0となっている。そして、選択部2500によって、レーザ光がフィルタリングされる。さらに、選択部2500から出射された部分レーザ光は、第1集光部2400によって回折され、インタフェース装置2000から照射される。ここで、各回折領域2420は、レーザ光の進行方向を変更する。これにより、レーザ光110〜130はそれぞれ、制御情報によって示される各方向へ進む。
【0075】
なお、図18に示すように、実施形態5のインタフェース装置2000は、分割部2600を有してもよい。分割部2600は、第2集光部2700によって拡散角度を小さくされたレーザ光を分割する。
【0076】
<作用・効果>
実施形態5のインタフェース装置2000によれば、第2集光部2700によって、レーザ光の拡散角度が小さくなるため、選択部2500や第1集光部2400のサイズを小さくすることができる。そのため、インタフェース装置2000を小型化することができる。
【0077】
また、図18に示すように、実施形態5のインタフェース装置2000が分割部2600を有すれば、選択部2500を通過する際にレーザ光の強度が小さくなることを防ぐことができるため、インタフェース装置2000によって照射される像が更に明るくなる。
【0078】
[実施形態6]
図19は、実施形態6のインタフェース装置2000を示すブロック図である。図19において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。図19において、実線の矢印はレーザ光の流れを表し、点線の矢印は情報の流れを表す。
【0079】
<第1集光部2400>
実施形態6において、第1集光部2400は回折領域2420を少なくとも1つ有する。
【0080】
<選択部2500>
実施形態6の選択部2500は、実施形態2のインタフェース装置2000同様に、複数の開口2510を有する。これにより、複数の部分レーザ光が、選択部2500から出射される。ただし、各開口2510を通過した部分レーザ光は、後述する方向変更部2800によって進行方向を変更されることにより、異なる方向から同一の回折領域2420に入射する。
【0081】
<方向変更部2800>
実施形態6のインタフェース装置2000は、方向変更部2800を有する。方向変更部2800は、選択部2500が出射した部分レーザ光の進行方向を変更することで、各部分レーザ光を、異なる方向から、回折領域2420へ入射させる。方向変更部2800は、例えば光学素子である。
【0082】
<制御情報取得部2200>
制御情報取得部2200は、部分レーザ光を出射すべき開口2510を示す。
【0083】
<制御部2300>
制御部2300は、制御情報によって示される開口2510がレーザ光を出射するように、選択部2500を制御する。ここで、開口2510から出射された各部分レーザ光は、方向変更部2800によって、それぞれ異なる方向から回折領域2420に入射される。そのため、各部分レーザ光によって形成される像は、それぞれ異なる方向に照射される。
【0084】
そこで、制御部2300は、部分レーザ光を出射する開口2510を選択することで、像の照射方向を選択する。具体的には、制御部2300は、制御情報が示す方向へ進行する部分レーザ光を出射する開口2510が、部分レーザ光を出射するように、選択部2500を制御する。
【0085】
図20は、実施形態6のインタフェース装置2000が像を照射する様子を示す図である。レーザ光照射部2100から照射されたレーザ光は、選択部2500によってフィルタリングされる。さらに、選択部2500を通過したレーザ光は、方向変更部2800によって進行方向が変更され、第1集光部2400へ入射する。ここで、選択部2500を通過した複数のレーザ光110〜130は、同一の回折領域2420へ入射する。そして、各レーザ光はそれぞれ、回折領域2420から照射され、制御情報によって示される各方向へ進む。
【0086】
なお、図21に示すように、実施形態6のインタフェース装置2000は、第2集光部2700を有してもよい。選択部2500には、第2集光部2700によって、拡散角度が小さくなったレーザ光が入射する。
【0087】
<作用・効果>
実施形態6のインタフェース装置2000によれば、選択部2500から出射された各部分レーザ光は、異なる方向から、第1集光部2400が有する1つの回折領域2420に入射する。これにより、第1集光部2400を小型化することができる。これにより、インタフェース装置2000を小型かつ安価にすることができる。
【0088】
また、図21に示すように、実施形態6のインタフェース装置2000が第2集光部2700を有すれば、インタフェース装置2000をさらに小型化することができる。
【0089】
[実施形態7]
図22は、実施形態7のインタフェース装置2000を示すブロック図である。図22において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。図22において、実線の矢印はレーザ光の流れを表し、点線の矢印は情報の流れを表す。
【0090】
<第1集光部2400>
実施形態7において、第1集光部2400は回折領域2420を少なくとも1つ有する。
【0091】
<レーザ光照射部2100>
実施形態7のインタフェース装置2000は、レーザ光照射部2100を複数有する。各レーザ光照射部2100は、それぞれ異なる方向、かつ同一の回折領域2420を通過する方向に、レーザ光を照射する。
【0092】
<制御部2300>
制御部2300は、レーザ光照射部2100を制御する。具体的には、制御部2300は、制御情報によって示される方向へレーザ光を照射するレーザ光照射部2100に、レーザ光を照射させる。
【0093】
図23は、実施形態7のインタフェース装置2000が像を照射する様子を示す図である。図23において、点線はレーザ光を表している。インタフェース装置2000は、レーザ光照射部2100−1〜4という、4つのレーザ光照射部2100を有している。例えば制御部2300は、制御情報に従い、4つのレーザ光照射部2100のうち、レーザ光照射部2100−1及びレーザ光照射部2100−4に、レーザ光を照射させる。レーザ光照射部2100−1及びレーザ光照射部2100−4から照射されたレーザ光は、第1集光部2400が有する回折領域2420をそれぞれ通過する。そして、各レーザ光はそれぞれ、回折領域2420から照射され、制御情報によって示される各方向へ進む。
【0094】
<作用・効果>
実施形態7のインタフェース装置2000によれば、インタフェース装置2000をよりシンプルな構成で実装することができる。
【0095】
[実施形態8]
実施形態8に係るインタフェース装置2000は、下記の点を除き、実施形態1〜7のインタフェース装置2000のいずれかと同様の構成である。
【0096】
<レーザ光照射部2100>
実施形態8のレーザ光照射部2100は、異なる色のレーザ光を照射する、複数のレーザ光源2120を有する。そして、レーザ光照射部2100は、複数のレーザ光源2120から照射されたレーザ光を合成したレーザ光を照射する。
【0097】
図24は、レーザ光照射部2100の構成例を示す図である。図24において、レーザ光照射部2100は、それぞれ異なる色のレーザ光を照射するレーザ光源2120−1及び2120−2を有している。また、レーザ光照射部2100は、光学素子2160−1及び2160−2、及びダイクロックミラー2140を有している。レーザ光源2120−1から照射されたレーザ光は、光学素子2160−1を通して、ダイクロックミラー2140に入射する。また、レーザ光源2120−2から照射されたレーザ光は、光学素子2160−2を通して、ダイクロックミラー2140に入射する。そして、ダイクロックミラー2140は、2つのレーザ光を合成して、レーザ光照射部2100の外部に照射する。
【0098】
なお、レーザ光照射部2100が有するレーザ光源の数は、2つに限定されない。例えば、レーザ光照射部2100は、赤色のレーザ光を照射するレーザ光源、青色のレーザ光を照射するレーザ光源、及び緑色のレーザ光を照射するレーザ光源を有する。
【0099】
<制御情報取得部2200>
制御情報取得部2200が取得する制御情報は、インタフェース装置2000が照射すべきレーザ光の色を示す。
【0100】
<制御部2300>
制御部2300は、レーザ光照射部2100から照射されるレーザ光の色が、制御情報によって示される色のレーザ光になるように、複数のレーザ光源2120のうち、1つ以上のレーザ光源2120から、レーザ光を照射させる。
【0101】
なお、色が異なる複数の像が同時に照射されたように見せるためには、インタフェース装置2000による各像の照射を時分割で行えばよい。
【0102】
<作用・効果>
実施形態8によれば、制御情報によって示される色のレーザ光が照射される。これにより、像の多色表示が実現できる。そのため、インタフェース装置2000のユーザに対して、情報を、より見やすく出力することができる。
【0103】
<実施例>
以下、インタフェース装置2000の実施例について説明する。ここで、インタフェース装置2000を実際に利用する場合、例えばインタフェース装置2000は、入力された情報に従って制御情報を生成する機能をさらに有してもよい。ただし、入力された情報に従って制御情報を生成する機能は、インタフェース装置2000の外部に設けられてもよい。インタフェース装置2000は、入力された情報に従って生成された制御情報に基づいて、所望の像を照射する。
【0104】
以下の各実施例におけるインタフェース装置2000は、入力された情報に従って制御情報を生成する機能を有しているとする。例えばインタフェース装置2000には、カメラなどの撮像素子による撮像、3次元深度検出素子による3次元的な物体の撮像などによって、物体やその動きなどの情報が入力される。ここで言う物体とは、本、食料品、又は医薬品のような商品であったり、人間の身体、手、又は指であったりする。また、インタフェース装置2000には、光学センサや赤外センサなどによって、人や物の動きなどの情報が入力される。その他にも例えば、インタフェース装置2000には、電子コンパス、GPS (Global Positioning System)、振動センサ、又は傾きセンサなどにより、インタフェース装置2000自体の状態を示す情報が入力される。また、インタフェース装置2000には、無線の受信機によって、環境に関する情報が入力される。環境に関する情報は、例えば、天気情報や交通情報、店舗内での位置情報や商品情報などである。ここで、インタフェース装置2000による像の照射が先に行われ、照射された像に基づいた入力が行われる場合もある。
【0105】
なお、インタフェース装置2000を利用する国や地域において、レーザ光の出力に関する規制がある場合、インタフェース装置2000は、出力されるレーザ光の強さを調整する機能を有していることが好ましい。例えば日本で利用する場合、インタフェース装置2000から出力される各レーザ光の強さは、クラス2以下の強さに制限されることが好ましい。
【0106】
以下、インタフェース装置2000の実施例を具体的に説明する。
【0107】
<<実施例1>>
図25は、インタフェース装置2000を、書店やコンビニエンスストアなどにおける商品入れ替え作業を支援するために利用する実施例を示す図である。図25における商品は、雑誌1403である。天井1401にインタフェース装置2000が設置され、雑誌棚1402に雑誌1403が置かれている。雑誌には、週刊、月刊、又は季刊など、決められた期間のみ棚に置くものがある。そのため店舗では、このような雑誌の入れ替え作業が頻繁に行われる。この作業は通常、店員などの作業担当者が行う。例えば作業担当者は、返本対象の雑誌をリストアップした返本リストを持ち、雑誌棚に置かれている各雑誌の表紙と返本リストとを見比べながら、入れ替えるべき雑誌を選別していく。この作業は、この作業に慣れている店員にとっても、労力を要する作業である。
【0108】
インタフェース装置2000によれば、このような商品入れ替え作業にかかる労力が大きく減る。実施例1におけるインタフェース装置2000は、雑誌1403の表紙を撮像するカメラを有する。インタフェース装置2000は、カメラによって撮像された各表紙を解析することで、返却期限が迫っている雑誌1403、又は返却期限が過ぎている雑誌1403を選び出す。本実施例のインタフェース装置2000は、選び出した雑誌1403の方向を示す制御情報を生成する。そしてインタフェース装置2000は、制御情報に示されている雑誌1403の方向に、作業担当者の注意を促す像を照射する。図25では、対象の雑誌1403の表紙に、返本表示マーク1404が照射されている。
【0109】
インタフェース装置2000の特長である明るい像の表示により、書店やコンビニエンスストアなど、環境光が非常に明るい場所でも、十分な視認性を持って返本表示マーク1404が表示される。ここで、インタフェース装置2000は、返却期限が迫っている雑誌の表紙と、返却期限が過ぎている雑誌の表示とに、それぞれ別のマークを照射することも可能である。
【0110】
このようにインタフェース装置2000を利用することで、作業担当者は、返本表示マーク1404を頼りに本を回収するという簡単な作業で、商品の入れ替えを行うことができる。返本リストのような資料を持つ必要がないため、両手を使うことができ、作業効率は格段に高まる。
【0111】
なお、インタフェース装置2000に対して情報を入力する方法は、カメラによる撮像以外の方法でもよい。例えば、各雑誌1403に IC タグを埋め込んでおき、雑誌棚1402に、ICタグリーダ、及び IC タグリーダが読み取った情報を送信する装置を備えておく。そして、インタフェース装置2000に、この装置から送信された情報を取得する機能を設ける。こうすることで、インタフェース装置2000は、各雑誌1403に埋め込まれた IC タグから取得された情報を入力として受け取り、その情報に基づいて、制御情報を生成することできる。
【0112】
<<実施例2>>
図26は、インタフェース装置2000を、棚に置かれている複数の物品の中から対象の物品を選び出す作業を支援する目的で利用する実施例を示す図である。例えば薬局において、店員は、顧客から渡された処方箋を見て、棚に置かれている複数の薬の中から、目的の薬を選び出す。また、工場において、作業員は、棚に置かれている複数の部品から、目的の部品を選び出す。例えばこのような棚には、数十個や数百個といった引き出しが設けられている。そのため作業員は、各引き出しに貼られたラベル等を頼りに、大量の引き出しの中から、目的の物品が入っている引き出しを選び出さなければいけない。
【0113】
本実施例のインタフェース装置2000は、このような作業を支援する。なお、本実施例において、作業員は、モバイル機器に組み込まれたインタフェース装置2000を用いることが考えられる。例えば、作業員は、このモバイル機器を首からさげて使用する。前述した通り、インタフェース装置2000は小型であるため、モバイル機器に組み込むことが可能である。
【0114】
実施例1と同様に、インタフェース装置2000にはカメラが備えられており、このカメラから情報が入力される。薬局における利用を想定して説明する。まずインタフェース装置2000には予め、処方箋から得たデータが入力される。そして、作業員1501が薬品棚1502の前に立つと、インタフェース装置2000は、カメラを用いて各引き出し1502に貼られているラベルを読み取る。そして、インタフェース装置2000は、処方箋から得たデータと、カメラから読み取ったラベルとを比較することで、像を照射すべき引き出し1502の方向を示す、制御情報を生成する。そして、インタフェース装置2000は、制御情報に従い、引き出し1502に向けて表示マーク1503を照射する。
【0115】
インタフェース装置2000を用いれば、作業員は、表示マーク1503が照射された引き出しを開けるだけで、目的の物品を得ることができる。大量の引き出しの中から目的の引き出しを探したり、作業効率を上げるために引き出しの位置を覚えたりする必要がない。また、物品を取り間違えるといった、人為的なミスが軽減される。さらに、上述の例における処方箋のような、目的の物品を記したメモ等を持つ必要が無くなるため、実施例1と同様に、作業員は両手を使うができる。そのため、作業効率が高まる。
【0116】
なお、インタフェース装置2000が情報の入力を受け付ける方法は、実施例1と同様に IC タグなどを利用した方法でもよい。
【0117】
<<実施例3>>
図27は、インタフェース装置2000を、会議室におけるプレゼンテーションを支援するために用いる実施例を示す図である。通常、会議室においてプレゼンテーションが行われる場合、スクリーンに画像を照射するプロジェクタの操作を1台の PC (Personal Computer) で行う。プレゼンターは、その PC を操作しながら話を進める。画像の切替えはマウスクリックなどで行われる。広い会議室では、プレゼンターが PC から離れた位置に立つことも多く、PC を操作するために移動を伴う。PC を操作する度にプレゼンターが移動することは、プレゼンターにとって煩わしい上、会議進行の妨げにもなる。
【0118】
インタフェース装置2000を用いることで、このような煩わしさを軽減し、かつ会議の進行をスムーズにすることができる。天井1601に、会議室の大きさに応じて単数または複数のインタフェース装置2000を設置する。インタフェース装置2000は、カメラを用いて、情報の入力を受け付ける。例えばインタフェース装置2000は、会議に参加している各参加者の動作を監視し、参加者の希望に応じて、像1602〜1606などを会議机上に照射する。参加者は、手のひらを上に向けるなど、予め定めたジェスチャーを行うことで、自身の希望を提示する。インタフェース装置2000は、カメラを用いてこの動作を検知する。そして、インタフェース装置2000は、検知したジェスチャーに基づいて、照射すべき像及び照射すべき方向を示す制御情報を生成する。そして、この制御情報に従って、参加者の希望に応える像を照射する。
【0119】
像1602は、メニュー選択画面である。この中の所望のボタンをセレクトすることにより、像1603〜1606の画像を選ぶことができる。例えば像1603は、頁を進めたり戻したりするボタンを示している。像1604及び像1605は、マウスパッドを示している。また、像1606はテンキーを示している。例えばインタフェース装置2000は、カメラを用いて、会議参加者による、これらの像に対する操作を検知する。例えば、参加者が、ページを進めるボタンを押す動作を行った場合、インタフェース装置2000は、PC に対して、ページを進める指示を送信する。PC はこの指示を受けて、ページを進める。なお、像に対する参加者の操作を検知する機能や、PC に対して指示を送信する機能は、インタフェース装置2000の外部に設けられても構わない。
【0120】
このように、インタフェース装置2000を用いることで、ジェスチャーによる情報の入力と、像を用いた情報の出力とによる、バーチャルなインタフェース環境を提供することができる。会議参加者は、椅子から立ち上がることなく、好きなときに画面の操作を行うことができる。そのため、会議の時間短縮及び効率化がなされる。
【0121】
<<実施例4>>
図28は、モバイル機器に組み込まれたインタフェース装置2000を利用することにより、移動先で会議環境を構築する実施例を示す図である。例えば、会議室以外の部屋、テントの中、又は木の下などの色々な場所を、簡易的な会議場所にすることが考えられる。実施例4では、地図を広げて情報共有を行うために、簡易的な会議環境を構築している。なお、実施例4のインタフェース装置2000も、カメラを用いて情報の入力を受け付ける。
【0122】
インタフェース装置2000が組み込まれたモバイル機器を、やや高い位置に吊す。インタフェース装置2000の下に置いた机1701の上に地図1702を広げる。インタフェース装置2000は、カメラを用いて地図1702を認識する。例えばインタフェース装置2000は、地図に付された識別コード1703を読み取ることで、地図1702を認識する。そして、インタフェース装置2000は、地図1702上に像を照射することで、色々な情報を地図上に照射表示させる。例えば、インタフェース装置2000は、操作用パッド1704、味方側の船1705、敵側の陣地1706、及び敵側の船1707を照射する。インタフェース装置2000が照射すべき情報は、インタフェース装置2000の内部に格納されていてもよいし、インターネットや無線を介して収集されてもよい。
【0123】
前述したように、インタフェース装置2000は、消費電力が小さく、かつ小型である。そのため、インタフェース装置2000は、電蓄駆動が可能である。その結果、インタフェース装置2000のユーザは、インタフェース装置2000を様々な場所へ持ち運び、その場所で上述した様な会議環境を構築できる。なお、インタフェース装置2000が照射する像は焦点調整が不要であるため、湾曲した場所や凸凹したものの上にでも、見やすい像を照射することができる。また、インタフェース装置2000によれば、明るい表示が可能であるため、明るい環境でも使うことができる。つまり、環境を選ばないという、モバイル利用における必須な要件を満たしていることになる。
【0124】
<<実施例5>>
図29は、インタフェース装置2000を入出管理システムに応用する実施例を示す図である。例えば、家庭において、玄関の天井や軒先などに設置したインタフェース装置2000が、人間及びその動作を監視して対応する。
【0125】
入室管理に関しては、入室資格のある人間について、あらかじめデータベースを作成しておく。入室の際、インタフェース装置2000又は別の装置によって、顔認証、指紋認証、又は虹彩認証機能などの個人認証が行われる。インタフェース装置2000は、この個人認証の結果に基づいて生成された制御情報に基づき、図29(a)〜(d)のような像を照射する。
【0126】
図29(a)は、入室資格を持った者への対応である。メッセージの表示、及び更なる確認のためのパスワード入力パッドの表示などを行う。図29(b)は一般の訪問者への対応である。この場合は何もしない。例えば、インターフォンなど通常の接客システムが使われる(図示せず)。図29(c)は、不審者への対応である。インタフェース装置2000は、ピッキングなど、無理に侵入しようとする動作が認められた場合、警告を示す像を照射して、不審者を撃退する。また、警備会社への通報などをさらに行ってもよい。図29(d)は、窓から侵入しようとする不審者を同様に撃退するシステムである。窓を割る振動を検知することで不審者を撃退する既存システムもあるが、インタフェース装置2000を用いれば、窓を割られる前に撃退することが可能である。
【0127】
この例における照射画像について、さらに説明する。一般のプロジェクタを用いて図29に示す表示を行おうとすると、かなり大きな装置を設置する必要がある。インタフェース装置2000においても、1本のレーザ光源から照射されたレーザ光だけで図29に示す表示を行おうとすると、像が多少暗くなる可能性がある。そこで、この実施例においては、例えば1文字ずつ又は1キーずつ、別のレーザ光源から発生させるようにする。この場合、インタフェース装置2000は、複数のレーザ光源を有する。これにより、図29に示すような文章を、より明るく表示することが可能となる。
【0128】
本実施例に示すようにインタフェース装置2000を利用すれば、カギを持たずに入室が可能であり、かつ不審者撃退にも効果が期待できる。
【0129】
<<実施例6>>
図30は、インタフェース装置2000を配送業務支援に利用する実施例を示す図である。不慣れな場所に荷物をとどける際、配達員は、地図で進行方向をチェックしながら行動する必要がある。しかし通常、配達員は、荷物を両手で持つため、両手がふさがっている場合が多い。また、配達先が非常にわかりにくい場所の場合、両手がふさがっていなかったとしても、地図から進行方向を読み取ることが難しい場合がある。
【0130】
本実施例のインタフェース装置2000は、配達員が進むべき方向を像として表示することで、配送業務を支援する。例えば配達員は、インタフェース装置2000を首から提げておく。ここで、インタフェース装置2000は、GPS を備えているとする。また、インタフェース装置2000は、GPS から取得する位置情報と地図データとを用いて進行方向を割り出すことで、制御情報を生成する機能を有しているとする。なお、GPS や、GPS を用いて制御情報を生成する機能は、インタフェース装置2000の外部に設けられていてもよい。
【0131】
インタフェース装置2000は、制御情報に基づいて、進行方向を表す像を照射する。例えば制御情報が示す、像を照射すべき方向は、配達員が持っている荷物1902の上である。例えばインタフェース装置2000は、カメラを備えておくことで、配達員が持っている荷物の方向を検知する。インタフェース装置2000は、例えば矢印1903〜1907など、進行方向を示す矢印を、荷物1902の上に照射する。なお、進行方向を示す像は、足下などへ照射されてもよい。配達員は、荷物1902の上に照射される矢印を見ることで、地図を確認することなく、進行方向を知ることができる。
【0132】
以上のようにインタフェース装置2000を利用することで、配達員は、地図を見るために荷物を下ろして確認する必要が無くなる。そのため、配送作業の時間短縮や、配送作業に伴う煩わしさの軽減といった効果がある。
【0133】
実施例6のような目的で使われるインタフェース装置2000が有するレーザ光照射部2100に関し、図31を用いてさらに説明を行う。実施例6のような目的でインタフェース装置2000を利用する場合、各像は、ほぼ決まった場所に照射されることが好ましい。例えば、図31では、矢印1903と矢印1905が、ほとんど同じ方向(例:真正面)に照射されるように設計されている。こうすることで、ユーザは、視線の位置を固定することができる。なお、図31は、実施形態5のインタフェース装置2000を示している。しかし、実施例6の目的で利用されるインタフェース装置2000は、実施形態5のインタフェース装置2000に限定されない。
【0134】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0135】
以下、参考形態の例を付記する。
1. レーザ光を照射するレーザ光源を有するレーザ光照射手段と、
像を照射すべき複数の方向それぞれを示す情報である、制御情報を取得する、制御情報取得手段と、
前記像が照射される方向を、前記制御情報に基づいて制御する制御手段と、
前記レーザ光が入射し、入射時とは非相似の前記像を形成するように該レーザ光を回折する、第1集光手段と、
を有するインタフェース装置。
2. 前記第1集光手段は、互いに独立した前記像を形成するように前記レーザ光を回折する、複数の回折領域を有し、
前記制御情報は、前記レーザ光を入射させるべき前記回折領域を示すことで、前記レーザ光を照射すべき方向を示し、
前記制御手段は、前記制御情報によって示される前記回折領域に対して前記レーザ光が入射するように、前記レーザ光が照射される方向を制御する、
1.に記載のインタフェース装置。
3. 前記レーザ光照射手段によって照射されたレーザ光の一部をそれぞれフィルタリングして部分レーザ光を出射し、出射した部分レーザ光がそれぞれ異なる回折領域に入射する、複数の開口を備える、選択手段を有し、
前記複数の回折手段はそれぞれ、入射した部分レーザ光を回折し、
前記制御手段は、前記制御情報が示す前記回折領域に対して前記部分レーザ光を出射するように、前記選択手段を制御する、
2.に記載のインタフェース装置。
4. 前記レーザ光照射手段によって照射されたレーザ光を分割して前記複数の部分レーザ光を形成し、各部分レーザ光を、前記複数の開口のみに入射させる、分割手段を有する、3.に記載のインタフェース装置。
5. 前記第1集光手段は、
位置が可変であり、
前記複数の回折領域はそれぞれ、
前記レーザ光がそれぞれ入射する複数の部分領域を有し、
該複数の部分領域はそれぞれ、入射したレーザ光が異なる像を形成するように、該部分レーザ光を回折し、
前記制御情報は、前記レーザ光を照射すべき部分領域をさらに示し、
前記制御手段は、前記制御情報によって示される前記部分領域に、前記レーザ光が入射するように、前記選択手段及び前記第1集光手段を制御する、
3.又は4.に記載のインタフェース装置。
6. 前記選択手段は、前記レーザ光照射手段から照射したレーザ光が前記回折手段に入射する前に、該レーザ光の拡散角度を小さくする第2集光手段を有し、
前記第1集光手段は、入射した方向とは異なる方向に、前記像を照射する、
3.乃至5.いずれか一つに記載のインタフェース装置。
7. 前記第1集光手段は、前記像を形成するようにレーザ光を回折する回折領域を少なくとも一つ有し、
前記レーザ光照射手段によって照射されたレーザ光の一部をフィルタリングして、それぞれ部分レーザ光を出射する、複数の開口を有する、選択手段と、
前記各開口によって出射された部分レーザ光を、それぞれ異なる方向から同一の前記回折領域へ入射させる、方向変更手段を有し、
前記制御情報は、前記部分レーザ光を出射すべき開口を示すことで、前記レーザ光を照射すべき方向を示し、
前記制御手段は、前記制御情報に示される開口が、前記部分レーザ光を出射するように、前記選択手段を制御する、
1.に記載のインタフェース装置。
8. 前記第1集光手段は、入射したレーザ光が前記像を形成するように、該レーザ光を回折する、回折領域を少なくとも一つ有し、
当該インタフェース装置は、前記レーザ光照射手段を複数有し、
各レーザ光照射手段は、それぞれ異なる方向、かつ同一の前記回折領域を通過する方向に、レーザ光を照射し、
前記制御手段は、前記レーザ光照射手段を制御し、前記制御情報に示される方向へ前記レーザ光を照射するレーザ光照射手段に、レーザ光を照射させる、
1.に記載のインタフェース装置。
9. 前記レーザ光照射手段は、異なる色のレーザ光を照射する、複数のレーザ光源を有し、
前記制御情報は、当該インタフェース装置が照射すべきレーザ光の色を示し、
前記制御手段は、レーザ光照射手段から、前記制御情報が示す色のレーザ光が照射されるように、前記複数のレーザ光源のうち、一つ以上のレーザ光減に、レーザ光を照射させる、
1.乃至7.いずれか一つに記載のインタフェース装置。
10. インタフェース装置を制御するコンピュータによって実行される制御方法であって、
前記インタフェース装置は、
レーザ光を照射するレーザ光源を有するレーザ光照射手段と、
前記レーザ光が入射し、入射時とは非相似の前記像を形成するように該レーザ光を回折する、第1集光手段と、
を有し、
当該制御方法は、
像を照射すべき複数の方向それぞれを示す情報である、制御情報を取得する、制御情報取得ステップと、
前記像が照射される方向を、前記制御情報に基づいて制御する、制御ステップと、
を有する制御方法。
11.
前記第1集光手段は、互いに独立した前記像を形成するように前記レーザ光を回折する、複数の回折領域を有し、
前記制御情報は、前記レーザ光を入射させるべき前記回折領域を示すことで、前記レーザ光を照射すべき方向を示し、
前記制御ステップは、前記制御情報によって示される前記回折領域に対して前記レーザ光が入射するように、前記レーザ光が照射される方向を制御する、
10.に記載の制御方法。
12. 11.に記載の制御方法であって、
前記インタフェース装置は、
前記レーザ光照射手段によって照射されたレーザ光の一部をそれぞれフィルタリングして部分レーザ光を出射し、出射した部分レーザ光がそれぞれ異なる回折領域に入射する、複数の開口を備える、選択手段を有し、
前記複数の回折手段はそれぞれ、入射した部分レーザ光を回折し、
前記制御ステップは、前記制御情報が示す前記回折領域に対して前記部分レーザ光を出射するように、前記選択手段を制御する、
制御方法。
13. 前記インタフェース装置は、前記レーザ光照射手段によって照射されたレーザ光を分割して前記複数の部分レーザ光を形成し、各部分レーザ光を、前記複数の開口のみに入射させる、分割手段を有する、12.に記載の制御方法。
14. 12.又は13.に記載の制御方法であって、
前記第1集光手段は、
位置が可変であり、
前記複数の回折領域はそれぞれ、
前記レーザ光がそれぞれ入射する複数の部分領域を有し、
該複数の部分領域はそれぞれ、入射したレーザ光が異なる像を形成するように、該部分レーザ光を回折し、
前記制御情報は、前記レーザ光を照射すべき部分領域をさらに示し、
当該制御方法は、
前記複数の部分領域がそれぞれ部分レーザ光を回折する、部分レーザ光回折ステップを有し、
前記制御ステップは、前記制御情報によって示される前記部分領域に、前記レーザ光が入射するように、前記選択手段及び前記第1集光手段を制御する、
制御方法。
15. 前記選択手段は、前記レーザ光照射手段から照射したレーザ光が前記回折手段に入射する前に、該レーザ光の拡散角度を小さくする第2集光手段を有し、
前記第1集光手段は、入射した方向とは異なる方向に、前記像を照射する、
12.乃至14いずれか一つに記載の制御方法。
16. 前記第1集光手段は、前記像を形成するようにレーザ光を回折する回折領域を少なくとも一つ有し、
前記レーザ光照射手段によって照射されたレーザ光の一部をフィルタリングして、それぞれ部分レーザ光を出射する、複数の開口を有する、選択手段と、
前記各開口によって出射された部分レーザ光を、それぞれ異なる方向から同一の前記回折領域へ入射させる、方向変更手段を有し、
前記制御情報は、前記部分レーザ光を出射すべき開口を示すことで、前記レーザ光を照射すべき方向を示し、
前記制御ステップは、前記制御情報に示される開口が、前記部分レーザ光を出射するように、前記選択手段を制御する、
10.に記載の制御方法。
17. 前記第1集光手段は、入射したレーザ光が前記像を形成するように、該レーザ光を回折する、回折領域を少なくとも一つ有し、
当該インタフェース装置は、前記レーザ光照射手段を複数有し、
各レーザ光照射手段は、それぞれ異なる方向、かつ同一の前記回折領域を通過する方向に、レーザ光を照射し、
前記制御ステップは、前記レーザ光照射手段を制御し、前記制御情報に示される方向へ前記レーザ光を照射するレーザ光照射手段に、レーザ光を照射させる、
10.に記載の制御方法。
18. 前記レーザ光照射手段は、異なる色のレーザ光を照射する、複数のレーザ光源を有し、
前記制御情報は、当該インタフェース装置が照射すべきレーザ光の色を示し、
前記制御ステップは、レーザ光照射手段から、前記制御情報が示す色のレーザ光が照射されるように、前記複数のレーザ光源のうち、一つ以上のレーザ光減に、レーザ光を照射させる、
10.乃至17.いずれか一つに記載の制御方法。
【0136】
この出願は、2013年3月4日に出願された日本出願特願2013−041876号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図26
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図28
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