特許第6179787号(P6179787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6179787
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】手洗消毒装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20170807BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20170807BHJP
   C02F 1/46 20060101ALI20170807BHJP
   A61L 101/10 20060101ALN20170807BHJP
【FI】
   A61L2/18 100
   A61L2/24
   C02F1/46 Z
   A61L101:10
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-142789(P2016-142789)
(22)【出願日】2016年7月4日
【審査請求日】2016年7月4日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】302031063
【氏名又は名称】アメミヤ機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】後川 昭雄
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−348923(JP,A)
【文献】 特開2009−125628(JP,A)
【文献】 特開2000−014734(JP,A)
【文献】 特開平09−234238(JP,A)
【文献】 特開2014−064662(JP,A)
【文献】 特開平10−311069(JP,A)
【文献】 特開平06−233805(JP,A)
【文献】 特開2002−253582(JP,A)
【文献】 特開平11−235378(JP,A)
【文献】 特開平10−071188(JP,A)
【文献】 特開2005−264638(JP,A)
【文献】 特開2001−112663(JP,A)
【文献】 特開平06−212670(JP,A)
【文献】 特開2001−340403(JP,A)
【文献】 特開2011−147718(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3077689(JP,U)
【文献】 特開2001−029439(JP,A)
【文献】 特開平11−347575(JP,A)
【文献】 特開平11−140929(JP,A)
【文献】 特開平02−174819(JP,A)
【文献】 特開2002−316153(JP,A)
【文献】 特開2009−138262(JP,A)
【文献】 特開2004−011315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00−12/14
C02F 1/46− 1/48
C01B 13/00−13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水用電磁弁と水道水吐出管とで構成した水道水吐出器と、石鹸液吐出ポンプと石鹸液タンクと石鹸液吐出管とで構成した石鹸液吐出器と、オゾン水を吐出するオゾン水吐出器と、手の有無を検出する手感知センサと、前記水道水吐出器、前記石鹸液吐出器、前記オゾン水吐出器から吐出された液体を一箇所に集めて排出するシンクと、前記手感知センサが手を検知した時前記水道水吐出器と前記石鹸液吐出器と前記オゾン水吐出器とを所定のプログラムに基づいて制御する制御器と、で構成した手洗消毒装置において、
前記オゾン水吐出器を、一回の手指消毒に必要な水道水を貯留し該貯留されている水道水を電気分解してオゾン水に加工する電解セルを内包しているオゾン水貯留槽と、所定量の水道水を該オゾン水生成器に供給するオゾン水用電磁弁と、生成されたオゾン水を手指に吐出するオゾン水吐出管とで構成するとともに、前記手洗消毒装置を作動させた時に、前記電解セルの通電を開始し、通電から40秒以内の所定時間内でオゾン水貯留槽に貯留されている水道水をオゾン濃度が1ppm以上のオゾン水に加工して通電を停止するプログラムを前記制御部に追加したことを特徴とする手洗消毒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品工場や病院用施設等で用いられる手洗消毒装置であって、水道水、石鹸液、消毒液という三種類の異なった流体を吐出するための吐出部を備え、使用者の手を感知した信号に基づいて、制御器が前記各流体を決められたプログラムに従って吐出及び停止させる手洗消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種としては、例えば特許第4450128号とか特許第4564179号とか特許第41278511号の手洗消毒装置がある。
これ等の装置の手指消毒は、塩素系殺菌液、クレゾール希釈液、消毒用アルコールなどの消毒液を消毒液タンクに貯留しておき、手指の消毒時にポンプを用いて消毒液を一定量吐出する方式である。
【0003】
オゾン水は強い酸化力・殺菌力有しているので特開平11−56984号公開特許公報に記されているように細菌・ウイルスなど広範囲の殺菌が可能である。
また、オゾン水は塩素系殺菌剤や、アルコールと異なり、手に接触させても手荒れは起こさないという利点があり、さらに安全性に問題がないので食品添加物として認可されており食品工場で使用する手洗消毒装置用の消毒液に適している。
しかしオゾン水は不安定な物質であり、オゾン水生成後、オゾンは数十分で酸素と水に戻ってしまいます。このためオゾン水を消毒液タンクに貯留しておくと、時間の経過とともに、オゾン水は分解し水と酸素になってしまうので、貯留したオゾン水を消毒液として使用することができなかった。
【0004】
従来のオゾン水の生成方法は、気体の酸素からを放電等でオゾンを生成し、そのオゾンを水に溶解させる方法が主流である。
この方法はオゾンの生成手段、水への溶解手段、オゾン水の濃度維持管理手段などを必要とするので、装置が複雑で大型で高価なものとなり、手洗消毒装置に組み込むことは困難であった。
オゾン水の生成には水道水を直接電気分解してオゾン水を生成する直接電気分解方式があり、水道水の電気分解にはオゾン水の生成効率を高めるための工夫を施した陽極と陰極で構成されている電解セルが使用されている。
たとえば特許第4903405号特許公報に記載された電解セルは、多孔質状あるいは網状の構造を有する導電性ダイヤモンドを使用した陽極と陰極とを固体高分子膜を挟んで構成している。
【0005】
電解セル用いて水道水を直接電気分解方式は少量のオゾン水なら高濃度のものが短時間で生成できるという特徴があり、特許第5823102号特許公報記載の歯科用オゾン水洗浄装置とか、非特許文献1の商品名オゾン水生成器等が実用化されている。
手指の消毒の場合は少量のオゾン水で十分なので、この直接電気分解方式を用いれば、消毒が必要となる直前の数十秒前に、オゾン水を生成して、オゾン水の殺菌消毒作用がある状態で使用する手洗消毒装置が製作可能となります。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4450128号 特許公報
【特許文献2】特許第4564179号 特許公報
【特許文献3】特許第4178511号 特許公報
【特許文献4】特開平11−56984号 公開特許公報
【特許文献5】特許第4903405号 特許公報
【特許文献6】特許第5823102号 特許公報
【非特許文献1】リンクロス株式会社製 オゾン水生成器 LX−GO−K1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
手指消毒にはオゾン水が有効であるが、オゾン水は時間が経つとオゾンが酸素と水に分解し、殺菌作用が失われるので長時間貯留しておく事がでない。
それ故、オゾン水を消毒液タンクに貯留しておき、必要なときに消毒液タンクからオゾン水を汲み出し手指に吐出して消毒する消毒方式は採用できなかった。
本発明は、このような問題を解決しようとするものであり、オゾン水を貯留せずに、オゾン水を生成して直ぐに手指消毒に使用するようにした手洗消毒装置を実現することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために、オゾン水の生成には短時間で高濃度のオゾン水を生成することができる直接電気分解方式のオゾン水生成方式を採用した。
さらにオゾン水貯留タンクの容量を1回の手指消毒に必要な量に設定するとともに、手洗行為の開始時に電解セルに通電してオゾン水の生成を開始し、手洗行為が終了したらオゾン水用電磁弁を“開”にして、新たな水道水で生成されたオゾン水をオゾン水貯留槽から押し出しオゾン水吐出管から吐出するようにして手指を消毒するようにした。
【発明の効果】
【0010】
上述したように本発明の手洗消毒装置は、簡単な装置で手洗行為をしている時に手指消毒に必要な量のオゾン水を生成するので、オゾン水の殺菌作用を有している状態で手指の消毒が行うことができ、実用的で効果的な手洗消毒装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態を示す手洗消毒装置のブロック図。
図2】本発明手洗消毒装置の動作を説明するタイムチャート図
図3】本発明のオゾン水生成器の他の実施例を示すブロック図
図4】本発明のオゾン水生成器の他の実施例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図1図4に基づいて説明する。
【0013】
図1において、石鹸液吐出器1は石鹸液吐出管11と石鹸液ポンプ12と石鹸液タンク13で構成されている、水道水吐出器2は水道水吐出管21と水道水用電磁弁22とで構成されている。
オゾン水吐出器3はオゾン水吐出管31と、電解セル32を内包し1回の手指消毒に必要な量の水道水を貯留しているオゾン水貯留槽33と、該オゾン水貯留槽33の下部に接続されたオゾン水用電磁弁34とで構成される。
そして各吐出管の吐出口下方にはシンク4が設置され、手感知センサ5は使用する液体の吐出口近傍で手が近づくと反応するように設置されている。
制御器6には該手感知センサ5、該石鹸液ポンプ12、該水道水用電磁弁22、該オゾン水用電磁弁34、該電解セル32に接続されており所定のプログラムで動作する。
【0014】
図2の本発明手洗消毒装置のタイムチャート図に基づき手洗行為の動作を説明する。
作業者が手を洗う目的で、本発明の手洗消毒装置の吐出ノズルの近くに手を差し出すと、手感知センサ5が手を感知し、手洗消毒装置が起動する。
作業者は手洗装置の動作に従い、下記のステップ1から5の手洗消毒行為を行う。
ステップ1:水道水用電磁弁22がt1で“開”t2で“閉”となるように作動する。
(t2−t1)秒間水が吐出されるので、この流水でよごれを落とす。
ステップ2:石鹸液ポンプ12がt2で“開”t3で“閉”となるように作動する。
(t3−t2)秒間石鹸液が吐出されるので、この石鹸液を手に受ける。
ステップ3:手に受けた石鹸液を泡たてて、手、指、腕を爪ブラシ等を用いて
(t4−t3)秒間手、指、腕をごしごしと擦る。
ステップ4:水道水用電磁弁22がt4で“開”t5で“閉”となるように作動する。
(t5−t4)秒間水道水が吐出されるので、この流水で石鹸を落とす。
ステップ5:オゾン水用電磁弁34がt5で“開”t6で“閉”となるように作動。
(t6−t5)秒間オゾン水貯留槽33に新しい水道水が流入し、流入した 水道水が生成されたオゾン水を押し出すので、オゾン水吐出管31からオゾ ン水が吐出される。このオゾン水で手指を消毒する。
【0015】
オゾン水を用いた手指の消毒には濃度は1ppmから5ppm程度で容量は200ミリリットルから1リットル程度が必要です。
この手指消毒に用いるオゾン水の量はオゾン水貯留槽33の容量できめられ、オゾン水濃度はオゾン水貯留槽33の内部に設置されている電解セル32への通電時間に比例します。
【0016】
食中毒・感染症を防ぐ衛生的な手洗として、ステップ3の泡たて手擦り(t4−t3)は20秒以上、ステップ4の水道水での石鹸おとし(t5−t4)は20秒以上が推奨されているので、手洗行為のスタート時t1に電解セル32への通電を始めればオゾン水濃度を高めるのに必要な電解セルへの通電時間(t5−t1)は約40秒程度以上確保でき、この時間内で消毒に必要な濃度のオゾン水が生成できる。
【0017】
図3は本発明のオゾン水生成器の他の実施例で、オゾン水貯留槽33とオゾン水用電磁弁34との間に定流量弁35を設け水道水圧が変動しても一定の流速で水道水を供給するようにした。
オゾン水の吐出量はオゾン水用電磁弁34の“開”時間(t6−t5)と水道水の流速で決定されるので、これを設けることによりオゾン水の吐出流速を一定にすることができ、吐出量の制御が容易になる。
【0018】
図4は本発明のオゾン水生成器の他の実施例で、オゾン水貯留槽33にオゾン水吐出ポンプ41を接続し、該オゾン水吐出ポンプ41にはオゾン水吐出管31を接続し、オゾン水貯留槽33の上部は開放され、さらにその上部にはオゾン分解器42が、内部には液面センサ43が配置されている。
【0019】
図4の実施例では図2のステップ5のt5でオゾン水吐出ポンプ41を動作させてオゾン水をオゾン水吐出管31から吐出させる、オゾン水吐出後t6でオゾン水用電磁弁34を“開”にして水道水をオゾン水貯留槽33に流入させる、1回分の消毒に必要な水道水が貯留されると液面センサ43が検知するので、オゾン水用電磁弁34を“閉”にして水道水の流入を止める。
【0020】
オゾン水を生成する時、水に溶解しなかったオゾン、酸素、水素の気体が発生する、オゾンは低濃度ではそれほど問題にならないが、高濃度になると有害であり、直接大気中に放出すると危険なため、大気中に放出する前にオゾンガスを分解する必要がある。
オゾンガスを分解するために、オゾンガスを分解する活性炭、シリカ、アルミナ、酸化第二鉄のなどを用いたオゾン分解器42がオゾン水貯留槽33の上部のガス放出経路に配置されている。
【符号の説明】
【0021】
1 石鹸液吐出器
2 水道水吐出器
3 オゾン水吐出器
4 シンク
5 手感知センサ
6 制御器
11 石鹸液吐出管
12 石鹸液ポンプ
13 石鹸液タンク
21 水道水吐出管
22 水道水用電磁弁
31 オゾン水吐出管
32 電解セル
33 オゾン水貯留槽
34 オゾン水用電磁弁
41 オゾン水吐出ポンプ
42 オゾン分解器
43 液面センサ
【要約】
【課題】 食品工場や病院用施設等での手指消毒にはオゾン水が有効であるが、オゾン水は時間が経つと酸素と水に分解し、殺菌作用が失われる。
従ってオゾン水を消毒液タンクに貯留しておき、必要なときに消毒液タンクからオゾン水を汲み出し手指に吐出して消毒する方式は採用できなかった。
本発明は、このような問題を解決しようとするものであり、オゾン水を貯留せずに、オゾン水を生成して直ぐに手指消毒に使用するようにした。
【解決手段】 短時間で高濃度のオゾン水が生成できる直接電気分解方式のオゾン水生成器を手洗消毒装置に組み込み、手洗行為の開始時に1回の手指消毒に必要な量のオゾン水の生成を開始し、手洗行為が終了したら生成されたオゾン水を吐出して手指を消毒するようにした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4