【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業「先進予防型健康社会創生クラスター構想(時空を超えたユビキタスな健康管理環境技術の確立)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
超音波探触子によって非接触で探触データを取得する請求項1〜4のいずれかの超音波探触装置と、取得された探触データを分析する分析装置とを具備してなる超音波探触システムであって、
超音波探触装置は、前記第三回転子の内部、又は第三回転子の先部に取り付けられた先端キャップ内のいずれかに、超音波探触子による探触データを送信する送信機を備え、
分析装置は、送信装置から送信された探触データを受信する受信機を備える超音波探蝕システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の超音波内視鏡や超音波探触子は、モータからの動力を歯車機構のみによって機械的に伝達するため、構造が複雑であり、長期間使用すると機構の摩耗によって動作不良や異常振動が比較的生じやすいという問題があった。
またこの種製品は、被験者の体内に挿入するという性質上、探触子自体に高度な衛生管理が求められるものの、上記従来の超音波内視鏡や超音波探触子は、動力伝達の機構上、グリス等の潤滑剤補充などのメンテナンスが必要であった。このため、衛生管理自体が困難であるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、比較的簡易な構造でありながら長期間の使用によっても動作不良や異常振動が比較的生じにくく、かつ、挿入部である探触子の衛生管理自体が比較的容易な超音波探触子を提供し、また、このような超音波探触子を備えた超音波探触システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく本発明では以下の手段を講じている。
(1)本発明の超音波探触装置は、第一磁性体12を一部に有する第一回転子11を先端付近に備えると共に、第一回転子11を回転させる回転機構を第一回転子11よりも内側ないし後方に備えた、略筒状の第一ハウジング10と、
第二磁性体32を一部に有する第二回転子31を基端付近に備えると共に、この第二磁性体32が前記第一磁性体12の磁場内に入った状態で第一ハウジング10の先側に連結される、略筒状の第二ハウジング20と、
第二ハウジング20の筒内に伸長配置され、前記第二回転子31に基部連結されて第二回転子31の回転力をそれ自体の先部に伝える伝達ロッド30と、
超音波探触子41を外周側面に露出して備えると共に、伝達ロッド30の先部に連結されて第二ハウジングの先端付近に組み込まれる第三回転子40とを具備してなり、
前記第二磁性体32は、第二ハウジングが第一ハウジングに連結されたとき、前記第一磁性体の磁場内に配され、
回転機構によって第一回転子11が回転すると、第一磁性体の磁気モーメントを受けた第二磁性体と共に第二回転子31が回転し、
第一磁性体の磁気モーメントによって第二回転子31が回転すると、その第二回転子31の回転に伴って伝達ロッド30が先側の第三回転子40に回転力を伝達し、
第三回転子40が第三回転子40の外周側面にて回転することで、第二ハウジングの先側部分の外方周囲を非接触探触することを特徴とする。
(2)前記超音波探触装置において、第一ハウジングの先端部と第二ハウジングの基端部のそれぞれに、互いに連結解除可能な一組の連結機構を片方ずつ備えることが好ましい。
【0008】
具体的には、一組の連結機構は、第一ハウジング10の先端面10Eに備えられた一方の連結部23Hと、第二ハウジング20の基端面に備えられた他方の連結部とから構成され、これらが連結/連結解除することで、第一ハウジングと第二ハウジングが互いに連結/取り外しされるものとすることができる。
体内に挿入して探触する等の場合に、第二ハウジングを含む先側の体内挿入部を交換又は取り外し洗浄することで、より高度な衛生管理を行うことが可能となる。
【0009】
(3)前記いずれかの超音波探触装置において、第三回転子40は、第二ハウジング20の先部にて伝達ロッド30の先端に固定され、第二ハウジングの筒軸と同軸上に回転可能に取り付けられた回転筒体からなり、
この第三回転子40の筒側面に、筒径方向外方を指向方向中心とした一または複数の超音波探触子41を備えてなることが好ましい。
このような第三回転子を備えた装置であれば、軸に垂直な方向(ラジアル方向)を回転しながら非接触探触することができる。
【0010】
(4)前記いずれかの超音波探触装置において、第二ハウジング20の先部に、略筒状の支持ベース4Fが同軸連結され、
第三回転子40は、この支持ベースの筒側面上から、軸と交差する突出軸方向に突出して、突出軸周りに回転可能に取り付けられた突出体からなり、
超音波探触子が、この突出体の突出側面に露出して組み込まれ、
伝達ロッド30の回転力が、前記支持ベース内で方向変換され、突出体の突出軸周りの回転力として伝達されることが好ましい。
【0011】
上記構成は後述の実施例3に採用される。
【0012】
(5)また本発明の超音波探触システムは、超音波探触子によって非接触で探触データを取得する上記(1)〜(4)のいずれかの超音波探触装置と、取得された探触データを分析する分析装置とを具備してなる超音波探触システムであって、
超音波探触装置は、前記第三回転子40の内部、又は第三回転子40の先部に取り付けられた先端キャップ2E内のいずれかに、超音波探触子41による探触データを送信する送信機43を備え、
分析装置は、送信装置43から送信された探触データを受信する受信機を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によって提供される超音波探触子及び超音波探蝕システムは、上記構成のとおり、磁性体の回転によって形成される回転磁場を使用して非接触でロッドないし回転子を回転させるという回転機構を採用しているため、比較的簡易な構造でありながら長期間の使用によっても動作不良や異常振動が比較的生じにくく、振動を伴わない安定した回転動作を長期間継続できるものとなった。また歯車機構による動力伝達を必須としないため、挿入部である探触子の衛生管理自体が比較的容易なものとなった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態例を、実施例として示す各図と共に説明する。
図1〜
図3は実施例1の超音波探触装置を、
図4は実施例2の超音波探触装置を、そして
図5〜
図9は実施例3の超音波探触装置を、それぞれ示す。
【0016】
(本発明の最小限の構成)
本発明の超音波探触装置は、各実施例の構成のうち少なくとも以下の最小限の構成を備えたものであればよい。最小限の構成とはすなわち、各実施例に共通する以下の構成からなる。
・第一磁性体12を一部に有する第一回転子11を先端付近に備えると共に、第一回転子11を回転させる回転機構を第一回転子11よりも内側ないし後方に備えた、略筒状の第一ハウジング10
・第二磁性体32を一部に有する第二回転子31を基端付近に備えると共に、この第二磁性体32が前記第一磁性体12の磁場内に入った状態で第一ハウジング10の先側に連結される、略筒状の第二ハウジング20
・第二ハウジング20の筒内に伸長配置され、前記第二回転子31に基部連結されて第二回転子31の回転力をそれ自体の先部に伝える伝達ロッド30
・超音波探触子41を外周側面に露出して備えると共に、伝達ロッド30の先部に連結されて第二ハウジングの先端付近に組み込まれる第三回転子40
但し、前記第二磁性体32は、第二ハウジングが第一ハウジングに連結されたとき、前記第一磁性体の磁場内に配されることを構成上の必須条件とする。
上記構成上の必須条件を満たす最小限の構成によって、以下の回転力の伝達動作を行うこととなる。回転力の伝達動作とはすなわち、回転機構によって第一回転子11が回転すると、第一磁性体の磁気モーメントを受けた第二磁性体と共に第二回転子31が回転し、第一磁性体の磁気モーメントによって第二回転子31が回転すると、その第二回転子31の回転に伴って伝達ロッド30が先側の第三回転子40に回転力を伝達し、第三回転子40が第三回転子40の外周側面にて回転することで、第二ハウジングの先側部分の外方周囲を非接触探触する、という動作である。
【0017】
また本発明の超音波探触システムは、最小限の構成として少なくとも、これら実施例1〜3のいずれかの超音波探触装置と、超音波探触装置によって取得された探触データを分析する分析装置とから構成されるものであればよい。以下、各実施例の構成につき詳述する。
【実施例1】
【0018】
(実施例1の基本構成)
図1〜
図3に示す実施例1の超音波探触装置は、動力接続された回転機構を具備する棒状の第一ハウジングの先側に、被験者の体内に挿入可能な棒状の「体内挿入部」を備えてなる。具体的には、
第一磁性体12を一部に有する第一回転子11を先端付近に備えると共に、第一回転子11を回転させる回転機構を第一回転子11よりも内側ないし後方に備えた、略筒状の第一ハウジング10と、
第二磁性体32を一部に有する第二回転子31を基端付近に備えると共に、この第二磁性体32が前記第一磁性体12の磁場内に入った状態で第一ハウジング10の先側に連結される、略筒状の第二ハウジング20と、
第二ハウジング20の筒内に伸長配置され、前記第二回転子31に基部連結されて第二回転子31の回転力をそれ自体の先部に伝える伝達ロッド30と、
超音波探触子41を外周側面に露出して備えると共に、伝達ロッド30の先部に連結されて第二ハウジングの先端付近に組み込まれる第三回転子40とを具備して構成される。
【0019】
(連結状態と連結解除状態)
図1、
図2に示すように、棒状に伸長する第二ハウジング20、第二ハウジング20内の伝達ロッド30、及び第二ハウジング20よりも先側の第三回転子40は「体内挿入部」として一体的に組み付け構成される。また、第一ハウジングの先端部と第二ハウジングの基端部のそれぞれに、互いに連結解除可能な一組の連結機構を片方ずつ備えており、第一ハウジング10の先端から第二ハウジング20が連結ないし分離可能に構成される。具体的には、第一ハウジング10の先端面10E中央から軸方向に、爪状の先側連結部23Hが突出形成され、また、第二ハウジング20の基端面に、先側連結部23Hを嵌入保持し得る挿入孔が形成される。これら先側連結部23H及び挿入孔が、一方の連結部及び他方の連結部からなる一組の連結機構を構成する。
これにより、前記体内への挿入部が、第一ハウジング10に連結された連結状態(
図1a)ないし、前記体内への挿入部が、第一ハウジング10から分離した連結解除状態(
図1b)のいずれかの状態となる。ここで第二ハウジングが第一ハウジングに連結された連結状態において、第二磁性体32は前記第一磁性体の磁場内に配されており、回転機構によって第一回転子11が回転すると、第二磁性体が第一磁性体の磁場に基づく磁気モーメントを受け、第二磁性体を固定した第二回転子31が第二ハウジング20に対して回転するようになっている。
【0020】
なお、先側連結部23Hと挿入孔は、それぞれ第二ハウジング20の基端面、第一ハウジング10の先端面に備えられていてもよく、また、一組の連結機構は、体内挿入部の連結状態ないし連結解除状態を維持するものであれば、他の形状による組み合わせからなるものでもよい。
【0021】
(第一ハウジング)
第一ハウジングは、内部空間を有した筒状体によってカバーされてなる。この筒状体は、板状の先端面10Eを一体化してなり、ピン10Pで固定される。この内部空間内の基部寄りの位置にモーターMを収容すると共に、内部空間内の先端寄りの位置に、モーターシャフトAと機械連結された第一回転子11を収容する。第一回転子11はモーターMのうちモーターシャフトAの先側に固定される。具体的にはモーターシャフトAは第一ハウジングの筒軸に沿って先側に伸長し、周囲を第一回転子11の基端側に形成された接続枠に覆設され、接続枠を筒径方向に貫通螺合する圧接ピン11Pによって、この接続枠に圧接固定される。これにより、第一回転子11は、筒軸中央に固定された短軸周りのベアリング1Bによって自由回転可能に構成され、モーターシャフトAの動力回転と共に、第一ハウジング10内の先端付近で回転する。
【0022】
第一ハウジングの先端面10Eを構成する先端板は、その中央両面にそれぞれ、内側連結部13H、及び先側連結部23Hが爪状に突出形成される。内側連結部13Hは第一回転子11の先側中央に形成された中央孔内に突出し、ベアリング1B内の短軸の周部に嵌合して短軸を保持固定する。
先側連結部23Hは、第一ハウジング10の先端面10E中央から軸方向に突出形成され、第二ハウジング20の基端面に形成された挿入孔に嵌入し、挿入孔内で突出する中央軸23の周部に圧接する。この先側連結部23Hの挿入孔内への嵌入と中央軸への圧接によって、体内挿入部が第一ハウジングの先端面に連結される。また体内挿入部を引き抜くことで容易に圧接解除される。
【0023】
(体内挿入部)
体内挿入部は、第一ハウジング10の先端面から抜き差しすることで、
図1aに示す連結状態又は
図1bに示す連結解除状態にすることができる。
体内挿入部の構成は、第二磁性体32を一部に有する第二回転子31を基端付近に備えると共に、この第二磁性体32が前記第一磁性体12の磁場内に入った状態で第一ハウジング10の先側に解除可能に連結される略筒状の第二ハウジング20と、
第二ハウジング20の筒内に伸長配置され、前記第二回転子31に基部連結されて第二回転子31の回転力をそれ自体の先部に伝える伝達ロッド30と、
超音波探触子41を外周側面に露出して備えると共に、伝達ロッド30の先部に連結されて第二ハウジングの先端付近に組み込まれる第三回転子40と、
第三回転子の先側に取り付けられた先端キャップ2Eとを一体的に具備してなる。
【0024】
体内挿入部の軸中央には、第二ハウジング20及び、第三回転子40、及び先端キャップ2Eの中央部分を貫通する中央軸23が挿通固定される。中央軸23は先部が先端キャップ2Eに回転不能に固定され、第二ハウジング20の基端面の挿入孔近傍まで伸長する。この中央軸23の周りに、ベアリング2B,3Bを介して伝達ロッド30、及び筒状の送信機43が覆設される。この中央軸23とベアリング2B,3Bとによって、伝達ロッド30及び送信機43を自由回転可能に支持する回転支持機構が構成される。
【0025】
また第二ハウジング内には伝達ロッド30が自由回転可能に収容される。伝達ロッド30は、円形筒状のまま伸長する棒体を有し、棒体の基端部に円板状の第二回転子31が拡径固定される。また実施例1の伝達ロッド30の棒体の先端部には、円筒状の第三回転子40が固定され、伝達ロッド30の回転と共に第三回転子40が回転するものとなっている。一体構成された第二回転子3120、伝達ロッド30、及び第三回転子40の各内部孔内を、中央軸23が挿通して、回転機構によって中央軸23周りに自由回転可能となっている。
【0026】
(第三回転子40)
第三回転子40は、第二ハウジング20の先部にて伝達ロッド30の先端に固定され、第二ハウジングの筒軸と同軸上に回転可能に取り付けられた回転筒体からなり、この第三回転子40の筒側面に、筒径方向外方を指向方向中心とした一個の超音波探触子41を備えてなる。
【0027】
実施例1の超音波探触装置において、
図2のA−A断面位置に相当する第三回転子40の長さ方向中央部分の軸断面(すなわち超音波探触子部分の正面視拡大断面)は、
図3のように表れる。
図3の軸断面図においては、第三回転子40の内部に連絡通路42が形成され、第三回転子40の周部であって各連絡通路の先端位置に、一つの超音波探触子41が外周に露出して固定される。露出部分を超音波探触面とし、この超音波探触面から径方向外方へ超音波信号の送受信を行う。送信信号及び受信信号は、連絡通路を通って送信機43に電気連絡され、一旦送信機内に信号が記録される。送信機43は外部の受信機(図示せず)に受信信号を送信し、外部の分析装置(図示せず)にて超音波探触画像を解析する。
【0028】
(回転力の伝達)
実施例1において、回転機構によって第一回転子11が回転すると、第一磁性体の磁気モーメントを受けた第二磁性体と共に第二回転子31が回転し、
第一磁性体の磁気モーメントによって第二回転子31が回転すると、その第二回転子31の回転に伴って伝達ロッド30が先側の第三回転子40に回転力を伝達する。そして、回転力を伝達された第三回転子40が、第三回転子40の外周側面にて回転する。これにより、第三回転子40に固定された超音波探触子が、第二ハウジングの先側部分の外方周囲に沿って回転移動し、体内挿入部の周方向外方を、ラジアル方向に非接触探触する。
【実施例2】
【0029】
図4に示す実施例2の超音波探触装置では、第三回転子40の周囲に4つの超音波探触子41を略等間隔に備えており、各超音波探触子41の裏側から第三回転子40の内部中心方向にそれぞれ連絡通路42が形成される。それ以外の第一ハウジング10、第二ハウジング20、伝達ロッド30を含む部品構成、部品形状、及び回転動作はすべて実施例1と同一である。
【0030】
より具体的には、実施例2の超音波探触装置において、
図2のA−A断面位置に相当する第三回転子の長さ方向中央部分の軸断面(すなわち超音波探触子部分の正面視拡大断面)は、
図4のように表れる。
図4の軸断面図においては、第三回転子40の内部に軸断面視十字状の連絡通路42が形成され、第三回転子40の周部であって各連絡通路の先端位置に、それぞれ超音波探触子41が固定される。
【実施例3】
【0031】
図5〜
図9に示す実施例3の超音波探触装置においては、前記第一磁性体と第二磁性体による伝達ロッド30基部の磁場回転機構に加えて。第三磁性体と第四磁性体による伝達ロッド30先部の磁場回転機構を備えている。また第三回転子は、ロッドの回転軸と直交するラジアル方向軸周りにも磁場回転するものであり、第三回転子の頭部に設けられた超音波探触子40は、ラジアル方向(
図8の矢印方向)に回転移動して超音波探触可能となっている。
【0032】
具体的には、実施例3の超音波探触装置においては、第二磁性体32を保持固定した第二回転子31の先部に伝達ロッド30が一体固定され、伝達ロッド30の先部が拡径して第三保持部33を構成し、この第三保持部33に第三磁性体34が埋め込み固定される。また、第三保持部33の先側に、筒状の延長ロッド45Hが突出形成される。これら第二回転子31、伝達ロッド30、第三保持部33、及び延長ロッド45はすべて一体的に構成され、伝達ロッド30の内部の筒孔に組み込まれたベアリング2Bによって、中央軸23周りに自由回転可能に保持される。
【0033】
また、実施例3の超音波探触装置においては、第二ハウジング20の先部に、略筒状の支持ベース4Fが回転不能に同軸連結され、この支持ベースの筒側面上から、軸と交差する突出軸方向に突出して、2つの第三回転子40が設けられる。2つの第三回転子40はそれぞれ、球冠状の頭部を有する扁平円柱状の回転体からなる。
【0034】
支持ベース4Fは中央軸部分が円形に刳り抜かれており、この刳り抜き部分に筒状の延長ロッド45Hが収容される。延長ロッド45Hの内部には中央軸23が環状のベアリング3Bを介して挿通する。
【0035】
各回転体は、支持ベース4Fの筒側面に離反して形成された枠穴内に埋め込まれて、ハウジング軸と直交する軸周りに自由回転可能に保持される。ここで回転体には、その扁平円柱の周側面に沿って、環状の第四磁性体が組み込まれ、また、その扁平円柱の底部中央に突出ピン45が突出形成される。
【0036】
一方、支持ベース4Fの枠穴底中央には、突出ピン45を挿入させる挿入孔が形成される。そして、挿入孔内に挿入した突出ピン45の突出基部の挿入部分周囲に、挿入孔枠形状の環状のベアリング4Bが組み込まれる。この環状のベアリング4Bによって突出ピン45の突出基部が自由回転可能に保持される(
図7、
図8)。また突出ピン45の先部は、延長ロッド45Hの側面に形成されたピン孔内に挿入されて、ピン位置が移動制限される。そして、回転体の突出部の周部に組み込まれたベアリング機構4Bによって、回転体が駒状に回転可能となっている。
【0037】
第三回転子40の頭部は、この支持ベースの筒側面上から、軸と交差する突出軸方向に突出して、突出軸周りに回転可能に取り付けられた部分球状の突出体からなり、半円形曲面の探蝕面を有する2つの超音波探触子が、この突出体の突出側面の周部にて、部分球状の突出面に沿って組み込まれる(
図6)。そして伝達ロッド30の回転力が、前記支持ベース内で方向変換され、突出体の突出軸周りの回転力として伝達される。
【0038】
(第三磁性体及び第四磁性体)
実施例3では伝達ロッド30の先部が拡径して伝達保持部33を構成し、この伝達保持部33に第三磁性体34、35が埋め込み固定される。第三磁性体34、35は極方向を互いに異にするブロック状の正極第三磁性体34と負極第三磁性体35とから構成され、
図9に示すように、正極第三磁性体34と負極第三磁性体35とが周方向に交互に隣接形成されて略ドーナツ状の磁性面を構成し、第二回転子3120の先端面に露出する。また、このドーナツ状の磁性面の内側部分には、カバー基端部中央の保持枠に対して自由回転する環状ベアリング210が形成され、さらにその内側部分には、ベアリング3B及び中央軸23が突出形成される。
【0039】
(実施例3の動力伝達)
実施例3において、第一磁性体12は、回転した第一回転子11によって第一回転磁場を形成し、この第一回転磁場によって第二磁性体32に第一磁性モーメントを付与する。磁性モーメントを付与されて磁性反応した第二磁性体32は、伝達ロッド30の内部の回転機構(中央軸23及びベアリング2B)によって、第二回転子31、伝達ロッド30、及び伝達磁性体34と共に、第二ハウジング20に対して回転移動する。
【0040】
そして第三磁性体34が、回転した伝達保持部33によって第三回転磁場を形成し、この第三回転磁場によって第四磁性体44に第三磁性モーメントを付与する。第三磁性モーメントを付与されて磁性反応した第四磁性体44は、第三回転子40の回転機構によってラジアル方向軸周りに回転する。これにより、超音波探触子は三次元的な検視移動が可能となる。
【0041】
他の特記しない構成、形状、及び回転動作は実施例1と同様である。
【0042】
(超音波探触システム)
また、本発明の超音波探触システムは、超音波探触子によって非接触で探触データを取得する上記いずれかの超音波探触装置と、取得された探触データを分析する分析装置とを具備してなる。この超音波探触システムにおける超音波探触装置は、前記第三回転子40の内部、又は第三回転子40の先部に取り付けられた先端キャップ2E内のいずれかに、超音波探触子41による探触データを送信する送信機43を備える。また分析装置は、送信装置43から送信された探触データを受信する受信機を備えており、一個または他数個の超音波探触装置によって取得された探触データを分析する。
【0043】
体内に挿入して探触する等の場合に、第二ハウジングを含む先側の体内挿入部を第一ハウジングの先から連結解除し、これを交換又は洗浄することで、より高度な衛生管理を行うことが可能となる。体内挿入部をユニット化して耐熱・耐水性能を持たせると共に、サイズの異なる体内挿入部のユニットをあらかじめ複数個用意しておき、一つのホルダの第一ハウジングの先部にいずれかを交換可能に連結できるものとすれば、衛生管理上の処理を施した体内挿入部、或いは被施療者に応じた体内挿入部を選択的に使用することができることとなる。