(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上下の領域に対して相対的に大径となった大径部が形成された胴部を有する容器の外周面の大径部を含む上下方向中途部のみに筒状シュリンクラベルが装着されたラベル付き容器において、
筒状シュリンクラベルは、厚さ10〜30μmの基材フィルムを有し、
筒状シュリンクラベルの内面には滑り層が印刷により形成され、該滑り層のうち少なくとも容器の大径部と接触する部分又はその上下近傍部分には親水性付与剤が混入されており、当該親水性付与剤が混入された滑り層が形成されているシュリンクラベル内面のぬれ指数が40以下であり、且つ当該内面の水濡れ状態の動摩擦係数が1.0以下であることを特徴とするラベル付き容器。
なお、前記水濡れ状態の動摩擦係数は、プラスチックフィルム及びシートの摩擦係数試験方法(JIS K 7125)によって測定された、同一材料間の動摩擦係数が0.45であるポリエステルシートを相手材料として使用し、そのポリエステルシートの表面に0.1mlの水滴を落とした状態で、そのポリエステルシートの表面に上記シュリンクラベルの試験片を重ね合わせ、試験速度を500mm/min、摩擦距離を150mmとして、JIS K 7125に準じる方法によって測定した値である。
【背景技術】
【0002】
筒状シュリンクラベルが装着されたラベル付き容器には、容器の底面よりも上方の位置にその下端部が位置するように筒状シュリンクラベルが装着された形態が存在する。この形態は筒状シュリンクラベルを容器の胴部の中途部に装着することから中間止めの形態と称されることもある。この場合、筒状シュリンクラベルの軸線方向の長さは容器の胴部の長さよりも短く、従って、筒状シュリンクラベルは容器の胴部の外周面のうち中途部のみに装着される。
【0003】
このように筒状シュリンクラベルを容器の底部よりも上方の中途部に装着する場合、例えば以下のようにして装着される。即ち、扁平状に折り畳まれてロール状に巻回された長尺状のラベル長尺体をラベラーにセットし、そのロールからラベル長尺体を繰り出しながら所定長さ毎に切断して個々の筒状シュリンクラベルを形成し、その筒状シュリンクラベルをラベラーのオープナーで吸引して拡開すると共にその拡開状態を保持しつつ上方から容器に被せる。その際、拡開状態の筒状シュリンクラベルをスムーズに容器に被せることができるように、筒状シュリンクラベルの内面にはメジウムインキ層等の滑り層が形成されており(下記特許文献1参照)、その滑り層によって容器の外周面との間の摩擦抵抗が抑制され、筒状シュリンクラベルを容器の所定位置までスムーズに到達させることができる。そして、筒状シュリンクラベルを保持したオープナーが所定高さまで下降すると、その位置でオープナーが筒状シュリンクラベルを離す。オープナーから解放された筒状シュリンクラベルは、扁平状に折り畳まれた際に形成された折り目と折り目との間の部分が容器に密着した状態となってその位置に留まる。そして、未収縮の筒状シュリンクラベルが被せられた状態の容器はそのままシュリンクトンネル等へ搬送され、そこで筒状シュリンクラベルが加熱されて熱収縮して容器に密着する。
【0004】
一方、近年ではデザイン等の観点から外周面の一部に大径部を有する容器も現れてきている。そのような大径部を含む領域に筒状シュリンクラベルを被せると、容器の外周面と筒状シュリンクラベルとの間の接触面積が小さいため、オープナーから解放された筒状シュリンクラベルがその位置に留まりにくくなり、搬送中の振動や搬送ガイドとの接触等によって筒状シュリンクラベルが位置ずれしやすくなる。特に、筒状シュリンクラベルが薄肉になると剛性が小さくコシが弱くなるので、所定位置に留まらせることが更に難しくなる。
【0005】
かかる筒状シュリンクラベルの位置ずれを防止するために、霧状の水を筒状シュリンクラベルや容器に積極的に噴き付けることも有効である。容器の外周面には既に前工程である洗浄工程において水滴が付いていることも多いが、更に積極的に水を容器全体に、又は容器の特定位置に噴き付けることによって、未収縮の筒状シュリンクラベルがより一層位置ずれしにくくなる。
【0006】
しかしながら、上述のように容器が大径部を有する異形形状であったり、筒状シュリンクラベルが薄肉になったりして容器への保持力が小さくなると、水を積極的に噴き付ける手法では筒状シュリンクラベルの位置ずれを抑制することには限界があり、更なる改良が求められた。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る筒状シュリンクラベル及びそれを装着したラベル付き容器について
図1〜
図6を参酌しつつ説明する。
図1及び
図2には、本実施形態における筒状シュリンクラベル1が容器2に装着される途中の状態が示されている。この状態は、上述したような一連の工程を経てラベル長尺体10から切断されて形成された筒状シュリンクラベル1がラベラーのオープナーによって拡開され、そのオープナーによって拡開状態に保持されながら容器2の所定位置に被せられた後に該オープナーから筒状シュリンクラベル1が解放された時の状態である。従って、筒状シュリンクラベル1は未収縮の状態であって、外力を受けることなく容器2の外周面に付着している水滴によってその外周面に貼り付いた状態にあり、その後、シュリンクトンネル等に搬送されて加熱されて熱収縮して容器2に密着することになる。
【0017】
かかる容器2は、代表的にはPETボトルであり、従って、その材質はポリエチレンテレフタレートであって、キャップ20が装着された口部21と、底部22と、口部21と底部22との間に形成された筒状の胴部23とからなる。胴部23は径一定の形状ではなく径が大きく変化した形状であって、その上半分の部分にはその上下の領域に対して相対的に大径となった大径部24が形成されている。そして、筒状シュリンクラベル1は胴部23の上下方向全長ではなく、その一部分である中途部のみに装着される。即ち、筒状シュリンクラベル1は、その長さが胴部23の上下方向全長よりも短く、容器2の大径部24を含む所定領域のみに装着される。その装着位置は、底部22から上方に浮いた位置であり、従って、筒状シュリンクラベル1の下端部は容器2の底部22よりも所定高さ上方に位置している。また、容器2の胴部23のうち筒状シュリンクラベル1が装着される装着領域においては大径部24が最も径の大きい部分である。
図2は大径部24における断面図を示したものであり、このように未収縮状態の筒状シュリンクラベル1は大径部24に線接触に近い状態で接触する。
【0018】
図2に示すように容器2に被せられた未収縮状態の筒状シュリンクラベル1には合計四つの折り目25a,25b,25c,25dが形成されている。上述したようにラベル長尺体10は
図3(a)に示しているように扁平であって、その両側縁にはそれぞれ折り目25a,25bが形成されている。そして、ロールから繰り出されたラベル長尺体10は走行経路の途中において折り返し処理がなされる。該折り返し処理は、扁平状態のラベル長尺体10を一旦開口して扁平状態における両側縁同士を近づけて重ね合わせるように新たに扁平状態に折り畳む処理であり、この折り返し処理によって
図3(b)に示すように新たに二つの折り目25c,25dが形成され、元の二つの折り目25a,25bと合わせて合計四つの折り目25a,25b,25c,25dが軸線方向に沿って形成されることになる。従って、折り目25a,25b,25c,25dは周方向に約90度間隔で形成される。このようにラベル長尺体10が元の扁平状態に対して直交する方向に新たに折り畳まれて扁平状態とされた後、所定長さ毎に切断されて個々の筒状シュリンクラベル1が形成される。このように折り目25a,25b,25c,25dが形成された筒状シュリンクラベル1をオープナーで拡開させて容器2に被せて所定位置で離すと、折り目25a,25b,25c,25dを形成していることによって、折り目25a,25b,25c,25dと折り目25a,25b,25c,25dの間の部分(
図2において符号Sで示している部分やその周辺)が容器2に強く密着するようになる。尚、
図2及び
図3において重ね合わせ部を符号26で示しており、この重ね合わせ部26以外の箇所に四つの折り目25a,25b,25c,25dが形成される。尚、折り返し処理は必須ではなくそれを省略してもよい。その場合には二つの折り目25a,25bが形成される。
【0019】
かかる筒状シュリンクラベル1は、外面に印刷されたいわゆる表印刷のものであってもよいが、本実施形態では内面に印刷されたいわゆる裏印刷のものを例示する。裏印刷の構成の一例を挙げると、
図4に示すように、筒状シュリンクラベル1は、基材フィルム30と、該基材フィルム30の内側(裏面側)に積層された表示印刷層31と、該表示印刷層31の内側に積層された背景印刷層32と、該背景印刷層32の内側に積層された滑り層33とを備えた層構成となり、滑り層33が最内層であって筒状シュリンクラベル1の内面を構成する。尚、背景印刷層32を最内層とし、その背景印刷層32に滑り性を付与してそれ自体を滑り層33としてもよい。
【0020】
裏印刷の場合、基材フィルム30は少なくとも内側の表示印刷層31を外側から視認できる程度に透明であることが好ましい。該基材フィルム30としては、例えばポリエステル系のフィルムやポリスチレン系のフィルム、ポリオレフィン系のフィルム等、各種の熱収縮性フィルムが使用でき、単層のものの他、多層のものであってよく、主として主延伸方向に収縮する一軸延伸フィルムを使用できるが、主延伸方向と直交する方向にも収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。尚、フィルムの主延伸方向が筒状シュリンクラベル1の周方向となる。また、基材フィルム30の主延伸方向の熱収縮率は、90℃の温水に10秒間浸漬したときに20〜80%であることが好ましく、30〜80%であることが特に好ましい。但し、基材フィルム30の外面に表示印刷層31を形成した表印刷の構成の場合には、基材フィルム30は乳白フィルム等の有色フィルムであってよい。基材フィルム30の厚さは例えば10〜70μm、特には10〜50μm、その中でも特に10〜30μmの薄手のものを使用した場合においては、コシが弱く、容器2への保持力が弱いために、後述する親水性付与剤を滑り層33に混入させることの効果が大きい。
【0021】
表示印刷層31は、文字やデザイン等を印刷した層であって、例えばグラビア印刷によって形成され、アクリル系のインキが使用されるが、ウレタン系のもの等、各種のグラビアインキが使用できる。また、インキには顔料が含まれていても含まれていなくてもよく、また、UV硬化型のインキでもよい。
【0022】
背景印刷層32は表示印刷層31に対する背景となる層であって、この層も例えばグラビア印刷等の印刷手法によって形成される。背景印刷層32は、例えば白ベタ印刷層であって、二酸化チタン等の白色顔料が配合された白色インキからなる一層あるいは二層以上の層から構成される。
【0023】
滑り層33は、筒状シュリンクラベル1の内面の全体に形成されており、代表的にはメジウムインキ層であって、この層もまたグラビア印刷等の印刷手法によって形成することができる。メジウムインキ層は着色剤を含まない透明なインキからなる層であって、容器2、特にPETボトルに対する滑り性に優れている。尚、滑り層33は上記背景印刷層32と共に表示印刷層31に対する保護層としても機能する。また、基材フィルム30の外面にも例えばメジウムインキ層からなる保護層を設けてもよい。
【0024】
滑り性は、ぬれ指数や、水濡れ状態の動摩擦係数によって評価することができる。ぬれ指数とは、表面張力が順を追って異なるような一連の混合液体を筒状シュリンクラベル1の内面に塗布し、その内面を濡らすと判定された混合液の表面張力(dyn/cm)の数値をいい、ポリエチレン及びポリプロピレンフィルムのぬれ試験方法(JIS K 6768)と同様の方法によって測定する。また、水濡れ状態の動摩擦係数は、プラスチックフィルム及びシートの摩擦係数試験方法(JIS K 7125)によって測定された、同一材料間の動摩擦係数が0.45であるポリエステルシートを相手材料として使用し、そのポリエステルシートの表面に0.1mlの水滴を落とした状態で、そのポリエステルシートの表面に試験片を重ね合わせ、試験速度を500mm/min、摩擦距離を150mmとして、上述したJIS K 7125に準じる方法によって測定した値である。ぬれ指数は40以下、特に35以下とすることが好ましく、水濡れ状態の動摩擦係数は1.0以下、特に0.6以下とすることが好ましい。
【0025】
このメジウムインキは、実質的に顔料を含まず、例えば、水又は水とアルコールに、アクリル樹脂、アクリル共重合体、ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、水性ポリアミド樹脂等を分散させたエマルジョン等の水性のものや、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール等の溶剤に、ロジン、ケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル−ウレタン共重合体、ポリエステル樹脂等を溶解させた溶剤型のもの等が例示される。また、滑り性を良くするために、ポリエチレンワックス等のポリオレフィン系ワックス、脂肪酸アマイド、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、カルナウバワックス等の各種ワックス類;環状シリコーン等のシリコーン類;フッ素化合物類等の各種滑剤を添加することができる。尚、必要に応じて、増粘剤、消泡剤、防かび剤、水溶化剤等のその他の添加剤が混合されていてもよい。尚、メジウムインキとしては、例えば大日精化工業(株)製の商品名「STR耐熱CSメジウム」を使用することができ、このメジウムインキは、樹脂成分としてアクリル樹脂を含み、滑剤としてポリエチレンワックスを含んでいる。尚、グラビア印刷等の各種の印刷手法に適するように(例えば、粘度は10〜2000mPa・sが好ましく、20〜500mPa・sがより好ましい。)メジウムインキに溶剤が含まれていても、その溶剤は、滑り層33であるメジウムインキ層として形成された状態においては既に揮発しており、従って、メジウムインキ層(滑り層33)には溶剤は実質的には含まれていない。
【0026】
更に、滑り層33には親水性付与剤が混入されている。親水性付与剤は、容器2に付着している水滴と反応してその表面張力を大きくする効果を有するものであり、親水性部分がイオン性(カチオン性、アニオン性、双性)のものと非イオン性のものとに大別される。カチオン性の代表的構造として、アミン塩型とアンモニウム塩型が挙げられる。アニオン性の代表的構造として、R−COONa、R−SO
3Na、R−OSO
3Na(但し、Rはアルキル基)等の分子式で表されるものが挙げられる。双性の代表的構造として、−NHと−COOHの両方を有したアミノ酸型が挙げられる。非イオン性の代表的構造として、水酸基を多く含む多価アルコールが挙げられる。そして、親水性付与剤の好ましいものとしては、第四級アンモニウム塩等のカチオン系の親水性付与剤が挙げられる。この第四級アンモニウム塩等のカチオン系の親水性付与剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、n−ブタノール等のアルコール類で印刷に適した粘度に希釈して使用される。例えば、アルキルアンモニウムクロライドをイソプロピルアルコールやメタノール等の溶剤に希釈したものを例示することができる。但し、親水性付与剤を印刷に適するように希釈する溶剤は、上述したメジウムインキの溶剤と同様に、滑り層33として形成された状態において揮発していて実質上含まれていない。
【0027】
また、親水性付与剤の混合率は、滑り層33を構成する材質や親水性付与剤の種類、基材フィルム30の厚さや筒状シュリンクラベル1の全厚、基材フィルム30のコシの強さ等、種々の条件によって異なるが、例えば5重量%以上とすることができる。尚、親水性付与剤の混合率は、印刷に適するように溶剤で希釈した状態における混合率である。そして、親水性付与剤は筒状シュリンクラベル1の内面の滑り性を維持する程度の量を混合することが好ましいが、例えば混合率は15重量%以下とすることができる。筒状シュリンクラベル1の内面の滑り性を維持する程度とは、例えば、内面のぬれ指数が増大しない程度であり、また、水濡れ状態における内面の摩擦係数特には動摩擦係数が増大しない程度であり、何れにしても、筒状シュリンクラベル1を容器2に被せる際においてスムーズに被せることができる滑り性を維持しつつ混入させることが好ましい。
【0028】
一例として、滑り層33をメジウムインキ層とし、親水性付与剤としてアルキルアンモニウムクロライドをイソプロピルアルコールで希釈した界面活性剤(例えば大阪印刷インキ製造(株)製の商品名「EXP61004」)をメジウムインキに混入させ、その混合率を種々変えて、筒状シュリンクラベル1の保持力の変化を測定した。基材フィルム30には厚さ20μmと薄肉のポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。試験方法は以下のとおりである。即ち、筒状シュリンクラベル1を軸線方向(MD方向)の長さ90mm、周方向(TD方向)の長さ40mmにカットして試験片40を作製する。
図5のように鉄板にPETシートを貼り付けた保持板41を準備し、試験片40の片面に10μl(マイクロリットル)の水滴42を付け、その水滴42によって試験片40を保持板41のPETシートに貼り付ける。そして、保持板41から上方に突出している試験片40の上部を、(株)島津製作所製のオートグラフのチャックで掴んで、上方に200mm/minの速度で引っ張って、そのときの保持力を測定する。この保持力が大きい程、
図1のように未収縮状態の筒状シュリンクラベル1を容器2に被せた際における保持力も大きいと言える。
【0029】
測定結果を
図6に示している。
図6に示すように、親水性付与剤の混合率が3重量%までは、親水性付与剤を混合していない即ち混合率が0重量%の場合と比べて保持力がほとんど変化しないのに対して、混合率が5重量%になると保持力が大きく増加することが判明した。このように親水性付与剤を一定の混合率以上混入させることにより保持力がアップすることがわかる。尚、混合率を15重量%としても筒状シュリンクラベル1の内面の滑り性には影響ないことが確認された。即ち、滑り層33に親水性付与剤を15重量%程度混合しても、内面の滑り性、即ち、ぬれ指数や水濡れ状態の動摩擦係数は混合させていないものと大差がない。従って、親水性付与剤の混合率を所定比率範囲内(例えば5重量%〜15重量%)とすることにより、滑り層33の滑り性を維持しつつ、オープナーから解放された後における容器2への保持力を向上させることができる。
【0030】
以上のように、本実施形態における筒状シュリンクラベル1は、内面の滑り層33によって容器2へのスムーズな挿嵌が可能であるうえに、滑り層33に親水性付与剤が混入されているので、容器2の外周面に付着している水滴の表面張力が大きくなり、オープナーから解放された後においても容器2の外周面に確実に保持されることになる。特に、筒状シュリンクラベル1が剛性が小さくて容器2への保持力が弱い20μm程度(例えば圧縮強度が5N以下)の薄手のものにおいて有効であって、搬送中の振動や搬送ガイドとの接触によっても位置ずれすることなくシュリンクトンネルまで搬送されて容器2の所定位置に確実に熱収縮により密着することになる。また、容器2が
図1に示しているような大径部24を有する異形形状においては筒状シュリンクラベル1との接触面積が極端に小さくなることから、そのような異形形状の容器2に対しては特に有効であって、容器2の大径部24を含む所定領域に確実に筒状シュリンクラベル1を装着できる。
【0031】
尚、本実施形態においては内面の全体に親水性付与剤を混入した滑り層33を均一に形成したが、滑り層33の全領域のうち、一部の領域のみに親水性付与剤を混入させ、残る他の領域については親水性付与剤を混入しないようにしてもよい。例えば、滑り層33の全領域を、親水性付与剤が混入された親水性領域と、親水性付与剤が混入されていない撥水性領域とに区画してもよい。このように領域を区画する場合には、少なくとも容器2の大径部24と接触する部分又はその上下近傍部分に親水性領域が位置するようにする。
【0032】
例えば、
図7(a)のように滑り層33の全領域(即ち内面の全領域)のうち容器2の大径部24と接触する部分のみに親水性領域33aを形成し、残る他の領域は撥水性領域33bとすることができる。親水性領域33aは、全周に亘って連続した所定幅の帯状、即ち環状とすることができる。尚、
図7及び後述の
図8において、親水性領域33aにはクロスハッチングを施している。
【0033】
また、
図7(b)のように、容器2の大径部24と接触する部分に対してその上下に近傍した部分にそれぞれ帯状の親水性領域33aを全周に亘って形成してもよい。
【0034】
更に、親水性領域33aは、
図7に示したような周方向に連続した形状ではなく周方向に不連続な形状としてもよい。例えば、
図8(a)のように周方向に間隔を空けながら所定形状例えば矩形の親水性領域33aを複数形成してもよい。同様に、
図8(b)のように、所定形状例えば三角形の親水性領域33aを周方向に交互に上下反転させながら複数形成するようにしてもよい。このように所定形状の親水性領域33aを周方向に間隔をあけながら複数配置する場合においても、
図7(a)の場合と同様に容器2の大径部24と接触する部分に形成するようにしてもよいし、
図7(b)の場合と同様に容器2の大径部24と接触する部分の上下近傍位置にそれぞれ形成するようにしてもよい。尚、容器2の大径部24と接触する部分の近傍位置に親水性領域33aを形成する場合には、容器2の形状によっては、例えば容器2の大径部24と接触する部分に対してその上側の近傍位置のみに形成してもよいし、逆に、容器2の大径部24と接触する部分に対してその下側の近傍位置のみに形成してもよく、上下両側にそれぞれ配置せずとも片側のみに配置してもよい。
【0035】
また、大径部24を有する異形形状の容器2に対して特に有効ではあるが、大径部24を有しないような略径一定の胴部23を有する容器2に対しても有効であり、滑り層33に親水性付与剤を混入させることの効果は特定の容器2の形状に限定されるものではない。