(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1から3の構成は、ブロック(又はカードなど)を並べ代えて試行錯誤できる程度の能力を学習者が有している場合には、学習用教材として有効であると思われる。しかし、学習者が幼児の場合、自らブロックを並べ代えて試行錯誤する能力は期待できない。してみると、特許文献1から3の構成は、幼児にとっては、単にブロック(又はカードなど)に予め音符が描かれているだけのものであり、好奇心が刺激されない。この場合、特許文献1から3の教材は、学習者(幼児)にとって親しみが湧きにくく、かえって分かりにくいものとなる。
【0006】
この点、特許文献4の教材具は、全体をリンゴ状に形成されているため、幼児にとって親しみが湧き易いものと考えられる。音楽教室の教師は、学習者(幼児)の目の前で、特許文献4のリンゴ(教材)を分割し、当該リンゴの切り口に表示された音符を提示する。これによれば、幼児にとっては、リンゴの切り口から思いがけなく音符が現れることになるので、興味が引かれ、学習効果の向上も期待できる。
【0007】
ところで、特許文献4の構成は、球状の教材(リンゴ)を扇形に分割したものであり、それぞれの扇形ブロックの中心角が、音符の長さ(音価)に対応している。しかし、幼児にとっては角度の概念を理解することが難しく、まして角度と音価の対応関係を理解することは困難である。従って、特許文献4の教材は、音符の記号と、音符の長さ(音価)と、の関係を学習するという点で、幼児にとっては必ずしも分かり易いものではない。
【0008】
また、特許文献4の構成では、教材(リンゴ)を分割する位置を間違えた場合、期待されている音符とは全く異なる音符がリンゴの切り口に現れることになる。ところが、特許文献4の教材は球形であり、32箇所の切り口は全て対称であるため、教材(リンゴ)をどの部分で分割すれば良いのか一見してわかりにくい。音楽教室の教師は、特許文献4の教材を使って教える場合、分割する位置を間違えないようにしなければならない。従って、特許文献4の教材は、教師にとっても扱い易い教材であるとは言えない。
【0009】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、音符の記号と、当該音符の音の長さ(音価)と、の関係を分かり易く学習できる音楽知育玩具を提供することにある。
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0011】
本発明の観点によれば、以下の音楽知育玩具が提供される。即ち、この音楽知育玩具は、複数の柱状体と、連結手段と、を備える。前記連結手段は、複数の前記柱状体を、軸方向に並べて端面同士を向かい合わせた状態で分離可能に連結する。各柱状体は、軸方向の一側の端面に、当該柱状体の軸方向の長さに対応した音価を有する第1音符を表示
し、前記第1音符が表示されている側とは反対側の端面に、第2音符が表示されている。前記連結手段は、ある柱状体の第1音符が表示された端面と、他の柱状体の第2音符が表示された端面と、を向かい合わせた状態で柱状体同士を連結することが可能に構成されている。少なくとも何れかの柱状体の第2音符は、当該柱状体が他の1つ又は複数の柱状体に連結されたときの軸方向の長さに対応した音価を有する。
【0012】
なお、本明細書における「音符」は、休符も含む概念であるとする。
【0013】
このように、柱状体の端面に、その軸方向の長さに応じた音価の音符を表示したことで、音符の記号と、当該音符の長さと、の関係を直感的に学習できる。複数の柱状体は、連結手段によって軸方向に連結して長くできるので、音符が連結して長くなる様子を直感的に学習できる。また、端面同士を向かい合わせて柱状体同士を連結することにより、当該端面に表示された音符が見えなくなる。そして、連結を解除すれば、隠れていた音符を確認できるので、学習者の興味を引き、学習効果の向上が期待できる。
そして、複数の柱状体を連結した状態で、学習者に対して、複数の柱状体が連結された軸方向の長さに対応した音価の第2音符を提示することで、音符の記号と音価の関係を直感的に理解させることができる。
【0016】
上記の音楽知育玩具において、前記連結手段は、複数の柱状体を、軸方向に連鎖的に連結可能であることが好ましい。
【0017】
このように、柱状体を連鎖的に連結する、或いは連結を解除することにより、学習者に対して、順番に第2音符を提示していくことができる。
【0018】
本発明の他の観点によれば、以下の音楽知育玩具が提供される。即ち、
この音楽知育玩具は、複数の柱状体と、連結手段と、を備える。各柱状体は、軸方向の一側の端面に、当該柱状体の軸方向の長さに対応した音価を有する第1音符を表示し、前記第1音符が表示されている側とは反対側の端面に、第2音符が表示されている。前記連結手段は、ある柱状体の第1音符が表示された端面と、他の柱状体の第1音符が表示された端面と、を向かい合わせた状態で柱状体同士を連結することが可能に構成されている。少なくとも何れかの柱状体の第2音符は、当該柱状体が他の1つ又は複数の柱状体に連結されたときの軸方向の長さに対応した音価を有する。
【0019】
このように、柱状体の端面に、その軸方向の長さに応じた音価の音符を表示したことで、音符の記号と、当該音符の長さと、の関係を直感的に学習できる。複数の柱状体は、連結手段によって軸方向に連結して長くできるので、音符が連結して長くなる様子を直感的に学習できる。また、端面同士を向かい合わせて柱状体同士を連結することにより、当該端面に表示された音符が見えなくなる。そして、連結を解除すれば、隠れていた音符を確認できるので、学習者の興味を引き、学習効果の向上が期待できる。そして、柱状体同士を連結したときに、第1音符は内側になり、第2音符は外側となる。従って、柱状体を連結した状態において、外側の端面に表示された第2音符により、連結した状態の長さに対応した音価の音符を表示できる。そして、柱状体の連結を解除することにより、内側の端面で、それぞれの柱状体の長さに対応した第1音符を確認できる。これにより、音符の記号と、音価の長さと、の関係を直感的に学習できる。
【0020】
上記の音楽知育玩具において、前記柱状体は円柱形であることが好ましい。
【0021】
このように円柱形とすることにより、柱状体に角ばった箇所が少なくなり、幼児用の知育玩具として安全性が向上する。また、柱状体の端面形状が円形となるため、音符をイメージし易くなり、学習効果が向上する。
【0022】
上記の音楽知育玩具において、前記柱状体は布製であることが好ましい。
【0023】
これにより、柱状体が柔らかく手触りが良くなるので、幼児にとって親しみ易くなる。また、布製とすることにより硬い部分が無くなるので、安全性にも優れる。
【0024】
上記の音楽知育玩具は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記柱状体は、内部に綿(わた)が詰められた布製の袋状体と、前記袋状体よりも厚い布によって筒状に形成されたスリーブと、から構成される。前記スリーブの内側に前記袋状体が位置する。
【0025】
即ち、柱状体を布製とした場合は、綿の弾力によって外向きに膨らんでしまい、円柱形を保持することが難しい。そこで、比較的厚みのある布によって構成された円筒状のスリーブを利用することにより、円柱状の形状を保持することができる。
【0026】
上記の音楽知育玩具において、前記スリーブの内周面が、前記袋状体の外周面に接着されていることが好ましい。
【0027】
このように、スリーブを袋状体に接着することにより、円柱状の形状を保持し易くなる。また、接着剤が硬化することにより、適度な強度を確保できる。
【0028】
上記の音楽知育玩具において、記連結手段は面ファスナーであることが好ましい。
【0029】
即ち、面ファスナーは柔軟であり、布製の玩具の連結手段として特に好適である。また、面ファスナーであれば、柱状体の連結及び連結解除の操作は特に難しくなく、力も必要ないので、幼児にも取り扱い易い。
【0030】
上記の音楽知育玩具は、以下の収容具を備えることが好ましい。即ち、この収容具は、複数の棒状部材が、その長手方向と直交する方向に並べて連結された巻き簾状に構成されている。
【0031】
即ち、円柱形に形成された柱状体の周囲に、「巻き簾」状の収容具を巻き付けることにより、前記柱状体を収容できる。
【0032】
上記の音楽知育玩具において、前記複数の棒状部材のうち、当該棒状部材が並べられた方向で所定間隔を空けた複数の棒状部材が、他の棒状部材とは異なる色ないし模様であることを特徴とする音楽知育玩具。
【0033】
色(ないし模様)が異なる棒状部材を、「五線譜」の線にみたてることで、収容具を楽譜の学習に利用できる。
【0034】
上記の音楽知育玩具において、前記所定間隔は、円柱状の柱状体材の直径に略一致していることが好ましい。
【0035】
これにより、各柱状体を音符の「符頭」に見立てて、「五線譜」に見立てた収容具の上に並べることにより、楽譜の学習に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、図面を参照して、本願発明の第1実施形態について説明する。
図1に示すのは、本願発明の第1実施形態に係る知育玩具1の斜視図である。本実施形態の知育玩具1は、音符の学習に用いられることを想定しており、特に、音符の記号と、音の長さ(音価)と、の関係を幼児に分かり易く示すことを目的としている。
【0038】
本実施形態の知育玩具1は、複数の柱状体2と、柱状体2を収容するための収容具3と、から構成されている。
【0039】
各柱状体2は、円柱状に形成されている。各柱状体2の軸方向の端面には、それぞれ音符が表示されている(
図2及び
図3)。
【0040】
図4に示すように、各柱状体2は、円筒状のスリーブ4と、スリーブ4の内側に配置された袋状体5と、から構成されている。スリーブ4の軸方向の両端部は開放されており、この部分から袋状体5の表面の一部が外部に露出して、柱状体2の軸方向の端面を形成している。
【0041】
なお、本実施形態の柱状体2は「巻き寿司」を模したもので、スリーブ4を黒色、袋状体5は白色としている。即ち、スリーブ4の部分は巻き寿司の「海苔」、袋状体5の部分は巻き寿司の「お米」に対応している。このように、柱状体2を、身近な食べ物を模した色と形にすることで、学習者である幼児に親しみを感じてもらうことができる。
【0042】
収容具3は、市販の巻き簾(まきす)を流用したものである。巻き簾は、複数の細長い棒状部材6が、その長手方向と直交する方向に並んで連結された公知の構成である。この収容具3(巻き簾)を柱状体2に巻き付けることにより、当該柱状体2を収容具3の内側に収容する。
【0043】
即ち、柱状体2を「巻き寿司」としたので、これに合わせて、収容具3も「巻き簾」としたのである。本実施形態の知育玩具1を片付ける際には、学習者である幼児が、巻き寿司を作る動作を真似て、複数の柱状体2の周囲に収容具3(巻き簾)を巻き付ける。これにより、楽しみながら知育玩具1の片付けを行うことができる。
【0044】
本実施形態の収容具3は、並んで連結された複数の棒状部材6に、数本おきに(即ち、所定間隔で)色を塗っている。なお、色を塗る棒状部材6は全部で5本とすれば好適である。これによれば、収容具3(巻き簾)を展げたときに、色を塗られた棒状部材6が、ちょうど「5線譜」の線のようになる(
図5参照)。もっとも、色を塗るのに限定されず、例えば5本の棒状部材6に特定の模様を印刷するなどでも良い。
【0045】
色を塗る棒状部材6の間隔は、柱状体2の直径に略一致していれば好適である。これによれば、学習者は、各柱状体2を音符の「符頭」に見立て、「五線譜」に見立てた収容具3の上に並べていくことで(
図5の状態)、五線譜に親しむことができる。
【0046】
なお、図示は省略するが、「五線譜」に見立てた収容具3に、ト音記号やヘ音記号などの音部記号が表示されていても良い。これによれば、「五線譜」に見立てた収容具3の上に、音符の「符頭」に見立てた柱状体2を配置することで、五線譜上の音符の位置と、音の高さと、の関係を学び、譜読みの学習に繋げることができる。
【0047】
本実施形態の知育玩具1は、幼児の学習用に用いられるものであることを考慮し、各柱状体2を布製としている。これにより、柱状体2が、柔らかくて手触りが良いものになるので、学習者である幼児にとって親しみ易くなる。また、柱状体2を布製とすることにより、硬い部分や尖った部分が無くなるので、怪我の心配が無く、安全性にも優れる。
【0048】
より具体的には以下のとおりである。即ち、前述のように、各柱状体2は、袋状体5とスリーブ4から構成されている。袋状体5は、比較的柔らかく伸縮性のある布によって袋状に構成されるとともに、その内部に綿(わた)が詰められている。スリーブ4は、布を円筒状に丸めて形成されている。
【0049】
なお、袋状体5は柔らかいため、綿の弾力によって球状に膨らみがちである(
図4の上側の状態)。従って、袋状体5のみでは、柱状体2の円柱形状を維持できない。そこで、スリーブ4は、袋状体5よりも厚みがあり、かつ袋状体5よりも伸縮性が乏しい布から構成されている。なお、本実施形態のスリーブ4はフェルト製である。
【0050】
本実施形態では、円筒状のスリーブ4の内周面に接着剤を塗布し、当該スリーブ4の内側に袋状体5を挿入して、スリーブ4の内周面と袋状体5の外周面を接着させる(
図4の下側の状態)。スリーブ4に接着された袋状体5は、スリーブ4に沿った形状を保つ。また、スリーブ4に染み込んだ接着剤が硬化することにより、スリーブ4に適度な強度が付与され、当該スリーブ4の円筒形状が保持され易くなる。以上により、本実施形態の柱状体2は、柔らかい布製でありながら円柱形状を保つことができる。
【0051】
前述のように、柱状体2の端面には、音符が表示されている。音符を表示する方法は、特に限定されない。例えば、柱状体2の端面に音符が印刷されていても良いし、音符の形に切り取った布などが柱状体2の端面に貼り付けられていても良い。
【0052】
知育玩具1は、柱状体2同士を軸方向に並べて連結する連結手段を備えている。本実施形態において、連結手段はマジックテープ(登録商標)などの面ファスナー7である。周知のように、面ファスナー7はある程度の柔軟性と可撓性を有しており、布製品同士を連結させる手段として特に好適である。また、面ファスナー7は、連結や連結解除の操作が簡単であり、当該操作のための力も小さくて済むため、幼児にも取り扱いが容易である。
【0053】
図2及び
図3に示すように、面ファスナー7は、各柱状体2の軸方向の両端面の少なくとも一方に設けられている。そして、ある柱状体2の端面の面ファスナー7と、他の柱状体2の端面の面ファスナー7と、を接触させることにより、当該2つの柱状体2を軸方向で連結できる。なお、本実施形態において、
図2及び3に示す柱状体2b,2cには、軸方向の両方の端面に面ファスナー7が設けられている。このように両端面に面ファスナー7を有する柱状体2を介在させることで、柱状体2を連鎖的に連結できる。従って、例えば
図1のように、3つ以上(
図1の場合は4つ)の柱状体2を連結した状態とすることが可能である。
【0054】
各柱状体2は、その直径方向のサイズが同一となっている。これにより、複数の柱状体2を連結したときに、
図1のように1つの長い円柱状の連結体となる。これにより、「巻き寿司」としてのイメージが損なわれないようになっている。
【0055】
なお、本実施形態において、各柱状体2の端面に表示されている音符は、直径方向の中央付近に位置している。そして、面ファスナー7は、音符を避けて(音符に被らないように)、当該音符を挟んで複数箇所(本実施形態の場合は、音符の上下左右の4箇所)に設けられている。面ファスナー7を複数箇所に設けることにより、柱状体2同士を安定して連結できる。
【0056】
続いて、各柱状体2の端面に表示された音符について詳しく説明する。
【0057】
前述のように、各柱状体2の両端面には、それぞれ音符が表示されている。
図2及び
図3には、本実施形態の4つの柱状体2a,2b,2c,2dの両端面がそれぞれ示されている。
【0058】
前述のように、本実施形態の知育玩具1は、音符の記号と音価の関係を幼児に分かり易く示すことを目的としたものである。本実施形態の知育玩具1は、柱状体2の軸方向の長さによって、音符の長さ(音価)を表すことを特徴の1つとしている。即ち、柱状体2の軸方向の長さは、音符の長さに比例している。例えば、柱状体2の軸方向の長さが2倍になれば、2倍の長さの音符を表す。
【0059】
図1から3に示した4つの柱状体2は、軸方向の長さが全て同じとなっている。従って、
図1から3の4つの柱状体2は、同じ長さの音符に対応している。ただしこれに限らず、各柱状体2の軸方向の長さが互いに異なっていても良い。この場合、各柱状体2は、互いに異なる長さの音符に対応することになる。
【0060】
なお、柱状体2の軸方向の長さと、音符の長さと、の比例関係をどのように設定するかは任意である。ただし、幼児向けの音楽教育で頻出するのは四分音符であると考えられるため、四分音符に対応する柱状体2が扱い易い(軸方向に長過ぎず、短過ぎない)ことが好ましい。例えば、
図1から
図3に示した4つの柱状体2a,2b,2c,2dは、軸方向の長さが直径の半分程度であり、長過ぎず短過ぎない適度な長さとなっているとともに、「巻き寿司」の1切れとしても違和感が無い形状である。そこで本実施形態では、
図1から
図3に示した4つの柱状体2を、それぞれ四分音符に対応させている。
【0061】
図3に示すように、各柱状体2の一側の端面には、それぞれの柱状体2の軸方向の長さに対応した音価の音符(この場合は四分音符)が表示されている。このように、個々の柱状体2の端面において、当該柱状体2の軸方向の長さに応じて表示されている音符のことを、本明細書では「第1音符」と称する。
【0062】
図示は省略するが、例えば、
図1から
図3に示した柱状体2の半分の長さの柱状体を用意しても良い。この場合、当該柱状体の第1音符として、八分音符を端面に表示する。また例えば、
図1から
図3に示した柱状体2の2倍の長さの柱状体を用意しても良い。この場合、当該柱状体の第1音符として、二分音符を端面に表示する。
【0063】
音楽教室の教師は、学習者(幼児)に対して、各柱状体2の軸方向の長さを見せ、次に、当該柱状体2の端面に表示された第1音符を提示する。幼児は、柱状体2の軸方向の長さと、提示された第1音符との関係を把握できる。これによれば、音符の記号と、音価(柱状体2の軸方向の長さ)との関係を効果的に学習できる。
【0064】
前述のように、本実施形態の柱状体2は面ファスナー7によって連結可能である。従って、複数の柱状体2を連結することにより、軸方向の長さを長くして、長い音価の音符を表現できる。即ち、四分音符に対応した柱状体2を2つ連結すれば、その軸方向の長さは2倍になるので、二分音符を表現できる。また、本実施形態の柱状体2は面ファスナー7によって連鎖的に連結可能であるから、3つの柱状体2を連結して付点二分音符を、4つの柱状体2を連結して全音符を、それぞれ表現できる。
【0065】
各柱状体2において、第1音符とは反対側の端面には、複数の柱状体を連結したときの軸方向の長さに対応した音符が表示されている。本明細書では、第1音符とは反対側の端面に表示された音符を、「第2音符」と称する。各柱状体2に表示されている第2音符の例を、
図2に示す。
図2の例では、4つの柱状体2a,2b,2c,2dの第2音符は、順番に、全音符、付点二分音符、二分音符、四分音符となっている。
【0066】
本実施形態において、面ファスナー7によって2つの柱状体2を連結する際には、一方の柱状体2の第1音符が表示されている端面と、他方の柱状体の第2音符が表示されている端面と、を向かい合わせて接触させるようにして連結するように構成されている。連結した状態では、一方の柱状体2の第2音符と、他方の柱状体の第1音符とが、外向きに露出した状態になる。従って、連結した状態で、一方の柱状体2の第2音符を、外部から確認できる。
【0067】
これを
図6に則して具体的に説明すると以下のとおりである。即ち、柱状体2cと柱状体2dを連結する際には、柱状体2cの第1音符(
図6には図示せず)と、柱状体2dの第2音符と、を向かい合わせて接触させるようにして連結する。2つの柱状体2c,2dを連結した状態(
図6の下側)において、柱状体2cの第2音符は外向きに露出しており、外部から確認できる。なお前述のように、柱状体2cの第2音符は、二分音符となっている。
【0068】
従って、教師は、2つの柱状体2c,2dを連結して(
図6)、軸方向の長さが2倍になったことを学習者(幼児)に示したうえで、柱状体2cの第2音符(二分音符)を学習者に提示できる。これによれば、二分音符が、四分音符を2つ繋げた音価を有することを、幼児に対して分かり易く示すことができる。
【0069】
連結した状態の柱状体2c,2dに対して、柱状体2bを更に連結すれば、軸方向の長さは四分音符の3倍(付点二分音符に対応した長さ)となる(
図7)。即ち、
図7の上側に示すように、柱状体2dに連結された状態の柱状体2cの第2音符に対して、柱状体2bの第1音符(
図7には図示せず)を向かい合わせるようにして端面同士を接近させ、面ファスナー7で連結する。この状態(
図7の下側)で、柱状体2bの第2音符は外向きに露出し、外部から確認できる。前述のように、柱状体2bの第2音符は、付点二分音符となっている。
【0070】
教師は、上記のようにして連結する様子を学習者(幼児)に示したうえで、柱状体2bの第2音符(付点二分音符)を学習者に提示する。これによれば、付点二分音符が、二分音符に対して四分音符を1つ繋げた音価を有することを、幼児に対して分かり易く示すことができる。
【0071】
柱状体2aを更に連結すれば、軸方向の長さは四分音符の4倍(全音符に対応した長さ)となる(
図1に示した状態)。教師は、柱状体2aを連結する様子を示したうえで、柱状体2aの第2音符(全音符)を提示する。これによれば、全音符が、四分音符4つ分の音価を有することを、幼児に対して分かり易く示すことができる。
【0072】
ところで、本実施形態では、面ファスナー7によって2つの柱状体2を連結する際に、一方の柱状体2の第1音符が表示されている端面と、他方の柱状体の第2音符が表示されている端面と、を向かい合わせて接触させるようにして連結するので、連結した状態では、一方の柱状体2の第1音符と、他方の柱状体2の第2音符と、が隠れて見えなくなる。そこで、このことを利用して、学習者に対して一層興味深く音符を提示することができる。
【0073】
まず、教師は、4つの柱状体2a,2b,2c,2dをこの順番で連結して、「全音符」の状態とする(
図8(a))。
【0074】
教師は、学習者(幼児)の前で、柱状体2aと柱状体2bの間の連結を解除する(
図8(b)の状態)。このとき、
図8(b)に示すように、連結を解除された部分(「巻き寿司」の切り口)から、それまでは隠れて見えていなかった四分音符と付点二分音符が出現する。幼児にとっては、巻き寿司の切り口から思いがけなく音符が現れたことになり、興味を引かれることになる。これにより、全音符が、四分音符と付点二分音符を連結させた音価を有することを、幼児に対して興味深く提示できる。
【0075】
次に、教師は、学習者の前で、柱状体2bと柱状体2cの間の連結を解除する(
図8(c)の状態)。すると今度は、連結を解除された部分から、四分音符と、二分音符が出現する。これにより、付点二分音符が、四分音符と二分音符を連結された音価を有することを、幼児に対して興味深く提示できる。
【0076】
同様に、教師は、学習者の前で、柱状体2cと柱状体2dの間の連結を解除する(
図8(d)の状態)。連結を解除された部分から、2つの四分音符が出現する。これにより、二分音符が、四分音符の2つ分の音価を有することを、幼児に対して興味深く提示できる。
【0077】
以上のように、本実施形態の知育玩具1を用いた音楽教育方法によれば、音符と音価の関係を、幼児に対して分かり易く、また興味深く提示することができる。これにより学習効果の向上が期待できる。
【0078】
以上で説明したように、本実施形態の音楽知育玩具1は、複数の柱状体2と、面ファスナー7と、を備える。面ファスナー7は、複数の柱状体2を、軸方向に並べて端面同士を向かい合わせた状態で分離可能に連結する。各柱状体2は、軸方向の一側の端面に、当該柱状体2の軸方向の長さに対応した音価を有する第1音符を表示する。
【0079】
このように、柱状体2の端面に、その軸方向の長さに応じた音価の音符を表示したことで、音符の記号と、当該音符の長さと、の関係を直感的に学習できる。複数の柱状体2は、面ファスナー7によって軸方向に連結して長くできるので、音符が連結して長くなる様子を直感的に学習できる。また、端面同士を向かい合わせて柱状体2同士を連結することにより、当該端面に表示された音符が見えなくなる。そして、連結を解除すれば、隠れていた音符を確認できるので、学習者の興味を引き、学習効果の向上が期待できる。
【0080】
次に、本願発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態と共通又は類似する構成については、要素名及び図面に同一の符号を付して、説明を省略する場合がある。
【0081】
この第2実施形態の柱状体2e,2fを、
図9に示す。本実施形態の柱状体2e,2fは、その軸方向の長さが、第1実施形態の柱状体の半分となるように形成されている。即ち、本実施形態の柱状体2e,2fは、八分音符に対応している。
【0082】
各柱状体2e,2fの軸方向の一側の端面には、当該柱状体2e,2fの軸方向の長さに対応した音価を有する第1音符(この場合は八分音符)が表示されている。また、各柱状体2e,2fの軸方向の他側の端面には、第2音符が表示されている。
図9(a)に示すように、柱状体2fの第2音符は、四分音符である。一方、
図9(b)に示すように、柱状体2eの第2音符は、連桁で結ばれた2つの八分音符となっている。
【0083】
この第2実施形態では、第1実施形態と異なり、2つの柱状体2を連結する際に、一方の柱状体2の第1音符が表示されている端面と、他方の柱状体2の第1音符が表示されている端面と、を向かい合わせて連結する。つまり、
図10に示すように、2つの柱状体2e,2fを連結した状態では、各柱状体2e,2fの第1音符(八分音符)は隠れて見えなくなる。一方、柱状体2eの第2音符(連桁で結ばれた2つの八分音符)と、柱状体2fの第2音符(四分音符)は、それぞれ外向きに露出する。
【0084】
従って、教師は、2つの柱状体2e,2fを連結した状態(
図10)を学習者(幼児)に提示するとともに、柱状体2fの第2音符(四分音符)と、柱状体2eの第2音符(連桁で結ばれた2つの八分音符)を交互に見せることで、四分音符と、連桁で結ばれた2つの八分音符と、の音価が同じであることを、幼児に対して分かり易く示すことができる。
【0085】
そして教師は、2つの柱状体2e,2fの連結を解除することにより、隠れていた第1音符(この場合は八分音符)を幼児に提示できる。幼児にとっては、巻き寿司の切り口から思いがけなく音符が現れたことになり、興味を引かれる。このようにして、四分音符(又は連桁で結ばれた2つの八分音符)が、2の八分音符を連結した音価を有することを、幼児に対して興味深く提示できる。
【0086】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0087】
上記実施形態では、各柱状体2を「巻き寿司」を模したものとしたが、例えばスリーブ4の色を黄色にすれば、「たまご巻き寿司」とすることができる。もっとも、柱状体2の色やデザインは、幼児にとって親しみ易いものであれば良く、食べ物を模したものに限定されるわけではない。
【0088】
柱状体2は円柱形に限らず、角柱形であっても良い。また、柱状体2は布製に限らない。ただし、手触りが良く安全であるという点では、上記実施形態のように、柱状体2を布製の円柱形とすることが最も好適である。
【0089】
上記実施形態では、第1実施形態と第2実施形態とを分けて説明したが、第1実施形態の4つの柱状体2a,2b,2c,2dと、第2実施形態の2つの柱状体2e,2fをセットにして販売しても良いことはもちろんである。この場合、収容具3は、6つの柱状体2a〜2fをまとめて収容できれば好適である。また、第1音符と第2音符の組み合わせは様々なものを考えることができるので、本願の明細書や図面で説明したもの以外の様々なバリエーションの柱状体2があって良い。
【0090】
連結手段は、面ファスナー7の他にも、例えば磁石、スナップボタンなど、適宜の構成を利用できる。
【0091】
収容具3は「巻き簾」としたが、これに限定されず、袋状や箱状の収容具に柱状体2を収容しても良い。もっとも、収容具3は必須の構成ではないので、省略しても良い。