特許第6179761号(P6179761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6179761-照明装置および灯具 図000003
  • 特許6179761-照明装置および灯具 図000004
  • 特許6179761-照明装置および灯具 図000005
  • 特許6179761-照明装置および灯具 図000006
  • 特許6179761-照明装置および灯具 図000007
  • 特許6179761-照明装置および灯具 図000008
  • 特許6179761-照明装置および灯具 図000009
  • 特許6179761-照明装置および灯具 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179761
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】照明装置および灯具
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20170807BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20170807BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20170807BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20170807BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170807BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L23/12 W
   H01L21/60 301A
   F21V19/00 110
   F21V19/00 170
   F21Y101:02
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-91703(P2013-91703)
(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-216436(P2014-216436A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100180976
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】白石 寛光
【審査官】 佐藤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−119769(JP,A)
【文献】 特開2009−080978(JP,A)
【文献】 特開2006−093295(JP,A)
【文献】 特開2002−033522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と;
前記基板の表面に設けられ、複数の配線パッドと、複数の実装パッドと、を有する配線パターンと;
前記複数の実装パッドのそれぞれの上に設けられた発光素子と;
前記発光素子に設けられた電極と、前記配線パッドと、を電気的に接続する配線と;
前記複数の配線パッドと、前記複数の実装パッドと、複数の前記発光素子と、複数の前記配線と、を覆う封止部と;
を具備し、
前記複数の配線パッドのそれぞれの周縁は傾斜面となっており、
前記配線の前記配線パッドに接続される端部は、前記傾斜面の上に設けられず、
前記複数の発光素子のうちの第1の発光素子に接続される前記配線が延びる方向は、前記第1の発光素子に隣接する第2の発光素子に接続される前記配線が延びる方向と交差し、
前記配線パッドの、当該前記配線パッドに接続される前記配線が延びる方向の寸法をL3、前記配線パッドの、当該前記配線パッドに接続される前記配線が延びる方向と直交する方向の寸法をL4とした場合に、L3/L4が1.2以上となる照明装置。
【請求項2】
前記配線パッドが延びる方向と、当該前記配線パッドに接続される前記配線が延びる方向と、がなす角度は、0°以上25°以下である請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記L3は、0.45mm以上であり、
前記L4は、0.375mm以上である請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記配線パターンと電気的に接続された給電端子と;
前記給電端子と嵌め合わされるソケットと;
をさらに具備した請求項1〜3のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の照明装置を備えた灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
後述する実施形態は、概ね、照明装置および灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を複数有する照明装置がある。
発光ダイオードを複数有する照明装置においては、基板上において、円周上に複数の発光ダイオードを並べたり、アレイ状(縦横の配列)に複数の発光ダイオードを並べたりしている。
また、発光ダイオードと基板の表面の配線パターンとを配線で電気的に接続している。 そして、この様に並べられた複数の発光ダイオードと、配線とを樹脂モールド部、すなわち封止部で封止するようにしている。
ここで、発光ダイオードの点灯と消灯により、封止部には熱応力や膨張・収縮が発生する。そのため、封止部により封止されている複数の配線の一部に不具合が生じるおそれがある。
例えば、配線と配線パターンとの接続部分において断線が生じるおそれがある。
【0003】
そのため、配線と配線パターンとの接続強度を向上させることができる照明装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−176219号公報
【特許文献2】特開2009−21264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、配線と配線パターンとの接続強度を向上させることができる照明装置および灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る照明装置は、基板と;前記基板の表面に設けられ、複数の配線パッドと、複数の実装パッドと、を有する配線パターンと;前記複数の実装パッドのそれぞれの上に設けられた発光素子と;前記発光素子に設けられた電極と、前記配線パッドと、を電気的に接続する配線と;前記複数の配線パッドと、前記複数の実装パッドと、複数の前記発光素子と、複数の前記配線と、を覆う封止部と;を具備している。そして、前記複数の配線パッドのそれぞれの周縁は傾斜面となっており、前記配線の前記配線パッドに接続される端部は、前記傾斜面の上に設けられず、前記複数の発光素子のうちの第1の発光素子に接続される前記配線が延びる方向は、前記第1の発光素子に隣接する第2の発光素子に接続される前記配線が延びる方向と交差し、前記配線パッドの、当該前記配線パッドに接続される前記配線が延びる方向の寸法をL3、前記配線パッドの、当該前記配線パッドに接続される前記配線が延びる方向と直交する方向の寸法をL4とした場合に、L3/L4が1.2以上となっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、配線と配線パターンとの接続強度を向上させることができる照明装置および灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2】発光部20を例示するための模式平面図である。
図3】(a)〜(c)は、比較例に係る配線25と、配線パッド24bとの接続部分について例示をするための模式図である。
図4】セカンドボンディング部25aが形成される配線パッド24bの平坦な面の形状と大きさを例示するための模式図である。
図5】(a)、(b)は、接続強度の分布を例示するためのグラフ図である。
図6】(a)〜(c)は、本実施の形態に係る配線25と、配線パッド24bとの接続部分について例示をするための模式図である。
図7】配線パッド24bの配設形態を例示するための模式図である。
図8】配線パッド24bの配設形態を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、基板と;前記基板の表面に設けられ、複数の配線パッドと、複数の実装パッドと、を有する配線パターンと;前記複数の実装パッドのそれぞれの上に設けられた発光素子と;前記発光素子に設けられた電極と、前記配線パッドと、を電気的に接続する配線と;前記複数の配線パッドと、前記複数の実装パッドと、複数の前記発光素子と、複数の前記配線と、を覆う封止部と;を具備した照明装置である。そして、前記複数の配線パッドのそれぞれの周縁は傾斜面となっており、前記配線の前記配線パッドに接続される端部は、前記傾斜面の上に設けられず、前記複数の発光素子のうちの第1の発光素子に接続される前記配線が延びる方向は、前記第1の発光素子に隣接する第2の発光素子に接続される前記配線が延びる方向と交差し、前記配線パッドの、当該前記配線パッドに接続される前記配線が延びる方向の寸法をL3、前記配線パッドの、当該前記配線パッドに接続される前記配線が延びる方向と直交する方向の寸法をL4とした場合に、L3/L4が1.2以上となっている。
この照明装置によれば、配線と配線パターンとの接続強度を向上させることができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記配線パッドが延びる方向と、当該前記配線パッドに接続される前記配線が延びる方向と、がなす角度は、0°以上25°以下である照明装置である。
この照明装置によれば、配線と配線パターンとの接続強度をさらに向上させることができる。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記L3は、0.45mm以上であり、前記L4は、0.375mm以上である照明装置である。
この照明装置によれば、配線と配線パターンとの接続強度をさらに向上させることができる。
【0012】
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記配線パターンと電気的に接続された給電端子と;前記給電端子と嵌め合わされるソケットと;をさらに具備した照明装置である。
第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの照明装置を備えた灯具である。
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、発光部20を例示するための模式平面図である。
なお、図1および図2においては、図を見やすくするために封止部27を省いて描いている。
【0014】
図1に示すように、照明装置1には、本体部10、発光部20、給電部30、およびソケット40が設けられている。
本体部10には、収納部11、フランジ部12、およびフィン13が設けられている。 収納部11は、円筒状を呈し、フランジ部12の一方の面から突出している。収納部11の内部には、発光部20が収納されている。また、収納部11の内部には、給電部30の給電端子31が突出している。
【0015】
収納部11の外側面には、複数の凸部11aが突出している。複数の凸部11aは、例えば、照明装置1を図示しない灯具などに取り付ける際に灯具側の取付部材と協働して、図示しない灯具などに照明装置1を保持させる。
また、複数の凸部11aとフランジ部12との間には、ゴムやシリコーンなどの材料からなるシール部材を設けることもできる。
【0016】
フランジ部12は、円板状を呈し、一方の面には収納部11が設けられ、他方の面にはフィン13が設けられている。
フィン13は、フランジ部12の面から突出して複数設けられている。複数のフィン13は、板状を呈し、放熱フィンとして機能する。
【0017】
本体部10は、発光部20および給電部30などを収納する機能と、発光部20や給電部30で発生した熱を照明装置1の外部に放出する機能とを有する。
そのため、熱を外部に放出することを考慮して、本体部10を熱伝導率の高い材料から形成することができる。例えば、本体部10は、アルミニウム、アルミニウム合金、高熱伝導性樹脂などから形成することができる。高熱伝導性樹脂は、例えば、PETやナイロン等の樹脂に、熱伝導率の高い炭素や酸化アルミニウム等の繊維や粒子を混合させたものである。
この場合、フィン13などの熱を外部に放出する部分を熱伝導率の高い材料から形成し、その他の部分を樹脂などから形成することもできる。
【0018】
また、本体部10の主要部分を導電性材料で構成する場合は、給電端子31と本体部10の導電性材料との間の電気絶縁性を確保するため、給電端子31の周囲を絶縁材料(図示しない)で覆い、更に、その周囲に導電性材料を配置する構成としても良い。絶縁材料は、例えば、樹脂などであって、熱伝導率が高い材料が好ましい。
【0019】
図1および図2に示すように、発光部20には、基板21、発光素子22、制御素子23、配線パターン24、配線25、および封止部27が設けられている。
基板21は、板状を呈し、表面に配線パターン24が設けられている。
基板21の材料や構造には特に限定はない。例えば、基板21は、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの無機材料(セラミックス)、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁体で被覆したものであってもよい。なお、金属板の表面を絶縁体で被覆する場合には、絶縁体は、有機材料からなるものであってもよいし、無機材料からなるものであってもよい。
【0020】
この場合、発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、金属板の表面を絶縁体で被覆したものなどを例示することができる。
また、基板21は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0021】
発光素子22は、配線パターン24の実装パッド24c上に複数実装されている。
発光素子22は、配線パターン24に設けられる側とは反対側の面(上面)に電極29を有している(図3(a)を参照)。なお、電極29は、配線パターン24に設けられる側の面(下面)と、配線パターン24に設けられる側とは反対側の面(上面)とに設けられていてもよいし、配線パターン24に設けられる側とは反対側(上面側)に2つ設けられていてもよい。
【0022】
発光素子22の下面に設けられた電極29は、銀ペーストなどの導電性の熱硬化材を介して実装パッド24cと電気的に接続されている。発光素子22の上面に設けられた電極29は、配線25を介して配線パッド24bと電気的に接続されている(図3(a)を参照)。
【0023】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
発光素子22の光の出射面である上面は、照明装置1の正面側に向けられている。発光素子22は、主に、照明装置1の正面側に向けて光を出射する。
発光素子22の数や大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0024】
制御素子23は、配線パターン24の上に実装されている。
制御素子23は、発光素子22に流れる電流を制御する。すなわち、制御素子23は、発光素子22の発光を制御する。
【0025】
配線パターン24は、基板21の少なくとも一方の表面に設けられている。
配線パターン24は、基板21の両方の面に設けることもできるが、製造コストを低減させるためには、基板21の一方の面に設けるようにすることが好ましい。
配線パターン24には、入力端子24a、配線パッド24b、および実装パッド24cが設けられている。
【0026】
入力端子24aは、複数設けられている。入力端子24aには、給電部30の給電端子31が電気的に接続されている。そのため、発光素子22と制御素子23は、配線パターン24を介して、給電部30と電気的に接続されている。
配線パッド24bは、複数設けられている。配線パッド24bは、配線25の一端を接続するための部分である(図3(a)を参照)。
実装パッド24cは、複数設けられている。実装パッド24cは、銀ペーストなどのペースト状の熱硬化材を用いて、発光素子22を接続するための部分である(図3(a)を参照)。
【0027】
配線パターン24の材料は、例えば、銀や金などの金属とすることができる。
配線パターン24は、例えば、スクリーン印刷法などを用いて形成することができる。 ただし、配線パターン24の材料や形成方法は、適宜変更することができる。
【0028】
配線25は、発光素子22の上面に設けられた電極29と、配線パッド24bとを電気的に接続する。配線25は、例えば、金を主成分とする線とすることができる。ただし、配線25の材料は、金を主成分とするものに限定されるわけではない。配線25の材料は、例えば、銅を主成分とするものや、アルミニウムを主成分とするものなどであってもよい。
配線25は、例えば、超音波溶着または熱溶着により、発光素子22の上面に設けられた電極29と、配線パッド24bとに電気的に接続される。配線25は、例えば、ワイヤボンディング法を用いて、発光素子22の上面に設けられた電極29と、配線パッド24bとに電気的に接続することができる。
なお、配線25と、配線パッド24bとの接続部分であるセカンドボンディング部25a(ステッチ部)、および配線パッド24bについての詳細は後述する。
【0029】
封止部27は、複数の配線パッド24b、複数の実装パッド24c、複数の発光素子22、および複数の配線25を覆うように設けられている。
封止部27は、透光性を有する材料から形成されている。封止部27は、例えば、シリコーン樹脂などから形成することができる。
封止部27は、例えば、複数の配線パッド24b、複数の実装パッド24c、複数の発光素子22、および複数の配線25の上に樹脂を供給することで形成することができる。樹脂の供給は、例えば、ディスペンサなどの液体定量吐出装置を用いて行うことができる。
【0030】
複数の配線パッド24b、複数の実装パッド24c、複数の発光素子22、および複数の配線25を覆うように封止部27を形成すれば、これらに対する外部からの機械的な接触を抑制することができる。また、ガスや水分などが、これらに付着することを抑制することができる。そのため、照明装置1に対する信頼性を向上させることができる。
【0031】
また、複数の配線パッド24b、複数の実装パッド24c、複数の発光素子22、および複数の配線25を覆うように封止部27を形成すれば、発光素子22と、発光素子22の外部との間の屈折率差を小さくすることができる。そのため、発光素子22の図示しない発光層から出射した光の一部が、発光素子22の上面と、封止部27との間の界面で全反射されるのを抑制することができる。
また、凸状の曲面を有する封止部27とすれば、レンズの機能を発揮させることができる。
【0032】
また、封止部27には、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)とすることができる。
例えば、発光素子22が青色発光ダイオード、蛍光体がYAG系蛍光体である場合には、発光素子22から出射した青色の光によりYAG系蛍光体が励起され、YAG系蛍光体から黄色の蛍光が放射される。そして、青色の光と黄色の光が混ざり合うことで、白色の光が照明装置1から出射される。なお、蛍光体の種類や発光素子22の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、照明装置1の用途などに応じて所望の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0033】
また、複数の発光素子22を囲む図示しない包囲壁部材を基板21上にさらに設けることもできる。図示しない包囲壁部材は、例えば、環状形状を有し、内側に複数の発光素子22が配置されるものとすることができる。
また、図示しない包囲壁部材は、リフレクタの機能を併せ持つものとすることができる。
この場合、図示しない包囲壁部材の内側の側壁面を斜面とし、斜面に入射した光を照明装置1の正面側に向けて出射するものとすることができる。
【0034】
給電部30には、複数の給電端子31が設けられている。
複数の給電端子31は、収納部11およびフランジ部12の内部を延びている。複数の給電端子31の一方の端部は、収納部11の底面から突出し、配線パターン24の入力端子24aと電気的に接続されている。複数の給電端子31の他方の端部は、本体部10の基板21が設けられる側とは反対の側から露出している。
【0035】
なお、給電端子31の数、配置、形態などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
また、給電部30は、図示しない基板や、コンデンサや抵抗などの回路部品を備えたものとすることもできる。なお、図示しない基板や回路部品は、例えば、収納部11またはフランジ部12の内部に設けることができる。
【0036】
ソケット40には、本体部40a、および配線40bが設けられている。
本体部40aは、樹脂などの絶縁材料から形成されている。本体部40aの内部には図示しないめす型端子が延びている。図示しないめす型端子の一方の端部は、本体部40aの一方の端面に露出している。本体部40aの一方の端面に露出している図示しないめす型端子の端部には、給電端子31が嵌め合わされる。
図示しないめす型端子の他方に端部には、配線40bが電気的に接続されている。
配線40bには、図示しない電源などが電気的に接続される。
そのため、ソケット40を給電端子31に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とが電気的に接続される。
ソケット40は、例えば、接着剤などを用いて本体部10側の要素に接合することができる。
【0037】
次に、セカンドボンディング部25a、および配線パッド24bについてさらに説明する。
図3(a)〜(c)は、比較例に係る配線25と、配線パッド24bとの接続部分について例示をするための模式図である。
なお、図3(a)は、図2における封止部27が設けられる領域を表す模式平面図である。
図3(b)は、図3(a)におけるA−A線断面図である。
図3(c)は、図3(b)におけるB部の模式拡大図である。
【0038】
配線パターン24は、スクリーン印刷法などを用いて、基板21の表面に形成される。 ところが、スクリーン印刷法などを用いて、基板21の表面に配線パターン24を形成すると、図3(b)、(c)に示すように、配線パターン24の周縁に傾斜面が形成される。そのため、配線パッド24bの周縁にも傾斜面が形成されることになる。
【0039】
また、ワイヤボンディング法を用いて、配線パッド24bに配線25を接続する際には、接続位置のバラツキが生じ得る。そのため、図3(b)、(c)に示すように、配線パターン24の周縁に形成された傾斜面の上方に、セカンドボンディング部25aの一部が位置する場合が生じ得る。
【0040】
セカンドボンディング部25aの一部が傾斜面の上方に位置すると、セカンドボンディング部25aにおける接続面積が小さくなる。そのため、配線25と配線パターン24(配線パッド24b)との接続強度(固着強度)が低下することになる。
【0041】
ここで、温度変化により、封止部27には膨張と収縮が生じる。
例えば、基板21をセラミックスを用いて形成すると、基板21の線膨張係数は、7ppm/K程度となる。配線25を金を用いて形成すると、配線25の線膨張係数は、14ppm/K程度となる。封止部27をシリコーン樹脂を用いて形成すると、封止部27の線膨張係数は、200ppm/K程度となる。
そのため、温度変化による膨張量と収縮量は、封止部27が最も大きくなる。例えば、封止部27の膨張量と収縮量は、基板21の膨張量と収縮量の29倍程度となる。
【0042】
温度が低い場合には、相対的に、封止部27は基板21に向かって収縮し、封止部27は上面がへこむ方向に変形する。
温度が高い場合には、相対的に、封止部27は基板21がある側とは反対の側に向かって膨張し、封止部27は上面が出っ張る方向に変形する。
【0043】
また、封止部27の中心位置から封止部27の周縁方向に離れるほど、封止部27に発生する応力および変形量は大きくなる。
また、基板21の表面から封止部27の上面方向に離れるほど、封止部27に発生する応力および変形量は大きくなる。
そのため、封止部27の体積が大きくなるほど熱変形の影響は大きくなる。
【0044】
そして、封止部27中には、配線25がある。そのため、封止部27に熱変形が生じると配線25に外力が作用することになる。
【0045】
また、高光量とするために複数の発光素子22を用いる場合には、封止部27の体積が大きくなるので、熱変形の影響はより大きくなる。また、照明装置1が車載用である場合には、雰囲気温度の変化が大きい(例えば、−40℃と+85℃の範囲)ことがさらに加わり、熱変形の影響はさらに大きくなる。
【0046】
この様な封止部27の熱変形により、配線25には、セカンドボンディング部25aを配線パッド24bから引きはがす方向に外力が作用する場合がある。
そのため、セカンドボンディング部25aの一部が傾斜面の上方に位置することで接続強度が低下すると、セカンドボンディング部25aの剥がれや断線が生じやすくなる。
【0047】
この場合、配線パッド24bの面積を大きくすれば、配線パッド24bの比較的平坦な面にセカンドボンディング部25aを形成することができる。しかしながら、配線パッド24bの面積を大きくすれば、材料コストが高くなる。
また、封止部27は、配線パッド24bを覆っている。そのため、配線パッド24bの面積を大きくした分だけ封止部27の体積が大きくなる。前述したように、封止部27の体積が大きくなると、熱変形の影響はより大きくなる。そのため、セカンドボンディング部25aの剥がれや断線が生じやすくなる場合も生じ得る。
【0048】
そこで、本実施の形態に係る照明装置1においては、配線パッド24bの大きさが所定の範囲内となるようにしている。
図4は、セカンドボンディング部25aが形成される配線パッド24bの平坦な面の形状と大きさを例示するための模式図である。
セカンドボンディング部25aの一部が傾斜面の上方に位置しないようにするためには、セカンドボンディング部25aの最大外形寸法(最大平面寸法)に対して、配線25が延びる方向においては前後に0.05mm程度、配線25が延びる方向と直交する方向においては左右に0.025mm程度の平坦な面がさらに必要になる。
【0049】
本発明者の得た知見によれば、セカンドボンディング部25aの一部が傾斜面の上方に位置しないようにするためには、以下のようにすればよい。
図4に示すように、セカンドボンディング部25aが形成される平坦面の配線25が延びる方向の寸法L1は、0.25mm程度とすればよい。
また、セカンドボンディング部25aが形成される平坦面の配線25が延びる方向と直交する方向の寸法L2は、0.175mm程度とすればよい。
この場合、配線25の直径寸法(線径)は、0.03mm程度である。
【0050】
また、配線パターン24(配線パッド24b)の厚み寸法が、0.1mm〜0.2mm程度の場合、配線パッド24bの周縁には、平面寸法が0.1mm程度の傾斜面が形成されることになる。
そのため、セカンドボンディング部25aの一部が傾斜面の上方に位置しないようにするためには、配線パッド24bの配線25が延びる方向の寸法L3を0.45mm以上とすればよい。また、配線パッド24bの配線25が延びる方向と直交する方向の寸法L4を0.375mm以上とすればよい。
【0051】
図5(a)、(b)は、接続強度の分布を例示するためのグラフ図である。
なお、図5(a)は、図3(a)〜(c)に例示をした比較例における接続強度の分布を例示するためのグラフ図である。
また、図5(b)は、本実施の形態に係る照明装置1における接続強度の分布を例示するためのグラフ図である。
図5(a)から分かるように、セカンドボンディング部25aの一部が傾斜面の上方に位置し得る場合には、測定サンプルの多くが、接続強度が比較的低い領域に分布している。
これに対して、図5(b)から分かるように、セカンドボンディング部25aの一部が傾斜面の上方に位置するのを抑制すれば、測定サンプルの多くが、接続強度が比較的高い領域に分布するようになる。
【0052】
また、配線パッド24bの配線25が延びる方向の寸法をL3、配線パッド24bの配線25が延びる方向と直交する方向の寸法をL4とした場合に、L3/L4が1.2以上となるようにすることが好ましい。
表1は、寸法L4に対する寸法L3の比と、断線の有無との関係を例示するための表である。
なお、表1は、熱衝撃試験を行い、断線の有無を調べた結果である。
熱衝撃試験においては、−40℃の環境に発光部20を30分間放置し、その後、+85℃の環境に発光部20を30分間放置するとともに発光素子22を点灯した。そして、この手順を500回繰り返した。
【0053】
【表1】

表1から分かるように、L3/L4が、1.2以上となるようにすれば、配線25と配線パターン24との接続強度を向上させることができる。
【0054】
図6(a)〜(c)は、本実施の形態に係る配線25と、配線パッド24bとの接続部分について例示をするための模式図である。
なお、図6(a)は、図2における封止部27が設けられる領域を表す模式平面図である。
図6(b)は、図6(a)におけるC−C線断面図である。
図6(c)は、図6(b)におけるD部の模式拡大図である。
【0055】
前述したように、L3/L4が1.2以上となるようにすることが好ましい。
そのため、図6(a)に示すように、配線25が延びる方向と、配線パッド24bが延びる方向とを合わせるようにすることが好ましい。
そのようにすれば、図6(b)、(c)に示すように、セカンドボンディング部25aの一部が傾斜面の上方に位置しないようにすることが容易となる。
【0056】
図7および図8は、配線パッド24bの配設形態を例示するための模式図である。
図7および図8中の角度θは、配線25が延びる方向と、配線パッド24bが延びる方向とがなす角度である。
なお、図7は、角度θが5°程度の場合である。図8は角度θが25°程度の場合である。
【0057】
前述したように、封止部27の体積が大きくなると、熱変形の影響はより大きくなる。そのため、図7および図8に示すように、封止部27が設けられる領域は最小限となるようにすることが好ましい。
また、図6(a)に例示をしたように、配線25が延びる方向と、配線パッド24bが延びる方向とを合わせるようにすることが好ましい。
【0058】
しかしながら、図7および図8に示すように、発光素子22の配置によっては、配線25が延びる方向と、配線パッド24bが延びる方向とを合わせるようにすることが困難な場合もある。
本発明者の得た知見によれば、0°≦θ≦25°となるようにすれば、封止部27が設けられる領域を大きくすることなく、適正なセカンドボンディング部25aが形成されるための領域を確保することができる。
【0059】
また、図7に示すように、実装パッド24cと、配線パッド24bとを連結する連結部24dを設けることができる。連結部24dには、配線25が接続されないので、連結部24dの面積は小さなものとすることができる。
また、図8に示すように、0°≦θ≦25°となれば、実装パッド24cと、配線パッド24bとを直接連結することもできる。
これらのようにすれば、配線パターン24の面積を小さくすることができるので、材料コストの削減を図ることができる。
また、配線パターン24の面積が小さくなる分だけ、基板21の露出面積を大きくすることができる。一般的に、セラミックスなどからなる基板21の反射率は、銀や金などからなる配線パターン24の反射率よりも高いので、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0060】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 照明装置、10 本体部、11 収納部、12 フランジ部、13 フィン 、20 発光部、21 基板、22 発光素子、23 制御素子、24 配線パターン、24a 入力端子、24b 配線パッド、24c 実装パッド、25 配線、27 封止部、25a セカンドボンディング部、29 電極、30 給電部、31 給電端子、40 ソケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8