(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
表示装置の駆動基板に搭載されるタイミングコントローラ(TCON)の動作設定データや表示装置の製造履歴等を記録する手段として、ROMやEEPROMに代表される不揮発性メモリ(以下「メモリ」と略して記載)を使用する事例がある。そして、表示装置上のメモリは、駆動基板単体検査、あるいは表示装置検査工程の1つとしてメモリに格納されたデータの正常性検査が必要である。
【0003】
通常この検査は、次に示すような、表示装置とは別に専用の検査治具(ROMリーダ)を用意し、駆動基板上に設けられたコネクタやテストパッド等に検査治具を接続してデータを読出し、予め用意した期待値との照合(ベリファイ)を行うことにより実施される。
【0004】
特許文献1の従来技術は、
図31に示すメモリ部160に格納されたディスプレイの製造情報等データを、
図32に示すような1次元バーコードに変換して表示するというものである。
【0005】
そして、作業者は、別途用意したバーコードリーダによって画面上に表示されたバーコード映像を読み取り、メモリ部に格納されたディスプレイの製造情報等データを得ることができる。下記に、
図31において、1次元バーコードを表示するまでの手順を説明する。
【0006】
まず、作業者がバーコード表示選択キー113を操作し、この操作をトリガーとして、制御部150に含まれるCPUがメモリ部160へリードアクセスし、メモリ部160に格納されたディスプレイの製造情報等データを読み取る。
【0007】
次に、制御部150に含まれるCPUで読み取られたデータはOSD発生部161へ送信され、OSD発生部161にて受信したデータは1次元バーコードの画像データへ変換される。
【0008】
そして、OSD生成部161で生成された1次元バーコード画像データは、スケーラ157へ送信され、ディスプレイ駆動部159を経て、ディスプレイ部103に表示される。
【0009】
また、特許文献2の従来技術は、(m+1)×(n+1)のマトリクス状に配置された複数の画像表示ユニットで構成される画像表示システムにて、
図33に示す不揮発性メモリ225に格納された固有情報(より具体的には、画像表示ユニットの設置座標を示す自己アドレス情報D2及びファームウェアバージョン情報D3)を、
図34に示すように文字情報として表示するというものである。
【0010】
これにより、作業者は、表示された文字情報を目視で確認することで、設定情報の良否を検証することができる。
図33において、固有情報(自己アドレス情報D2及びファームウェアバージョン情報D3)を表示するまでの手順を説明する。
【0011】
まず、画像表示ユニット外に設置されたホストコンピュータより、固有情報確認モードを指示するスイッチ制御信号SCを全ての画像表示ユニットへ与えるか、あるいは各画像表示ユニット上のロータリスイッチ227を固有情報確認モードを指示する状態へ切替る。
【0012】
前記操作をトリガーとして、表示装置制御マイコン226がスイッチ222をb側へ切替え、同時に不揮発性メモリ225に格納された自己アドレス情報D2及びファームウェアバージョン情報D3が、表示装置制御マイコン226の制御で読出される。
【0013】
読出された自己アドレス情報D2及びファームウェアバージョン情報D3は、情報画像化制御部221により画像データへ変換され、スイッチ222のb入力へ付与する。
【0014】
そして、スイッチ222のb入力へ付与された自己アドレス情報D2及びファームウェアバージョン情報D3の画像データは、描画メモリ223、ドライバ224を介して発光素子211上に表示される。
【0015】
いずれの従来技術も、メモリに書かれたデータを1次元バーコードあるいは文字として図形化して可視化、表示することでメモリ検査を行うことができる。しかし、これらの従来技術には下記の問題点がある。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面に基づいて本実施形態の表示装置及び表示装置の検査方法について説明する。
【実施例1】
【0037】
図1は、本発明の実施例1における表示装置の機能ブロック図であり、設定データを保存するメモリを具備する一般的な表示装置の機能ブロック図と同一である。ここで、表示装置は、TCON1とメモリ2と液晶パネル43とこの液晶パネル43を駆動する水平ドライバ41と垂直ドライバ42とからなる。
【0038】
TCON1には、外部から入力画像信号線31が接続される。一方、TCON1は、メモリ2とメモリ制御信号線32が接続される。また、TCON1は、水平ドライバ41に対しては水平ドライバ制御信号線35と水平ドライバ画素データ線34で接続され、垂直ドライバ42に対しては垂直ドライバ制御信号36で接続される。そして、水平ドライバ41と垂直ドライバ42は、それぞれ液晶パネル43に接続される。
【0039】
図2は、実施例1の表示装置に搭載されるTCON1内部の機能ブロック図である。TCON1は、入力画像信号線31と接続されるレシーバ部11と、レシーバ部に内部信号線22で接続されるスイッチ15と、そのスイッチ15とスイッチ切換信号線24で接続されてレシーバ部11とも接続されるスイッチ切替タイミング制御部16と、さらに、レシーバ部11と接続される水平ドライバ制御信号生成部20と、垂直ドライバ制御信号生成部21とが含まれる。
【0040】
一方、TCON1外部のメモリ2とメモリ制御信号線32で接続されるメモリ制御インタフェース部12が設けられる。このメモリ制御インタフェース部12はレジスタ部13と接続され、このレジスタ部13は、水平ドライバ制御信号生成部20と、垂直ドライバ制御信号生成部21と、表示データ生成部14にそれぞれ接続される。
【0041】
スイッチ15は、内部信号線22でレシーバ部11と接続され、内部信号線23で表示データ生成部14と接続され、スイッチ切替タイミング制御部16のスイッチ切替信号線24からの信号により、内部信号線22と内部信号線23のいずれかを選択してデータ並び替え部18と接続する。データ並び替え部18は、トランスミッタ部19と接続される。
【0042】
水平ドライバ制御信号生成部20は、TCON1外部に水平ドライバ制御信号35を出力する。垂直ドライバ制御信号生成部21は、TCON1外部に垂直ドライバ制御信号36を出力する。トランスミッタ部19は、TCON1外部に水平ドライバ画素データ34を出力する。
【0043】
次に、実施例1の動作について、
図2〜
図5を用いて説明する。
図2に示すTCON1のレジスタ部13は、水平ドライバ制御信号生成部20や垂直ドライバ制御信号生成部21での制御信号生成に必要な画面解像度情報等、動作設定パラメータを保持する揮発性のメモリである。
【0044】
TCON1は、電源投入後の任意のタイミングで、メモリ制御インタフェース部12の自律制御によりメモリ制御信号線32を介してメモリ2にリードアクセスを実施し、リードされたデータをTCON1内部のレジスタ部13に保持する。レジスタ部13に保持されたデータは、TCON1内部の諸機能ブロックへ渡され、その後TCONとしての動作を開始する。
【0045】
表示データ生成部14は、レジスタ部13上のデータ(=メモリ2に格納されたデータ)を読取り、読取られたデータを所定のアルゴリズムに従い画像データ化する機能を有する。
【0046】
ここで、表示データ生成部14で生成される画像データの一例を
図3に示す。本例は、レジスタ部13上のデータ列先頭からの各bit Low/High2値を黒線/白線表示と対応付けるアルゴリズムにより生成される画像例を示している。表示データ生成部14の画像データ化アルゴリズムを変更することで、生成画像データは任意に変更可能であり、各bitのLow/High 2値を黒/白以外の異なる2階調や2色と対応付けてもよい。また、表現できる情報量は減少するが、1bitの情報を、連続する複数ラインにまとめた長方形状で表現してもよい。
【0047】
図2に示すスイッチ15は、スイッチ切替タイミング制御部16の出力たるスイッチ切替信号線24の状態により、内部信号22または内部信号23のいずれかを選択する機能を有する。
【0048】
スイッチ切替タイミング制御部16は、レシーバ部11から入力される、入力画像信号線31から抽出したタイミング信号及びTCON1外部からの試験イネーブル信号33に同期して、所定のアルゴリズムに従いスイッチ15を制御するためのスイッチ切替信号24を生成する機能を有する。
【0049】
スイッチ切替タイミング制御部16の動作詳細について説明すると、試験イネーブル信号33が通常動作モードを指示するとき、スイッチ切替タイミング制御部16はスイッチ切替信号線24を介して内部信号22側を選択する制御信号をスイッチ15へ出力する。このとき、表示装置上には入力画像信号線31上の画像データが表示される。
【0050】
一例として、試験イネーブル信号33が通常動作モードを指示するとき、
図4に示す画像が入力画像信号線31上の画像データとしてTCON1に入力された場合は、
図4に示す画像がそのまま液晶パネル43上に表示される。この一連の動作は、一般的なTCONの動作と同一である。
【0051】
一方、試験イネーブル信号33が試験モードを指示するとき、スイッチ切替タイミング制御部16はレシーバ部11から入力された入力画像信号線31から抽出したタイミング信号と予め設定された制御アルゴリズムに従いスイッチ切替信号線24上にスイッチ15を制御する信号を出力する。
【0052】
具体的には、レシーバ部11の出力となる内部信号22上の画像データ(=入力画像信号線31上の画像データ)と内部信号23上の画像データ(=表示データ生成部14の出力画像)の両画像を1画面内に領域分割し並べて配置した画像データを生成するよう、スイッチ15を制御する。
【0053】
図5は、試験イネーブル信号33が試験モードを指示し、入力画像信号線31上の画像データとして
図4に示す画像が入力され、かつ表示データ生成部14で
図3に示す画像データが生成された際の、液晶パネル43上に表示される画像の一例を示す。
【0054】
本例では、画面中央部で表示領域を二分割し、右領域に表示データ生成部14で生成された画像を、左領域に入力画像信号線31上の画像データを並べて表示しているが、入力画像信号線31上の画像データと表示データ生成部14で生成された画像の配置、領域の分割比率、分割方向及び分割数についてはスイッチ切替タイミング制御部16の制御アルゴリズムの変更により任意に変更可能である。
【0055】
実施例1の具体的な効果について説明する。本実施例に示した表示装置は、通常使用時には試験イネーブル信号33に通常動作モードを指示する信号をセットする。この状態では、本実施例の表示装置は一般的な表示装置と同等の動作をする。
【0056】
一方、工場での検査等でメモリ2の内容検査(期待値照合)を行う場合、検査者は、試験イネーブル信号33に試験モードを指示する信号をセットする。同時に、入力画像信号線31上の画像データとして、メモリ2に記憶されたデータから想定される期待値画像のデータを入力する。
【0057】
この期待値画像データは、メモリ2に格納されるべき期待値データ及びTCON1内部の表示データ生成部14で実行されるメモリデータの画像化アルゴリズムを知る検査者であれば容易に推定し生成することが可能である。
【0058】
検査者は、一画面内に表示される期待値画像(=入力画像信号線31上の画像データ)とメモリ2からTCON1がリードし生成された画像(メモリデータ可視化画像)とを比較し、両画像の差異有無からメモリデータの正常・異常を判定する。
【0059】
図5はメモリ2に格納されたデータが正常(期待値と一致する)である場合の検査画面表示例を、
図6はメモリ2に格納されたデータが異常(期待値と一致しない)である場合の検査画面表示例をそれぞれ示す。
【0060】
前述の例では、画面の縦ライン数mに対しm bit分のメモリ照合しか行えないが、画面の分割数を2n(nは1以上の整数)とすることで、1画面あたり最大n×m bitのデータ照合が可能である。
【0061】
一例として、画面の分割数を4とし、2m bitのデータ照合を行う際の検査画面表示例を
図7に示す。画面の分割数、分割方向及び表示内容は、スイッチ切替タイミング制御部16の制御アルゴリズムの変更により任意に変更可能である。
【0062】
さらに、入力画像信号線31上の画像データとしてメモリデータの期待値画像データと任意の表示検査用画像データとを合成した画像データを入力することで、メモリデータの内容検査と同時に任意の表示検査を実施することも可能である。一例として、メモリデータの期待値画像とグレースケール表示検査画像とを同時に入力し、メモリデータの内容検査とグレースケール表示検査とを同時に行う検査画面の表示例を
図8に示す。
【0063】
本実施例ではメモリデータ可視化画像を白/黒の2色で表現される画像データとして例示したが、白/黒以外の異なる2階調や2色で表現される画像データであっても同様の効果が得られる。
【0064】
この一連の作業は表示装置単体で実行できるため、ROMリーダ等の専用の検査治具は不要であり、かつ検査治具のモジュールへの付け外し作業も生じないため、検査作業時間を短縮することができる。
【0065】
また、前述のとおり、メモリ2の検査は表示画像を見て実施するため、表示検査工程の一部に組込んで実施することや、さらにはメモリ2の検査と任意の表示検査とを同一画面で同時に実施することも可能であり、検査時間を短縮することができる。
【0066】
他方、検査治具を用いた検査では、メモリに書込まれたデータが検査者の意図するものかどうかは検査できるが、そのデータが実際にTCON1に読込まれ表示装置として動作した状態(実動作状態)で正常に機能するかの検査は行うことができない。この点についても、本実施例では、実際にメモリデータをTCON1に読込ませ表示装置として動作する実動作状態での検査が可能である。
【実施例2】
【0067】
図9は、本発明の実施例2における表示装置に搭載されるTCON1内部の機能ブロック図を示す。実施例2の表示装置の機能ブロック図は、実施例1における表示装置の機能ブロック図と同一である。
【0068】
実施例1と実施例2の差分は、TCON1内部のスイッチ切替タイミング制御部16に垂直ドライバ制御信号生成部21からの垂直ドライバスタートパルスを引き込む信号線37を追加した点と、スイッチ切替タイミング制御部16内蔵のスイッチ切替制御アルゴリズムを変更した点である。
【0069】
次に、実施例1と実施例2の差分となるスイッチ切替タイミング制御部16の動作の一例について、
図10のタイムチャートに沿って説明する。
図10のタイムチャート中、試験イネーブル信号33のHigh/Lowは、それぞれ試験モード指示状態/通常動作モード指示状態と対応するものとする。またスイッチ切替信号24のHigh/Lowは、それぞれスイッチ15の内部信号23側選択指示状態/内部信号22側選択指示状態とそれぞれ対応するものとする。なお、
図11は、
図10に示すタイムチャートの動作を実現する回路の一例を示したものである。
【0070】
スイッチ切替タイミング制御部16の出力となるスイッチ切替信号24は、試験イネーブル信号33がHighの期間においては、垂直ドライバスタートパルス37の入力をトリガーとし出力状態をHigh/Low交互に切替える。スイッチ切替信号24のHigh/Low切替周期は、垂直ドライバスタートパルス37の入力周期、すなわち1フレームの表示周期と合致する。
【0071】
試験イネーブル信号33がLowの期間においては、垂直ドライバスタートパルス37の入力の有無に関わらず、スイッチ切替信号24をLowに固定する。ただし、スイッチ切替信号24がHigh出力の期間中に、試験イネーブル信号33がHighからLowへ切替わった際は、次に垂直ドライバスタートパルス37の入力があった時点でスイッチ切替信号24をHighからLowへ立ち下げる。
【0072】
図12は、試験イネーブル信号33がHighに固定されている際の垂直ドライバスタートパルス37とスイッチ切替信号24と表示装置上の表示との関係を示したものである。
【0073】
前述のとおり、試験イネーブル信号33がHighの期間、スイッチ切替信号24は垂直ドライバスタートパルス37の入力毎に出力のHigh/Lowが切替わる。
【0074】
ここで、TCON1内部のスイッチ15は、スイッチ切替信号24がLowの期間(期間Tc)は内部信号22側を選択、Highの期間(期間Td)は内部信号23側を選択する動作となるため、期間Tcは入力画像信号線31上の画像データが、期間Tdは表示データ生成部14で生成されたメモリ2格納データ可視化画像がそれぞれ液晶パネル43に表示され、かつその切替周期は1フレーム表示周期と合致する。
【0075】
前述の動作は、1フレーム周期で表示画像を切替える例を示したが、本発明では、nフレーム周期(nは1以上の整数)で表示画面を切替えるようスイッチ切替タイミング制御部16のアルゴリズムを組んでもよい。
【0076】
実施例2の具体的な効果について説明する。本実施例に示した表示装置は、通常使用時には試験イネーブル信号33に通常動作モードを指示する信号をセットする。この状態では、本実施例の表示装置は一般的な表示装置と同等の動作をする。
【0077】
一方、工場での検査等でメモリ2の内容検査(期待値照合)を行う場合、検査者は、試験イネーブル信号33に試験モードを指示する信号をセットする。同時に、入力画像信号線31上の画像データとして、メモリ2に記憶されたデータから想定される期待値画像データを入力する。
【0078】
この期待値画像データは、メモリ2に格納されるべき期待値データ及びTCON1内部の表示データ生成部14で実行されるメモリデータの画像化アルゴリズムを知る検査者であれば容易に推定し生成することが可能である。
【0079】
検査者は、nフレーム表示周期(nは1以上の整数)で期待値画像(入力画像信号線31上の画像データ)とメモリデータ可視化画像とを交互に見ることになる。この際、期待値画像とメモリデータ可視化画像に差異がない、すなわち、メモリ2に格納されたデータが期待値と一致(正常)であれば、表示される画像は全フレーム同じであり、検査者の目にはちらつきは認知されない。
【0080】
一方、期待値画像とメモリデータ可視化画像には差異がある、すなわち、メモリ2に格納されたデータが期待値と不一致(異常)であれば、検査者の目には差異が生じた部分がちらつきとして認知される。
【0081】
図12は読み出されたメモリデータと期待値とが一致する場合の表示例を、
図13は読み出されたメモリデータと期待値とが一致しない場合の表示例をそれぞれ示す。
【0082】
図12では、メモリデータ期待値から生成し表示装置へ入力された期待値画像と、実際にTCON1がメモリを読み出し生成されたメモリデータ可視化画像とに差異がないため、検査者の目にちらつきが認知されることはない。
【0083】
一方、
図13では、期待値画像とメモリデータ可視化画像とでm−1 bit目の表示に差異がある、すなわち、m−1 bit目の期待値とメモリ2から読み出されたm−1 bit目のデータとが一致しない状態であり、検査者の目にはこの表示領域がちらつきとして認知される。
【0084】
検査者は、画面上に生じるちらつきの有無を確認することで、メモリ2に格納されたデータが正常であるか異常であるかを判断できる。また、ちらつきの発生箇所を特定することで、データのどの箇所で異常が発生しているのかを知ることもできる。
【0085】
さらには、実施例1と同様、入力画像信号線31上の画像データとして、メモリデータの期待値画像と任意の表示検査用画像とを合成した画像を入力することで、メモリデータの内容検査と同時に任意の表示検査を実施することも可能である。
【0086】
本実施例では、メモリデータ可視化画像を白/黒の2色で表現される画像データとして例示したが、白/黒以外の異なる2階調や2色で表現される画像データであっても同様の効果が得られる。
【0087】
この一連の作業は表示装置単体で実行できるため、ROMリーダ等専用の検査治具は不要であり、かつ検査治具のモジュールへの付け外し作業も生じないため、検査作業時間を短縮することができる。
【0088】
また、前述のとおり、メモリ2の検査は表示画像を見て実施するため、表示検査工程の一部に組込んで実施することが可能であり、さらにはメモリ2の検査と任意の表示検査とを同一画面で同時実施することも可能であるので、検査時間を短縮することができる。
【0089】
加えて、実施例1と同様、実際にメモリデータをTCON1に読込ませ表示装置として動作する実動作状態での検査を行えるといった効果もある。
【実施例3】
【0090】
図14は、本発明の実施例3における表示装置に搭載されるTCON1内部の機能ブロック図を示す。実施例3の表示装置の機能ブロック図は、実施例1における表示装置の機能ブロック図と同一である。
【0091】
実施例1と実施例3の差分は、スイッチ切替タイミング制御部16が存在せず、外部からの試験イネーブル信号33がスイッチ15に接続される点、レシーバ部11の出力が内部信号22を介してスイッチ15へ接続されると同時に新たに設けられた表示データ比較部17にも接続される点、表示データ生成部14の出力接続先がスイッチ15から表示データ比較部17へ変更された点である。
【0092】
実施例3の動作について以下説明する。表示データ生成部14は、レジスタ部13からの信号が入力され、所定のアルゴリズムに従い生成されたメモリ可視化画像データを表示データ比較部17に出力する。この動作は実施例1と同一である。
【0093】
スイッチ15の入力側には、レシーバ部11の出力信号と表示データ比較部17の出力信号とが接続される。スイッチ15の切替は試験イネーブル信号33で制御される。具体的には、試験イネーブル信号33が通常動作モードを指示するときスイッチ15は内部信号線22側を選択、試験モードを指示するときスイッチ15は内部信号線23側を選択する動作を行う。
【0094】
表示データ比較部17は、レシーバ部11の出力画像データ(=入力画像信号線31上の画像データ)と表示データ生成部14の出力画像データ(=メモリ2格納データの可視化画像)とをbit単位で比較し、その結果を画像データとして内部信号線23を介して後段のスイッチ15へ出力する。
【0095】
表示データ比較部17で行う、レシーバ部11の出力画像データと表示データ生成部14の出力画像データの比較は、画像データ全bit各々の比較結果(一致/不一致)の論理積(AND)を取りその結果を出力する方式と、比較結果をn bit単位でまとめ、まとめたbit単位で論理積を取りその結果を出力する方式のいずれでもよい。ただし、nは1以上の整数である。
【0096】
例として、表示データ比較部17が、全bit各々の比較結果の論理積を取り出力する方式である場合の表示データ比較部17の入力画像データと出力画像データの関係について、
図15と
図16とを用いて説明する。
【0097】
本例では、比較結果の「一致」を黒表示、「不一致」を白表示と対応付ける。表示データ比較部17の入力であるレシーバ部11の出力画像データ(=入力画像信号線31上の画像データ)と表示データ生成部14の出力画像データ(=メモリ2格納データの可視化画像)とが完全に一致する場合には、表示データ比較部17の出力画像データは
図15に示すように全画素が黒の画像データとなる。
【0098】
一方、レシーバ部11の出力画像データと表示データ生成部14の出力画像データとの間に1bitでも差異がある場合には、表示データ比較部17の出力画像データは
図16に示すように全画素が白の画像データとなる。
【0099】
また、別の例として、表示データ比較部17が、比較結果をn bit単位でまとめ、まとめたbit数単位で論理積を取り結果を出力する方式である場合の表示データ比較部17の入力画像データと出力画像データの関係について
図15と
図17を用いて説明する。ここでは、n=1とした際の例を示す。
【0100】
本例では、比較結果の「一致」を黒表示、「不一致」を白表示と対応付ける。表示データ比較部17の入力であるレシーバ部11の出力画像データと表示データ生成部14の出力画像データとが完全に一致する場合には、表示データ比較部17の出力画像データは
図15に示すように全画素が黒の画像データとなる。これは前述の例と同じである。
【0101】
これに対して、レシーバ部11の出力画像データと表示データ生成部14の出力画像データとの間に差異がある場合、表示データ比較部17の出力画像データは
図17に示すように差異のない箇所の画素は黒であり、差異のある箇所の画素は白である画像データとなる。なお、これらの例では比較結果の一致/不一致を黒/白の2色に対応付けたが、黒/白以外の異なる2階調や2色と対応付けてもよい。またn>1(nは整数)としてn bit単位でまとめての比較結果を表示しても良い。
【0102】
実施例3の具体的な効果について説明する。本実施例に示した表示装置は、通常使用時には試験イネーブル信号33に通常動作モードを指示する信号をセットする。この状態では、本実施例の表示装置は一般的な表示装置と同等の動作をする。
【0103】
一方、工場での検査等でメモリ2の内容検査(期待値照合)を行う場合、検査者は、試験イネーブル信号33に試験モードを指示する信号をセットする。同時に、入力画像信号線31上の画像データとして、メモリ2に記憶されたデータから想定される期待値画像データを入力する。
【0104】
この期待値画像データは、メモリ2に格納されるべき期待値データ及びTCON1内部の表示データ生成部14で実行されるメモリデータの画像化アルゴリズムを知る検査者であれば容易に推定し生成することが可能である。
【0105】
表示データ比較部17のアルゴリズムが、比較結果の「一致」を黒表示、「不一致」を白表示と対応付けるものであるとき、検査者は、表示画面を確認し、画面が全黒表示であれば、メモリ2に格納されたデータが期待値と一致する(正常)と判定することができる。また、全黒以外、すなわち、画面領域全体が白表示であるか、もしくは画面内に白表示となる領域があれば、期待値と一致しない(異常)と判定することができる。
【0106】
特に、表示データ比較部17での比較アルゴリズムが領域単位あるいは画素単位で比較を行う方式であれば、画面内で白表示となる部位を確認することで、期待値と一致しないメモリ領域が何処であるかを併せて確認することができる。
【0107】
なお、本実施例では、一致/不一致を黒/白の2色に塗り分けて対応付けたが、黒/白以外の異なる2階調や2色と対応付けても同様の効果が得られる。
【0108】
この一連の作業は表示装置単体で実行できるため、ROMリーダ等専用の検査治具は不要であり、かつ検査治具のモジュールへの付け外し作業も生じないため、検査時間を短縮することができる。
【0109】
また、前述のとおり、メモリ2の検査は表示画像を見て実施するため、表示検査工程の一部に組込んで実施することが可能であり、特に、メモリ検査の合否画面を別の検査画面と兼用することで検査時間を短縮することができる。例えば、表示データ比較部17での比較アルゴリズムをメモリ2の検査結果が合格(期待値と一致する)である場合に全黒表示となるようにすることで、メモリ2の検査が正常であれば、画面を切替えることなく引き続き点欠陥検査を実施するといった、検査時間短縮の効果がある。
【0110】
さらに、他の実施例と同様、実際にメモリデータをTCON1に読込ませ表示装置として動作する実動作状態での検査を行えるといった効果もある。
【実施例4】
【0111】
図18は、本発明の実施例4における表示装置に搭載されるTCON1内部の機能ブロック図を示す。実施例4における表示装置の機能ブロック図は、実施例1における表示装置の機能ブロック図と同一である。
【0112】
実施例1と実施例4の差分は、TCON1内部の表示データ生成部14の動作アルゴリズムを変更した点、スイッチ切替タイミング制御部16に垂直ドライバ制御信号生成部21からの垂直ドライバスタートパルスを引き込む信号線37を追加した点、スイッチ切替タイミング制御部16内蔵のスイッチ切替制御アルゴリズムを実施例2と同じアルゴリズムに変更した点、及び、水平ドライバ制御信号部20で生成される水平ドライバ制御信号の一つであるデータラッチパルス信号(DLP信号)を生成するDLP生成部52の動作アルゴリズムを変更した点である。
【0113】
DLP信号生成部52で生成されるDLP信号51は、水平ドライバが水平ドライバ画素データ34を内部に取り込むタイミングを決定するための制御信号であり、水平ドライバの制御ではごく一般的に使用される制御信号である。実施例1、2及び3において、DLP信号51は明記していないが、水平ドライバ制御信号35を構成する制御信号の1つとして内包しているものとする。
【0114】
次に、実施例4の動作について説明する。一般的な水平ドライバの多くは電荷回収機能を有しており、電荷回収機能の動作タイミングの決定にはDLP信号が用いられる。電荷回収機能を有する水平ドライバは、DLP信号がHighとなる期間、駆動するドレイン信号線に接続される水平ドライバ出力端子とそれに隣接する水平ドライバ出力端子、あるいは水平ドライバの全出力端子とを水平ドライバ内部で電気的に短絡させる。
【0115】
この動作により、各ライン表示データの出力前にドレイン信号線の電荷は中和され電位がパネル内の中間電位へと近づくことで、その後の水平ドライバがドレイン信号線を駆動する負荷を軽減させ消費電力を低減させる効果がある。
【0116】
本実施例と実施例1との動作上の大きな差分は、前述の電荷回収機能を利用してメモリデータ可視化画像を表示する点である。具体的には、表示装置で使用される液晶パネルがノーマリーホワイト型であればTCON1は黒ベタ画面データを水平ドライバ画素データとして出力し、黒表示部はそのデータに基づき表示し、白表示部はDLP信号により制御される電荷回収機能で白色として表示する。一方、表示装置で使用される液晶パネルがノーマリーブラック型であればTCON1は白ベタ画面データを水平ドライバ画素データとして出力し、白表示部はそのデータに基づき表示し、黒表示部はDLP信号による電荷回収機能で黒色として表示する。
【0117】
実施例4の動作詳細について以下説明する。実施例4における表示データ生成部14は、レジスタ部13上に展開された液晶パネル情報を参照し、黒ベタ画面データもしくは白ベタ画面データを生成する。具体的には、液晶パネル情報から表示装置で使用される液晶パネルがノーマリーホワイト型であると判定されたならば黒ベタ画面データを、ノーマリーブラック型であると判定されたならば白ベタ画面データをそれぞれ生成する。
【0118】
実施例4におけるスイッチ切替タイミング制御部16の動作は、実施例2のそれと同一である。具体的には、試験イネーブル信号33の状態を監視し、通常動作モードを示す信号が入力された場合は、スイッチ15が内部信号22側を選択するよう内部信号線24に制御信号を出力する。一方、試験モードを指示する信号が入力された場合は、垂直ドライバスタートパルス信号37に同期して、スイッチ15が内部信号22側と内部信号23側とを交互に選択するよう内部信号線24に制御信号を出力する。
【0119】
実施例4におけるDLP信号生成部52の動作は、スイッチ15を制御するスイッチ切替信号線24の状態により変化する。例として、スイッチ切替信号線24がスイッチ15で内部信号線22側を選択した状態において、
図19に示す画像データが入力画像信号線31から入力され、かつノーマリーホワイト型の液晶パネルに表示する際のゲート信号線G1…Gm、ドレイン信号線Dn、及びDLP信号生成部52で生成されるDLP信号のタイムチャートを
図20に示す。
【0120】
図20に示される各ゲート信号線は垂直ドライバの各出力へ、各ドレイン信号線は水平ドライバの各出力へ接続されている。スイッチ切替信号線24がスイッチ15で内部信号線22側を選択した状態では、DLP信号生成部52の動作は一般的な液晶表示装置でのDLP信号生成動作と同一であり、DLP信号のHigh時間はTaで固定となる。
【0121】
水平ドライバは、DLP信号の立上りエッジで水平ドライバ画素データ34を内部に取り込み、取り込んだ画素データに対応する電圧でドレイン信号線Dnを駆動するよう出力端子電圧を制御する。
【0122】
また、DLP信号がHighとなる時間Taの期間は水平ドライバが具備する電荷回収機能が働くため、ドレイン信号線Dnの電位はパネル内の中間電位へ近づく。
【0123】
一方、スイッチ切替信号線24がスイッチ15で内部信号線23側を選択する状態では、DLP信号生成部52の動作は一般的な液晶表示装置でのDLP信号生成動作とは異なる。具体的には、レジスタ部13に格納されたメモリ2のデータを読み出し、読み出されたデータのm bit目のデータ値に応じて、画面のmライン目に対応するDLP信号のHigh時間を動的に制御する。
【0124】
一例として、ノーマリーホワイト型の液晶パネルにm bitのデータ表示を行う際のゲート信号線G1…Gm、ドレイン信号線Dn、及びDLP信号生成部52で生成されるDLP信号のタイムチャートを
図21に示す。また、
図21に示す駆動が行われた際にノーマリーホワイト型の液晶パネル上に表示される映像を
図22に示す。
【0125】
図21によると、bit値がHighであるbit2及びbit m−1に対応する2ライン目及びm−1ライン目のDLP信号のHigh時間を、Ta時間からTb時間へと変更する。bit値がLowであるその他bitに対応するラインのDLP信号のHigh時間はTaとし、また、TaとTbの関係はTa<Tbであり、かつTbはゲート信号Onの時間よりも短いものとする。
【0126】
DLP信号のHigh時間がTbへ延長されたラインは、DLP信号のHigh時間がTaのラインに比べ水平ドライバが行う電荷回収動作の時間が長くなり、この期間のドレイン信号線Dnの電位は最終的に液晶パネル内中間電位に落ち着く。
【0127】
ここで、表示装置で使用する液晶パネルがノーマリーホワイト型であるときは、先に述べたとおり表示データ生成部14では黒ベタ画面データを生成しているが、DLP信号のHigh時間がTbへ延長されドレイン信号線Dnの電位が中間電位となる2ライン目及びm−1ライン目の表示、すなわちbit値がHighである2bit目及びm−1 bit目に対応するラインの表示は、
図22に示すように白色となる。他方、Bit値がLowであるその他のbitに対応するラインの表示は黒色となる。
【0128】
一方、表示装置で使用する液晶パネルがノーマリーブラック型であるときは、bit値のHigh/LowとDLP信号生成部52で生成されるDLP信号のHigh時間Ta/Tbとの対応付けを変更することと、データ生成部14で生成される画像データを変更することにより、同様の表示が可能である。具体的には、Lowとなるbitに対応するラインのDLP信号生成時間をTbに、Highとなるbitに対応するラインのDLP信号生成時間をTaとすること、及び、前述のとおりデータ生成部14で生成される画像データを白ベタ画面データとすることで同様の表示が可能である。
【0129】
なお、前述の例では、bit値のHigh/Low 2値を白/黒の2色に対応付けたが、時間Tbを任意に制御することで白/黒以外の異なる2階調や2色と対応付けてもよい。
【0130】
実施例4の具体的な効果について説明する。本実施例に示した表示装置は、通常使用時には試験イネーブル信号33に通常動作モードを指示する信号をセットする。この状態では、本実施例の表示装置は一般的な表示装置と同等の動作をする。
【0131】
一方、工場での検査等でメモリ2の内容検査(期待値照合)を行う場合、検査者は、試験イネーブル信号33に試験モードを指示する信号をセットする。同時に、入力画像信号線31上の画像データとして、メモリ2に記憶されたデータから想定される期待値画像データを入力する。
【0132】
この期待値画像データは、メモリ2に格納されるべき期待値データ及びTCON1内部の表示データ生成部14で実行されるメモリデータの画像化アルゴリズムを知る検査者であれば容易に推定し生成することが可能である。
【0133】
検査者は、nフレーム表示周期(nは1以上の整数)で期待値画像(入力画像信号線31上の画像データ)とメモリデータの可視化画像とを交互に見ることになる。この際、期待値画像とメモリデータ可視化画像とに差異がない、すなわち、メモリ2に格納されたデータが期待値と一致(正常)であれば、表示される画像は全フレーム同じであり、検査者の目にはちらつきは認知されない。
【0134】
一方、期待値画像とメモリデータ可視化画像とに差異がある、すなわち、メモリ2に格納されたデータが期待値と不一致(異常)であれば、検査者の目には差異が生じた部分がちらつきとして認知される。
【0135】
図23は読み出されたメモリデータと期待値とが一致する場合の表示例を、
図24は読み出されたメモリデータと期待値とが一致しない場合の表示例をそれぞれ示す。
【0136】
図23では、メモリデータ期待値から生成し表示装置へ入力された期待値画像と、実際にTCON1がメモリを読み出し生成されたメモリデータ可視化画像とに差異がないため、検査者の目にちらつきが認知されることはない。
【0137】
一方、
図24では、期待値画像とメモリデータ可視化画像とでm−1 bit目の表示に差異がある、すなわち、m−1 bit目の期待値とメモリ2から読み出されたm−1 bit目のデータとが一致しない状態であり、検査者の目にはこの表示領域がちらつきとして認知される。
【0138】
検査者は、画面上に生じるちらつきの有無を確認することで、メモリ2に格納されたデータが正常であるか異常であるかを判断できる。また、ちらつきの発生箇所を特定することで、データのどの箇所で異常が発生しているのかを知ることもできる。
【0139】
さらには、実施例1同様、入力画像信号線31上の画像データとして、メモリデータの期待値画像データと任意の表示検査用画像データとを合成した画像データを入力することで、メモリデータの内容検査と同時に任意の表示検査を実施することも可能である。
【0140】
本実施例では、メモリデータ可視化画像を白/黒の2色で表現される画像として例示したが、白/黒以外の異なる2階調や2色で表現される画像データであっても同様の効果が得られる。
【0141】
この一連の作業は表示装置単体で実行できるため、ROMリーダ等専用の検査治具は不要であり、かつ検査治具のモジュールへの付け外し作業も生じないため、検査作業時間を短縮することができる。
【0142】
また、前述の通りメモリ2の検査は表示画像を見て実施するため、表示検査工程の一部に組込み実施することが可能であり、さらにはメモリ2の検査と任意の表示検査とを同一画面で同時実施することも可能であるので、検査時間を短縮することができる。
【0143】
加えて、他の実施例と同様、実際にメモリデータをTCON1に読込ませ表示装置として動作する実動作状態での検査を行えるといった効果もある。
【0144】
また、本実施例では、メモリデータの表示の一部を水平ドライバの具備する電荷回収機能を利用して行うことにより、より少ない消費電力で検査が行うことが可能である。
【実施例5】
【0145】
図25は、本発明の実施例5における表示装置の機能ブロック図であり、
図26は、実施例5の表示装置で使用するTCON内部の機能ブロック図である。
【0146】
実施例1と実施例5の差分は、
図25で示す機能ブロック図中、水平ドライバへのDLP信号51がドライバ個別に配線される点、
図26で示すTCON機能ブロック図中、スイッチ切替タイミング制御部16内蔵のスイッチ切替制御アルゴリズムが異なる点、表示データ生成部14の動作アルゴリズムが異なる点、水平ドライバ制御信号生成部20に試験イネーブル信号33が接続される点、水平ドライバ制御信号生成部20の内部においてDLP信号を生成するDLP信号生成部52の動作アルゴリズムが異なる点である。
【0147】
実施例5の動作について、特に実施例1との差分となる箇所について説明する。表示データ生成部14の動作は、実施例4の表示データ生成部14の動作と同一である。スイッチ切替タイミング制御部16の動作は、実施例1のスイッチ切替タイミング制御部16の動作に対し、画面の分割単位が水平ドライバ単位に限定される点が実施例1とは異なる。
【0148】
DLP信号生成部52は、実施例4のDLP信号生成部52に対し、DLP信号51の出力が複数ある点で異なる。更には、複数あるDLP信号51個別に、DLP信号の生成アルゴリズムを変更できる点が異なる。
【0149】
試験イネーブル信号33が通常動作モードを示す信号に設定されている期間は、全てのDLP信号51に対し、DLP信号生成アルゴリズムは一般的な液晶表示装置でのDLP信号生成アルゴリズム、より具体的にはDLP信号のHigh時間をTaに固定するアルゴリズムが適用される。この動作は実施例4に示したDLP信号生成部52の動作と同一である。
【0150】
一方、試験イネーブル信号33が試験モードを示す信号に設定されている期間は、DLP信号出力毎に、一般的な液晶表示装置でのDLP信号生成アルゴリズムか、実施例4に示したDLP生成期間を動的に変更するアルゴリズム、より具体的には、レジスタ部13に格納されたデータと対応し、表示ライン毎にDLP信号のHigh時間をTaもしくはTb(Ta<Tb)のいずれかに設定するアルゴリズム、いずれかを任意で適用できる。この動作は実施例4に示したDLP信号生成部52の動作とは異なる。
【0151】
実施例5の具体的な効果について説明する。本実施例に示した表示装置は、通常使用時には試験イネーブル信号33に通常動作モードを指示する信号をセットする。この状態では、本実施例の表示装置は一般的な表示装置と同等の動作をする。
【0152】
一方、工場での検査等でメモリ2の内容検査(期待値照合)を行う場合、検査者は、試験イネーブル信号33に試験モードを指示する信号をセットする。同時に、入力画像信号線31上の画像データとして、メモリ2に記憶されたデータから想定される期待値画像データを入力する。
【0153】
この期待値画像は、メモリ2に格納されるべき期待値データ及びTCON1内部の表示データ生成部14で実行されるメモリデータの画像化アルゴリズムを知る検査者であれば容易に推定し生成することが可能である。
【0154】
検査者は、一画面内に表示される期待値画像(=入力画像信号線31上の画像データ)とTCON1がメモリ2からリードしたデータを基に生成された画像(メモリデータ可視化画像)とを比較し、両画像の差異有無からメモリデータの正常・異常を判定する。
【0155】
図27は、水平ドライバが2個の表示装置にてメモリ2に格納されたデータが正常(期待値と一致)である場合の検査画面の表示例を示す。また、
図28は、水平ドライバが2個の表示装置にてメモリ2に格納されたデータが異常(期待値と不一致)である場合の検査画面の表示例を示す。
【0156】
図27、
図28に示す表示例では、TCON1内蔵のスイッチ切替タイミング制御部16により、画面左側にある水平ドライバと対応する画面領域には入力画像信号線31上の期待値画像データが、画面右側にある水平ドライバと対応する画面領域には表示データ生成部14で生成されたベタ画像データが出力されるよう、TCON1内蔵のスイッチ15が制御される。表示データ生成部14で生成されるベタ画像データは、実施例4に示した表示データ生成部14と同じく、表示装置で使用される液晶パネルがノーマリーホワイト型であれば全黒ベタ画像データに、ノーマリーブラック型であれば全白ベタ画像データになる。
【0157】
また、TCON1内蔵のDLP信号生成部52の機能により、画面左側に配置された水平ドライバに接続されるDLP信号と、画面右側に配置された水平ドライバに接続されるDLP信号とで、DLP信号の生成アルゴリズムを変更している。
【0158】
具体的には、画面左側に位置する水平ドライバに接続されるDLP信号の制御アルゴリズムは、一般的な液晶表示装置でのDLP信号生成動作と同じであるため、画面左側領域には、入力画像信号線31上の期待値画像データがそのまま表示される。一方、画面右側に位置する水平ドライバに接続されるDLP信号の生成アルゴリズムは、レジスタ部13に格納されたメモリ2のリード値に応じDLP信号のHigh期間を動的に変更する制御を行っている。そのため、画面右側の領域には、メモリ2からリードされたデータから生成されたメモリデータ可視化画像が表示される。
【0159】
前述の例では、画面の縦ライン数mに対しm bit分のメモリ照合しか行えないが、水平ドライバを2個以上具備する表示装置では、画面の分割数を2n(nは1以上の整数、かつ2n≦水平ドライバ数)とすることで、1画面あたり最大n×m bitのデータ照合が可能である。一例として、水平ドライバを4個具備する表示装置にて、画面の分割数を4とし、2m bitのデータ照合を行う際の検査画面の表示例を
図29に示す。画面の分割数及び水平ドライバ毎の表示内容は、TCON1内蔵のスイッチ切替タイミング制御部16の制御アルゴリズムの変更と、TCON1内蔵のDLP信号生成部52で設定するDLP信号線毎のDLP信号生成アルゴリズムの変更とにより、任意に変更可能である。
【0160】
さらに、水平ドライバが3個以上の表示装置では、入力画像信号線31上の画像データとしてメモリデータの期待値画像データと任意の表示検査用画像データとを合成した画像データを入力することで、メモリデータの内容検査と同時に任意の表示検査を実施することも可能である。一例として、水平ドライバが3個の表示装置で、メモリデータの期待値画像とグレースケール表示検査画像とを同時に入力し、メモリデータの内容検査とグレースケール表示検査とを同時に行う検査画面の表示例を
図30に示す。
【0161】
なお、本実施例では、メモリデータ可視化画像を白/黒の2色で表現される画像データとして例示したが、白/黒以外の異なる2階調や2色で表現される画像データであっても同様の効果が得られる。
【0162】
この一連の作業は表示装置単体で実行できるため、ROMリーダ等専用の検査治具は不要であり、かつ検査治具のモジュールへの付け外し作業も生じないため、検査時間を短縮することができる。
【0163】
また、前述のとおり、メモリデータ2の検査は表示画像を見て実施するため、表示検査工程の一部に組込んで実施することが可能であり、さらにはメモリデータ2の検査と任意の表示検査とを同一画面で同時実施することも可能であるので、検査時間を短縮することができる。
【0164】
加えて、他の実施例と同様、実際にメモリデータをTCON1に読込ませ表示装置として動作する実動作状態での検査を行えるといった効果もある。
【0165】
また、本実施例においても、実施例4と同様、メモリデータの表示の一部を水平ドライバの具備する電荷回収機能を利用して行うことにより、より少ない消費電力で検査が行うことが可能である。