特許第6179608号(P6179608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6179608情報処理装置、情報処理方法およびプログラム。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179608
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム。
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   G06F3/12 343
   G06F3/12 304
   G06F3/12 387
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-2119(P2016-2119)
(22)【出願日】2016年1月7日
(62)【分割の表示】特願2011-207143(P2011-207143)の分割
【原出願日】2011年9月22日
(65)【公開番号】特開2016-95868(P2016-95868A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市田 一
【審査官】 山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−170766(JP,A)
【文献】 特開2011−170804(JP,A)
【文献】 特開2007−122739(JP,A)
【文献】 特開2010−218212(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0302579(US,A1)
【文献】 特開2011−170818(JP,A)
【文献】 特開2011−138277(JP,A)
【文献】 特開2012−48457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09−3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信された文書データに対し加工処理を行い、加工後の文書データを生成する加工手段と、
前記文書データに対する前記加工処理の要求と、前記加工手段の場所と、を含む加工用印刷指示、及び、前記加工後の文書データを印刷する要求と、前記加工手段とネットワークを介して接続された前記加工後の文書データの送信先の場所と、を含むダミー印刷指示を、指示装置から受け付ける手段と、
前記加工用印刷指示に含まれる前記加工手段の場所に基づいて、前記加工手段に対し、前記文書データを送信する手段と、
前記ダミー印刷指示に含まれる前記送信先の場所に基づいて、前記送信先に対し、前記加工手段の場所と前記加工後の文書データを識別する情報とを含む通知を行う手段と、
前記通知に応じて前記送信先で生成された取得要求であって、前記識別する情報を含む取得要求を前記送信先から取得し、該取得要求に応じて、前記加工手段から前記加工後の文書データを前記送信先に提供する手段と、を含む
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
送信された文書データに対し加工処理を行い、加工後の文書データを生成する加工ステップ、
前記文書データに対する前記加工処理の要求と、前記加工処理を行う場所と、を含む加工用印刷指示、及び、前記加工後の文書データを印刷する要求と、前記加工処理を行う場所とネットワークを介して接続された前記加工後の文書データの送信先の場所と、を含むダミー印刷指示を、指示装置から受け付けるステップ、
前記加工用印刷指示に含まれる前記加工処理を行う場所に基づいて、前記加工処理を行う場所に対し、前記文書データを送信するステップ、
前記ダミー印刷指示に含まれる前記送信先の場所に基づいて、前記送信先に対し、前記加工処理を行う場所と前記加工後の文書データを識別する情報とを含む通知を行うステップ、
前記通知に応じて前記送信先で生成された取得要求であって、前記識別する情報を含む取得要求を前記送信先から取得し、該取得要求に応じて、前記加工処理を行う場所から前記加工後の文書データを前記送信先に提供するステップ、を含む
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
送信された文書データに対し加工処理を行い、加工後の文書データを生成する加工手段、
前記文書データに対する前記加工処理の要求と、前記加工手段の場所と、を含む加工用印刷指示、及び、前記加工後の文書データを印刷する要求と、前記加工手段とネットワークを介して接続された前記加工後の文書データの送信先の場所と、を含むダミー印刷指示を、指示装置から受け付ける手段、
前記加工用印刷指示に含まれる前記加工手段の場所に基づいて、前記加工手段に対し、前記文書データを送信する手段、
前記ダミー印刷指示に含まれる前記送信先の場所に基づいて、前記送信先に対し、前記加工手段の場所と前記加工後の文書データを識別する情報とを含む通知を行う手段、
前記通知に応じて前記送信先で生成された取得要求であって、前記識別する情報を含む取得要求を前記送信先から取得し、該取得要求に応じて、前記加工手段から前記加工後の文書データを前記送信先に提供する手段、
として情報処理装置を機能させるためのプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、印刷データを生成する印刷データ生成装置(クライアントコンピュータ)が開示されている。この印刷データ生成装置は、印刷者情報を印刷データに付加する旨が設定されている場合に、自身が生成した印刷データに印刷者情報を付加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−251847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、サーバにデータのアップロードと当該データへの加工処理依頼を行うことにより、サーバがデータ加工処理した上で、処理済みデータの取得先データを出力することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、文書処理指示を受信する受信手段、前記受信手段による文書処理指示の受信に応じて文書データを生成する文書データ生成手段、前記文書処理指示の受信に応じて生成された文書データを当該文書処理指示で指定される出力先と関連づけて記憶手段に記憶させる手段、前記文書処理指示の受信に応じて生成された文書データの生成の完了を通知する通知情報を、当該文書処理指示で指定される出力先に送信する通知手段、及び前記記憶手段に記憶される出力先からの要求に応じて、当該出力先に関連づけられた文書データを文書処理制御に用いられる文書処理制御情報とともに当該出力先に送信する送信手段、を備えた文書データ生成装置と、前記通知情報の受信に応じて文書データの送信を前記文書データ生成装置に要求する手段を備えた情報処理装置と、前記情報処理装置を出力先として指定する文書処理指示を前記文書データ生成装置に送信する文書処理指示装置と、を含む情報処理システムであって、前記情報処理システムは、前記通知情報の受信に応じて文書データの送信を前記文書データ生成装置に要求する手段、前記文書データ生成装置から送信される文書データ及び文書処理制御情報を受信する手段、受信された文書データを加工し、加工した文書データである加工後文書データを、受信された文書処理制御情報と関連づけて記憶手段に記憶させる手段、及び前記情報処理装置からの要求に応じて、前記記憶手段に記憶される加工後文書データを前記情報処理装置に送信する手段、を備えた文書データ加工装置をさらに含み、前記文書処理指示装置は、加工処理操作が行われた場合に、前記情報処理装置を出力先として指定する第1の文書処理指示だけでなく、前記文書データ加工装置を出力先として指定する第2の文書処理指示も、前記文書データ生成装置に送信し、前記文書データ生成装置は、前記第1の文書処理指示の受信に応じて生成された文書データを前記情報処理装置に送信する場合、前記文書データ加工装置のアドレスを示す情報を前記文書処理制御情報として送信すること、を特徴とする情報処理システムである。
【0006】
上記課題を解決するための請求項2の発明は、文書処理指示の受信に応じて文書データを生成し、当該文書処理指示で指定される出力先に文書データの生成の完了を通知し、要求に応じて、当該文書データと文書処理制御情報とを要求元の装置に送信する文書データ生成装置、及び、前記文書データ生成装置から受信した文書データを加工し、加工した文書データである加工後文書データを、要求に応じて、要求元の装置に送信する文書データ加工装置と通信可能な情報処理装置であって、前記情報処理装置を出力先として指定する文書処理指示を前記文書データ生成装置に送信する手段であって、加工文書処理操作が行われた場合に、前記情報処理装置を出力先として指定する第1の文書処理指示と、前記文書データ加工装置を出力先として指定する第2の文書処理指示と、を前記文書データ生成装置に送信する文書処理指示送信手段と、前記文書データ生成装置により文書データの生成の完了が通知された場合に、文書データの送信を前記文書データ生成装置に要求する手段と、前記文書データ生成装置から、前記文書データ加工装置のアドレスを含む文書処理制御情報を受信した場合に、前記加工後文書データの送信を前記文書データ加工装置に要求する手段と、を含むことを特徴とする情報処理装置である。
【0007】
上記課題を解決するための請求項3の発明は、文書処理指示の受信に応じて文書データを生成し、当該文書処理指示で指定される出力先に文書データの生成の完了を通知し、要求に応じて、当該文書データと文書処理制御情報とを要求元の装置に送信する文書データ生成装置、及び、前記文書データ生成装置から受信した文書データを加工し、加工した文書データである加工後文書データを、要求に応じて、要求元の装置に送信する文書データ加工装置と通信可能なコンピュータを情報処理装置として機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、前記情報処理装置を出力先として指定する文書処理指示を前記文書データ生成装置に送信する手段であって、加工文書処理操作が行われた場合に、前記情報処理装置を出力先として指定する第1の文書処理指示と、前記文書データ加工装置を出力先として指定する第2の文書処理指示と、を前記文書データ生成装置に送信する文書処理指示送信手段、前記文書データ生成装置により文書データの生成の完了が通知された場合に、文書データの送信を前記文書データ生成装置に要求する手段、前記文書データ生成装置から、前記文書データ加工装置のアドレスを含む文書処理制御情報を受信した場合に、前記加工後文書データの送信を前記文書データ加工装置に要求する手段、として機能させるためのプログラムである。
【0008】
上記課題を解決するための請求項4の発明は、文書処理指示で指定される出力先に文書データの生成の完了を通知し、要求に応じて、当該文書データと文書処理制御情報とを要求元の装置に送信する文書データ生成装置、及び、前記文書データ生成装置から受信した文書データを加工し、加工した文書データである加工後文書データを、要求に応じて、要求元の装置に送信する文書データ加工装置と通信可能な情報処理装置であって、前記文書データ生成装置により文書データの生成の完了が通知された場合に、文書データの送信を前記文書データ生成装置に要求する手段と、前記文書データ生成装置から、前記文書データ加工装置のアドレスを含む文書処理制御情報を受信した場合に、前記加工後文書データの送信を前記文書データ加工装置に要求する手段と、を含むことを特徴とする情報処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1乃至の発明によれば、サーバにデータのアップロードと当該データへの加工処理依頼を行うことにより、サーバがデータ加工処理した上で、処理済みデータの取得先データを出力することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】印刷システムの構成を例示する図である。
図2】ブラウザのウィンドウに表示されるインタフェースを例示する図である。
図3A】文書データを例示する図である。
図3B】タイムスタンプ付き文書を例示する図である。
図4】ユーザ端末で実行される処理を例示するフロー図である。
図5A】ジョブチケットを例示する図である。
図5B】ダミージョブチケットを例示する図である。
図5C】加工用ジョブチケットを例示する図である。
図6】プリンタサーバで実行される処理を例示するフロー図である。
図7A】印刷ジョブを例示する図である。
図7B】ダミー印刷ジョブを例示する図である。
図7C】加工用印刷ジョブを例示する図である。
図8】ユーザ端末で実行される処理を例示するフロー図である。
図9】印刷システムで実行される処理を例示するフロー図である。
図10】印刷システムで実行される処理を例示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の例について図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
[印刷システム1]
図1は、印刷システム1の構成を例示する図である。印刷システム1は、ユーザのユーザ端末2と、クラウドサービスの提供者のプリンタサーバ4と、複数のプリンタ6と、クラウドサービスの提供者以外のサービス提供者が設置した加工サーバ8と、を含む。なお、本実施形態の場合、印刷システム1は、クラウドサービスの提供者が作成したクラウドアプリケーションを提供するクラウドサーバ(不図示)も含む。これらはネットワークに接続されている。
【0013】
ユーザ端末2(印刷指示装置)は、記憶部、記憶部に記憶されるプログラムに従って動作する制御部、モニタ、操作キー、及びネットワークインタフェースを備えたコンピュータであり、例えば、携帯用PCである。ユーザ端末2には、ブラウザアプリケーションがインストールされており、ユーザはブラウザを用いてクラウドサーバにアクセスし、クラウドアプリケーションを利用する。ここでは、クラウドサーバにより、文書作成のクラウドアプリケーションが提供されるものとする。クラウドアプリケーションは、ウェブアプリケーションとも呼ばれる。クラウドアプリケーションにより生成された文書データは、クラウドサーバに格納される。図3Aに文書データを例示した。
【0014】
また、プリンタサーバ4(印刷制御装置)は、記憶部、記憶部に記憶されるプログラムに従って動作する制御部、及びネットワークインタフェースを備えたサーバであり、クラウドサービスの利用者に利用される。また、プリンタ6(印刷装置)は、記憶部、記憶部に記憶されるプログラムに従って動作する制御部、操作キー、スキャナ、印刷部、及びネットワークインタフェースを備えた複合機である。なお、以下、図1で図示されているプリンタ6のことをプリンタAを表記する。また、加工サーバ8は、記憶部、記憶部に記憶されるプログラムに従って動作する制御部、及びネットワークインタフェースを備えたサーバである。
【0015】
[文書の印刷]
この印刷システム1では、ユーザがユーザ端末2を用いて、クラウドアプリケーションにより生成された文書データ(図3A参照)をプリンタ6に印刷させられる。すなわち、この印刷システム1では、所定の操作が行われると、ブラウザのウィンドウに印刷指示を行うためのインタフェースが表示される。
【0016】
図2は、上記インタフェースを例示する図である。同図に示すように、このインタフェースは、複数のプリンタ6のうちの印刷を行わせるプリンタ6を入力するための出力先入力欄10と、印刷部数を入力するための部数入力欄12と、チェックボックス14と、印刷ボタン16と、を含む。
【0017】
ユーザは、出力先入力欄10に印刷を行わせるプリンタ6を識別するための情報であるプリンタIDを入力する。また、ユーザは、部数入力欄12に印刷部数を入力する。なお、ここでは、文書データをそのまま印刷することを想定しているので、ユーザは、チェックボックス14にチェックを入れない。そして、ユーザは、印刷ボタン16を押下する。
【0018】
図4は、この場合においてユーザ端末2の制御部が行う処理を例示する図である。すなわち、ユーザ端末2の制御部は、ジョブチケットを生成する(S101)。図5Aは、ジョブチケットを例示する図である。ジョブチケットには、印刷制御に用いられる印刷制御パラメータが含まれる。すなわち、ジョブチケットは、ジョブIDフィールド、出力先フィールド、印刷部数フィールド、加工ジョブフィールド、及び加工サーバアドレスフィールドを含み、ジョブIDフィールドには、ジョブチケットに固有のジョブIDが格納される。また、出力先フィールドには、出力先入力欄10に入力されたプリンタIDが格納され、印刷部数フィールドには、部数入力欄12に入力された印刷部数が格納される。なお、ここでは、チェックボックス14にチェックが入れられていないので、加工ジョブフィールドにも、加工サーバアドレスフィールドにも、データは格納されない。
【0019】
以下、ユーザが入力したプリンタIDが出力先フィールドに格納され、加工ジョブフィールド及び加工サーバアドレスフィールドにデータが格納されていないジョブチケット(図5A参照)のことを、「通常のジョブチケット」と表記する場合がある。
【0020】
そして、ユーザ端末2の制御部は、クラウドサーバに格納された文書データのうちから印刷させる文書データを特定し、この文書データを識別する情報を取得し、当該文書データを識別する情報とジョブチケットとを含む印刷指示データをプリンタサーバ4に送信する(S102)。
【0021】
プリンタサーバ4がユーザ端末2から送信された印刷指示データを受信すると、プリンタサーバ4の制御部は、図6に例示する処理を実行する。
【0022】
すなわち、プリンタサーバ4の制御部(印刷データ生成手段)は、印刷指示データに含まれる文書データを識別する情報に基づき、クラウドサービスに格納された文書データから印刷すべき文書データを特定して取得し、この文書データからページ記述言語で記述された印刷データを生成し(S201)、生成した印刷データと印刷指示データに含まれるジョブチケットとを関連づけてなるデータを、印刷ジョブとして記憶部に記憶させる(S202)。図7Aに、印刷ジョブを例示した。以下、図7Aに示すような、通常のジョブチケットを含む印刷ジョブのことを、「通常の印刷ジョブ」と表記する場合がある。また、プリンタサーバ4の制御部(通知手段)は、印刷データの生成の完了を通知する通知情報を、ジョブチケットに含まれる出力先の装置(ここでは、プリンタ6)に送信する(S203)。
【0023】
通知情報を受信した装置(ここでは、プリンタ6)は、要求情報をプリンタサーバ4に返信して、印刷ジョブの送信を要求する。
【0024】
プリンタサーバ4の制御部(送信手段)は、要求情報を受信すると、要求元の装置(ここでは、プリンタ6)のIDを含む印刷ジョブを記憶部に記憶される印刷ジョブのうちで特定し、当該印刷ジョブを要求元の装置(ここでは、プリンタ6)に送信する(S204)。
【0025】
印刷ジョブを受信した要求元の装置(ここでは、プリンタ6)は、当該印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行することとなる。その結果、図3Aに示す文書データが印刷されることとなる。
【0026】
[タイムスタンプ付きの文書の印刷]
この印刷システム1では、ユーザがチェックボックス14(図2参照)にチェックを入れる操作(加工印刷操作)を行うことにより、文書データに印刷時の時刻を示すQRコード18を付加した文書(以下、タイムスタンプ付き文書と表記する)をプリンタ6に印刷させられる。図3Bにタイムスタンプ付き文書を例示した。
【0027】
タイムスタンプ付き文書をプリンタ6に印刷させられるようにするためには、以下の制約に考慮する必要がある。すなわち、「プリンタサーバ4が、プリンタメーカによって提供されたものではなく、クラウドサービスの提供者によって提供されたものである場合、プリンタサーバ4に新たな機能(特に、印刷データを加工する機能)を追加することは難しい」という制約に考慮する必要がある。
【0028】
そこで、この印刷システム1には、クラウドサービスの提供者以外のサービス提供者により設置された上記加工サーバ8が備えられる。また、チェックボックス14にチェックを入れて印刷ボタン16が押下された場合に、通常のジョブチケットとは異なるジョブチケット(以下、加工用ジョブチケットと表記する)が生成され、プリンタサーバ4に送信される。図5Cに、加工用ジョブチケットを例示した。同図に示すように、加工用ジョブチケットでは、出力先フィールドにプリンタ6のIDではなく加工サーバ8のIDが格納されている。
【0029】
プリンタサーバ4は、加工用ジョブチケットを含む印刷ジョブ(以下、加工用印刷ジョブと表記する)を加工サーバ8に送信することで、印刷データを加工サーバ8に加工させる。図7Cに加工用印刷ジョブを例示した。
【0030】
プリンタ6がタイムスタンプ付き文書を印刷するためには、プリンタ6が加工用印刷ジョブの送信を加工サーバ8に要求する必要があるが、そのためには、プリンタサーバ4がプリンタ6に加工サーバ8のアドレスを知らせなければならない。
【0031】
この点、プリンタサーバ4が何らかの機会にプリンタ6に加工サーバ8のアドレスを送信してもよいように思われる。しかしながら、上述のように、プリンタサーバ4に新たな機能を追加することは難しく、「プリンタサーバ4は印刷ジョブをプリンタ6に送信するという形態でしかプリンタ6にデータを提供することができない」という制約がある。
【0032】
そこで、この印刷システム1では、チェックボックス14にチェックを入れて印刷ボタン16が押下された場合に、加工用ジョブチケットに加え、通常のジョブチケットとは異なるジョブチケット(ダミージョブチケット)も生成され、プリンタサーバ4に送信される。図5Bにダミージョブチケットを例示した。同図に示すように、ダミージョブチケットでも、通常のジョブチケットと同様にユーザにより入力されたプリンタ6のIDが出力先フィールドに格納されるが、通常のジョブチケットとは異なり、加工サーバアドレスフィールドに、加工サーバ8のアドレスが格納される。
【0033】
プリンタサーバ4は、ダミージョブチケットを含む印刷ジョブ(以下、ダミー印刷ジョブと表記する)をプリンタ6に送信することにより、加工サーバ8のアドレスをプリンタ6に知らせることとなる。図7Bにダミージョブチケットを例示した。
【0034】
[処理]
図8図9及び図10は、チェックボックス14にチェックを入れて印刷ボタン16が押下された場合に、印刷システム1において実行される処理を例示する図である。ここでは、出力先入力欄10にプリンタAのIDが入力された場合を例に取り上げる。
【0035】
図8は、ユーザ端末2において実行される処理を例示する図である。チェックボックス14にチェックを入れて印刷ボタン16が押下された場合には、図4に処理の代わりに、図8に示す処理が実行される。すなわち、ユーザ端末2の制御部は、ダミージョブチケット(図5B参照)を生成する(S301)。図5Bに示すように、ジョブIDフィールドには、ダミージョブチケットに固有のジョブIDが格納され、出力先フィールドには、ユーザが出力先入力欄10に入力したプリンタAのプリンタIDが格納され、印刷部数フィールドには、ユーザが部数入力欄12に入力した印刷部数が格納され、加工サーバアドレスフィールドには、チェックボックス14に紐付けられた、加工サーバ8のアドレスが格納される。
【0036】
また、加工ジョブフィールドには、ダミージョブチケットのジョブIDとは異なるジョブIDが格納される。加工ジョブフィールドに格納されるジョブIDが、後に説明する加工用ジョブチケットのジョブIDとなる。
【0037】
また、ユーザ端末2の制御部は、クラウドサーバに格納された文書データのうちから印刷させる文書データを特定し、この文書データを識別する情報を取得し、当該文書データを識別する情報とダミージョブチケットとを含む印刷指示データ(以下、ダミー印刷指示データ(第1の印刷指示)と表記する)を生成する(S302)。
【0038】
また、ユーザ端末2の制御部は、加工用ジョブチケット(図5C参照)を生成する(S303)。図5Cに示すように、ジョブIDフィールドには、ダミージョブチケットの加工ジョブフィールドに格納される、加工用ジョブチケットに固有のジョブIDが格納される。また、出力先フィールドには、プリンタAのプリンタIDではなく、加工サーバ8のIDが格納される。また、印刷部数フィールドには、ダミージョブチケットの印刷部数フィールドと同様に、ユーザが部数入力欄12に入力した印刷部数が格納される。なお、通常のジョブチケットと同様に、加工ジョブフィールド及び加工サーバアドレスフィールドには、データが格納されない。
【0039】
また、ユーザ端末2の制御部は、上記文書データを識別する情報と加工用ジョブチケットとを含む印刷指示データ(以下、加工用印刷指示データ(第2の印刷指示)と表記する)を生成する(S304)。そして、ユーザ端末2の制御部は、ダミー印刷指示データ及び加工用印刷指示データをプリンタサーバ4に送信する(S305)。プリンタサーバ4は、ユーザ端末2から送信されるダミー印刷指示データ及び加工用印刷指示データを受信することとなる。
【0040】
図9は、プリンタサーバ4がダミー印刷指示データ及び加工用印刷指示データを受信した場合に、プリンタサーバ4、プリンタ6、及び加工サーバ8が実行する処理を例示する図である。図9に示す処理では、プリンタサーバ4の制御部は、ダミー印刷指示データ及び加工用印刷指示データの各々について順次、図6に示す処理を実行することとなる。ここでは、プリンタサーバ4の制御部は、まず加工用印刷指示データに対して図6に示す処理を実行する。
【0041】
すなわち、プリンタサーバ4の制御部は、S201のステップと同様にして、加工用印刷指示データに含まれる文書データを識別する情報に基づき、クラウドサービスに格納された文書データから印刷すべき文書データを特定して取得し、この文書データから印刷データを生成する(S401)。以下、S401のステップで生成される印刷データのことを、加工用印刷データと表記する。
【0042】
そして、プリンタサーバ4の制御部は、S202のステップと同様にして、加工用印刷データと加工用印刷指示データに含まれる加工用ジョブチケットとを関連づけてなる印刷ジョブ、すなわち上記加工用印刷ジョブ(図7C参照)を生成し、加工用印刷ジョブを記憶部に記憶させる(S402)。
【0043】
そして、プリンタサーバ4の制御部は、S203のステップと同様にして、加工用印刷データの生成の完了を通知する通知情報を、加工用ジョブチケットに含まれるIDが示す装置、すなわち、加工サーバ8に送信する(S403)。
【0044】
加工サーバ8が通知情報を受信すると、加工サーバ8の制御部により加工用印刷ジョブの送信を要求する要求情報がプリンタサーバ4に返信される(S501)。
【0045】
プリンタサーバ4が要求情報を受信すると、プリンタサーバ4の制御部は、S204のステップと同様にして加工用印刷ジョブを加工サーバ8に送信する(S404)。
【0046】
次に、プリンタサーバ4の制御部は、図6に示す処理をダミー印刷指示データに対して実行する。
【0047】
すなわち、プリンタサーバ4の制御部は、S201のステップと同様にして、ダミー印刷指示データに含まれる文書データを識別する情報に基づき、クラウドサービスに格納された文書データから印刷すべき文書データを特定して取得し、この文書データから印刷データを生成する(S405)。以下、S405のステップで生成される印刷データのことを、ダミー印刷データと表記する。なお、ダミー印刷指示データに含まれる文書データは加工用印刷指示データに含まれる文書データと同じ文書データなので、ダミー印刷データは加工用印刷データと同じ印刷データとなっている。
【0048】
そして、プリンタサーバ4の制御部は、S202のステップと同様にして、ダミー印刷データとダミー印刷指示データに含まれるダミージョブチケットとを関連づけてなる印刷ジョブ、すなわち上記ダミー印刷ジョブ(図7B参照)を生成し、ダミー印刷ジョブを記憶部に記憶させる(S406)。
【0049】
そして、プリンタサーバ4の制御部は、S203のステップと同様にして、ダミー印刷データの生成の完了を通知する通知情報を、ダミージョブチケットに含まれるプリンタIDが示すプリンタAに送信する(S407)。
【0050】
プリンタAが通知情報を受信すると、プリンタAの制御部によりダミー印刷ジョブの送信を要求する要求情報がプリンタサーバ4に返信される(S601)。
【0051】
プリンタサーバ4が要求情報を受信すると、プリンタサーバ4の制御部は、S204のステップと同様にしてダミー印刷ジョブをプリンタAに送信する(S408)。
【0052】
なお、S501のステップの後、加工サーバ8がプリンタサーバ4から加工用印刷ジョブを受信すると、加工サーバ8の制御部は、受信された加工用印刷ジョブを記憶部に記憶させる(S502)。そして、加工サーバ8の制御部は、図示しないタイムスタンプを発行する装置から現在時刻を取得し、S502のステップで記憶部に記憶された加工用印刷ジョブ中の加工用印刷データを上記特定した現在時刻に基づいて加工する(S503)。S503のステップにより、S502のステップで記憶部に記憶された加工用印刷ジョブ中の加工用印刷データが更新される。なお、S503のステップで加工された後の加工用印刷データが加工後印刷データに相当する。
【0053】
プリンタAがダミー印刷ジョブを受信すると、図10に例示する処理がプリンタA及び加工サーバ8で実行される。
【0054】
すなわち、プリンタAの制御部は、ダミー印刷ジョブに基づいて、印刷部に印刷を行わせる(S602)。その結果、図3Aに示す文書データが2部印刷される。
【0055】
また、プリンタAの制御部は、ダミージョブチケットの加工サーバアドレスフィールドに格納される情報に基づいて、加工用印刷ジョブの送信を要求する要求情報を加工サーバ8に送信する(S603)。加工サーバアドレスフィールドに加工サーバ8のアドレスが格納されているからこそ、要求情報の加工サーバ8への送信が可能になる。なお、S603のステップで送信される要求情報には、ダミージョブチケットの加工ジョブフィールドに格納されるジョブIDが含まれる。
【0056】
加工サーバ8が要求情報を受信すると、加工サーバ8の制御部は、記憶部に記憶される加工用印刷ジョブのうちで、当該要求情報中のジョブIDを含む加工用印刷ジョブを特定し、特定した加工用印刷ジョブをプリンタAに返信する(S504)。
【0057】
そして、プリンタAが加工用印刷ジョブを受信すると、プリンタAの制御部が、当該加工用印刷ジョブに基づいて印刷部に印刷を行わせる(S604)。その結果、図3Bに示すタイムスタンプ付き文書が2部印刷されることとなる。
【0058】
なお、本発明の実施形態は上記実施形態だけに限らない。
【0059】
例えば、上記実施形態では、印刷データの加工方法の選択肢が一つしかないが、印刷データの加工方法の選択肢が複数あってもよい。
【0060】
また、ユーザ端末2の制御部は、S302(図8参照)のステップにおいて、ダミーの文書データと上記ダミージョブチケットとを含む印刷指示データを、上記ダミー印刷指示データとして生成してもよい。ここで、ダミーの文書データとは空の文書データである。こうすれば、S405(図9参照)のステップで生成されるダミー印刷データが空の印刷データとなるため、S602のステップで図3Aに示す文書データが生成されなくなり、その結果として、タイムスタンプ付き文書だけが印刷されることとなる。
【0061】
また、ユーザ端末2とプリンタ6を別の装置としたが、ユーザ端末2とプリンタ6を同一の装置として構成してもよい。このように構成することにより、プリンタ6に備えられたモニタや操作キーを用いてクラウドサービスに格納された文書データを特定して印刷指示を行い、加工サーバで文書データへ加工処理を施した上で、印刷指示した装置と同一の装置で印刷出力を得ることが可能となる。
【0062】
なお、ユーザ端末2、プリンタサーバ4、プリンタ6、及び加工サーバ8の各々の記憶部に記憶されるプログラムは、DVD(登録商標)−ROM等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体から読み出されて当該記憶部に格納されてもよいし、ネットワーク等の通信網から供給されて当該記憶部に格納されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 印刷システム、2 ユーザ端末、4 プリンタサーバ、6 プリンタ、8 加工サーバ、10 出力先入力欄、12 部数入力欄、14 チェックボックス、16 印刷ボタン、18 QRコード。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10