(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ピンチシール部によって密閉された内部空間を有する透光性の内管と、該内管を収納する透光性の外管と、該外管の端部に装着された口金部と、を有する高圧放電ランプにおいて、
前記口金部に配置され孔が形成された絶縁部材と、
前記ピンチシール部から前記絶縁部材と前記ピンチシール部の間の空間に向けて延びる1対のピンと、
前記口金部の先端部と前記ピンの一方を電気的に接続する中心リードと、
前記口金部の側面のネジ部と前記ピンの他方を電気的に接続する側面リードと、
を有し、
前記中心リードは、前記口金部の先端部から、前記ピンチシール部に向かって延び、前記絶縁部材の孔を通り、前記空間まで延びており、前記中心リードは、前記空間にて、前記内管の中心軸線から離れるように湾曲した湾曲部を有し、前記湾曲部より先の部分は、前記内管の中心軸線より離れる方向に延びて、前記ピンの一方と接続しており、
前記側面リードは、前記口金部の側面から、前記ピンチシール部に向かって延び、前記絶縁部材の孔を通り、前記空間まで延びており、前記側面リードは、前記空間にて、前記内管の中心軸線から離れるように湾曲した湾曲部を有し、前記湾曲部より先の部分は、前記内管の中心軸線より離れる方向に、且つ、前記中心リードとは反対側に延びて、前記ピンの他方と接続していることを特徴とする高圧放電ランプ。
請求項1〜4のいずれか1項記載の高圧放電ランプにおいて、前記ピンはモリブデン線、又は、白金クラッドモリブデン線によって構成され、前記中心リード及び前記側面リードはニッケル線、又は、ニッケル系合金線によって構成されていることを特徴とする高圧放電ランプ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型の3重管構造を有するランプでは、口金部の内部空間が比較的小さい。そのため、口金部の内部におけるリード線の組立作業が困難であると同時に、異極性のリード線の間の間隔が小さすぎて絶縁破壊が起き易い問題がある。高圧放電ランプでは、例えば、5kv程度の電位差に対して絶縁破壊が起きないことが好ましい。
【0005】
本発明の目的は、高圧放電ランプにおいて、異極性の電位差に起因した絶縁破壊を防止することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、ピンチシール部によって密閉された内部空間を有する透光性の内管と、該内管を収納する透光性の外管と、該外管の端部に装着された口金部と、を有する高圧放電ランプにおいて、
前記口金部に配置され孔が形成された絶縁部材と、
前記ピンチシール部から前記絶縁部材と前記ピンチシール部の間の空間に向けて延びる1対のピンと、
前記口金部の先端部と前記ピンの一方を電気的に接続する中心リードと、
前記口金部の側面のネジ部と前記ピンの他方を電気的に接続する側面リードと、
を有し、
前記中心リードは、前記口金部の先端部から、前記ピンチシール部に向かって延び、前記絶縁部材の孔を通り、前記空間まで延びており、前記中心リードは、前記空間にて、湾曲部を有し、前記湾曲部より先の部分は、前記内管の中心軸線より離れる方向に延びて、前記ピンの一方と接続しており、
前記側面リードは、前記口金部の側面から、前記ピンチシール部に向かって延び、前記絶縁部材の孔を通り、前記空間まで延びており、前記側面リードは、前記空間にて、湾曲部を有し、前記湾曲部より先の部分は、前記内管の中心軸線より離れる方向に、且つ、前記中心リードとは反対側に延びて、前記ピンの他方と接続している。
【0007】
本実施形態によると前記高圧放電ランプにおいて、前記ピンは、前記ピンチシール部から前記空間に向けて、前記内管の中心軸線より離れる方向に、且つ、互いに反対方向に傾斜して延びてよい。
【0008】
本実施形態によると前記高圧放電ランプにおいて、
前記ピンは、前記ピンチシール部から前記空間に向けて、前記内管の中心軸線より離れる方向に、且つ、互いに反対方向に傾斜して延びてよい。
【0009】
本実施形態によると前記高圧放電ランプにおいて、
前記ピンの先端はスリーブ内に挿通され、前記中心リードと前記側面リードは、前記スリーブに接続されてよい。
【0010】
本実施形態によると前記高圧放電ランプにおいて、
前記ピンの一方にヒューズが装着され、前記中心リードと前記側面リードの一方は、前記ヒューズに接続されてよい。
【0011】
本実施形態によると前記高圧放電ランプにおいて、前記ピンはモリブデン線、又は、白金クラッドモリブデン線によって構成され、前記中心リード及び前記側面リードはニッケル線、又は、ニッケル系合金線によって構成されてよい。
【0012】
本実施形態によると前記高圧放電ランプにおいて、
前記ピンの外径は0.5.0〜2.5mmであり、前記中心リード及び前記側面リードの外径は0.3〜0.8mmであってよい。
【0013】
本実施形態によると前記高圧放電ランプにおいて、
前記内管の内部空間に放電容器が設けられており、前記口金部の先端部から前記外管のトップ部の先端までの寸法は110mm以下であり、前記口金部の外径は20〜25mmであってよい。
【0014】
本実施形態によると前記高圧放電ランプにおいて、前記内管の内部空間に、発光部と両側の細管部を有する放電容器が設けられていてよい。本実施形態によると前記高圧放電ランプにおいて、前記内管の内部空間は、発光物質を封入した発光部を構成してよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高圧放電ランプにおいて、異極性の電位差に起因した絶縁破壊を防止することができる技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同一の要素には同一の参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0018】
図1を参照して本実施形態に係る高圧放電ランプの一例を説明する。高圧放電ランプは、透光性の外管10と、その内側に配置された透光性の内管12と、その内部に配置された放電容器14を有する。
【0019】
外管10は、試験管の形状を有する石英ガラス製の円筒容器からなる。外管10のトップ側の端部は円筒容器の底部に相当し、閉鎖されているが、口金側の端部は、円筒容器の開口に相当し、そこに口金部30が装着されている。口金部30は本体30Aと取付部(図なし)を有する。口金部30の取付部については後に説明する。
【0020】
内管12は、石英ガラス製の円筒容器からなり、トップ側は底部に相当し、閉鎖されているが、口金側はピンチシール部20によって閉鎖されている。従って、内管12の内部には密閉空間が形成されている。ピンチシール部20は薄板状である。
【0021】
ピンチシール部20には、内部空間に突出する1対のリード線21A、21Bが設けられ、口金部30に向けて突出する1対のピン22A、22Bが設けられている。リード線21A、21Bとピン22A、22Bは、ピンチシール部20に設けられたモリブデン箔23A、23Bによって電気的に接続されている。内管12と外管10の間にサポート17が挿入されている。
【0022】
放電容器14は中央の発光部14Cとその両端の細管部14A、14Bを有する。細管部14A、14Bの両端から電極リード14a、14bが突出している。発光部14Cには1対のタングステン電極が設けられ、これらのタングステン電極は、両側の電極リード14a、14bに接続されている。
【0023】
放電容器14の外側に、金属製のフレーム15が設けられている。フレーム15の一端は、トップ側の電極リード14bに接続され、フレーム15の他端は、ピンチシール部のリード線21Bに接続されている。フレーム15の上端には、ゲッタ18が装着されている。口金側の電極リード14aは、ピンチシール部のリード線21Aに接続されている。
【0024】
フレーム15は位置固定用の部材であると同時に電気的接続用の部材を兼ねており、図示しない外部給電システムからの電力を放電容器14の電極に供給する機能を有する。
【0025】
ピン22A、22Bには、中心リード24Aと側面リード24Bの2本のリードが接続されている。中心リード24Aは、口金部30の本体30Aの先端部に溶接等により接続されている。側面リード24Bは、口金部30の本体30Aの側面のネジ部に溶接等により接続されている。本実施形態では、図示のように、中心リード24Aと側面リード24Bは、口金部30の本体30Aから放電容器14に向かって延びており、更に、放電容器14の中心軸線に対して半径方向外方に延びるように外側に広がっている。中心リード24Aと側面リード24Bは、放電容器14の中心軸線に対して半径方向外方の所定の位置にて、ピン22A、22Bに接続されている。中心リード24Aと側面リード24Bの配置については、後に、詳細に説明する。
【0026】
放電容器14の内部には、発光物質と、水銀および不活性ガスが封入されている。不活性ガスは例えば希ガスであるが本実施例ではアルゴンである。セラミックメタルハライドランプを点灯させると、放電容器14内における放電により、発光物質が加熱され、その一部が蒸発して放電により励起され、発光する。発光物質の残りの部分は、放電容器14の底部の最冷部に液相状態でプールされる。液相の発光物質の一部は蒸発し、放電容器14の内部を対流により循環し、底部の最冷部に戻る。ランプの点灯中はこのようなサイクルが繰り返される。
【0027】
本実施形態では、ランプの全長、即ち、口金部の本体30Aの先端部から外管10のトップ部の先端までの寸法は110mm以下である。口金部30の外径は20〜25mmである。本実施形態の高圧放電ランプは小型管であるが、本発明に係る高圧放電ランプは、必ずしも、小型管に限定されるものではない。
【0028】
本実施形態では、放電容器14を収納する内管12の外側に外管10が設けられているため、三重管と呼ばれる。本発明に係る高圧放電ランプは、必ずしも三重管型に限定されるものではない。本発明に係る高圧放電ランプは、ピンチシール部によって密閉された内部空間を有する内管、又は、放電容器を備え、ピンチシール部から1対のピンが突出している構造を有するランプであれば、どのようなランプであってもよい。
【0029】
図2を参照して、本実施形態に係る高圧放電ランプの構造、特に、口金部の構造の例を説明する。高圧放電ランプは、外管10と、その内側に配置された内管12と、その内部に配置された放電容器14を有する。外管10と内管12の間にサポート17が挿入される。内管12の口金側端部にはピンチシール部20が形成されている。ピンチシール部20からピン22A、22Bが突出している。ピン22A、22Bは、放電容器14の中心軸線に対して両側に広がるように延びている。ピン22A、22Bには、中心リード24Aと側面リード24Bがそれぞれ接続されている。
【0030】
口金部30は、本体30Aと取付部30Bを有する。取付部30Bには、貫通孔31が形成されている。貫通孔31に、薄い板状のピンチシール部20が挿入される。従って、貫通孔31の開口部の形状は、ピンチシール部20の断面形状に対応して細長い形状である。
【0031】
本実施形態では、口金部30の本体30Aと取付部30Bは別個の部材より構成され、両者を組み立てることにより形成される。しかしながら、口金部30の本体30Aと取付部30は単一の部材によって構成してもよい。口金部の構造、特に、取付部30Bの構造は様々なものが知られている。本実施形態では、取付部30Bの構造は特に限定されない。
【0032】
図3を参照して本実施形態の高圧放電ランプの口金部の主要部を説明する。
図3では外管の図示を省略している。口金部30は、本体30Aと取付部30Bを有するが、ここでは、説明の便宜上、取付部30Bの図示を省略している。口金部30の本体30Aには、セラミックス製の絶縁部材32が配置されている。絶縁部材32は、2つの孔32A、32Bを有する。
【0033】
内管12の密閉空間内に放電容器14とフレーム15が配置されている。内管12の口金側の端部にピンチシール部20が形成されている。ピンチシール部20と絶縁部材32の間に空間36が形成されている。ピンチシール部20から密閉空間内にリード線21A、21Bが突出しており、ピンチシール部20から絶縁部材32に向けてピン22A、22Bが突出している。ピン22A、22Bは、放電容器14の中心軸線に対して半径方向外方に広がるように延びている。リード線21A、21Bとピン22A、22Bはモリブデン箔23A、23Bによって接続されている。
【0034】
一方のピン22Aと、口金部30の本体30Aの先端部は、中心リード24Aによって電気的に接続され、他方のピン22Bと口金部30の本体30Aの側面のネジ部は、側面リード24B、24Cによって電気的に接続されている。尚、実線の曲線は、本実施形態による側面リード24Bの例であるが、破線の曲線は、従来技術による側面リード24Cの例を示す。
【0035】
中心リード24Aは、口金部30の本体30Aの先端部から、ピンチシール部20に向かって延び、絶縁部材32の孔32Aを通り、空間36まで延びている。中心リード24Aは、更に、空間36にて、湾曲し、放電容器14の中心軸線より離れる方向に延びて、ピン22Aと交差している。即ち、中心リード24Aは、放電容器14の中心軸線より離れる方向に延びる途中でピン22Aと交差し、接触している。
【0036】
本実施形態では、側面リード24Bは、口金部30の本体30Aの側面のネジ部から、放電容器14に向かって延び、絶縁部材32の孔32Bを通り、空間36まで延びている。側面リード24Bは、更に、空間36にて、湾曲し、放電容器14の中心軸線より離れる方向に、且つ、中心リード24Aとは反対側に延びて、ピン22Bと交差している。即ち、側面リード24Bは、中心リード24Aと同様に、放電容器14の中心軸線より離れる方向に延びる途中でピン22Bと交差し、接触している。
【0037】
一方、従来技術では、破線で示すように、側面リード24Cは、空間36にて、放電容器14の中心軸線より離れる方向に、且つ、中心リード24Aとは反対側に、延び、ピン22Bに交差することなく、ピン22Bの外側まで延びている。側面リード24Cは、そこから、折り返して放電容器14の中心軸線に向かって、即ち、中心リード24Aに向けて延び、その途中で、ピン22Bと交差し、接触している。
【0038】
中心リード24Aと側面リード24B、24Cは、ピン22A、22Bとの交差点において、溶接によりピン22A、22Bに、それぞれ接続される。側面リード24B、24Cの先端は、ピン22A、22Bとの交差点を超えて反対側に突出している。
【0039】
本実施形態では、ピン22A、22Bはモリブデン線、又は、白金クラッドモリブデン線によって構成してよい。中心リード24Aと側面リード24Bは、ニッケル線、又は、ニッケル系合金線によって構成してよい。ピン22A、22Bを白金クラッドモリブデン線によって形成し、中心リード24A及び側面リード24Bをニッケル線によって形成した場合には、両者を通常の抵抗溶接機によって溶接することができる。ピン22A、22Bをモリブデン線によって形成した場合でも、溶接エネルギをフィードバック制御する形式の溶接機によって溶接可能である。
【0040】
中心リード24Aと側面リード24Bの外径は、ピン22A、22Bの外径より小さいか又は等しくてよい。ピン22A、22Bの外径は、0.5〜2.5mmであってよい。例えば、70Wのランプの場合、ピン22A、22Bの外径は0.6mmであってよい。中心リード24Aと側面リード24Bの外径は、0.3〜0.8mmであってよい。
【0041】
通常、ピンチシール部20にピン22A、22Bを固定するための接着剤20Aを充填する。接着剤20Aとして、例えば、市販の低温硬化型のペースト状耐熱性無機接着剤が用いられる。この種の無機接着剤は、100〜300℃程度の低温で硬化し、硬化後は1000〜2000℃程度の高温に耐えることができる。
【0042】
製造工程の試験点灯において、ピン22A、22Bの間に高電圧の始動パルスを印加するとき、ピン22A、22Bの間に接着剤20Aが付着していると、ピン22A、22Bの間の絶縁性能が低下する。これは、試験点灯の時点で、乾燥硬化後の接着剤20Aに水分が残っている場合があるからである。そこで、本実施形態では、ピンチシール部20の下端のピン22A、22Bの間に接着剤20Aが付着しないようにする。
【0043】
図4A及び
図4Bを参照して本実施形態による高圧放電ランプの口金部における異極性間の絶縁破壊特性について説明する。
図4Aの例では、放電容器14の中心軸線Z−Zに対するピン22A、22Bの傾斜角は比較的大きいが、
図4Bの例では、放電容器14の中心軸線Z−Zに対するピン22A、22Bの傾斜角は比較的小さい。
【0044】
本実施形態による中心リード24Aと側面リード24Bは実線で示すが、従来技術による側面リード24Cは破線で示す。本実施形態による中心リード24Aは、従来技術による中心リード24Aと同様であってよい。本実施形態による側面リード24Bは、破線で示す従来技術による側面リード24Cと異なる。
【0045】
中心リード24Aと側面リード24B、24Cは、絶縁部材32の孔32A、32Bを通り、ピンチシール部20と絶縁部材32の間に空間36まで延びている。
【0046】
中心リード24Aは、空間36にて、湾曲部24Arを有し、それより先の部分は中心軸線Z−Zより離れる方向に延び、ピン22Aと交差している。即ち、中心リード24Aは、中心軸線Z−Zより離れる方向に延びる途中でピン22Aと交差している。従って、中心リード24Aの先端24aは、ピン22Aに対して、中心軸線Z−Zの反対側に配置されている。
【0047】
従来技術の場合、側面リード24Cは、空間36にて、中心軸線Z−Zより離れる方向に、且つ、中心リード24Aとは反対側に、延び、ピン22Bと交差することなく、ピン22Bの外側まで延びている。側面リード24Cは、そこで折り返し、中心軸線Z−Zに近づく方向に、即ち、中心リード24Aに向けて延び、ピン22Bと交差している。
【0048】
尚、特許文献1に記載された従来技術の場合、側面リード24Cは、空間36にて、中心軸線Z−Zに沿って延びる途中で、中心軸線Z−Zに近づく方向に、即ち、中心リード24Aに向けて延び、ピン22Bと交差している。
【0049】
一方、本実施形態では、側面リード24Bは、空間36にて、湾曲部24Brを有し、それより先の部分は中心軸線Z−Zより離れる方向に、且つ、中心リード24Aとは反対側に延びて、ピン22Bと交差している。側面リード24Bは、中心軸線Z−Zより離れる方向に延びる途中でピン22Bと交差している。従って、側面リード24Bの先端24bは、ピン22Bに対して、中心軸線Z−Zと反対側に配置されている。即ち、側面リード24Bの先端24bは、他方のピン22Aと反対方向を向いている。
【0050】
本願の発明者は、本実施形態と従来技術の場合において、絶縁破壊試験を行ったところ、本実施形態では、従来技術と比べて、絶縁破壊特性が優れていることが判明した。その理由は、次のとおりである。一般に、絶縁破壊特性は、異極性の形状と異極性の電位間の距離によってきまる。異極性の電位間の最短距離が小さいほど絶縁破壊は起き易いが、異極性の一方又は両方が尖った先端の場合には、両方が平坦である場合より、絶縁破壊が起き易い。本実施形態と従来技術を比較すると、側面リード24Bの先の部分、特に先端24bの位置が異なる。
【0051】
そこで先ず、中心リード24Aの先端24aと側面リード24Bの先端24bの間の絶縁破壊特性を考察する。従来技術の場合、中心リード24Aの先端24aと側面リード24Cの先端24cは同一方向を向いている。即ち、側面リード24Cの先端24cは中心リード24Aの方を向いている。
【0052】
一方、本実施形態の場合、中心リード24Aの先端24aと側面リード24Bの先端24bは互いに反対方向を向いている。即ち、側面リード24Bの先端24bと中心リード24Aの先端24aは、中心軸線Z−Zに対して両側に互いに離れる方向に延びている。本実施形態の場合、中心リード24Aの先端24aと側面リード24Bの先端24bの間の距離は、従来技術の場合と比較して大きい。従って、本実施形態では、中心リード24Aの先端24aと側面リード24Bの先端24bの間の絶縁破壊特性は改善されている。
【0053】
次に、中心リード24Aの湾曲部24Arと側面リード24Bの先端24bの間の絶縁破壊特性を考察する。本実施形態の場合、中心リード24Aの湾曲部24Arと側面リード24Bの先端24bの間の距離は、従来技術の場合と比較して大きくなっている。従って、本実施形態では、中心リード24Aの湾曲部24Arと側面リード24Bの先端24bの間の絶縁破壊特性は改善されている。
【0054】
次に、異極性の電位間の最短距離を考察する。従来技術の場合、異極性の電位間の最短距離は、中心リード24Aの湾曲部24Arと側面リード24Cの先端24cの間の距離である。一方、本実施形態では、異極性の電位間の最短距離は、中心リード24Aの湾曲部24Arと側面リード24Bの湾曲部24Brの間の距離である。従って、本実施形態では、異極性の電位間の最短距離は、従来技術の場合と比較して、必ずしも大きくなっているわけではない。しかしながら、上述のように、本実施形態では、従来技術の場合と比較して絶縁破壊特性は改善されている。その理由は、上述のよう、中心リード24Aの先端24aと側面リード24Bの先端24bは互いに反対方向を向いていることによる。更に、中心リード24Aの湾曲部24Ar又は先端24aと側面リード24Bの先端24bの間の距離が、従来の技術の場合と比較して大きくなっていることによる。
【0055】
一般に、大気中における異極性の電位間距離1mmに対して、針状電極間では絶縁破壊電圧は1kv程度であると言われている。本実施形態では、中心リード24Aの湾曲部24Arと側面リード24Bの湾曲部24Brの間の距離は、少なくとも5.1mmはある。従って、中心リード24Aの湾曲部24Arと側面リード24Bの湾曲部24Brの間の絶縁破壊電圧として少なくとも5kvは確保できる。本実施形態では相対する異極間の最短距離の箇所が針状ではなく湾曲部または平行線であるため、さらに絶縁破壊電圧は高くなる。
【0056】
本実施形態の高圧放電ランプでは、中心リード24A及び側面リード24Bの先端24a、24bは、共に、中心軸線Z−Zより離れる方向に延びて、ピン22A、22Bに交差している。そのため、従来技術の高圧放電ランプと比較して、中心リード24A及び側面リード24Bと、ピン22A、22Bの溶接作業が容易となる。
【0057】
更に、本実施形態の高圧放電ランプでは、中心リード24A及び側面リード24Bは、空間36において、湾曲部24Ar、24Brを有し、湾曲部24Ar、24Brより先の部分は、中心軸線Z−Zより離れる方向に、互いに反対方向に延びている。そのため、中心リード24A及び側面リード24Bのうち、ピン22A、22Bの外側に突出しているのは、先端部のみである。従って、本実施形態では、中心リード24A及び側面リード24Bの先端部を充分小さくすることができる。ピンチシール部20と絶縁部材32の間の空間36において、ピン22A、22Bと中心リード24A及び側面リード24Bの構造の幅寸法を小さくすることができる。そのため、本実施形態では、従来技術と比較して、組立工程が簡単となる。
【0058】
中心リード24A及び側面リード24Bの湾曲部24Ar、24Brを予め形成しておくことによって、中心リード24A及び側面リード24Bの先端24a、24bを絶縁部材32の孔32A、32Bに挿入する工程が容易となる。
【0059】
側面リード24Bの湾曲部24Brの曲率半径をRとする。上述のように、中心リード24Aの先端24aと側面リード24Bの先端24bの間の絶縁破壊特性を改善するためには、中心リード24Aの湾曲部24Ar又は先端24aと側面リード24Bの先端24bの間の距離が大きいほどよい。そのためには、中心リード24A及び側面リード24Bの湾曲部24Ar、24Brの湾曲度を大きくしたほうがよい、即ち、曲率半径Rが小さいほどよい。しかしながら、中心リード24A及び側面リード24Bの湾曲部24Ar、24Brの曲率半径Rは、ピンチシール部20のピン22A、22Bの長さ及び形状によって制限される。
図4Aに示す例のように、ピンチシール部20のピン22A、22Bの傾斜角が比較的大きい場合には、中心リード24A及び側面リード24Bの湾曲部24Ar、24Brの曲率半径Rを小さくすると、中心リード24A及び側面リード24Bをピン22A、22Bに交差させることができなくなる。
図4Bに示す例のように、ピンチシール部20のピン22A、22Bの傾斜角が比較的小さい場合には、中心リード24A及び側面リード24Bの湾曲部24Ar、24Brの曲率半径Rを小さくしても、中心リード24A及び側面リード24Bをピン22A、22Bに交差させることができる。中心リード24Aの湾曲部24Arと側面リード24Bの湾曲部24Brの湾曲度は同一であってもよいが、異なってもよい。
【0060】
図5A、
図5B、及び、
図5Cを参照して、ピンチシール部20のピン22A、22Bに、中心リード24A及び側面リード24Bを接続する方法の例を説明する。先ず、
図5Aに示すように、ピンチシール部20のピン22A、22Bにスリーブ25を装着する。即ち、筒状のスリーブ25に、ピン22A、22Bを挿通させる。スリーブ25は、中心リード24A及び側面リード24Bと同一の材料によって構成してよく、例えば、ニッケル又はニッケル系合金製のパイプによって構成してよい。次に、ピン22A、22Bを、一点鎖線A−Aにて示すように、スリーブ25の端面に沿って切断する。即ち、ピン22A、22Bの先端のスリーブ25より突出した部分を切断する。
【0061】
図5Bに示すように、ピンチシール部20のピン22A、22Bの先端に、スリーブ片25、25が残る。この状態では、ピンチシール部20のピン22A、22Bの先端と、スリーブ25の端面はフラッシュである。そこで、
図5Cに示すように、ピンチシール部20のピン22A、22Bの先端が、スリーブ25の内部に配置されるように、スリーブ25を引っ張り出す。次に、スリーブ25を潰し、又は、かしめることによって、スリーブ25は、ピンチシール部20のピン22A、22Bの先端に固定される。最後に、スリーブ25に、中心リード24Aと側面リード24Bを、それぞれ、溶接等によって接続することによって、ピンチシール部20のピン22A、22Bに、中心リード24Aと側面リード24Bが接続される。
【0062】
図示のように、中心リード24Aと側面リード24Bの先端が、スリーブ25より突出しないように、両者を接続する。こうして、本実施形態では、ピン22A、22Bと中心リード24A及び側面リード24Bの接続部において尖った先端部が無いから、絶縁特性を改善することができる。
【0063】
図6を参照して、ピンチシール部20のピン22A、22Bに、中心リード24A及び側面リード24Bを接続する方法の他の例を説明する。本例では、ピンチシール部20の2つのピン22A、22Bのうちの一方のピン22Aに、ヒューズ28が接続されている。
【0064】
本実施形態では、溶接又はロー付けに28aよって、ピン22Aにヒューズ28を接続している。ヒューズ28に中心リード24Aを接続する。ピンチシール部20の他方のピン22Bに、側面リード24Bを接続する。本実施形態では、内管12の内部又はピン22A、22B間で電気的短絡が生じる等により過大電流が流れた場合には、ヒューズ28が溶断するので、放電管を保護することができる。
【0065】
ヒューズ28はタンタルTa製のワイヤによって構成してよい。タンタル製ワイヤは、ピン22A及び中心リード24A又は側面リード24Bに直接溶接可能である。ヒューズ28の外径は0.1〜0.2mm、長さは3〜6mmであってよい。
【0066】
図7(A)、
図7(B)、及び、
図7(C)を参照して、本実施形態の高圧放電ランプの組立工程の例を説明する。
図7(A)に示すように、内管12のピンチシール部20に口金部30の取付部30Bを装着し、ピンチシール部20から突出した中心リード24A及び側面リード24Bの先端をクランパ42によって保持する。ピンチシール部20は薄い板状であり、
図7(A)では、ピンチシール部20の厚さ方向に沿った断面が描かれている。
【0067】
内管12内には放電容器14が配置されている。内管12のトップ部には、サポート17が装着されている。クランパ42によって、内管12はトップ部が下側になるように吊り下げられている。一方、支持台41には、外管10が直立した状態で保持されている。図示のように、外管10は、トップ部が下側に口金側の開口部が上側になるように直立している。
【0068】
図7(B)に示すように、クランパ42を下降させて、内管12を外管10に挿入する。口金部30の取付部30Bは外管10の開口部に係合する。
図7(C)に示すように、接着剤供給器43を用いて接着剤を、外管10と口金部30の取付部30Bの間、及び、内管のピンチシール部20と口金部30の取付部30Bの間、に注入する。
【0069】
図8(A)、及び、
図8(B)を参照して、本実施形態の高圧放電ランプの組立工程の例を説明する。
図8(A)に示すように、支持台44に口金部30の本体30Aを保持する。口金部30の本体30Aの凹部にて接着剤43Aを塗布する。口金部30の取付部30Bが下側になるように、外管10を保持する。内管のピンチシール部20から中心リード24A及び側面リード24Bが突出している。
【0070】
図8(B)に示すように、外管10を下降させ、口金部30の取付部30Bを口金部30の本体30Aに係合させる。このとき、内管のピンチシール部20から突出した中心リード24A及び側面リード24Bを、口金部30の本体30Aに設けられた絶縁部材(図示なし)の孔に貫通させる。上述のように、本実施形態では、ピンチシール部20と絶縁部材の間の空間において、ピン22A、22Bと中心リード24A及び側面リード24Bの構造の幅寸法を小さくすることができる。そのため、中心リード24A及び側面リード24Bを、絶縁部材(図示なし)の孔に貫通させる作業が容易化される。
【0071】
以上、本実施形態に係る高圧放電ランプについて説明したが、これらは例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。当業者が、本実施形態に対して容易になしえる追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の記載によって定められる。